材料工学:マーク・ジャクソン(Mark Jackson)(米)

2018年8月14日掲載。

ワンポイント:英国で生まれ育ち、研究博士号(PhD)を取得し、米国のパデュー大学(Purdue University)・教授になった。2011年6月(49歳?)、ネカトが発覚し、パデュー大学を辞職し、雲隠れした。2年後の2013年(51歳?)、カンザス州立大学・工業技術学科・教授で学科長に就任した。パデュー大学は、ネカト調査を再開し、発覚から5年後の2016年5月(54歳?)、ジャクソンが盗用、ねつ造、改ざんを犯したと結論した。しかし、既に辞職したジャクソンにペナルティを科す方法はなかった。また、新しい職場のカンザス州立大学は過去の大学での不始末に対してペナルティを科す規則がない。それで、結局、ジャクソンはネカト犯なのに、論文撤回以外、どこからもペナルティを科されていない。国民の損害額の総額(推定)は3億4300万円。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説

5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

マーク・ジャクソン(Mark J. Jackson、写真出典)は、英国で生まれ、英国で研究博士号(PhD)を取得し、米国のパデュー大学(Purdue University)・教授になった。専門は材料工学である。

2011年6月(49歳?)、2006年-2009年出版の論文や書籍について、パデュー大学のネカト調査を受けた。

ジャクソンは、パデュー大学を辞職し、雲隠れした。

2013年7月1日(51歳?)、米国のカンザス州立大学ポリテクニックキャンパス(Kansas State University Polytechnic Campus in Salina)の工業技術学科・教授で学科長に就任した。

2016年5月(54歳?)、パデュー大学・調査委員会はジャクソンが盗用、ねつ造、改ざんを犯したと結論した(報告書は98ページで詳細)。

しかし、既に退職したジャクソンにペナルティを科す手段がパデュー大学にはなかった。一方、移籍先のカンザス州立大学は過去に在籍した大学での不始末に対してペナルティを科す規則がない。それで失職しなかった。

結局、ジャクソンはネカト犯なのに、論文撤回以外、どこからもペナルティを科されていない。

パデュー大学(Purdue University)。写真出典:https://www.purdue.edu/

  • 国:米国
  • 成長国:英国
  • 研究博士号(PhD)取得:英国のリヴァプール大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1962年1月1日とする。1984年の大学卒業時を22歳とした
  • 現在の年齢:56歳?
  • 分野:材料工学
  • 最初の不正論文発表:2006年(44歳?)、
  • 発覚年:2011年(49歳?)、
  • 発覚時地位:パデュー大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)のパデュー大学への公益通報
  • ステップ2(メディア): 「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①パデュー大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり。PDFファイル(5.68 MB、98ページ):https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2018/06/Jackson-report.pdf
  • 大学の透明性:実名報道で機関もウェブ公表(〇)
  • 不正:ねつ造・改ざん、盗用
  • 不正論文数:少なくとも8報。2報撤回。
  • 盗用ページ率:不明
  • 盗用文字率:不明
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 職:事件後に移籍し研究職を続けた(◒)
  • 処分:辞職したため大学は処分できない
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は3億4300万円。内訳 ↓

  • ①研究者になるまで5千万円。研究者を辞めていないので損害額は0円。
  • ②大学・研究機関が研究者にかけた経費(給与・学内研究費など)は年間4500万円。研究者を辞めていないので損害額は0円。
  • ③外部研究費。外部研究費の総額は不明だが、少なくとも約10億円の研究契約がある。しかし、ネカトによるその研究費の損害は不明である。損害額を2億円とした。
  • ④調査経費。第一次追及の調査費用は100万円。大学・研究機関の調査費用は1件1,200万円、研究公正局など公的機関は1件200万円。学術出版局は1件100万円が8件なので800万円とした。小計で2,300万円
  • ⑤裁判経費は2千万円。裁判ないので損害額は0円。
  • ⑥論文撤回は1報当たり1,000万円、共著者がいなければ100万円。8論文がネカトだが、撤回論文は共著者がいる2報なので損害額は2,000万円。
  • ⑦研究者の時間の無駄と意欲削減+国民の学術界への不信感の増大は1億円。
  • ⑧健康被害:不明なので損害額は0円とした。

