「セクハラ」:教育学:テレサ・ブキャナン(Teresa Buchanan)(米)

2019年8月22日掲載

ワンポイント:授業での性的言葉はセクハラか? ルイジアナ州立大学(Louisiana State University)・準教授で20年も教育学の授業をしてきた。2013年12月(51歳)、授業で性的言葉を使用したことが「セクハラ」に相当すると、2015年6月(53歳)、大学から解雇された。裁判に訴えたが、敗訴。2017年10月始動の「#MeToo(ミートゥー)」運動以前の事件。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。付録:米田満樹さん。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

テレサ・ブキャナン(Teresa Buchanan、写真出典)は、米国のルイジアナ州立大学(Louisiana State University)・準教授で、専門は教育学(初等教育)だった。

2013年12月(51歳)、授業で性的発言をしたことで、2014年春学期(52歳)から授業禁止になった。

2015年6月(53歳)、授業で性的言葉を使用したことが「セクハラ」に相当すると、大学から解雇された。

その後、裁判に訴えたが、敗訴。

ルイジアナ州立大学(Louisiana State University)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 研究博士号(PhD)取得:xx大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1962年1月1日生まれとする。2015年6月30日の記事に53歳とあるので:LSU professor fired for using salty language in classroom claims she’s ‘witch hunt’ victim, plans suit | Education | theadvocate.com
  • 現在の年齢:59歳?
  • 分野:教育学
  • セクハラ行為:xxxx-2013 年(xx-51歳)のxx年間
  • 最初に訴えられた:2013年(51歳)
  • 社会に公表年:2015年6月(53歳)
  • 社会に公表時地位:ルイジアナ州立大学・準教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は授業を受けた学部4年生のレイチェル・ギン(Rachel Ginn、女性)で、大学に公益通報
  • ステップ2(メディア):多数のメディア
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ルイジアナ州立大学・調査委員会。②ルイジアナ州立大学・教員審査委員会。
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学・処分のウェブ上での公表: なし
  • 大学の透明性:機関は実名発表したが、調査報告書のウェブ公表なし(含・調査時点で削除されている)(△)
  • 不正:セクハラ
  • 被害者数:不明
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分:解雇
  • 裁判:敗訴。上告棄却
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

参考:Teresa K Buchanan | PhD

  • 生年月日:不明。仮に1962年1月1日生まれとする。2015年6月30日の記事に53歳とあるので:LSU professor fired for using salty language in classroom claims she’s ‘witch hunt’ victim, plans suit | Education | theadvocate.com
  • 19xx年(xx歳):xx大学で学士号取得
  • 1991年(29歳):パデュー大学(Purdue University)からTeresa Hughesの名前で論文出版
  • 1993年(31歳)?:パデュー大学(Purdue University)(?)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1995年8月(33歳):ルイジアナ州立大学(Louisiana State University)・教員、最終的にテニアをもつ準教授
  • 2013年12月(51歳):授業でセクハラ発言
  • 2014年(52歳)頃:離婚協議中
  • 2015年6月(53歳):ルイジアナ州立大学から解雇
  • 2016年(54歳):裁判で敗訴
  • 2019年(57歳):上告が棄却

●3.【動画】

【動画1】
ニュース動画(英語)2分29秒。以下のサイトの動画画面をクリックする。
2016年1月21日:LSU professor files lawsuit against university after being fired for using profane language

【動画2】
ニュース動画(英語)2分24秒。以下のサイトの動画画面をクリックする。
2016年1月22日:Former LSU professor sues university

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★発端

テレサ・ブキャナン(Teresa Buchanan)は20年の教員経験があるルイジアナ州立大学(Louisiana State University)・準教授で、テニアをもっていた。専門は教育学だった。

2013年12月、初等教育学の授業で、ブキャナンは自分の性生活や学生の性生活について下品な議論をした。別の新聞記事によると、教育目的ではない性的ジョークを言った、とある。

「Elle」記事では、ブキャナン準教授は受講生のレイチェル・ギン(Rachel Ginn、学部4年生、写真出典)に次のような発言をしたある。
→ 2017年7月17日ウィル・クリーリー(Andrew Goldman)記者の「Elle」記事:You Can Get Fired For Saying That?

