2019年7月20日掲載
ワンポイント:【長文注意】。高等教育界(含・学術界)の性不正(sexual misconduct)問題は、2017年10月以降、米国発だが、世界の高等教育界(含・学術界)を席巻している。「3‐1‐1 性不正の分類・規則」で性不正全体の規則を解説したが、本記事では「セクハラ」を中心に解説する。気持ちとしては、「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」をとことん解説したい。
【追記】
・2020年6月25日の「Nature」記事:NIH’s new sexual-harassment rules are still too weak, say critics
・2020年6月19日の「Science」記事:Combating sexual harassment | Science
・2019年12月13日の「Science」記事:NIHはセクハラに急速に対応し始めた:NIH director pledges to move quickly on recommendations to stop sexual harassment | Science | AAAS
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目次(赤字をクリックすると内部リンク先に飛びます)
1.はじめに
2.日本
《1》法律
《2》文部科学省
《3》厚生労働省
《4》研究助成機関
《5》学士院・日本学術会議
《6》大学
3.米国
《1》握手・ハグ・チークキス・身体を触る
《2》法律
《3》科学庁(NSF)
《4》NIH
《5》全米アカデミーズ
《6》大学
4.英国・オランダ
★英国:ダンディー大学(University of Dundee)
★オランダ:ライデン大学(Leiden University)
5.白楽の感想
6.コメント
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●1.【はじめに】
「3‐1‐1 性不正の分類・規則」で述べたように、セクハラ(Sexual Harassment)は性不正(sexual misconduct)の1つである。
セクハラ(Sexual Harassment、写真出典)は、「相手が不快に思う性的な言動、及び、性的な関係を強要し断られると相手を不利益にする言動」である。
日本では、「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」加害者はかつては法的処分も機関処分もされなかった。2019年現在、多くの場合、法的処分はされないが、機関処分に科されるようになった。そして、悪質度が高いと法的処分が科される。
本記事では「性不正(sexual misconduct)」の1つである「セクハラ」に焦点を合わせ、日本と世界(米国が主)の高等教育界(含・学術界)のセクハラ規則・言動例を調べた。特に、どんな言動が「セクハラ」に該当するのかの言動例を具体的に例示した。どんな処罰が科されるのかも知りたかったが、情報は少なかった。得られた情報だけを加えた。
●2.【日本】
●《1》法律
日本にはセクハラという言葉を使いこれを「直接」禁じた法律はない。従って、当然ながら「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」を「直接」禁じた法律もない。
→ 出典:●企業における人権研修シリーズ。 セクシュアル・ハラスメント 法務省
ただ、検討はされている。
→ 2019年4月10日記事:立憲民主党でとりまとめたセクハラ禁止法案、パワハラ規制法案など3法案を野党4会派で衆院に提出 – 立憲民主党
【提出法案】
セクハラ禁止法案-1概要.pdf
セクハラ禁止法案-2法案.pdf
セクハラ規制・男女雇用機会均等法改正案-1概要.pdf
セクハラ規制・男女雇用機会均等法改正案-2要綱.pdf
セクハラ規制・男女雇用機会均等法改正案-3法案.pdf
セクハラ規制・男女雇用機会均等法改正案-4新旧.pdf
パワハラ規制法案-1概要.pdf
パワハラ規制法案-2要綱.pdf
パワハラ規制法案-3法案.pdf
パワハラ規制法案-4新旧.pdf
★男女雇用機会均等法
1997年、男女雇用機会均等法が改正され、社員の募集、採用、昇進などで女性差別を禁止するとともに、女性に対するセクハラ規定が整備された。
→ 男女雇用機会均等法(正式名称:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)
男女雇用機会均等法第11条は、事業主に対して職場におけるセクハラ対策を義務付けた。
第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2007年4月1日、改正男女雇用機会均等法が施行され、セクハラ規定を男性労働者にも適用し、男女双方への性による差別的取り扱いを禁止した。
★人事院
人事院規則 10-10 及び運用通知にセクハラの条項がある。
→ 人事院規則10―10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)の運用について(平成10年11月13日職福―442)
内容を特記することもないので、省略。
★刑事罰
男女雇用機会均等法ではセクハラ加害者への罰則が曖昧である。つまり、セクハラ加害者に刑事罰は科されない。
ただ、日本では、「性的暴行(Sexual Assault)」をセクハラの範疇にしばしば入れている。この「性的暴行(Sexual Assault)」は刑事罰(例:強制わいせつ罪)が科される。
セクハラに「性的暴行(Sexual Assault)」を含める混用は、「3‐1‐1 性不正の分類・規則」で述べたように、米国ではおおむね間違いであるが、米国でもセクハラの範疇に入れる機関もある。
白楽はセクハラを「性的暴行(Sexual Assault)」とは異なる分類として扱いたいのだが、現実では混用している機関・規則があるので、仕方がない。ある程度混用する。将来はスッキリして欲しい。
セクハラの刑事罰を以下に抜粋した。見てわかるように「性的暴行(Sexual Assault)」も含まれている(出典:2019年4月:セクシュアル・ハラスメント対策の現状と課題(男女共同参画会議・女性に対する暴力に関する専門調査会))。
「刑法」(明治 40 年4月 24 日法律第 45 号)に規定された犯罪について見ると、口頭による場合でも、公然性の要件を充足する限りで名誉毀損罪(230条)や侮辱罪(231条)を構成することがありうるし、公然に行われた場合でなくても一定の場合には、脅迫罪(222条)や強要罪ないし強要未遂罪(223条)にあたるケースを想定できる。
身体的接触をともなう事例であれば、その程度により、暴行罪(208 条)や強制わいせつ罪(176 条)、強制性交等罪(177条)等に該当し得る。
特別法の犯罪に目を向けると、セクハラ行為が「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(平成 12 年 5 月 24 日法律第 81 号)にいう「つきまとい等」を反復するものであれば「ストーカー行為」にあたり、同法の直罰規定による処罰の対象となる(同法 18条・2 条 3 項)。さらに、各都道府県におけるいわゆる迷惑行為防止条例は、性的な迷惑行為を相当に幅広く処罰する規定を設けている。
★機関処分
セクハラ行為は機関処分が科される。
「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」に限定していないが、機関処分例を以下にあげる。(出典:言葉のセクハラを理由に出勤停止、降格させることの適法性について最高裁判決の判例|咲くやこの花法律事務所)
- 男性管理職が、女性従業員に対して、性的な冗談や下ネタなどの「言葉によるセクハラ」を続けると
→ 出勤停止、降格処分 - 「言葉によるセクハラ」で懲戒処分を受けた後もセクハラ発言を繰り返した場合
→ 出勤停止、懲戒解雇 - 胸を触った、無理やりキスをしたなどの、強制わいせつ的なセクハラ行為の場合(「性的暴行(Sexual Assault)」です)
→ 懲戒解雇
●《2》文部科学省
★セクハラ防止規程
文部科学省(写真出典)のセクハラ規則は、1999年3月30日の「文部省におけるセクシャル・ハラスメントの防止等に関する規程(文部省訓令第4号)」が現在有効な規則である。
どういうわけか、文部科学省のウェブサイトにこのセクハラ規程が見つからない。それで、以下の条文は大阪教育法研究会のサイトから引用した。 → ココ、(保存版)
第二条(定義)
一 セクシュアル・ハラスメント
職員が他の職員、学生等及び関係者を不快にさせる性的な言動並びに学生等及び関係者が職員を不快にさせる性的な言動
二 セクシャル・ハラスメントに起因する問題
セクシャル・ハラスメントのため職員の就労上又は学生等の修学上の環境が害されること及びセクシュアル・ハラスメントへの対応に起因して職員が就労上の又は学生等が修学上の不利益を受けること
★セクハラの具体例
上記の「文部省におけるセクシャル・ハラスメントの防止等に関する規程(文部省訓令第4号)」別紙1の「指針」に、具体的なセクハラ行為の言動例が記載されている。言動例はたくさん書いてあって、長いのだが以下に全部羅列した。ただ、標題が「セクシュアル・ハラスメントになり得る言動」とあり、「セクハラ行為」と断言していない。誰がどう判断するのだろう?
