2019年3月16日掲載。
ワンポイント:オビエド大学(Universidad de Oviedo)・教授でスペインでは著名な研究者。2017年(59歳)、有名なネカトハンターのクレア・フランシス(Clare Francis)が、ロペス=オーチン論文の画像にねつ造・改ざんがあるとパブピアで指摘した。オビエド大学・調査委員会はネカトを否定した。しかし、2019年1月25日(61歳)、「J Biol Chem.」編集部は18-12年前のロペス=オーチンの8論文を撤回した。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。
【追記】
・2020年2月1日記事:スペイン王立アカデミーはロペス=オーチンを支持:La Real Academia de Ciencias respalda a Carlos López Otín | El Comercio
ーーーーーーー
目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
ーーーーーーー
●1.【概略】
カルロス・ロペス=オーチン(Carlos López-Otín、写真出典、ORCID iD 0000-0001-6964-1904)は、スペインのオビエド大学(Universidad de Oviedo)・生化学・分子生物学科(Departamento de Bioquímica y Biología Molecular)・教授で、医師ではない。専門は生化学である。2017年(59歳)にネイチャーのメンター賞(Mentoring Award)を受賞するなど、スペインでは著名な研究者である。
2017年(59歳)、有名なネカトハンターのクレア・フランシス(Clare Francis)が、ロペス=オーチンの論文の画像にねつ造・改ざんがあるとパブピアで指摘した。
2017年10月30日(59歳)、オビエド大学・研究倫理委員会は、生命科学の専門家の意見を聴くなどの調査の結果、ロペス=オーチンの論文のネカトを否定した。
一方、「J Biol Chem.」編集部がロペス=オーチンの論文を別途調査し始めた。
2019年1月25日(61歳)、「J Biol Chem.」編集部はロペス=オーチンの8報の「J Biol Chem.」論文を一挙に撤回した。これら8論文の出版は2001年-2007年なので、18-12年前の論文の撤回である。
パブピアとレオニッド・シュナイダーの分析を見ると、ロペス=オーチンのネカトは明白である。オビエド大学は再調査するのだろうか? 握りつぶすのだろうか?
オビエド大学(Universidad de Oviedo)・生化学・分子生物学科(Departamento de Bioquímica y Biología Molecular)。写真出典
- 国:スペイン
- 成長国:スペイン
- 医師免許(MD)取得:なし
- 研究博士号(PhD)取得:マドリード・コンプルテンセ大学
- 男女:男性
- 生年月日:1958年。仮に1958年1月1日生まれとする
- 現在の年齢:66 歳?
- 分野:生化学
- 最初の不正論文発表:2001年(43歳)
- 発覚年:2017年(59歳)
- 発覚時地位:オビエド大学・教授
- ステップ1(発覚):第一次追及者はクレア・フランシス(Clare Francis)で、パブピアで指摘
- ステップ2(メディア):レオニッド・シュナイダー、「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②オビエド大学・調査委員会
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
- 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
- 不正:ねつ造・改ざん
- 不正論文数:9報が撤回
- 時期:研究キャリアの中期から
- 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)。
- 処分:なし
- 日本人の弟子・友人: 稲田全規(、東京農工大学・准教授)
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は5億円(大雑把)。内訳 ↓
- ⑩損害額(大雑把)の場合:5億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
- 生年月日:1958年。仮に1958年1月1日生まれとする
- 1984年(26歳):スペインのマドリード・コンプルテンセ大学(Universidad Complutense de Madrid)で研究博士号(PhD)を取得:化学
