「性的暴行」:政治学:デイヴィッド・ニューマン(David Newman)(イスラエル)

2021年6月27日掲載 

ワンポイント:ニューマンはベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)のスター教授(男性)で、人文学部長だった。2016年(62歳)に1人の女性学部生にセクハラ・性的暴行行為(容姿に言及、性的なコメント、身体をさわる、抱擁、セックスを誘う)を繰り返した。女性学部生が大学に告発した。ニューマンは否定した。大学は性不正があったとしたが、懲戒処分はしなかった。国民の損害額(推定)は1億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

デイヴィッド・ニューマン(David Newman、写真出典)は、英国のロンドンで生まれ育ち、26歳の時、イスラエルに渡り、ベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)の上級講師、その後、正教授となった。事件を起こした時は人文学部長だった。専門は政治学(国境問題)で、国境問題の研究者として世界的に著名な学者である。

2016年5月(62歳)、以下の性的暴行事件が新聞で報道された。

ニューマンは、女性学部生Aの容姿について数年に渡り何度も話題にした。時には、性的なニュアンスを含むコメントをした。さらに、望まないのに何度も身体をさわり、抱擁をした。

そして、ニューマンはセックスを目的として女性学部生Aに一晩ともにしたいと誘った。

2016年11月(62歳)、大学は「調査の結果、ニューマンに性不正があったと判定した。但し、ニューマンに懲戒処分を科さない」と発表した。

ベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)。写真出典

  • 国:イスラエル
  • 成長国:英国
  • 研究博士号(PhD)取得:英国のダラム大学
  • 男女:男性
  • 生年月日: 1956年7月4日
  • 現在の年齢:65 歳
  • 分野:政治学
  • セクハラ行為:2016年(62歳)
  • 最初に訴えられた:2016年(62歳)
  • 社会に公表年:2016年(62歳)
  • 社会に公表時地位:ベングリオン大学ネゲヴ校・人文学部長
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は被害者の女性学部生(氏名不詳)で大学に公益通報
  • ステップ2(メディア):「Times of Israel」、「Haaretz」など
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ベングリオン大学ネゲヴ校・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学・処分のウェブ上での公表:なし。処分なしなので
  • 大学の透明性:大学は実名発表したが、調査報告書のウェブ公表なし(△)
  • 不正:セクハラ・性的暴行
  • 被害者数:1人の女性学部生
  • 時期:研究キャリアの後期
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は1億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:Full profile | | The Guardian

  • 1956年7月4日:英国、ロンドンに生まれた
  • 1978年(22歳):英国のロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary College at the University of London)で学士号取得:地理学
  • 1981年(25歳):英国のダラム大学(University of Durham)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1982年(26歳):イスラエルへ移住
  • 1982-1987年(26-31歳):テルアビブ大学(Tel Aviv University)・講師
  • 1987年(31歳):ベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)・上級講師
  • 1988年(32歳):ベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)に政治学科(Department of Politics and Government)設立。2003年(47歳)まで学科長
  • 2013-2016年(57-60歳):ベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)・人文科学部(Faculty for Humanities and Social Sciences)・人文学部長
  • 2014年(58歳):ベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)・人文科学部(Faculty for Humanities and Social Sciences)・教授
  • 2016年(62歳):性不正が新聞報道された。数年前からセクハラ・性的暴行をし、この年、大学に訴えられた

●3.【動画】

【動画1】
性不正事件の動画ではない。意見表明動画:「Fathom Forum: what happened to Two States? Thinking outside the territorial box | David Newman – YouTube」(英語)53分26秒。
Fathom Journalが2018/03/06に公開

【動画2】
性不正事件の動画ではない。講演動画:「David Newman Ben-Gurion University: Reconstructing Borders in an Era of Globalization – YouTube」(英語)21分04秒。
David Newmanが2016/02/15に公開

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★デイヴィッド・ニューマン(David Newman)の人生

デイヴィッド・ニューマン(David Newman)は英国のロンドンで生まれ育ち、26歳の時、イスラエルに渡り、ベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)の上級講師、その後、正教授となった。性不正事件を起こした時は人文学部長だった。

現実世界では、イスラエルとパレスチナの紛争など国境絡みの国際紛争が世界中で起こっている。日本も問題を抱えている。 → 竹島問題 – Wikipedia尖閣諸島 – Wikipedia領土問題 – Wikipedia

ニューマンの専門は政治学(国境問題)で、国境問題の研究者として世界的に著名な学者である。

2013年(57歳)、大英帝国勲章(Order of the British Empire)を受章している(写真出典)。

ニューマンの結婚・離婚、さらに、子供の情報は見つからなかった。それで、セクハラ・性的暴行事件を起こした時、独身だったのか結婚していたのか不明である。

★性不正行為

被害者はベングリオン大学ネゲヴ校(Ben-Gurion University of the Negev)の学部4年生の女性で、氏名・顔写真は公表されていない。ここでは女性学部生Aと呼ぶ。女性学部生Aはアルバイトで政治学科の仕事もしていた。

2016年5月(62歳)、以下のことが新聞報道された。

デイヴィッド・ニューマン(David Newman)は、女性学部生Aの容姿について数年に渡り何度も話題にした。時には、性的なニュアンスを含むコメントをした。さらに、望まないのに何度も身体をさわり、抱擁をした。

