日下 裕介 (Kusaka Yusuke)、上野 健史(Ueno Takeshi)、南 敏明(Minami Toshiaki)(大阪医科薬科大学)

2026年4月7日(火)掲載 随時更新

研究不正の告発です。大阪医科薬科大学・医学部・麻酔科学教室に所属する3人の研究者「日下 裕介 (Kusaka Yusuke)、上野 健史(Ueno Takeshi)、南 敏明(Minami Toshiaki)」は、2024年12月に出版した英語論文とほとんど同じ内容の論文を、2026年1月に日本語論文として出版した。二重出版です。また、同教室の中平 淳子(Nakahira Junko)が連絡著者(南 敏明が最後著者)の3論文に、別途、「不適切な出版行為」と思われる点がある。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.【告発とその後】
2.【不正疑惑】
 《1》二重出版
 《2》不適切な出版行為
7.【白楽の感想】
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  • 記述は敬称略。
  • 白楽ブログの「5C 日本の研究不正告発 」の意図は、日本の研究者の研究不正(含・疑惑)を具体的に示し、該当する研究機関の調査・対処の実態を公表・情報共有することです。そのことで、日本の研究不正調査・対処の問題点を日本国民・メディア、及び研究機関・研究者が一緒に考え、日本の研究倫理体制をより良い方向に改善することです。
    情報共有し改善策を考えるため、メールおよび文書は基本的に公表します。
  • 文部科学省は「二重出版」ではなく、「二重投稿」の名称を使用しているが、文部科学省の認定した研究不正は「投稿」時点ではなく「出版」後である。そのこともあり、本記事では「二重出版」と「二重投稿」の名称に関して厳密な使い分けをしていない。 → ●白楽の卓見・浅見23【文科省の研究不正ルールの改訂を希望】 | 白楽の研究者倫理

●1.【告発とその後】

==260407 研究不正疑惑 告発した==

大阪医科薬科大学・総務部総務課御中
CC :協和綜合法律事務所(大阪医科薬科大学の学外第三者通報相談窓口)

件名:研究不正疑惑

貴大学・医学部・麻酔科学教室に所属する3人の研究者「日下 裕介 (Kusaka Yusuke)、上野 健史(Ueno Takeshi)、南 敏明(Minami Toshiaki)」は、2024年12月に出版した英語論文とほとんど同じ内容の論文を、2026年1月に日本語論文として出版した。

二重出版です。

また、別途、同教室の中平 淳子(Nakahira Junko)が連絡著者(南 敏明が最後著者)の3論文に、「不適切な出版行為」と思われる点があります。

適切な調査・対処をして下さるようお願い申しあげます。

なお、調査委員会は、生物医学系の「研究不正」を解析できる専門家を少なくとも2人、含めるようご配慮ください。

また、私へのメールにはメール送信者の姓名(つまり、担当者名)を記載してください。

詳しくは、以下の記事で説明しております。

日下 裕介 (Kusaka Yusuke)、上野 健史(Ueno Takeshi)、南 敏明(Minami Toshiaki)(大阪医科薬科大学)
https://haklak.com/page_Yusuke_Kusaka.html

よろしくお願い申し上げます。

白楽ロックビル
お茶の水女子大学名誉教授
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●2.【不正疑惑】

《1》二重出版

=====【疑惑研究者】======

論文の著者は日下 裕介 (クサカ ユウスケ)、上野 健史(ウエノ タケシ)、南 敏明(ミナミ トシアキ)の3人である。

連絡著者は日下だが、二重出版はデータ捏造・改ざんなどと異なり、著者全員が二重出版であることを承知で出版(さらに、出版後もそのままに)しているので、全共著者が不正行為の実行者である。それで、3人を並べた。

第一著者、連絡著者:日下 裕介 (Kusaka Yusuke):写真出典

所属・身分:出典:KAKEN — 研究者をさがす | 日下 裕介 (60636075)
所属 (現在):2025年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授)
所属 (過去の研究課題情報に基づく):
2024年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授)
2023年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別任命教員教授
2012年度: 大阪医科大学, 医学部, 助教

