ジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia)(英)

2020年4月24日掲載 

ワンポイント:2010年11月16日(40歳?)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンは、当時ポスドクだったアルワリア(男性)が「2004年のNature」論文でデータねつ造・改ざんをしたと結論した。事がわかってみると、アルワリアは、1997年11月(27歳?)、ネカト発覚の13年前、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)・院生の時、データねつ造・改ざんをし、退学処分を受けていた。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia、男性、ORCID iD:?、顔写真は見つからなかった)は、英国のユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)・ポスドクの時にネカトをした。事件が発覚した時は、イースト・ロンドン大学(University of East London)・上級講師だった。専門は免疫学だった。

2004年(34歳?)、アルワリアは、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)・ポスドクの時、後に問題視される「2004年のNature」論文を発表した。

世界中の研究者が、この論文を追試したが誰1人成功しなかった。

2007年10月(37歳?)、アルワリアは、イースト・ロンドン大学(University of East London)・上級講師に就任した。

2008年9月(38歳?)、「2004年のNature」論文出版時のアルワリアのボスで、論文の最後著者でもあるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)のアンソニー・シーガル教授(Anthony Segal)が、アルワリアのネカトを大学に告発した。

2010年11月4日(40歳?)、「2004年のNature」論文が撤回された。

2010年11月16日(40歳?)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンは調査の結果、アルワリアがネカトでクロと結論した。

事がわかってみると、1997年11月(27歳?)、ネカト発覚の13年前、アルワリアはケンブリッジ大学(University of Cambridge)・院生の時、データねつ造・改ざんをし、1998年2月18日(28歳?)に退学処分を受けていたことが表面化した。

さらに、2003年3月(33歳?)、アルワリアはインペリアル・カレッジ・ロンドンで研究博士号(PhD)を取得したのだが、博士論文の基礎となる「2003年のJ Neurochem」論文にネカト疑惑が発生し、論文は後に撤回された。

2011年8月(41歳?)、インペリアル・カレッジ・ロンドンは、「2003年のJ Neurochem」論文がアルワリアの博士論文の基礎となっているため、アルワリアの博士号の剥奪を検討していると発表した。

2013年7月(43歳?)、インペリアル・カレッジ・ロンドンは、アルワリアの博士論文のネカト調査を2年間かけて行ない、アルワリアがネカトをしたという証拠はなかったと結論した。従って、博士号を剥奪しなかった。

アルワリアは3度もネカト(含・類似)を行なった根っからのネカト常習者と思われる。2014年(44歳?)を最後に論文を出版していない。3回目の告発を契機に、研究職を廃業したと思われる。

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)の病院(University College Hospital)。写真By Tagishsimon (talk) (Uploads) – Photo by and copyright Tagishsimon – 2 May 2004, CC BY-SA 3.0, Link

  • 国:英国
  • 成長国:英国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:インペリアル・カレッジ・ロンドン
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1970年1月1日生まれとする。2007年にイースト・ロンドン大学(University of East London)・上級講師になった時を37歳とした
  • 現在の年齢:51 歳?
  • 分野:免疫学
  • 最初の不正論文発表:1997年(27歳?)
  • 不正論文発表:2004年(34歳?)
  • 発覚年:2008年(38歳?)
  • 発覚時地位:イースト・ロンドン大学・上級講師
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はポスドク時代のボスであるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)のアンソニー・シーガル教授(Anthony Segal)。大学へ公益通報
  • ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」、「Dr Geoff」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの調査委員会。②インペリアル・カレッジ・ロンドンの調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり:①:https://web.archive.org/web/20140520135329/http://www.ucl.ac.uk:80/srs/governance-and-committees/resgov/UCL-Statement-26-November-2010.pdf 、②:https://retractionwatch.files.wordpress.com/2013/07/ahluwaliareportjuly2013pdf.pdf
  • 大学の透明性:実名でウェブ公表(〇)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:2報撤回
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分:解雇(推定)
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は5億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:UEL HAB – Staff Profile – Dr Jatinder Ahluwalia

