盗博VP7:マルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos)(ドイツ)

2017年3月10日掲載。

ワンポイント:盗博サイトのヴロニプラーク・ウィキの7番目。ギリシャ系ドイツ人の女性政治家で、1986年(30歳)にボン大学で哲学の博士号を 取得し、ドイツ自由民主党のアドバイザー、外務大臣のアドバイザー、ポツダム大学・特任教授になった。2011年7月12日(55歳)に盗博がバレ、2012年4月18日(55歳)に博士号がはく奪された。

【追記】
・2018年12月11日、ストラスブールの欧州人権裁判所(ECtHR)が博士号はく奪を正当と裁定した。2018年12月11日の記事:Plagiarism: policy Advisor Mathiopoulos doctor loses title | Insider News

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.盗用解析
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

マルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos、写真出典)は、ギリシャ系ドイツ人の政治家で、1986年(30歳)にボン大学Universitat zu Koln)で哲学の博士号を取得した。

ドイツ自由民主党のアドバイザー、外務大臣のアドバイザーで、ブラウンシュヴァイク大学(University of Braunschweig)・特任教授、ポツダム大学・特任教授だった。

なお、「特任教授」は英語の「honorary professor」の日本語とした。
ドイツや中欧の制度でいうhonorary professorは、学外の実務家等を副業として大学教員に招聘する場合の職である。就任の際に正教授並みの業績が必要で退職後も申請すれば教授と称することができる。この制度の国では、学歴に基づかない名誉称号としての「名誉教授」を、別にEhren professorなどと呼んで区別している。(名誉教授 – Wikipedia

2011年7月12日(55歳)、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が盗博を告発した7番目の事件である。
→ 1‐4‐10.ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)

ボン大学(Rheinische Friedrich-Wilhelms-Universität Bonn)。出典:http://www.spektrum.de/alias/r-hauptkategorie/rheinische-friedrich-wilhelms-universitaet-bonn/1071954. © Thomas Mauersberg, Universität Bonn (Ausschnitt)
  • 不正:盗博(盗用博士論文)
  • 国:ドイツ
  • 成長国:ドイツ
  • 研究博士号(PhD)取得年月日:1986年11月5日(30歳)
  • 研究博士号(PhD)取得大学:ボン大学
  • 分野:哲学
  • 博士論文タイトル:Amerika: das Experiment des Fortschritts. Ein Vergleich des politischen Denkens in Europa und in den USA
    (日本語訳):アメリカ:進行中の実験。アメリカとヨーロッパの政治思考の比較
  • 博士論文指導教授: Prof. Dr. Karl Dietrich Bracher, Dr. habil. Wolfgang Bergsdorf.
  • 公開: 1987. → Nachweis Deutsche Nationalbibliothek → ISBN 3-506-75405-X.
  • 盗博発覚年月日:2011年7月12日(55歳)
  • 盗用ページ率:46.88%
  • 研究博士号(PhD)はく奪状況:2012年4月18日(55歳)、はく奪
  • 男女:女性
  • 生年月日:1956年5月17日
  • 現在の年齢:68 歳
  • 発覚時地位:ドイツ自由民主党のアドバイザー、外務大臣のアドバイザー、ブラウンシュヴァイク大学(University of Braunschweig)・特任教授、ポツダム大学(University of Potsdam)・特任教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)の人(詳細不明)
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ボン大学・調査委員会。②ブラウンシュヴァイク大学・調査委員会?
  • 結末:博士号はく奪

●2.【経歴と経過】

http://nb9.stumbleupon.netdna-cdn.com/tXk31WwfFlUva9AFXpO1ZA
  • 1956年5月17日生まれ。ギリシャ系ドイツ人
  • 1986年11月5日(30歳):ボン大学で哲学・博士号取得
  • 2011年7月12日(55歳):盗博が発覚
  • 2012年4月18日(55歳):ボン大学が博士号はく奪。ボン大学・学術職は失職。

●3.【動画】

【動画1】
ボン大学がマチオポロスの博士号をはく奪する記者会見。
「Margarita Mathiopoulos ohne Doktorgrad 」(ドイツ語)6分10秒
uni-bonn.tv が2012/04/23 に公開

●4.【日本語の解説】

★2013年2月15日:ライブドアニュース「【ドイツ】ガウク大統領、新教育相に数学博士のヴァンカ氏を任命 」

出典 →ココ

2012年4月、当時、自由民主党のアドバイザーだったマルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos)氏(FDP)は、博士号を失った。ボン大学の決定に対し、マチオポロス氏はケルン行政裁判所に訴訟を起こしたが、昨年12月却下された。氏は控訴を表明している。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