レイチェル・ギン(Rachel Ginn)。https://radaris.com/ng/search?ff=Rachel&fl=Ginn&fs=Iowa

授業のレポートを学生が発表し、先生がその発表に対して評価を兼ねたコメントをする授業の場面だった。その時、レイチェル・ギンはレポートの作成に、婚約者が手伝ってくれたと述べた。

すると、ブキャナン準教授は、「あなたの彼は、あなたとのセックスが良い今はあなたのレポート作成を手伝ってくれるけど、5年後、あなたとのセックスに飽きたら、どうでしょう?」と、レイチェル・ギンの性生活について仮想的な話をした。

この発言にレイチェル・ギンは、ブキャナン準教授の性的ジョークは行き過ぎていると「憤慨」し、他の学生と共にブキャナン準教授が授業中に不適切な発言をしたと大学に訴えた。それで、ルイジアナ州立大学は、ブキャナンに2014年の春学期での授業を禁止した。

この時、ブキャナン準教授は丁度、正教授への昇進のための昇格審査が行なわれている時だった。

2015年6月(53歳)、しかし、上記の発言がセクハラに相当するとされ、ブキャナン準教授はルイジアナ州立大学から解雇された。

★教育目的? セクハラ?

ブキャナン準教授はそれまでも授業で性的な発言をしばしばしていた。

例えば、ルイジアナ州立大学の教員審査委員会の委員が、ブキャナン準教授の「注目に値する」性的発言を次のように示している。
→ 2015年6月30日の記事:LSU professor fired for using salty language in classroom claims she’s ‘witch hunt’ victim, plans suit | Education | theadvocate.com

学生の前で繰り返し「F *** no」と言い、臆病の意味で膣のスラング語を使い、男女の関係が長く続くとセックスの質が悪くなるという冗談を言った。
(Saying “F*** no” repeatedly in the presence of students, using a slang term for vagina that implies cowardice and telling a joke that the quality of sex gets worse the longer a relationship lasts.)

「男女の関係が長く続くとセックスの質が悪くなるという冗談」はレイチェル・ギンに対して言ったことである。

その前の2例は、日本語訳で性的卑猥さを正確に伝えられないから、英語のテキストも併記した。ただ、その発言内容が具体的に分かっても分からなくても、白楽には性的卑猥さの程度はよくわからない。笑える冗談レベルなのか、聞くに堪えない卑猥なレベルなのかがわからない。

なお、これらの性的発言が教育目的なのか、講義を円滑に進めるための技術としての性的ジョークなのか、教育と無関係なセクハラ発言なのかが、以降の処罰のポイントとなる。

ブキャナン準教授は、性的発言は、学生が小中学校の教員となった時、生徒や生徒の両親が話す性的な言葉を聞き・理解し・対応ができるように学生に準備させるための教育の一環であると主張した。

教育の一環という意味は、医学生に性病を学ばせるには、性器の構造・機能・病気を教える必要があるというようなことである。初等教育で学ばせる必要がある「性」の内容を白楽は把握していないが、場合によると、ソコソコあるだろう。

もっとも、後で述べるように、ルイジアナ州立大学・学長と裁判所は、ブキャナン準教授の発言は、教育目的ではなく、セクハラ発言だとしている。

しかし、ブキャナン準教授自身は、どうやら授業を面白くするために、性的ジョークを交えて授業していたというのが正直なところらしい。というのは、セクハラ発言は特定の学生を対象にしておらず、受講生全体を対象にしていたからだ。

ブキャナン準教授は、「もしそのカリキュラムがひどい(fucking awful)と思うなら、そうなんでしょう。私は教会の日曜教室で教えているわけじゃないんです」と記者に答えている。

少し偏った見方かもしれないが、その性的ジョークを解さない女性学生が大学に訴えたため、大学はまともに対処するしかなく、硬い処置をしたという意見もあった。レイチェル・ギンは通常は笑ってやり過ごせたとしても、婚約者との関係を侮辱され、強く不快に感じたのかもしれない。

とはいえ、授業を受けた学生の一部がセクハラと感じ、大学当局に訴えれば、大学は規則通りに対処せざるを得ない。そして、2017年10月以降は「#MeToo(ミートゥー)」運動が大きくなり、裁判所はセクハラに厳しく対処するようなった。

★学問の自由

アメリカ合衆国憲法修正第1条(First Amendment)は「表現の自由、報道の自由」を保障している。教育・研究に伴う性的発言は保障されている。だから、授業中の性的発言は教育目的ならOK、教育と無関係ならセクハラとなる。

「 3‐1‐2 セクハラ(Sexual Harassment)の規則・言動例 | 研究者倫理」から要点を以下に再掲する。

教育省はタイトル・ナイン(Title IX)のセクハラ規則・言動例を示している。
→ 2001年1月19日:Revised Sexual Harassment Guidance

質問1:大学の創造的文章執筆クラスで、教授の必須読書リストに、女性を服従的で卑劣な役割に描いたシーンや性行為を露骨に記述した古典文学があった。教授は、学生に自分の経験をレポートに書くことを宿題に課した。宿題で提出したレポートの文章が授業で読まれた。学生の提出したレポートのいくつかは女性を性的に軽蔑的に描いた内容があった。何人かの女性学生がそのクラスの教材と教室でのディスカッションは耐え難い不快な環境だと学部長に訴えた。大学はどう対処すべきか?

