2021年9月26日掲載、2022年7月5日 更新。その後の顛末(更新部分へ飛ぶ)
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ワンポイント:内閣府所管の日本医療研究開発機構(AMED)が2016年-2018年度に2,036万円を助成した長崎大学の「研究公正高度化モデル開発支援事業」研究成果に、多数の盗用が見つかった。約2年前の2019年10月、白楽は告発した。約2年後の2021年9月10日、長崎大学は、調査した結果、「不正行為(盗用)は行なわれていないと認定した」と伝えてきた。しかし、この調査に大きな欠陥があった。欠陥の第1点は、明白な盗用を盗用ではないと認定したこと。欠陥の第2点は、調査委員が利害関係者だったり、委員資格のない人だったことだ。ここに、学術界および日本国民を愚弄するこのような不誠実な対応の実態を記録・公表する。日本医療研究開発機構(AMED)と文部科学省は調査の適正化に介入していただきたい。日本社会(メディア)と学術界は声をあげて欲しい。YouTubeはココ(作成予定)ーーーーーーーーーー
本事件は2部構成です
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.調査結果
3.盗用の事実と調査結果での曲解
4.審査員が利害関係者・不適格者
5.その他の問題
6.不服申し立て
7.日本医療研究開発機構(AMED)、文部科学省・研究公正室などへの手紙
8.その後の顛末
9.コメント
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以下敬称略(但し、メール中の敬称はそのまま)。
●1.【概略】
内閣府所管の日本医療研究開発機構(AMED)が「研究公正高度化モデル開発支援事業」として2,036万円を助成した長崎大学・河合孝尚・准教授を代表者とする2016年-2018年度の研究成果の一部・「研究不正事例調査報告書・附録 2(http://www.rmd.nagasaki-u.ac.jp/kawailab/amed/assets/pdf/ref1_3.pdf)」に、多数の盗用(引用なしのコピペ)が見つかった(保存版PDF)。
用語の混乱を避けるために、以下、名称を簡略化する。
- 「不正成果」は、2019年9月に公表されていた長崎大学の「研究不正事例調査報告書・附録 2(http://www.rmd.nagasaki-u.ac.jp/kawailab/amed/assets/pdf/ref1_3.pdf は保存版)」を示す。白楽の盗用指摘後、長崎大学のサイトに公開されていた報告書は削除された
- 「調査結果」は、2021年9月10日付けの 「長崎大学調査報告書」を示す:
https://drive.google.com/file/d/1BOmYdkHmjbv6mB8KR7gYzNAeanWk9Alm/view?usp=sharing
日本医療研究開発機構(AMED)は国の研究助成機関なので、「不正成果」で費やした2,036万円の原資は国民の税金である。
2021年9月10日、約2年間の調査の後、長崎大学の「調査結果」は、「不正行為(盗用)は行なわれていないと認定した」。
この認定は異常である。
今回の「調査結果」は、国際的基準である日本の学術界、文部科学省、日本医療研究開発機構(AMED)の盗用基準をねじまげ、クロをシロと言い張り、研究不正がないとした。
10年以上も前から、日本の多くの大学が自大学の利益・権益を優先し、自大学の教員を不当にかばい、研究公正を捻じ曲げているケースが多くあった。そのこともあり、「わが国は、いつの間にか、研究不正大国になってしまった」(出典:黒木登志夫の著書『研究不正』289頁目)。
根幹の問題はどこにあるのか?
根幹の問題は、研究不正かどうかうを各大学が単独で判定できる仕組みである。そして、その大学の判定結果をチェックするシステムは国にも民間にもない。
それで、各大学は大学上層部の意向に従う御用委員をそろえ、自大学には不正がなかったと好き勝手に判定している。さらには、不都合な真実がバレないよう、いろいろな隠蔽工作をする。白楽が調べた別の大学の事件例もある → 5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:③ 疑惑の証明 | 白楽の研究者倫理
今回の「調査結果」に対し、長崎大学に不服申し立てをしたが、万一、判定が覆らなくても、日本の研究公正の今後の改革・改善の糧にできるように、ここに、問題点を整理し、資料を公開する。
なお、本記事では「調査結果」の異常さを中心に解説する。この盗用事件の詳細はココ → 5C 長崎大学の白楽ブログ盗用事件
●2.【調査結果】
繰り返すが、盗用があったのは、内閣府所管の日本医療研究開発機構(AMED)が助成した長崎大学の「研究公正高度化モデル開発支援事業」の研究成果である。
長崎大学・河合孝尚・准教授を代表者とする2016年-2018年度の研究成果「研究不正事例調査報告書・附録 2」に、多数の盗用(逐語盗用)(引用なしのコピペ)が見つかった(保存版PDF)。
被盗用文章は白楽の記事群が多かったが、他資料からも盗用されていた。
2019年9月、友人が、上記の盗用を白楽に指摘してくれた。
実態を調べ、友人にも相談し、長崎大学と日本医療研究開発機構(AMED)に盗用であると告発した。
2021年9月10日、告発から約2年後、長崎大学は調査の結果、「不正行為(盗用)は行なわれていないと認定した」。白楽がこの「調査結果」を受取ったのは2021年9月13日である。
・210910 長崎大学手紙PDF https://drive.google.com/file/d/1Q8_yiN9udc4VvRbQJEk5V-DzD96fJewS/view?usp=sharing
・210910 長崎大学調査報告書PDFは18頁(1.78 MB)(ここでは「調査結果」と記す。以下に貼り付けた)https://drive.google.com/file/d/1BOmYdkHmjbv6mB8KR7gYzNAeanWk9Alm/view?usp=sharing
210910 長崎大学調査報告書PDF
●3.【盗用の事実と調査結果での曲解】
本記事では、盗用の要点のみを述べる。
長崎大学の研究成果(112頁)(ここでは「不正成果」と呼ぶ)に、白楽のネカト記事群から盗用(逐語盗用)した引用なしのコピペが多数見つかった。 → 盗用(逐語盗用)を指摘した「不正成果」(112頁)。
全部で64件(112頁)収集した事例の内、約30件に白楽ブログからの逐語盗用が見つかった。
それとは別に、全く引用なしで、ウィキペディアの文章をそのまま盗用した事例が、少なくとも1件あった(多数あるかもしれない)。
★冒頭部分
「不正成果」(112頁)の最初の頁の冒頭部分に以下の記述がある。
この冒頭の5行は「研究倫理(ネカト)白楽ロックビルのバイオ政治学 https://haklak.com/」を「参考」にしたと読める。しかし、これは「引用」ではまったくない。「参考」と「引用」とは明確に次元が異なる。
学術論文に例えよう。特定の学術誌である岩波書店の学術誌・「科学」を例にあげよう。
「研究倫理(ネカト)白楽ロックビルのバイオ政治学 https://haklak.com/」という記述は、学術誌・「科学」を示しているだけである。これでは引用にならない。
引用は、その学術誌・「科学」の中の特定の論文を示さなければ引用にならない。
つまり、「不正成果」(112頁)の冒頭の5行は具体的な文献を示していないので、引用ではない。
★盗用タイプ1
長崎大学の研究成果(112頁)(ここでは「不正成果」と呼ぶ)には3つのタイプの盗用がある。
まず、情報源を全く示していない盗用タイプ1を示す。
長崎大学の「調査結果」はこの盗用タイプ1に全く言及していない、つまり、調査で完全に見落としている。調査の大きな欠陥である。
盗用(逐語盗用)を指摘した「不正成果」(112頁)の32頁目、事例番号20の一部を以下に示す。黄色部分が逐語盗用されていた文章である。 → 被盗用文章のサイト:ヒュンイン・ムン(Hyung-In Moon)(韓国) | 白楽の研究者倫理
この盗用タイプ1では、「白楽」の字句は全く出てこない。それで、当然ながら、流用部分に引用符はなく、出典の記載はない。
「白楽」の出典に関して全く記載がないので、明確な逐語盗用である。このタイプの盗用が64件の事例中2件あった。他の事例の事例番号19。
★盗用タイプ2
長崎大学の研究成果(112頁)(ここでは「不正成果」と呼ぶ)の3つのタイプの盗用の2つ目である。
盗用(逐語盗用)を指摘した「不正成果」(112頁)の事例番号2の一部を以下に示す。黄色部分が逐語盗用されていた文章である。
事例番号2では、「検索入口」に「白楽ロックビル」と記載しただけで、項目内に自分の文章と逐語盗用を織り交ぜて、あたかも全文が自分の文章のようになっている。逐語盗用部分に引用符はなく、出典の記載はない。
日本医療研究開発機構(AMED)の盗用の解説を以下に示すが、自分の文章と逐語盗用を織り交ぜて、引用部分を示さないのは盗用である。
「出典を示すにあたっては,どの部分が著者によるもので,どの部分が他の科学者によるものか,明確に示さなければなりません」(出典:日本医療研究開発機構(AMED)の「Ⅰ 研究不正と認定された事例」の13頁目)。
