大学:大学ランキング(school’s ranking):テンプル大学(Temple University)(米)

2021年11月15日掲載

ワンポイント:2015年、U.S.News & World Reportの大学ランキング「ビジネススクール」部門で、テンプル大学・ビジネススクール(Fox School of Business、経営学修士、MBA)は全米1位だった。2018年、テンプル大学・ビジネススクールのモシェ・ポラット学部長(Moshe Porat)、アイザック・ゴットリーブ統計学教授(Isaac Gotlieb)とマージョリー・オニール事務員(Marjorie O’Neill)が大学ランキングの虚偽データを何年にもわたって報告していたことが発覚した。3人は解雇(辞職?)され、2021年4月、起訴された。有罪になれば、ポラット元学部長は最長25年、他の2人は5年の刑務所刑、3人共最大50万ドル(約5千万円)の罰金が科せられる。国民の損害額(推定)は17億円(大雑把)。

【追記】
・2021年11月29日記事:3人共有罪:Former Temple U. Dean Found Guilty of Faking Data for National Rankings – The New York Times保存版
・2021年11月16日記事:生涯所得に数億円の差 大学は戦略的に選ぶ時代に | 石角友愛のシリコンバレー通信 | 石角友愛 | 毎日新聞「経済プレミア」

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.日本語の解説
3.事件の経過と内容
4.白楽の感想
5.主要情報源
6.コメント
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●1.【概略】

2015年、U.S.News & World Reportの大学ランキング「ビジネススクール」部門で、テンプル大学・ビジネススクール(Fox School of Business、経営学修士、MBA)は全米1位だった。

2022年では全米84位である。出典:Best Business Schools (MBA) Ranked in 2022 – US News Rankings 

2018年、テンプル大学・ビジネススクールのモシェ・ポラット学部長(Moshe Porat)、アイザック・ゴットリーブ統計学教授(Isaac Gotlieb)、マージョリー・オニール事務員(Marjorie O’Neill)の3人が大学ランキングの虚偽データを何年にもわたって報告していたことが発覚した。

3人は解雇(辞職?)され、2021年4月、起訴された。

有罪になれば、ポラット元学部長は最長25年、他の2人は最長 5年の刑務所刑、3人共最大50万ドル(約5千万円)の罰金が科せられる。

2021年11月14日現在、裁判中である。

このデータねつ造・改ざんで自殺者・健康被害者はゼロである(推定)。

2021年11月14日現在のテンプル大学・ビジネススクールの在籍者数は9,000人なので、不正な大学ランキングの影響を受けて(だまされて?)、テンプル大学・ビジネススクールに入学した院生は数万人に及ぶだろう。

テンプル大学は院生たちに損害賠償した額は少なくとも1,700万ドル(約17億円)である。一応その額をテンプル大学の損害額、国民の損害額(推定)とした。

テンプル大学(Temple University)。Photography By: Betsy Manning。写真出典

テンプル大学ビジネススクール(Richard J. Fox School of Business and Management at Temple University)。写真 By See below – Wiki Takes Philadelphia, CC BY-SA 3.0, Link