【セクシュアル・ハラスメントになり得る言動】
セクシュアル・ハラスメントになり得る言動として、例えば、次のようなものがある。
(1) 職場内外で起きやすいもの
① 性的な内容の発言関係
性的な関心、欲求に基づくもの
・スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること
・聞くに耐えない卑猥な冗談を交わすこと
・体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」、「もう更年期か」などと言うこと
・性的な経験や性生活について質問すること
・性的な風評を流したり、性的なからかいの対象とすること
性別により差別しようという意識等に基づくもの
・「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」、「女性は職場の花でありさえすればいい」、「女は学問などしなくても良い」などと発言すること
・成人に対して、「男の子」、「女の子」、「僕、坊や、お嬢さん」、「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること
② 性的な行動関係
性的な関心、欲求に基づくもの
・ヌードポスター等を職場に貼ること
・雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること
・職場のパソコンのディスプレイに猥褻な画像を表示すること
・身体を執拗に眺め回すこと
・食事やデートにしつこく誘うこと
・性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙、Eメールを送りつけること
・身体に不必要に接触すること → 米国では「2.性的暴行」の場合もある
・不必要な個人指導を行うこと
・浴室や更衣室等をのぞき見すること → 米国では「4. 性搾取」
性別により差別しようとする意識等に基づくもの
・女性であるというだけでお茶くみ、掃除、私用等を強要すること
・女性であるというだけの理由で仕事や研究上の実績等を不当に低く評価すること
(2) 主に職場外において起こるもの
性的な関心、欲求に基づくもの
・性的な関係を強要すること
・職場やゼミナールの旅行の宴会の際に浴衣に着替えることを強要すること
・出張への同行を強要したり、出張先で不必要に自室に呼ぶこと
・自宅までの送迎を強要すること
・住居等まで付け回すこと → 米国では「5.ストーキング」
性別により差別しようとする意識等に基づくもの
・カラオケでのデュエットを強要すること
・酒席で、上司、指導教官等のそばに座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要すること
★処罰
文部科学省のセクハラ規則には、次の処罰が記載されている。
4 懲戒処分
セクシュアル・ハラスメントの態様等によっては信用失墜行為、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行等に該当して、懲戒処分に付されることがあることを十分認識すること。
「信用失墜行為」は懲戒処分らしいが、該当する法律が見つからなかった(ゴメン)。
「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行等」は、国家公務員法第八十二条で、免職、停職、減給又は戒告である。処分は幅広い。
ということで、「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」行為者は機関処分される。
ただ、文部科学省はセクハラと「性的暴行(Sexual Assault)」を混用している。例えば、「5.教育職員のわいせつ行為等に係る懲戒処分等事案の具体的状況について」では、以下のようにセクハラを「わいせつ行為等」(つまり、=「性的暴行(Sexual Assault)」)にしている。
(注)本調査における「わいせつ行為等」の定義
「わいせつ行為等」とは、わいせつ行為及びセクシュアル・ハラスメントをいう。
白楽のデータで機関処分例を書くと、セクハラ(含・性的暴行(Sexual Assault))での処分は停職数か月が多く、性交があれば解雇が多い。→ 日本のネカト・セクハラ・アカハラ・パワハラ・クログレイ事件一覧 | 研究者倫理
なお、文部科学省は「セクシュアル・ハラスメントになり得る言動」を書いてるのだから、それぞれの言動はそれぞれどのような処罰を受けるかを示してくれると、加害者・被害者・判定者にわかりやすく、かつ公明正大である。しかし、どういうわけか、そのようには示してくれていない。
●《3》厚生労働省
厚生労働省の指針ではセクハラを次の2つのタイプに分けている。全部引用した。
→ 出典:●企業における人権研修シリーズ。 セクシュアル・ハラスメント
★対価型セクハラ
職務上の地位を利用して性的な関係を強要し、それを拒否した人に対し減給、降格などの不利益を負わせる行為。
1. 事業主が性的な関係を要求したが拒否されたので解雇する
2. 人事考課などを条件に性的な関係を求める
3. 職場内での性的な発言に対し抗議した者を配置転換する
4. 学校で教師などの立場を利用し学生に性的関係を求める
5. 性的な好みで雇用上の待遇に差をつける
★環境型セクハラ
性的な関係は要求しないものの、職場内での性的な言動により働く人たちを不快にさせ、職場環境を損なう行為。
● 性的な話題をしばしば口にする
● 恋愛経験を執ように尋ねる
● 宴会で男性に裸踊りを強要する
● 特に用事もないのに執ようにメールを送る → 米国では「5.ストーキング」
● 私生活に関する噂などを意図的に流す
厚生労働省のセクハラの具体例は当然ながら文部科学省とよく似ている。
★処罰
厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策マニュアル」(49頁)に職場でのセクハラ言動と処罰の例が示されている。以下、19頁目を引用する。 → 2017年10月24日:職場におけるハラスメント対策マニュアル
C社の処罰は「けん責」~「懲戒解雇」と幅広い。
D社の処罰はC社と同じで、「けん責」~「懲戒解雇」と幅広い。
このように、セクハラの言動に対応した処罰の程度を示してあると、加害者・被害者・判定者にわかりやすく、かつ公明正大である。
●《4》研究助成機関
★日本学術振興会
日本学術振興会はセクハラに関する規則・注意・警告などの情報は1つもない。セクハラだけでなく性不正に関する記載が一切ない。一方、ネカトに関してはトップページに「研究公正」という見出しがある。ネカトを重要視しているが、セクハラは無視である。
→ 日本学術振興会
繰り返すが、「研究者はセクハラしないように。セクハラすると研究費を停止します」という警告はない。
★科学技術振興機構
科学技術振興機構も日本学術振興会と同じで、セクハラ・性不正に関する規則・注意・警告などの情報は1つもない。
→ 国立研究開発法人 科学技術振興機構
● 《5》学士院・日本学術会議
全米アカデミーズに相当する日本の機関は学士院なのか日本学術会議なのか、よくわからない。両方とも調べよう。
★学士院(Japan Academy)
ウィキペディアによると学士院は以下のようである。