このスタイルの盗用が64件の事例中29件あった(事例番号1, 2, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 15, 22, 23, 24, 27, 28, 30, 31, 34, 36, 39, 46, 50, 51, 54, 57, 59, 60, 62, 63)。
★盗用タイプ3
長崎大学の研究成果(112頁)(ここでは「不正成果」と呼ぶ)の3つのタイプの盗用の3つ目である。
盗用(逐語盗用)を指摘した「不正成果」(112頁)の事例番号3の一部を以下に示す。
このタイプは「白楽」の文章を盗用したケースではない。別の資料からの盗用である。その出典を全く記載していない。明かな盗用である。
このタイプの盗用の件数は、どの資料から盗用したのかを突きとめるのが困難なので、総件数は今のところつかめていない。
長崎大学の「調査結果」はこの盗用タイプ3に全く言及していない、つまり、完全に見落としていて、調査の大きな欠陥である。
事例番号3が「盗用タイプ3」に該当する。事例番号3では、「検索入口」に何も記載がない。事例番号3に「ウィキペディア」の字句は全く出てこない。それなのに、「ウィキペディア」の文章を流用している(つまり盗用)。
事例番号3は、上記の導入から始まるが、「概要」に以下の記述がある。
この「概要」の文章は、ウィキペディアの「ディオバン事件 – Wikipedia」を引用なしに、逐語盗用した文章である。以下、まず、ウィキペディアの文章を示す。
ディオバン事件(ディオバンじけん)とは、高血圧の治療薬であるディオバン(一般名:バルサルタン)の医師主導臨床研究にノバルティス日本法人のノバルティスファーマ社の社員が統計解析者として関与した利益相反問題(COI: Confilict of Interest)、および、臨床研究の結果を発表した論文のデータに問題があったとして一連の論文が撤回された事件を指す。
ディオバンの日本での臨床研究には、5つの大学(京都府立医科大学・東京慈恵会医科大学・滋賀医科大学・千葉大学・名古屋大学)が関わり、それぞれ、Kyoto Heart Study[1][2][3][4][5][6]、 Jikei Heart Study[7]、SMART (the Shiga Microalbuminuria Reduction Trial)[8]、 VART (The Valsartan Amlodipine Randomized Trial)[9]、Nagoya Heart Study[10]を実施し、論文を発表した。(出典:ウィキペディアの「ディオバン事件 – Wikipedia」。2017年3月16日以前に調査したと思われるので、2017年2月27日 (月) 14:13時点における版)
長崎大学の「不正成果」から、事例番号3の「概要」に引用なしでウィキペディアから流用した部分を黄色で示す。
ディオバン事件(ディオバンじけん)とは、高血圧の治療薬であるディオバン(一般名:バルサルタン)の医師主導臨床研究にノバルティス日本法人のノバルティスファーマ社の社員が統計解析者として関与した利益相反問題(COI: Conflict of Interest)、および、臨床研究の結果を発表した論文のデータに問題があったとして一連の論文が撤回された事件を指す。
ディオバンの日本での臨床研究には、5 つの大学(京都府立医科大学・東京慈恵会医科大学・滋賀医科大学・千葉大学・名古屋大学)が関わり、それぞれ論文を発表した。尚、これらの大学には総額 11 億円以上の奨学寄附金がノバルティス社より支払われている。不正調査は各大学にゆだねられており、処分されている教授や撤回された論文もあるが、ないものもある。元社員の白石伸雄氏は2014年に薬事法違反で逮捕、ノバルティスファーマものちに起訴され、白橋伸雄氏には懲役2年6か月が、ノバルティス社には罰金400万円を求刑、判決は2017年3月16日予定。
「概要」に自分の文章と逐語盗用を織り交ぜて、あたかも全文が自分の文章のようになっている。逐語盗用部分に引用符はなく、出典の記載はない。
日本医療研究開発機構(AMED)の盗用の解説を以下に示すが、自分の文章と逐語盗用を織り交ぜて、引用部分を示さないのは盗用である。
「出典を示すにあたっては,どの部分が著者によるもので,どの部分が他の科学者によるものか,明確に示さなければなりません」(出典:日本医療研究開発機構(AMED)の「Ⅰ 研究不正と認定された事例」の13頁目)。
「概要」後半部分も、自分の文章ではなく、別の資料から盗用した可能性は大いにあるが、今のところ、被盗用資料を見つけていない。
★法律と裁判例
【著作権法】
著作権法は、研究で著作物を利用する場合、出所と著者名の明示を義務づけている。以下出典:著作権法 | e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
法律用語は難解なので、著作権法第48条に関する「JMPA 日本医書出版協会」の解説を以下に示す。出典: https://www.medbooks.or.jp/copyright/forauthor/quot.php
「出所の明示」は、法律上の規定です(著作権法第48条)。
- 1.文章の場合は、前後を1行アキとするなどの方法で、本文と区別をつけ、その末尾に出所を付記する。
- 2.図、表の場合は、表題に隣接して、出所を括弧などでくくり付記する。
- 3.明記すべき事項(書誌的事項)は下記の通り。
<雑誌の場合>
著者名,題名,雑誌名,巻,号,頁(図表の場合は論文の最初の頁ではなく所載頁),発行年.
<書籍の場合>
著者名,題名,書名(編集者名),巻,版数,頁,発行年,発行所名,発行地.
<Homepage、Web siteの場合>
Cancer-Pain. [homepage on the Internet]. New York: Association of ABC ; c2000-01 [updated 2002 May 16; cited 2002 Jul 9]. Available from: http://www.medbook.co.jp/.
つまり、引用には出所と著者名の明示が必要である。
【判例:「Y子の症例」事件】
引用せずに文章を流用した「Y子の症例」事件(大阪地裁昭和60年5月29日判決)で、大阪地裁は、次のように「明確に原告著「Y子の症例」の転記であることを示すべきであつた」と述べている(下線は白楽)。出典:文化判例 – (大阪地判昭和60年05月29日)の判決文
「Y子の症例」の引用部分は二一頁に及び、その細部にわたる文章の表現方法に至るまでほぼ同一内容であるから、明確に原告著「Y子の症例」の転記であることを示すべきであつた(この点では、むしろ被告【A】の原稿のように「本例は【E】が担当し筆者がスーパーバイズした症例である。」としただけでは不十分であり、「本例は【E】が担当し筆者がスーパーバイズした症例であり、以下の記述は【E】が執筆した『Y子の症例』の症例報告に基づくものであるが、読者に解りやすくするために筆者が一部改変したり短縮して要約した部分もある。」旨脚注に明記するのが正確であろう。)
つまり、長崎大学の「調査結果」の13頁目や16頁目に「告発者のブログからの引用があることを推定できる文章や収集した情報元を記載している」とあるが、「推定できる」や「情報元」では全く引用になっていない。
【判例:「東京高等裁判所 事件番号:平成13(ネ)3677」】
引用せずに文章を流用した翻訳台本の著作権侵害事件である。その控訴審で、東京高等裁判所は、次のように、「引用部分が判然とせず」は「社会通念上妥当と考えられる引用の態様でない」と述べている(下線は白楽)。出典:文化判例 – (東京高判平成14年04月11日)の判決文
① 公正な慣行に合致するものであること公正な慣行に合致するかどうかについて,健全な社会通念を基準として判断すべきであり,社会通念上妥当であるか否かは,基本的には引用の目的と態様に照らして判断すべきである。従来用いられてきた「明瞭区別性」という判断基準は,態様に関する社会的妥当性を判断する際のひとつの判断指針であるということができる。引用著作物と被引用著作物が共に言語の著作物である場合に,引用部分が判然とせず,あたかもすべてが自己の著作であるかのようにみえる使用方法が,社会通念上妥当と考えられる引用の態様でないことは,いうまでもないところである。
繰り返すが、長崎大学の「調査結果」の13頁目や16頁目に「告発者のブログからの引用があることを推定できる文章や収集した情報元を記載している」とあるが、「推定できる」や「情報元」は「社会通念上妥当と考えられる引用の態様でない」。
★国の盗用の定義
【文部科学省】
文部科学省は「盗用」を次のように定義している。 → 研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)10頁目
他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。
上記「★盗用タイプ1」「★盗用タイプ2」「★盗用タイプ3」で盗用と指摘した黄色箇所は、明かに「当該研究者の了解」なく、「適切な表示なく流用」されている。
【日本医療研究開発機構(AMED)】