回答:この例における学問的言説は、個人にとって不快であっても、アメリカ合衆国憲法修正第1条(First Amendment)が保障する範囲の言論の自由です。タイトルIXは、大学がその教授を処分したり、読書リストや関連するクラスディスカッションを検閲することを要求しません。

★教育の評価

信頼度は低いが、ウェブ上の授業評価では、テレサ・ブキャナン(Teresa Buchanan、写真出典)の授業評価は5人が評価していて、5点満点で4である。
→ T. Buchanan: Rate Professor: Louisiana State (LSU): Koofers

ルイジアナ州立大学の教員3,594人の平均はわからないが、5点満点で4は少し低い印象である。
→ LSU Professor Ratings: Louisiana State: Koofers

★解雇

ブキャナン元準教授は、特定の学生に繰り返しセクハラをしたことはないが、授業ではたびたび性的な言葉を使っていた。性的冗談を言って学生の注意を引いたり、学生に初等教育での性的問題を考えさせることを促していた。

2015年、ルイジアナ州立大学の教員審査委員会がブキャナン準教授の解雇に反対していたにもかかわらず、ルイジアナ州立大学は、結局、ブキャナン準教授を解雇した。

教員審査委員会は解雇ではなく、授業内容のチェックで十分だという判断をしていたのに、大学は解雇したのである。

ブキャナン準教授は、ルイジアナ州立大学の学内政治のスケープゴートになったという指摘もある。

ブキャナン元準教授は解雇は不当としてルイジアナ州立大学を裁判所に訴えた。

ブキャナン元準教授は、学生が教員となった時、生徒や生徒の両親が話す性的な言葉を聞くことができるように学生に準備させるための教育の一環であると主張した。また、それまで、1人の学生も1人の教員も、彼女の授業での性的発言に対して不平不満を述べていなかった。もしこれらの苦情を聞いていたなら、彼女は彼女の教え方を変えたと主張している。

ルイジアナ州立大学・学部上院議長(president of LSU’s Faculty Senate)のケビン・コープ(Kevin Cope、写真出典)は、ブキャナンが大学の規則に違反したという結論を疑問視している。

「個人的な意見ですが、私はこれをセクハラだと思いません。大学のセクハラ処分規則では、性的な言動をしただけでは不十分で、その言動が学生・教職員の学業・職務を明らかに損なわせたという事実が必要です」、と述べた。「冒涜的は言葉を使用したことが解雇の理由なら、大学管理者の3分の2が解雇されますよ」と付け加えた。

★裁判

「教育における個人の権利財団(Foundation for Individual Rights in Education:FIRE)」が、「訴訟スピーチに立ち上がるプロジェクト(Stand Up For Speech Litigation Project)」の活動の1つとして、ブキャナン元準教授の支援に乗り出した。
→ Louisiana State University – Stand Up For Speech Lawsuit – FIRE

裁判記録:Teresa Buchanan Lawsuit Against Louisiana State University | Sexual Harassment | Harassment

しかし、ブキャナンは訴訟で敗訴した。

https://www.brproud.com/news/local-news/former-lsu-professor-sues-university/amp/

★上告棄却:2018年1月10日

ブキャナンは上告した。大学の授業で教育の一環としての性的発言は、アメリカ合衆国憲法修正第1条(First Amendment)が保障する言論の自由だと主張した。

2018年1月10日、裁判所はブキャナンの上告を棄却した。

79ページの略式判決で裁判長は次のように述べている。

ブキャナンの「自分の性生活と生徒の性生活に関する教室での討論」は、社会問題に対する言論の自由に該当せず、アメリカ合衆国憲法修正第1条が保障する言論ではない。また、原告は教育手法の1つだと主張しているが、教育戦略の手法とは言えない。ブキャナンの行動と言論は、学生がそのことに嫌悪感を抱いたので、むしろ、学生の教育の機会を妨げていた。

以下の文書をクリックすると、PDFファイル(268 KB、79ページ)が別窓で開く。

裁判所がブキャナンの上告を棄却したことを受け、ルイジアナ州立大学のアレクサンダー学長(F. King Alexander、写真同)は、次のように述べた。
→ Court rejects First Amendment suit by professor fired over her use of profanity

