ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)(ドイツ)改訂

2018年6月21日掲載。

ワンポイント:ギーセン大学・教授、シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院(Klinikum der Stadt Ludwigshafen)・主任麻酔科医で、人工血漿、静脈内輸液のカリスマ専門家として世界的に高い評価を得ていた。2009年(55歳)、ボルトが発表した「2009年のAnesthesia & Analgesia」論文に論文読者からデータねつ造・改ざんの疑義がスティーブン・シェーファー編集長(Steven Shafer 、米国・スタンフォード大学・麻酔学教授)に寄せられた。シェーファー編集長が疑念解明に乗り出し、ボルトの論文に異常を見つけた。結局、1990年(36歳)から20年にもわたり、データねつ造した論文を多数発表し、数百万人の患者を危険にさらしていた。トータル96論文が撤回され、2018年6月20日現在、「撤回論文数」世界ランキングの第2位である。犯罪捜査が終われば、10年以上の実刑と10万ユーロ(約1200万円)の罰金の可能性がある。損害額の総額(推定)は12億3200万円。

この事件は、白楽指定の重要ネカト事件である「撤回論文数」世界ランキングの第2位だから。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説

5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

141024 Dr_-Joachim-Boldt-620x380ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt、写真出典)は、ドイツのギーセン大学・教授、シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院(Klinikum der Stadt Ludwigshafen)・主任麻酔科医で、人工血漿、静脈内輸液のカリスマ専門家として世界的に高い評価を得ていた。手術中に血液量を増やすための輸液コロイド(HES::ヒドロキシエチルでんぷん液)の使用を推奨していた。

2009年(55歳)、ボルトが発表した「2009年のAnesthesia & Analgesia」論文に論文読者からデータねつ造・改ざんの疑義がスティーブン・シェーファー編集長(米国・スタンフォード大学・麻酔学教授)に寄せられた。

2010年(55歳)、シェーファー編集長が疑念解明に乗り出し、ボルトの論文に異常を見つけた。

2010年(56歳)、ボルトは治験審査委員会に未承認の研究を実施したこととデータねつ造論文で有罪と立証され、ギーセン大学・教授とシュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院を解雇された。

結局、ボルトは1990年(36歳)から20年にもわたり、100%データねつ造した論文を多数発表し、数百万人の患者を危険にさらしていた。

「撤回監視(Retraction Watch)」によると、撤回論文数はトータル96論文である。2018年6月20日現在、「撤回論文数」世界ランキング保存版)の第2位である。
→ 「撤回論文数」世界ランキング | 研究倫理(ネカト)

141024 1280px-Ludwigshafen_Klinikum_20100709[1]写真:シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院(Klinikum Ludwigshafen)  c Rudolf Stricker / Wikimedia

  • 国:ドイツ
  • 成長国:ドイツ
  • 医師免許(MD)取得:大学
  • 研究博士号(PhD)取得:
  • 男女:男性
  • 生年月日:1954年9月29日
  • 現在の年齢:64歳
  • 分野:麻酔科学
  • 最初の不正論文発表:1990年(36歳)
  • 発覚年:2010年(56歳)
  • 発覚時地位:ギーセン大学(正式名:ユストゥス・リービッヒ大学ギーセン)・教授、シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院・主任麻酔科医
  • ステップ1(発覚):第一次発見者は3人の論文読者。第一次追及者は学術誌『Anesthesia & Analgesia』(麻酔と無痛覚)の編集長スティーブン・シェーファー(Steven Shafer 、米国・スタンフォード大学・麻酔学教授)
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌『Anesthesia & Analgesia』(麻酔と無痛覚)。②ラインラント・プファルツ州(Rheinland-Pfalz(LAK-RLP)の医師会。③シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院調査委員会。2011年2月~2012年8月。調査期間は1年6か月。
  • 不正:データねつ造。治験審査委員会に未承認の研究実施
  • 不正論文数:撤回論文数は96論文。撤回論文数の多さは世界2位
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり。201289Hospital Presents Results of Final Report: Committee Completes Investigation in the Case of Dr Boldt
  • 研究所の透明性:実名報道で機関もウェブ公表(〇)
  • 損害額:総額(推定)は12億3200万円。内訳 → ①研究者になるまで5千万円。②研究者の給与・研究費など年間2000万円が20年間=4億円。③院生の損害が1人1000万円だが、人数は不明で、額は②に含めた。④外部研究費は不明だが、5億円(当てずっぽう)。⑤調査経費(学術誌出版局と病院とLAK-RLP医師会)が5千万円。⑥裁判経費なし。⑦論文出版・撤回作業が1報につき100万円、撤回論文の共著者の損害が1報につき100万円。96報撤回=1億9200万円。⑧研究者の時間の無駄と意欲削減が4千万円
  • 職:大学と病院を辞職(Ⅹ)。
  • 処分: 犯罪捜査が終われば、10年以上の実刑と10万ユーロ(約1200万円)の罰金と言われている