  • 生年月日:不明。仮に1970年1月1日生まれとする。2007年にイースト・ロンドン大学(University of East London)・上級講師になった時を37歳とした
  • 1993年(23歳?):カナダのマギル大学から出版した「1993年のJBC」論文の著者に「Jatinder P. S. Ahluwalia」がいる。別人と思われるので、本記事では別人とした。
  • 1996年8月(26歳?):イースト・ロンドン大学(University of East London)で学士号取得
  • 1996年8月(26歳?):ケンブリッジ大学(University of Cambridge)・細胞生物学の院生。指導教員:マーティン・ブランド(Martin Brand)準教授(Reader)
  • 1997年11月(27歳?):ケンブリッジ大学でのネカトが発覚
  • 1998年2月18日(28歳?):ケンブリッジ大学から退学処分
  • 1999年(29歳?):インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London, ICL)・院生。指導教員:イストヴァン・ナジ博士(Istvan Nagy)
  • 2003年3月(33歳?):インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London, ICL)で研究博士号(PhD)を取得
  • 2003年4月(33歳?)(推定):ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)・ポスドク。ボスはアンソニー・シーガル(Anthony Segal)
  • 2004年(34歳?):後に問題視される「2004年のNature」論文を発表
  • 2007年7月(37歳?):トーマス・デコージー教授(Thomas DeCoursey)が「2004年のNature」論文の問題点を指摘
  • 2007年10月(37歳?):イースト・ロンドン大学(University of East London)・上級講師
  • 2008年9月(38歳?):アンソニー・シーガル教授(Anthony Segal)が正式にネカト告発
  • 2010年11月4日(40歳?):「2004年のNature」論文が撤回
  • 2010年11月16日(40歳?):ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンがネカトでクロと結論
  • 2010年11月(40歳?)(推定):イースト・ロンドン大学が解雇

●4.【日本語の解説】

ネカト事件の解説ではないが、関連した日本語記事。

★2017年3月xx日:未来工学研究所:研究活動における不正行為に対する調査方法に関する調査報告書

出典 → ココの80ページ目、(保存版) 

ある英国の研究大学のポスドクで、Nature 誌に発表した論文で研究不正をしていたと認定された人が大学を裁判に訴えるとしていたが、大学は逆に研究不正の認定結果をウェブサイト上に全て公表し、訴えるのであればそうするように対応した事案があった。それが可能になった理由の一つはその大学が法律家の助言に従い研究不正調査を実施したからである149

149University College London. “UCL procedure for investigating and resolving allegations of misconduct in academic research: Dr Jatinder Ahluwalia.” 26 November 2010. <https://www.ucl.ac.uk/srs/governance-and-committees/resgov/UCL-Statement-26-November-2010.pdf>

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★経歴

ジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia)の顔写真は見つからなかった。また、履歴書もみつからなかった。英国でネカト事件を起こしているが、出身国は英国なのか、別の国なのか、はっきりしない。

英国のユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)・ポスドクだった2004年に問題の論文を出版した。

英国のイースト・ロンドン大学(University of East London)で学士号を取得し、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London, ICL)で研究博士号(PhD)を取得したとある。ここは、確かと思える。

但し、1993年(23歳?)、カナダのマギル大学からの「1993年のJBC」論文の著者に「Jatinder P. S. Ahluwalia」がいる。別人と思われるが、確信はない。。

また、同姓同名の人が、2001-2002年(31-32歳?)、米国のアイオワ医科大学(University of Iowa College of Medicine)所属で論文を出版している。こちらは、別人だろう。

★「2004年のNature」論文

2004年(34歳?)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)・ポスドクのジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia)は「2004年のNature」論文を発表した。ボスはアンソニー・シーガル教授(Anthony Segal)だった。

