盗博VP113:アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)(ドイツ)

2017年5月21日掲載。

ワンポイント:盗博サイトのヴロニプラーク・ウィキの113番目。3人いる盗用ページ率100%の1人。2009年(33歳?)にドイツのベルリン医科大学で医学(泌尿器科学)の博士号を取得した。2014年(38歳?)に盗博がバレ、博士号ははく奪された。ドイツで、臨床医(泌尿器科)として勤務している。研究はしていない。盗用ページ率は100%で、盗用文字率は約70%である。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.盗用解析
6-1.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch、写真出典)は、2009年(33歳?)にドイツのシャリテ・ベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)で医学(泌尿器科学)の博士号を取得した。

2014年8月24日(38歳?)、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が盗博を告発した。113番目の事件である。 → 1‐4‐10.ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)

ベルリン医科大学はアレキザンダー・モシュコビッシュに授与した博士号をはく奪した。

アレキザンダー・モシュコビッシュは、ドイツで泌尿器科医として医療を行なっているが、研究活動はしていない。

ベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)。© by Charité – Universitätsmedizin Berlin。。写真出典

  • 不正:盗博(盗用博士論文)
  • 国:ドイツ
  • 成長国:? ドイツではないと思う
  • 研究博士号(PhD)取得年月日:2009年9月18日(33歳?)
  • 研究博士号(PhD)取得大学:ドイツのベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)
  • 分野:医学(泌尿器科学)
  • 博士論文タイトル:Analyse der Korrelation des Transrektalen Ultraschalls (TRUS) mit dem korrespondierenden histologischen Befund in der Prostata
    (日本語訳):前立腺の経直腸的超音波断層法 (TRUS)相関する組織学的所見の解析
  • 博士論文審査教授:1. Gutachter: PD Dr. med. Martin Schostak, 2. Gutachter: Prof. Dr. med. Stefan Höcht, 3. Gutachter: PD Dr. med. Christian Wülfing
  • 公開: Berlin, 2009. → Download Deutsche Nationalbibliothek → Download Freie Universität Berlin
    Eintrag DNB
  • 盗博発覚年月日:2014年8月24日(38歳?)
  • 盗用ページ率:100%
  • 盗用文字率:約70%
  • 研究博士号(PhD)はく奪状況:はく奪
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1974年1月1日生まれとする。研究博士号取得の2009年9月18日を33歳とした。
  • 現在の年齢:50 歳?
  • 発覚時地位:
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)の人(詳細不明)
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ベルリン医科大学・調査委員会が調査し、博士号をはく奪した
  • 結末:博士号はく奪。医師として勤務。研究していない

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:不明。仮に1974年1月1日生まれとする。研究博士号取得の2009年9月18日を33歳とした。
  • xxxx年(xx歳):xx大学卒業。ドイツの医師免許取得
  • 2009年9月18日(33歳?):ドイツのベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)で研究博士号(PhD)取得。医学(泌尿器科学)
  • xxxx年(xx歳):ドイツのベルリンで病院開設(泌尿器科)
  • 2014年8月24日(38歳?):盗博が発覚
  • 2014年?(38歳?):ベルリン医科大学が博士号をはく奪した

●5.【不正発覚の経緯と内容】

アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)は、名前から判断して、ロシアなどからの移民の子供だろう(推定)。

2009年(33歳?)にドイツのベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)で医学(泌尿器科学)の博士号を取得した。

2014年4月22日(38歳?)、博士号の取得5年後、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が、盗博と告発した。

それを受けて、ベルリン医科大学は盗博の調査をし、博士号をはく奪した。

ただ、アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)は、学術誌への研究論文の出版は全くなく、研究者というより臨床医である。

●6.【盗用解析】

アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)の博士論文のタイトルは 「Analyse der Korrelation des Transrektalen Ultraschalls (TRUS) mit dem korrespondierenden histologischen Befund in der Prostata
(日本語訳):前立腺の経直腸的超音波断層法 (TRUS)相関する組織学的所見の解析」である。

博士論文の盗用分析図は以下の5色のバーコードである。

  • 青:表題、目次、表、図、文献、付録で、計算に含めない
  • 白:盗用なし
  • 黒:盗用が50%以内
  • 暗い赤:盗用が50%~75%未満
  • 明るい赤:盗用が75%以上

博士論文の本体は24ページで、極端に短い論文だ。

医学の博士論文は文系の博士論文の3分の1ページほどしかないことが多いが、それでも多くの場合、60ページほどはある。モシュコビッシュの博士論文は、通常の医学の博士論文のさらに3分の1ページほどしかない。

盗用ページ率は100%なので赤と黒である。盗用文字率は約70%だった。

なお、元の盗用分析図では、バーコードがページ毎の盗用分析にリンクしている。→ http://de.vroniplag.wikia.com/wiki/Alm

★イラスト表示

以下はページ毎に色分けしたイラスト表示である。

盗用の色分けは、灰色= 逐語盗用(コピペ、文献提示なし)、赤色 = 加工盗用(ロゲッティング、文献提示なし)、黄色 =流用部分が曖昧な盗用(文献提示あり)、 青色 = 翻訳盗用、である。

盗用ページ率は100%で、盗用文字率は約70%である。灰色(逐語盗用)や赤色 (加工盗用)が多い。

★各ページの盗用分析

アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)の博士論文の各ページ毎に盗用分析がされている。盗用があるページは青色で、盗用がないページは赤色である。盗用ページ率は100%なので、全部青色である。青色をクリックすると、各ページが開く。

Haupttext
006007008009010011012013014015016017018019020
021022023024025026027028029

【6ページ目】

1例として、6ページ目(つまり、006)をクリックすると、盗用比較図が出てくる。以下はその1部分を示した。

左側がアレキザンダー・モシュコビッシュの博士論文で右が被盗用論文である。着色部分の文章が同一である。

論文の1ページ目から、逐語盗用と加工盗用のオンパレードである。明白な盗用だ。全体で、盗用ページ率100%、盗用文字率約70%という徹底ぶりもすごい。

●6-1.【論文数と撤回論文とパブピア】

2017年5月20日現在、パブメド(PubMed)で、アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)の論文を「Alexander Moschkowitsch[Author]」で検索した。 0論文がヒットした。

アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)は研究論文は1報も発表していない。

●7.【白楽の感想】

《1》詳細不明

アレキザンダー・モシュコビッシュは、他の盗用ページ率100%のアニタ・リソウスキーとよく似ている。

ドイツの博士号授与規定を知らないが、ドイツでは、学術誌に論文を1報も発表していなくても、博士号が授与される(推定)。

アレキザンダー・モシュコビッシュの博士論文は、本体が24ページととても短い論文である。それなのに、盗用ページ率が100%で、盗用文字率が約70%である。例示した盗用ページは、見事に逐語盗用と加工盗用である。

どうやら、アレキザンダー・モシュコビッシュは論文を書く能力がないと思われる。それで、短い論文にし、さらに、大規模な盗用をしたのだろう。

それなら、博士号を授与すべきではなかったのだ。

この事件は、さほど古くない事件だが、盗博に至る状況が見えてこない。指導教授に大きな責任があるのだろうか? 誰が盗用を教唆したのだろうか?

どうすると盗博を防止できるのかが、見えてこない。

標語:「盗博の博士号は当然はく奪!」

●8.【主要情報源】

① ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)のアレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)サイト:Alm | VroniPlag Wiki | Fandom powered by Wikia
② アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)の病院のサイト:Startseite
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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