エドワード・フォックス(Edward J. Fox)(米)

2019年4月24日掲載

ワンポイント:フォックスはアイルランドで研究博士号(PhD)取得し、米国・シアトルのワシントン大学(University of Washington)・助教授代理(Acting Assistant Professor)になった。2019年3月26日、研究公正局は、フォックス(41歳?)の未発表の研究結果にデータねつ造・改ざんがあったと発表した。1年間の締め出し処分を科した。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説

5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

エドワード・フォックス(Edward J. Fox、写真出典、ORCID iD:?)は、アイルランドで研究博士号(PhD)取得し、米国のシアトルのワシントン大学(University of Washington)・助教授代理(Acting Assistant Professor)になった。医師ではない。専門は病理学。

2018年(40歳?)(推定)、ネカト疑惑の通報を受け、シアトルのワシントン大学が調査を開始した。その後、調査結果を研究公正局に伝えた。

2019年3月26日(36歳?)、研究公正局は、フォックスの未発表の研究結果にデータねつ造・改ざんがあったと発表した。2019年3月18日から1年間の締め出し処分を科した。

CampusImage24_jpg-1シアトルにあるワシントン大学医科大学院(University of Washington School of Medicine)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:アイルランド
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:アイルランドのダブリン大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1978年1月1日生まれとする。2003年にダブリン大学所属で最初の論文を出版した時を25歳とした
  • 現在の年齢:43 歳?
  • 分野:病理学
  • 最初の不正:2018年(40歳?)?
  • 発覚年:2018年(40歳?)?
  • ネカト行為時地位:シアトルのワシントン大学・助教授代理
  • ステップ1(発覚):研究室のボスであるローレンス・ローブ教授(Lawrence A. Loeb)が見つけた(推定)。
  • ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①シアトルのワシントン大学・調査委員会。②研究公正局
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:研究公正局がクロ判定(〇)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正数:未発表の研究結果。撤回論文なし
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 職:移籍(◒)
  • 処分:NIHから1年間の締め出し処分
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:不明。仮に1978年1月1日生まれとする。2003年にダブリン大学所属で最初の論文を出版した時を25歳とした
  • 2001年(22歳?)?:アイルランドのダブリン大学(University College Dublin)で学士号(BSc)を取得:薬理学
  • 2006年(27歳?)?:アイルランドのダブリン大学(University College Dublin)で研究博士号(PhD)を取得:医学
  • xxxx年(xx歳?):米国・シアトルのワシントン大学(University of Washington)・助教授代理(Acting Assistant Professor)
  • 2018年(40歳?)?:ネカト疑惑の通報を受け、シアトルのワシントン大学が調査開始
  • 2018年(40歳?)?:シアトルのワシントン大学は調査終了し、調査は研究公正局へ
  • 2018年(40歳?)?:シアトルのワシントン大学を辞職
  • 2018年(40歳?)?:スタンフォード大学・病理学・研究員
  • 2019年3月26日(41歳?):研究公正局がネカトと発表。締め出し期間は2019年3月18日から1年間

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★研究キャリア

エドワード・フォックス(Edward J. Fox)はアイルランドのダブリン大学(University College Dublin)で研究博士号(PhD)を取得した。

大学院時代の指導教授はウィリアム・ギャラガー教授(William M. Gallagher、写真出典)だった。

パブメド(PubMed)で、エドワード・フォックス(Edward J. Fox)のダブリン大学(University College Dublin)での論文を「(Edward J. Fox[Author]) AND University College Dublin[Affiliation]」で検索すると、2003‐2007年の4論文がヒットした。

その後、経緯は不明だが、ネカト事件を起こした時は、米国・シアトルのワシントン大学(University of Washington)・ローレンス・ローブ(Lawrence A. Loeb)研究室の助教授代理(Acting Assistant Professor)だった。

フォックスはローブ教授と一緒に2011年と2012年の2件の特許の発明者になっている。
→ Edward J. Fox Inventions, Patents and Patent Applications – Justia Patents Search

★研究公正局

2019年3月26日(41歳?)、研究公正局は、フォックスのNature誌への投稿原稿、研究費報告書「R01 CA193649-02」、研究費申請書「R01 CA193649-01A1」にデータねつ造・改ざんがあったと発表した。2019年3月18日から1年間の締め出し処分を科した。