第二著者:上野 健史(Ueno Takeshi):写真出典

所属・身分:出典:KAKEN — 研究者をさがす | 上野 健史 (70782283)
所属 (現在):2025年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教
所属 (過去の研究課題情報に基づく):
2023年度 – 2024年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教
2016年度 – 2019年度: 大阪医科大学, 医学部, 助教

最後著者:南 敏明(Minami Toshiaki):写真出典

所属・身分:出典:KAKEN — 研究者をさがす | 南 敏明 (00257841)
所属 (現在):2025年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授
所属 (過去の研究課題情報に基づく):
2023年度 – 2024年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授
2015年度 – 2019年度: 大阪医科大学, 医学部, 教授
2014年度: 大阪医科大学, 医学研究科, 教授
2010年度 – 2013年度: 大阪医科大学, 医学部, 教授
2010年度: 大阪医科大学, 医学研究科, 教授 … もっと見る

大阪医科薬科大学。写真はWara070の著作物, CC 表示-継承 4.0、出典

===【疑惑の全体像】===

不正疑惑は二重出版である。

日下 裕介 (クサカ ユウスケ)、上野 健史(ウエノ タケシ)、南 敏明(ミナミ トシアキ)の3人は、2024年12月に出版した英語論文とほとんど同じ内容の論文を、2026年1月に日本語論文として出版した。

===【疑惑の具体例】===

ーーー先行論文ーーー

先行論文は国内の英文学術誌に2024年12月16日に掲載された以下の2025年の英語論文である。

先行論文は次の通り。

実施施設が大阪医科薬科大学病院の手術室、大阪医科薬科大学・倫理委員会承認は申請番号1883で承認日は2016年3月7日、UMIN臨床試験登録 UMIN000022351 に登録されたランダム化比較試験、研究期間は2017年4月~2019年3月、登録患者数148例、ランダム化140例、解析対象はliberal群69例およびrestrictive群67例であり、主要評価項目である術後合併症率は 27.5%対19.4%(risk ratio 0.71、p=0.264) と報告した。

ーーー後行論文ーーー

後行論文は国内の和文学術誌に掲載された以下の2026年1月の日本語論文である。

なお、不正を指摘すると、学術誌「臨床麻酔」がこの論文を削除し、最初から論文がなかったかのように振る舞う可能性を排除できない。それで、上記論文の前後を含めた臨床麻酔 50巻1号の目次を以下に示す(出典保存版)。

===【類似】===

ーーー論文の類似点ーーー

英語と日本語の違いはあるが、後行論文は先行論文と同じ内容である。

後行論文は、先行論文の主要ポイントである「実施施設が大阪医科薬科大学病院の手術室、大阪医科薬科大学・倫理委員会承認は申請番号1883で承認日は2016年3月7日、UMIN臨床試験登録 UMIN000022351 に登録されたランダム化比較試験、研究期間は2017年4月~2019年3月、登録患者数148例、ランダム化140例、解析対象はliberal群69例およびrestrictive群67例であり、主要評価項目である術後合併症率は 27.5%対19.4%(risk ratio 0.71、p=0.264) と報告した」点は、すべて、同じである。

つまり、論文タイトル、実施施設、倫理委員会承認番号、臨床試験登録番号(UMIN000022351)、研究デザイン、研究期間、対象患者および症例数、群分け、統計結果、結論、3点の図、5点の表、はすべて同じである。

論文タイトル と3点の図が同じであることは、次項に示す。

ーーー論文タイトルの類似性ーーー

先行論文の論文タイトル「Effect of restrictive versus liberal fluid therapy for laparoscopic gastric surgery on postoperative complications: a randomized controlled trial」をグーグル翻訳で日本語に訳し、後行論文と同じ文字をオレンジ背景色で示した。

先行論文:「腹腔鏡下胃術における制限的輸液療法と寛容的輸液療法が術後合併症に及ぼす影響:ランダム化比較試験

後行論文:「腹腔鏡下胃切除術における制限的輸液療法と自由輸液療法が術後合併症に与える影響:ランダム化比較試験

論文タイトルは、実質的に同じである。

ーーー3点の図の類似性ーーー

先行論文と後行論文にはそれぞれ図が3つある。
3つの図のレイアウト・内容は同じである。
先行論文の英語を日本語にして後行論文に使用したと思われる。
以下の図の出典は原著。

