「セクハラ」:天文学:ローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)(米)

2018年11月7日掲載

ワンポイント:クラウスは、アリゾナ州立大学・教授で、たくさんの著書と受賞がある著名な学者で、また科学啓蒙者としても有名である。2018年2月22日、バズフィード(BuzzFeed)がクラウス(63歳、妻帯者)のセクハラを暴露した。印象として、20代から約40年間、数十人の女性にセクハラをしたと思われる。セクハラが暴露された8か月後、次の学期が終わる2019年5月16日にアリゾナ州立大学を退職すると発表した。なお、クラウスは、セクハラを否定している。このセクハラは刑事事件・民事事件になっていない。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ローレンス・クラウス(Lawrence Krauss、写真出典)は、米国のアリゾナ州立大学(Arizona State University)・教授で、専門は理論物理学、天文学だった。たくさんの著書とたくさんの受賞がある著名な学者だった。新聞記事や一般教養向けの著書が多く、科学啓蒙者としても有名である。

2018年2月22日(63歳)、ウェブサイトのバズフィード(BuzzFeed)が10年以上にわたるクラウスのセクハラを暴露した。

印象として、20代から約40年間、数十人の女性にセクハラをしていた。

2018年10月21日(64歳)、セクハラが暴露されてから8か月後、アリゾナ州立大学を学期が終わる2019年5月16日に退職すると発表した。

アリゾナ州立大学(Arizona State University)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 研究博士号(PhD)取得:マサチューセッツ工科大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:1954年5月27日
  • 現在の年齢:70歳
  • 分野:天文学
  • 最初の不正:2007年(53歳)より以前
  • 発覚年:2018年(63歳)
  • 発覚時地位:アリゾナ州立大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はウェブサイトのバズフィード(BuzzFeed)で、クラウスのセクハラをウェブサイトに暴露した
  • ステップ2(メディア): 「バズフィード(BuzzFeed)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ケース・ウェスタン・リザーブ大学・調査委員会。②アリゾナ州立大学・調査委員会。
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
  • 不正:セクハラ
  • 不正数:印象として、20代から約40年間、数十人の女性にセクハラをしていた
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)をやめた・続けられなかった(Ⅹ)。
  • 処分:
  • 裁判:刑事事件・民事事件になっていない。
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。内訳 ↓

  • ⑦アカハラ・セクハラは、被害者はドロップアウト、あるいは十分に教育されなかった。それは分国民の損害でもある。1人当たり1,000万円。
  • ⑧研究者の時間の無駄と意欲削減+国民の学術界への不信感の増大は1億円。
  • ⑩損害額(大雑把)の場合:著名な研究者だが研究成果での損害はない。発覚時63歳なので研究者を辞めた。データねつ造・改ざんではないので、研究成果上の損害はほとんどない。ただ、研究者の権威・公正・信頼を失墜させ、学術界を腐敗させた。⑦⑧を含め損害は10億円(大雑把)

●2.【経歴と経過】

  • 1954年5月27日:米国のニューヨークで生まれる
  • 1977年(23歳):カナダ(オンタリオ州)のカールトン大学(Carleton University)で学士号取得:数学と物理学
  • 1982年(28歳):米国のマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1985年(31歳):イェール大学(Yale University)・助教授
  • 1988年(34歳):イェール大学(Yale University)・準教授
  • 1993年(39歳):ケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)・教授
  • 2007年(53歳):ケース・ウェスタン・リザーブ大学でセクハラ事件を起こしていたが大学は公表しなかった
  • 2008年8月(54歳):アリゾナ州立大学(Arizona State University)・教授
  • 2018年2月22日(63歳):バズフィード(BuzzFeed)がセクハラを暴露した
  • 2018年10月21日(64歳):アリゾナ州立大学を2019年5月16日に退職すると発表した

【受賞】
出典:Lawrence M. Krauss – Wikipedia

●3.【動画】

【動画1】
ニュース動画:「ビデオ:アリゾナ州立大学・教授がセクハラで休職処分(VIDEO: ASU professor accused of sexual misconduct; placed on leave) – YouTube」(英語)32秒。
azfamily powered by 3TV & CBS5AZが2018/03/07 に公開