  • 国:米国
  • 集団名:テンプル大学
  • 集団名(英語):Temple University
  • ウェブサイト(英語):https://www.fox.temple.edu/
  • 集団の概要:テンプル大学・ビジネススクール(Fox School of Business、経営学修士、MBA)のモシェ・ポラット学部長(Moshe Porat)の指示のもとに、統計学のアイザック・ゴットリーブ教授(Isaac Gotlieb)とマージョリー・オニール事務員(Marjorie O’Neill)が大学ランキングの虚偽データを、ランキングを発行している組織であるU.S. News & World Reportに何年にもわたって送付していた
  • 事件の首謀者:ビジネススクールのモシェ・ポラット学部長(Moshe Porat)
  • 分野:大学
  • 不正年:20xx年~2018年の数年間
  • 発覚年:2018年
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は不明だが、テンプル大学を動かし、ジョーンズ・デイ法律事務所(Jones Day)に調査させた
  • ステップ2(メディア):「Inside Higher Ed」、「Philadelphia Inquirer」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ): ①テンプル大学の依頼でジョーンズ・デイ法律事務所(Jones Day)が調査した。②臨時連邦検察官(acting U.S. Attorney)のジェニファー・ウィリアムズ(Jennifer Arbittier Williams)が、ポラット・元学部長らを起訴した。③米国の裁判所が裁判中
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:論文の不正ではない
  • 被害(者):テンプル大学は少なくとも1700万ドル(約17億円)の損害を受けた。ランキング不正で自殺者・健康被害者はゼロと推定。現在のビジネススクールの在籍者数が9000人なので、ランキングの影響を受けた(だまされた?)院生は数万人だろう。(99+) Fox School of Business at Temple University: 概要 | LinkedIn
  • 国民の損害額:総額(推定)は17億円。テンプル大学はこの事件でかかった経費は少なくとも1,700万ドル(約17億円)である。一応その額を国民の損害額(推定)とした。:Poets&Quants – MBA Ranking Scandal Costs Temple At Least $17 Million
  • 結末:ポラット学部長、2人の事務員は解雇(辞職?)され、刑事告発されている。裁判は進行中

●2.【日本語の解説】

事件の日本語の解説記事はない。

★2013年9月13日:テンプル大学ジャパン:著者不記載;「テンプル大学の全米大学ランキングが上昇」

出典 → ココ (保存版

テンプル大学(米国ペンシルベニア州/総長ニール・セオボルド)は、10日に発表されたU.S. News & World Report誌「ベスト・カレッジ・ランキング」のNational universitiesカテゴリで121位となり、昨年から4つ順位を上げました。

U.S. News & World Report誌「ベスト・カレッジ・ランキング」は米国で最も知られた大学ランキングのひとつで、全米約1,800の大学を4つのカテゴリに分けてランキングしています。テンプル大学の属する「National Universities」は、4年制総合大学のなかでも「幅広い専攻を提供する学部課程および修士・博士課程を擁し、最先端の研究が盛んな大学」を指します。今年は公私立あわせて276校が評価対象となり、そのうち上から201校に順位が付けられています。テンプルは昨年の125位から4つ順位を上げ、121位となりました。

戴海龍(ダイ・ハイラン)教務担当副総長(provost)のコメントによると、テンプル大学は2017年までに同カテゴリでトップ100になることを目指しており、リテンション率(学生保持率)と卒業率の改善に努めるとともに、奨学金など経済援助を大幅に充実させることで競争力を高めています。

こうした努力の結果、テンプル大学の今年9月の新入生の学力水準は過去最高となりました。

★2018年7月6日:テンプル大学ジャパン:著者不記載;「学術引用で世界22位。2018年の世界ランキングに見るテンプル大学のグローバル評価」

出典 → ココ (保存版

ウェブ検索サイト グーグルの提供する学術引用の検索サービスGoogle Scholar Citationsでは、学術引用の数がテンプル大学は世界22位、ペンシルベニア州内では1位となりました(2018年7月5日現在)。

また、「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」世界大学ランキング2018では、世界の大学トップ1,000のうち、351-400位のグループにランキングされています。 米国高等教育機関の研究成果を評価指標とするカーネギー分類では、テンプル大学は最上級の評価「最高度の研究活動(R1)」を受け、全米の4年制大学で上位4%に位置づけられています。

「USニューズ&ワールド・レポート(2018年版)」では、以下の部門でランキングされました。

総合大学:115位 (2012年版以来17位UP/同カテゴリー、同時期順位上昇の比較で全米15位)

トップ公立大学:53位
退役軍人の教育支援を行うベスト・カレッジ:70位
ベスト教育学大学院:48位
ベスト・ロースクール:53位
ベスト・ロースクール/法廷弁論:2位

●3.【事件の経過と内容】

★テンプル大学と大学ランキング(school’s ranking)

2021年10月30日の日本語版ウィキペディアは、テンプル大学とその大学ランキング(school’s ranking)を以下のように述べている。

テンプル大学(英語: Temple University)は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアに本部を置くアメリカ合衆国の州立大学である。1907年に設置された。

