ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)(台湾)

2019年8月16日掲載 

ワンポイント:イランで生まれ育ち、2002年(28歳?)、京都大学の田畑泰彦・研究室で研究博士号(PhD)を取得し、筑波の物質・材料研究機構の小林尚俊・研究室でポスドク、その後、国立台湾科技大学(National Taiwan University of Science & Technology)・副教授になった。2002-2007年の7論文が8-14年後の2015-2016年に撤回された。7撤回論文の内、2002-2005年の5論文は京都大学の田畑泰彦・教授と共著であり、2006年の1論文は物質・材料研究機構の小林尚俊・上席研究員と、2007年の1論文は田畑泰彦と小林尚俊の2人と共著である。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。

【追記】
野中良祐・記者の「朝日新聞デジタル」記事: 16年に異例の論文強制撤回 疑惑残る京大の博士号は今も「調査中」
・2020年5月8日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事: Materials scientist up to nine retractions – Retraction Watch

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.白楽の手紙
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani、ORCID iD:、写真出典)は、イランで生まれ育ち、2002年(28歳?)、京都大学の田畑泰彦・研究室で研究博士号(PhD)を取得し、筑波の物質・材料研究機構の小林尚俊・研究室のポスドクを経て、2011年(37歳?)、国立台湾科技大学(National Taiwan University of Science & Technology)・副教授になった。専門は生体材料工学である。

なお、同姓同名の研究者がいる。その人とは混同しないように。

ねつ造・改ざんが発覚した経緯は不明だが、2002-2007年の7論文が8-14年後の2015-2016年に撤回された。

7撤回論文の内、2002-2005年の5論文は京都大学の田畑泰彦・教授と共著であり、2006年の1論文は物質・材料研究機構の小林尚俊・上席研究員と、2007年の1論文は田畑泰彦・教授と小林尚俊・上席研究員の2人と共著である。

つまり、ネカト論文は日本の大学・研究機関で行なった研究の論文だった。論文が撤回された2015-2016年時点では、ホセインカーニは国立台湾科技大学(National Taiwan University of Science & Technology)・副教授だったので、所属国を台湾としたが、実質的には日本の事件である。

しかし、2019年8月15日現在に至るまで、京都大学も物質・材料研究機構もこのホセイン・ホセインカーニのネカト行為を調査していない(と思う)。

調査をすれば、京都大学・博士論文にネカトが発見される可能性を含め、多量のネカト論文が見つかる可能性は高い(と思う)。

京都大学ウイルス・再生医科学研究所(Institute for Frontier Life and Medical Science, Kyoto University)。写真出典

  • 国:台湾
  • 成長国:イラン
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:京都大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1974年7月3日生まれとする。1996年に大学を卒業した時を22歳とした。7月3日は経歴出典①-2より
  • 現在の年齢:50 歳?
  • 分野:生体材料工学
  • 最初の不正論文発表:2002年(28歳?)
  • 不正論文発表:2002-2007年(28-33歳?)
  • 発覚年:2015年(41歳?)
  • 発覚時地位:国立台湾科技大学・副教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は不明
  • ステップ2(メディア):「世界変動展望」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部、②京都大学と物質・材料研究機構は調査していない?
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。京都大学と物質・材料研究機構は調査していない?
  • 大学の透明性:発表なし(✖)。京都大学と物質・材料研究機構は調査していない?
  • 不正:ねつ造
  • 不正論文数:7論文撤回
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の師: 田畑泰彦(たばた やすひこ)(京都大学・教授)、小林尚俊(KOBAYASHI, Hisatoshi) (物質・材料研究機構・上席研究員)

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は5億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

出典:①-1: Dr. HOSSEIN HOSSEINKHANI 、①-2:Dr. Hossein Hosseinkhani(@hh_hosseinkhani)さん | Twitter

