イゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik)(イスラエル)

2021年5月19日掲載 

ワンポイント:スコートニクはウクライナ出身で、イスラエルのテクニオン・イスラエル工科大学(Technion – Israel Institute of Technology)・医学部(Ruth and Bruce Rappaport Faculty of Medicine)・準教授になった。2021年1月(58歳?)、スコートニクの2002~2019年(39~56歳?)の39論文にデータねつ造・改ざんがあると、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が指摘した。撤回論文は0報。テクニオン・イスラエル工科大学がネカト調査をしているかどうか不明。スコートニクは無処分。国民の損害額(推定)は今のところ1億円(大雑把)。

【追記】
・2021年5月19日、「2003年のPediatr Surg Int 」論文が撤回:Retraction Note to: Effect of a high fat diet on lipid absorption and fatty acid transport in a rat model of short bowel syndrome | SpringerLink
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白楽の研究者倫理
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 by 常連の滝

反省なし。脅迫してる。


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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

イゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik、ORCID iD:?、写真出典)は、イスラエルのテクニオン・イスラエル工科大学(Technion – Israel Institute of Technology)・医学部(Ruth and Bruce Rappaport Faculty of Medicine)・準教授・医師で、専門は小児外科(短腸症候群 Short bowel syndrome)である。

2021年1月(58歳?)、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)がブログと「パブピア(PubPeer)」で、スコートニクの2002~2019年(39~56歳?)の18年間の39論文にデータねつ造・改ざんがあると指摘した。

ビックはテクニオン・イスラエル工科大学と論文を掲載した各学術誌に通報した。

2021年5月18日(58歳?)現在、撤回論文はゼロである。

39論文のデータねつ造・改ざんはどのような状況でされたのか、状況は全くわからない。

仮に不正なデータねつ造・改ざんだとしても、スコートニクがネカト犯ではなく共著者の誰かがネカト犯かもしれない(考えにくいが)。

テクニオン・イスラエル工科大学がネカト調査をしているかどうか不明で、スコートニクは無処分である。

テクニオン・イスラエル工科大学(Technion – Israel Institute of Technology)はハイファ(Haifa)のカーメル山側(Mount Carmel)にある。写真出典

テクニオン・イスラエル工科大学(Technion – Israel Institute of Technology)の医学部(Ruth and Bruce Rappaport Faculty of Medicine)は海の近くにある。写真出典

  • 国:イスラエル
  • 成長国:ウクライナ
  • 医師免許(MD)取得:ウクライナのチェルノフツィ医科大学
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1963年1月1日生まれとする。1989年に研修医になった時を26歳とした
  • 現在の年齢:61 歳?
  • 分野:小児外科
  • 不正論文発表:2002~2019年(39~56歳?)の18年間
  • 発覚年:2021年(58歳?)
  • 発覚時地位:テクニオン・イスラエル工科大学・準教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)
  • ステップ2(メディア):「Science Integrity Digest」、「パブピア(PubPeer)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②テクニオン・イスラエル工科大学が調査しているかどうか不明
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。調査しているかどうか不明
  • 大学の透明性:調査しているかどうか不明(ー)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:2002~2019年(39~56歳?)の18年間の39論文
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は今のところ1億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:Prof. Igor Sukhotnik | Ichilov、保存版https://archive.ph/U3MBN

  • 生年月日:不明。仮に1963年1月1日生まれとする。1989年に最初の研修医になった時を26歳とした
  • 19xx年(xx歳):ウクライナのチェルノフツィ医科大学(University of Medicine, Chernowitz, Ukraine)で学士号取得:医学
  • 1989-1998年(26-35歳?):イスラエルのハエメック病院(Ha-Emek Medical Center)・研修医:小児外科
  • 1999-2000年(36-37歳?):米国のミシガン大学モット小児病院(Mott Children’s Hospital, University of Michigan)・ポスドク
  • 2000-2003年(37-40歳?):イスラエルのカーメル病院(Carmel Medical Center)・研修医:一般外科
  • 2013-2018年(50-55歳?):テクニオン・イスラエル工科大学(Technion – Israel Institute of Technology)・医学部(Ruth and Bruce Rappaport Faculty of Medicine)・準教授
  • 2021年1月(58歳?):エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が約40論文のデータねつ造・改ざんを指摘した

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★医療中心

イゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik)はウクライナで育ち、ウクライナのチェルノフツィ医科大学(University of Medicine, Chernowitz, Ukraine)で学士号を取得したが、イスラエルで研修医となった。

2013年(50歳?)、イスラエルのテクニオン・イスラエル工科大学(Technion – Israel Institute of Technology)・医学部(Ruth and Bruce Rappaport Faculty of Medicine)・準教授になったが、その後。2021年現在まで、スコートニクは、院生を2人しか育てていない。 → Advisor – Professor Igor Sukhotnik | Graduate School

2010年に2人の修士課程の院生をしたが、博士課程の院生を育てていない。

医療中心の活動をしていた(いる)。

そして、矛盾するようだが、100報以上の論文を出版している。

★発覚

2021年1月(58歳?)、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)はスコートニクが2002~2019年(39~56歳?)の18年間に出版した39論文にデータねつ造・改ざんがあると指摘した。