日本医療研究開発機構(AMED)の「盗用」の解説も当然ながら文部科学省の規則と同様である。同機構の「Ⅰ 研究不正と認定された事例」の3頁目に次の引用がある。
日本医療研究開発機構(AMED)の解説に照らしても、上記「★盗用タイプ1」「★盗用タイプ2」「★盗用タイプ3」で盗用と指摘した黄色箇所は、「文章は、著者自身のもので」ではないのに、あたかも「著者自身のもので」あるかのように記述していて、盗用である。
また、研究助成した日本医療研究開発機構(AMED)は、「Ⅰ 研究不正と認定された事例」の13頁目に盗用を具体的に解説している(赤下線は白楽)。
つまり、「出典を示すにあたっては,どの部分が著者によるもので,どの部分が
他の科学者によるものか,明確に示さなければなりません」。
上記「★盗用タイプ1」「★盗用タイプ2」「★盗用タイプ3」で盗用と指摘した黄色箇所は、出典を示していない。
「どの部分が他の科学者によるものか」全く示していない。
「引用符を使ったり,段落を下げたりしてから,出典を明示し,文章自体もBのものであることを分かるように」していない。
明かに盗用である。
★ 長崎大学の「調査結果」は「適切な引用方法が用いられていない」事実を認めている
長崎大学の「調査結果」の14頁目に、とあり、長崎大学の「調査結果」自身も「適切な引用方法が用いられていない」事実を認めている。つまり、明かに盗用である。
おさらいすると、長崎大学の「不正成果」に多数の盗用した事実がある。また、著作権法、文部科学省及び日本医療研究開発機構(AMED)の規則・解説でも、これらは盗用に該当する。
そして、長崎大学調査報告書(ここでは「調査結果」と記す)は、上記したように、事実として盗用を認めている。
上記した14頁目以外にも、その結論を述べる冒頭部分に盗用を認める次の記述がある(9頁目)(赤下線は白楽)。
繰り返すが、「適切な引用方法が用いられていない」事実を認めている。
15頁目でも、「適切な引用方法が用いられていない」ことを別の言葉で繰り返している。(赤下線は白楽)。
★ 長崎大学は解釈を捻じ曲げている
上記したように、長崎大学の「調査結果」は「適切な引用方法が用いられていない」事実を何度も認めている。
それなのに、驚いたことに、解釈を捻じ曲げて、盗用ではないと結論したのである。
【捻じ曲げ1.引用文献の記載】
第1点は、「調査結果」の13頁目や16頁目に「告発者のブログからの引用があることを推定できる文章や収集した情報元を記載している」とある。
ここは、ハッキリと解釈を捻じ曲げている。以下3点示す。
- 情報元を記載しても、引用文献を記載していない。引用文献を示さなければ盗用になる。「★冒頭部分」で示したように、「情報元を記載している」と主張する冒頭の5行は100%、引用になっていない。
- さらに、「★盗用タイプ1」と「★盗用タイプ3」で示したケースでは、「推定できる文章や収集した情報元」は記載されていない。つまり、情報元さえ示されていない盗用もある。
- 「引用があることを推定できる文章や収集した情報元を記載している」は、「★盗用タイプ2」だが、以下の規範のように「明確に示さなければ」ならず、「推定できる」レベルでは盗用に該当する。
「出典を示すにあたっては,どの部分が著者によるもので,どの部分が他の科学者によるものか,明確に示さなければなりません」(出典:日本医療研究開発機構(AMED)の「Ⅰ 研究不正と認定された事例」の13頁目)。
★ 悪意がなくても盗用は盗用
今まで何度も示したように、「適切な引用方法が用いられていない」事実を認めていて、盗用は確定している。
ところが、驚いたことに、「調査結果」は「不正成果」を作成した過程を説明し、「調査結果」の15頁目で「出典元を隠匿する等の悪意のある行為や故意」がなかったから、盗用ではない認定している。
この認定は、裁判所の判例、日本医療研究開発機構(AMED)及び文部科学省、つまり、日本の法律及び学術界で通用している「盗用の基準」を捻じ曲げている。
また、弁解点も以下に示すように不適切である。
- 「不正成果」を作成した過程の調査は、誰が盗用者かを認定する作業では重要だが、「不正成果」に盗用があった判定とは別問題である。次元が異なる。
- 「悪意」は、処分する際の情状の問題で、盗用の有無とは別問題である。
- 「故意」は、多数の盗用があれば「故意」である。64件で1件なら、「故意」ではなく、うっかり「間違えた」「忘れた」と言えるが、半分以上が引用していないのは、「故意」である。
盗用は、経緯とは関係なく、「適切な引用方法が用いられていない」事実があれば、外形的に盗用となる。
「Y子の症例」事件(大阪地裁昭和60年5月29日判決)では、出版者の編集者が改変した箇所を、盗用者と訴えられた被告が、校閲の際に自分でチェックしなかった。大阪地裁は、「著者としても右脚注の脱落の有無は事が他人の研究成果にかかわるものである以上細心の注意が必要であつたというべきであり」と、経緯とは関係なく、「適切な引用方法が用いられていない」事実があれば、盗用としている。「 」の出典:文化判例 – (大阪地判昭和60年05月29日)の判決文
世俗的な商品の盗みに例えると、無意識に商品を盗むことはない。盗もうと思わなければ、盗めない。商品が自然にポケットに入ることはない。盗む行為は、常に、意識的で「故意」である。それも多数の商品を盗めば弁解の余地はない。ただ、盗みを指摘された窃盗犯が、悪意はなかった、害意はなかったと弁解するケースは普通に見られる。しかし、捜査する側が、「悪意はなかった」ことを理由に、窃盗という結論を捻じ曲げることはない。
STAP事件の「不服申立てに関する審査の結果の報告」で明記されているように、研究不正における「悪意」は「悪意はなかった」と弁明する「害意」ではなく、盗用が研究不正だと「知っている」ことだとある。
(2)「悪意」について
規程によれば、研究不正の範疇にあるものについて、悪意があるか否かを判断することになるところ、「悪意」とは、客観的、外形的に研究不正とされる捏造、改ざん又は盗用の類型に該当する事実に対する認識をいうものと解する。したがって、規程によれば、研究不正は、この認識のある態様のものについてこれを研究不正とすることとなる。
悪意を害意など、上記の認識を越えた加害目的に類する強い意図と解すると、そのような強い意図がある場合のみに規程の対象とすることになるが、その結果が、研究論文等の信頼性を担保するという規程制定の目的に反することは明らかである。とすれば、「悪意」とは、国語辞典などに掲載されている法律用語としての「知っていること」の意であり、故意と同義のものと解されることになる。こ(出典:STAP事件の「不服申立てに関する審査の結果の報告」https://web.archive.org/web/20160704011001/http:/www3.riken.jp/stap/j/t10document12.pdf)
今回の「不正成果」を発表した研究者は、適切な表示なく流用すれば、研究不正だと「知っている」。つまり、「害意」があろうがなかろうが、外形的な盗用なので、「故意」の盗用になる。
「調査結果」は、情報源が示されているので悪意がない理由の1つとしている。しかし、悪意がなくても外形的に「盗用に対する認識(適切な表示なく引用しているとの認識)」はあるので故意の盗用にあたる。
一般常識からしても、「悪いと知らなかったと言えば不正にならない」という理由で「不正なし」と判定するのは異常である。
ましてや、日本医療研究開発機構(AMED)が、研究不正未然防止の強化や研究公正高度化を推進するための「研究公正高度化モデル開発支援事業」である。日本の模範となる研究公正のモデルを開発する事業なので、通常より高い倫理基準で研究成果を発表すべきである(着色部分出典:研究公正高度化モデル開発支援事業 | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構)。
著作権ガイドブック は「Y子の症例」事件(大阪地裁昭和60年5月29日判決)を例に、経緯がどうあれ、盗用は盗用だと判断している。出典:https://www.jica.go.jp/chotatsu/buppin/ku57pq00002iz0ax-att/temp6of818119.pdf
過失が重なり、脚注が脱落したまま発行されてしまったという経緯で出所明示がなされていませんでした。たとえどのような経緯があったとしても、出所明示がなされていなければ、結果として氏名表示権の侵害という判断になる
この節をまとめると、「不正成果」に対する長崎大学の「調査結果」は、世界及び日本の学術界で通用している盗用の基準を捻じ曲げているだけでなく、著作権法の裁判で確定している判定基準から大きく逸脱している。
★研究記録を提出させたのか?
今までは、長崎大学の「調査結果」に記載された内容を検討してきた。しかし、別の角度から見ると、調査そのものにも欠陥があったと思われる。
長崎大学の「調査結果」には、盗用者と思われる研究者の研究記録を調査したとの言及がない。
盗用の量の多さから、引用ウンヌンどころではなく、盗用者と思われる研究者は、自分で研究せずに、単に、他人の著作物を転載したのではないかという疑念が生じる。
長崎大学・調査委員会は、盗用者と思われる研究者に研究ノート等を提出させ、研究記録を確認したのだろうか?
