2025年4月14日掲載最初 随時更新 【進行中/終了】
福井大学・医学系部門・外科学に所属する(していた)研究者たちの2015年の2論文と2018年の1論文に複数の重複画像があります。論文は弁明・訂正・撤回されておりません。データねつ造の疑惑があり、告発します。既に調査に着手されているかもしれませんが、適切な調査・対処をして下さるようお願い申しあげます。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.最終評価
2.通報・経緯
3.各段階の評価
4.疑惑者
5.疑惑論文
7.白楽の感想
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- 記述は敬称略。
- 白楽ブログの「5C 日本の研究疑惑:通報と対処」の意図は、日本の研究者の研究不正(含・疑惑)を具体的に示し、該当する研究機関の調査・対処の実態を公表・情報共有することです。そのことで、日本の研究不正調査・対処の問題点を日本国民・メディア、及び研究機関・研究者が一緒に考え、日本の研究倫理体制をより良い方向に改善することです。
情報共有し改善策を考えるため、メールおよび文書は基本的に公表します。
●1.【最終評価】
★ステップ
【進行中/終了】
発覚 → 通報(allegation) → 通報対応 → 告発判断(assessment) → 予備調査(inquiry) → 本調査(investigation) → 認定(finding) → 行政措置(懲戒処分など)の裁定(adjudication) → 不服申立て(appeal)
★白楽の最終評価とコメント(終了時に記述する)
福井大学医学部附属病院。文字入れ前の写真出典:https://megalodon.jp/2025-0408-1626-16/https://resident.mynavi.jp:443/search/hospital/detail/10700
●2.【通報・経緯】
★通報
今回は、「パブピア(PubPeer)」案件なので、著者は既に疑惑が指摘されたことを知っているはずである。
―――以下は白楽のやり取り(新→旧 順)ーーー
ーー通報当日:2025年4月14日(月) 08:00、白楽 → 福井大学ーーー
福井大学
研究・地域連携推進部研究推進課御中
件名:研究不正疑惑
貴大学・医学系部門・外科学に所属する(していた)研究者たちの2015年の2論文と2018年の1論文に複数の重複画像があります。論文は弁明・訂正・撤回されておりません。
データねつ造の疑惑があり、告発します。
既に調査に着手されているかもしれませんが、適切な調査・対処をして下さるようお願い申しあげます。
代表として2人の連絡著者を示しますと五井孝憲氏と藤本大裕氏です。
以下のウェブ記事で説明しております。
五井孝憲(Takanori Goi)、藤本大裕(Daisuke Fujimoto)(福井大学)
https://haklak.com/page_Takanori_Goi.html
なお、調査委員会を設置する場合、「被疑者と同じ分野(広義)の研究不正問題に関する専門家」を少なくとも1人含め、委員は全員(弁護士を含め)、研究不正問題を専門とする委員を選任して下さるようお願い申しあげます。つまり、研究不正問題の調査委員会なのに、研究不正問題の専門家ではない委員は妥当な調査・判断ができるとは思えません。
また、貴大学の研究不正調査・対処の問題点を貴大学教職員・日本国民・メディア、及び研究機関・研究者が一緒に考え、貴大学の研究倫理体制をより良い方向に改善したいと考えています。それで、研究不正調査・対処に関する情報の透明性を高めて下さるようお願い申しあげます。いただいたメールと文書は基本的に公表しますのでご了解ください。
よろしくお願い申し上げます。
白楽ロックビル
お茶の水女子大学名誉教授
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●【通報先】
福井大学 研究・地域連携推進部研究推進課
rp-kenkyo@ml.u-fukui.ac.jp
- 通報(告発)先は、一般的に、①学術誌、②大学・研究所、③調査機関(日本にはない)、④メディア(新聞など)、⑤ネカト・ウオッチャー(「撤回監視:Retraction Watch」、「パブピア:PubPeer」、「より良い科学のために:For Better Science」、など)、⑥ネカト・ハンターがある
- ネカト疑惑者には直接、問い合わせしない方が良いとされている
★通報窓口のあらまし:福井大学
ーーー日本語版ーーー
福井大学における研究活動の不正行為への対応
https://www.u-fukui.ac.jp/wp/wp-content/uploads/correspondence_20230401.pdf
福井大学研究・地域連携推進部研究推進課 【責任者:理事(研究,産学・社会連携,ダイバーシティ担当) 】
・住 所 〒910-8507 福井市文京3丁目9番1号
・電話番号 0776-27-8007
・FAX番号 0776-27-9742
・E-mail rp-kenkyo@ml.u-fukui.ac.jp
ーーー英語版ーーー
