2019年5月3日掲載
ワンポイント:ノースウェスタン大学(Northwestern University)・準教授が、2017年(42歳)、26歳の男性を刺殺し、自首した。同性愛の三角関係というセックスファンタジー絡みの殺人事件で、研究とは無関係だった。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。ラテム事件は「2017年ネカト世界ランキング」の「1」の2番目の事件である。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】
ウィンダム・ラテム(Wyndham Lathem、写真出典 )は、米国のノースウェスタン大学(Northwestern University)・準教授で、専門は微生物学だった。
2017年(42歳)、26歳の男性を刺殺し、自首した。
白楽は研究に絡んだ殺人事件と思って調べたが、同性愛の三角関係というセックスファンタジー絡みの殺人事件で、研究とは無関係だった。
ラテム事件は「2017年ネカト世界ランキング」の「1」の2番目の事件である。
ノースウェスタン大学(Northwestern University)。写真出典
- 国:米国
- 成長国:米国
- 医師免許(MD)取得:なし
- 研究博士号(PhD)取得:ウィスコンシン大学マディソン校
- 男女:男性
- 生年月日:1974年8月10日
- 現在の年齢:50 歳
- 分野:微生物学
- 事件実行:2017年(42歳)
- 発覚年:2017年(42歳)
- 発覚時地位:ノースウェスタン大学・準教授
- ステップ1(発覚):
- ステップ2(メディア):新聞報道
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①シカゴ警察。②ノースウェスタン大学。③裁判所
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
- 大学の透明性:大学以外が詳細をウェブ公表(⦿)
- 事件:殺人
- 被害者数:1人
- 時期:研究キャリアの中期
- 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
- 処分: 解雇
- 日本人の弟子・友人:不明
【国民の損害額】
国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
出典:Wyndham Lathem – Associate Professor – Northwestern University | LinkedIn
- 1974年8月10日:米国で生まれる
- 1996年(22歳):ヴァッサー大学(Vassar College)で学士号取得:生物学
- 2003年(29歳):ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)で研究博士号(PhD)を取得:微生物学
- 2003-2007年(29-33歳):セントルイスのワシントン大学医科大学院(Washington University School of Medicine)・ポスドク
- 2008年1月(33歳):ノースウェスタン大学・準教授
- 2017年(42歳):殺人で逮捕状
- 2017年(42歳):ノースウェスタン大学を解雇
●3.【動画】
以下は事件の動画ではない。
【動画1】
講演の動画:「軽度から殺人まで:どのようにYersinia pestisが肺ペストを引き起こすように進化したか(From Mild to Murderous: How Yersinia pestis Evolved to Cause Pneumonic Plague) – YouTube」(英語)33分37秒。
Recording Archaeologyが2017/01/30 に公開
●5.【事件の経緯と内容】
★事件
ウィンダム・ラテム(Wyndham Lathem)は、米国のノースウェスタン大学(Northwestern University)・準教授で、専門は微生物学だった。
2017年7月27日、ラテム準教授(42歳)は英国のオックスフォード大学(University of Oxford)・従業員のアンドリュー・ウォーレン(Andrew Warren)(56歳)と共に、殺人の容疑で逮捕状が発行された。
というのは、シカゴのノース・ステイト通りから500ブロック離れたラテム準教授のアパートで、26歳のトレントン・コーネル=デュランロー(Trenton Cornell-Duranleau)が何十回も刺され死亡していた。
写真:左がラテム準教授、右がウォーレン。Terrence Antonio James / Chicago Tribune
出典:https://www.chicagotribune.com/news/local/breaking/ct-state-street-stabbing-20170802-story.html
殺されたコーネル=デュランロー(写真出典)はミシガン州で育ち2011年に美容師として州の免許を取得していた。
しかし、翌日(2017年7月28日)、ラテム準教授(42歳)は雲隠れし、ウォーレンと共にシカゴからカリフォルニアへ逃亡したことが明らかになった。
逃亡の途中で、不思議なことに、ラテム準教授とウォーレンはコーネル=デュランローの名前でレイクジェニバ公立図書館(Lake Geneva Public Library)へ1,000ドル、シカゴ・ヘルスセンター(Chicago health center)へ5,610ドルへ匿名で寄付をした。
警察によると、ラテム準教授は、「殺害に関与したことをお詫び申し上げます」と、家族や友人にビデオを送っていたという。
2017年8月4日、ラテム準教授(42歳)とウォーレンはカリフォルニアの警察に自首した。
ノースウェスタン大学(Northwestern University)は逮捕状が発行された1週間以内にラテム準教授を管理休暇にし、2017年8月4日付けで解雇した。
2017年8月18日、ラテム準教授(43歳)の身柄はカリフォルニアからシカゴに移送された。
ラテム準教授はシカゴのクック郡刑務所に収監されたが、「無罪」を主張している。
殺人事件の動機は?
白楽は研究に絡んだ殺人事件と思って調べたが、無関係だった。
ラテム準教授は、同性愛の三角関係というセックスファンタジー絡みで、性的乱交の後、3人で自殺しようとしたらしい。最初に2人でコーネル=デュランローを殺害し、次に自殺する計画だったと報じられている。
→ 2017年8月21日記事:Prosecutors: Ex-Northwestern professor killed boyfriend in a murder, sex, suicide fantasy plot, and other Chicago news | Bleader
★研究と私生活
ラテム準教授は、2008年1月に33歳で、ノースウェスタン大学(Northwestern University)の準教授になり、ヒトに肺炎と腺ペストを引き起こすグラム陰性菌・Yersinia pestisを研究していた。
以下に出版論文数を示すように、研究者として成功していた。
パブメド(PubMed)で、ウィンダム・ラテム(Wyndham Lathem)の論文を「Wyndham Lathem [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2018年の17年間の26論文がヒットした。
「Lathem WW[Author]」で検索すると、1998~2018の21年間の29論文がヒットした。
2017年3月5日―10日開催のゴードン会議「化学・生物兵器テロの防衛(Chemical and Biological Terrorism Defense)」で講演もしている。
●6.【論文数】
上記したので、省略。
ネカト事件ではないので、撤回論文を調べていない。
●7.【白楽の感想】
《1》大学院・研究初期
順調に研究キャリアを積んでいた大学・準教授も普通の人間である。性欲があって「当たり前だのクラッカー」(昭和のギャグです)。同性愛もあれば三角関係もある。人間はみな狂気である。1人の中に聖人と悪魔が共存している。
ただ、研究者はセクハラ事件がいくつも報道されるように、性的事件報道が多い印象はある。
研究者の性的事件は他の職業人に比べて多いのか? それとも、同じ頻度だが、被害者が訴える頻度が多いのか、あるいは、メディアが多く報道するため多いと感じるのか、ハッキリしない。
研究者の性的事件が他の職業人に比べ多いなら、その原因をしっかり考え、防止対策をするべきだ。
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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい(富国公正)。正直者が得する社会に!
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●8.【主要情報源】
① ウィキペディア英語版:Wyndham Lathem – Wikipedia
② 2017年8月2日のエリッサ・チェルニー(Elyssa Cherney)記者の「Chicago Tribune」記事::Arrest warrant issued for Northwestern professor in Near North Side stabbing death – Chicago Tribune
③ 2017年8月24日のアンナ・アズボリンスキー(Anna Azvolinsky)記者の「Scientist」記事:The Strange and Stranger Case of Wyndham Lathem | The Scientist Magazine®
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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