また、独自に、徳島大学のネットワークのログ等で研究行為の実態を確認したのだろうか?
研究記録を確認していなければ、調査の大きな欠陥である。再調査すべきである。
長崎大学・調査委員会は、この点をハッキリさせるべきである。
●4.【審査員が利害関係者・不適格者】
これほど明確な盗用に対して、長崎大学の「調査結果」は、どうして「不正行為(盗用)は行なわれていないと認定した」のだろうか?
調査委員の知識・判断だけでなく、その見識・誠実さに問題があったに違いないと思っていたところ調べていくうちに、調査委員に調査対象者の利害関係者が含まれていることがわかった。
また、調査委員として不適格な人も調査委員になっていた。
このように、とんでもない調査委員会だったことがわかり、愕然とした。
★盗用の主役は井内健介 ( いない けんすけ )准教授と思われる
長崎大学の「調査結果」の13ページに今回の盗用事件の主要な人物を以下の3人にまとめていた。その部分を以下に示す。
つまり、最初に研究成果をまとめたのは徳島大学の井内健介 (いない けんすけ)准教授である。
★井内健介 ( いない けんすけ )准教授
徳島大学の教育研究者総覧に次の記載がある(白楽が顔部分にぼかしを入れた)。
井内健介・准教授は上記のように、工学部出身で専門はプラズマ・核融合、知的財産法 (Intellectual Property Law)などである。後述するように、研究支援・産官学連携センターにも所属して「いた」、そして現在も所属して「いる」。
プラズマ・核融合が専門の工学者がなぜ、研究倫理の研究チームに参加したのか?
知的財産法(Intellectual Property Law)も専門にしているので、その関係で研究チームに参加したのだろう。
知的財産法の専門家なら、著作権法は熟知しているはずの法律である。その著作権法は、著作物を利用する場合、出所と著者名の明示を義務づけている(48条)。
白楽から見ると、当然払うべき義務を怠って、「適切な引用方法が用いられていない」盗用を行なったと思える。
★徳島大学関連の調査委員は井内健介・准教授の利害関係者
長崎大学の調査委員会は13人の委員で構成され、以下に示すように、長崎大学・学内が3人、学外が10人である。
学外の委員10人のうち6人が大学所属で、6人の内、4人が徳島大学関連である。他は信州大学と国士館大学の各1人である。
学外委員の3分の2を徳島大学関連で占めるというのは異常である。長崎大学・河合孝尚・准教授を代表者とするこの研究は5大学(長崎大学、徳島大学、信州大学、九州大学、新潟大学)で行なった研究である。
学外委員の3分の2を徳島大学関連で占めるというのは、最初から徳島大学に問題があり、それを委員の人数で抑え込むという体制を組んだ調査委員会だと思える。
最初から誠実な調査よりも、結論ありきで委員を選定した印象を受けた。
それでも選ばれた委員が適切なら、委員長の判断を尊重すべきかもしれない。
ところが、徳島大学関連の4人の委員の内3人に不正の疑惑がある。
盗用の主役と思われる井内健介・准教授の所属する徳島大学の委員は所属だけ見ると、佐々木卓也と吉田和文の2人である。
2番目の委員・吉田和文は、研究支援・産官学連携センター長である。 → ご挨拶 – 徳島大学研究支援・産官学連携センター
ところが、驚いたことに、井内健介・准教授は同じ研究支援・産官学連携センターの産官学連携部門の部門長である(右に示した)。出典:産官学連携部門 – 徳島大学研究支援・産官学連携センター
つまり、2番目の委員・吉田和文は、被告発者の直属の上司だった。利害関係者だった。とんでもないことだ。
さらに、以下に示すように、4番目の委員・角村法久は、研究支援・産官学連携センターの井内健介の元・同僚だった。出典:「社会産業理工学研究交流会2018について」の27頁
4番目の委員・角村法久も、被告発者の元・同僚という、利害関係者だった。とんでもないことだ。
その上、角村法久の経歴を見ると、研究公正の知識・経験があるとは思えない人物で、「当該研究分野」の研究者ではない。出典:http://www.rman.jp/meetings2020/N-1.pdf
次項に、長崎大学の規則を示すが、「当該研究分野」の研究者でない人は委員になれない。従って、4番目の委員・角村法久は委員としての資格がない。
なお、3番目の委員・泉啓介は徳島大学に32年間勤め、徳島大学・名誉教授である。 所属の徳島文理大学は事実だろうが、しかし、徳島大学・名誉教授を示さないのは今回の調査委員として、利害関係を隠蔽している印象を受けた。出典:徳島大学 / 教育研究者総覧 — 泉 啓介
つまり、3番目の委員・泉啓介も徳島大学と強い利害関係のある人物だったが、それを悟られないように隠蔽していたと思われる。
次項に、日本医療研究開発機構(AMED)の規則を示すが、調査対象となる研究機関(ここでは、徳島大学)と直接の利害関係者を委員にしてはならないとある。
3番目の委員・泉啓介の利害関係は微妙だが、徳島大学・名誉教授を示さずに委員になっている点、大きな疑惑を生む。
★利害関係者及び異分野の研究者は調査委員になれない
文部科学省ガイドラインによると利害関係者は調査委員になれない → 研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて 研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書(要旨):文部科学省
上記ガイドラインの「4 告発等に係る事案の調査」の「(2)本調査」で以下のように、直接の利害関係者を委員にしてはならないとしている(下線は白楽)。
ア)調査機関は、本調査に当たっては、当該研究分野の研究者であって当該調査機関に属さない者を含む調査委員会を設置する。この調査委員は告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。
日本医療研究開発機構(AMED)も「研究活動における不正行為等への対応に関する規則」で、以下に示すように、被告研究者及び調査対象となる研究機関と直接の利害関係者を委員長及び委員にしてはならないとしている(下線は白楽)。
第11条4(調査委員会)
委員長及び委員は、告発者又は被告発等対象研究者等若しくは調査対象となる研究機関等と直接の利害関係を有しない者でなければならない。
「長崎大学における研究活動の不正行為防止等に関する規程」には利害関係者だけでなく、弁護士,公認会計士等を除き、「当該研究分野」の研究を行っている学外有識者以外は委員になれない規定がある。
第14条 2 調査委員会は,次に掲げる者をもって組織する。
(3) 不正行為に関連する研究分野(以下「当該研究分野」という。)の研究者で告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない本学の教員のうちから学長が指名する者 1人
(4) 当該研究分野の研究を行っている学外有識者で告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しないもののうちから学長が委嘱する者 2人
(5) 弁護士,公認会計士等の学外有識者で告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しないもののうちから学長が委嘱する者 若干人
「徳島大学における研究活動上の不正行為への対応等に関する規則」の「(調査委員会)第13条」にも利害関係者は委員になれない規定がある。
4 第1項第3号から第5号までの委員は,告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者のうちから,学長が命じ,又は委嘱する。
従って、どの規則を見ても、被告発者の現・元上司や現・元・同僚は調査委員になれない。調査対象となる研究機関(今回は徳島大学)と直接の利害関係がある人は調査委員になれない。
また、長崎大学の規則では、弁護士,公認会計士等を除き、「当該研究分野」、つまり研究課題「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」の研究分野以外の人は調査委員になれない。
このような制約があるのに、
①利害関係者を調査委員にしている。
②当該研究分野の研究者ではない人物を調査委員にしている。
③調査対象となる研究機関(徳島大学)と直接の利害関係がある人物を、その経歴を示さず調査委員にしている。
このような行為は、明確な規則違反である。
明確な規則違反での人選は、研究公正、さらには研究助成した日本医療研究開発機構(AMED)、広くは学術界及び日本国民を愚弄する極めて卑劣な行為である。
★委員の不適切な専門性
そもそも、盗用と告発された研究倫理の調査に、研究倫理の専門家が誰も入っていない。
ただ、文部科学省は「研究倫理の専門家」を委員にするようにと、明確な指示をしていない。以下は、研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)15頁目
明確な指示をしていないが、文部科学省は「外部有識者」を含めた委員会を設置するよう指示している。
この「外部有識者」が示す「有識者」は、「研究倫理の専門家」と「当該研究分野の研究者」を指すことは調査委員会の目的・性質からして自明、あるいは、通常の理解である。
研究倫理の不正調査をする委員会に「研究倫理の専門家」が加わるのは当然だからだ。
有識者は、研究者や大学教授などの有識者ならどのような専門でも良いということにはならない。例えば、社会学を専門とする大学教授にロケットの設計をさせたら、ロケットは飛ばない。
研究倫理の不正調査をする委員会に「研究倫理の専門家」がいなければ、まっとうな研究倫理の調査ができないのは自明である。文部科学省も日本国民も納得しないだろう。