●4.【日本語の解説】

セクハラ事件の日本語解説はみつからなかった。

★2016年12月26日:NHK「宇宙白熱教室」ローレンス・クラウス『宇宙が始まる前には何があったのか?』 「種の起源」に匹敵! 宇宙論のパラダイムシフト | 特設サイト – 文藝春秋BOOKS

出典 → ココ (保存版)

宇宙物理学者。アリゾナ州立大学にて「起源プロジェクト」を創設し率いる。1995年、「真空のエネルギーは、非常に小さいがゼロではない」という大胆な説をマイケル・ターナーとともに提唱。当時は異端視されたが、後に見事、実証される。また、「科学は神を信じないことを可能にする」という反神論者の立場から、不可知論者のリチャード・ドーキンスとともに、神学者や哲学者と真っ向から対決しディベートを重ねる。

アメリカの物理学における「顔」でもある彼が、本書の原題と同じ「A UNIVERSE FROM NOTHING」とのタイトルで行った講演は、YouTubeで150万pvを超え、センセーションを巻き起こす。著書に『物理学者はマルがお好き』、『ファインマンさんの流儀』などがある。2012年には全米科学審議会から「公益賞」を授与された。

★2004年11月号:ローレンス・クラウスが語る宇宙と社会 | 日経サイエンス

出典 → ココ (保存版)

ケース・ウェスタン・リザーブ大学物理学科長のクラウス(Lawrence M. Krauss)は暗黒エネルギー(ダークエネルギー)と呼ぶ正体不明の実体が宇宙の始まりを理解するカギを握るとの先見的な洞察を示したことで有名だ。辛口の社会批評でも知られ,今年2月にはおよそ60人の科学者とともに「政策決定における科学の健全性回復」と題する書簡に署名し,ブッシュ政権による科学の誤用を批判した。

しかし一般には,新聞の署名記事や,市民向け科学書の著者としてクラウスを知る人が多いだろう。1995年に出版された『スタートレックの物理学(ThePhysics of Star Trek)』はベストセラーとなり,15カ国語に翻訳された。

そのクラウスがSCIENTIFIC AMERICANのインタビューに答えた。現代の物理学を悩ませている難問は何か。並行宇宙は実在するのか。科学教育の抱える問題は。科学者のあるべき姿は──。自身の科学的・社会的な情熱を熱く語った。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)

ローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)は、一般教養向けの著書をたくさん出版している。1995年、41歳の時に出版した『The Physics of Star Trek (スタートレックの物理学)』(邦訳なし)はベストセラーとなり、一躍有名になった。

『宇宙が始まる前には何があったのか?』など日本語訳が出版された著書が9冊もある。日本人のファンも多いと思われる。

クラウスのアリゾナ州立大学・教授としての年俸は265,000 ドル(約2650万円)だった。

私生活では、1980年(26歳)にキャサリン・ケリー(Katherine Kelley)と結婚し、2012年(58歳)に離婚した。

2014年(60歳)にナンシー・ダール(Nancy Dahl、写真右)と再婚した。つまり、セクハラしていた期間、妻がいて、独身者ではなかった。他の女性に性的欲望を求めるのは、例え相手の了承を得ても、社会ルール上、許されない状態だった。

2015年9月15日、トロント国際映画祭で映画俳優のジョニー・デップ(Johnny Depp)と一緒に食事をした。クラウスはそれほど有名人だった。

★セクハラ

2018年2月22日(63歳)、ニューヨークに本社を置くウェブサイト・「バズフィード(BuzzFeed)」が、ローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)のセクハラを詳細に報道した。
→ 2018年2月22日のピーター・アルドハウス(Peter Aldhous)記者らの「BuzzFeed」記事:He Became A Celebrity For Putting Science Before God. Now Lawrence Krauss Faces Allegations Of Sexual Misconduct.

