大学:臨床試験(drug trials):マハトマ・ガンディー記念医科大学(Mahatma Gandhi Memorial Medical College)、マハラジャ・イェシュワントラオ病院(Maharaja Yashwantrao Hospital)(インド)

2017年11月5日掲載。

ワンポイント:ネカトではない。クログレイや医療犯罪だろう(推定)。2007年~2011年(推定)に行なった非倫理的な医薬品の臨床試験で、2,365人の治験者の内、81人に深刻な副作用が見られ、35人が死亡した。マハトマ・ガンディー記念医科大学の上級研修医で眼科医のアナン・ライ医師(Anand Rai)が当局に告発し、公益訴訟(Public Interest Litigation)で訴えた。2012年10月22日、マハトマ・ガンディー記念医科大学は非倫理的な臨床試験に関与した11人の医師を停職処分(停職期間不明)に科した。2017年8月4日、インド医学評議会(Medical Council of India)は8人の医師(実名を公表)の医師免許登録を3か月間停止した。処分はマジ遅いし、35人の死に対して、チョ―軽い。(表現に少々粗暴さがアリ)

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.日本語の解説
3.事件の経過と内容
4.白楽の感想
5.主要情報源
6.コメント
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●1.【概略】

非倫理的な臨床試験で死亡した妻・スシーラ(Sushila)の遺影を手にするシャラド・クマール(Sharad Kumar)。http://indiatoday.intoday.in/story/doses-of-death/1/110491.html

2005年頃(推定)から、米国や欧州の巨大な製薬企業がインドの医科大学教授・医師をカネで操って、貧しく知識の乏しい田舎のインド人に非倫理的な医薬品の臨床試験を始めている。規制が甘く、経費が安かったからである。

2007年~2011年(推定)、インドのマディヤ・プラデーシュ州(Madhya Pradesh)のマハトマ・ガンディー記念医科大学(MGMC:Mahatma Gandhi Memorial Medical College, Indore)とマハラジャ・イェシュワントラオ病院(MYH:Maharaja Yashwantrao Hospital)の教授・医師たちもカネにつられて、非倫理的な臨床試験に参加した。

調査の結果、2,365人の患者に医薬品が投与され、81人に深刻な副作用が見られ、35人が死亡した。

2012年10月22日、マハトマ・ガンディー記念医科大学は非倫理的な臨床試験に関与した11人の医師を停職処分に科した[白楽は停職期間を把握できていない]。

2017年8月4日、インド医学評議会(Medical Council of India)は、8人の医師の医師免許登録を3か月間停止した。非倫理的な薬物療法を行ったと判定されてから7年後である。8人の医師は新聞に実名が公表された。

なお、白楽は混同していたが、マハトマ・ガンディー記念医科大学(Mahatma Gandhi Memorial Medical College, Indore、1948年設立の国立(州立?)大学)とよく似たマハトマ・ガンディー医科大学(Mahatma Gandhi Medical College、2001年設立の私立大学)がある。混同しないように。

マハトマ・ガンディー記念医科大学(Mahatma Gandhi Memorial Medical College, Indore)は、「4icu.org」の大学ランキング(信頼度は?)にリストされていない(Top Universities in India | 2017 Indian University Ranking(保存済))。

マハトマ・ガンディー医科大学(Mahatma Gandhi Memorial Medical College, Indore)。写真出典

マハラジャ・イェシュワントラオ病院(Maharaja Yashwantrao Hospital)。写真出典

  • 国:インド
  • 集団名:マハトマ・ガンディー記念医科大学とマハラジャ・イェシュワントラオ病院
  • 集団名(英語):Mahatma Gandhi Memorial Medical College、Maharaja Yashwantrao Hospital
  • ウェブサイト(英語):http://www.mgmmcindore.org/。マハラジャ・イェシュワントラオ病院の英語サイトは不明。
  • 集団の概要:マハトマ・ガンディー記念医科大学は1948年設立のインドで15番目に古い著名な国立(州立?)大学。マハラジャ・イェシュワントラオ病院はマハトマ・ガンディー記念医科大学の専属病院
  • 事件の首謀者:8人の医師。マハラジャ・イェシュワントラオ病院長のVS Paul医師、前病院長のRamgulam Rajdan医師、それに、Anil Bharani医師、Shish Pate医師、小児科医のDr Hemant Jain医師、小児科医のUjjawal Sardesai医師、小児科医のPali Rastogi医師、小児科医のAbhay Paliwal医師が、医師免許登録を3か月間停止された
  • 分野:医薬品臨床試験
  • 不正年:2007年~2011年(推定)
  • 発覚年:2010年
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はマハトマ・ガンディー記念医科大学の眼科医・アナン・ライ医師(Anand Rai)
  • ステップ2(メディア): インドの新聞・テレビ
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ): ①マハトマ・ガンディー記念医科大学。②インド医学評議会(Medical Council of India)。③最高裁判所。
  • 不正:ネカトではない。非倫理的な医薬品臨床試験
  • 不正論文数:論文のネカトではないので、一応、0報とする。
  • 被害(者):2,365人の患者に投与され、81人に深刻な副作用が見られ、35人が死亡した。
  • 結末:マハトマ・ガンディー記念医科大学は、11人の医師を停職処分(停職期間不明)。インド医学評議会は8人の医師の医師免許登録を3か月間停止した。賠償金や罰金はなし(推定)