文部科学省が明確に指示していないからと言って、「当該研究分野」あるいは「研究倫理」の基本的概念・知識・判断を持たないものが調査委員に選任されるということは、委員を推薦および選任する人の見識として、常識的にあり得ない。
前項の「★利害関係者及び異分野の研究者は調査委員になれない」で述べたように、徳島大学関係の委員に規則違反が多い。
この委員の人選をした徳島大学の人物は職位が最も高い「理事(研究担当)」の佐々木卓也と思われるが、徳島大学の信頼をおとしめているだけでなく、日本の研究公正をおとしめている。
なお、調査全体を仕切った長崎大学の永安武・委員長は、徳島大学から推薦された4人の委員を、その属性を確認しないで委員にしたと思われる。ここにも問題はあるが、徳島大学の腐敗した委員人選の実態を知らなかったと信じたい。
●5.【その他の問題】
《1》調査期間の規則違反
長崎大学は2019年11月27日に本調査を開始した。
本調査の期間の目安は文部科学省、日本医療研究開発機構(AMED)、長崎大学などどれも約150日としている。
文部科学省の規則は省くが、日本医療研究開発機構(AMED)は「研究活動における不正行為等への対応に関する規則」で、次のように「150日以内」としている。遅れる場合は中間報告書、理由、新提出日を提出せよとある。長崎大学はこの措置をしていないのではないか? 日本医療研究開発機構(AMED)から白楽には何も連絡がなかった。
もちろん、長崎大学も「長崎大学における研究活動の不正行為防止等に関する規程」で調査期間を「概ね150日以内」としている。
「第17条の4」は、認定した直ちに調査結果するとしている。
「第18条」は、学長は、調査結果を速やかに告発者などに通知しなければならない、とある。
ところが、本調査は、2019年11月27日~2021年9月10日の699日間というガイドラインが示す期間の4倍以上(むしろ5倍に近い)という異常に長い期間をかけている。
社会常識からして、許されない、怠慢な調査である。
これは、規則違反と言えるレベルの怠慢さである。監督官庁である文部科学省、そして、研究助成した日本医療研究開発機構(AMED)からの行政指導を望む。
なお、意図的な怠慢なのかどうかわからないが、もし意図的な怠慢だとすると、ことは犯罪的である。
状況によって、告発者は、著作権法違反で刑事事件の告訴をすることを予定しているかもしれない。この場合、「犯人を知ってから半年」を過ぎると時効になり、訴えられない。今回はまだ、「犯人を知らない」ので、時効は始まっていない。
しかし、民事訴訟は損害を知った時から3年で時効である。もう2年が過ぎている。
意図的な怠慢だとすると、国民の正当な権利が脅かされる事態になる。
《2》誠実さ、公正さの欠如
文部科学省は「研究不正行為に対する基本姿勢」を次のように示している。以下は、研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)5頁目
つまり、研究活動を通して、「科学に対する背信行為」、「科学への信頼を揺るがす」ことをしてはならない。
それらの具体的行為として、ねつ造、改ざん、盗用、二重投稿、不適切なオーサーシップなどを挙げている。
今回の盗用事件およびその「調査結果」は、個々の規則のどれに違反しているというレベル以上に、研究者としての誠実さ、公正さが大きく欠け、「研究不正行為に対する基本姿勢」に背信している。
誠実さ、公正さが大きく欠ける行為を、研究チームの5大学(長崎大学、徳島大学、信州大学、九州大学、新潟大学)を巻き込んで、日本の国立大学がしていて、反省の色がない。
白楽は、この現状に大きな危惧を抱いている。
《3》研究不正の調査そのものに不正が多い
日本国民は、大学教授と大学を尊敬・信頼している。その大学教授と大学が不正を行なっているのを知れば、国民はショックを受ける。
国内外から研究不正の指摘を受けても(例、パブピア:PubPeer)、日本の多くの研究者・大学教授、そして、日本のほとんどの大学は不正の指摘を無視する。
無視できない状態になると、調査する。
しかし、大学の不正調査は、10年以上も前から、自大学の利益・権益を優先し、自大学の教員を不当にかばい、研究公正を捻じ曲げてきたケースが多いと思う。
今回の長崎大学の件では、問題を大きく歪めたのは徳島大学関連の調査委員たちと思える。
根幹の欠陥はどこにあるのか?
根幹の欠陥は、研究不正かどうかの判定を各大学が単独で行なえる仕組みである。
そして、その判定結果をチェックするシステムがない。多くの場合、調査過程の透明性も欠けていて、調査報告書は公表されない。
それで、各大学は大学上層部の意向に従う御用委員をそろえ、自大学には不正がなかったと好き勝手に判定する。さらには、不都合な真実がバレないよう、いろいろな隠蔽工作をする。
《4》なぜ盗用をしたか?
ここは、白楽の推察である。
井内健介 ・准教授は助成金をいくら受け取ったかわからないが、長崎大学・河合孝尚・准教授を代表者とする研究チームが受領した総額は2,036万円である。井内健介 ・准教授は約15%の300万円を受け取ったとしよう。
井内健介 ・准教授は、300万円に対する研究成果として、3年間で、全部で64件の研究不正事例を収集した。
この内の約30件で白楽ブログの文章を逐語盗用した。
白楽以外に、「検索入口」には黒木登志夫(3、18、19、20、21番目)の5件(3番目は「検索入口」ではなく「不正論文数」箇所)、世界変動展望(52番目)の1件、ウィキペディア(28、29、30、31、32、37 、 53番目)の7件が記載されている。
つまり、半分以上、あるいは、ほとんど、他人が分析し日本語(ウィキペディアは英語もある)でまとめた事例を、ウェブ情報・著書から逐語盗用あるいは要約盗用したものである。
印象としては、自分自身で研究していないのではないだろうか。他人の出版物の文章を転載しただけではないのか。
もし、流用した他人の出版物を通常通り引用していれば、自分の研究成果の大半は、他人の成果を単に流用しただけだと、研究代表者の河合孝尚に簡単に見破られてしまう。
それでは、いかにも、300万円に対する研究成果として問題視される。
それで、引用をしないで、あたかも自分で書いた文章・分析と思わせるように、胡麻化して、他人の成果を自分の研究成果として提出したのではないか。
この推察がはずれで、井内健介 ・准教授は本当に「引用の方法」を知らなかったのなら、知的財産法(Intellectual Property Law)を専門とする国立大学の准教授なのだから、日本の研究倫理のレベル・欠陥は、もっとずっと深刻である。
●6.【不服申し立て】
★不服申立書
以下を2021年9月24日(金)に送付。添付書類は、上記の「3.【盗用の事実と調査結果の曲解】」と「4.【審査員が利害関係者・不適格者】」の章番号を2つ減らした少し前の版だが、ワードファイルとPDFファイルを作成し、送付した。
――――以下は手紙
長崎大学長・河野 茂 殿
2021年9月24日
貴大学の以下の調査結果(長大学術第210号 令和3年9月10日)について不服申立てをいたします。
研究プロジェクト :2016年-2018年度の日本医療研究開発機構(AMED)の「研究公正高度化モデル開発支援事業」に採択された長崎大学・河合孝尚・准教授を代表者とする「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」
具体的な内容は別紙(添付のワードとPDFファイル)に示しました。
なお、調査委員に利害関係及び不資格者がいるという不誠実な委員の選出があったので、適格性に欠ける委員を除外してから、不服申立ての審査を行なっていただきたい。
「長崎大学における研究活動の不正行為防止等に関する規程」の9頁にも同様な趣旨の規則があるが、文部科学省のガイドラインを以下に示す。
「不服申立ての審査は調査委員会が行う。ただし、不服申立ての趣旨が、調査委員会の構成等、その公正性に関わるものである場合には、調査機関の判断により、調査委員会に代えて、他の者に審査させることができる」。(出典:研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて:文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/houkoku/attach/1334651.htm)
なお、委員の属性を短期間で調べるのはとても困難である。
委員長の責任と権限で、今一度、他の委員の適格性についても精査してくださるよう要望する。
白楽ロックビル(お茶の水女子大学名誉教授)
haklak@haklak.com
ーーーーーーーーー
★長崎大学の奇怪な対応
長崎大学の規程で、不服申し立ては通知を受理した日の翌日から14日以内に行なわなければならない。
2021年9月13日(月)、長崎大学の「調査結果」を受取った。不服申し立ての期限は、2021年9月27日(月)となる。
この2021年9月27日(月)はメールなら送付と同時に相手に届くが、郵便だと、消印だと思うが、ヒョットして相手に到着する日だとなると、2~3日は異なる。
2021年9月21日(火)、メールアドレスの確認も含めて、この期限を確かめるべく、担当者の長崎大学・研究国際部学術支援課学術支援班の福本和宏様にメールした。
ところが、返事がない。それで、翌日の2021年9月22日(水)に再度メールした。
それでも返事がない。異常である。
不服申立書を送付しても、受け取っていないと強弁するつもりかもしれない。
3日間早い、2021年9月24日昼頃、不服申立書をメールで送付した。
「 不服申立書を受け取った」とだけでかまいせんから、返信をお願い致します。受け取ったという確認をしたいのです。本日15時30分まで返信をお待ちします。
返信が無ければ、念のため、別部署にも送付させていただきます。
と書いたが、返事がない。
どうなっているのだろう? 届いたのだろうか? 病気でお休みしているのだろうか?