S 写真:出典

マルガリータ・マチオポロス( Margarita Mathiopoulos )は、ギリシャ系ドイツ人である。

1987年3月23日。出典:http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-13522998.html

1986年11月5日(30歳)、ボン大学で哲学の博士号を取得した。

1990代初期(30歳代)、マチオポロスの博士論文に方法論上の深刻な間違いがあると指摘された。しかし、ボン大学はネカトの証拠をつかめなかったので、処分しなかった。

2011年7月12日(55歳)、博士号を取得後、25年もたって、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が明確な証拠を示して、盗博を告発した。

2012年4月18日(55歳)、ボン大学が博士号はく奪。ボン大学・学術職は失職した。

新聞は、マチオポロスは、ボン大学の対処に問題があり、裁判に訴えると報道した。

出典:http://www.ewif.de/presse/rundbrief/september-2015/6-fragen-6-antworten.html

4章の【日本語の解説】によると、以下の通りだ。

マチオポロス氏はケルン行政裁判所に訴訟を起こしたが、昨年(2012年)12月却下された。氏は控訴を表明している。

しかし、控訴したかどうか、白楽は把握していない。

また、ドイツ自由民主党のアドバイザー、外務大臣のアドバイザー、ブラウンシュヴァイク大学(University of Braunschweig)・特任教授、ポツダム大学(University of Potsdam)・特任教授の職や地位がどうなったかよくわからない。

2016年(59歳)、【動画2】に示したが、マチオポロスは、はく奪されたハズの「博士(Dr.)」の称号を使用している。

●6.【盗用解析】

マルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos )の博士論文のタイトルは 「Amerika: das Experiment des Fortschritts. Ein Vergleich des politischen Denkens in Europa und in den USA(アメリカ:進行中の実験。アメリカとヨーロッパの政治思考の比較)」である。

博士論文は書籍として出版されている(写真出典はSuchergebnis auf Amazon.de für: 350675405X)。

博士論文の盗用分析図は以下の5色のバーコードである。博士論文は362ページ、本文349ページ、盗用ページ率は46.88%だった。

なお、元の盗用分析図では、バーコードがページ毎の盗用分析にリンクしている。→ http://de.vroniplag.wikia.com/wiki/Mm

★イラスト表示

以下はページ毎に色分けしたイラスト表示である。

盗用の色分けは、灰色= 逐語盗用(コピペ、文献提示なし)、赤色 = 加工盗用(ロゲッティング、文献提示なし)、黄色 =流用部分が曖昧な盗用(文献提示あり)、 青色 = 翻訳盗用、である。 

★各ページの盗用分析

マルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos )の博士論文の各ページ毎に盗用分析がされている。盗用があるページは青色で、盗用がないページは赤色である。青色をクリックすると、各ページが開く。

Haupttext
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【80ページ目】

1例として、80ページ目(つまり、080)をクリックすると、盗用比較図が出てくる。以下はその1部分を示した。

左側がマルガリータ・マチオポロスの博士論文で右が被盗用論文である。着色部分の文章が同一である。

●7.【白楽の感想】

《1》盗博が多い

ドイツの盗博を調べていると、盗博が多いためか、盗博はありふれた行為に思えてくる。

そして、盗博が多いのは、ドイツ社会にとって深刻な問題だと思うが、ドイツ社会が盗博を深く分析し、厳格な盗博予防手段を講じているという文章が見つからない(白楽の探索能力が低いだけかも?)。

マルガリータ・マチオポロスの博士論文は、一度、1990年代に疑念がもたれたのに、証拠がつかめなかったそうだ。それはそれでお粗末だが、2011年7月12日(55歳)にヴロニプラーク・ウィキが動かぬ証拠を揃えたわけだ。

しかし、ドイツの盗博は、一般的に、ヴロニプラーク・ウィキが調査を始めた2011年まで、野放し状態だったのだろうか? そうだとすると、お粗末ですね。

在ドイツ日本大使・高野紀元(たかの としゆき)(左)、マルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos)(右)。出典:http://www.mathiopoulos.com/en/tf_pictures_holbrooke.php

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●8.【主要情報源】

① ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)のマルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos)サイト:Mm | VroniPlag Wiki | Fandom powered by Wikia
② ウィキペディア・ドイツ語版:Margarita Mathiopoulos – Wikipedia
③ 2012年4月19日の「The Local」記事:Government advisor stripped of doctorate – The Local保存版
④  2012年4月20日のAreti Kotseli記者の「Greek Reporter Europe」記事:Government Advisor Margarita Mathiopoulos’ Doctorate Rescinded Due to Plagiarism | Greek Reporter Europe保存版
⑤ マルガリータ・マチオポロス(Margarita Mathiopoulos)のウェブサイトト:Prof. Dr. Margarita Mathiopoulos
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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