5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:① 驚愕の判定

2020年8月17日掲載
2021年5月3日改訂 → 開示請求で得た2021年4月28日の開示文書をアップした、ココ → 「6.公正研究委員会はズサンだった

ワンポイント:名古屋大学が2020年2月28日に野呂瀬崇彦(教育発達科学研究科)の盗用博士論文に博士号(教育)を授与した疑惑が生じ、被盗用者が名古屋大学に伝えた。しかし、2020年8月4日、名古屋大学は「盗用には該当せず、不正行為の存在は認められない」と判定した。白楽は、この判定がおかしいと思い、ここに事実を公開する。2021年5月3日の改訂では、開示請求で得た2021年4月28日の開示文書をアップした。【注意:関係サイトの一部は保存版だが、元サイトは一部削除されている

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名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件シリーズ
 ① 驚愕の判定(2020年8月17日掲載、2021年5月3日改訂) ←<新展開>
 ② 隠蔽工作?(2021年3月12日掲載)
 ③ 疑惑の証明(2021年3月26日掲載) 
 ④ その後(予定)

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.盗用と指摘
3.名古屋大学の判定
4.文章は誰のもの
5.白楽の感想
6.公正研究委員会はズサンだった
7.コメント
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以下敬称略(但し、資料等中の敬称はそのまま)。

●1.【概略】

白楽はネカトハンター活動をしていない。しかし、ネカト相談を受け、アドバイスしている。今回はその1件。

具体的に書かないと正確な事実が伝わらないので、以下では盗用疑惑者、申立て者、論文などを具体的に書いた。これは、公共の利害に関する事実を伝え、研究における「盗用」の理解を深めるためであり、専ら公益目的で示した結果である。関係者の名誉を傷つける意図はありません。

2020年春、後藤惠子(ごとう けいこ、東京理科大学・教員)は、自分が第一著者の共著論文が、野呂瀬崇彦(のろせ たかひこ、当時・北海道科学大学・教員、2021年4月から帝京大学・教授)の名古屋大学・博士論文に盗用されたと思った。
《2021年4月から帝京大学・教授は、読者・「人間のクズ」さんからの情報です(感謝)。該当個所に記入しました》

後藤惠子は盗用疑惑を野呂瀬崇彦並びに、名古屋大学(写真、白楽撮影)の指導教官にも伝えた。

名古屋大学から調査するとの連絡があった。後藤惠子は資料を提供する用意があり、調査に協力すると伝えたが、名古屋大学は、申立者の後藤惠子に資料の提出を一切求めなかった。疑惑状況の聞き取り調査も一切なかった。

そして、2020年8月6日、名古屋大学・公正研究委員会から、「盗用には該当せず、不正行為の存在は認められない」という2020年8月4日付けの判定結果を、後藤惠子は受け取った。

白楽は、この判定がおかしいと思い、資料をアップし状況を説明する。

名古屋大学の結論は間違っているが、もし、が正しいとすると、従来の「盗用」概念が大きく変わる。統一見解を得ないと日本のネカト対処に混乱が生じる。

なお、具体的に書かないと事実が伝わらないので、盗用疑惑者、被盗用申立て者、論文などを具体的に書いたが、個人を誹謗中傷しないようお願いします。

●2.【盗用と指摘】

★全体像

2019年10月、以下の原著論文が出版された(リンク先で入手可能)(この論文を「2019年の日本ファーマ論文」と呼ぶ)。*は連絡著者。

著者は8人で、後藤惠子は第一著者で連絡著者である。一方、野呂瀬崇彦は第5著者である。

2020年2月、後藤惠子は、上記「2019年の日本ファーマ論文」を主体に博士論文を所属大学である東京理科大学に提出した。2020年3月、博士号が授与された。

なお、後藤惠子は、学位論文申請書類に、「2019年の日本ファーマ論文」を「主論文を構成する論文」の1つとして使用するという論文使用承諾書(2019年10月5日付)を共著者全員(含・野呂瀬崇彦)から得て、提出していた。

2020年2月28日、野呂瀬崇彦(のろせ たかひこ、当時・北海道科学大学・教員、2021年4月から帝京大学・教授)は、名古屋大学に提出していた博士論文『薬学教育における模擬患者参加型実習で薬学生は「何を」「どう」学ぶのか』(保存版PDF①、または保存版PDF②)が「可」と判定され、博士号が授与された(「論文審査の結果の要旨および担当者」)(名古屋大学学術機関リポジトリ)。