日本の国立アカデミーであり、文部科学省の特別の機関である。外国のアカデミーは研究活動も行っているが、日本学士院では内部に「今更、研究をするのはいかがなものか」という考えが多く、研究機関としての面は他国に比べ薄い「殿堂」的機関と化している。出典:日本学士院 – Wikipedia
学士院には、セクハラ・性不正に関する規則・注意・警告などの情報は1つもない。会員の選考・除名にも無関係である。
→ 法及び諸規則 | 日本学士院
★日本学術会議(Science Council of Japan)
ウィキペディアによると日本学術会議は以下のようである。
日本学術会議(Science Council of Japan)は、日本の国立アカデミーであり、内閣府の特別の機関の一つである。日本の科学者の内外に対する代表機関であり、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする(日本学術会議法第2条)。出典:日本学術会議 – Wikipedia
日本学術会議には、セクハラ・性不正に関する規則・注意・警告などの情報は1つもない。会員の選考・除名にも無関係である。
ただ、日本学術会議のサイトで「セクハラ」を検索すると、内閣府と共通の検索になるが、44件がヒットした。
→ 内閣府共通検索 – 内閣府 – セクシュアル・ハラスメント
その中で、2019年6月25日(記事は2018年9月3日執筆?)の「キャンパス・セクシュアル・ハラスメントの実態と課題 北仲 千里」が、「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」に該当する。しかし、これは日本学術会議としてのガイドラインではなく、北仲千里(広島大学・准教授、写真出典)のメモのようである。
●《6》大学
日本の大学の規則・ガイドラインは「文部科学省と同じ」だろうが、教職員と学部生・院生にとって所属大学の規則・ガイドラインは身近で重要である。
全国の大学を調べていない。関東の国立大学として東京大学、関西の私立大学として立命館大学を選んだ。他の大学は解説しないが、少し加えた。
東京大学と立命館大学を調べた後に気が付いたが、「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント・全国ネットワーク」という組織がある。そのサイトに資料が少しあった。
キャンパス・セクシュアル・全国ネットワークは1997年に結成された,教育の場におけるセクシュアル・ハラスメント問題の解決に寄与するために,教育機関,学術諸団体,各種運動体,司法関係者,カウンセリング機関などとの連携を通じて,情報交換,意識啓発,問題解決のための諸活動,被害者の支援などを行うネットワークです。(出典:キャンパス・セクシュアル・ハラスメント・全国ネットワーク)
事務局を担当しているのは日本学術会議の項で書いた北仲千里(広島大学・准教授、写真出典)である。
北仲千里が日本の大学でのセクハラを解説している文章もある。
→ 2018年(?)の記事:キャンパスハラスメント 大学の実態:先進的な対応事例、法律観点も交えて|全国大学生協連の研究会報告
★東京大学
東京大学の規則は以下のようだ。
出典:04 セクハラ防止ガイドライン(2000年制定、2017年一部改正)
セクシュアルハラスメントになりうる言動
(1)相手が望まない性的誘いかけをしたり、性的関心に基づいた態度を相手に要求したりすること。
- 相手が断りにくい状況で執拗に交際の働きかけをしたり、性的行為に誘ったりすること。(「相手に対する好意から」 は正当な理由にはならない。)
- 電子メール、SNS 等を使って、性的な誘いを執拗に行うこと。 → 米国では「5.ストーキング」
- ストーカー的な行為により、相手につきまとうこと。 → 米国では「5.ストーキング」
- 性的動機から、相手に特別な服装や振舞いを要求すること。
- 相手が希望しないのに写真撮影をすること。 → これセクハラ?
- むやみに相手の身体にさわること。 → 米国では「2.性的暴行」の場合もある
(2)修学上、就業上の利益・不利益を与え得る関係を利用して性的な誘いかけをすること。
- 研究上、就業上の特別指導と称して、相手の望まない性的誘いかけをすること。
- 単位の認定、進学、卒業、進路の決定等に関わる立場を利用して性的誘いかけをすること。
- 正職員の上司が、有期雇用職員に対して、「今後のことについて話でも」と食事の誘いを執拗に行うこと。
(3) 性的要求への服従または拒否を理由に、修学上、就業上の利益・不利益を及ぼすこと。
- 自分の好意的誘いに応じなかったことで、学生に対して指導を放棄したり、排除をしたり、就職等に不利な扱いをすること。
- 自分の要求に応じなかったことを理由に、部下に対して仕事を与えない、評価を下げるなど、就業上、不利な扱いをすること。
- 自分の好意的感情から、特定の人を明らかに特別扱いすること。
(4) 性的言動や掲示等により、本人又は他の人に不快感を与えるような環境を作り出すこと。
- 相手の身体の特徴や性的指向・性自認等に関する言葉による中傷やからかいを行うこと。
- 不快感を与える性的な冗談を言うこと。
不快感を与える性的ポスターや写真の掲示、PC での画像・動画の視聴を強要すること。 - 電子メールや SNS を使うなど、当人の知らないところで性的な噂を広めたりすること。
- 留学生など外国人に日本語での性的な言葉を意図的に違う意味で教え、他の人の前で使うように仕向け、恥をかかせたりすること。
また、ハラスメント相談所のサイトでは次のような具体例が示されている。
→ 相談できること | 東京大学ハラスメント相談所
「頑張ったお祝いに」と自分にだけプレゼントを贈られて困った
指導や業務の連絡メールに「今日2人で食事でもどう?」と書かれている
任意参加の飲み会に「女性メンバーは少ないので参加必須です」とプレッシャーをかけられる
結婚や妊娠について「困りましたね」と言われた
体型や容姿についてからかわれた
待ち伏せされて「一緒に帰ろう」と言われる
交際経験を話すよう強要される
一方的な思い込みで頻繁にメールが来たり、SNSに書き込まれたりする
交際相手から行動やメールなどをチェックされる
セクシャルマイノリティの人たちに配慮がない環境にあり、差別的発言などを見聞きする
【処罰】
セクハラの言動に対応した処罰の程度は示されていない。
★立命館大学
立命館大学は「セクハラ」「アカハラ」「パワハラ」「その他のハラスメント」とハラスメントをまとめて扱っているウェブサイトがある → 立命館大学ハラスメント防止の取り組み
「ハラスメント相談員」もいるが、専任ではない。各学部・研究科から選出された教員、各学部事務室、学生オフィス、保健センター(保健課)、給与厚生課等の事務職員を、「ハラスメント相談員」としている。(出典:ハラスメント相談員について(規程 第 14 条))
セクハラは次のように定義し、具体的に説明している。長いけど引用しよう(出典:2.セクシュアル・ハラスメント)。
(1)セクシュアル・ハラスメントの定義 (規程 第 2 条第 1 項第 1 号)
規程では、セクシュアル・ハラスメントを「相手の意に反する性的な言動により、当該相手に対し、苦痛もしくは不快感を与え、または不利益な処遇を与える行為」と定めています。