クラウスは、記事は「中傷的」で、「事実上間違っている」、「反証を無視して事実を歪曲し、私について不当な記述をした」と批判した。しかし、「私の発言や行為を不快に感じた人には申し訳なかった」と公式に謝罪した。

アリゾナ州立大学は、バズフィード(BuzzFeed)が記事で告発する前に、教員、スタッフ、学生からクラウスのセクハラ苦情を受けていなかった。しかし、バズフィード(BuzzFeed)の記事を受け、内部調査を開始した。

セクハラ報道を受け、学術界は素早く対応した。例えば、アメリカ物理学会(American Physical Society)は2018年4月にオハイ州で予定していたクラウスの講演をキャンセルした。他のいくつかの学術組織も、予定していたクラウスの講演をキャンセルした。

クラウスは、他のメンバーからの不適任と指摘され、原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists Board)の議長を辞任した。
→ 2018 年3月6日付けの辞表手紙:https://thebulletin.org/sites/default/files/Lawrence%20Krauss%20Letter%20of%20Resignation.pdf
→ 2018 年3月6日記事:Lawrence Krauss resigns from Bulletin of the Atomic Scientists’ Board of Sponsors – Bulletin of the Atomic Scientists

2018年8月3日(64歳)、アリゾナ州立大学は、調査の結果、クラウスがオーストラリアの学術大会で、本人の許可なしに女性の乳房をつかんだことを事実と認定した(調査報告書は2018年7月31日付け。このブログ記事の後半部で示す)。その行為は、アリゾナ州立大学のセクシュアルハラスメント規約に違反しているとし、アリゾナ州立大学・起源プロジェクト(Origins Project)の所長だったクラウスを解任した。

★事件後の人生

2018年10月21日(64歳)、セクハラが暴露されてから8か月後、クラウスは、アリゾナ州立大学の学期が終わる2019年5月16日(5月27日に65歳)に退職すると発表した。アリゾナ州立大学は退職と引きかえにクラウスのセクハラ調査を終了する調停を結んだ。つまり、クラウスと大学は、汚い取引をしたようだ。クラウスのアリゾナ州立大学・教授としての年俸は265,000 ドル(約2650万円)である。

退職を伝えたツイッターでも、クラウスはセクハラを強く否定している。

【セクハラ被害者たち】

バズフィード(BuzzFeed)が、2018年2月にセクハラと報道した時、ローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)は、アリゾナ州立大学・教授だったが、それ以前に所属した大学でもセクハラをしていた。

少なくとも10年以上前から、多数の女性にセクハラをしていて、クラウスのセクハラ癖は有名だった。

そのセクハラ行為は、女性の身体を触る痴漢行為、女性学生をいやらしく見つめる行為、女性の学生・教職員たちに性的冗談を言うなどだった。

2007年(53歳)頃、ケースウエスタンリザーブ大学は学内からのセクハラの苦情を受け、クラウスにキャンパスへの立ち入りを禁止した。但し、この情報は、2018年2月にバズフィード(BuzzFeed)が報道するまで、公表されなかった。

クラウスのセクハラ癖の噂は学外にも広まっていた。

例えば、カリフォルニア大学サンタバーバラ校で学部時代を過ごし、現在、地球物理学者になったミカ・マッキノン(Mika McKinnon、写真も)は、「私が学部生だったとき、私の関心は科学と科学フィクションと宇宙論の境界にありました。これらはクラウスの専門です。しかし、クラウスを避けるようにと、多くの人にアドバイスされました」、と述べている。

2008年8月(54歳)、クラウスは、ケースウエスタンリザーブ大学をセクハラ事件で追われ、アリゾナ州立大学に移籍したのだが、アリゾナ州立大学でも問題を起こし続けたのである。

アリゾナ州立大学の若い女性職員に、とても私的な領域に立ち入り、避妊薬を購入しようとしたこともあった。

アリゾナ州立大学・天文学コースの院生・テレサ・フィッシャー(Theresa Fisher)は、クラウスには気をつけろと2016年に先輩にアドバイスされた。

2018年2月23日、チャンドラ・プレスコッド=ワインスタイン(Chanda Prescod-Weinstein)も、クラウスのセクハラ癖のために、クラウスの下での職に応募しなかったとツイッターに書いた(以下)。

以下、3人のセクハラ被害者に焦点を絞って、クラウスのセクハラ行為を具体的に見ていこう。

★メロディー・ヘンズリー(Melody Hensley):2006年11月

メロディー・ヘンズリー(Melody Hensley、写真)がローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)に最初に会った時は、デパートのメイク担当で、29歳だった。