  • 生年月日:不明。仮に1974年7月3日生まれとする。1996年に大学を卒業した時を22歳とした。7月3日は出典①-2より
  • 1996年(22歳?):イランのポリテクニク大学(Polytechnique University、現在のアミール・キャビール工科大学:Amirkabir University of Technology)で学士号取得:化学工学
  • 1998年(24歳?):イランのタルビアト・モダレス大学(Tarbiat Modares University)で修士号取得:化学工学
  • 2002年(28歳?):日本の京都大学で研究博士号(PhD)を取得:高分子化学。指導教授:田畑泰彦
  • 2002-2004年(28-30歳?):京都大学ウイルス・再生医科学研究所でポスドク
  • 2004-2008年(30-34歳?):筑波の物質・材料研究機構の小林尚俊・研究室でポスドク
  • 2008-2009年(34-35歳?):日本女子医科大学・研究員
  • 2009年(35歳?):台湾の国立陽明大学(National Yang Ming University)・副教授
  • 2011年(37歳?):台湾の国立台湾科技大学(National Taiwan University of Science & Technology)・副教授
  • 2015年11月(41歳?):「2007年1月のTissue Eng.」論文が撤回。その後、6論文撤回される

以下の同姓同名の研究者は別人と考えている。

ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)2番目。出典(写真も):②: Hossein Hosseinkhani | Master of Mechanical Engineering | Amirkabir University of Technology, Tehran | TUS | Department of Mechanical Engineering

  • 2018年(xx歳):イランのアミール・キャビール工科大学(Amirkabir University of Technology)で修士号取得:工学

ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)3番目。出典(写真も):③-1: Hossein Hosseinkhani | Georg-August-Universität Göttingen – Academia.edu、③-2:(1) Hossein Hosseinkhani | LinkedIn

  • 2005年(xx歳):イランの森林牧野研究所(Research Institute of Forests and Rangelands-Iran)・研究員

●4.【日本語の解説】

★2016年06月11日:世界変動展望:H.Hosseinkhani、小林尚俊 物質・材料研究機構らの論文が捏造等で撤回

出典 → ココ 

Hossein Hosseinkhani経歴1経歴2写し)、生体材料)国立台湾科技大学副教授、元物質・材料研究機構若手国際研究センター、小林尚俊Hisatoshi Kobayashi経歴、高分子材料)物質・材料研究機構生体材料センター高次機能生体材料グループ グループリーダーらの論文が捏造、改ざん、重複発表で強制撤回された。

Hossein Hosseinkhaniの論文撤回は合計6報目。

不正論文と捏造、改ざん、重複、撤回公告、撤回公告日 2016年6月2日.

撤回公告より

撤回理由は2つあり、「widespread plagiarism of text, notably from references [1] and [2].」と書かれているが元になったのはどちらもH.Hosseinkhaniらの論文なので、このケースは自己盗用、つまり重複発表。

Figure 1 was previously published as Figure 2b in reference [2], describing different experiments (BMP-2 and bFGF, respectively).」は異なる実験条件に画像を流用したのだから捏造、改ざん。この件だけだと1画像だけだから過失と思うかもしれないが、Hossein Hosseinkhaniは少なくとも4論文で画像重複使用で撤回になっており、大量に同様の不正を続けた事から過失という言い分は通じないだろう。不正論文による撤回の紹介1,2.

Hossein Hosseinkhaniは常態的に悪質な不正を繰り返したという感じ。前に紹介したとおり、京大で博士号を取得し、その基礎になった論文にも捏造があって強制撤回された。京大とNIMSは博士論文を含めてHossein Hosseinkhaniの論文を全部調査した方がよい。他にも不正がある可能性はそこそこ高い。

それにしても今回も編集側による強制撤回。一般に非常に不名誉だ。著者は研究者としての倫理意識が全くなく、悪質で明白な捏造等のために撤回したと公言されているようなものだ。

田畑泰彦だけでなく小林尚俊らも同様なのか。通常は編集側が強制撤回する前に必ず自主撤回を促されるはずだ。明らかに間違っている、不正な論文だとわかっていながら故意に撤回しないのは、他の研究者が誤りで被害を被っても構わないという態度だから背信的で研究者倫理に反する。

物質・材料研究機構(NIMS)も本件にきちんと対応してほしい。

★2016年06月13日:oip********:田畑泰彦 京大教授の論文捏造を京大は認定しますか?悪質ですか?Hossein Hosseinkhaniと青山輝義は博士取り消しですか?