英語で通報:できない。
福井大学の英語サイトで「research misconduct allegation」「research misconduct」を検索するサイトがない。仕方なしに「University of Fukui research misconduct allegation」「University of Fukui research misconduct」でグーグル検索したが、通報窓口は見つからなかった。 → research misconduct allegation、research misconduct
●3.【各段階の評価】
★通報:福井大学:評価(優/良/可/不可/悪質/なし)とコメント
- 日本語版の通報方法はわかり易い。Emailアドレスが示されている。しかし、不必要な要求がいくつもある。
- 英語版がない(または、見つからなかった)。外国人は英語で通報する。英語で通報できるようにしてほしい。
★通報対応:評価(優/良/可/不可/悪質/なし)とコメント
●4.【疑惑者】
★疑惑:画像重複・不正流用(データねつ造)
★研究者の経歴・所属・地位など
代表として2人の連絡著者を示した。
研究者:五井 孝憲(ゴイ タカノリ)
- 部署:福井大学 医学系部門 医学領域 器官制御医学講座 外科学(1)
- 職位:教授
- 経歴と写真:出典
他の情報:①researchmap、②KAKEN、③スタッフ紹介 | 福井大学第一外科 消化器外科・乳腺外科
- 研究者:藤本大裕(フジモト ダイスケ)
- 部署:福井大学、学術研究院医学系部門(附属病院部)
- 職位:助教
- 現所属・職位:帝京大学・医学部・准教授
他の情報:①researchmap、②KAKEN、③専門医紹介 | 帝京大学医学部附属 溝口病院
●5.【疑惑論文】
★疑惑の具体例
2025年4月13日現在、「パブピア(PubPeer)」で五井 孝憲の3論文にコメントがある。その3論文には、藤本大裕の1論文が含まれる。
以下、3報の疑惑論文の疑惑の一部を示した。異常な画像が1つだと間違いかもしれないが、複数の重複画像がある。その上、意図的に操作したと思える画像もあり、研究不正は濃厚に思える。
============【論文1】============
「2015年9月のOncotarget」論文
- Prokineticin 2 (PROK2) is an important factor for angiogenesis in colorectal cancer.Oncotarget. 2015 Sep 22;6(28):26242-51.
doi: 10.18632/oncotarget.4385.PMID: 26317645
連絡著者は五井 孝憲で、所属は著者全員が福井大学である。
研究助成金(論文から引用):This work was supported in part by Organization for Life Science Advancement Programs and Translational Research Program.
研究助成金の解説: 「Organization for Life Science Advancement Programs」を検索してもヒットしない。「Translational Research Program」を検索すると米国のTranslational Research Program (TRP)がヒットした。助成組織はよくわからない。
助成金額の記載はないので不明。
ーーーーーーー論文1の①:重複画像ーーーーー
2017年2月、匿名者は、図1Bの同色枠の2セットの画像は、試料が異なるのに同じ画像のように見える、とコメントした。2025年2月、別の匿名者は、同じ指摘を以下の画像で示した。
出典:https://pubpeer.com/publications/CC0195E3718B88F314B154AA130A70
ーーーーーーー論文1の②:画像転用ーーーーー
2025年2月、Livilla complexaは、図1Bの画像は、同じグループの「2018年のOncotarget」論文の図4Aの画像と同じだと指摘した。試料が異なる場合もある。この画像転用は論文3でも示す。出典:https://pubpeer.com/publications/CC0195E3718B88F314B154AA130A70
2025年4月13日現在、著者らは、問題の指摘に対して、何も説明していない。試料は異なるのに同じ画像の結果になるのはあり得ない。また、自分たちの過去の論文の画像を使いまわしている。単なる間違いなら、なぜ放置するのだろう。
論文は訂正も撤回もされていない。
============【論文2】============
「2015年10月のOncotarget」論文
- PAR1 participates in the ability of multidrug resistance and tumorigenesis by controlling Hippo-YAP pathway.Oncotarget. 2015 Oct 27;6(33):34788-99. doi: 10.18632/oncotarget.5858.