仕方なしに、福本和宏様の所属する「研究国際部学術支援課」に事情を伝えて転送した。
すると、福本和宏様から受け取ったというメールが来た。
長崎大学の事務員に、3回もメールして、一度も返事がこなかった。所属する課宛てにメールしたら、ようやく、返事が来た。
この対応は異常である。意図的なイヤガラセだと白楽は受け止めた。
長崎大学の事務局、一体、どうなっているんだろう?
ただ、万一に備え、申立書をプリントし、封筒に入れ、郵便局から書留の配達証明でも送付した。
●7.【日本医療研究開発機構(AMED)、文部科学省・研究公正室などへの手紙】
日本の研究公正の「過去」は暗かったが、「現在」も暗い。
しかし、「未来」は暗くならないよう、関係部署にメールする(した)。また、関係部署以外に、日本の研究公正の専門家である複数の知人にも手紙を送付した。
もちろん、メディアにも伝えた。国会議員にも伝えようと思うが、今は時期が悪い。
★日本医療研究開発機構(AMED):1回目
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 研究公正・法務部御中
2021年9月27日(月)
約2年前、貴機構が助成した以下の研究プロジェクトに盗用した研究成果があると、貴機構にお知らせしました。
研究プロジェクト :2016年-2018年度の「研究公正高度化モデル開発支援事業」に採択された長崎大学・河合孝尚・准教授を代表者とする「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」
貴機構も受け取ったと思いますが、約10日前、長崎大学の調査結果(長大学術第210号 令和3年9月10日)が送付されてきました。
その内容を精査すると、驚くほどの欠陥だらけでした。欠陥は大きくは以下の2点です。詳細はココ → https://haklak.com/page_kawai_plagiarism_1.html
- 貴機構が示す盗用の基準を捻じ曲げている
- 調査委員が利害関係者
貴機構の「研究公正高度化モデル開発支援事業」は「各研究機関の研究不正未然防止の強化や研究公正高度化を推進します」とあります。
この事業は、日本の研究公正のモデルを示し、高いレベルの研究公正を維持するための事業だ、と日本国民は受け取っていると思います。私もそう受け取っていました。
それで、多くの日本人及び学術研究者は、この事業によって日本の研究公正は大きく改善されると期待していたと思います。私もそう期待していました。
ところが、その事業で2,036万円が助成された研究成果が盗用だったこと。さらに、悪いことに、その調査結果が輪をかけて不正を助長していました。
この事態に、かれこれ20年以上、研究公正の研究をしてきた小生は、非常に憂慮しています。
「わが国は、いつの間にか、研究不正大国になってしまった」(出典:黒木登志夫の著書『研究不正』289頁目)、その日本の研究不正大国を是正するどころか、逆行しています。
貴機構が、監督官庁として、より良い方向に進むよう、強い態度で、長崎大学や徳島大学に行政指導を行なっていただけるよう、切に希望いたします。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
白楽ロックビル(お茶の水女子大学名誉教授)
haklak@haklak.com
★文部科学省・研究公正室
科学技術・学術政策局/人材政策課/研究公正推進室 御中
2021年9月27日(月)
約2年前、日本医療研究開発機構(AMED)が助成した長崎大学の研究プロジェクトに盗用があり、長崎大学に告発しました。5C 長崎大学の白楽ブログ盗用事件:https://haklak.com/page_kawai_plagiarism.html
約10日前、長崎大学の調査結果(長大学術第210号 令和3年9月10日)が送付されてきました。
その内容は、驚くほどの欠陥だらけでした。大きな欠陥は「1.盗用の基準を捻じ曲げている」「2.調査委員が利害関係者」の2点です。詳細はココ → https://haklak.com/page_kawai_plagiarism_1.html
一般的に、日本の大学・調査委員会は、自大学には不正がなかったと公正基準を捻じ曲げて、自大学に都合の良いように判定していることが多くあります。
今回、長崎大学に不服申し立てをしましたが、調査委員会の調査内容から判断して、再び、滅茶苦茶な理由で、不服申し立てを却下するものと予想されます。
説明が長くなりましたが、質問は、この場合、長崎大学の調査委員会以外で調査していただける組織・窓口があれば、教えていただきたいということです。
2021年8月20日、研究活動における不正行為の防止の徹底について
https://www3.jwu.ac.jp/research/rinri/20210820-mxt_kiban02-100000300_2.pdf
なお、貴局(科学技術・学術政策局)が上記で通知したように、研究不正者の処罰を強化することで、研究公正を高めようとしていると受け取りました。この方法は有効ですが、これは、調査が誠実に行われていることが前提です。
現在、処罰を恐れ、多くの大学・調査委員会は誠実に調査せず、自大学に有利になるように、ますます、公正基準を捻じ曲げて、自大学に都合の良いよう強引に判定していると思われます。
調査結果の公表を義務化していない現状では、処罰の強化は、貴局の意図と反対に、日本の研究公正を低め、大学・調査の腐敗を加速します。大学は処罰を恐れ、調査を捻じ曲げ、正義を無視し、「不正なし」と判定します。
適切な対処をお願い申しあげます。
最後に質問を再掲します。この場合、長崎大学の調査委員会以外で調査判定していただける組織・窓口があれば、教えていただきたいということです。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
白楽ロックビル(お茶の水女子大学名誉教授)
haklak@haklak.com
★長崎大学・監査室
長崎大学・監査室御中
2021年9月27日(月)
先日、研究不正の件で貴大学の以下の職員に異常な対応をされましたので、お伝えしました。
長崎大学・研究国際部学術支援課学術支援班 福本和宏様
その研究不正の調査の件で、問題点をブログにまとめ、公開しましたので、貴室にお伝えします。
5C 異常な調査:長崎大学の盗用事件 | 白楽の研究者倫理 https://haklak.com/page_kawai_plagiarism_1.html
失礼な発言になるかもしれませんが、貴大学の誰を信頼していいのかわからない状態で、困惑しています。
白楽ロックビル(お茶の水女子大学名誉教授)
haklak@haklak.com
●8.【その後の顛末】
主に不服申立書を送付後、関連記事と顛末を経時的にココに記載する。調査に支障がありそうなのは不掲載。
以下の記載は、年月日の「新しい → 古い順」です。
- 2022年7月5日(火)研究成果未公表の契約違反
読者からのご指摘で、以下に追記した。以下敬称略。
AMEDが2035万8千円助成した長崎大学の河合プロジェクトは、河合孝尚(代表者)をはじめ、分担者の野内玲(信州大学)、井内健介(徳島大学)、佐藤俊太朗・川添百合香(長崎大学)、田中恒彦(新潟大学)、佐藤弘基・河原直人(九州大学)は、義務である研究報告・公表を「まともに」していない。これは契約違反です。
――――①
AMEDの委託調査報告書の様式に、以下の記述がある。
「 一つの研究開発課題において、研究開発代表者以外にAMEDと直接委託契約等の研究開発分担者がいる場合、研究開発分担者は各々の研究計画書(分担研究開発課題)に基づき、当該研究機関の成果の概要の記載をお願いします。」
となっております。したがって野内氏をはじめ井内氏以外の研究分担者は求められている報告をしていないことになり、これは契約違反です。
ーーーーー②別の読者(makoto様)からのコメント。出典:https://haklak.com/page_dis-1.html/comment-page-1/#comment-29889
AMEDのWEBサイトでは調査報告書の「概要」のみが掲載されております。
https://amedfind.amed.go.jp/amed/search/task_search_details.html
https://www.amed.go.jp/content/files/jp/houkoku_h28/1001001/h28_005.pdf「最終年度として、昨年度に行った過去の研究不正事例調査と研究機関の実態調査の分析結果を基に調査票を作成し、研究不正に関する心理的要因の意識調査を研究者等に実施する。そして本研究成果を社会へ発信する。」ということなら調査報告書に問題ないなら公表するべきです。
全文が公表されないと「本研究成果を社会へ発信する」とはいえず、多額の税金が投入された成果が誰も利用されません。河合氏が代表の本事業は関連WEBサイト[
「いま」はございません。今回の調査事業に参加した研究者もやましいことがないのなら各人のresarchmapに競争的資金獲得実績に堂々と記載したらいいのです。ページを持っている方で公開している人は誰もいません。
各研究者のresarchmap外部資金獲得実績(ページのない方は除く)
河合 孝尚氏はresarchmapでページをもっていないようです。野内 玲氏(信州大学)
https://researchmap.jp/reinouchi/research_projects
井内 健介氏(徳島大学)https://researchmap.jp/inai-171/research_projectsその他の研究分担者
https://researchmap.jp/shuntarosatohttps://researchmap.jp/moe_zou/research_projects
https://researchmap.jp/naoto_kawahara2020/research_projects