出典 → ココ 

http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/8d3b10175a980b2605b446da82f8e5…

(A)田畑泰彦 京大再生研教授の論文6報が不正で撤回され、5報が責任著者でした。
ジャーナルの撤回公告をみると5報で捏造、改ざんが記載され、1報が一部の著者が研究に関与せず投稿に同意しなかった不正でした。すべてジャーナルが強制撤回しました。
これはジャーナルが田畑泰彦教授の論文に悪質な捏造、改ざんなどがあると認定したのですか?
京大も捏造などを認定しますか?田畑泰彦教授の責任は重く懲戒解雇などになりますか?
ジャーナルの強制撤回は自主撤回より損害が大きいのですか?強制撤回でどんな不利益を受けますか?

(B)Hossein Hosseinkhaniと青山輝義はジャーナルが捏造、改ざんを認定した論文をもとに博士論文を作って博士を得ました。京大は二人の博士を取り消しますか?もし取り消されなければ小保方晴子早稲田大学のように非難されますか?

(C)Mohsen Hosseinkhaniも京大で博士を得ました。こいつは米Mount Sinai Medical Centerを解雇された後に同センターに2度侵入し価値のある材料を窃盗。さらにマウスの名前タグを交換して研究を妨害した。この罪で刑事告発された。さらにMohsen Hosseinkhaniは当局にパスポートを没収されたのにイランへ逃げた。必然的に密出入国。Mohsen Hosseinkhaniに逮捕状が出された。こいつも博士を取り消されますか。

(D)Hossein Hosseinkhaniの博士論文は田畑泰彦教授が主査でMohsen Hosseinkhaniの博士論文の審査員は山中伸弥教授でした。捏造博士論文を合格させてしまった事で懲戒されますか?特に田畑泰彦教授は博士論文の主査で元になった論文も責任著者だったので重く処罰されますか?

(E)ジャーナルが捏造、改ざんを認定したのに京大が捏造等を認定しない事はありますか?それは不正の隠蔽ですか?その時は京大が小保方晴子の理研や早稲田大学のように猛烈に非難されますか?

(F)田畑泰彦教授やHossein Hosseinkhanや青山輝義は不注意だったといえば不正が認定されず責任を逃れられますか?

(H)田畑泰彦教授は6報の論文が全て強制撤回され、うち5報は責任著者でした。ジャーナルから自主撤回を要求された時にどうして撤回しなかったのですか?それは研究者としてもモラルがないからですか?強制撤回されるとどんな不利益を受けますか?痛すぎませんか?

(G)田畑泰彦教授とHossein Hosseinkhanはなぜこんなに捏造論文や撤回が多いのですか?

●5.【不正発覚の経緯と内容】

「4.【日本語の解説】」で、「世界変動展望」と「oip********」が詳しく書いているので、基本的にはそれでホセインカーニ事件を理解できると思う。

白楽が加える余地は少ししかない。

発覚の経緯は不明である。

★日本の事件

発表した論文にねつ造・改ざんが発覚した経緯は不明だが、2002-2007年の7論文が8-14年後の2015-2016年に撤回された。

7撤回論文の内、2002-2005年の5論文は京都大学の田畑泰彦・教授(写真出典)と共著であり、2006年の1論文は物質・材料研究機構の小林尚俊・上席研究員と、2007年の1論文は田畑泰彦と小林尚俊の2人と共著である。

ネカト論文は日本の大学・研究機関で行なった研究論文だった。

白楽のブログは日本の事件は解説しないのに、ホセイン・ホセインカーニをどうして取り上げたのか? 

論文が撤回された2015-2016年時点では、ホセインカーニは国立台湾科技大学(National Taiwan University of Science & Technology)・副教授だった。それで、最初、ロクに調べもしないで、外国(台湾)の事件だと思って扱うことにしてしまった。

調べて、直ぐに、実質的には日本在住の時に起こしたネカト事件だとわかった。

なお、国を移動する研究者の場合、どの国の研究者とすべきという一般的な基準はない。国籍が公開されていないこともあり、研究者を国籍で分類することは少ない。所属大学・研究機関のある国としていることが多い。

【ねつ造・改ざんの具体例】

京都大学はネカト調査をしていない(と思う)。

パブピアも指摘していない。

以下、学術誌の撤回告知を探った。結論から言うと、自分の画像をそのまま、あるいは加工し、別の画像として使用したというデータねつ造である。

★「2003年1月のJ Control Release」論文

「2003年1月のJ Control Release」論文の書誌情報を以下に示す。2016年6月28日に編集長の権限で撤回された。
 → Retraction notice to “In vitro gene expression by cationized derivatives of an artificial protein with repeated RGD sequences, pronectin®” [J. Control. Release 86 (2002) 169–182] – ScienceDirect

