「錯誤」:メメット・オズ(Mehmet Oz)(米)

2019年2月11日掲載

ワンポイント:米国のコロンビア大学の外科・教授であるオズは、約10年間も、テレビの『ドクター・オズ・ショー』の司会者をしている。内容は健康・医療についてトークショー番組である。2019年2月10日現在まで、1,650以上のエピソードを放映した人気番組で、オズ教授は「ドクター・オズ」として超有名人である。その10年間に、いくつかの問題発言が指摘されている。2014年(54歳)、グリーンコーヒー豆に奇跡的な減量効果があるというデタラメな発言が問題視され、議会で聴聞された。2018年夏(58歳)、「占星術が人の健康状態を語る」とツイートして、またまた墓穴を掘った。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。オズ事件は、「 2018年ネカト世界ランキング」の「2」の「2番目」、「4」の「11番目」の事件になった。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.錯誤発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

メメット・オズ(Mehmet C. Oz、写真出典)は、米国のコロンビア大学・外科学科(Department of Surgery at Columbia University)の教授・医師で、専門は外科(心臓血管外科学)である。また、健康・医療についてのテレビのトークショー番組『ドクター・オズ・ショー』で司会を務めている。つまり、有名な臨床医・教授・タレントである。

2009年(49歳)、テレビ番組『ドクター・オズ・ショー』を開始した。

2014年(54歳)、グリーンコーヒー豆に奇跡的な減量効果があるというデタラメな話を持ち出し、議会で聴聞を受けるまでの騒ぎになった。

2018年夏(58歳)、「占星術が人の健康状態を語る」とツイートして、さらに墓穴を掘った。

ドクター・オズはかつては尊敬されていた外科医だったが、テレビ番組『ドクター・オズ・ショー』で有名になり、疑わしい医療アドバイス、デタラメな治療法、いい加減な減量法を宣伝するようになった、と学者・研究者から批判されている。

今回、このネカト・ブログで記事にしたのは、研究論文そのもののネカトではなく、テレビ番組『ドクター・オズ・ショー』やツイッターなどで、科学的根拠のない錯誤(疑似科学、pseudoscience)発言を、ドクター・オズがしたことである。

ドクター・オズ事件は、「 2018年ネカト世界ランキング」の「2」の「2番目」、「4」の「11番目」の事件である。

2019年2月10日現在(58歳)、ドクター・オズはコロンビア大学・外科・教授に在職している(Mehmet C. Oz, MD, FACS | Columbia University Department of Surgery)。

コロンビア大学医療センター(Columbia University Medical Center)。写真By Mightychip26Own work, Public Domain, Link

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 医師免許(MD)取得:ペンシルベニア大学医科大学院
  • 経営学修士(MBA)取得:ペンシルベニア大学ウォートン校
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 男女:男性
  • 生年月日:1960年6月11日
  • 現在の年齢:58 歳
  • 分野:外科
  • 最初の錯誤発言:2014年(54歳)
  • 発覚年:2014年(54歳)
  • 発覚時地位:コロンビア大学・教授、テレビ司会者
  • ステップ1(発覚):
  • ステップ2(メディア):多数のメディア、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①米国・食品医薬品局(FDA)。②コンシューマーズ・ユニオン(Consumers Union)。③連邦取引委員会(Federal Trade Commission、略称: FTC)。④上院議会。⑤クリスチーナ・コロニーク準教授(Christina Korownyk)の「2014年のBMJ」論文。⑥コロンビア大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)。
  • 問題:錯誤
  • 不正論文数:なし。論文での不正や錯誤ではない
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)。
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。内訳 ↓

