化学:シャオリン・リウ(刘晓玲、Xiaoling Liu)、ブリギッテ・フォイト(Brigitte Voit)(ドイツ、中国)

2022年8月30日掲載 

ワンポイント:リウは、中国で修士号を取得し、ドイツのドレスデン工科大学(Technische Universität Dresden)で研究博士号(PhD)を取得した。ドイツのライプニッツ高分子研究所(Leibniz Institute for Polymer Research)・ポスドクをし、2018年、中国の四川大学・高分子科学・副研究員になった。フォイトはドイツでの指導教授で、ライプニッツ協会(Leibniz Society)の研究公正委員だった。2019年8月(リウ31歳?)、パブピアで論文画像のねつ造が指摘された。問題論文は2017~2021年(リウ29~33歳?)の7論文となった。内、2017~2019年の4論文が2021~2022年に撤回された。フォイト教授は、リウをかばうなど不誠実だったのでライプニッツ協会から懲戒処分された。ドイツの大学、中国の大学はネカト調査をしていない。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

シャオリン・リウ(刘晓玲、Xiaoling Liu、ORCID iD:?、写真出典)は、中国で修士号を取得し、ドイツのドレスデン工科大学(Technische Universität Dresden)で研究博士号(PhD)を取得した。2017~2018年にドイツのライプニッツ高分子研究所(Leibniz Institute for Polymer Research)・ポスドクをし、2018年、中国に帰国し、四川大学・高分子科学・副研究員になった。専門は医用高分子材料学(高分子化学)である。

ブリギッテ・フォイト(Brigitte Voit、写真出典)はリウのドイツ滞在中の指導教授である。

フォイト教授は研究公正委員であるにもかかわらず、リウをかばうなどしたので、ライプニッツ協会はフォイト教授を懲戒処分した。

ネカト行為はリウがしたことなので本記事では、リウを主役にフォイト教授を脇役にした。断らない限り、( )内の年齢はリウの年齢を示す。

2019年8月(31歳?)、キロコラス・ポリタス(Chilocorus politus)がパブピアで、リウの「2019年8月のAngew Chem Int Ed Engl」論文に画像の重複があると指摘した。

この時、リウは中国に帰国していた。

結局、問題論文は2017~2021年(29~33歳?)の7論文となった。内、2017~2019年の4論文が2021~2022年に撤回された。2017年の博士論文もネカト論文と思われる。

しかし、ドイツのライプニッツ高分子研究所も中国の四川大学もリウのネカト調査をしていない。博士論文のネカト調査もしていない。それで、リウは処分されていない。

ライプニッツ高分子研究所(Leibniz Institute for Polymer Research)。写真出典

四川大学・高分子科学。写真出典

★シャオリン・リウ(刘晓玲、Xiaoling Liu)を中心に

  • 国:ドイツ、中国
  • 成長国:中国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:ドイツのドレスデン工科大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1988年1月1日生まれとする。2010年に学士号を取得した時を22歳とした
  • 現在の年齢:34 歳?
  • 分野:医用高分子材料学
  • 不正論文発表:2017~2021年(29~33歳?)の4年間
  • 発覚年:2021年(33歳?)
  • 発覚時地位:四川大学・副研究員
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はキロコラス・ポリタス(Chilocorus politus)とネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)で「パブピア(PubPeer)」に公表
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②ドイツの大学も中国の大学も調査していない
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:ドイツの大学も中国の大学も調査していない(✖)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:2017~2021年(29~33歳?)の7論文。多分、2017年の博士論文も不正
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は5億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

★シャオリン・リウ(刘晓玲、Xiaoling Liu)

主な出典:刘晓玲-四川大学高分子科学与工程学院

  • 生年月日:不明。仮に1988年1月1日生まれとする。2010年に学士号を取得した時を22歳とした
  • 2010年(22歳?):中国の四川大学(しせんだいがく、Sichuan University)で学士号取得:化学
  • 2013年(25歳?):同大学で修士号取得:化学
  • 2017年(29歳?):ドイツのドレスデン工科大学(Technische Universität Dresden)で研究博士号(PhD)を取得:化学
  • 2017~2018年(29~30歳?):ドイツのライプニッツ高分子研究所(Leibniz Institute for Polymer Research)・ポスドク
  • 2018年(30歳?):四川大学高分子科学・副研究員
  • 2021年(33歳?):不正研究が発覚する
  • 2022年8月29日(34歳?)現在:四川大学・副研究員職を維持