[白楽注:多くの言動はセクハラだが、「同意なしに性的に身体を触る」のは「性的暴行」なので、この事件を「性的暴行」とした]

そして、ニューマンはセックスを目的として女性学部生Aに一晩ともにしたいと誘った。

女性学部生Aはニューマンに会うのが嫌なので、結局、政治学科のアルバイトを辞めた。

女性学部生Aは、ニューマンに何度も止めて欲しいと言ったが、ニューマンは止めなかった。それで、大学に告発した。。

Prof. Esther Priel of Ben-Gurion University

エスター・プリエル教授(Esther Priel、写真出典)が告発を取り上げ、大学は委員会を設けて性不正の申立てを調査することにした。

一方、ニューマンは、告発は「完全にデタラメだと」と憤慨した。

ニューマンは、「大学が調査する前に、被害女性Aがセクハラ・性的暴行被害を受けたと報道機関にリークしたことに失望した。こういう不当な仕打ちを受けたことで、大学は私を免罪にすると思う」とコメントした。

★セクハラ調査と結論

2016年11月(62歳)、大学は、ニューマンにセクハラ・性的暴行があったと判定したが、ニューマンに懲戒処分を科さないと発表した。

大学は声明の中で、「大学はセクシャルハラスメントを排除することを重要視しており、性不正行為を防止するためにも、すべての性不正申立ての真実を注意深く調査している。なお、大学は法律と規制に従って運営されており、懲戒規則によると、懲戒委員会は密室で開催し、関係者全員のプライバシーを保護する義務がある」と述べた。

一方、ニューマンの弁護士は、「大学は調査の結果、被害者の最初の申立てと新聞記事で公表された告発内容のほとんどは否定した。調査委員会は、ニューマンの性的意図やほのめかしを証明できないと判断した」とコメントした。

新聞は、大学は違反行為を明らかにせず、事件を覆い隠そうとしていると、非難する論調の報道をした。

ベングリオン大学ネゲヴ校の女性学生たちはもっとしっかりした調査を求めると大学に抗議し、かつ、調査報の詳細を公表するようリフカ・カルミ学長(Rivka Carmi、写真右、2012年、Credit: Eliyahu Hershkovitz、出典)に要求した。

ニューマンは性不正事件で世間の注目を集めた時期、サバティカルで海外に滞在した。なお、新聞記者に問われ、大学は、この海外滞在は、性不正事件とは無関係だと述べた。

しかし、どう見ても、性不正事件のほとぼりが冷めるまで、海外で過ごすことを大学が認めた(推奨した?)ということだ。

【セクハラの具体例】

セクハラの具体例は、上記した情報しかわからない。

つまり、ニューマンは女性学部生Aの容姿について何度も話題にした。時には、性的なニュアンスを含むコメントをした。さらに、望まないのに身体をさわり、抱擁をした。

そして、ニューマンはセックスを目的として女性学部生Aに一晩ともにしたいと誘った。

性不正行為を数年に渡って行なった。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

省略

●7.【白楽の感想】

《1》不明

ニューマン事件で、ニューマンの性不正行為、被害者の実態など、性不正の状況はほとんどわからない。所属大学とイスラエル社会の反応もほとんどわからない。

今回、初めてイスラエルの性不正事件を調べたが、このような曖昧な報道はイスラエルで一般的なのか、特殊なのかも分からない。

《2》性不正事件の典型的パターン

被害者の立場に立てば、こういう言葉はよくないかもしれないが、ニューマンの行為は軽微な性不正である(正確には実態が不明だが、軽微という印象を受けた)。

行為はセクハラと性的暴行である。被害者は1人である。

ただ、行為は軽微だが、加害者のニューマン教授が有名人だった。

つまり、ニューマン事件の特徴は軽微な性不正行為だが加害者が有名人というケースである。

このパターンは性不正事件の典型的なパターンである。社会の大スキャンダルになる。

研究者だと、ノーベル賞を受賞したカールトン・ガジュセック(Carleton Gajdusek)の事件がある。 → 「性的暴行」:カールトン・ガジュセック(Carleton Gajdusek)(米) | 白楽の研究者倫理

研究者でなくても、このパターンはたくさんある。例えば、米国の歌手のマイケル・ジャクソンの事件がある。

「行為は軽微だが、加害者が有名人」のパターンは、性不正行為そのものの軽重だけではない要素が事件の進展・騒ぎ・処分に大きく影響する。

スキャンダルが大好きな国民は大勢いる。報道価値があるのでメディアは大々的に報道する。被害者側には多額の金銭が得られる可能性がある。無名の被害者も世間で有名人になれる。有名人を蹴落とせるので嫉妬心(報復心)が満たされる。

このような状況下で、健全な判断が損なわれ、本来保つべき何かが歪められていく。

https://www.timesofisrael.com/senior-israeli-academic-faces-sanction-for-sexual-harassment/

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:David Newman (political geographer) – Wikipedia
② ウィキペディア日本語版:デヴィッド・ニューマン (地理学者) – Wikipedia
③ 2016年5月4日の「Times of Israel」記事:Senior Israeli academic faces sanction for alleged sexual harassment | The Times of Israel
④ 2016年11月24日のヤーデン・スコップ(Yarden Skop)記者の「Haaretz」記事:Ben-Gurion University of the Negev’s dean gets slap on wrist in sexual harassment case – Israel News – Haaretz.com

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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