  • ①研究者になるまで5千万円。研究者を辞めていないので損害額は0円。
  • ②大学・研究機関が研究者にかけた経費(給与・学内研究費・施設費など)は年間4500万円。研究者を辞めていないので損害額は0円。
  • ③外部研究費。外部研究費の額は不明だが研究ネカトではないので、損害額はゼロ円。
  • ④調査経費。第一次追及者の調査費用は100万円。大学・研究機関の調査費用は1件1,200万円、上院聴聞会は1件1,000万円。小計で2,300万円
  • ⑤裁判経費は2千万円。裁判はなかったので損害額は0円。
  • ⑥論文撤回は共著者がいる場合は1報当たり1,000万円、共著者がいなければ100万円。撤回論文は0報なので損害額は0円。
  • ⑦アカハラ・セクハラではない。損害額は0円。
  • ⑧研究者の時間の無駄と意欲削減+国民の学術界への不信感の増大は1億円。
  • ⑨健康被害:不明なので損害額は0円とした。
  • ⑩損害額(大雑把)の場合:データねつ造・改ざんではないので、研究成果上の損害はほとんどない。ただ、人気の健康・医療のテレビ番組の司会者として研究者の権威・公正・信頼を失墜させ、学術界を腐敗させた。上記全部を含め、損害は10億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 1960年6月11日:オハイオ州クリーブランドで生まれる。両親はトルコからの移住者
  • 1982年(22歳):ハーバード大学(Harvard University)で学士号取得:生物学
  • 1985年(25歳):結婚
  • 1986年(26歳):ペンシルベニア大学医科大学院(University of Pennsylvania School of Medicine)で医師免許(MD)取得
  • 1986年(26歳):ペンシルベニア大学ウォートン校(Wharton School of the University of Pennsylvania)で経営学修士(MBA)を取得
  • 2001年(41歳):コロンビア大学・外科学科(Department of Surgery at Columbia University)の教授
  • xxxx年(xx歳):ニューヨーク – プレスビテリアン病院(New York-Presbyterian Hospital)の心臓血管研究所・補完医学プログラム・所長
  • 2009年(49歳):テレビ番組『ドクター・オズ・ショー』を開始
  • 2014年(54歳):グリーンコーヒー豆に奇跡的な減量効果があると宣伝し、問題視され、議会の公聴会で聴聞された
  • 2015年(55歳):コロンビア大学の同僚からの辞職要求
  • 2018年5月(57歳):トランプ政権の健康福祉省のフィットネス・スポーツ・栄養大統領諮問委員会(President’s Council on Fitness, Sports and Nutrition :PCFSN)委員に任命
  • 2018年7月(58歳):占星術で医療診断できるとツイートし大ブーイング
  • 2019年2月10日現在(58歳):コロンビア大学・外科・教授に在職(Mehmet C. Oz, MD, FACS | Columbia University Department of Surgery

●3.【動画】

【動画】
ニュース動画:「Doctors call for firing of Dr. Mehmet Oz – YouTube」(英語)3分23秒。
CNNが2015/04/17 に公開

●4.【日本語の解説】

★ドクター・オズ・ショー – Wikipedia

出典 → ココ

『ドクター・オズ・ショー』(原題:The Dr. Oz Show)は、アメリカを始め、140ヶ国で放送されている健康情報トーク番組。2009年9月14日放送開始。司会はコロンビア大学心臓外科教授のマホメット・オズ医師。また、タイトルをザ・ドクター・オズ・ショーと称する場合もある。

内容は、アメリカで人気のドクターオズが、健康と医療に纏わる話題を人々にわかりやすく伝える。その裏で、調査チーム、医療チームや、美術チームなど総勢150人以上のスタッフとともに、オズ自らが企画に携わり、彼を中心に制作されている。

★2014年12月26日:m3.com:医療トーク番組、5割エビデンスなし

出典 → ココ

2013年前半放送の医療番組(The Dr Oz ShowとThe Doctors)各40回分を対象に、その推奨内容を前向き観察研究で評価。160の推奨中、54%は1つの症例研究以上のエビデンスにより裏付けられた。番組別では、エビデンスの裏付けあり各46%、63%、矛盾あり15%、14%、エビデンスなし39%、24%だった。

文献:Korownyk C,et al.Televised medical talk shows—what they recommend and the evidence to support their recommendations: a prospective observational study.BMJ. 2014 Dec 17;349:g7346.

同じ話題の記事
→ 2014年12月19日:内科開業医のお勉強日記:医療トーク番組の推奨内容の半数はエビデンスがないか、エビデンス上やってはいけない内容

●5.【錯誤発覚の経緯と内容】

★ドクター・オズ・ショー

2009年(49歳)、米国のコロンビア大学・外科教授のメメット・オズ(Mehmet C. Oz)は、健康・医療に関する1回44分の昼間のテレビ番組で、メメット・オズが主役のトークショー『ドクター・オズ・ショー』を開始した。
→ The Dr. Oz Show | The Dr. Oz Show

2019年2月10日現在、『ドクター・オズ・ショー』はシーズン10に突入した。毎年、9月から翌年7月まで、166-181エピソードを制作している。今まで、1,650以上のエピソードを放映した。来年以降は、2020-21年のシーズン11と12の制作話が進んでいる。