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★中国人、ドイツに行く

シャオリン・リウ(刘晓玲、Xiaoling Liu)は中国人で、2013年、中国の四川大学(しせんだいがく、Sichuan University)で修士号を取得した後、ドイツのドレスデン工科大学(Technische Universität Dresden)の大学院に入学した。その時の指導教授がブリギッテ・フォイト教授(Brigitte Voit – Wikipedia)だった。

2017年(29歳?)、ドイツのドレスデン工科大学で研究博士号(PhD)を取得した。

博士論文は「複数の酵素的カスケード反応を制御可能にする模倣人工細胞である高分子マルチコンパートメント化システム(Polymeric Multicompartmentalized Systems Mimicking Artificial Cells for Controllable Multiple Enzymatic Cascade Reactions)」で、ウェウ上に公表されている。 → Qucosa – Technische Universität Dresden

研究博士号(PhD)を取得したのち、数か月、ドイツのライプニッツ高分子研究所(Leibniz Institute for Polymer Research)のフォイト教授の研究室で、ポスドクとして過し、2018年(30歳?)に中国に帰国した。

帰国した中国で、母校・四川大学高分子科学の副研究員になった。

ネカト問題になった論文は、ドイツの院生・ポスドク時代と中国帰国後の論文である。

★最初のネカト発覚

2019年8月(31歳?)、キロコラス・ポリタス(Chilocorus politus)がパブピアで、リウの「2019年8月のAngew Chem Int Ed Engl」論文に画像の重複があると指摘した。

シャオリン・リウ(Xiaoling Liu)が第一著者でブリギッテ・フォイト教授(Brigitte Voit)が最後著者だった(以下)。

図4の電子顕微鏡写真の赤丸で示した部分が重複していた。以下のパブピアの図の出典:
https://pubpeer.com/publications/081CB94A0F970314B7DC59D3188E6F#

2019年11月(31歳?)、指摘の3か月後、リウは以下の図を示し、画像は似ているけど色の濃さが異なり、別の画像だと主張した。

2019年11月(31歳?)、しかし、今度は、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik、写真出典)が、キロコラス・ポリタス(Chilocorus politus)の指摘を支持すると、科学分析手法(https://29a.ch/photo-forensics/#clone-detection)を使った以下の分析図示した。

こうなると、画像は「似ている」ではなく、「同じ」であることが証明されたことになる。

2021年7月日(33歳?)、結局、「2019年8月のAngew Chem Int Ed Engl」論文は取り下げられた(Withdrawal)。

「Withdrawal(論文の取り下げ)」は「撤回」とは異なり、論文は「Angew Chem Int Ed Engl」誌から削除された。

レオニッド・シュナイダーの問い合わせに、フォイト教授は次のように答えた。

論文の「取り下げ(withdrawal)」と「撤回(retraction)」は異なります。論文はまだ採択段階でした。つまり、論文はまだ出版されていませんでした。この場合、出版社の方針に従い、論文は「取り下げ(withdrawal)」られ、実際に削除されました。出版公開された後に論文に問題があれば「撤回」になりますが、出版前なら「取り下げ(withdrawal)」です。ただ、今回の論文はオンラインで公開されたので、「撤回」という印がつきました。

そういえば、白楽ブログで、以前、エルゼビア社の用語を説明したことがあった。 → 7-5.研究ジャーナルの論文撤回規定:デイビッド・レズニック(David B. Resnik)ら、2015年7月 | 白楽の研究者倫理

文章を再掲すると以下のようだ。

Withdrawal(論文の取り下げ): 出版待ちの論文(Articles in Press)にのみ適用され、間違いや誤って2度投稿された論文に適用されます。それほど数は多くありませんが、二重投稿、不正なオーサーシップ、盗用、データの不正使用など倫理規範に反する論文の場合もあります。
Article Replacement(論文の差し替え): 利用した場合に健康上の深刻なリスクをもたらすと思われる誤ったデータまたは不正確なデータが発見された場合に行います。
Article Retraction(論文の撤回): 二重投稿、不正なオーサーシップ、盗用、データの不正使用など、倫理規範に反する論文に適用されます。出版論文の誤りを修正するために撤回される場合もあります。
Article Removal(論文の削除): 出版社、著作権所有者、著者に対する法的制約によって行います。

★データ(図)の再利用

上記は「2019年8月のAngew Chem Int Ed Engl」論文の「取り下げ(Withdrawal)」だが、その論文とは別の「2019年のChemistry」論文に他の論文の図と類似の図があると、レオニッド・シュナイダーはフォイト教授に指摘した。

フォイト教授は次のように答えた。

論文では、以前に発表したシステムと今回の新しいシステムの2つのシステムを比較しています。それで、意図的にデータ(図)を再利用しました。なんか問題があります?