テンプル大学は、Times Higher Educationの世界大学ランキング2021では、301-350位グループに位置している。 U.S.News & World Reportのランキング2021では103位。QS World University Rankings: USAでは61位に位置している。学部課程に関しては、The Princeton Review の”The 2015 Best 379 Colleges”の1つに選ばれている。

ビジネススクール
Financial Times Executive MBA Ranking 2014: #58 in the world
U.S. News & World Report Best Business Schools 2017: #32(出典:テンプル大学 – Wikipedia

2015年、U.S.News & World Reportの大学ランキング「ビジネススクール」部門で、テンプル大学は全米1位だった。

そして、「ビジネススクール」聴講クラス部門(part-time MBA program)のランキングでは、テンプル大学は2014年に全米53位だったのが、わずか3年後の2017年には全米7位へと大躍進した。

「ビジネススクール」部門の卒業生は6万5千人、在籍院生は約9000人である。 → (99+) Fox School of Business at Temple University: 概要 | LinkedIn

★大学ランキング(school’s ranking)

2018年1月、テンプル大学(Temple University)は、ジョーンズ・デイ法律事務所(Jones Day)に依頼し、テンプル大学のビジネススクール(経営学修士、MBA)のランキング不正の調査を始めた。

どうして調査を始めたのか、最初の追究者は誰だったのか、を白楽は把握できていない。

2018年7月9日、テンプル大学(Temple University)は、ビジネススクール(Fox School of Business、経営学修士、MBA)が、ランキングを上位にするため、何年にもわたって虚偽データを提出していたと発表した。 → Update on Fox rankings | Temple Now

虚偽データを提出していたのはビジネススクールのモシェ・ポラット学部長(Moshe Porat、写真出典)だとし、テンプル大学は、1996年から12年間も学部長を務めているポラット学部長を解雇(辞職?)した。

外部調査員によると、虚偽データを提出していた実務者は、統計学のアイザック・ゴットリーブ教授(Isaac Gotlieb、左の写真。出典)とマージョリー・オニール女性事務員(Marjorie O’Neill、右の写真。出典)だった。

2人は、ポラット学部長の指示で行なっていたと弁解した。

なお、ゴットリーブ教授は2018年9月に解雇された。オニール事務員も同時期に解雇されたと思われる。

ポラット学部長は虚偽データの提出を指示していたことを否定した。

★ジョーンズ・デイ報告書

2018年7月10日、テンプル大学(Temple University)が上記不正を発表した翌日、ジョーンズ・デイ法律事務所がテンプル大学のランキング不正に関する「ジョーンズ・デイ報告書(Jones Day report)」を公表した。

ジョーンズ・デイ法律事務所はジョーンズ・デイ法律事務所はウィキペディアによると以下である。

ジョーンズ・デイ(Jones Day)は米国ワシントンD.C.に拠点を持つ国際的な法律事務所。世界中に41か所のオフィスがある。2014年3月現在、アメリカで1,739人の弁護士が所属し、国内第1位規模の法律事務所である。(ジョーンズ・デイ – Wikipedia

なお、1989年、ジョーンズ・デイ法律事務所は東京事務所も開設した → 東京事務所

以下は「ジョーンズ・デイ報告書(Jones Day report)」の冒頭部分(出典:同)。全文(7ページ)は → https://news.temple.edu/sites/news/files/images/findings_and_recommendations.pdf?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=nui

「ジョーンズ・デイ報告書(Jones Day report)」は不正箇所を次のように指摘している。 U.S. News & World Reportはランキングを発行している組織である。