●2.【日本語の解説】

マハトマ・ガンディー記念医科大学の臨床試験事件の日本語の解説はなかった。

以下は、事件の背景となる日本語の解説で、多国籍製薬企業がインドで非倫理的な臨床試験をしている問題点を指摘した記事である。

★2011年6月21日:ジェーソン・オーバードーフの「ニューズウィーク日本版」記事:「「臨床治験天国」インドの闇」

出典 → ココ、(保存版

人口12億人の多くが満足な医療行為を受けられないインドにおいて、開発中の新薬を無料で試せる臨床治験に望みを託す人は増える一方。今やインドは世界有数の臨床治験大国となったが、治験の市場が4億ドル規模に膨らむ中、合法的な「人体実験」がインド人の健康にもたらす負の側面が浮き彫りになりつつある。

「規制が少ないうえに強制力がなく、倫理上の問題も軽く考えられている」と、ニューデリーで女性の健康問題に取り組む団体「サマ」の研究者アンジャリ・シェノイは言う。「インドが臨床治験の拠点として成長し、治験の件数が増え続けるにつれて問題は大きくなっている」

公式な統計によれば、治験の過程で死亡したインド人は昨年だけで670人、08年以降で1500人に達する。治験に起因すると認定された死亡例はほとんどないが、治験参加中に死んだ患者の死因を調査する独立した検死機関もない。

一方、ムンバイを拠点とする「倫理と権利の研究センター」が行った調査では、グラクソ・スミスクラインやジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカといった多国籍の巨大製薬会社が医療倫理の一線を越えているとの指摘があった。

ジャーナリストのサンディヤ・スリニバサンと研究者のサチン・ニカルゲが実施した同調査によれば、乳癌や急性そう病、統合失調症の治療薬の治験において、製薬会社はどんな治験であろうと飛びつくぐらいに治療を必要としている患者を治験に使ったという。精神疾患の患者の場合は、治験の意味を理解していたかどうかさえ怪しい。

●3.【事件の経過と内容】

【バイアパム試験不正事件(Vyapam scam)】

記事の本命はマハトマ・ガンディー記念医科大学(Mahatma Gandhi Memorial Medical College)の非倫理的な臨床試験事件なのだが、同時期に起こったバイアパム試験不正事件(Vyapam scam)にも関係者が絡むので、こちらを先に軽く説明しよう。
→ Vyapam scam – Wikipedia

バイアパム試験不正事件(Vyapam scam)はインドのマディヤ・プラデーシュ州(Madhya Pradesh)の政治家、官僚、ビジネスマンが関与した入学試験や採用試験での不正事件である。

マディヤ・プラデーシュ州専門試験委員会(Madhya Pradesh Professional Examination Board:MPPEB)は州立大学の入試や州職員の採用を実施する州の公的機関である。

その、マディヤ・プラデーシュ州専門試験委員会の係員が、政治家、官僚、ビジネスマンから賄賂をもらって、不正な試験を行なっていた。

マハトマ・ガンディー記念医科大学の入学試験も不正に行なわれていた。そして、恐ろしいことに、関係者の23~40人が「不自然な」死を遂げていた。

マディヤ・プラデーシュ州専門試験委員会の実施する試験の受験者総数は年間320万人と膨大である。

1995年頃から試験不正が報告されていたが、警察が調書として記載したのは2000年が最初である。組織的な試験不正と認められたのは、2009年になってからで、2009年にアナン・ライ医師(Anand Rai)が告発したからである。