レオニッド・シュナイダーは以下のように異議を唱えている。

データ(図)の再利用についてはさまざまな考え方がある。

1つの考えは、以前のシステムと比較する時、以前のシステムで実験を繰り返し、そのデータ(図)を使うべきだという考えだ。もう1つの考えは、フォイト教授の説明のように再利用して良いという考えだ。しかし、その場合、過去の論文で得たデータ(図)だと示すべきである。上記論文では、データ(図)は過去の論文で得たデータ(図)の再利用という記載がない。

★所属偽装

レオニッド・シュナイダーはさらに別の問題も指摘している。

取り下げられた(Withdrawal)「2019年8月のAngew Chem Int Ed Engl」論文でのリウの所属は中国の四川大学になっていた。ドイツのライプニッツ高分子研究所を併記していない。

レオニッド・シュナイダーが問い合わせると、フォイト教授は次のように答えた。

リウさんが中国で新しい職場を見つけ、そこでもいくつもの実験をし、論文を投稿しました。以前お伝えしたように、図4の重複問題を払拭できなかったので、「2019年8月のAngew Chem Int Ed Engl」論文はすべての著者の同意を得て、取り下げらました(Withdrawal)。これ以上、言うことは何もありません。

と言うことは、図4の電子顕微鏡写真も中国で撮影したと、フォイト教授は断言したことになる。

しかし、「2019年のChemistry」論文の謝辞に「電子顕微鏡写真の撮影ではDr. P. Formanekに感謝します」とあった。2017年のリウの博士論文にも「電子顕微鏡写真の撮影ではDr. P. Formanekに感謝します」とあった。

Dr. P. Formanekはドイツのライプニッツ高分子研究所の研究員である → Dr. Petr Formánek | Leibniz Institute for Polymer Research Dresden

図4の電子顕微鏡写真はほぼ間違いなく、ドイツのライプニッツ高分子研究所で撮影したものだ。ということは、「2019年8月のAngew Chem I nt Ed E ngl」論文でのリウは所属偽装をした。フォイト教授はそれを容認する共犯者である。そして、電子顕微鏡写真の撮影日や撮影場所を改ざんしたことになる。

ドイツ研究評議会(DFG)は、論文発表後少なくとも10年間は生データの保存をドイツのすべての研究機関に義務付けている。ライプニッツ高分子研究所が所属するライプニッツ協会(Leibniz Society)は、10年間、生データの保存を義務付けている。

図4の電子顕微鏡写真の生データは2029年まで保存する義務がある。

どうして、その生データで検証しないのか?

★さらなるデータ(図)の再利用

さらに、リウとフォイト教授は「2020年のPolymer Chemistry」論文でもデータ(図)の再利用をしていた。

シャオリン・リウ(Xiaoling Liu)が第一著者でブリギッテ・フォイト教授(Brigitte Voit)が最後著者だった(以下)。

2021年10月、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、データ(図)が同じだと指摘した。

よく見ると、異なる高分子なのにデータ(図)が同じである。データ(図)の再利用ではあるが、これはデータねつ造だ。

以下のパブピアの図の出典:
https://pubpeer.com/publications/48A9DC00A041358455A40036A0DF32

★中国に帰国しても

リウは中国に帰国してもデータ(図)ねつ造を繰り返している。

2021年9月、ネカトハンターのチェシャー(Cheshire、またの名をActinopolyspora biskrensis)が、ブリギッテ・フォイト教授(Brigitte Voit)が著者に入っていない「2019年のJournal of Membrane Science」論文にデータ(図)の重複があると指摘した。

  • Surface engineering of low-fouling and hemocompatible polyethersulfone membranes via in-situ ring-opening reaction
    Haifeng Ji , Hao Xu , Lunqiang Jin , Xin Song , Chao He , Xiaoling Liu, Lian Xiong , Weifeng Zhao, Changsheng Zhao
     Journal of Membrane Science (2019) doi: 10.1016/j.memsci.2019.03.082