  1. 「ビジネススクール」入学希望者の全員が大学院入学試験を受けたと、虚偽の報告をしていた。
  2. U.S. News & World Reportは、GMATとGREの両方の得点を報告するように求めているが、「ビジネススクール」は、GREスコアをGMATスコアに変換し、GREを受験した人はいないと虚偽の報告をした。
  3. さまざまな方法を使って学部時代の成績点に下駄をはかせ、高い点を報告していた。1つの方法は、下2桁の値を繰り上げていた。例えば、3.22を3.3として報告していた。
  4. 「ビジネススクール」は入学申請数を過少報告していた。このことで、合格倍率は実際よりも高くなった。
  5. 「ビジネススクール」は大学の債務に関して虚偽の情報を提供していた。U.S. News & World Reportは、ビジネススクールの卒業生の平均債務の額を提出するよう求めていたが、すべての学部の卒業生の平均債務額を「ビジネススクール」の卒業生の平均債務として報告していた。従って平均債務額は少なくなっていた。
  6. 「ビジネススクール」は「アカデミックコーチ(academic coaches)」を教員として数え、学生と教員の比率を教員が多い方にしていた。

★院生がテンプル大学を訴えた

テンプル大学の院生たちは、大学ランキングが虚偽のデータに基づいていたことで受けた損害を賠償せよと、集団訴訟を起こした。

2018年12月21日、テンプル大学は、過去及び現在のビジネススクールの院生に総額400万ドル(約4億円)を支払い、他のコースの院生に1,475,000ドル(約1億4750万円)払うことで和解した。 → (1):Agreement reached in Fox School class action case | Temple Now、(2):Agreement reached in Fox School class action case | Temple Now

テンプル大学はこの事件でかかった経費は少なくとも1,700万ドル(約17億円)になった。 → 2020年12月5日記事:Poets&Quants – MBA Ranking Scandal Costs Temple At Least $17 Million

★ポラット・元学部長もテンプル大学を訴えた

2019年5月、テンプル大学のモシェ・ポラット・元学部長は、大学を解雇(辞職?)されてから数か月後、テンプル大学を訴え、2500万ドル(約25億円)の損害賠償を要求した。
 → 2019年5月3日のルディ・チンチラ(Rudy Chinchilla)記者の「NBC10 Philadelphia」記事:Ousted Temple Fox School of Business Dean Says He Was Made ‘Scapegoat’, Seeks $25M – NBC10 Philadelphia
 → 2019年5月6日の記事:Former dean says he was made to be scapegoat in rankings scandal at Temple

ポラット・元学部長は、「テンプル大学は、私が愛していた仕事を奪い、私の健康を害し、私の評判と、何十年にもわたって築き上げてきた私の人生の仕事上の遺産を破壊した。私はスケープゴートにされた」と訴えた。

★刑事事件

2021年4月、臨時連邦検察官(acting U.S. Attorney)のジェニファー・ウィリアムズ(Jennifer Arbittier Williams、写真出典)は、ポラット・元学部長と関係者を複雑な詐欺計画を組織したとして起訴した。
 → 2021年4月17日記事:Former Temple dean facing charges for forging rankings data

有罪になれば、ポラット・元学部長は、最長25年の刑務所刑、最大50万ドル(約5千万円)の罰金が科せられる。

当時、大学ランキングの不正データを作成・送付したテンプル大学・統計学のアイザック・ゴットリーブ教授(Isaac Gotlieb)とマージョリー・オニール事務員(Marjorie O’Neill)も起訴され、有罪になれば、最長5年の刑務所刑、最大50万ドル(約5千万円)の罰金が科せられる。

問題のポイントは、不正確な情報(虚偽データ?)をUS News&World Reportに提出することは連邦犯罪に該当するかどうかである。

ポラット・元学部長の弁護士であるマイケル・シュワルツ(Michael A. Schwartz)とジェイ・レフコウィッツ(Jay P. Lefkowitz)は、連邦犯罪に該当しないと主張している。

もう1つのポイントは、不正確な情報(虚偽データ?)を提出したことで、実際に誰かの金銭をだまし取ったかどうかである。

テンプル大学のビジネススクール(経営学修士、MBA)に院生1人が支払う授業料は1年間、約6万ドル(約600万円)である。不当につり上げられた大学ランキングにだまされて大学院入学したという院生の主張はうなずける。

さらに、不当につり上げられた大学ランキングにだまされて、テンプル大学のビジネススクールに寄付したという寄附者の被害もうなずける。

なお、大学ではないが、過去に似たような事件が2件あった。ニュージャージー州知事だったクリス・クリスティ事件(Chris Christie)とマイアミビーチクラブ所有者のジョン・ボラリス事件(John Bolaris)である。