●2.【経歴と経過】

出典:①:Introducing Dr. Mark Jackson, the New Department Head of Engineering Technology – K-State Polytechnic Engineering Technology、②:Dr. Mark J. Jackson

  • 生年月日:不明。仮に1962年1月1日とする。1984年の大学卒業時を22歳とした。英国のリヴァプール生まれ
  • 1984年(22歳?):英国のハルトン・カレッジ(Halton College)で学士号取得:機械工学
  • 1991年(29歳?):英国のリヴァプール大学(University of Liverpool)で修士号取得
  • 1995年(33歳?):同大学で研究博士号(PhD)を取得:機械工学
  • 1998年(36歳?):英国のケンブリッジ大学(University of Cambridge)で修士号取得:自然科学。工学
  • xxxx年(xx歳):ユニコーン研磨剤社・中央研究開発ラボ(Unicorn Abrasives’ Central Research and Development Laboratory)・研究員
  • xxxx年(xx歳):英国のリヴァプール大学(University of Liverpool)・講師
  • 2002年(40歳?):米国のテネシー工科大学(Tennessee Technological University)・助教授
  • 2004年(42歳?):米国のパデュー大学(Purdue University)・教授
  • 2006年(44歳?):後で問題になるネカト論文を出版し始めた
  • 2010年(48歳?):米国のパデュー大学(Purdue University)・機械工学科の副学科長
  • 2011年6月(49歳?):ネカト調査の通知を受ける
  • 2011年6月(49歳?):米国のパデュー大学(Purdue University)・辞職
  • 2013年7月1日(51歳?):米国のカンザス州立大学ポリテクニックキャンパス(Kansas State University Polytechnic Campus in Salina)の工業技術学科・教授で学科長
  • 2016年5月(54歳?):パデュー大学・調査委員会が盗用、ねつ造、改ざんと結論
  • 2018年8月13日(56歳?)現在:カンザス州立大学・工業技術学科・教授・学科長に在職中(Faculty and Staff(保存版)

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★パデュー大学

2010年4月23日(48歳?)、インディアナ州のパデュー大学(Purdue University)の研究公正官・ピーター・ダン(Peter Dunn、昆虫学教授、写真出典)はネカトを告発する以下の手紙を受け取った。

機械工学科のマーク・ジャクソン教授(Mark Jackson)が、少なくとも2006年-2009年出版の8つの論文や書籍で、図、データ、テキストを盗用しているし、データのねつ造・改ざんもしています。

2010年11月18日(48歳?)、ダン研究公正官はジャクソン教授の著書に盗用があるという記録も見つけた。

2011年6月(49歳?)、パデュー大学は調査委員会を設置し、正式なネカト調査をするとジャクソン教授に通知した。

しかし、ジャクソン教授は、調査の通知を受け取ってしばらくすると、パデュー大学を辞職してしまい、行方不明になった。

ネカト調査に必要なため、パデュー大学はジャクソン元教授を見つけようとした。研究公正官・ダンは彼の最後の住所に電子メールを送ったが、返事は帰ってこなかった。3年間が経過した。

マーク・ジャクソン(Mark Jackson)https://www.found.ksu.edu/good-for-k-state/v5/issue-2/Jackson.html

2014年8月(52歳?)、ジャクソン教授が辞職してから3年間後、研究公正官・ダンは、ようやく、ジャクソンがカンザス州立大学ポリテクニックキャンパス(Kansas State University Polytechnic Campus in Salina)の工業技術学科・教授で学科長になっていたことを見つけた。

研究公正官・ダンはジャクソン教授の新住所宛に宅配便を送り、パデュー大学は調査を進めると伝えた。

ジャクソン元教授のネカト調査がようやく動き出した。

ジャクソン元教授はネカト行為についてさまざまな説明をした。

2010年と2011年、問題の図や画像は同僚や学生が作成したと説明した。しかし、2015年に再度質問されたとき、ジャクソン教授は彼が知らないうちに、第三者がジャクソン教授のコンピュータをハッキングして彼の電子メールアドレスを盗み、第三者が学術誌に論文を投稿したのだと説明した。