- 1987年(29歳):オビエド大学(Universidad de Oviedo)・生化学・分子生物学科(Departamento de Bioquímica y Biología Molecular)・教員
- 1993年(35歳):同・教授
- 2017年(59歳):ネイチャーのメンター賞(Mentoring Award)を受賞
- 2017年(59歳):データねつ造・改ざんが指摘
- 2017年(59歳):オビエド大学はシロと判定
- 2017年(59歳):「J Biol Chem.」編集部がロペス=オーチンの8論文を撤回
●3.【動画】
以下は事件の動画ではない。
【動画1】
研究のインタビュー動画:「生化学・分子生物学のカルロス・ロペス=オーチン教授にインタビュー(ntrevista Carlos López Otín, catedrático en bioquímica y biología molecular) YouTube」(スペイン語)5分2秒。
RTVEが2016/09/19 に公開
●4.【日本語の解説】
以下は事件の解説ではない。
★2018年12月5日:Webマガジン「AXIS」記事:「ガラパゴス諸島のゾウガメはなぜ長寿? 寿命が短い脊椎動物にはない遺伝子変異体を発見」
出典 → ココ、
スペインのオビエド大学の研究者たちは、ガラパゴス諸島のゾウガメの長寿に関する遺伝的な手がかりを研究し続けている。ゾウガメのなかでもよく知られている個体は、「ロンサム・ジョージ(Lonesome George)」。
「すでに老化に関する9つの特徴がわかっていましたが、この分類にもとづいて500種類の遺伝子を調べたところ、ゾウガメではそのうち6つの特徴に影響を及ぼす可能性のある興味深い変異体が見つかりました。老化研究における新たな道筋が開けてきました」とオビエド大学のCarlos Lopez-Otin氏は語っている。
●5.【不正発覚の経緯と内容】
★2017年:ネイチャーのメンター賞
2017年(59歳)、「Nature」誌はロペス=オーチンにメンター賞(Mentoring Award)を授与した。
この授与はネカトとは関係ないが、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がゴタゴタを2つ指摘している。
1つは、2017年12月14日、レオニッド・シュナイダーは、ネカト者と判明したにも拘わらず、メンター賞を授与した「Nature」誌のフィリップ・キャンベル編集長(Philip Campbell)におめでとうと揶揄している。
I wish to congratulate @nature‘s Sir Phil Campbell for awarding such a great man as Carlos Lopez-Otin. Good to know where @nresearchnews stands on research integrity. https://t.co/QeApafV1Qk pic.twitter.com/JBFv8iD3XN
— Leonid Schneider (@schneiderleonid) 2017年12月14日
フィリップ・キャンベル(Philip Campbell、写真出典)は22年間も「Nature」誌の編集長を務め、爵位を授与されているが、2018年7月に辞任した。フィリップ・キャンベルはメンター賞(Mentoring Award)の選考委員ではなかったが、ロペス=オーチンにメンター賞を授与したことは、編集長として大きな失策だったろう。なお、そのことで辞任したのかどうか、白楽は知りません。
もう1つは、5人の選考委員の1人に「Nature」誌のアリソン・アボット(Alison Abbott、写真出典)がいた。そのアボットが「Nature」誌にメンター賞受賞者のことを書いている。
→ 2017年12月6日のアリソン・アボット(Alison Abbott)の「Nature」記事: A celebration of Spain’s exemplary lab leaders
しかし、その記事で、アボット自身が選考委員として果たした役割について何も書いていない。そして、レオニッド・シュナイダーが揶揄した翌日、アボットは「Nature」記事の選考委員リストを削除した。さらに、訂正前の記事を削除した。
どうも、ネイチャーのメンター賞の選考にヘンなことが起こったようだ。それにしても、「Nature」誌が事実を隠蔽するとは、なんというか、一流学術誌のすることか? ガッカリしてしまう。
★2019年:8論文が撤回
2017年(59歳)のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の指摘によると、有名なネカトハンターのクレア・フランシス(Clare Francis)が、ロペス=オーチンの論文に画像のねつ造・改ざんがある、とパブピアで指摘した。