前者は、ブリッジゲート事件(Bridgegate case、別名:Fort Lee lane closure scandal – Wikipedia)として知られている事件だが、合衆国最高裁判所は2020年、ブリッジゲート事件の判決で連邦電信詐欺法(federal wire fraud law)の有罪・無罪の境界を明らかにした。

有罪判決を得るには、検察官は、被告の不正計画だけでなく、金銭や財産を取得する計画があったことも証明しなければならない、とした。

ポラット・元学部長の弁護士は、「テンプル大学のビジネススクールの院生と寄付者に金銭的被害を与えたが、これは、偶発的な結果です。大学ランキング不正として訴えられていますが、ポラット・元学部長のこの行為は、ビジネススクールの名声を高めるために努力した結果です。院生のお金を盗んだり、院生をだまして過払いさせることを意図した計画はありません」と主張している。

2021年11月14日現在、ポラット・元学部長の裁判は決着がついていない。

【ねつ造・改ざんの具体例】

上記したので省略

【動画】

【動画1】
ニュース動画「Temple’s Fox School Of Business Dean Asked To Step Down After Allegedly Falsifying Data Used In Rank – YouTube」(英語)0分26秒。
CBS Phillyが2018/07/10に公開

●4.【白楽の感想】

《1》米国の他大学のランキング不正

他の注目すべき大学ランキング不正事件を数例を示す。網羅的ではない(主な出典は「【主要情報源】②」)。

  1. 2011年、ヴィラノーヴァ大学・法科大学院(law school of Villanova University)は大学ランキングを上位にするため入試得点に関する虚偽データを U.S. News & World Reportに報告していた。アメリカ法曹協会(American Bar Association)は、この不正を公式に非難する声明を発表した。 → Villanova Law’s ethics lapse points to deep flaws with rankings – WHYY
  2. 2012年、クレアモント・マケナ大学(Claremont McKenna College)は、学生の成績に関する虚偽データとSATスコアを U.S. News & World Reportに提出していたことを認めた。 → Claremont McKenna admits extent of deception on admissions statistics
  3. 2013年、チューレーン大学(Tulane University)は、チューレーン大学・ビジネススクールの受験者数と受験者の試験得点に関する虚偽データを U.S. News & World Reportに報告したと認めた。 → Tulane sent incorrect information to ‘U.S. News’ for rankings
  4. 2013年、バックネル大学(Bucknell University)は、2006年から2012年までのSATの平均と、それらの年のいくつかのACTの平均値を誤って(意図的に?)報告したことを認めた。 → Bucknell’s admission raises questions about how many colleges are reporting false data

《2》筑波大学

2021年2月、筑波大学でも似た事件があった。大学ランキングの操作をしたという疑惑だ。

白楽はウェブ上の情報しか知らない。

しかし、学長が否定した。このスタイルは「モリ・カケ・桜」的な隠蔽の印象が強い。 → 2021年2月18日記事:外国人学生数への疑義に反論 筑波大学長「指摘は間違い」(共同通信) – Yahoo!ニュース保存版

学長があわてて 否定しないで、公正と思われる第三者機関に調査を依頼すべきだった。 

暁法律事務所は、「外国人学生数を「水増し」して報告したのではないかという疑惑に関して、匿名で資料が送られてきた」と、データをウェブ上にアップした。但し、字が小さくてデータ内容を読めない。拡大しても字がぼやけて読めない。 → 労働者側労働事件の暁法律事務所保存版

邪推するに、これは、筑波大学が情報をリークし、筑波大学が正しいことを装っていると、白楽は感じた。

暁法律事務所がアップしたデータ内容を読めても、そのデータ自身がねつ造・改ざんされている可能性を否定できない。データは正しいと、どこがどのように保証するのだろう。

学長が出てきて否定すると、その公表資料を作成した事務員は、整合性が取れるようにデータを“操作”したハズだ。と、普通の人は考える。イヤ、普通の人はそこまで考えない? そこまで考えるのは精神がねじれている白楽だけ? マー、いいけど。