しかし、公的機関の対応はなく、2013年7月、アナン・ライ医師(Anand Rai)は公益訴訟(Public Interest Litigation)で訴えた。この訴えを受け、州政府は正式に調査を始め、100人以上の関係者が逮捕された。

なお、公益訴訟(Public Interest Litigation)とは何か? 以下を参照されたい。
→ 伊藤美穂子「インドにおける公益訴訟,その誕生と展開」、横浜国際社会科学研究 第10 巻第5 号(2006年1月)。http://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20171016102648.pdf?id=ART0008111615

https://www.mapsofindia.com/my-india/politics/vyapam-scam-what-is-it-cheat-sheet-key-accused-current-state-of-litigation

★日本語の記事

日本語の記事を選択引用する。
→ 出典:2015年07月03日記事:インドの試験詐欺告発者44人が死亡の不気味: あほうどりのひとりごと 幸福への近道(保存版)

インド・マディヤ・プラデーシュ州のカンニング事件(MPPEBマディヤプラデシュ州プロフェッショナル医療入学試験)が明るみになり、インド政府は特別調査グループを設立し、容疑者1800人超を拘束しています。インドサイトによると、関係者44人が死亡したとされます。

死者のほとんどが25~30歳で、彼らは多額の金額を支払い、医療大学への入学を確保していた学生、あるいは不正入学の手引をしていた者でした。

この大規模カンニング事件は大学入試だけではなく、就職試験、公務員試験など多くの試験で発生、不正は替玉受験にとどまらず、受験生のため座席を指定し、更に偽造解答用紙を渡すなどの手法もありました。

主な死亡した関係者

  • マディヤプラデシュ州知事ラムNaresh息子:自宅バンガローで死体で発見。脳内出血
  • DK Sakalley博士:ジャバルプル医科大学の学部長、自宅で焼身自殺
  • Namrata Damor:インドール医療カレッジ学生は、鉄道線路上で死んで発見
  • ナレンドラシントマール博士:29歳のアシスタント獣医官。2015年6月夜刑務所内で胸の痛みを訴えその後死亡
  • ラジェンドラ・アリヤ博士:入院後急激に容体が悪化し死亡

主な逮捕者

  • ジャルマ教育大臣(その後辞任)
  • バンダリ博士(モーリシャスに逃亡)
  • OPシュクラ 技術教育大臣
  • パンカジトリベディ審査員

【医薬品臨床試験(drug trials)】

★臨床試験の事件に話を移そう

非倫理的な臨床試験で死亡した妻・スシーラ(Sushila)の遺影を手にするシャラド・クマール(Sharad Kumar)。http://indiatoday.intoday.in/story/doses-of-death/1/110491.html

2005年頃(推定)から、米国や欧州の巨大な製薬企業がインドの医科大学の教授・医師をカネで操って、貧しく知識の乏しい田舎のインド人に非倫理的な医薬品の臨床試験を始めた。

まず、1つめの動画を見てください。英語がわからなくても、インドの田舎の貧しい状況が写っています。その人たちに対して臨床試験をしたのだ。

【動画】
CNN放送のドキュメンタr-。米国の医薬品会社がインド人をモルモットとして臨床薬物試験をする。「非倫理的な臨床試験(UNETHICAL CLINICAL TRIALS I.flv)」(英語)7分21秒。
Priyali Surが2011/01/13 に公開
以下のリンクが切れた時 → 保存版

【動画】
テレビ討論会。「臨床試験:インド・レポート(Clinical trials: The India report)」(英語)7分2秒。
NDTVが2012/09/23 に公開
以下のリンクが切れた時 → 保存版

★マハトマ・ガンディー記念医科大学の関与

インドの中央部分にマディヤ・プラデーシュ州(Madhya Pradesh)がある。その州のインドール県の県都・インドール(Indore)にインドの名門医科大学・マハトマ・ガンディー記念医科大学(MGMC:Mahatma Gandhi Memorial Medical College, Indore)とマハラジャ・イェシュワントラオ病院(MYH:Maharaja Yashwantrao Hospital)がある。

2007年~2011年(推定)、そのマハトマ・ガンディー記念医科大学の教授・医師たちもカネにつられて、非倫理的な臨床試験に参加した。

2010年、インド医学評議会(Medical Council of India)にマディヤ・プラデーシュ州(Madhya Pradesh)・健康局に臨床試験の被害者たちから多数の苦情が寄せられていた。