『ドクター・オズ・ショー』は、デイタイム・エミー賞(Daytime Emmy Awards)を何度も受賞した超人気番組である。

2013年の『ドクター・オズ・ショー』でミシェル・オバマ大統領夫人と一緒にダンスする。By The White House from Washington, DC – P022213CK-0620, Public Domain, Link

2016年9月、大統領選挙キャンペーン中にトランプ候補を『ドクター・オズ・ショー』に招いた。写真をクリックすると動画が始まる。

Photograph by Anders Krusberg / Sony Pictures Television https://www.newyorker.com/news/daily-comment/donald-trumps-potemkin-physical-with-dr-oz

上の動画 → https://www.youtube.com/watch?v=Qtn5BO_oATQ

2017年9月、イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)も『ドクター・オズ・ショー』に出演。写真をクリックすると動画が始まる。

写真:Sony Pictures Television https://www.thedailybeast.com/ivanka-trump-to-dr-oz-not-my-job-to-moderate-the-president

上の動画  → https://www.youtube.com/watch?v=s51nDk3bEOg

2018年5月(57歳)、ドクター・オズは、トランプ政権の健康福祉省のフィットネス・スポーツ・栄養大統領諮問委員会(President’s Council on Fitness, Sports and Nutrition :PCFSN)委員に任命された。約30人いる委員の1人(Meet The Council | HHS.gov)。

2011年(51歳)以降、テレビ番組『ドクター・オズ・ショー』で有名になり、超多忙になったためか、研究論文を発表していない。

このネカト・ブログで問題にするのは、オズ教授の研究論文でのネカトではなく、テレビ番組『ドクター・オズ・ショー』やツイッターなどのメディアで、科学的にいい加減な主張をしていることだ。

ドクター・オズのいい加減な主張は、2018年以前からも問題視されていたが、「 2018年ネカト世界ランキング」の「2」の「2番目」、「4」の「11番目」の事件になっている。

最初に2018年の事件を説明し、その後、それ以前の事件も説明する。

★2018年:占星術で医療診断

2018年夏、「占星術が人の健康状態を語る」とツイートして、墓穴を掘った。
→ 2018 年7月7日のロビン・アンドリュース(Robin Andrews)記者の「IFLScience」記事:Dr Oz’s Tweet Linking Astrology To Health Is Exactly Why We Can’t Have Nice Things

上のツイートはアップされて直ぐの2018 年7月7日の朝に削除された。しかし、「IFLScience」紙の関係者が保存していた。

占星術は科学的には全くのデタラメである。明らかにばかげている疑似科学である。そして、時々出現する。なお、占星術(astrology)を天文学(astronomy)と混同しないように。天文学は測定値が不正確の場合もあるが、真正な科学である。

★2011年:リンゴジュースのヒ素

2011年9月(51歳)、オズはリンゴジュース中のヒ素の危険性を『ドクター・オズ・ショー』で取り上げた。ドクター・オズは、リンゴジュース中のヒ素濃度を外部の検査機関で測定し、米国・食品医薬品局(FDA)の飲料水中のヒ素許容濃度を超えていると指摘した。

食品医薬品局(FDA)は、リンゴジュース中のヒ素が「公衆衛生上危険であることを示す証拠は現在のところはありません」と発表した。さらに、ドクター・オズの測定方法は、健康リスクのレベルが異なる有機ヒ素(無害)と無機ヒ素(有毒)とを区別せず測定した、と批判した。

2011年、コンシューマー・レポート(Consumer Reports)は、『ドクター・オズ・ショー』の指摘に反応し、リンゴ・ジュースとグレープ・ジュースについて同様の検査をした。ただ、ドクター・オズが行なった検査とは異なり、有機タイプと無機タイプの両方のヒ素を別々に測定した。結果は、ウィキペディア英語版によると、サンプルの6%(80のうち5)が飲料水中のヒ素の連邦政府・基準値である10ppbを超えていた(以下の文献では88個のサンプルの10%とある)。無機ヒ素は、80個のリンゴジュースサンプルのうちの1個だけ10.48 ppbで基準値をわずかに超えた結果になった。
→ 2011年11月30日記事:Consumer Reports tests juices for arsenic and lead