●2.【経歴と経過】

【経歴】
事件前の経歴がサイトから削除され、不明点が多い。
141024 pionierzy2a[1]写真出典

  • 1954年9月29日:ドイツで生まれる(推定)
  • 1993年(38歳):ギーセン大学の「並外れた教授(”professor extraordinary”)」と呼ばれた
  • 2010年(55歳):不正研究が発覚する。ギーセン大学・教授。シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院主任麻酔科医。この時点で、静脈内輸液のカリスマ専門家として世界的に高い評価を得ていた
  • 2010年11月(56歳):シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院を辞職
  • 2011年2月(56歳):ギーセン大学・教授職を解かれる

●5.【不正発覚の経緯と内容】

【研究内容の背景・状況】

ヨアヒム・ボルトの専門である人工血漿・静脈内輸液はどういう問題があったのか。ボルトが使用を推奨していた輸液コロイドのヒドロキシエチルでんぷん(HES::hydroxyethyl starch)の効能と害はどうだったのか?

ヒドロキシエチルでんぷん(HES)は、臨床的治療として、世界で普通に使用されている。

歴史的には、1960年代、フェーズ3の臨床試験(大規模な効能と安全性の試験)なしに病院で使用されるようになった。その後の研究は、利点と害の両方を示していたが、ヨアヒム・ボルトは高分子・高置換度のHES製剤に利点があるという研究結果を発表したので、さらに論争が過熱した。

141024 51526228_m550238-surgery-spl-1[1]写真:手術でヒドロキシエチルでんぷん(HES)製剤を使用

札幌医科大学医学部麻酔科の山蔭道明の論文(リンク切れ)を引用しよう。

代用血漿剤は,第一次世界大戦時にその必要性から開発され使用された.ゼラチンや合成ポリペプチドなどいくつかの種類が開発されたが,アナフィラキシィや血液凝固障害などの副作用により,臨床使用されなくなった.ヒドロキシエチルでんぷん(hydroxyethyl starch:HES)製剤は,1963年にThompsonとWaltonによってはじめて開発され,その後,数種類のHES製剤が発売され,臨床応用されている.

代用血漿剤のhydroxyethyl starch(HES)製剤は,感染の危険性がなく,血液製剤よりも安価であるなどの利点があり,血液製剤の使用前にその使用が望まれる.しかし,出血傾向や腎機能障害が懸念され,その利用が控えられているのが現状である.これら合併症は,高分子・高置換度の製剤で懸念された事象であり,本邦で使用されている低分子・低置換度のHES製剤では特に問題とならない.また,HES分子は加温にも安定であり,保温庫での保存や加温後の使用が可能である.(山蔭道明:「Hydroxyethyl starch(HES)製剤の現状と今後の展望」(リンク切れ)、Anesthesia 21 Century Vol.11 No.1-33 2009)

