盗博VP47:ドリス・フィアラ(Doris Fiala)(スイス)

2017年7月5日掲載。

ワンポイント:盗博サイトのヴロニプラーク・ウィキの47番目。博士号ではなく修士号である。国はドイツではなくスイスである。ドリス・フィアラ(女性)は、起業家から政治家になり、2007年(50歳)にスイス連邦議会・議員に当選した。2010年(53歳)に、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で政治学の修士号を取得した。2013年(56歳)に盗修がバレ、修士号がはく奪された。その時、スイス連邦議会・議員だったが、議員辞職はしなかった。2015年(58歳)の選挙でも当選した。盗用ページ率は41.4%で、盗用文字率は約26%である。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.盗用解析
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ドリス・フィアラ(Doris Fiala、写真出典)は、2007年(50歳)にスイス連邦議会・議員になり、2010年(53歳)にスイスのスイス連邦工科大学チューリッヒ校Eidgenössische Technische Hochschule Zürich、英語:ETH Zurich)で政治学の修士号を取得した。

2013年5月10日(56歳)、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が盗修を告発した。47番目の盗博事件である(本件は盗修)。盗用ページ率は41.4%で、盗用文字率は約26%である。
→ 1‐4‐10.ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)

ヴロニプラーク・ウィキがドイツ以外の大学の盗博(本件は盗修)も告発している少数例(2017年7月4日現在・13人)の1人である。

2013年7月(56歳)、スイス連邦工科大学チューリヒ校は、修士号をはく奪した。その時、フィアラは、スイス連邦議会・議員だったが、議員辞職はしなかった。

2015年(58歳)、フィアラは、盗修発覚後のスイス連邦議会・議員の選挙で3回目の当選を果たした。

スイス連邦工科大学チューリヒ校は、チューリッヒ工科大学とも呼ばれるが、ドイツ語では「Eidgenössische Technische Hochschule Zürich」で、これを略した「ETH Zürich」または「ETHZ」が多用されている。大学自身が「ETH Zürich」と表記している。英語では「Swiss Federal Institute of Technology Zurich」だが、一般的には、「ETH Zürich」の「ü」を「u」に変えた「ETH Zurich」が使われる。日本語の読み方は「イーティーエッチ、チューリッヒ」である。

スイス連邦工科大学チューリヒ校は、「Times Higher Education」の大学ランキングで世界第9位、欧州第4位(英国を除くと第1位)の名門大学である(World University Rankings 2017 | Times Higher Education)。

ETH_Zürich_-_Hauptgebäude_-_Polyterasse_2011-08-06_18-21-28_ShiftN2 スイス連邦工科大学チューリヒ校中央棟(Main building of ETH Zürich)
ETH-Hoenggerberg-2008スイス連邦工科大学チューリヒ校ヘンガーベルク・キャンパス(ETH Hönggerberg Campus)の全景。写真出典

  • 不正:盗修(盗用修士論文)
  • 国:スイス
  • 成長国:スイス
  • 修士号:政治学修士(Master of Advanced Studies in Security Policy and Crisis Management (MAS ETH SPCM))
  • 修士号取得年月日:2010年(53歳)
  • 修士号取得大学:スイスのスイス連邦工科大学チューリッヒ校・人文社会政治学科(Department of Humanities, Social and Political Sciences)
  • 分野:政治学
  • 修士論文タイトル:Die schweizerische Migrationspolitik im Kontext der nationalen Sicherheit und globaler Zusammenhange
    (日本語訳):国家安全保障とグローバルな視点からのスイス移民政策
  • 修士論文審査教授: Prof. Dr. Andreas Wenger and Dr. iur. Eduard Gnesa
  • 公開: Oktober 2010. → Download Homepage → Download archive.org
    12. Juli 2013: Masterarbeit enthalt Plagiate → Pressemitteilung der Eidgenossischen Technischen Hochschule Zurich
  • 盗修発覚年月日:2013年5月10日(56歳)
  • 盗用ページ率:41.4%
  • 盗用文字率:約26%
  • 修士号はく奪状況:はく奪
  • 男女:女性
  • 生年月日:1957年1月29日。スイス・チューリヒに生まれる
  • 現在の年齢:60 歳
  • 発覚時地位:スイス連邦議会・議員
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)の人
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①スイス連邦工科大学チューリッヒ校・調査委員会
  • 結末:修士号はく奪。辞職なし