図1(左が先行論文、右が後行論文)

図2(左が先行論文、右が後行論文)

図3(左が先行論文、右が後行論文)

===【後行論文の学術誌の投稿規定】===

後行論文に、既発表研究の二次出版(secondary publication)である旨の明示はない。先行論文の出版社または編集部の許可を得た旨の記載もない。先行論文の引用もない。

そもそも、後行論文の学術誌である「臨床麻酔」は、論文投稿者に「他誌に未発表であり,投稿中でもない」という誓約をさせている。

つまり、後行論文の学術誌の「執筆要綱」に「投稿時,「誓約・同意書」に“本論文の内容は,他誌に未発表であり,投稿中でもない”旨を明記し,著者全員の署名・捺印および日付を記入して論文と同封してください」とある「誓約・同意書」(以下)を提出させている。出典: https://cbr-pub.com/magazine_m/pdf/masui_regulations_2024.pdf

臨床麻酔 誓約・同意書

 

《2》不適切な出版行為

===【疑惑の全体像】===

不正疑惑は不適切な出版行為である。

《1》二重出版」疑惑を調べていたところ、「《1》二重出版」論文とは別の、南 敏明(ミナミ トシアキ) の7論文(2026年4月6日現在)にパブピア(PubPeer)で問題点が指摘された。

以下、7論文のうち、Lycosa tarantula や Argyrodes miniaceus が指摘している3論文を対象に述べる。

《1》二重出版」疑惑と共通する著者は南 敏明(ミナミ トシアキ)だけである。

3論文とも、連絡著者は中平 淳子(Nakahira Junko)で、南 敏明が最後著者である。

連絡著者:中平 淳子(Nakahira Junko):写真出典
所属・身分:出典:KAKEN — 研究者をさがす | 中平 淳子 (30465603)
所属 (現在):2025年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤講師
所属 (過去の研究課題情報に基づく):
2024年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤講師
2021年度 – 2023年度: 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師
2018年度 – 2020年度: 大阪医科大学, 医学部, 講師
2015年度 – 2017年度: 大阪医科大学, 医学部, 助教

===【疑惑の具体例】===

同じ臨床試験登録番号(JMA-IIA00136)の臨床試験データで、以下の3報の論文を出版した。

  1. The Effects of Endotracheal Tube and i-gel® Supraglottic Airway Device on Respiratory Impedance: A Prospective Observational Study.
    Nakano S, Nakahira J, Kuzukawa Y, Sawai T, Minami T.
    Anesth Pain Med. 2016 Nov 22;7(1):e42964. doi: 10.5812/aapm.42964. eCollection 2017 Feb.PMID: 28920047
  2. Factors Causing Post-Anesthetic High Respiratory Resistance in Patients Undergoing Transurethral Resection of Bladder Tumors.
    Nakahira J, Nakano S, Sawai T, Ishio J, Ono N, Minami T.
    Anesth Pain Med. 2017 Jan 31;7(2):e44553. doi: 10.5812/aapm.44553. eCollection 2017 Apr.PMID: 28824862
  3. Evaluation of alveolar recruitment maneuver on respiratory resistance during general anesthesia: a prospective observational study.
    Nakahira J, Nakano S, Minami T.
    BMC Anesthesiol. 2020 Oct 17;20(1):264. doi: 10.1186/s12871-020-01182-9.PMID: 33069208

2番目の「2017年1月のAnesth Pain Med. 」論文は、既に出版した2016年論文を引用していない。

3番目の「2020年6月のBMC Anesthesiol.」論文は、既に出版した2016年と2017年の論文を引用しているが、方法論のセッションで「We previously reported using this device to measure increased respiratory resistance after general anesthesia [1821].」と、以前の論文でMostGraph-01装置を使用した文献として引用しただけである。

同じ臨床試験登録番号(JMA-IIA00136)で複数の論文を出版することは、必ずしも研究不正ではないが、先行論文を引用し、本論文と先行論文との分析内容の違いを序文(Introduction)や方法(Methods)で明示しないと、サラミ出版などの「不適切な出版行為」とみなされる可能性が高い。