2017年10月30日(59歳)、オビエド大学・研究倫理委員会はロペス=オーチン論文のネカト疑惑を調査した。生命科学分野の専門家の意見も聴いた。その結果、ロペス=オーチン論文のネカトを否定した。
この結論は、オビエド大学の研究担当副学長のホセ・オベソ(José Ramón Obeso、写真出典)が署名し、大学の印が付いた手紙に記載されている(白楽は入手できなかった)。
一方、「J Biol Chem.」編集部はロペス=オーチン論文のネカト疑惑を別途調査し始めた。
2019年1月25日、「J Biol Chem.」編集部はロペス=オーチンの8報の「J Biol Chem.」論文を一挙に撤回した。これらの論文を出版したのは2001年-2007年なので、18-12年前の論文の撤回である。
ロペス=オーチンは「撤回監視(Retraction Watch)」の質問に次のよう答えている。
これらの論文は特定の図にいくつかの誤りがありました。しかし、それは論文の結論に影響しません。「J Biol Chem.」が私達に連絡してくるまで、私達は誤りがあることを知りませんでした。誤りの存在に気付いた時、保存してあった一部のオリジナルの画像を「J Biol Chem.」に送りました。オリジナルのデータは論文の結果を完全に指示していることも確認しました。また、14年以上前に論文を発表した元データの多くは保存していなかったので、私たちの研究室はこれらの実験を繰り返し、そして同じ結果を得ました。
ロペス=オーチンは論文の修正を求めたが、「J Biol Chem.」からは、その修正では不十分だと伝えられた。ロペス=オーチンは続けた。
我々は過ちを認めました。過ちは図に影響を及ぼしましたが、論文の主な結果に影響を及ぼさずに、我々は訂正を「J Biol Chem.」に要求しました。しかし、残念なことに、「J Biol Chem.」は論文の結論が有効かどうか、あるいは著者または他のグループが結果を再現できたことを考慮せず、論文の撤回を求めてきました。
●【ねつ造・改ざんの具体例】
ロペス=オーチンの多くの論文にねつ造・改ざんがあるとパブピアは指摘した。ねつ造・改ざんは電気泳動バンドの切り貼り、使い回しだった。
以下に2つの論文「2002年のJ Biol Chem」論文と「2007年のJ Biol Chem」論文の例を詳しく見てみよう。
★「2002年のJ Biol Chem」論文
「2002年のJ Biol Chem」論文の書誌情報を以下に示す。17年後の2019年1月25日に撤回された。
- Matriptase-2, a membrane-bound mosaic serine proteinase predominantly expressed in human liver and showing degrading activity against extracellular matrix proteins.
Velasco G, Cal S, Quesada V, Sánchez LM, López-Otín C.
J Biol Chem. 2002 Oct 4;277(40):37637-46. Epub 2002 Jul 30.
Retraction in: J Biol Chem. 2019 Jan 25;294(4):1430.
どの部分がどのように不正だったのか、パブピアで見てみよう。
2017年9月25日に、図8の電気泳動バンドが「2000年のCancer Res」論文の図4を加工した図だと、指摘された。「Polemonium Grandiflorum: (September 25th, 2017 6:28 PM and accepted September 25th, 2017 8:18 PM )」。
以下のパブピアの図の出典(実際はレオニッド・シュナイダーのブログ):https://pubpeer.com/publications/357783222F3529B2B43C2184EE4B6B#3
★「2007年のJ Biol Chem」論文
「2007年のJ Biol Chem」論文の書誌情報を以下に示す。12年後の2019年1月25日に撤回された。
- Tissue-specific autophagy alterations and increased tumorigenesis in mice deficient in Atg4C/autophagin-3.
Mariño G, Salvador-Montoliu N, Fueyo A, Knecht E, Mizushima N, López-Otín C.
J Biol Chem. 2007 Jun 22;282(25):18573-83. Epub 2007 Apr 17.
Retraction in: J Biol Chem. 2019 Jan 25;294(4):1435.