●2.【経歴と経過】

主な出典:http://www.openeuropeberlin.de/uber-uns/

  • 生年月日:1957年1月29日。スイス・チューリヒに生まれる
  • xxxx年(歳?):xx大学。学士号
  • xxxx年(歳?):xx大学。経営学修士号?
  • xxxx年(xx歳): ローザンヌホテルスクールの営業コース(Course in sales, Hotel Management School Lausanne)受講。チューリッヒ栄養研究所( Institute for Nutrition, Zurich) で研修
  • xxxx年(xx歳): 化学エンジニアと結婚
  • 1983年(26歳):長男誕生
  • 1985年(28歳):長女誕生
  • 1989年(32歳):次女誕生
  • 2000年(43歳): チューリッヒに広報代理店設立
  • 2000 ‐ 2007年(43 ‐ 50歳): チューリッヒ市議会・議員
  • 2007 年10月21日(50歳):スイス連邦議会・議員に初当選
  • 2008 ‐ 2016年(51 ‐ 59歳):スイス・プラスチックス協会・会長(Präsidentin von Swiss Plastics)
  • 2010年(53歳):スイスのスイス連邦工科大学チューリッヒ校で修士号を取得
  • 2011 年10月23日(54歳):スイス連邦議会・議員に再選
  • 2012 ‐ 2014年(55 ‐ 57歳):スイス・エイズ財団(Aids-Hilfe Schweiz、Swiss Aids Foundation ) 会長
  • 2013年5月10日(56歳):3年前の盗修が発覚
  • 2013年7月(56歳):スイス連邦工科大学チューリッヒ校は、フィアラの修士号をはく奪した
  • 2015 年10月18日(58歳):スイス連邦議会・議員に3選
  • 2017年7月5日現在(60歳):スイス連邦議会・議員

●3.【動画】

【動画1】
盗修事件ニュースではない。ドリス・フィアラ議員の紹介動画:「Doris Fiala macht vorwarts – YouTube」(ドイツ語)1分16秒
2movevideo が 2011/09/29 にアップロード

【動画2】保存版あり
盗修事件ニュースでドリス・フィアラにインタビュー:「Doris Fiala uber Plagiats-Vorwurfe: ≪Es ist eine harte Probe≫ – YouTube」(ドイツ語)2分24秒
Blickが 2013/07/13 に公開
以下のリンクが切れた時 → 保存版

●4.【日本語の解説】

盗修事件の日本語記事はない。ドリス・フィアラの政治活動の日本語記事が数点あった。以下はその一部。

★2016年5月16日:「SWI swissinfo.ch」のPeter Siegenthaler記者(翻訳者不明):「ドライバーは「乳牛」か?道路関連税収の公平な使途求め国民投票へ

出典 → ココ(写真も)(保存版

ドリス・フィアラ連邦議会議員(急進民主党)(Keystone)

中道右派・急進民主党のドリス・フィアラ連邦議会議員は「道路使用者の税金や使用料金が連邦予算の6分の1を占めるが、相当額が道路事業とは関係ない予算に回っている」と批判。「全てのお金がどこに使われるのか明確にしなければならない」と財政透明化を追求する考えだ。

ただし、公共交通機関に不利益を講じることはせず、バランスの取れた財政を目指したいという。また、鉄道の予算を道路分野にスライドすることは不適切だと指摘。「最も重要な交通手段は道路だ。交通利用者の75%が道路を使うが、線路は19%だ」(フィアラ氏)。さらに「道路は自動車だけでなく自転車、バス、郵便車、トラムも走る。それほど需要があるのに道路整備はおろそかにされている」と批判する。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

スイスのチューリッヒで生まれ、結婚し、子供を3人生み育て、起業活動をしつつ、2000年(430歳)に、 チューリッヒ市議会・議員に当選した。

2007 年10月21日(50歳)、スイス連邦議会・議員に初当選した。

すでに連邦議会議員になっているのに、その人がどうしてかわからないが、2010年(53歳)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で修士号を取得した。

2013年5月10日、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が、3年前の修士論文の盗用を見つけ、盗修を告発した。

フィアラは、いくつかの引用不備と「ずさんな執筆」を認めたが、意図的にだますつもりはなかったと弁明し、専門家の評価を依頼した。

2013年7月(56歳)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校は、専門家の調査の結果、フィアラの修士論文には、適切な引用をしないで文章を流用している部分、つまり、盗用箇所がいくつもあると結論し、修士号をはく奪した。
→ Masterarbeit enthält Plagiate(保存済)