撤回告知は、次のように指摘している。

図1(A)、1(B)、1(D)、1(F)、1(H)のローディングコントロール(ゲルの上部のバンド)は明るさを変えているが、同一のバンドの重複使用(ねつ造)である。さらに、ゲル1(F)および1(H)は完全に同じ画像で、明るさを変えたものである。

★「2005年11月のJ Control Release」論文

「2005年11月のJ Control Release」論文の書誌情報を以下に示す。2016年6月28日に編集長の権限で撤回された。
 → Retraction notice to “Ultrasound enhances in vivo tumor expression of plasmid DNA by PEG-introduced cationized dextran” [J. Control. Release 108 (2005) 540–556] – ScienceDirect

撤回告知は、次のように指摘している。

以下に示すマウス腫瘍組織の図8(A)、(C)、(E)、(F)は、同じ著者の「2002年のJ. Control. Release」論文のマウス筋肉組織の図5(A)、(E)、(D)、(B)/(C)を加工した画像である。

図8(B)と8(D)は、図8(A)を加工した画像である。図8(B)は時計回りに90度回転し、60%引き伸ばした画像で、図8(D)は拡大し色付けした画像である。

さらに、この図8は同じ著者の「2006年のCancer Gene Ther」論文で重複使用されている。

さらに、この論文の以下の図2(D)は、同じ著者の「2003年のJ. Control. Release」論文の図1(F)と同じである。

【モーセン・ホセインカーニ(Mohsen Hosseinkhani)】

ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)

ややこしいのだが、ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)はモーセン・ホセインカーニ(Mohsen Hosseinkhani)と共著の論文がある。京都大学の田畑泰彦が最後著者である。

姓が同じで名前が似ている。イラン出身で、さらに、日本の京都大学で研究博士号(PhD)を取得しているところも同じである。それで、混同しがちである。白楽が推定するに、モーセンはホセインの弟だろう。

モーセン・ホセインカーニ(Mohsen Hosseinkhani)

以下に顔写真と経歴を示す。

モーセン・ホセインカーニ(Mohsen Hosseinkhani)。出典(写真):④:(1) Mohsen Hosseinkhani, MD, PhD | LinkedIn

  • 1971年x月x日:イランで生まれる。2011年12月2日の新聞に40歳とあったので
  • 1993年5月-2000年10月(21-29歳):イランのテヘラン大学(University of Tehran)で医師免許(MD)取得
  • 2003-2007年(31-35歳):日本の京都大学で研究博士号(PhD)を取得:心臓再生。Kyoto University Research Information Repository: Trichostatin A induces myocardial differentiation of monkey ES cells
  • 2003-2007年(31-35歳):米国のマウントサイナイ病院(Mount Sinai Hospital)・ポスドク:上記と重複してるので、間違い、または、詐称。
  • 2003-2007年(31-35歳):米国のマウントサイナイ病院(Mount Sinai Hospital)・ポスドク:上記と重複してるので、間違い、または、詐称。

モーセン・ホセインカーニは、ハーバード大学医科大学院で心臓再生を専攻し、イランのシャヒード・ベヘシュティー医科大学(Shahid Beheshti Medical University)で医師免許(MD)を取得したと主張している。

但し、ハーバード大学医科大学院・広報官はモーセン・ホセインカーニがハーバード大学医科大学院に在籍していたのを確認できないと発表した。

モーセン・ホセインカーニは、以下の犯罪事件を犯した。

2011年12月、米国のマウントサイナイ病院(Mount Sinai Hospital)・ポスドクだったモーセン・ホセインカーニは奨学金の更新がされないと聞いて、腹を立て、研究室の部外秘の研究データを盗み、「動物ケージで飼育していた実験中のネズミを滅茶苦茶に入れ替え、どのネズミだどれだか不明にした」。

研究室に対するこの蛮行で、40歳のモーセン・ホセインカーニは警察官に逮捕され、強盗と窃盗罪で起訴された。

モーセン・ホセインカーニは、最低3年半の刑務所刑に直面した。

ところがしかし、検察官がモーセン・ホセインカーニのイランのパスポートを持っていたにもかかわらず、モーセン・ホセインカーニは、どういうわけか母国のイランに戻ってしまった。そして、二度と米国に戻ってこないと思われる。