「大学の教育と研究の礎石である学問の自由を断固として支援するが、この事件は教授の授業の権利や学問の自由とは関係ありません。我々は、言葉による学生への虐待、脅迫、セクハラを含む不適切な言動の証拠を文書として記録しており、裁判所が大学の判断に同意したことを嬉しく思います」。

一方、全米大学教授協会(American Association of University Professors)は、ブキャナン事件に関連して、2015年、ルイジアナ州立大学が「学問の自由」を侵害したという懸念を発表した。全米大学教授協会の副事務局長で、イリノイ・ウェスレヤン大学(Illinois Wesleyan University)教授のハンス=ヨルグ・タイデ(Hans-Joerg Tiede、写真出典)は、次のように述べた。

私たちは、ルイジアナ州立大学が学問の自由に関して問題が多い大学だと以前から指摘しています。そして、最近の裁判所の判断は、ルイジアナ州立大学への私たちの非難運動を変えるものではありません。ルイジアナ州立大学が教員を解雇したことは我々の原則と矛盾していると、私たちは判断しています。裁判所で訴訟が棄却されたが、それでも、私たちの判断は揺るぎません。

★上告棄却:2019年3月22日

2019年3月22日、ニューオーリンズの第5回米国巡回控訴裁判所の3人の裁判官は上告の棄却を再認した。理由はブキャナンの性的発言は教育の目的でなされた発言ではなく、セクハラに該当する、とのことだった。

以下の文書をクリックすると、PDFファイル(164 KB、11ページ)が別窓で開く。

しかし、ブキャナンの弁護士は、第5巡回区全体に事件の再審理を依頼した。弁護士は、ルイジアナ州立大学のセクハラ規則は範囲が広すぎ、ブキャナンの発言の一部は「憲法上保護された言論の自由」で保障されているはずなのに、解雇されたと主張している。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2019年8月21日現在、パブメド(PubMed)で、テレサ・ブキャナン(Teresa Buchanan)の論文を「Teresa Buchanan [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2009~2018年の10年間の8論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多数含まれていると思われる。

「撤回論文とパブピア」は、省略。

●7.【白楽の感想】

《1》セクハラ発言で解雇。それも女性準教授が

https://reason.com/2015/06/30/lsu-prof-fired-for-telling-jokes-is-late/

テレサ・ブキャナン(Teresa Buchanan)は女性の準教授で、授業でのセクハラ発言で大学から解雇された。

女性教員が性的発言をするのと男性教員がするのでは、女性学生の嫌悪感(ショック度)は異なるのだろうか?

米国では男女差別への言動が厳しく規制されるから、ブキャナン事件のメディア報道でこのような議論はない。しかし、白楽が思うに、同じ性的発言でも、女性教員の性的発言に女性学生は過敏に反応する印象がある。

なお、メディアはあまり報道しないが、ブキャナンは、セクハラ発言騒動中に離婚話が進行していた。精神的にはダブルパンチだったろう。

写真は2人の息子と一緒の写真である。大人の息子2人と同居してたのかどうかわからないが、おとなレベルの性的ジョークを息子2人とは日常的に会話していたのかもしれない。それで、授業でも性的ジョークを使っていたのかもしれない。

日本の大学の講義で性的ジョークを言う教員がどれほどいるか知らないが、白楽自身はしたことはない。自分が受けた授業でも聞いた記憶はない。

しかし、性的ジョークではないセクハラ発言は、大学ではかなり耳にした。日本の女性教員も「男のくせに」的なセクハラ発言をする。ただ、それをセクハラと不快に思う人は少なく(白楽は何度も言われたが不快に思ったことはない)、訴える人は少ない(と思う)。

そして、ブキャナンが発した程度のセクハラ発言で大学から処分されるのは日本では珍しい(と思う)。なお、日本ではセクハラ行為で解雇されることはほとんどないが、処分はある。

米国では、セクハラで解雇されるのは珍しくない。セクハラと判定されれば、通常の範囲の処分である。

出典:https://business-textbooks.com/harassment32/

《2》米田満樹(よねだ みつき)

京都大学・発生生物学の教授だった米田満樹さんは2010年7月12日に80歳で亡くなった。かつて、お茶の水女子大学の教授だった。

白楽は、米田満樹さんと師弟の関係でも先輩後輩の関係でもないのだが、名古屋大学の院生の頃から、仲がよく、学会であったりすると、研究のことも含め、友人のようにいろいろな話しをした。