性的(広義で用います)な言動により、相手に不快や屈辱感、精神的苦痛を与えたり、修学環境や就労環境等に支障を生じさせることや、相手がその言動に拒否や抵抗をしたことに対して、相手の修学環境や就労環境等に不利益な処遇を与えたりすることをいいます。
セクシュアル・ハラスメントは上下関係、地位、また性別を問わず行為者となり得ます。
(2)セクシュアル・ハラスメントの類型
1)相手が望まない性的な誘い、性的行為の強制
相手に、執拗にまたは強制的に性的な誘いを行うこと、正当な理由なく身体に触ること、ストーカー行為などを行うこと。
2)対価型セクシュアル・ハラスメント
相手に対して、性的な内容の発言や行動を行ったり、相手の望まない性的な要求や誘いをし、それに服従または拒否、抵抗したことと引替えに、人事や修学上、就労上の何らかの利益もしくは不利益な取扱いを行ったり、ほのめかしたりする言動を行うこと。
3)環境型セクシュアル・ハラスメント
教育・研究、修学、就労の場での性的な言動によって、相手の教育・研究、修学、就労環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど相手の教育・研究、修学、就労環境が損なわれること。
4)性別により差別しようとする意識等にもとづくもの
立命館大学または立命館附属校の学生等や教職員等を、性別によって差別しようとする意識などにもとづく言動を行うこと。
(3)性自認や性的指向にもとづくセクシュアル・ハラスメント
セクシュアル・ハラスメントには、同性に対するものも含まれるほか、ハラスメントの被害を受けたと感じる者の性自認(自分の性をどのように認識しているのか、どのような性のアイデンティティ(性同一性)を自分の感覚として持っているか)や性的指向(人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのか)にかかわらず、これらの者に対するセクシュアル・ハラスメントも含まれます。(「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(最終改正平成 28 年 8 月 2 日 厚生労働省告示 第 314 号))
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)などの性的少数者に対する侮辱的な発言、性的少数者であることのみを理由として性格、能力、行動などに否定的言動を行うことはセクシュアル・ハラスメントに該当します。
セクシャル・ハラスメントとなりうる言動例(出典:Ⅶ ハラスメントとなりうる言動例)
1.性的な内容の発言
(1) 性的な関心、欲求にもとづくもの
① スリーサイズを聞くことや「ちょっと太ったんじゃない」、「ちょっと痩せたんじゃない」など身体的特徴を話題にすること
② 卑猥な冗談を交わすこと
③ 体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」、「もう更年期か」などということ
④ 性的な経験や性生活について質問すること
⑤ 性的な噂を立てたり、性的なからかいの対象とすること
⑥ 個人的な性的体験談を話すこと
2.性的な行動
(1) 性的な関心、欲求にもとづくもの
① 性的な関係を強要すること
② 身体に不必要に接触すること
③ 食事やデートにしつこく誘うこと
④ 身体を執拗に眺め回すこと
⑤ 性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・メール・SNS を送ること
⑥ 雑誌等の猥褻な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること
⑦ 猥褻な写真等を PC の壁紙にすること
(2) 性別により差別しようとする意識等にもとづくもの
① カラオケでのデュエットを強要すること
② 酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やチークダンスを強要すること
【処罰】
(処分の勧告)
第12 条 委員会は、調査の対応において認定したハラスメントが、「学校法人立命館懲戒処分の指針(2012年 10 月 17 日常任理事会)」または立命館大学学生懲戒規程もしくは立命館附属校がそれぞれ定める懲戒処分に関する基準に照らし、懲戒処分が相当であると認められる程度に重大であるときは、当該相手方に対する懲戒につき権限を有する者に対し、懲戒処分に係る手続を検討すべき旨を勧告する(以下「処分の勧告」という。)。
処罰は曖昧である。セクハラの言動に対応した処罰の程度は示されていない。
解説を省くが、徳島大学はサイトにマンガ(出典は以下)もあり、よくできている。 → ハラスメントの防止 | 国立大学法人 徳島大学
というか、日本の多くの大学はセクハラ防止のサイトを設けていて、言動も具体的に示している。また、被害にあった時の相談窓口も示している。
●3.【米国】
米国の「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」の言動例・処罰を日本と対比しながら、記述するが、その前に気になることを最初に論じたい。
日本では挨拶の時に「握手・ハグ・チークキス・身体を触る」のは一般的ではない。しかし、米国やフランスをはじめ、挨拶の時に相手の身体と接触する行為が社会に許容されている国・集団は珍しくない。
また、国・集団によっては珍しい挨拶方法もある。例えば、ニュージーランドのマオリ族の伝統的な挨拶は「ホンギ(hongi)」で、額と鼻を相手にくっつける。英王室のメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)もニュージーランドで行なった。
「ホンギ(hongi)」は特殊だが、「握手・ハグ・チークキス・身体を触る」のはセクハラなのか、セクハラではないのか? 各国の事情を調べるのは大変だが、米国だけでも理解しておきたい。
●《1》握手・ハグ・チークキス・身体を触る
日本のセクハラ行為の言動例に登場してこなかったが、挨拶の時、あるいは親しみの感情表現として、「握手・ハグ・チークキス・身体を触る」のはセクハラなのかどうか? 考えてみたい。
欧米でよく見かける「挨拶の時に握手(写真出典)」「挨拶の時のハグ(写真出典)」「挨拶の時にチークキス(写真出典)」は、日本ではおおむねセクハラだろう。握手は微妙だが、50歳の男性教授が20歳の女性学部生にハグやチークキスを求めたり、実行すれば、セクハラだろう。
しかし、人と人が出会った挨拶の時、米国では握手とハグが一般的で、フランスは握手とチークキスが一般的だそうだ。(出典:アメリカ人でも戸惑う「チークキス」ってなに?)
米国でこれらの行為は挨拶であって、相手も笑顔(と思える感じ)で応じるので、セクハラではないと考えたい。しかし、カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)のフランシスコ・アヤラ教授(Francisco Ayala)(米)の場合、ハグやチークキスはセクハラと認定された。
→ フランシスコ・アヤラ(Francisco Ayala) | 研究者倫理
チークキスやハグに比べれば、接触度合いは少ないが、写真のように「肩に不必要に接触する」のはセクハラなのだろうか? 日本の文部科学省は、「身体に不必要に接触すること」をセクハラと規定しているので、セクハラになる。
では、米国ではセクハラだろうか?