米国とイランとの間には、犯罪人引渡し協定(extradition agreement)はない。米国に戻れば拘禁されるが、戻らなければ処罰できない。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2019年8月15日現在、パブメド(PubMed)で、ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)の論文を「Hossein Hosseinkhani [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2019年の18年間の66論文がヒットした。

「Hosseinkhani H[Author]」で検索すると、2002~2019年の18年間の71論文がヒットした。内26論文が田畑泰彦と共著である。また11論文が小林尚俊と共著である。

2019年8月15日現在、「Hosseinkhani H[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、2003―2004年の4論文が12年ほど経過後の2015―2016年に撤回されていた。4論文とも田畑泰彦と共著である。内、3論文は著者がホセインカーニと田畑泰彦の2人だけの論文である。

  1. Bone regeneration on a collagen sponge self-assembled peptide-amphiphile nanofiber hybrid scaffold.
    Hosseinkhani H, Hosseinkhani M, Tian F, Kobayashi H, Tabata Y.
    Tissue Eng. 2007 Jan;13(1):11-9. Retraction in: Tissue Eng Part A. 2015 Nov;21(21-22):2777.
  2. Ultrasound enhances in vivo tumor expression of plasmid DNA by PEG-introduced cationized dextran.
    Hosseinkhani H, Tabata Y.
    J Control Release. 2005 Nov 28;108(2-3):540-56. Epub 2005 Oct 10. Retraction in: J Control Release. 2016 Jun 28;232:269.
  3. PEGylation enhances tumor targeting of plasmid DNA by an artificial cationized protein with repeated RGD sequences, Pronectin.
    Hosseinkhani H, Tabata Y.
    J Control Release. 2004 May 31;97(1):157-71. Retraction in: J Control Release. 2016 Jun 28;232:270.
  4. In vitro gene expression by cationized derivatives of an artificial protein with repeated RGD sequences, Pronectin.
    Hosseinkhani H, Tabata Y.
    J Control Release. 2003 Jan 9;86(1):169-82. Retraction in: J Control Release. 2016 Jun 28;232:268.

★撤回論文データベース

2019年8月15日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)を検索すると、7論文がヒットし、7論文が撤回されていた。Retraction Watch Databaseの上右「Nature of Notice」の右にチェックを入れ、「Retraction」にすると、撤回論文(数)が表示される。

2002-2005年の5論文は京都大学の田畑泰彦・教授と共著であり、2006年の1論文は物質・材料研究機構の小林尚俊と、2007年の1論文は田畑泰彦・教授と小林尚俊の2人と共著である。

これら2002-2007年の7論文は10数年後の2015-2016年に撤回された。

★パブピア(PubPeer)

2019年8月15日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)の論文にコメントはない:PubPeer – Search publications and join the conversation.

★博士論文

ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)は、2002年11月25日、京都大学で博士号 (工学)(甲第9835号)を取得している。
→ Kyoto University Research Information Repository: Design of Non-Viral Polymer Vectors and the Ultrasound Combination to Enhance Gene Transfection

博士論文タイトルは「Design of non-viral polymer vectors and the ultrasound combination to enhance gene transfection」である。日本語:「遺伝子導入の増強のための非ウイルス高分子ベクターの設計とその超音波との組み合わせ」

日本語の要旨:https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/149455/1/ykogk02199.pdf

●7.【白楽の感想】

《1》日本の事件で処罰ナシ 

ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)は、台湾の副教授だったので、海外の事件だと思い、調査を始めたら、7撤回論文の内の7論文とも、日本から出版した論文だった。

つまり、日本のネカト事件だった。

京都大学も物質・材料研究機構もホセインカーニのネカト調査をしていない(と思う)。編集長の権限で7論文が撤回されたが、他の論文、つまり、2002~2019年の18年間の71論文の大半がネカト論文かもしれない。2002年の博士論文もネカト論文かもしれない。

しかも、処罰されておらず、研究職を続けているので、現在もネカト論文を発表し続けている可能性が高い。

《2》物質・材料研究機構の小林尚俊

ホセイン・ホセインカーニ(Hossein Hosseinkhani)のネカト行為は院生として過ごした京都大学の田畑泰彦・研究室で既に始まっていた。博士号取得後、筑波の物質・材料研究機構の小林尚俊・研究室のポスドクとして過ごし、そこでの2論文もネカトで撤回された。