以下のパブピアの図の出典:
https://pubpeer.com/publications/D939D1D02B27FBA3C28110C7646C92

2022年4月5日、なお、このデータ(図)の重複は、Changsheng Zhao(リウのボス?)が「すみません。間違えました」と、訂正した。 → Corrigendum to “Surface engineering of low-fouling and hemocompatible polyethersulfone membranes via in-situ ring-opening reaction” [J. Membr. Sci. 581 (2019) 373–382] – ScienceDirect

なお、データ(図)の重複は1論文だけではない。

「2019年のJournal of Materials Chemistry B」論文にもあった。

  •  Intelligent antibacterial surface based on ionic liquid molecular brushes for bacterial killing and release
    Lunqiang Jin, Zhenqiang Shi , Xiang Zhang , Xiaoling Liu, Huiling Li , Jingxia Wang , Feng Liang , Weifeng Zhao , Changsheng Zhao
    Journal of Materials Chemistry B (2019)

2021年9月、ネカトハンターのチェシャー(Cheshire、またの名をActinopolyspora biskrensis)が指摘した。以下のパブピアの2つの図の出典:
https://pubpeer.com/publications/D4464442337EBFCF2C7A32AF68543C

なお、この画像重複の指摘に対して、著者たちは無視状態です。どう考えても、上手い言い訳が見つからない。

★フォイトの否定

ブリギッテ・フォイト教授(Brigitte Voit)は、シャオリン・リウ(Xiaoling Liu)のドイツのドレスデン工科大学(Technische Universität Dresden)院生時代の指導教授だった。ポスドクの上司でもあった。

リウの論文のデータ(図)の異常を指摘された初期の頃、フォイト教授は指摘に真摯に対応せず、リウをかばった。自身の保身もあったと思う。

レオニッド・シュナイダーにフォイト教授は次のように答えたことで、リウに対する彼女の立場を明らかにしてしまった。

「彼女(シャオリン・リウ)は素晴らしい研究をしました。 ネカト調査をする理由はありません」

フォイト教授はライプニッツ高分子研究所の科学ディレクター(scientific director)なので、ネカト調査をするかどうかを判断する立場である。

レオニッド・シュナイダーはフォイト教授がネカト調査を否定しているので、上部の中央オンブズパーソンであるライプニッツオンブッド委員会(Leibniz Ombuds Committee)に訴えようかと思った。

ライプニッツ協会(Leibniz Society)の中心的なオンブズパーソンは誰だと思いますか?

そう、あなたの想像通りです。

フォイト教授が中央オンブズパーソンなのだ。

★フォイトのネカト

2022年6月24日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事では以下のようだ。

レオニッド・シュナイダーが通報したことで、フォイト教授はライプニッツ協会(Leibniz Society)の中央オンブズパーソンを辞任した(解任された?)。

確かに、2022年5月24日時点の中央オンブズパーソンは以下の4人だった。

Prof. Hans-Georg Joost (DIfE, Section C)
Prof. Brigitte Voit (IPF, Section D – office temporarily vacant)
Prof. Gert G. Wagner (DIW, Section B)
Prof. Eckart D. Gundelfinger (LIN, Section C)

この4人は2020年3月に選出され、4年任期である。ところが、2022年7月13日時点で、以下のように、フォイト教授の名前はない。

4人の委員の内、Prof. Hans-Georg Joost だけが残って、フォイト教授と共に他の3人は改選されてしまった。フォイト教授だけ変えればよいところ、なんか、ごまかした印象です。 → 2022年7月13日時点の委員出典:https://web.archive.org/web/20220713003854/https://www.leibniz-gemeinschaft.de/en/about-us/leibniz-integrity/good-scientific-practice-and-ombuds-services

そして、当然というべきか、皮肉というべきか、ライプニッツ協会はフォイト教授のネカト調査を始めた。

ライプニッツ協会、調査の結果、フォイト教授は意図的なデータねつ造行為をしなかったが、研究を監督する管理者・部門長として部下のネカト行為に適切に対処しなかった、とした。そして、フォイト教授を懲戒処分した。

早い話、フォイト教授はネカトで有責とされた。

ライプニッツ協会(Leibniz Society)の研究公正を担う中心的な人物の1人がネカトで有責なんです。まったく、人選がいい加減というか、デタラメですね。

【ねつ造・改ざんの具体例】

上記したので、省略

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

シャオリン・リウ(刘晓玲、Xiaoling Liu)を中心に記載し、ブリギッテ・フォイト教授(Brigitte Voit)のは記載しなかった。

中国人は同姓同名の人がかなりいる。インターネット検索では、識別困難な場合がある。中国では困らないのだろうか? 