★ハグ:状況・仕方に依存
英語では「hugger(ハグする人)」と「huggee(ハグされる人)」という言葉があるように、ハグは対等ではなくする人・される人の関係である。
米国では毎年1月21日は「ハグの日(National Hugging Day)」だが、白楽は在米中に1月21日だからと言ってハグに遭遇した経験はない。1986年に始まったとある。米国の高等教育界(含・学術界)でハグの日がどれほど受け入れられているか知らない。しかし。このような「ハグの日」があることは、米国ではハグ行為は基本的に「良い習慣」と思われているに違いない。
しかし、「教師が生徒をハグして問題ないか?」などの質問が英語サイトにあり、問題は微妙そうだ。
→ Can a teacher hug their students? – Quora
「高等教育界(含・学術界)でのハグ」がセクハラなのかどうか直接論じた論文が見つからなかったので、職場でのハグについて調べた。ハグの注意点をまとめると次の3点になった。
→ 2014年1月21日記事:Is It OK to Hug People at Work?
- 相手の気持ち。ハグをする相手が、ハグされることを不快に感じていないか読み取る。不快に感じているのを無理やりハグすればセクハラになる。
- 上下関係。上司は「ハグの日」に参加すべきではない。多くの従業員は上司のハグを拒否しにくい。ハグする上司はセクハラ訴訟の主要なターゲットになる。
これを、高等教育界(含・学術界)に置き換えると、教員が学部制・院生・ポスドク・職員・部下の教員をハグすれば、セクハラになる可能性は高い。 - 不適切なハグ。きつすぎるハグ、長すぎるハグ(2秒以上続くハグ)などはセクハラになる。つまり、性的に感じられる可能性のある親密な接触、情熱的なハグはセクハラになる。相手の首を息を吹きかける、相手の胸を強く押す、相手の下半身と接触するハグはセクハラになる。正面からハグした時、相手の背中を手で軽く叩くのは良いが、腰、尻をなでるのはセクハラになる。
★まとめ
英国の新聞は、握手もセクハラになる可能性があると述べている。
→ 2019年4月25日記事:Handshakes could be banned at work to avoid sexual harassment ‘grey area’ – Mirror Online
米国では、基本的に他人の身体に触るすべての行為はセクハラの可能性がある。握手でさえ無理に要求すべきではない。
→ 2017年10月31日記事:Workplace touching: when it’s OK, and when it’s harassment
結局、米国の高等教育界(含・学術界)で教員が学部生・院生・ポスドク・職員・部下の教員に握手・ハグ・チークキス・身体を触る(肩をポンポンと叩く、手を握るなど)はセクハラになる(可能性がある、または高い)。
●《2》法律
★教育改正法第9編(タイトル・ナイン、Title IX)
「3‐1‐1 性不正の分類・規則」で述べたように、米国の教育界の性不正はタイトル・ナイン(Title IX)で規制されている。セクハラは性不正の1つなので、タイトル・ナイン(Title IX)が法律である。
タイトル・ナイン(Title IX)絡みの高等教育界(含・学術界)のセクハラ規則・言動例は、「大学」の節で記述するので、ここでは解説しない。
そもそも、教育省はタイトル・ナイン(Title IX)のセクハラ規則・言動例を細かく記載していない。ただ、質問・回答形式で2点示しているガイダンスがあったので、それを紹介しよう。
→ 2001年1月19日:Revised Sexual Harassment Guidance
質問1:大学の創造的文章執筆クラスで、教授の必須読書リストに、女性を服従的で卑劣な役割に描いたシーンや性行為を露骨に記述した古典文学があった。教授は、学生に自分の経験をレポートに書くことを宿題に課した。宿題で提出したレポートの文章が授業で読まれた。学生の提出したレポートのいくつかは女性を性的に軽蔑的に描いた内容があった。何人かの女性学生がそのクラスの教材と教室でのディスカッションは耐え難い不快な環境だと学部長に訴えた。大学はどう対処すべきか?
回答:この例における学問的言説は、個人にとって不快であっても、アメリカ合衆国憲法修正第1条(First Amendment)が保障する範囲の言論の自由です。タイトルIXは、大学がその教授を処分したり、読書リストや関連するクラスディスカッションを検閲することを要求しません。
質問2:男性の生徒たち(小中高生)のグループが、学校に向かうスクール・バス車内で、ある女生徒の身体について露骨な性的な発言をしたり、性行為をしている絵を回したり、バスを降りてから彼女の家まで追いかけたりした。男生徒たちがバスの中で女生徒に敵対的な環境を作り出し、女生徒が不安に感じていると、女生徒とその両親が校長に訴えた。学校はどう対処すべきか?
回答:特定の生徒または生徒のグループを対象とした脅迫的行為は、言論の自由は保障されるべきだとしても、アメリカ合衆国憲法修正第1条(First Amendment)では保護していません。学校は、嫌がらせを止め、また、将来の嫌がらせを防ぐために、必要に応じ、懲戒処分を含め、迅速かつ効果的な行動を取らなければなりません。
★雇用機会均等委員会(EEOC、U.S. Equal Employment Opportunity Commission):米国の政府機関 → Sexual Harassment
企業などの職場でのセクハラ案件は雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission)が米国政府の対応機関である。高等教育界(含・学術界)のセクハラ案件にも対処する。従って、大学教員や院生が所属大学にセクハラを訴えた時、大学が適切な対処をしないと、事件は雇用機会均等委員会にもち込まれる、あるいは裁判所に持ち込まれることになる。
雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission)はセクハラに対して次のように解説している。
人(求職者または従業員)を性別によって、嫌がらせ(harassment)するのは違法です。嫌がらせには、セクハラ、歓迎されない口説き、性的嗜好の要求、および性に関する口頭または物理的嫌がらせがあります。
ただし、嫌がらせは性的である必要はなく、人の性についての不快な発言もあります。例えば、女性全般について不快な発言をし、女性を嫌がらせすることは違法です。
被害者と嫌がらせ者は、女性でも男性でもあり得ます。被害者と嫌がらせ者は同性ということもあり得ます。
法律では、単純にからかうこと、思い付きのコメント、余り深刻ではない単発の発言を禁止していませんが、嫌がらせが頻繁または厳しすぎて不快な職場環境になる、または不利な雇用決定(被害者が解雇または降格された場合など)につながる場合は違法です。
嫌がらせ者は、被害者の上司、別の地域の上司、同僚、またはクライアントや顧客などです。
●《3》科学庁(NSF)
科学庁(NSF:National Science Foundation)は、性不正に関するサイトを立ち上げた。
→ Office of Diversity and Inclusion (ODI) – Sexual Harassment | NSF – National Science Foundation
基本的には、教育改正法第9編(タイトル・ナイン、Title IX)を遵守している。
2018年2月8日、科学庁(NSF)は、研究助成を受けた大学・研究所、研究現場、助成した研究、助成した教育でのセクハラ、及びすべてのハラスメントを容認しない、と宣言した。
→ ODI Bulletin No. 18-01: Sexual Harassment Reporting (odi1801)
科学庁(NSF)のセクハラの定義は以下のようだ。