クラウスはヘンズリーの知的アイドルの一人だった。 彼女は非営利団体の「問い合わせセンター(Center for Inquiry:CFI)」のボランティアを始めた。

当時、ケースウエスタンリザーブ大学・教授で既に科学啓蒙者として有名人だったクラウスは、「問い合わせセンター(CFI)」でも特別に有名だった。

2006年11月(52歳)、「問い合わせセンター(CFI)」のワシントンDCでのイベントで、ヘンズリーはクラウスに夕食を誘われた。ヘンズリーは社会的に重要な人物のそばにいるのが好きだったので、喜んで承諾した。

2人は、クラウスが滞在していたワシントンDCのホテルのレストランを夕食をとる計画だった。しかし、ヘンズリーは、その前に、クラウスの部屋に上がってくるように言われた。部屋に入ると、クラウスはすぐ出かける様子がなかった。夕食に行こうとヘンズリーが言ったにもかかわらず、クラウスはチーズ・プレートとシャンパンを部屋に運ぶようにホテルに注文した。

クラウスは、ヘンズリーに目のメイクについてコメントし、彼女の目を見ようと近づいてきた。すると、クラウスは、突然、ヘンズリーを抱き、持ち上げ、ベッドに押し倒した。ヘンズリーに無理やりキスをし、彼女のタイツを脱がそうと、タイツを足首の方に引っ張った。

ヘンズリーは、彼から逃れようともがいた。彼がコンドームを取り出したすきに、ヘンズリーは覆いかぶさっていた彼の下からやっと逃れることができた。「私は帰る!」と叫んで、慌てて、部屋から飛び出した。

クラウスは、ホテルの部屋での出来事はヘンズリーと合意の上だったと、バズフィード(BuzzFeed)に主張した。

しかし、ヘンズリーは、「ウソです。彼の行為は間違いなく強奪的でした。私はそれが起こることを望んでいませんでした。合意ではありません」と強く反論した。

クラウスにひどい目にあった数日後、ヘンズリーは彼女のボーイフレンド、現在の夫に、彼女を不快させたクラウスの行為を話していた。そして、数年後、ヘンズリーは「問い合わせセンター(CFI)」の何人か職員に、クラウスからセクハラを受けた事を細かく伝えていた。

★オーストラリアの学会:2016年11月

2016年11月(62歳)、オーストラリアのメルボルンでのオーストラリア無神論者学会(Australian Skeptics Convention)の年会があった。

多数の会員がいる懇親会場で、女性会員の1人が自撮りでクラウスに一緒の写真をお願いした。

すると、クラウスはそばに寄ってきたその女性の乳房をつかんだ。

本物の写真? 合成写真? 出典不明

このセクハラ行為を、微生物学者のメラニー・トムソン(Melanie Thomson 、写真も)を含め3人が目撃した。

目撃者の一人は、「乳房をつかまれた女性は、ショックを受け、すぐに逃げました」と述べている。

メラニー・トムソンがアリゾナ州立大学に申立てた。アリゾナ州立大学は調査し、クラウスが公衆の面前で本人の承諾もなく女性の乳房をつかんだことを事実と認定し、メラニー・トムソンの調査結果を伝えた。
→ 2018年7月31日のアリゾナ州立大学のメラニー・トムソンへの手紙と調査結果。以下の文書(アリゾナ州立大学の調査結果)をクリックすると、PDFファイル(428KB、4ページ)が別窓で開く。

ただ、クラウスはこのセクハラ行為を否定している。「フラッシュが眩しいので自分の目を覆うために手を上げた。たまたま、その手が女性の胸の上だった。それが、見た人の位置によって、私の手が女性の乳房をつかんだように見えたかもしれない」と弁明している。

★クリスチーナ・ラッド(Cristina Rad):2011年

2008年(53歳)、クリスチーナ・ラッド(Cristina Rad)は学生時代に、無神論者としての活動を通じて、米国無神論者会議(American Atheists Convention)の年会でクラウスに初めて会った。