ヨアヒム・ボルトは、高分子・高置換度のHES製剤の使用を推奨していたが、HES製剤企業であるドイツのビー・ブラウン社(B. Braun、従業員3万人超), 米国のバクスター社 (Baxter、従業員5万人超) 、ドイツのフレゼニウス社(Fresenius Kabi、従業員20万人超)から研究費をもらっていた。

また、国際的学術会議のアゴアシ付き講演(paid to speak)で、しばしば高分子・高置換度のHES製剤を「聖杯の品(”the holy grail”)」と呼んでいた(出典:③ 2011年3月3日のHeidi Blakeの「Telegraph」紙の記事)。

なお、高分子・高置換度のHES製剤は、他の代用血漿剤である低分子・低置換度のHES製剤よりも10倍も高価である。それで、ヨアヒム・ボルトの主張は、製薬企業にとって都合の良い主張だった。

しかし、上記の山蔭道明論文にあるように、ヨアヒム・ボルトの推奨する高分子・高置換度のHES製剤よりも低分子・低置換度のHES製剤の方がより安全だった。

2-19-13-zarychanski[1]2013年2月20日、カナダ・マニトバ大学・内科学のライアン・ザリチャンスキー(Ryan Zarychanski、写真出典)らは、JAMA誌にボルト論文を含めたHES製剤投与のメタ分析を発表した(JAMA)。

論文は、危篤な患者に高分子・高置換度のHES製剤を投与したときの生存率をメタ分析したものだ。その結果、ボルト論文を含めると生存率は増加していないが、除くと、生存率が著しく増加した。ボルトだけが高分子・高置換度のHES製剤を推奨し、他のすべての研究者は反対していた。ということで、彼のねつ造研究は患者の生命を危険にさらし、害を引き起こしたと思われる。

【不正発覚の経緯と内容】

★「2009年のAnesthesia & Analgesia」論文とシェーファー・編集長

141024 aamisconductcover[1]2009年12月4日(55歳)、ボルトは、学術誌『Anesthesia & Analgesia』(麻酔と無痛覚)に「2009年のAnesthesia & Analgesia」論文を出版した。

論文は、心肺バイパス(CPB)を含む手術で使用された2つの異なるプライミング溶液を比較したものである。 プライミング溶液は、患者を心肺装置に接続する前に心肺装置を「満たす」液である。 初期には輸血用血液をプライミング溶液として使用したが、血液を含まない溶液を使うことで、大量の輸血用血液を節約し、患者の血液の粘性を下げて身体の周りをポンプで運びやすくした。

ボルトの論文では、プライミング溶液として「最新の輸液コロイド(HES)調製物」とタンパク質アルブミンを比較した。そして、輸液コロイド(HES)群の患者は、アルブミン・ベースのプライミング溶液を使用した患者群よりも次の点で良好だった。

  • 炎症が少ない
  • 血管の内張りの損傷が少ない
  • 腎尿細管の損傷が少ない
  • 正常な血液凝固のよりよい維持

2009年12月18日(55歳)、学術誌『Anesthesia & Analgesia』(麻酔と無痛覚)の編集長スティーブン・シェーファー(米国・スタンフォード大学・麻酔学教授)(Steven Shafer – Wikipedia, the free encyclopedia、写真出典)は、ボルトの論文が出版されてすぐに、3人の論文読者からに電子メールを受け取った。

3通の電子メールとも、ボルトのデータがねつ造・改ざんではないかと疑念を呈したものだった。

1通では、「結果は異常にきれいすぎる。血液凝固への効果などは“魔法”だ」とあった。

シェーファー編集長も自分で詳しく調べた。そして、そのデータが本物ではないことを確信したのだった。

「手術後に完全な酸 – 塩基バランスがあるように見えました。 誰も世界の歴史の中でこれを見たことはありません。 私はこれでデータねつ造・改ざんだと確信しました」。