2019年1月、コンシューマー・レポートは再度検査した。果物ジュース中のヒ素を含めた重金属(カドミウム、鉛、水銀、無機ヒ素)を測定し、その結果、果物ジュース中の半分は基準値を超えていると警告している。
→ 2019年1月30日のジェシー・ハーシュ(Jesse Hirsch)記者の「Consumer Reports」記事:Arsenic and Lead Are in Your Fruit Juice: What You Need to Know – Consumer Reports

「リンゴジュースのヒ素」問題に関しては、2011年に警告したドクター・オズは、そお当時は否定されたが、2019年2月10日現在、正しかったと言える。

★2014年:“奇跡的”な減量法:グリーンコーヒー豆

2014年、ドクター・オズは、グリーンコーヒー豆エキス(Green Coffee Bean Extract)にダイエット効果があると主張した。しかし、この主張に科学的な根拠はなく、グリーンコーヒー豆エキスに減量効果はなかった。効果があるという論文を出版した研究者の2人(金をもらっていた)は、データを再現できないことを認め、論文を撤回した。

研究を支援していたテキサスの企業・アプライド食品科学社(Applied Food Sciences)は、デタラメな宣伝をした、と連邦取引委員会(Federal Trade Commission、略称: FTC)に訴えられた。連邦取引委員会は、この研究は「信頼性のある結論を導き出すことができないほど絶望的な欠陥がある」と主張した。結局、アプライド食品科学社は350万ドル(約3億5千万円)の和解金を支払うことで示談にした。
→  2014年10月21日のテレンス・マッコイ(Terrence McCoy)記者の「CBS News」記事:Dr.Oz-endorsed diet pill study was bogus, researchers admit

2014年6月、上院の消費者保護に関する聴聞会で、クレア・マカスキル上院議員(Claire McCaskill (D-MO))がこの事件に関して、ドクター・オズを聴聞している。マカスキル上院議員は、ドクター・オズが意図してかどうかにかかわらず、詐欺的な宣伝をする役目を果たしたと指摘した。また、医療アドバイスや科学知識を面白可笑しく扱うことで、結果として、消費者を傷つけたのではないかという懸念を表明した。

米国・連邦取引委員会(FTC)のメアリー・イングル(Mary Engle、写真出典)は、ドクター・オズがグリーンコーヒー豆エキス(Green Coffee Bean Extract)を「マジック(magic)」とか「奇跡(miracle)」と呼んだことを批判した。消費者は信頼する司会者が特定の製品を絶賛すると、自分で正常に判断できなくなると。
→ 2014 年6月19日記事:Dr. Oz dietary supplements under investigation – CNN

【動画】
クレア・マカスキル上院議員(Claire McCaskill (D-MO))が聴聞会でドクター・オズを追及する動画:「Claire McCaskill Slams Dr. Oz for Hawking ‘Miracle’ Products – YouTube」(英語)9分38秒。
LRが2014/06/18 に公開
聴聞聴会の1時間38分版 → Weight Loss Product Advertising, Jun 17 2014 | Video | C-SPAN.org

【動画】
ドクター・オズをコミカルに批判したジョン・オリバー(John Oliver )のショー動画:「Dr. Oz and Nutritional Supplements: Last Week Tonight with John Oliver (HBO) – YouTube」(英語)16分25秒。
LastWeekTonightが2014/06/22 に公開

★2014年:信用

カナダのアルバータ大学(University of Alberta)のクリスチーナ・コロニーク準教授(Christina Korownyk)らは、「2014年のBMJ」論文(以下)で、ドクター・オズの健康・医療の発言の信頼性を分析した。
→ 2014年12月17日の論文:BMJ 2014;349:g7346:Korownyk C,et al.: Televised medical talk shows—what they recommend and the evidence to support their recommendations: a prospective observational study | The BMJ

ドクター・オズの健康・医療に関する80回のトークショー番組『ドクター・オズ・ショー』から160項目のオススメ行為を医学的観点から分析した。健康・医療アドバイスとしてオススメ行為の内、科学的な根拠に基ずくのは46%で、15%は矛盾し、39%は根拠がなかった。

★2015年:解雇要求

「リンゴジュースのヒ素」事件、「グリーンコーヒー豆」事件やコロニーク準教授「2014年のBMJ」論文だけでなく、ドクター・オズは科学的に問題のある発言をしている。以下2例。