健康被害のデータを集計すると、未承認の医薬品が、2,365人の患者に投与され、81人に深刻な副作用が見られ、35人が死亡していた。対象者には特に子供が多く、2,365人の患者の内、1,644人が子供だった。

医薬品の臨床試験は数千万ルピー(約数千万円)のカネが動く大事業だった。

主催者は1,000病床を擁するマハトマ・ガンディー記念医科大学(MGMC :Mahatma Gandhi Memorial Medical College)とマハラジャ・イェシュワントラオ病院(MYH :Maharaja Yashwantrao Hospital)の教授・医師たちだった。

2012年2月、マディヤ・プラデーシュ州政府は6人の医師を調査し始めた。

2012年10月、患者のスワスティヤ・マンチ(Swasthya Adhikar Manch)はマハトマ・ガンディー記念医科大学の臨床試験で重度の副作用を受けたと公益訴訟(Public Interest Litigation)で訴えた。公益訴訟なので、最高裁判所の審理になった。

前述したバイアパム試験不正事件(Vyapam scam)で不正者を公益訴訟(Public Interest Litigation)に訴えたアナン・ライ医師(Anand Rai、写真出典)は、臨床試験での事態の悪化を見て、非倫理的な臨床試験の問題に戦う先頭に立った。

なお、アナン・ライ医師は、マハトマ・ガンディー記念医科大学を卒業し、マハトマ・ガンディー記念医科大学の上級研修医(眼科)である。

アナン・ライ医師(Anand Rai)

アナン・ライ医師(Anand Rai)は、また、情報公開法(RTI)で得た資料を分析し、インフォームドコンセントを得ない非倫理的状況で臨床試験を行なっていたことも糾弾した。

2012年のインド議会(Rajya Sabha)の報告書では、インド全土で、2007年以降(2007年~2011年の5年間?)、治験者の2,163人が死んでいた。そのうち32人はマハトマ・ガンディー記念医科大学での死者だった。

また、アナン・ライ医師(Anand Rai)の情報公開法(RTI)での開示要求に答えて、インド医薬品統括局(Drug Controller General of India:DGCI)は、インド全土で、2008年~2011年の4年間に2,376回の臨床試験が行なわれ、治験者の2,0 31人が死んでいた、と開示した。ただし、臨床試験を行なった病院を開示しなかった。

調査を進めると、2008年1月~2010年10月、 マハトマ・ガンディー記念医科大学は精神疾患患者にインフォームドコンセントを得ないで臨床試験を行なったことがわかってきた。
→ Committee recommends restarting clinical trials in Madhya Pradesh

2012年3月、アナン・ライ医師(Anand Rai)は、州健康局は事態を調査しているのに、インド政府のグラム・ナビ・アザド健康大臣(Ghulam Nabi Azad)は何も発表せず、この事実を隠蔽していると抗議した。
→ 2012年3月14日記事:Health ministry hiding facts in Indore clinical trial case?

2012年10月22日、マハトマ・ガンディー記念医科大学は医薬品の非倫理的な臨床試験に関与したとして11人の医師を停職処分に科した。
→ 2012年10月22日のヴィドヤ・クリシュナン(Vidya Krishnan)記者の「Livemint」記事:MP govt to act against 11 Indore doctors – Livemint

「夫をモルモット」にしたと訴える死亡または重度の副作用を被った患者の家族。写真:http://www.livemint.com/Politics/NxmwzRufEq2Efjcl888OFJ/MP-govt-to-act-against-11-Indore-doctors.html

2017年8月4日、インド医学評議会(Medical Council of India)は、最終的にマハトマ・ガンディー記念医科大学とマハラジャ・イェシュワントラオ病院の8人の医師の医師免許登録を3か月間停止した。非倫理的な薬物療法を行ったと判定されてから7年後である。

8人の医師は新聞に氏名が公表された。氏名をラテン文字のまま以下に記す。マハラジャ・イェシュワントラオ病院長のVS Paul医師、前病院長のRamgulam Rajdan医師、それに、Anil Bharani医師、Shish Pate医師、小児科医のHemant Jain医師、小児科医のUjjawal Sardesai医師、小児科医のPali Rastogi医師、小児科医のAbhay Paliwal医師である。

現・病院長と前・病院長もいるので、病院全体の組織的な事件だった。

8人の医師のマハトマ・ガンディー記念医科大学での役職が記載されていないが、教授・準教授・助教授であろう。

●4.【白楽の感想】

《1》防ぐ方法

この事件はネカト事件ではない。

2007年~2012年の5年間、インド全土の医科大学教授・医師が、国際的な製企業のカネにつられて、医薬品の非倫理的な臨床試験をしていた。そして、治験者の2,163人が死んでいた。