どの部分がどのように不正だったのか、パブピアで見てみよう。
2017年9月25日、図1Cの電気泳動バンドで同じものをちがうものとして複数回使用していると、指摘された「Polypedates Discantus: ( September 29th, 2017 8:43 PM and accepted September 29th, 2017 10:30 PM)」。
以下のパブピアの図の出典(実際はレオニッド・シュナイダーのブログ):https://pubpeer.com/publications/7AE17922FA5D09D9BCFB2BCE057B7A#1
●【ネカト発覚後】
2018年7月、ロペス=オーチンは研究室員が36人もいたスペインのオビエド大学の研究室を放棄して、フランスのインサーム(INSERM)の有名な細胞生物学者・グイド・クロマー(Guido Kroemer、妻と一緒の写真出典)の研究室に一時滞在している。なお。クロマーの妻・ローレンス・ジトヴォーゲル(Laurence Zitvogel)は腫瘍内科医で、夫と癌の共同研究をしている。
グイド・クロマーは、1992年にスペインのマドリード・コンプルテンセ大学(Universidad Complutense de Madrid)で研究博士号(PhD)を取得している。ロペス=オーチンも同じ大学(多分、同じ研究室)で1984年に研究博士号(PhD)を取得したので、グイド・クロマーは 8年後輩になる。
ブログにまだ記事として記載していないが、クロマーとジトヴォーゲルはデータねつ造・改ざん疑惑にまみれている。
つまり、ロペス=オーチンはネカトに寛容な友人の研究室に逃げ込んだ。スペインのオビエド大学にいつ戻るのか不明だそうだ。
ロペス=オーチンは 欧州連合の欧州研究会議(ERC:European Research Council)から、2017年-2222年の250万ユーロ(約3億円)の研究費を得ている。この研究費が持参金になっているらしい。
★擁護
スペインのメディアはスペインのスター科学者ロペス=オーチンがイジメられていると報じている。記者は「私はロペス=オーチン教授がこの卑劣な侮辱から無傷で乗り越えてくることを信じています。いつか彼が科学技術研究賞とノーベル生理学・医学賞を受賞することを望みます」と書いている。
→ 2019年2月18日記事:Carlos López Otín, el ilustre acosado
というのは、この日(2019年2月18日)、ロペス=オーチンは画期的な「2019年のNature Medicine」論文を発表したのだ。
CRISPR法でマウスDNAを編集し、先天的遺伝子異常で若いのに老化してしまうハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome:HGPS)の治療に明るい論文を出版した。
- Development of a CRISPR/Cas9-based therapy for Hutchinson–Gilford progeria syndrome
Olaya Santiago-Fernández, Fernando G. Osorio, Víctor Quesada, Francisco Rodríguez, Sammy Basso, Daniel Maeso, Loïc Rolas, Anna Barkaway, Sussan Nourshargh, Alicia R. Folgueras, José M. P. Freije & Carlos López-Otín
Nature Medicine volume 25, pages 423–426 (2019)
以下はハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症のサミー・バッソ(Sammy Basso)の動画。バッソは 1995年12月1日生まれなので、2019年3月15日現在、23歳。
ところが、「2019年のNature Medicine」論文の出版5日後の2019年2月23日、パブピアで問題点が指摘された(commented February 23rd, 2019 1:07 PM and accepted February 24th, 2019 2:07 AM)。
ネカトなんでしょうかね?
以下の図の出典:https://pubpeer.com/publications/990AE6C60FE817D66B24B7CD25B89F#1
★スペインに戻る
2019年3月5日、ロペス=オーチンスは、半年ほど研究室を離れフランスのグイド・クロマー研究室に滞在してたが、「2019年のNature Medicine」論文の出版でスペインのメディアに擁護され、機嫌を取り直した。スペインのオビエド大学に戻り、教壇に立った。しかし、パブピアの指摘にどう対処するのでしょうか?