大学・研究所の規則、法令、規制、行政命令で定められているように、性に関連した嫌がらせ(gender or sex-based harassment)、歓迎されない性的注意(unwelcome sexual attention)、性交の強制(sexual coercion)、敵対的な環境の創出をセクハラと定義するが、これらの行為に限定されない。
「3‐1‐1 性不正の分類・規則」で示したように、上記の科学庁(NSF)のセクハラの定義は、厳密な意味のセクハラだけでなく、本来はセクハラに含めない性的暴行(Sexual Assault)を含んでいる。
ただ、セクハラの具体的な言動例を科学庁(NSF)としては示していない。各大学・研究所が教育改正法第9編(タイトル・ナイン、Title IX)に方針に基づいた規則を設け、セクハラの調査を行ない、処罰を科すことを尊重する姿勢である。
2018年9月18日、科学庁(NSF)のフランス・コルドバ長官(France Córdova、写真出典)は、研究者がセクハラで有罪、または、セクハラの発見・告発に関連して研究者が辞任した場合、大学・研究機関は科学庁(NSF)に報告する事を義務とした。
研究代表者へ交付していた研究費は、他の教員が研究プロジェクトを引き継ぐことができることを大学が保証すれば、科学庁(NSF)は、研究費を停止しない。
これらの新しい要件は、2018年10月21日に発効する助成金申請から適用する。
NSF announces new measures to protect research community from harassment | NSF – National Science Foundation
→ 2018 年9月19日のジェフリー・マービス(Jeffrey Mervis)記者の「Science」記事:NSF spells out new sexual harassment policy: Talk to us | Science | AAAS
★科学界セクハラ防止法(Combating Sexual Harassment in Science Act, 2019)
科学庁(NSF)はセクハラへの対処が上手だった。
今年(2019年)、理工学(STEM:science, technology, engineering, and mathematics)分野のセクハラの原因と影響をより深く理解するために年間1,740万ドル(約17億円)の研究費を科学庁(NSF)に新設する法案が議会を通過した。科学界セクハラ防止法(Combating Sexual Harassment in Science Act, 2019)である。 → 2019年6月20日:H.R.36 – 116th Congress (2019-2020): Combating Sexual Harassment in Science Act of 2019 | Congress.gov | Library of Congress
→ 法案全文: Combating Sexual Harassment in Science Act of 2019
この法案は米国の高等教育界(含・学術界)にセクハラが蔓延していて、理工学分野で優れた研究者が失われるという全米アカデミーズの報告書に対応し、その解決を目指した法案である。全米アカデミーズのことは後述する。
●《4》NIH
NIHはセクハラ対策では科学庁(NSF)に出遅れた。
→ 参考:2019年6月13日のジョセリン・カイザー(Jocelyn Kaiser)記者の「Science」記事:NIH should ask both institutions and investigators to report sexual harassment findings, advisory group says | Science | AAAS
2019年2月、NIH所長のフランシス・コリンズ(Francis Collins、写真出典)は、所長諮問委員会(Advisory Committee to the Director:ACD)に、「NIHとしてセクハラにどう対処すべきか」を諮問した。
2019年6月13日、所長諮問委員会は4か月の討論の結果をまとめて、コリンズ所長に報告した。
コリンズ所長は、所長諮問委員会(ACD)の「勧告が非常に大胆であることを嬉しく思います」と歓迎した。
NIHとしては、セクハラを連邦政府の「研究不正(research misconduct)」の定義(ねつ造・改ざん・盗用)に加えないが、同じレベルの深刻な不正として扱うとし、大学・研究機関及び研究者に「研究者の不正(含・セクハラ)」事件を報告するよう以下の通達をした。
1番目。大学・研究機関は「研究者の不正(含・セクハラ)」を調査し始めたら、1週間以内にNIHに通知することを義務とした。
2番目。助成金申請書および進捗報告書では、研究代表者は大学・研究機関の職業行動規則に違反していないかったことを「証明」する。 具体的には、過去7年以内に申請者はセクハラやその他の不正行為をしたことがあるかと質問している。
3番目。NIHには、出産などの理由で中退した研究者が、研究を再開するのを助力する助成金プログラムがある。セクハラ被害者はこの助成金枠、つまり、「失われた才能を取り戻す」助成金枠で、応募するよう奨励する。
4番目。NIHは、大学や大学教員ではなく、個々の研修生(院生・ポスドク)に直接、より多くの研究費を授与する。その理由は、研修生(院生・ポスドク)がより経済的に強くなれば、大学教員対研修生(院生・ポスドク)の関係で研修生(院生・ポスドク)はより大きな力を持ち、大学教員による嫌がらせ行為(harassing behavior)を報告または抵抗しやすくなる。
所長諮問委員会(ACD)の何人かの委員は、研究代表者に課した自己申告期限の過去7年間は短かすぎると主張した。しかし、共同委員長でNIH科学政策担当副理事のキャリー・ウォリネッツ(Carrie Wolinetz、写真出典)は、研究者に「終身研究不正者」の焼き印を押すことを、委員会は望んでいなかったので過去7年間にしたと説明した。というのは、研究ネカトを犯した時、研究公正局は連邦政府からの助成金を受け取ることを禁じる「締め出し期間」は、通常は3年間であることを参考にした。もっとも、ネカト行為の悪質度が高い場合は、「締め出し期間」は生涯にわたる。
NIHの新しいルールでの大きな欠点は、所長諮問委員会(ACD)は、セクハラの発見または調査に対して大学・研究機関がすべきことを提案していないことだ。
コリンズ所長は、どのように対応するかは、「大学・研究機関の責任で判断してください」と述べている。
これは、NIHにはセクハラを処罰できる法的権限がないからだ。NIHがセクハラを処罰できるようにするには、正式な法律の制定が必要になる。
●《5》全米アカデミーズ
全米アカデミーズ(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は著名な会員がセクハラ加害者と認定され、会員を除名処分にするかどうか、議論していた。本ブログで取り上げた以下の研究者はアカデミー会員である。
- フランシスコ・アヤラ(Francisco Ayala)(米)
- トーマス・ジェッセル(Thomas Jessell)(米)
- インダー・ヴェルマ(Inder Verma)(米)
- 天文学:ジェフリー・マーシー(Geoffrey W. Marcy)(米)
全米アカデミーズとしても米国の「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」問題の実態と対策に乗り出していた。
2018年6月12日、全米アカデミーズは米国におけるセクハラの広がり・性質・影響についてのレポート「女性へのセクハラ(Sexual Harassment of Women)」を発表した。無料閲覧可能 → Sexual Harassment of Women: Climate, Culture, and Consequences in Academic Sciences, Engineering, and Medicine | The National Academies Press