ホセインカーニのネカト癖は京都大学ですでに身に着けてしまっていたから、物質・材料研究機構の小林尚俊・上席研究員の研究室での2撤回論文は、小林尚俊・上席研究員に余り責任がないだろう。

しかし、小林尚俊・上席研究員は別の事件であるアシュトシュ・ティワリ捕食論文事件でかなり重要な脇役を担っている。
→「捕食」:材料工学:アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)(スウェーデン)

小林尚俊・上席研究員は、たまたま運が悪いのか、脇が甘いのか、どっちなんだろう?

《3》ネカトハンター

白楽はネカトハンターではないので、研究者のネカトを見つけ、研究者が所属する各国の大学や調査機関に告発し、かつメディアに資料を送付することをしていない。

2019年4月21日に、「材料工学:シャオシン・イエ、叶肖鑫(Xiaoxin Ye)(中国)」の記事を掲載した。中国の大学で取得したシャオシン・イエの博士号がはく奪されたことを記述した。

中国で博士号取得後に日本の大阪大学のポスドクになり、1年半の間に大阪大学から11報の論文を出版した。大阪大学の指導教授もわかるように実名を記載した。

その時、ブログ読者から、大阪大学に通報すべきだとの指摘を受けた。

白楽は大学の在り方として以下のように考えている。

大学の研究公正担当者は自分の大学の研究公正を調査・維持・改善するのが職務である。職務の一環として、自分の大学の教職員・研究者・学生のネカトを自発的にチェックし、調査する。これが本来のあるべき姿だと思う。学内外の他人から指摘されないと調査しないのでは、システムがおかしい。指摘されても調査しないのはもっとおかしい。言語同断です。

しかし、それから4か月経過した。

大阪大学が調査に乗り出したと聞こえてこない。調査に乗り出したならそのことを公表し、大阪大学は研究公正であると、日本国民に伝えてほしい。そうしなければ、研究公正は地に落ちる。大阪大学の評判は悪くなる。

実は、多くのブログ読者から、日本の大学は通報しても調査しない。文部科学省に通報しても当該大学に伝えるだけだ。だから、日本ではネカトを訴えて正当に調査してもらえる場所・機関がない。このような不満を、たくさん聞いている。

社会の機能(権限)として、本来、大学は研究・教育機関であって、捜査機関ではない。だからネカト調査・捜査は捜査機関である警察に任せるべきだと、白楽は、主張しているが、それに賛成する大きな動きはない。

それで、現システムでは、当該大学がネカトを調査することになる。しかし、大学人は調査・捜査の素人で知識も技術も劣るし、捜査権力がほとんどない。それに、大学にとっては余計な仕事である。

白楽のネカト・ブログは、海外のネカト事件・事情・システム・問題を読み解くことで日本の研究者倫理の改善に役に立てたいという意図である。日本の事件は白楽以外の人にお任せしたい。

しかし、日本の事件を調べ・告発する人がメッキリ少なくなってしまった。調べ・告発しても何の得はない。その上、脅し・非難・危険がくる。これでは、調べ・告発する人はいなくなるだろう。

日本人が日本で犯したネカト事件の分析・洞察でも、日本語で書ける日本人がおらず、外国人が英語で書いている。
 → 2018年8月17日の「Science」記事:Researcher at the center of an epic fraud remains an enigma to those who exposed him 
 → 2019年6月18日の「Nature」記事: What universities can learn from one of science’s biggest frauds  

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●9.【主要情報源】

① 2016年7月22日のダルミート・チャウラ(Dalmeet Singh Chawla)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Four more retractions for biomaterials researcher brings total to 7 – Retraction Watch
② 2011年12月2日のジェイミー・スクラム(Jamie Schram)記者の「NY Post」記事:Doctor upset over losing hospital fellowship allegedly stole scientific materials, shuffled around lab rats
③ 2012年1月17日のローラ・イタリアーノ(Laura Italiano)記者の「NY Post」記事:Doctor upset over losing hospital fellowship allegedly stole scientific materials, shuffled around lab rats、(保存版)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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