研究費番号で示すが、NIH・国立がん研究所(National Cancer Institute)から.「R01 CA193649」、「R01 CA160674」、「P01 CA77852」、「R01 CA102029」の4件の研究助成を受けた研究で、フォックスはデータねつ造・改ざんした。

フォックスは研究費申請書「R01 CA193649-01A1」でのネカトを認めなかったが否定もしなかった。それで、研究公正局は、調査が行き詰まった。結局、時間と経費を考え、締め出し処分を科すことで、調査を打ち止めとした。

ねつ造・改ざんは、未発表の研究データであって、出版論文のデータではない。従って撤回論文はない。

★ねつ造・改ざんデータ

ねつ造・改ざんデータがどのようなものか?

研究公正局がネカトとしたのは、「2018年のNature」受理論文、研究費報告書「R01 CA193649-02」、研究費申請書「R01 CA193649-01A1」の研究結果であって、出版論文ではない。「2018年のNature」受理論文はネカトが発覚し、投稿は取り下げられた。

「2018年のNature」受理論文は以下である。

  • “Extensive subclonal mutations in human colorectal cancers detected by duplex sequencing.”
    Fox, E.J
    ., Schmitt, M.W., Reid-Bayliss, K.S., Geraghty, R., O’Donoghue, D.P., Mulcahy, H.E., Leahy, D.T., Sheahan, K., Beckman, R.A., & Loeb, L.A.
    Accepted for publication in Nature

研究公正局は、「2018年のNature」受理論文の以下の点がねつ造・改ざんと述べているが、論文が出版されていないので、第三者は具体的な図表を見ることができない。

  • 図1cおよび1dのデータをねつ造した。正常細胞におけるユニークなサブクローン性変異の頻度は、年齢とともに増加するが、癌性細胞におけるサブクローン性変異の頻度はそうではないことを示した。
  • 図2bのデータをねつ造した。図1cおよび1dのねつ造データに対するサブクローン変異のパターンを示し、腫瘍と正常粘膜との間の統計的に有意な差を示す統計分析結果をねつ造した。この図はまた研究費報告書「R01 CA193649-02」の図1でもある。
  • 図3bのデータをねつ造した。主に中立の亜クローン進化を示した。
  • 拡張データ図1〜5および拡張データ表3〜5をねつ造した。図3bのねつ造データを使って作成したので。
  • ねつ造データに整合性があるように方法と図の説明をした。

と書いてみたが、図を示さずに文章でねつ造部分を説明しても、わかりませんね。つまり、具体的なデータねつ造はわかりません。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2019年4月23日現在、パブメド(PubMed)で、エドワード・フォックス(Edward J. Fox)の論文を「Edward J. Fox[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2019年の18年間の78論文がヒットした。

「Fox EJ[Author]」で検索すると、1963~2019年の57年間の149論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多く含まれていると思われる。

2019年4月23日現在、「Fox EJ[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★撤回論文データベース

2019年4月23日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでエドワード・フォックス(Edward J. Fox)を検索すると、0論文がヒットした。

★パブピア(PubPeer)

2019年4月23日現在、「パブピア(PubPeer)」はエドワード・フォックス(Edward J. Fox)の1論文にコメントしている:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》詳細は不明

エドワード・フォックス(Edward J. Fox)。出典?

この事件の詳細は不明です。

非常に最近の事件なのに、状況がわかる情報がない。ネカト防止策は、この事件からは学べない。

ただ、締め出し処分が1年間で、事件後、スタンフォード大学・病理学の研究員に移籍している。ボスのトーマス・モンティーヌ教授(Thomas Montine)が許容すれば、研究者として生き延びるだろう。
→ Montine Lab | Who We Are

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●8.【主要情報源】

① 研究公正局の発表:(1)2019年3月26日:Case Summary: Fox, Edward J. | ORI – The Office of Research Integrity、(2)2019年4月4日:NOT-OD-19-094: Findings of Research Misconduct
② 2019年4月2日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Former University of Washington researcher faked data, say Feds – Retraction Watch
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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