2019年5月31日、そして、全米アカデミーズはセクハラ者を除名処分に科すことを、会員の投票に諮り、賛成84%、反対16%で可決した。一度会員に選んだ人を除名にできる規則を導入したのは156年の歴史を持つ全米アカデミーズとしては初めてのことだった。なお、死亡すれば会員ではなくなる。
→ 2019年6月3日の全米アカデミーズのプレスリリース:2019 Bylaws Amendment Approved
→ 2019年6月7日のジャンナ・ブライナー(Jeanna Bryner)編集長の「Live Science」記事:The National Academy of Sciences Will Now Expel Members for Sexual Harassment
セクハラ者を除名処分することを決められたのは、2016年7月1日に全米アカデミーズの会長に就任した地球物理学・マルシア・マクナット(Marcia McNutt、写真出典)の尽力が大きいと思う。マクナット会長は、「女性が男性の同僚と同じ機会を得ることができないような文化はもはや許容されないだろう」と述べている。
●《5》大学
★ウェスト・チェスター大学
米国のウェスト・チェスター大学(West Chester University)のセクハラ(Sexual Harassment)の事例を2つ、以下に引用する。
→ ①:What is Sexual Misconduct – West Chester University、②:Sexual Harassment Policy and Procedures – West Chester University
ウェスト・チェスター大学(West Chester University)。出典
ウェスト・チェスター大学は、セクハラ(Sexual Harassment)は、意図的でろうとなかろうと、歓迎されない口説き、歓迎されない性的嗜好の要求、その他の性的な嫌がらせ行為と定義している。
例1
ホセ(Jose)は大学1年生の男性学部生です。入学し授業が始まると、男性院生で授業助手のマット(Matt)が自分を見つめていることに気が付き、不快に感じました。ホセ(Jose)は、しかし、自分の勉強について助言を得るために授業助手のマットに指導を受ける予約を取ろうとしました。すると、マットは多忙なので、空いている唯一の時間は夜で、場所は彼自身のアパートだとホセに告げた。マットは、この授業でいい点を取ろうと思うなら、自分をもっとよく知ることで、そのためには自分とデートすることだとホセに言った。
・・・これはセクハラです。
例2
女性学生のクイン(Quinn)は、働きながら大学に通っていました。ある金曜日の午後、彼女は上司と一緒に働いていた。クインの上司は彼女の肩に手を回し、彼の部屋に来るように誘った。彼女の上司が彼の部屋に来るよう要求したのは今回が4回目だった。クインは不快に思っていたので直ぐに仕事を辞めた。それで、彼女は今、彼女の授業料を払うために新しい仕事を見つけるのに苦労しています。
・・・これはセクハラの一例です。クインは、上司が肉体的にクインに触れ、彼の家に来るように繰り返し誘ったので、彼女は職場にいるのが不快で、仕事を辞めてしまったのです。
【処罰】
教職員が大学のセクハラ規則に違反した場合、口頭または書面による懲戒処分、懲戒停職処分、または懲戒解雇処分がある。その場合、上訴審理が可能である。大学の決定に不満な場合、外部機関に訴えることもできる。
学生などが大学のセクハラ規則に違反した場合、セクハラの悪質度によるが、停学処分や退学処分がある。その場合、上訴審理が可能である。
★カリフォルニア大学ロサンゼルス校
米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles UCLA)のセクハラ(Sexual Harassment)のサイトを見てみよう。
→ 写真と文章の出典:UCLA Title IX Office/Sexual Harassment Prevention – Home
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles UCLA)
セクハラ(Sexual Harassment)のサイトは「UCLA・タイトル・ナイン事務局へようこそ(Welcome to UCLA Title IX Office)」とあり、セクハラ=タイトル・ナイン(Title IX)という扱いである。
冒頭に以下の教育改正法第9編の文章がある。
「米国のすべての人は、連邦の財政援助を受けているすべての教育プログラムまたは活動で、性別の故に、参加できない、恩恵を受けられない、差別を受ける、ことはない」・・・・・・教育改正法第9編・1972年
セクハラの定義は、かなり硬い文章だが、以下のようだ。
歓迎されない口説き、歓迎されない性的嗜好の要求、および性的な言語的、非言語的、身体的行為が、暗黙的または明示的に雇用、学力評価、成績、大学プログラムへの参加に影響を与える、または敵対的な研究教育環境を生み出すときをセクハラと定義する。
その他、セクハラのサイトに資料がたくさんある。内容は、タイトル・ナイン(Title IX)やウェスト・チェスター大学に記述された文章とほとんど同じである。
→ 資料①:Sexual Violence and Sexual Harassment、②:PACAOS-100: Student Conduct and Discipline – PACAOS-100
【処罰】
教職員が大学のセクハラ規則に違反した場合、口頭または書面による懲戒処分、懲戒停職処分、または懲戒解雇処分がある。その場合、上訴審理が可能である。大学の決定に不満な場合、外部機関に訴えることもできる。
学生などが大学のセクハラ規則に違反した場合、セクハラの悪質度によるが、停学処分や退学処分がある。その場合、上訴審理が可能である。
●4.【英国・オランダ】
米国、EU、英国、フランス、ドイツ、スウェーデンのセクハラに関する法制度等のレポートがある。
→ 2019年4月:セクシュアル・ハラスメント対策の現状と課題(男女共同参画会議・女性に対する暴力に関する専門調査会)
但し、各国の「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」規則に特化した解説はない。以下、英国のダンディー大学(University of Dundee)とオランダのライデン大学(Leiden University)のウェブサイトを調べてみよう。この2大学を選んだ理由? セクハラ対策で著名だから? イヤイヤ、知りません。ほとんど、思い付きですが、2大学とも、白楽は訪問したことがあります。
★英国:ダンディー大学(University of Dundee)
英国の大学のセクハラ規則・言動の具体例を、スコットランドの名門・ダンディー大学(University of Dundee)で探ってみよう。
ダンディー大学(University of Dundee)。出典:
大学のウェブサイトで「セクハラ(Sexual Harassment)」を検索しても何もヒットしなかった。
→ Website Search : University of Dundee
ダンディー大学、大丈夫ですかね。と、一瞬思った。
が、よく見ると、大学は、2016年5月3日に、「セクハラ(Sexual Harassment)」と「アカハラ(Bullying)」に対してゼロ・トレランス方針(全く許さず、違反した場合は厳罰処分)を宣言している。
→ 2016年5月3日記事:University Signs Zero Tolerance Pledge On Sexual Harassment : News : University of Dundee
「性不正(sexual misconduct)」では具体的な言動例は示されていなかった。
→ What happens when I report sexual misconduct?