世界中の研究者が、この論文を追試したが誰1人成功しなかった。シーガル教授に追試を依頼された研究室内のスタッフでさえ追試できなかった。アルワリアが出した部分のデータが再現できなかった。

2007年7月(37歳?)、米国・シカゴのラッシュ大学(Rush University)のトーマス・デコージー教授(Thomas DeCoursey、写真出典)は、「2004年のNature」論文の問題点を「2007年のAmerican Journal of Physiology – Cell Physiology」論文として出版した。
 → Electrophysiology of the phagocyte respiratory burst. Focus on “Large-conductance calcium-activated potassium channel activity is absent in human and mouse neutrophils and is not required for innate immunity” | Cell Physiology

ポイントは2点である。

  1. 世界の7つの研究グループは、アルワリアが使用した特定のBKチャネルブロッカーは細菌を殺す効果がなかった。つまり、「必須」チャネルをブロックしても、自然免疫応答を妨げなかった。
  2. 2つの研究グループは、好中球内の細菌や真菌を殺すのに必須だと主張されたBKチャネルが好中球には存在しないという明確な証拠を示した。

デコージー教授は論文の問題点を指摘し、査読が甘いと批判した。しかし、データねつ造・改ざんだとの指摘や非難をしなかった。

★調査

2008年9月(38歳?)、「2004年のNature」論文出版時のアルワリアのボスで、論文の最後著者でもあるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)のアンソニー・シーガル教授(Anthony Segal、写真出典)が、アルワリアにデータねつ造・改ざんの疑いがあると、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに正式に告発した。

2010年2月(40歳?)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンは予備審査後、正式なネカト調査委員会を設立した。公聴会も開いたが、アフルワリアを招待したにもかかわらず、アフルワリアは欠席した。また、アフルワリアは書面での反論証拠も提出しなかった。

調査委員会は、アフルワリアに対する次の3つのネカト行為が証明されたと結論した。

  1. アフルワリアは、データをねつ造・改ざんするため、コンピューターのファイルのラベルを意図的に変えた。アフルワリアは、シーガル教授と論文共著者のアンドリュー・ティンカー教授(Andrew Tinker)にこのねつ造・改ざんを認めている。それで、委員会はこのねつ造・改ざん行為を証明できたと全会一致で結論した。
  2. アフルワリアは、BKチャネルの特異的遮断薬であるイベリオトキシン(iberiotoxin)とパキシリン(paxilline)の試料に、意図的に別の化合物・ジフェニリドニウム(diphenyleneidonium:DPI)を混ぜた。ジフェニリドニウム(DPI)は、好中球による細菌の殺害をブロックし、特定のBKチャネルブロッカーがこの効果をもたら作用がある。
    この混入で、イベリオトキシン(iberiotoxin)とパキシリン(paxilline)がジフェニリドニウム(DPI)のような効果をもたらしたというねつ造データを作った。
    アフルワリアが使用したイベリオトキシン(iberiotoxin)とパキシリン(paxilline)の試料の一部が保存されていた。その試料を分析すると、ジフェニリドニウム(DPI)が見つかった。 この混入が偶発的に起こったとは考えられない。委員会は満場一致で、2件目のねつ造・改ざん行為を証明したと結論した。
  3. アフルワリアは、別の研究所の研究チームに、白血球の試料を提供した。しかし、その試料は彼が主張した好中球ではなく単球だった。単球なら、彼が主張した結果が得られる。委員会は満場一致で、3件目のねつ造・改ざん行為を証明したと結論した。

2010年11月4日(40歳?)、Natureはアルワリアの「2004年のNature」論文を撤回した。

2010年11月26日(40歳?)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの調査委員会は、調査結果(以下に調査報告書の冒頭を示す)を発表し、ネカトはアルワリア単独犯だと結論した。

2010年11月(40歳?)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンはアルワリアを解雇した(と思う)。