野呂瀬崇彦の博士論文審査員は以下の通り(出典:「論文審査の結果の要旨および担当者」)。

なお、野呂瀬崇彦は、学位論文申請書類に、「2019年の日本ファーマ論文」を「主論文を構成する論文」の1つとして使用するという論文使用承諾書を、共著者の誰からも得ていなかった。

発表論文1報に対して複数の人が博士号を取得することはできない。1人(後藤惠子)の博士論文に論文使用承諾をすれば、他の人には承諾できない。これは基本ルールである。当然、野呂瀬崇彦は論文使用承諾書を得ることができない。 → 「5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:③ 疑惑の証明」の「6.付記1:同意承諾書

なお、博士論文申請時に論文使用承諾書が必要かどうかは、大学・研究科による。

★盗用疑惑

野呂瀬崇彦(のろせ たかひこ、当時・北海道科学大学・教員、2021年4月から帝京大学 薬学部 薬学教育推進センター 教授)の博士論文『薬学教育における模擬患者参加型実習で薬学生は「何を」「どう」学ぶのか』(保存版PDF)は、7章構成である。その第5章に「2019年の日本ファーマ論文」からの盗用がある、との疑惑が生じた。

博士論文には、第5章の文章は「2019年の日本ファーマ論文」から流用した文章であるという引用の記載はない。そして、流用した文章を「カギかっこ」や「インテンドする」など、引用部分を明示してもいない。つまり、本文を普通に読めば、野呂瀬崇彦が自分の文章として書いたように読める。逐語盗用の疑惑が十分起こる。

以下、第5章の文章に立ち入って、見ていこう。

博士論文『薬学教育における模擬患者参加型実習で薬学生は「何を」「どう」学ぶのか』の第5章は9,435文字で構成されている。その内、野呂瀬崇彦が「2019年の日本ファーマ論文」中の他人の文章をあたかも自分の文章であるかのように使用した文字数は、第5章(9,435文字)中の7,216文字(77%)である。

盗用比較図で示す。

野呂瀬崇彦が「2019年の日本ファーマ論文」で執筆し自分の博士論文に流用した部分を緑色で示し、「2019年の日本ファーマ論文」で執筆していないのに自分の博士論文に流用した部分を黄色で示した。

黄色部分は、第5章(9,435文字)中の7,216文字(77%)で、この黄色部分(77%)が盗用に該当する。

後藤惠子の作成した盗用比較図を本人の許可を得てアップした。盗用比較図の元となる両論文は公開されている(いた)[博士論文()と元論文()]。全10頁のPDFは各頁の最下段に頁めくり、拡大・縮小の機能がある。

200904 盗用比較図

 

●3.名古屋大学の判定

★名古屋大学の判定

「名古屋大学における研究上の不正行為に関する取扱規程」の第2条は、盗用を次のように定義している。

他人の研究内容又は文章を適切な手続を経ることなしに流用すること。(出典:名古屋大学における研究上の不正行為に関する取扱規程

2020年8月4日、名古屋大学・公正研究委員会は、「盗用ではなく、不正行為はなかった」と判定した。

以下、公正研究委員会の判定書(鏡文内容1内容2)から、通知の「調査内容」部分の全文を示す。ページを跨いでいるので、途中分断している。文章をクリックすると文章は大きくなります。

上記の要点を文字にすると次の通り。

「2019年の日本ファーマ論文」は、野呂瀬氏自身が共同研究者として、アイデアの構想、研究成果の発表の提案及び執筆に加わっており、また、共著者の名前が列記されているものの、研究分担の記載はなく、客観的には共著者全員がオーサーシップの条件を満たしていると考えられる。したがって、「『他人の』研究内容又は文章を・・・流用」したものではなく、取扱い規定にいう「盗用」には該当せず、「不正行為」の存在は認められない。(着色部分は上記通知文)

早い話、名古屋大学公正研究委員会は、共著論文で分担の記載がなければ、共著者の誰もが共著論文の「研究内容と文章」を「自分の研究内容と文章」としてよい。つまり、「他人の」ではないので、「自分の」論文に使っても「盗用」に該当しない、と解釈した。

名古屋大学公正研究委員会の解釈は正しいのだろううか?