ーーーーーーーーーーーー
- 2022年4月28日(木)18:54
日本医療研究開発機構(AMED)から、以下の返事がありました。
文部科学省・研究公正推進室からは、何も返事がありません。
ーーー日本医療研究開発機構 不正防止・対応相談窓口です。
当窓口にいただいたお問い合わせに関し、以下の通り回答いたします。
まず、研究成果の公表につきまして
AMEDは、AMEDが研究支援を行った研究課題の成果については、「AMED研究課題データベース(AMED find)」を通じて公開することとしています。
AMED find:https://amedfind.amed.go.jp/amed/index.html
※システムの仕様上、本件研究課題の検索結果のページのリンクを表示することが出来ないため、上記検索ページにおいて、研究課題名を入力し、検索してください。
研究不正に関する調査については、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)において、
当該調査対象とされた研究者が所属する研究機関において責任をもって対応することが定められております。
AMEDにおいても当該ガイドラインに従って内部規程を制定し、対応しています。
このため責任をもって調査を実施する長崎大学において調査結果を取りまとめ、AMEDは長崎大学が取りまとめた調査結果報告書の提出を受けました。
法令上、AMEDには「行政指導」を行う権限はありませんが、
この度のような場合、AMEDは研究機関に対し、同様の事例が再発することがないよう、再発防止策を確実に実施するよう要請を行っております。
どうぞよろしくお願い致します。
ーーー
- 2022年4月26日(火) 19:15
日本医療研究開発機構(AMED)から、以下の返事がありました。
文部科学省・研究公正推進室からは、何も返事がありません。
ーーー
ご連絡ありがとうございました。
日本医療研究開発機構 不正防止・対応相談窓口です。 まずは添付資料等が到達していますことをご連絡いたします。精査しまして、改めてご連絡申し上げます。 どうぞよろしくお願い致します。
ーーー - 2022年4月24日(日)
日本医療研究開発機構(AMED)に、「長崎大学の盗用事件」に対して、危機感を持って厳格な対応をして下さいと、質問とお願いをした。https://docs.google.com/document/d/1D7yBbbbDckMyvYkaHDXZxBQ8qTp-6Q1w/edit?usp=sharing&ouid=108693102698909871462&rtpof=true&sd=true - 2022年4月16日(土)
文部科学省・研究公正推進室に、長崎大学の研究不正の調査過程とその判定について、査察・調査、妥当な行政処置をお願いした。 https://docs.google.com/document/d/1h1DVy-bqTWFUigFLHYs__4RYUT6FzqR8/edit?usp=sharing&ouid=108693102698909871462&rtpof=true&sd=true - 2022年4月13日(水)
長崎大学の不当な判定をQuora(クオーラ)に質問してみた。「大学の研究不正調査が不当な時、是正するにはどうしたらよいでしょうか?」
https://jp.quora.com/unanswered/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AE%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%8C%E4%B8%8D%E5%BD%93%E3%81%AA%E6%99%82-%E6%98%AF%E6%AD%A3%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%97
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質問者です。Quora初心者で、使い方をイマイチ把握できていません。質問を補足します。私は、日本の研究不正(ねつ造、改ざん、盗用など)の改善を念頭に、外国の研究不正事件を解説するブログを書いています。長崎大学の研究者がそのブログの文章を盗用しました。その盗用を長崎大学に通報すると、長崎大学は調査し、盗用なしと判定しました。判定が不当なので、不服申し立てをしました。ところが、不当な理由で、2022年3月に不服申し立てが却下されました。文部科学省は長崎大学の調査内容を査定しません。
ここでは議論を避けるために、長崎大学の判定を不当とします。
質問は、長崎大学の研究不正調査の不当さを是正するにはどうしたらよいでしょうか、です。
- 2022年3月26日(土)
長崎大学から不服申し立てを却下するとの2022年3月23日付けの返事が来た。以下のPDFファイル → ココでも閲覧可
220323 長崎大学 却下 - 2021年10月4日(月)17:18
日本医療研究開発機構(AMED)から2021年9月28日の2回目の手紙に対する以下の返事が来ました。
ーーーーーー白楽ロックビル殿
日本医療研究開発機構 不正防止・対応相談窓口です。
長崎大学で実施された本調査結果に関するご意見をいただきました。
本件につきまして、引き続き、国のガイドライン及びAMEDの規則に従い、適切に手続きを進めて参ります。
どうぞよろしくお願い致します。
日本医療研究開発機構
不正防止・対応相談窓口
※当窓口は、令和3年10月1日から、研究公正・業務推進部 研究公正・社会共創課に設置されております。
ーーーーーー - 2021年10月2日(土)
3日前までリストされていた長崎大学・研究開発推進機構 リスクマネジメントの河合孝尚・部門長 がサイトから消えていた- 2021年9月28日(木)リストされていたhttps://web.archive.org/web/20210928081839/http://www.rmd.nagasaki-u.ac.jp/member.html
- 3日後の2021年10月2日(土)削除されていた https://web.archive.org/web/20211002050320/http://www.rmd.nagasaki-u.ac.jp/member.html
- 2021年10月2日(土)
長崎大学から「不服申し立てが行われた」との2021年9月30日付けの書類が簡易書留で自宅に送られてきた。 → ココ - 2021年10月2日(土)
14:53頃、 軽いサイバーアタック受けました(トロイの木馬)。被害なし。本事件と無関係かもしれない。 - 2021年9月30日(木)
研究公正推進室から以下の返事が来ました。スミマセン、研究公正室と間違いて書いてしまいました。
ーーーーーー
白楽ロックビル様
文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室です。
ご質問いただいた件、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日)」では、第3節4-1「調査を行う機関」において、研究機関の所属する研究者に係る特定不正行為の告発があった場合は、原則として、当該機関が告発された事案の調査を行うとなっております。
今回の事案は長崎大学に告発し、既に長崎大学で調査されているとのことですので、本事案については、長崎大学が調査を行うことになります。
どうぞよろしくお願いいたします。
文部科学省 科学技術・学術政策局人材政策課 研究公正推進室 研究公正推進係
ーーーーー
- 2021年9月30日(木)
配達証明書が自宅に来ました。クリックすると大きくなります。2段階です。 - 2021年9月28日
日本医療研究開発機構(AMED):2回目
「わんちゃん」様のコメントを受けて、以下のように、日本医療研究開発機構(AMED)に2回目の手紙を書きました。
https://haklak.com/page_kawai_plagiarism_1.html/#comment-29851
ーーーーー
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 研究公正・法務部御中
2021年9月28日(火)
昨日(2021年9月27日)、長崎大学の以下の研究プロジェクに関して、盗用事件の調査が異常であるとお伝えしました。
5C 異常な調査:長崎大学の盗用事件
https://haklak.com/page_kawai_plagiarism_1.html
さらに利害関係者が見つかりましたのでお知らせします。
なんと、永安武(ながやす たけし)・調査委員長が長崎大学の研究開発推進機構長で、盗用疑惑者の河合孝尚の直属の上司でした。
- 永安武は研究開発推進機構長
https://web.archive.org/web/20210124120147/https://www.ciugc.nagasaki-u.ac.jp/?page_id=178/#outline01 - 河合孝尚は研究開発推進機構 リスクマネジメント部門長https://web.archive.org/web/20210928081839/http://www.rmd.nagasaki-u.ac.jp/member.html
昨日(2021年9月27日)は、徳島大学の複数の調査委員が利害関係者だとお伝えしました。こんなに利害関係者ばかりの調査委員会では公正な調査・判定ができるとは思えません。
研究公正・法務部として、是非、調査に介入し、公正さが保証できる調査を実施していただけるようお願い申しあげます。
白楽ロックビル(お茶の水女子大学名誉教授)
haklak@haklak.com
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- 2021年9月27日(月)