第三者機関に調べさせると、筑波大学に不都合な真実が出てくるんでしょうね、キット。白楽の印象ですが。

《3》腐敗する条件

研究者倫理事件(ネカト・クログレイ・性不正・アカハラ事件)を調べている白楽から見ると、大学ランキング(school’s ranking)はねつ造・改ざんデータの宝庫だと思う。

というのは、腐敗する条件がそろっているからだ。

  • 多くの元データは公開されていないので真偽のチェックができない。元データが公開されていても、それが真正データなのか、既にねつ造・改ざんされたデータなのか、外部の人には検証できない。
  • 外部のチェック機関・仕組みはない
  • 大学ランキングを上げるとその大学の利得に大きく影響する
  • 被害者は、受験生、研究助成機関、国民一般だが、被害の痛み・実感がないので、ランキング不正を追及しないし、追及しにくい

不正が発覚すれば、該当する大学ランキング機関からランキングリストに掲載してもらえないなどの処分は受ける。

ただ、今回のテンプル大学事件では、連邦検察がポラット学部長、そして、不正データを作成・送付した統計学のゴットリーブ教授とオニール事務員を刑事告発したことだ。これは非常に重要である。

日本ではどうだろう、このような虚偽データの報告を、犯罪として刑事事件にできる(する)だろうか?

《4》防ぐ方法

大学に対しては、「透明性」「説明責任」の徹底を要求する。

大学ランキング作成側に、元データを詳細に公表する義務を負わせる。元データの作成者名・所属部署も公表させる。そうすれば、責任の所在が明確になる。

ただ、元データを詳細に公表すると、誰でも大学ランキングを作れるので、US News&World Report などのランキング企業は、元データを企業秘密として、外部に公表したくない。ウム、難しいですね。。

社会としては、虚偽データの報告は犯罪として刑事告訴すること。

《5》人生は評価数値で選択

この事件は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のマリオ・ビアジオリ殊勲教授(Mario Biagioli)の指摘する、数値操作の世界である。 → 7-63 新しい学術不正:評価数値の操作 | 白楽の研究者倫理

日本を含めた先進国は、大学ランキングだけでなく、高校、中学。小学校そして幼稚園、保育園まで、ランキング評価(評判・口コミ)で学校を選択する。

この現実をどうすべきなのか? 

ランキング評価(評判・口コミ)で学校を選択する現状は、まともなのか?

上記の新聞記事とネイチャー誌記事を、まだ、まともには読んでいないけど、大学ランキングを含め、学校ランキングのあり方を正面から考えてみようという気になった。

何らかの規則を制定する必要があるだろうか?

そういえば、
今日の夕飯を食べるレストランも「食べログ」の評価で選ぶ。
今度行く2泊3日の宿も「じゃらん」の評価で選ぶ。
恋愛相手や結婚相手も「ツヴァイ」のスペックで選ぶ。

人生の肝心な選択のあちこちは、評価値(つまり他人の価値判断)で決めている。

画像出典

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●5.【主要情報源】

① ウィキペディア日本語版:テンプル大学 – Wikipedia
② 2018年7月10日のスコット・ジャシク(Scott Jaschik)記者の「Inside Higher Ed」記事:Temple ousts business dean after report finds online M.B.A. program for years submitted false data for rankings
③ 2018年12月21日のテンプル大学(Temple University)の声明:Agreement reached in Fox School class action case | Temple Now
④ 2019年1月7日のスコット・ジャシク(Scott Jaschik)記者の「Inside Higher Ed」記事:Temple pays $5.5 million to settle class action over false rankings data保存版
⑤ 2019年5月3日のルディ・チンチラ(Rudy Chinchilla)記者の「NBC10 Philadelphia」記事:Ousted Temple Fox School of Business Dean Says He Was Made ‘Scapegoat’, Seeks $25M – NBC10 Philadelphia
⑥ 2021年6月8日のジェレミー・ローバック(Jeremy Roebuck)記者の「Philadelphia Inquirer」記事:Ex-Temple dean Moshe Porat is drawing on past scandals involving Chris Christie and John Bolaris to fight rankings fraud case
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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