言い換えれば、「データは完璧だが、不可能だった」のだ。

シェーファー編集長は、ボルトに疑念について問い合わせたが、回答が得られず、ドイツのラインラント・プファルツ州(Rheinland-Pfalz(LAK-RLP)の医師会に調査を依頼した。LAK-RLP医師会は、病院の倫理委員会ではなく、州全体の医療に関する倫理問題を扱っていた。

LAK-RLP医師会は調査することに同意したが、調査の前にボルトの「2009年のAnesthesia & Analgesia」論文中の医療行為が適切な倫理的承認を受けているかどうかを最初に調査した。

2010年9月(56歳)、LAK-RLP医師会はボルトとボルトの弁護士に対してヒアリングを行なった。

その結果、 ボルトは「2009年のAnesthesia & Analgesia」論文で、治験審査委員会(IRB)の承認を受けていない研究を行なったと結論した。

2010年10月(56歳)、それで、シェーファー編集長は、「2009年のAnesthesia & Analgesia」論文を撤回した。

★病院の調査委員会

2011年2月(56歳)、シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院とLAK-RLP医師会は調査委員会(委員長:Eike Martin教授)を設け、調査を開始した。その結果は以下のようだ。

  • 論文結果を裏付けるための元のデータはなかった
  • アルブミンは、ほぼ10年間病院ではプライミング溶液として使用されて居なかった。また、薬局はアルブミンを手術室に供給していなかった
  • ボルトは共著者の署名を偽造したことを認めた

【動画】
シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院の調査委員会(委員長:Eike Martin教授)「WEBREPORT: AFFARE UM JOACHIM BOLDT」、(ドイツ語)44秒、RegenbogenDEが2012/08/08 に公開

2011年3月(56歳)、研究ジャーナル6誌の編集長は、ボルトの102論文の内の89論文がドイツの治験審査委員会(IRB = Institutional Review Board)の承認を受けていない研究だったと発表した(BBC News – ‘Unethical’ anaesthetics research is retracted(保存版))。6誌のうち4誌は「Anesthesia & Analgesia」「Anaesthesia」「European Journal of Anaesthesiology」「British Journal of Anaesthesia」である。

2012年8月9日(57歳)、シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院調査委員会が報告書を公表した。
→ Hospital Presents Results of Final Report: Committee Completes Investigation in the Case of Dr Boldt ≫ 2012 ≫ Pressearchiv ≫ Veranstaltungen / Presse ≫ Klinikum Ludwigshafen

約1年6か月かけて、ヨアヒム・ボルト氏の1999~2011 年の91論文を調査しました。論文の多くは研究記録が消失または不完全でした。記録保持の規則に違反していると思われます。また、生命倫理委員会からの倫理的指導を受けていません。患者のインフォームド・コンセントの正式書類がありません。

ヨアヒム・ボルト氏の多くの研究は研究遂行基準を満たしておりません。患者数、診断、検査日などのデータねつ造が、少なくとも10論文に見つかりました。

治療された患者は455人で、患者の医療記録を調べましたが、ヨアヒム・ボルト氏の不正行為のために医療被害を受けた患者はおりませんでした。

(記述は、「撤回監視(Retraction Watch)」の記事を参考にした(Boldt inquiry concludes: False findings in at least 10 studies, but no harm to patients | Retraction Watch

上記の報告書は「かなりいい加減」と批判された。

治療された患者は455人に医療被害を受けた患者はいないと結論しているが、この手の臨床試験で医療被害を受けにのはあり得ないと指摘されている。

2014年2月4日(59歳)、ドイツ医学評議会(German medical board)は、ボルトの90論文は治験審査委員会(IRB)の承認を受けていない研究なので、撤回するようにと要求した(Quack Doc Watch: German Medical Board Issues Sweeping Findings in Boldt Case)。

シュタット・ルートヴィヒスハーフェン病院の最終報告書は、ボルトが刑事告発すされると予測し、報告書を検察当局に送ったとしている。刑事告発されれば刑期10年以上、罰金10万ユーロ(約1200万円)になるだろう。