2016年5月(54歳?)、紆余曲折を経たが、最初に告発の手紙を受け取った6年後、パデュー大学・調査委員会は、ジャクソン元教授が盗用、ねつ造、改ざん行為を行なったと結論づけた。98ページの調査委員会・報告書にまとめた。

以下のパデュー大学・調査委員会・報告書(の一部)をクリックすると、全文のPDFファイル(5.68 MB、98ページ)が別窓で開く。

★訴えると出版社を脅迫

2017年4月10日、パデュー大学がネカトと結論したことを受けて、学術誌「Materials Science and Technology」はジャクソンの2008年の論文と2006年の著書の一部を撤回した。
→ Statement of Retraction: Materials Science and Technology: Vol 33, No 10

すると、ジャクソンはなんと、学術誌「Materials Science and Technology」を出版しているテイラー・アンド・フランシス社(Taylor & Francis)を訴えると脅迫したのである。

「撤回監視(Retraction Watch)」のマクック記者にジャクソンは次のように答えている。

この状況を同僚と話し合った。そして、「ジャクソンがネカトを犯したとパデュー大学が結論したことを受けて」というセンテンスを削除すべきだと、私は主張します。私はこのセンテンスが出版されることを承認していないし、テイラー・アンド・フランシス社に著作権を譲渡してもいない。

パデュー大学は、共著者のいずれかにネカトの証拠を提出するよう頼むのではなく、私と私の同僚に対する偏向に満ちた結論を下したことに気づくべきです。訴訟を避けるためには、テイラー・アンド・フランシス社にこのセンテンスを削除するようお願いしたのです。

私は弁護士を雇う準備をしています。簡単ではないが、名誉毀損で訴えつもりです。

2018年8月13日現在、ジャクソンが本当にテイラー・アンド・フランシス社(Taylor & Francis)を訴えたのかどうか、白楽は把握できていない。

★カンザス州立大学

2018年5月14日のアリソン・マクック(Alison McCook)記者の「Undark」記事によると、2018年5月(?)にマクック記者が電話で確認すると、ジャクソンはまだカンザス州立大学・工業技術学科・教授で学科長で、「弁護士に相談中」との返事だった。

2018年5月(56歳?)の時点では、パデュー大学・研究公正官はダンが退職し、後任にデボラ・ラップ(Deborah Rupp、心理学教授、写真出典)が就任していた。

ラップ研究公正官は、ジャクソン元教授あるいは彼の弁護士からの訴訟の通知を受けていないと述べている。

2013年7月1日(51歳?)にカンザス州立大学はジャクソンを教授に採用したのだが、カンザス州立大学はジャクソンの過去について何をどこまで知っていた(現在、知っている)のだろうか?

ラップ研究公正官は、「カンザス州立大学がこの問題に関するパデュー大学の情報にアクセスできるようにした」と述べている。

しかし、「撤回監視(Retraction Watch)」のマクック記者が問い合わせても、カンザス州立大学は、「人事問題」についてコメントしないと、ノーコメントなのである。

2016年5月(54歳?)、パデュー大学・調査委員会はジャクソンが盗用、ねつ造、改ざんを犯したと結論した。

ところが、パデュー大学には既に退職したジャクソンにペナルティを科す手段がなかった。一方、移籍先のカンザス州立大学は過去に在籍した大学での不始末に対してペナルティを科す規則がない。それでカンザス州立大学はジャクソン教授を解雇していない。

ジャクソンは、カンザス州立大学・教授に任用される時、以前の研究機関で1000万ドル(約10億円)以上の研究契約を結んでいて、そのお金をカンザス州立大学への持参金としたとある。白楽が勘繰るに、だから、カンザス州立大学はジャクソンを解雇しないのだろう。

結局、ジャクソンはネカト犯なのに、論文撤回以外、どこからもペナルティを科されていない。

2018年8月13日(56歳?)現在、ジャクソンはカンザス州立大学・工業技術学科・教授・学科長に在職中である(Faculty and Staff(保存版))。

★ポール・ターラー弁護士:研究者のプライバシー

thaler_paul_new_webネカト行為で起訴された研究者の弁護士を頻繁に務めるポール・ターラー弁護士(Paul Thaler、写真出典)は、ネカト調査を受けても研究者はプライバシーを守るために戦うべきだと忠告する。
→ 1‐5‐2.研究ネカトと告発されたらどうする? | 研究倫理(ネカト)