●7.【白楽の感想】

《1》不正行為

本件の不正疑惑は、大阪医科薬科大学の研究者による「二重出版(二重投稿)」と「不適切な出版行為」である。

大阪医科薬科大学は「大阪医科薬科大学 研究活動における不正行為への対応等に関する規程」の第2条(定義)で、以下に示すように二重投稿を不正行為としている。

「研究活動における不正行為」に「(3) 二重投稿や不適切なオーサーシップ等、研究者倫理に背馳し、研究活動の本質ないし本来の趣旨を歪め、科学コミュニティの正常な科学的コミュニケーションを妨げる行為」とある。

《2》文部科学省:「二重出版(二重投稿)」

少し脇道にそれるが、日本全体を考えるべきだと指摘したい。

文部科学省は、「二重出版(二重投稿)」を不正行為とみなすかどうかを各研究機関に任せている。

文部科学省の答申に対し、日本学術会議は「二重出版(二重投稿)」を「厳に禁止されるべきである」と文部科学省に回答し、文部科学省のアンケート調査では78%の研究機関が研究上の不正行為又は不適切な行為としている。 → 2022年5月9日:文部科学省:参考4_研究活動における不正行為等の防止の徹底について(通知)

また、文部科学省は、「研究活動において不正行為が認定された事案」として、「二重出版(二重投稿)」事案を公表している。以下適当に2例示す。

ただ、「二重出版(二重投稿)」を研究上の不正行為とみなすかどうかは、大学の特性とは無関係なので、文部科学省は各研究機関の判断に任せず、国として統一すべきだ。

同じ「二重出版(二重投稿)」が78%のA大学で不正となり、22 % のB大学では不正ではない、のはおかしい。

また、規則で決める以前に、研究不正は研究不正なのである。

通常、規則は後追いで制定する。研究不正では日本の国および大学の規則制定はとても遅れている。それをいいことに、大学の規則制定前なら、その大学での研究不正行為は研究不正ではないとするのは異常である。

《3》責任

本件の「二重出版(二重投稿)」は、大阪医科薬科大学の日下 裕介 (クサカ ユウスケ)、上野 健史(ウエノ タケシ)、南 敏明(ミナミ トシアキ)の3人(あるいはその内の1人)の初めての不正行為なのか、常習なのか、白楽はわからない。

3人は学部生でも大学院生でもない。うち1人は教授である。3人とも、それなりの業績を積んだ研究者である。その3人の初めての不正行為だとすると、2026年に「初めて」した状況を理解するのが難しい。理由は、業績を増やしたいだけと思われるが、単にそれだけの理由なのだろうか?

3人は後行論文を投稿する時、学術誌「臨床麻酔」が要求している「誓約・同意書」「本論文の内容は,他誌に未発表であり,投稿中でもない」に署名・捺印している。

3人のうち1人でも、投稿前、そして投稿時、最後の「誓約・同意書」に署名・捺印する時、二重「投稿」はマズイと異議を唱えれば、不正行為を防止できたと思われるのに、投稿し、二重出版した。出版後も、撤回を申し出るなどの行為を、現在までしていない。

著者の1人である南 敏明(ミナミ トシアキ)は麻酔科学教室を司る教授である。

大阪医科薬科大学・麻酔科学教室は、「二重出版(二重投稿)」だけでなく、研究不正全体に対してルーズな教室文化なのだろうか?

《1》二重出版」論文とは別の、南 敏明(ミナミ トシアキ) の7論文にパブピア(PubPeer)で「不適切な出版行為」が指摘されている。

麻酔科学教室のスタッフの写真には20人の人物が写っている(スタッフ紹介- 大阪医科薬科大学 麻酔科学教室)。

教室の教授がしている「二重出版(二重投稿)」や「不適切な出版行為」を教室員の誰かがまねた時、誰が注意・指導・告発するのか・できるのか?

麻酔科学教室、そして、大阪医科薬科大学に、「二重出版(二重投稿)」や「不適切な出版行為」の続行・拡散が起こらないよう、大阪医科薬科大学は迅速に処置し、また、調査の後、しっかりした不正防止のシステムを構築して下さるよう、お願い申し上げます。

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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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