しかし、「嫌がらせ(Harassment)」「アカハラ(Bullying)」では具体的な言動例が示されていた。ただ、「セクハラ(Sexual Harassment)」に特化した項目はなかった。 → dignity-at-work-and-study-2019.pdf
「嫌がらせ(Harassment)」の言動例の内、「セクハラ(Sexual Harassment)」と思われるのを選んで以下に示そう。
- 人の外見に関する不適切なコメント、個人の私生活についての質問やコメント、悪意のあるゴシップ
- パーソナルスペースの侵略
- ポルノ的なもの、または一部の人は不快に思うかもしれないそのようなもの、を送信または表示すること。電子メール、テキスト、ビデオクリップ、携帯の画像の送信、また、インターネット上への画像掲載を含む。
- 思わせぶりなルックス、いやらしい目つき、いやらしい発言、不快ないちゃつき、望まない身体的接触、望まない口説き、望まないセックスの要求、不道徳な誘い、などの不快な性的行動
- 歓迎されない性的口説き、思わせぶりな行動(嫌がらせ者は無害だと思っている)、そして、欲求を受け入れないとキャリアに影響すると示唆する。
- 同性愛者、レズビアン、バイセクシュアル、トランスであることを公表されたくない人のなのに、公表する
【白楽の感想】:「嫌がらせ(Harassment)」の具体的な言動例を全部リストしなかったが、「セクハラ(Sexual Harassment)」と特化しないで「嫌がらせ(Harassment)」でくくる方が分かりやすい印象を受けた。
【処罰】
「セクハラ(Sexual Harassment)」行為者に対する処処罰罰は特記されていなかったが、通常の大学規則違反として処罰されると思われる。
★オランダ:ライデン大学(Leiden University)
オランダのライデン大学(Leiden University)も見てみよう。 → Microsoft Word – LEIDEN UNIVERSITY REGULATION ON COMPLAINTS RELATING TO UNACCEPTABLE BEHAVIOUR nog bewerken.doc
ライデン大学(Leiden University)・理学部(Huygens and Oort Buildings of the Faculty of Science)。出典
セクハラを次のように定義している。
その目的または結果が人の尊厳を傷つける、またはその可能性がある性的な含みを持つすべての言語的・非言語的行為、または身体的行動と定義した。これは、脅迫的、敵対的、侮辱的、屈辱的、または攻撃的な状況が発生したすべての言動に適用する。またはそのような行動を受諾または拒否した場合、被害者への決定の根拠として使用する場合にも適用する。
軽く調べた程度だが、具体的な言動例は示されていなかった。処罰も特記されていなかったが、通常の大学規則違反として処罰されると思われる。
●5.【白楽の感想】
《1》日米比較
セクハラ(Sexual Harassment)の規則・言動例で、日本と米国の大きな違いがある。
日本は、文部科学省をはじめ、言動例を細かく記載している。一方、米国は言動例を記載していない。
この違いは何なんだろう?
と思えば、日本の研究助成機関はセクハラ(Sexual Harassment)について何も記載がない。
一方、米国の研究助成機関はセクハラのウェブサイトを設け、セクハラに関する研究に研究費を支給し、セクハラを犯した研究者に研究助成しない。全米アカデミーはセクハラ者を会員から除名する。
この違いは何なんだろう?
《2》文化風習
世界の例として米国を中心に調べたが、日本がシステムとしてセクハラ対策を導入する時、米国から学ぶのは正しいのだろうか?
モチロン、世界の先進国の「高等教育界(含・学術界)のセクハラ」を十分知る必要はある。そうしないと、日本の学部生・院生・ポスドク・教員が、日本の大学・研究機関で受けたセクハラ教育・研修のまま、世界の先進国に留学あるいは国際共同研究をし、日本流に振舞うと、とんでもないことになる。
しかし、日本の性に関する文化風習は世界の先進国の文化風習とは大きく異なる。冒頭に述べたように、欧米では、挨拶の時、あるいは親しみの感情表現として、「握手・ハグ・チークキス・身体を触る」文化風習がある。日本にはない。
日本は、中国・韓国などの東アジア圏の文化風習との共通点が多い。しかし、セクハラに関して中国・韓国などの東アジア圏の国々は日本より遅れているので、それらの国のシステムを導入する意味はない。日本が和洋折衷のシステムを作る必要があるだろう。
《3》お茶の水女子大学は文部省訓令違反
「文部省におけるセクシャル・ハラスメントの防止等に関する規程(文部省訓令第4号)」別紙1の「指針」に、
成人に対して、「男の子」、「女の子」、「僕、坊や、お嬢さん」、「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること
はセクハラだとある。
ということは、成人である女性を「女の子」に相当する「女子」と呼ぶのは文部省訓令違反である。白楽の勤めていたお茶の水女子大学は、お茶の水「女性」大学と改名すべきだ。
英語だって、Ochanomizu Girl’s Universityではなく、Ochanomizu Women’s Universityになっているではないか? と、思いました?
イヤイヤ、公式には、「Girl’s」も「 Women’s 」もなく、単に、Ochanomizu Universityなんです。
他の大学を見ていくと、日本女子大学はJapan Women’s University、昭和女子大学 はShowa Women’s University、東京女子大学はTokyo Woman’s Christian Universityなど「 Women’s 」が入っている。そして、お茶の水女子大学に対する関西の国立大学である奈良女子大学は、ナント、 Nara University ではなく、Nara Women’s University だ。Nara Universityの英語名は、1969年に私立の奈良大学が設置され、使われている。
お茶の水女子大学の英語名に「 Women’s 」が入ってないのは、日本では別格扱いである。但し、前身の東京女子師範学校が明治8年(1875年)に創設された時は、英語でTokyo Women’s Normal School、つまり、「Girl’s」ではなく「 Women’s 」だった。
1949年の国立学校設置法でお茶の水女子大学が新設され、東京女子師範学校が包括された時、賢い人がコッソリ(かどうか知りません)、「 Women’s 」の入らないOchanomizu Universityという英語名にしたのだ。
しかし、文部省訓令違反だし、そろそろ、約150年の明治8年に命名した「女子」を150年ぶりに「女性」と変えたらどうですか。
ついでに言うと、日本が全国に工学部を拡充した時、どうして、お茶の水女子大学に工学部をつくらなかったのか? 医学部がたくさんできたとき、どうして医学部を作らなかったのか? そして、法学部も経済学部もどうして作らなかったのか?
つまり、女性の少ない分野に女性の人材を育てるのが国立のお茶の水女子大学の役目なのに、文学部、教育学部、家政学部はあってもいいけど、それらが主体ということはないでしょう。
工学部、法学部、経済学部を作っておけば、現在、日本の産業界や政界で活躍する女性が、女性社長・女性重役が、もっと確実に増えていたハズだ。日本の現在の社会の様子が違っていたと思う。
白楽、お前は教授だったのだから、そういう提案を内部からしろって? ハイハイ、しました、しました。ケンもホロロの反応でしたね。工学部を作る話は、経産省と産業界から打診されたが、省益がぶつかると文科省に反対され頓挫したよと、コッソリ、教えてくれた人もいました。
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