→ 2019年3月5日記事:Otín, regreso entre aplausos | El Comercio
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
2019年3月15日現在、パブメド(PubMed)で、カルロス・ロペス=オーチン(Carlos López-Otín)の論文を「Carlos López-Otín [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2019年の18年間の265論文がヒットした。
「López-Otín C[Author]」で検索すると、1982~2019年の38年間の435論文がヒットした。
2019年3月15日現在、「López-Otín C[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、9論文が撤回されていた。
2001年-2007年の8報の「J Biol Chem.」論文が2019年1月25日に撤回されていた。
また、「2015年のNat Cell Biol.」論文(以下に示す)が2018年12月17日に撤回されていた。
- NF-κB activation impairs somatic cell reprogramming in ageing.
Soria-Valles C, Osorio FG, Gutiérrez-Fernández A, De Los Angeles A, Bueno C, Menéndez P, Martín-Subero JI, Daley GQ, Freije JM, López-Otín C.
Nat Cell Biol. 2015 Aug;17(8):1004-13. doi: 10.1038/ncb3207. Epub 2015 Jul 27. Retraction in: Nat Cell Biol. 2018 Dec 17;:.
★撤回論文データベース
2019年3月15日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでカルロス・ロペス=オーチン(Carlos López-Otín)を検索すると、10論文がヒットし、9論文が撤回されていた。
→ Retraction Watch Databaseの上右「Nature of Notice」の右にチェックを入れ、「Retraction」にすると、撤回論文(数)が表示される。
★パブピア(PubPeer)
2019年3月15日現在、「パブピア(PubPeer)」はカルロス・ロペス=オーチン(Carlos López-Otín)の36論文にコメントしている:PubPeer – Results for Carlos López-Otín
●7.【白楽の感想】
《1》弁解
ねつ造・改ざんが指摘された時の研究者の言い訳の定番の1つは、「論文の結論に影響しない」である。
ねつ造・改ざんは「論文の結論」を問題にしていない。ねつ造・改ざん行為そのものが「あったかどうか」である。
研究者は、本気で「論文の結論に影響しない」ならねつ造・改ざんしてもいいと、思っているわけではないと思うが、どうなんだろう? 「論文の結論に影響しない」ならねつ造・改ざんしてもいいと、本気で思っているのだろうか?
鋭利なナイフで何度も刺している殺人犯が「殺すつもりはなかった」と言うように、白楽は、単なる弁解と受け取っている。
《2》10年以上前のネカト処分
2001年-2007年に出版したロペス=オーチンの8論文を2019年に撤回した。18-12年前の論文の撤回である。
コストを考えると、こんなに古い論文の撤回の意味・メリットはあるのだろうか?
学問的には、18-12年前の論文結果を直接使って、医薬品開発や自分の研究を構築することはないだろう。だから、放置しておけという視点がある。しかし、昔のネカトが発覚した時、放置すれば、正義が滅び、ネカトが栄える。
ただ、単に論文撤回と現職の解雇では「ネカトやり得」である。
ネカトがあったなら、ロペス=オーチンを解雇し、18年前からネカトで築いた名誉・名声・財産などを没収する。没収額の計算は難しいだろうが、一律、現在の財産の8割没収、あるいは、今後の生活に困窮しない額を除き、残りの全財産を没収するでもよい。
そういう罰を科さないと「ネカトやり得」になる。
一方、別の視点に立つと、時効もありかも。
ーーーーーー
日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい(富国公正)。正直者が得する社会に!
ーーーーーー
ブログランキング参加しています。
1日1回、押してネ。↓
ーーーーーー
●8.【主要情報源】
① ウィキペディア・スペイン語版:Carlos López Otín – Wikipedia, la enciclopedia libre
② 2019年1月28日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Biochemist in Spain retracts eight papers at once – Retraction Watch
③2017年12月19日以降のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の「カルロス・ロペス=オーチン(Carlos López-Otín)」記事:Carlos Lopez-Otin – For Better Science、(保存版)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
●コメント