指摘したメディアは、いつもと同じで、彼女のブログと「パブピア(PubPeer)」である。

いつもと同じで、ビックはテクニオン・イスラエル工科大学と論文を掲載した各学術誌に通報した。

2021年5月18日(58歳?)現在、撤回論文はゼロである。

39論文のデータねつ造・改ざんはどのような状況でされたのか、状況は全くわからない。

仮に不正なデータねつ造・改ざんだとしても、スコートニクがネカト犯ではなく共著者の誰かがネカト犯かもしれない(考えにくいが)。

テクニオン・イスラエル工科大学がネカト調査をしているかどうか不明で、スコートニクは無処分である。

★脅迫

2021年1月28日(58歳?)、スコートニクはビックを以下のように脅迫した。出典:PubPeer – Accelerated intestinal epithelial cell turnover after bowel…

親愛なるクレア・フランシスへ

あなたは私が送付した電子メールに返信しませんでしたので、パブピアに記述します。

私の論文が小児医療に悪影響を与えると、あなたの個人データを示さずに私の大学事務局に通報したのは、イスラエルの法律に違反しています。

裁判所に訴えます。私の弁護士はあなたに個人情報(本名、住所、電話番号、ID)を提供するようにもう一度連絡しました。

今後24時間以内にご自身に関する情報を提供しない場合、イスラエル警察のインターネット犯罪部門に通報します。

敬具

スコートニク、医師

ビックは以下のように返事した。

親愛なるスコートニク博士へ

私はクレア・フランシスではありませんので、なぜあなたが私の名前ではなく「親愛なるクレア・フランシス」で私のメールに返信したのかわかりません。 また、あなたからのメールは届きませんでした。ただ、これらの問題についてオープンに話し合うことができてうれしく思います。

私はイスラエルに行ったことはありません。イスラエルの法律に違反したとは思いませんが、私の何が悪かったのか教えてください。 イスラエルのインターネット犯罪部門は、パブピアへの投稿者を追い詰めるよりも優先する事項があると確信しています。 多分、彼らは間違った人を間違って非難しないよう、あなたを注意すると思います。

ここで私のアイデンティティに関する懸念についてオープンに話し合ってもかまいません。

しかし、もっとして頂きたいのは、私が投稿したあなたの論文の画像に関する懸念に対応してくださることです。 指摘した簡単なパブピア画像の不具合は解決されたので、ここで画像を再投稿します。

エリザベス・ビック、カリフォルニア、米国

ビックは文章の後に「画像を再投稿」しているが、ここでは省略した。

この騒動には、別のネカトハンターであるアクチノポリスポーラ・ビスクレンシス(Actinopolyspora Biskrensis)(仮名)は、自分が絡んでいるとパブピアに投稿した。

つまり、ビスクレンシスもスコートニクのネカトをテクニオン・イスラエル工科大学に通報していた。

そのビスクレンシスの通報を、スコートニクは、ビックの通報と勘違いしたらしい。なお、「アクチノポリスポーラ・ビスクレンシス(Actinopolyspora Biskrensis) 」は「クレア・フランシス」ではない。

【ねつ造・改ざんの具体例】

イゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik)の疑念論文をパブピアで点を探ったが、39論文もあるので全部は示せない。

以下に、どの論文と示さないが、不正画像を3セット、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)の記事と「パブピア(PubPeer)」から選んで貼り付けた。  → 2021年1月30日のエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)記者の「Science Integrity Digest」記事:Similar images from the Technion – Science Integrity Digest、パブピア:https://pubpeer.com/search?q=Igor+Sukhotnik

不正画像は組織像、ウェスターンブロット像、フローサイトメリー像と、多岐にわたる。こうなると、画像以外でも不正しているだろうと思う。





●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2021年5月18日現在、パブメド(PubMed)で、イゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik)の論文を「Igor Sukhotnik [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2021年の20年間の107論文がヒットした。

「Sukhotnik I」で検索すると、1986~2021年の36年間の130論文がヒットした。

2021年5月18日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2021年5月18日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでイゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik)を「Igor Sukhotnik」で検索すると、 0論文が訂正、0論文が懸念表明、0論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2021年5月18日現在、「パブピア(PubPeer)」では、イゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik)の論文のコメントを「Igor Sukhotnik」で検索すると、39論文にコメントがあった。

2002~2019年(39~56歳?)の18年間の39論文である。

●7.【白楽の感想】

《1》どうして? 

イゴー・スコートニク(Igor Sukhotnik、写真出典、現在はリンク切れ)はウクライナ出身で、イスラエルのテクニオン・イスラエル工科大学(Technion – Israel Institute of Technology)・医学部(Ruth and Bruce Rappaport Faculty of Medicine)・準教授になった。

2021年1月(58歳?)、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)はブログと「パブピア(PubPeer)」でスコートニクが2002~2019年(39~56歳?)の18年間に出版した39論文にデータねつ造・改ざんがあると指摘した。

2002~2019年(39~56歳?)の18年間、どうして誰もネカトを指摘しなかったのだろう?

スコートニクを知る人たちの間ではスコートニクのネカトは知られていたのか?
本当に誰も気がつかなかったのか?
査読者だって気がついていいレベルである。

このように多数ネカト者は世の中にまだゴロゴロいるのだろうか?
日本にもまだいるのだろうか?

ビックが指摘しなければ、スコートニクは、現在も(未来も)、ネカト人生を謳歌していることになる。

なんか、マズイですね。

それにしても、ビックにはネカト摘発のノーベル賞を授与、ですね。

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反省なし。脅迫してる。


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●9.【主要情報源】

① 2021年1月30日のエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)記者の「Science Integrity Digest」記事:Similar images from the Technion – Science Integrity Digest
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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