日本医療研究開発機構 研究公正・法務部に問題点を指摘するメールを送付した。
文部科学省・研究公正室に問題点を指摘するメールを送付した。
長崎大学・監査室にも送付した - 2021年9月26日(日)
午前8:00、「5C 異常な調査:長崎大学の盗用事件」記事を公開した - 2021年9月24日(金)
不服申立書を長崎大学に送付した。 - 2021年9月13日。
長崎大学の調査結果(2021年9月10日付け)を受取った。驚いたことに、「不正行為(盗用)は行なわれていないと認定した」とある(9ページ目中段)。唖然とした。
日本医療研究開発機構(AMED)の「研究公正高度化モデル開発支援事業」で助成された「研究倫理の調査」での盗用ある。「研究公正高度化モデル開発」の「支援事業」なのだから、クロをシロと判定する「事業」を「支援」しては、日本医療研究開発機構(AMED)の研究公正の信頼は大きく傷つき、低下する。
この支援事業は「高度化モデル開発」なのだから、どちらかといえば、日本全国の平均より高い研究公正倫理が求められる。
今回、盗用でないと判定したのを認めるなら、「高度化」ではなく、むしろ「低度化モデル開発」がピッタリという顛末になる。
日本医療研究開発機構(AMED)研究公正・法務部は厳正な調査を指示すべきである。
白楽は、日本の研究公正を高め維持するため、精査し、不服申し立てをする予定である。なお、白楽は関係者に私怨・利害関係はない。また、白楽に「日本の研究公正を高め維持する」義務はないのだが・・・。
・210910 長崎大学手紙PDF https://drive.google.com/file/d/1Q8_yiN9udc4VvRbQJEk5V-DzD96fJewS/view?usp=sharing
・210910 長崎大学調査報告書PDFは18頁と長い(以下に貼り付けた)
https://drive.google.com/file/d/1BOmYdkHmjbv6mB8KR7gYzNAeanWk9Alm/view?usp=sharing
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●コメント
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本件、進展はありましたでしょうか。
それとも、すでに解決していたり、先生の方で「これ以上は不問」と判断されたり、双方で和解が成立するなど、先生としては「終結」しているのでしょうか。
本件が公表された当時は、先生の積極的な発信もあり各所で相当に話題になりましたので、解決・終結しているのであれば先生なりの「締めくくり」の言があると、当時本件を周知したり見解を述べたりsれた非常に多くの方々への労いにもなろうかと思います。
関係者は各地に栄転されています。
2024年7月には、このウェブサイトで中心人物とされている井内健介氏が「北海道大学 産学・地域協働推進機構 産学連携推進本部 戦略企画部門」に教授で着任されました。
担当分野は「産学連携活動」と「研究インテグリティ」とのこと。
ほかの関係者も「研究インテグリティ」「研究公正」分野で引き続きご活躍のようです。
このような現状からは「この事件・騒動は、結局のところ何だったのか」と考えさせられます。
wikipediaの記事コピペについては調査しなかったのか。調査に参加したすべての研究者はやましいことがないのなら納税者のため、学術発展のため機関のホームページやリサーチマップで調査報告書を公開するべき。
直属の上司は「利害関係者」ではないという見解についてAMEDおよび文科省にといあわせてはいかがでしょうか。個人間の親密度を判断基準にしているのでしたら調査する側の都合で決めることができてしまいます。部下の監督責任が問われる上司は不正が認定されると自分も何らかの責任を負う可能性があるため「不正を認定しない」誘惑をもってしまう立場です。
>>
2021年12月31日現在:2021年10月2日に長崎大学から「不服申し立てが行われた」との返事以降、長崎大学からの連絡はありません。長崎大学はチャンと審議しているのだろうか?
>>
これだけの期間がたっても「再調査をする」または「しない」についても連絡をしない長崎大学の対応は不誠実です。何らかの事情で時間がかかっているのなら、それだけでも連絡があってしかるべきです。
被告発者、委員の中には3月31日までに転職等される方も何名かはいるかもしれませんね。(河合氏も年度途中で他大学に転籍しました)
再調査(をしているのなら)に影響しないでしょうか。
疑問があります。調査報告書の全文が見れないので確認できないのですが、なぜ井内の作成した資料でディオバン事件は2017年までの情報なのでしょうか。
事業期間は2016年-2018年度です。とても重要な事件です。
調査委員会には実際に研究をしていたのかについても検証して、結果を報告していただきたいものです。
長崎大学の調査報告書では今回の調査対象となる資料について
・作成者:信州大学 野内氏
・資料作成者:徳島大学 井内氏
と認定しています。
研究代表者である河合氏も当該資料の「最終確認」が役割とされています。
「実際の判決結果」という非常に重要なことが記載されていないこの資料はそもそもこの事業の成果の要請される水準をみたしているのでしょうか。研究校正研究をテーマにされている野内氏、研究代表者である河合氏はこの点についても問題なしと判断したのでしょうか。
先のポストは判決について記載されていないのは、WiKiペディアの記述をコピペしたからであり、自分で調査をしていないため判決結果をふくめ情報を更新するという発想にならなかった可能性があることとおもい皆の意見を聞くためにしました。コピペではなかったなら(wikiペディアとの一致は偶然)、2018年度以降の2年間、井内氏は調査を怠っていたのでしょうか。
野内氏、河合氏は情報が判決結果の更新されていないことから「ちゃんと調査をしていたのだろうか」と疑念をもつことができた立場でした。研究協力者(責任者)、研究代表者の役割についてもご意見を聞きたいです。
河合氏は別の大学に奉職してます。その大学のページにはすでにメンバーとして公開されてます。
河合氏は研究責任者として見抜けなかっただけ。もちろんそこにも責任はあるのでしようけど。
河合氏は逆に戦略職員のポストが空いていたから戦略職員になっただけで、科研費も取り論文も出し、講義もするヒトです。
今回の事件改めて思ったことは「研究者ではない」人が教員であることの危険性です。今回の調査研究に関わっている人たちの多くは大学で研究者または教育者としてではなく「専門スタッフ」として雇用されている人です。労働条件等の関係で教員として雇用されている、または肩書を与えられている人たちです。能力向上のために研究をすることは奨励されるべきでしょう。ただし、研究者としての作法を習得する機会がないまま「先生」といわれることで自己評価が過大になっていた可能性があります。本来、中立であるいわゆる産学連携本部のスタッフはいわばレフリー役なのに、自分がプレイヤーになったため、学内で指摘されなかった状況があったことも不正をうんだ原因ではないでしょうか。もちろん一番の原因で深刻なのは当事者の先行研究に対するリスペクトの欠如です。ブログだからと根拠なく下に見ていたのだと思います。そして私はその姿勢を軽蔑します。
河合さんも申請時の役職は「戦略職員」でした。
https://www.amed.go.jp/koubo/10/01/1001C_00010.html
そもそもですけど、委員長の研究担当理事は、研究開発推進機構・機構長です。
河合氏は研究開発推進機構の所属、すなわち直接の上長です。
委員長=理事=機構長=「河合氏の上長」です。
役職かぶりすぎで、どれも正しいですけど、上長とわざと明かしていないようにみえます。
記事を拝読いたしました。大変なご苦労が文章からも感じられます。
「結論に影響がないから研究不正ではない」「悪意がないから~」と言うのは
一昔前までは不正を行った研究者の典型的な言い訳でしたが
近年は不正を調査する立場にある所属機関がこの様な言い訳をすることも珍しくありません。
私もネット上に出ている調査委員会の報告書を幾つか読んでおりますが
ひどいものになると「査読付き論文に関する不正の疑義は所属機関ではなく、学術誌の編集委員が行うべき」という、文科大臣もたまげるだろうトンデモ調査結果もあります。
これはSTAP細胞を経て、日本の研究公正は進歩どころか
衰退している何よりの証拠であると私も考えております。
研究費が年々削減されるのも、やむを得ないと思いますし
自分で自分の首を絞めている現実に早く多くの研究者が気づいてほしいとも思います。
さておき長崎大学の調査報告書を読むと
まず「長崎大学における研究活動の不正行為防止等に関する規程」第14条1項に
違反していることが読み取れます。
つまり、予備調査の結果、本調査を実施する事を決定した場合には概ね30日以内に
本調査委員会を設置し調査しなければなりませんが
長崎大学の報告書の記載によれば、予備調査終了が令和元年11月25日、本調査開始が令和2年6月21日と、半年以上も放置されております。
白楽先生の文章では、本調査は「2019年(令和元年)11月27日から」と書かれておりますが、これは長崎大学から調査委員名簿の通知があった日付ではないでしょうか?
仮に通知が無ければ、これまた第14条4項の違反になります。
結びになりますが、研究者が思っているほど日本の研究者は
市民からは信用されていないとも思います。
私が勤める会社でも(税金で食べている)研究者とのお付き合いがありますが
論文に掲載された実験データについて必ず上司から「再現実験は必ず行うように」と
指示を貰います。要するに、研究者を鵜呑みにはしないのですね。
企業の場合はPL法に基づく損害賠償責任が付いて回りますのでそこは慎重なのかと思います。もちろん不正は研究者だけに限らず、企業にも多いのですが。