ポール・ターラー弁護士がなぜ突然出てくるのか? 白楽は、ジャクソンがターラー弁護士を雇ったと推定した。

ターラー弁護士の主張を伺おう。

プライバシーの権利は重要な権利であり、憲法で保障されている権利です。研究者がネカトをしたと告発されるのは – 犯罪者であると告発されるのに近く、研究人生で起こりえる最悪の事件の1つです。

ターラー弁護士によると、研究公正局の調査の一環であっても、プライバシーは守られるべきである。それに、研究公正局は必ずしも大学・研究機関の調査を支持するわけではない。「研究者はプライバシーを守られる権利があり、研究者にはネカト疑惑を晴らせる状況がたくさんある。あなたはその状況を認めなければなりません」。

研究公正局がネカト行為の調査を終え、ペナルティを科すまで、時には数年がかかります。その期間が長いため、疑惑だけで確定していないのに、ネカト疑惑とされた研究者に重大な損害(significant collateral damage)が発生するのです。

【ネカト論文】

以下が盗用、ねつ造、改ざんされたネカト論文である。

  1. “Surface Coatings Deposited Using Recycled Chips and Turnings,” M. J. Jackson, M. D. Whitfield, G. M. Robinson, and W. Ahmed, Proceedings of the 5th International Surface Engineering Congress, ASM International, May 15-17, 2006, pp. 155-160.
  2. “Micro and Nanomanufacturing Technologies – The Case for Using Thermal and Cold Spray Techniques,” M. J. Jackson, G. M. Robinson, M. D. Whitfield, R. G. Handy, W. Ahmed, and H. Taylor Proceedings of the 5th International Surface Engineering Congress, ASM International, May 15-17, 2006, pp. 210215.
  3. “Manufacture of nanocrystalline metals by machining processes,” by M. J. Jackson, G. M. Robinson, and M. D. Whitfield published in the Journal of Achievements in Materials and Manufacturing Engineering, Volume 20, Issues 1-2, January-February 2007, pp. 27-30.
  4. “Micro-and Nanomanufacturing,” section 12.3.7 entitled “Nanomanufacturing by Machining,” from the text “Micro and Nanomanufacturing” published by Springer Science-Business Media LLC ©2007 authored by Mark J. Jackson, pp. 664-671.
  5. M. J. Jackson, M. D. Whitfield, J. S. Morrell, W. Ahmed, and J. P. Davim, “Initial shear strain development during formation of nanostructured metal chips,” Materials Science and Technology, Volume 24, Number 12, 2008. Received 20 June 2007; accepted in revised form 6 August 2007.
  6. M.J. Jackson,J. S. Morrell and W. Ahmed, “Shear strain induced formation of nanostructured pure metals,” International Journal of Nanoparticles, Volume 1, Number 1, pp. 271282,2008.
  7. M.J. Jackson and M.D. Whitfield and W. Ahmed, “Formation of nanostructured metal particles using negative rake angle cutting tools,” International Journal of Nanomanufacturing, Volume 4, Numbers 1/2/3/4, pp.326-341, 2009.
  8. M. J. Jackson and J. S. Morrell, Editors, Machining with Nanomaterials (2009), Springer, New York, NY. Chapter 9: Formation of Nanostructured Metals by Machining, M. J. Jackson, J. J. Evans, C. Xu and W. Ahlmed, pp. 297-323.

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

マーク・ジャクソン(Mark J. Jackson)が出版した論文数を正確には把握していないが、150報ほどあるという記載がある。

盗用、ねつ造、改ざんされたネカト論文は8論文だと指摘された。

8論文の1つだが、少なくとも以下の「2008年のMaterials Science and Technology」はネカトが理由で、2017年4月10日に撤回された。

  • Initial shear strain development during formation of nanostructured metal chips by M. J. Jackson, M. D. Whitfield, J. S. Morrell, W. Ahmed & J. P. Davim, Materials Science and Technology Volume 24, 2008 – Issue 12 http://dx.doi.org/10.1179/174328407X243014

8論文に入っていないが、以下の2006年の絶版書籍の1つの章も2017年4月10日に撤回された。

  • “The Size Effect in Micromachining,” Milton C. Shaw and Mark J. Jackson, Chapter 4 in Microfabrication and Nanomanufacturing, Mark J. Jackson, editor (CRC Press, Taylor & Francis Group, Boca Raton, FL), 2006, pp. 87-109.