2010年11月26日の調査報告書(4頁)の冒頭を示す。全文は → https://web.archive.org/web/20140520135329/http://www.ucl.ac.uk:80/srs/governance-and-committees/resgov/UCL-Statement-26-November-2010.pdf

★別件のネカト発覚:1997年

2011年2月(41歳?)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの調査結果が発表されてから3か月後、14年前のアルワリアの別件のネカトが表面化した。

1996年8月(26歳)、ネカト発覚の15年前、アルワリアはイースト・ロンドン大学(University of East London)で学士号を取得した。

その後、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)・細胞生物学・準教授(Reader)のマーティン・ブランド(Martin Brand、写真出典)の研究室に院生として入学した。

ところが、アルワリアはブランド研究室でデータねつ造・改ざんをしたのだ。

1997年9月(27歳?)、アルワリアの入学1年後、ブランド準教授はアルワリアの論文中のデータを整理していた。すると、チャート記録の一部が再現できなかった。また、アルワリアの論文には実験用ラットおよび放射性物質を使用したデータがあるのだが、ラットの使用と放射性物質処分の記録が、アルルワリアが実験を行なったと主張した日付の公式ログに記録されていなかった。なお、動物使用と放射性廃棄物処分の記録は法的要件なので、使用すれば必ず記録される。

1997年11月(27歳?)、ブランド準教授は、ケンブリッジ大学の大学院教育委員会のマッカラム(DPF McCallum)にアルワリアがチャート記録の一部を改ざんしたと報告し、自分は彼の指導ができないと手紙(以下)を書いた。

1997年11月10日の手紙(3頁)の冒頭を示す。全文は  → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2011/02/19971110-mccallum1.pdf

1997年末(27歳?)、アルワリアへの奨学金支給が停止された。

1998年2月18日(28歳?)、ケンブリッジ大学はネカト行為をしたという理由でアルワリアを退学処分に科した。

★博士論文:2003年

1999年(29歳?)、ケンブリッジ大学を退学になったアルワリアはインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London, ICL)の院生になり、イストヴァン・ナジ博士(Istvan Nagy、写真出典)の指導下で、院生を過ごした。

2003年3月(33歳?)、アルワリアはナジ研究室で研究博士号(PhD)を取得した。この博士論文の内容は、「2003年2月のJ Neurochem」論文として発表していた。唐辛子に含まれる辛み成分の化学物質・カプサイシン(capsaicin)を培養神経細胞に与えると、アナンダミド(anandamide)と呼ばれる化合物が放出されという内容だ。

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのアンソニー・シーガル教授(前出)は、「2003年のJ Neurochem」論文に問題があるとインペリアル・カレッジ・ロンドンに伝えた。

2011年11月(41歳?)、「2003年2月のJ Neurochem」論文は2010年7月に訂正されていたが、結局、アルワリア以外の著者すべてが要請し、撤回された。

2011年8月(41歳?)、インペリアル・カレッジ・ロンドンは、「2003年2月のJ Neurochem」論文がアルワリアの博士論文の基礎となっているため、アルワリアの博士号の剥奪を検討していると発表した。

2013年7月(43歳?)、ほぼ2年後、調査結果を公表した(以下に示す)。その結論は、アルワリアがインペリアル・カレッジ・ロンドンでネカトをしたという証拠はなかったとした。アナンダミドの実験結果の異常は、使用した実験方法とプロトコルの基本的な算術エラーや間違いだと結論した。つまり、彼は研究公正違反ではなく、無能だった、としたのだ。従って、博士号を剥奪しなかった。

2013年7月xx日、調査報告書(6頁)の冒頭を示す。全文は  → https://retractionwatch.files.wordpress.com/2013/07/ahluwaliareportjuly2013pdf.pdf

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年4月23日現在、パブメド( PubMed )で、ジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia)の論文を「Jatinder Ahluwalia [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2014年の13年間の20論文がヒットした。

「Ahluwalia J[Author]」で検索すると、1970~2020年の51年間の582論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多数含まれていると思われる。