マハトマ・ガンディー記念医科大学では、2,365人の患者に投与され、81人に深刻な副作用が見られ、35人(32人との記述もある)が死亡していた。

米国や欧州の巨大な製薬企業がインドの医科大学の教授・医師をカネで操って、貧しく知識の乏しい田舎のインド人に未承認の医薬品を投与したのである。インドでは、この手の規制が甘く、経費が安かったからである。

副作用や死亡に至った詳細な記述がないので、必ずしも、投与医薬品の副作用が原因とは限らないかもしれない。病状の悪化、あるいは、治療ミス、または、臨床試験中に起こった臨床試験とは別の理由の死亡/健康悪化を含めているのかもしれない。しかし、一応、後者は除外されている。

臨床試験でこんなに多くの死亡者が出ているので、医療上の犯罪ととらえるのが正しいと思える。そして、そこに、ネカトもあっただろうが、詳細な報道がないので不明である。

例え、ネカトはなかったにしろ、これだけの死者が出ているので、「間違い」では済まない。インフォームド・コンセントを得ていない「ズサン」さを含め、いくつかのクログレイはあっただろう。

2012年10月22日、マハトマ・ガンディー記念医科大学は医薬品の非倫理的な臨床試験に関与した11人の医師を停職処分(期間不明)に科した。

2017年8月4日、インド医学評議会(Medical Council of India)は、実名を公表し、8人の医師の医師免許登録を3か月間停止した。

それにしても、調査に7年以上かかり、マジ遅いし、結果としての処分が3か月の医師免許停止である。

「人の命は地球より重い」という言葉には違和感を感じるが、35人(32人との記述もある)が死亡した事件の責任医師たちに3か月の医師免許停止では、ひどく陳腐、とてもヘン、チョ―軽い。いや、断固として、マッタクおかしい。インドよ、もっと自国民を愛せないのか! (表現に少々粗暴さがアリ)

しかし、医薬品の非倫理的な臨床試験をどうすれば防げたのか?

正義や規則順守は必須だが、インドにはそれ以前の問題がある。一言で言えば「貧困」だ。「貧困が諸悪の根源」なんだろう。

白楽は、かつてインドの貧困をパハールガンジ通りで体験したことがある。そこは日本の日常では考えられない悲惨さが目のまえで起こっていて、呆然とした。

昔、白楽が米国に滞在していた時、インド系米国人の生命科学者に「生命科学の基礎研究ができるのは米国や欧州や日本のような豊かな国だけだよ。インドなんて貧しい国では基礎研究なんてゼイタクなんだよ」と言われたことがいまだに耳の奥にこびりついている。

インドの医薬品の臨床試験問題は2017年11月4日現在、解決していない。

英語記事で、インドでの医薬品の臨床試験の必要性や、有利性(価格が安いなど)が指摘されている。3つ挙げる。

一方、それら臨床試験の規制が必要だとも議論されている。つまり、2017年11月4日現在も、規制が不十分で、インド国民の安全が脅かされている。

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●5.【主要情報源】

① 2010年8月28日のアンブリーシュ・ミシュラ(Ambreesh Mishra)記者の「India Today」記事:Doses of Death : STATES – India Today 6092010(保存版)
② 2017年8月4日のヴィヴェク・トリベディ(Vivek Trivedi)記者の「News18.com」記事:MCI Suspends 8 Indore doctors’ Registration Over Unethical Drug Trial(保存版)
③ 2012年10月22日のヴィドヤ・クリシュナン(Vidya Krishnan)記者の「Livemint」記事:MP govt to act against 11 Indore doctors – Livemint(保存版)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●コメント

大学:臨床試験(drug trials):マハトマ・ガンディー記念医科大学(Mahatma Gandhi Memorial Medical College)、マハラジャ・イェシュワントラオ病院(Maharaja Yashwantrao Hospital)(インド)」への2件のフィードバック

  1.  いつも大変に勉強させて頂いております。
     何ヵ所か「非論理的」になっている部分がありますが、「非倫理的」が正しいということでしょうか。

    1. 林 征幸様

      ご指摘を「とても」感謝します。ご指摘の通り、「非倫理的」です。訂正しました。

      白楽ロックビル

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