2018年5月現在(63歳)、しかし、ボルトはドイツを去ってチェコに滞在しているらしい。ドイツ検察が刑事事件にしたとの情報は得られていない。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

【撤回論文】

2018年6月20日現在、パブメド(PubMed)で、ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)の論文を「Joachim Boldt[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2018年の17年間のの89論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が含まれている。

「Boldt J[Author] 」で検索すると、1960~2018年の59年間の520論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多いと思われる。

2018年6月20日現在、「Boldt J[Author] AND Retracted 」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、89論文が撤回されていた。最古の論文は1990年で、この時、ボルトは36歳である。

「撤回監視(Retraction Watch)」によると、撤回論文数はトータル96論文である。2018年6月20日現在、「撤回論文数」世界ランキング保存版)の第2位である。
→ 「撤回論文数」世界ランキング | 研究倫理(ネカト)

★パブピア(PubPeer)

省略

●7.【白楽の感想】

《1》事件の深堀

白楽は、深堀れない。しかし、どうも、語られていない事実や人間関係がありそうに思える。

病院内部調査委員長のハワード・マーチン教授(Howard Martin)は、「どうしてなんだ。ボルトの地位は悪くないし研究成果も悪くなかった。そんな彼がどうしてこんなことをしたんだ?」と述べている(② ヘイディ・ブレイク(Heidi Blake)の「Telegraph」紙の記事)。

権力闘争があったのだろうか? 色恋沙汰があったのだろうか?

ネカトの動機がわかりません。

《2》 弟子たち

研究者の事件を調べると、被害者は患者や国民である。しかし、一般に言われないが、同じような被害者は弟子たちだろう。

研究ネカト教授の弟子に、不正をする弟子が多いか、少ないか? 師・弟子ともに研究ネカトで職を追われた加藤茂明・教授と弟子の柳澤純のような取り合わせだ。それを研究した論文がない。印象だが、白楽は「多い」と感じている。弟子は、師から研究スタイルを習得するからだ。

しかし、弟子が師を選ぶとき、師の不正(傾向)を知らない。

研究室員になって、弟子は師の不正(傾向)を初めて知る。しかし、弟子であっても不正に重度に加担すれば共犯である。現実は、軽度にしか不正にからまない弟子、あるいは、同じ研究室にいても、不正に全くからまない弟子が多いハズだ。

ヨアヒム・ボルトは大学教授だから研究室からたくさんの弟子が育ったに違いない。不正に軽度にからんだ弟子、全くからまない弟子たちの、その後の研究者キャリアはメチャクチャになってしまわないのだろうか?

師が不正とされた時、研究者をやめようと思う人が多いだろう。また、履歴書にボルトの研究室の大学院生・ポスドクだったと書けば、研究界での就職・転職・昇進に不利になるだろう。

これは、研究システムとして妥当に思えない。考えないといけないですよ、と日本の政治家と文部科学省に言っておきたい。

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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい。正直者が得する社会に!
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21枚目のスライド。https://www.slideshare.net/oliflower/ian-seppelt-icu-in-review

●8.【主要情報源】

① ウィキペディア Joachim Boldt – Wikipedia, the free encyclopedia
② 2011年5月11日以降のヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)に関する「撤回監視(Retraction Watch)」記事群:Search Results for “Joachim Boldt” ? Retraction Watch
③ 2011年3月3日のヘイディ・ブレイク(Heidi Blake)の「Telegraph」紙の記事:Millions of surgery patients at risk in drug research fraud scandal – Telegraph
④ 2013年の論文:Jacqui Wise: Boldt: the great pretender, BMJ. 2013 Mar 19;346:f1738. doi: 10.1136/bmj.f1738.
⑤ 2017年11月9日のドクター・ジェフ(Dr Geoff)の記事:Joachim Boldt ? German anesthesiologist who faked data relating to the management of critically ill patients | Dr Geoff
⑥旧版:2014年11月6日
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●コメント