連絡著者は藤本大裕(Fujimoto D)で、所属は著者全員が福井大学である。2025年現在、藤本大裕の所属は帝京大学である。
研究助成金:藤本大裕が研究代表者で日本学術振興会の研究助成を受けている (Grant number: 26861065)。3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)を使用した。
ーーーーーーー論文2の①:重複画像ーーーーー
2025年3月、Cherokia georgiana が、図6Cの黄色枠の画像は試料が異なるのに、 図2Aの黄色枠の画像がとても良く似ていると指摘した。ImageTwinで検出した。出典:https://pubpeer.com/publications/1EA3EA8CB2ECAAA95FA41BB31DA096
ーーーーーーー論文2の②:重複画像ーーーーー
2025年3月、Cherokia georgiana が、図3Bの青色枠の画像は試料が異なるのに、 図4Bの青色枠の画像ととても良く似ていると指摘した。ImageTwinで検出した。出典:https://pubpeer.com/publications/1EA3EA8CB2ECAAA95FA41BB31DA096
ーーーーーーー論文2の③:意図的操作した重複画像ーーーーー
2025年3月、Cherokia georgiana が、図5Cの同色枠のバンド画像はととても良く似ていると指摘した。回転やサイズ変更をしているので、意図的である。ImageTwinで検出した。出典:https://pubpeer.com/publications/1EA3EA8CB2ECAAA95FA41BB31DA096
2025年4月13日現在、著者らは、問題の指摘に対して、何も説明していない。試料は異なるのに同じ画像の結果になるのはあり得ない。単なる間違いなら、なぜ放置するのだろう。
論文は訂正も撤回もされていない。
============【論文3】============
「2018年のOncotarget」論文
- Prokineticin 2 expression as a novel prognostic biomarker for human colorectal cancer.Oncotarget. 2018 Jul 10;9(53):30079-30091.
doi: 10.18632/oncotarget.25706. eCollection 2018 Jul 10.PMID: 30046389
連絡著者は五井 孝憲で、所属は著者全員が福井大学である。
研究助成金:論文に記載なし
ーーーーーーー論文3:重複画像ーーーーー
2025年2月、Livilla complexaが、図4Aの黄色枠の画像は試料が異なるのに 、同じグループの「2015年のOncotarget」論文の1Bの画像と同じだと指摘した。また、自分たちの過去の論文の画像を使いまわしている。出典:https://pubpeer.com/publications/81742C5F6E0EB0F39691576B497F26
2025年4月13日現在、著者らは、問題の指摘に対して、何も説明していない。
2015年論文の画像を2018年論文で使用しているのだが、上記・論文1で説明したように、2015年論文の画像は、2017年2月に問題を指摘された。それなのに、指摘に対処せず、指摘後、2018年論文に使用している。
3年前の画像を、間違えて使用するだろうか? 3年前の論文画像は別のフォルダーに格納し、2018年の画像と区分けされていたはずだ。
意図的に使用したと思える。
研究不正疑惑が生じるので、調査して欲しい。
●7.【白楽の感想】
《1》自律的?
研究不正疑惑者として連絡著者の五井 孝憲と藤本大裕を代表として挙げたが、実際のネカト行為者は共著者の誰かかもしれない。
もちろん、論文の著者は全員、実際のネカト行為者でなくとも、その論文に不正が見つかれば、不正者としての責任がある。ただ、研究室主宰者や連絡著者の責任は大きい。
いつも思うだけれど、大学・研究機関は、自分の組織内の研究不正が既にウェブ上で指摘されているのに、誰かから告発されるまで受身で待っている。自律的に調査しようしないのはどうしてだろう?
「パブピア(PubPeer)」で指摘されたネカト告発を自分の大学・研究所に通知してもらうサービス(PubPeer Institution Dashboard)を利用している日本の大学・研究機関はどれほどあるのだろう? そもそも、このサービスを知っているのだろうか?
日本の大学・研究機関は受け身すぎる。
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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