2015年、このような状況を受けて、スタンフォード大学・特別研究員(Fellow)のヘンリー・ミラー(Henry I. Miller、写真出典)など10人の研究者は、コロンビア大学・医学部長のリー・ゴールドマン(Lee Goldman)に、ドクター・オズはコロンビア大学・医科研究科の教授にはふさわしくない。解雇すべきだと、メールを送った。
→ 2015年4月18日記事:Dr. Oz responds after prominent physicians call for his firing from Columbia University – The Washington Post
→ 2015年4月23日記事:Doctors want Mehmet Oz to resign position at Columbia – CNN

ヘンリー・ミラーらの手紙文を英語のママ、以下に示す(出典:Dr. Oz responds after prominent physicians call for his firing from Columbia University – The Washington Post)。
――――
Lee Goldman, M.D.
Dean of the Faculties of Health Sciences and Medicine
Columbia University

Dear Dr. Goldman:

I am writing to you on behalf of myself and the undersigned colleagues below, all of whom are distinguished physicians.

We are surprised and dismayed that Columbia University’s College of Physicians and Surgeons would permit Dr. Mehmet Oz to occupy a faculty appointment, let alone a senior administrative position in the Department of Surgery.

As described here and here, as well as in other publications, Dr. Oz has repeatedly shown disdain for science and for evidence-based medicine, as well as baseless and relentless opposition to the genetic engineering of food crops. Worst of all, he has manifested an egregious lack of integrity by promoting quack treatments and cures in the interest of personal financial gain.

Thus, Dr. Oz is guilty of either outrageous conflicts of interest or flawed judgments [sic] about what constitutes appropriate medical treatments, or both. Whatever the nature of his pathology, members of the public are being misled and endangered, which makes Dr. Oz’s presence on the faculty of a prestigious medical institution unacceptable.

Sincerely yours,

Henry I. Miller, M.D.
Robert Wesson Fellow in Scientific Philosophy
& Public Policy
Hoover Institution
Stanford University
Stanford, CA

Scott W. Atlas, M.D.
David and Joan Traitel Senior Fellow
Hoover Institution
Stanford University
Stanford, CA

Jack Fisher, M.D.
Professor of Surgery (emeritus)
University of California, San Diego
La Jolla, CA

Shelley Fleet, M.D.
Anesthesiologist
Longwood, FL

Gordon N. Gill, M.D.
Dean (emeritus) of Translational Medicine
University of California, San Diego
La Jolla, CA

Michael H. Mellon, M.D.
Pediatric Allergist
San Diego, CA

GIlbert Ross, M.D.
President (Acting) and Executive Director
American Council on Science and Health
New York, NY

Samuel Schneider, M.D.
Psychiatrist
Princeton, NJ

Glenn Swogger Jr. M.D.
Director of the Will Menninger Center for Applied Behavioral Sciences (retired)
The Menninger Foundation
Topeka, KS

Joel E. Tepper, M.D.
Hector MacLean Distinguished Professor of Cancer Research
Dept of Radiation Oncology
University of North Carolina School of Medicine
Chapel Hill, NC
――――

なお、ヘンリー・ミラーに対して、白楽は悪い印象がある。ミラーは遺伝子組み換え食品賛成派である。これは良い。しかし、モンサント社の「代筆」を受けていたのは問題だと思う。
→ 企業、国際機関:除草剤・ラウンドアップ(Roundup)=グリホサート(glyphosate)、モンサント社(Monsanto)(米)、国際がん研究機関(IARC)(仏) | 研究倫理(ネカト、研究規範)

コロンビア大学メディカルセンターのダグ・レヴィ広報官(Doug Levy)は、ヘンリー・ミラーらに次のような返事をしている。

コロンビア大学は、学問の自由の原則と、教員の社会に向けた発言・表現の自由、を支持していることを、貴殿たちが理解し、評価していると存じます。

ミラーは、「患者の安全に絡めば発言・表現の自由はなく、ドクター・オズは価値のない製品の販売を促進し、その製品には副作用があるかもしれないなど、患者や国民の安全を脅かしている」と反論した。

なお、コロンビア大学は、ドクター・オズを解雇していない。白楽が思うに、この程度のミスや錯誤で、人気のテレビ番組の司会で、大統領とも親しい著名な教授を解雇したいと思う大学はないだろう。

★2016年:医師免許はく奪?