★パブメド(PubMed)

2022年8月29日現在、パブメド(PubMed)で、シャオリン・リウ(Xiaoling Liu)の論文を「Xiaoling Liu[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2022年の21年間の526論文がヒットした。

2022年8月29日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、3論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2022年8月29日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでシャオリン・リウ(Xiaoling Liu)を「Xiaoling Liu」で検索すると、 0論文が訂正、1論文が懸念表明、4論文が撤回されていた。

2017~2019年出版された4論文が2021~2022年に撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2022年8月29日現在、「パブピア(PubPeer)」では、シャオリン・リウ(Xiaoling Liu)の論文のコメントを「authors:”Xiaoling Liu”」で検索すると、12論文にコメントがあった。

ただ、同姓同名の別人の論文があるようだ。2006年と2015年の2論文は同姓同名の別人の論文である。他の10論文にも同姓同名の別人の論文がありそうだ。

それで、ブリギッテ・フォイト(Brigitte Voit )と共著の論文に限定した。すると、2017~2021年(29~33歳?)の5論文になった。中国での上司であるChangsheng Zhaoとの共著論文は4報あり、内、2報はフォイトが共著になっていたが、2報はなっていなかった。

それで、結局、問題論文は2017~2021年(29~33歳?)の7論文となった。

●7.【白楽の感想】

《1》ネカト体質 

シャオリン・リウ(刘晓玲、Xiaoling Liu)は、ネカトを指摘されても、ごまかす発言をし、逃げ切る姿勢が濃厚である。ドイツの院生時代だけでなく、中国に帰国してもネカト論文を出版している。印象としてはネカト体質なので、強い処分を科さないと、ネカトを止めないだろう。

ネカトの法則:「強い衝撃がなければ、研究者はネカトを止めない」

防ぐ方法は、リウに強い処分を科すか、学術界から排除する事だろう。

しかし、中国はそうしない。「すみません。間違えました」方式を認めている。

《2》馬鹿だなあ 

ドイツでのシャオリン・リウの指導教授だったブリギッテ・フォイト(Brigitte Voit)も馬鹿な人だ。

レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がネカトを指摘しているのに、リウをかばい、ネカト調査をしない。

フォイト教授はライプニッツ協会(Leibniz Society)の研究公正を担う中心的な中央オンブズパーソンを務めていたのだから、ネカトにもっと敏感であるべきだが、聞く耳をもたなかった。白楽の単純な感想は「馬鹿だなあ」である。

リウのネカト疑惑の初期に、指摘されたネカト疑惑に誠実に対処していれば、問題は簡単に解決したと思う。その後のリウのネカト論文を防止できたハズだ。それを歪めて事態を深刻化してしまった。フォイト教授はライプニッツ協会から懲戒処分を受けて当然だ。

「取り下げ(withdrawal)」と「撤回(retraction)」は異なるなどの議論をしていないで、研究公正にもっと敏感でいて欲しかった。

ライプニッツ協会(Leibniz Society)は、研究公正を担う中心的な中央オンブズパーソンの人選をいい加減にしたというか、デタラメだったのですね。

もっとも、日本も人選がいい加減でデタラメなことが多い。

多くの人は誤解しがちだけど、研究公正に敏感で知識・見識・能力がある人が大学の研究公正責任者(研究担当副学長?)やネカト調査委員になっているわけではない。

選出は、いい加減でデタラメなことが多い。

そもそも、研究公正に敏感で知識・見識・能力がある日本の大学教授はごく少数しかいない。

ブリギッテ・フォイト(Brigitte Voit):https://cfaed.tu-dresden.de/news_reader/hermann-staudinger-preis-fuer-professor-brigitte-voit

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。しかし、もっと大きな視点では、日本は国・社会を動かす人々が劣化している。どうすべきなのか?
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●9.【主要情報源】

① 百度百科:刘晓玲(四川大学高分子科学与工程学院副研究员)_百度百科
② 2021年10月11日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Bad Choices in Dresden – For Better Science
③ 2022年4月28日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Schneider Shorts 8.04.2022 – Flying Claptrap – For Better Science
④ 2022年6月24日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Schneider Shorts 24.06.2022 – Professor XYZ – For Better Science
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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