2020年4月23日現在、「Ahluwalia J[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、「2003年のJ Neurochem」論文と「2004年のNature」論文の2論文が撤回されていた。

★撤回論文データベース

2020年4月23日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia)を「Ahluwalia, Jatinder」で検索すると、3論文がヒットし、本記事で問題にした「2003年のJ Neurochem」論文と「2004年のNature」論文の2論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2020年4月23日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia)の論文のコメントを「Jatinder Ahluwalia」で検索すると、本記事で問題にした「2004年のNature」論文・1論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》詳細が不明 

ジャティンダー・アルワリア(Jatinder Ahluwalia)は顔写真が見つからない。また、履歴書もみつからなかった。英国でネカト事件を起こしているが、出身国は英国なのか、別の国なのか、はっきりしない。

ネカト調査報告書はウェブ上にアップされているが、アルワリア事件は不明だらけである。「どんな人が、どの状況で、どうして?」がわからない。ネカト防止策定の役に立たない。

《2》再犯防止 

アルワリアは何度もネカトをしているネカト常習者だ。

ネカト常習者ということは、本記事で述べた英国の処置では、ネカトの再犯を防げなかったという事である。

日本は唯一の例外だが、世界のほぼすべての国が、ネカト者の実名を公表している。今回も実名で公表している。それでも、学術界への周知が至らず、複数回のネカトを許してしまい、結果としてネカト常習者を作り出してしまった。なお、日本は唯一の例外と書いたが、韓国も実名を公表しないことが時々ある。

白楽は、本ブログのあちこちで、実名公表と学術界への周知がネカト予防策として重要だと主張しているが、日本はそうなっていない。

もちろん、実名を公表することでネカト者を罰するのが主眼ではない。公益である。実名を知っていれば、研究者は共同研究を避ける。大学はその人を採用・昇格しない。助成機関は研究申請を採択しない。学術誌は投稿論文を注意して扱う。学部生・院生・ポスドクはその人の研究室を選ばない。メディアは研究紹介の記事に取り上げない。これらのことで、ネカト者は、次のネカト論文を発表することがほぼ不可能になる。

日本がネカト者を秘匿する世界で唯一の国(韓国も若干類似)であり続けたい意味を白楽は理解できない。

以下の記事で示すように、2020年1月15日現在、「撤回論文数」世界ランキングの3位以内に在日日本人が 2人、6位以内に4人、11位以内に6人もいる。6人とも生命科学の研究者である。なお、韓国は11位以内には0人で、 13番目と32番目の2人がいる。

「撤回論文数」 が多いということは、ネカト常習者が多いということである。つまり、日本の研究規範システムに大きな欠陥があり、日本はネカト通報の敷居を異常に高くしている。そして、通報されても調査・公表の欠陥で、再犯、再々犯、再々々犯、再々々々犯・・・、を防げない(防げなかった)という事である。

通報の容易化、ネカト者の実名公表と学術界への周知が予防策として重要だということが、どうしてわからないのだろう?

そういえば、2020年4月xx日、日本の某県の警察から、白楽のブログで実名を挙げた日本人の、その実名を削除するよう依頼が来た。なんで警察が依頼してくるのかわからないが、実名を削除のは、ネカト防止と、逆行するなあ~。

日本は、英国よりももっと甘い処置しかしていないので、ネカト再犯を防げない。

ネカトを本気で防止しようとする政治家・官僚・学界ボスは日本にいないのか?

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 2010年11月8日以降の「撤回監視(Retraction Watch)」記事群:jatinder ahluwalia – Retraction Watch
② 2010年12月2日のポール・ジャンプ(Paul Jump)記者の「Times Higher Education」記事:UCL finds researcher deliberately engaged in misconduct over paper | Times Higher Education (THE)
③ ◎2017年6月24日の「Dr Geoff」記事:Jatinder Ahluwalia – a former colleague accused of multiple acts of research fraud | Dr Geoff
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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