2011年(56歳)、初めて会ってから3年後、ラッドはアイオワ州のデモインでの同じ会議に参加した。会議の夜、他の学生と一緒に街のバーでお酒を飲んでいた。すると、同じバーにいたクラウスがラッドの横に椅子を持ってきて座り、テーブルの下でラッドは腿をさわり始めた。

米国無神論者会議(American Atheists Convention)の2011年の年会http://humaniststudies.org/blog/status-post/

ラッドは小声で「やめて下さい」とクラウスに言ったが、クラウスはさわり続けた。それで、ラッドは足を硬く組んだが、腿をさわるのをやめなかった。

ロビン・エリザベス・コーンウェル(Robin Elisabeth Cornwell)By S Pakhrin from DC, USA – Reason Rally DC 2012, CC BY 2.0, Link

ラッドはショックを受けたが、事を荒立てたくなかった。

でも、結局、最後の手段として、クラウスに向かって「止めてっー!」と大声で叫んだ。

後に指摘された時、驚いたことに、クラウスはラッドのこの話を否定した。むしろ、ラッドがクラウスのそばに来て、ホテルのホット・タブに一緒に入ろうと誘ったのだと、述べている。

このことについて、クラウスの友人であり、「理性と科学のリチャード・ドーキンス財団(Richard Dawkins Foundation for Reason and Science)」の理事長でもあるロビン・エリザベス・コーンウェル(Robin Elisabeth Cornwell、写真右)が、クラウスの説明を支持したのである。コーンウェルもその場にいたそうだ。

一方、ラッドはホット・タブの話を否定した。

また、ラッドの学生仲間(男)の1人であるベンジャミン・ワースト(Benjamin Wurst)は、バーを出た時、クラウスに腿をさわられていたとラッドに告白されたと述べている。

果たして、どちららが真実なんでしょう?

クリスチーナ・ラッド(Cristina Rad)は自分のセクハラ被害を動画で訴えている(以下)。本人が話しているだけで、チョット長い。東ヨーロッパ訛りのある英語だ。
「ローレンス・クラウスが私に不適切だったとき(When Lawrence Krauss was inappropriate with me) – YouTube」(英語)23分6秒。
Cristina Radが2018/03/16 に公開

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

多数の論文、著者がある。セクハラ事件とは無関係なので、省略。

●7.【白楽の感想】

《1》防ぐ方法

セクハラ事件をどうすると防げるのか?

今までセクハラ事件を見てきたが、インダー・ヴェルマもジェフリー・マーシーも学会の重鎮である。そして、その威光を笠に、長年、セクハラをしてきた。本記事のクラウスも学会の重鎮で、長年、セクハラをしてきた。

ネカトに以下の法則がある。

法則:「ネカトでは早期発見・適切処分が重要である」。
法則:「強い衝撃がなければ、研究者はネカトを止めない」
標語:「ネカト者に刑事罰と罰金を!」

セクハラの対処も同じだろう。

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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい。正直者が得する社会に!
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●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Lawrence M. Krauss – Wikipedia
② 2018年2月22日のピーター・アルドハウス(Peter Aldhous)記者らの「BuzzFeed」記事:He Became A Celebrity For Putting Science Before God. Now Lawrence Krauss Faces Allegations Of Sexual Misconduct.、(保存版)
③ 2018年8月3日のメレディス・ワドマン(Meredith Wadman)記者の「Science」記事:University finds prominent astrophysicist Lawrence Krauss grabbed a woman’s breast | Science | AAAS、(保存版)
④ 2018年10月21日のレイチェル・レインガング(Rachel Leingang)記者の「azcentral」記事:Lawrence Krauss retiring from ASU after sexual misconduct allegations、(保存版)
⑤ 2018年3月7日のケネス・チャン(Kenneth Chang)記者の「New York Times」記事:Arizona State Suspends Lawrence Krauss During Inquiry Over Sexual Misconduct Accusations – The New York Times
⑥ 2018年10月23日のキャサリン・マンガン(Katherine Mangan)記者の「Chronicle of Higher Education」記事:3 Revelations From the Lawrence Krauss Sexual-Harassment Report – The Chronicle of Higher Education

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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