1985年9月1日、白楽は筑波大学・講師からお茶の水女子大学・助教授に移籍した。その10数日前、日航機が御巣鷹山に墜落した。

発令初日にお茶の水女子大学の発生生物学の能村堆子(のむら たいこ)・教授研究室に伺うと、米田満樹さんがたまたま遊びに来ていた。そして、次のように言った。

「お茶大では女子学生にバカって怒鳴ってもいいけど、ブスって決して言ってはならん」。

就任への祝辞である。

なお、能村堆子・教授の研究室の狭いお茶のみ場に、その時、米田満樹さんは、7人-8人の能村研の若い女性学生(21- 24歳頃)に囲まれていた。

その7人-8人 の若い女性学生は身を乗り出すようにして、新任の男性助教授である白楽を興味深げに見つめていた。ウッカリすると、手を伸ばして触られそうな雰囲気だった。白楽は、膝突き合わす近さで21- 24歳頃 の7人-8人 の若い女性学生 に囲まれてドギマギした。

能村堆子・教授がすかさず、白楽に「女子大の印象はどう? ハーレム? 修道院?」と発した。

それから34年も経つのに、発令初日の言葉として忘れられない。

2019年の現在だと、研究室の21- 24歳頃の女性学生を前にこういう言葉を発するとセクハラになるんでしょうね。昭和はおおらかなものだった。

ブキャナン事件で米田満樹さんと能村堆子・教授の発言を思い出したので、記念にココに書いた。そして、ウェブで米田満樹さんの写真を探したが見つからなかった。17年前の自前の写真を以下にアップした(左が米田満樹さん)。白楽(右)も若いですね。

《3》防ぐ方法

ブキャナンのセクハラ発言を防ぐには、どうすればよかったか?

1つ目は、セクハラは性格・思考・習慣なので、セクハラ傾向のある教員を採用しないことである。しかし、採用時にセクハラ傾向のある人物なのかどうかわからない。採用後、セクハラ言動が出たら、なるべく早く対処することだろう。

2つ目は、ブキャナン自身が次のように述べている(本文から再掲)。

それまで、1人の学生も1人の教員も、彼女の授業での性的発言に対して不平不満を述べていなかった。もしこれらの苦情を聞いていたなら、彼女は彼女の教え方を変えたと主張している。

つまり、教員・研究者がセクハラ発言をした時、なるべく早く注意・警告をすることだ。

なお、注意・警告は3段階対処が望ましい。初犯で解雇するのはヤリすぎと思われる。例えば、1回目は処罰ナシの軽い注意、2回目は軽い処罰アリの強い注意、3回目は解雇などの3段階対処だ。

《4》支援組織

ブキャナンの性的ジョークや下品な言葉をセクハラ発言として大学が処分したことに、異を唱える人が多い。そして、ブキャナンを支援する組織があった。以下の2つの組織がブキャナンを支援した。

「教育における個人の権利財団(Foundation for Individual Rights in Education:FIRE)」が、「訴訟スピーチに立ち上がるプロジェクト(Stand Up For Speech Litigation Project)」の活動の1つとして、ブキャナン元準教授の裁判の支援に乗り出した。
→ Louisiana State University – Stand Up For Speech Lawsuit – FIRE

全米大学教授協会(American Association of University Professors
American Association of University Professors – Wikipedia

こういう、支援組織があって、それなりの力がある。こういう社会って健全だなあ~て、白楽は思う。

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https://www.thefire.org/federal-district-court-rules-against-fired-lsu-professor-teresa-buchanan/

●8.【主要情報源】

① 2015年7月8日のライアン・バクストン(Ryan Buxton)記者の「HuffPost」記事:Fired LSU Professor Teresa Buchanan Says She Still Doesn’t Know What She Did Wrong | HuffPost、(保存版)
② 2019年4月21日の「US News」記事:LSU Professor Fired for Vulgarity Seeks to Revive Lawsuit | Louisiana News | US News
③ 2016年1月21日の「Fire」記事:Fired LSU Professor Files First Amendment Lawsuit Challenging Speech Code Championed by Feds – FIRE
④ 2018年1月11日のウィル・クリーリー(Will Creeley)記者の「Fire」記事:Federal district court rules against fired LSU professor、(保存版)
⑤ 2019年3月25日の「Fire」記事:FIRE statement on Fifth Circuit’s decision in Buchanan v. Alexander
⑥ 2017年7月17日ウィル・クリーリー(Andrew Goldman)記者の「Elle」記事:You Can Get Fired For Saying That?
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●9.【コメント】

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