フィアラは、そのテーマ以外の新しいトピックスで修士論文を書くことができるし、ズルする意図は全くなかったと弁明している。

●6.【盗用解析:修士論文】

ドリス・フィアラ(Doris Fiala)の修士論文のタイトルは 「Die schweizerische Migrationspolitik im Kontext der nationalen Sicherheit und globaler Zusammenhange
(日本語訳):国家安全保障とグローバルな視点からのスイス移民政策」である。

修士論文の盗用分析図は以下の5色のバーコードである。修士論文の本文は192ページ、盗用ページ率は41.4%で、盗用文字率は約26%と算定されている。

なお、元の盗用分析図では、バーコードがページ毎の盗用分析にリンクしている。→ http://de.vroniplag.wikia.com/wiki/Df

★イラスト表示

以下はページ毎に色分けしたイラスト表示である。

盗用の色分けは、灰色= 逐語盗用(コピペ、文献提示なし)、赤色 = 加工盗用(ロゲッティング、文献提示なし)、黄色 =流用部分が曖昧な盗用(文献提示あり)、 青色 = 翻訳盗用、である。

ページ換算の盗用ページ率は41.4%で、盗用文字率は約26%と算定されている。イラスト表示では、赤色 = 加工盗用(ロゲッティング、文献提示なし)が多い。

★各ページの盗用分析

ドリス・フィアラ(Doris Fiala)の修士論文の各ページ毎に盗用分析がされている。盗用があるページは青色で、盗用がないページは赤色である。青色をクリックすると、各ページが開く。

Haupttext
015 016 017 018 019 020
021 022 023 024 025 026 027 028 029 030 031 032 033 034 035 036 037 038 039 040
041 042 043 044 045 046 047 048 049 050 051 052 053 054 055 056 057 058 059 060
061 062 063 064 065 066 067 068 069 070 071 072 073 074 075 076 077 078 079 080
081 082 083 084 085 086 087 088 089 090 091 092 093 094 095 096 097 098 099 100
101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120
121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140
141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160
161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180
181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192

【121ページ目】

1例として、121ページ目(つまり、121)をクリックすると、盗用比較図が出てくる。以下はその1部分を示した。80ページ目はイラストで赤色( 加工盗用)である。

左側がドリス・フィアラ(Doris Fiala)の修士論文で右が被盗用論文である。着色部分の文章が同一である。

イラストで赤色( 加工盗用)の盗用が顕著な部分を上にあげたが、逐語盗用にとても近い。文献の記載はない。

●7.【白楽の感想】

《1》わからないこと多し

ドリス・フィアラ(Doris Fiala)は、すでに連邦議会議員になっている。53歳にもなって、どうして修士号を取得しようとしたのか、わからない。

本当のところは理解できないけど、ドイツでは、似たようなケースがいくつもある。学位をアクセサリーの1つとみなしているのだと白楽は受け止めておく。

すでに連邦議会議員になっている人が53歳で修士号を取得した。

このような人は、単純に考えれば、論文の書き方を知らない。その前提で、指導教授は研究指導の一環として修士論文の書き方も指導したハズだ。あるいは、院生全員に「論文の書き方のマニュアル」を配布していたハズだ。

しかし、指導していなかった、マニュアルを配布していなかったのだろうか?

それにしても、どうして盗用したのか、どこに原因があるのか、この事件の説明記事からは見えてこない。

ドリス・フィアラは「意図的にだますつもりはなかった」と弁解している。この発言は、多くのネカト者が発する弁解で、聞く側には「白々しく聞こえる」。素直に陳謝するネカト者はとても少ない。

なお、修士論文とはいえ、スイス連邦工科大学チューリッヒ校の修士論文は本文が192ページもあり、量的には博士論文と同等である。質は判断できないが、印象としては、博士論文に遜色ないと思われる。

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●8.【主要情報源】

① ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)ドリス・フィアラ(Doris Fiala)サイト:Df | VroniPlag Wiki | Fandom powered by Wikia
② ウィキペディア・ドイツ語版のドリス・フィアラ(Doris Fiala):Doris Fiala ‐ Wikipedia
③ 2013年7月12日のジョアンナ・ウェッドル(von Johanna Wedl)記者の「NZZ Zürich」記事:Doris Fiala schreibt neue Masterarbeit、(保存版
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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