2016年2月8日記事にペンシルベニア大学医科大学院(University of Pennsylvania School of Medicine)がドクター・オズに授与した医師免許(MD)をはく奪した、という記事がある。
→ 2016年2月8日記事:Mehmet Oz Stripped of Medical Degree, Now Just “Med Student Oz” | GomerBlog

しかし、記事は嘘っぽい。

2019年2月10日現在、コロンビア大学のドクター・オズの紹介では「医師免許(MD)」所持者とある。 → Mehmet C. Oz, MD, FACS | Columbia University Department of Surgery

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2019年2月10日現在、パブメド(PubMed)で、メメット・オズ(Mehmet C. Oz)の論文を「Mehmet C. Oz [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2010年の9年間の130論文がヒットした。

「Oz MC[Author]」で検索すると、1986~2010年の25年間の372論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者の論文ではない論文が多いと思われる

2019年2月10日現在、「Oz MC[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、下記の1論文がヒットした。しかし、この論文は撤回ではなく、要旨中に「retracted」という言葉があったのでヒットした。撤回論文はない。

★パブピア(PubPeer)

2019年2月10日現在、「パブピア(PubPeer)」では、メメット・オズ(Mehmet Oz)の論文にコメントはない:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》メディアと学者

https://www.britannica.com/biography/Mehmet-Oz

白楽は、テレビで活躍する学者に対して、肯定的である。白楽自身は才能がないので、出たいとは思わないし、うらやましいとも思わない。

テレビでの売れっ子は超多忙、そして、コロンビア大学・外科教授も超多忙だろう。だから、もちろん、両立は難しく、学術面はおろそかになるだろう。それでも、かまわないと思う。

学術界は、メディアで活躍する学者・研究者を応援すればいいのにと白楽は思うが、一般的には、妬み、足を引っ張る否定的な学者・研究者が圧倒的に多い。

オーストラリアのABC局のテレビ番組「キャタリスト(Catalyst)」で医療・医学問題の番組を制作・司会していた女性のマリアン・デマシ(Maryanne Demasi)(豪)もナンダカンダと批判されている。

メディア界で活躍する学者・研究者も間違えるし行き過ぎはあるだろう。しかし、そのマイナス面よりも、プラス面である社会的貢献度はとても大きいと思う。

学問的にパッとせず、もちろん、メディアに登場することもない学者・研究者はゴマンといる。そういう人を非難せず(非難しなくてもいいけど)、学問的にママ頑張って、テレビで活躍する学者に対し、大学・研究機関が応援・協力するシステムを作るべきだ。メディア対応室、あるいはそういう研究室を作ったらどうだろう。少なくとも、学者・研究者は、足を引っ張らないようにならないものだろうか。

《2》父親の死亡

本題とは無関係だが、おととい(2019年2月9日)、ドクター・オズの父親・ムスタファ・オズ(Mustafa Oz )がトルコのイスタンブールで亡くなった。享年94歳。
→ 2019年2月9日記事:Father of Dr. Oz dies aged 94 in Istanbul

《3》長女

Mandatory Credit: Photo by Stewart Cook/REX/Shutterstock (8772382bw)
Daphne Oz
Daytime Emmy Awards, Arrivals, Los Angeles, USA – 30 Apr 2017

もひとつ本題とは無関係だが、長女のダフネ・オズ(Daphne Oz、写真出典)は、プリンストン大学を卒業し、テレビのトークショー料理番組『チュー(The Chew)』の司会者をしていた(2011‐2017年)。現在33 歳。

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●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:(1):Mehmet Oz – Wikipedia、(2):The Dr. Oz Show – Wikipedia、(3): Medical claims on The Dr. Oz Show – Wikipedia
② 2018年5月6日のトム・マッケイ(Tom McKay)記者の「Gizmodo」記事:Trump Picks TV Snake Oil Salesman Dr. Oz, of All People, to Serve on Health Council
③ 2014年12月19日のテレンス・マッコイ(Terrence McCoy)記者の「Washington Post」記事:Half of Dr. Oz’s medical advice is baseless or wrong, study says – The Washington Post、(保存版)
④ 2014年12月17日の論文:BMJ 2014;349:g7346:Korownyk C,et al.: Televised medical talk shows—what they recommend and the evidence to support their recommendations: a prospective observational study | The BMJ
⑤ 2014年10月20日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事Authors retract green coffee bean diet paper touted by Dr. Oz – Retraction Watch、(保存版)
⑥ 2015年9月15日記事:11 Of The Worst Lies Dr. Oz Told Us | TheTalko
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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