★パブピア(PubPeer)

2018年8月13日現在、「パブピア(PubPeer)」では、マーク・ジャクソン(”Mark J. Jackson”)の論文のコメントはない:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》類似事件:アンジェリデス事件

他大学に雇用されたネカト調査中の教員が訴訟問題になったケースはジャクソン事件だけではない。

1990年代、神経科学者・カイモン・アンジェリデス(Kimon J. Angelides)はベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)・教授を解雇された後、英国のダラム大学 (University of Durham)・教授に就職した。

アンジェリデスが5つの論文で数十の図を改ざんしたとベイラー医科大学が発表した時、アンジェリデスは、ベイラー医科大学と調査委員会が彼のキャリアを台無しにしたと裁判所に訴えた。

1999年、研究公正局は、アンジェリデスが不正行為をしたというベイラー医科大学の結論を支持すると発表した。
→ 1999年3月18日の研究公正局の公告:NIH Guide: FINDINGS OF SCIENTIFIC MISCONDUCT

それでようやく、アンジェリデスはダラム大学を辞任し、訴訟も取り下げた。

《2》学外逃亡

マーク・ジャクソン(Mark Jackson)https://polytechnic.k-state.edu/facultystaff/bio.html

マーク・ジャクソン(Mark Jackson)は、パデュー大学在職中にネカトを犯し、パデュー大学・調査委員会は2016年に正式な調査報告をまとめ、ジャクソンをクロとした。

しかし、その5年前の2011年に、ジャクソンはすでにパデュー大学を辞めていた。

2013年7月1日(51歳?)に、米国のカンザス州立大学・工業技術学科・教授で学科長に就任していた。

そして、アンジェリデス事件と異なり、パデュー大学が正式にジャクソンのネカトを発表しても、ジャクソンはカンザス州立大学を辞職しなかった。カンザス州立大学もジャクソンを解雇しなかった。

2018年8月13日現在、ジャクソンはカンザス州立大学で研究キャリアーをリセットできているのである(Faculty and Staff(保存版))。

日本でも、千葉大学教授だった小室一成は千葉大学のネカト調査でクロとされた。
→ 2014年7月16日記事:千葉大学VART最終報告 東大・小室教授ら「虚偽説明で調査混乱、長期化」 処分求める

ところが、小室一成は東京大学・教授に移籍してしまい、なんら処罰を受けていない。小室一成は東京大学・教授として研究キャリアーをリセットできているのである。

米国では一般的に、州内で犯罪を犯しても州外にでれば、州警察は逮捕できない。だから、米連邦捜査局(FBI)があって、州をまたいだ犯罪者を逮捕する。

ところが、米国のA大学でネカトを犯しても、B大学に移籍してしまえば、大学をまたいだネカト者を処罰する組織もシステムもない。米国政府の助成金を受給していれば、生命科学系なら研究公正局が調査するが、政府の助成金を受給していなければ、調査する機関はない。

日本では、生命科学系と分野を問わず、とにかく、政府のネカト調査機関が存在していない。大学を移籍し、移籍先の大学がペナルティを科さなければ、あるいは定年退職を含め、退職してしまえば、現状では、ペナルティの科しようがない。

なんか、まずくないですか?

提案:「警察庁にネカト取締部を設置し、学術ポリスとして、日本全体のネカトを捜査せよ」

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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい。正直者が得する社会に!
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●8.【主要情報源】

① 2018年5月14日のアリソン・マクック(Alison McCook)記者の「Undark」記事:When Scientific Fraudsters Slip Through the Cracks
② 2017年4月17日のリソン・マクック(Alison McCook)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Retraction notice cites misconduct investigation into endowed chair’s work; he threatens to sue – Retraction Watch、(保存版)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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