名古屋大学公正研究委員会のこの解釈はどの規則に基づいているのかわからないが、この解釈は一般的な盗用の解釈とは大きく異なる。著作権法にも合わない。間違っている。

それを、以下、説明する。

●4.【文章は誰のもの】

★著者とその権利

根本的なところから入る。

【著者が著作者】

日本の著作権法の第二条(定義)

二 著作者 著作物を創作する者をいう。

とある。つまり、文章を創作した人が著作者である。共著論文でも、自分が書いていない部分は著作者ではない。つまり、「他人の文章」である。

【著作時点で権利発生】

無方式主義:著作権は著作物を作った時点で自動的に発生し保護されるとする原則。我が国をはじめほとんどの国が採用。(出典:外国の著作物の保護は? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

つまり、後藤惠子が書いた文章は書いた時点で、後藤惠子の著作物である、野呂瀬崇彦にとっては「他人の文章」である。

【共著論文で分離利用が可能な場合】

分離利用可能性は、共同著作物を結合著作物や集合著作物と区別するためのものです。

たとえば、歌詞と楽曲からなる音楽や記事と写真からなる論説は外観上は一個の著作物ですが、歌詞だけ楽曲だけ、あるいは記事だけ写真だけでも利用できます。

このように分離して利用できる複数の著作物を含む著作物を結合著作物といいます。

また、論文集や写真集やオムニバス映画のように、分離して利用できる著作物が同一ジャンルの著作物であるときは集合著作物といいます。

結合著作物や集合著作物を構成する個々の著作物は個別に利用できますので、その著作権や著作者人格権は各著作者が個別に行使します。

したがって、音楽の利用を企画する者は作詞家と作曲家から個別に利用の許諾を受けますし、また歌詞だけ楽曲だけの利用許諾を受けることも可能です。(出典:著作者は弁護士・弁理士の平尾正樹:著作権法逐条解説_2、下線は白楽

つまり、各部分を分担執筆し1報の共著論文とし、個々の執筆部分を分離利用できる場合、後藤惠子が書いた文章は後藤惠子の著作物である。野呂瀬崇彦にとっては「他人の文章」になる。

【共著論文で分離利用が不可能の場合】…今回該当しないが、念のため

自然科学の論文では複数の著者によって執筆された論文、「共著論文」が非常に多くあります。

わが国の著作権法では、共著、つまり共同著作物の権利行使には、著作者全員の許諾が必要というのが原則です(64条、65条)。

出版社に権利が譲渡されていれば、出版社から許諾を取れば良いのですが、著者から許諾を得なければいけない場合は、どうすれば良いでしょうか。

著作権法には、「共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることができる(64条)」とあり、この規定は65条で「共有著作権の行使にも準用する」とあります。

一般的に、Corresponding author、Contact author、別刷り請求先、連絡先、等として記載されている人が、「代表して行使する者」に当たると考られていると思います。

「Corresponding Author とは連絡係のように聞こえるが、実際には、論文の全責任を負う著者のことである」(黒木登志夫「研究不正」 中公新書、p.155-156)とあるように、「責任著者」であって、権利の行使を任されています。(出典:共著論文の著者許諾は誰から取ればよいですか?

つまり、今回のケースに該当しないが、個々の執筆部分を分離利用できない共著論文の場合は、①連絡著者に権利がある。また、②論文使用承諾書を共著者から得る必要がある。後藤惠子は今回、①②に該当するが、野呂瀬崇彦は該当しない。

★若干の背景

「2019年の日本ファーマ論文」を共著で出版したことから推察できると思うが、第一著者で連絡著者の後藤惠子は、第5著者の野呂瀬崇彦と同じ研究分野で活動し、かつ、友好的な関係であった。

両人とも大学院生ではない。独立した大学・教員である。ただ、野呂瀬崇彦は当時、名古屋大学・教育発達科学研究科の社会人大学院生でもあった。

以下の科研費・基盤研究(C) は、後藤惠子が発案・申請を主導し、2016年度から3年間採択された。以下の科研費情報の出典(ココ

科研費・基盤研究(C):2019年3月31日に終了
課題:「かかりつけ薬剤師に求められるコミュニケーション・スタンダード(PCS)の構築
研究課題/領域番号 16K08417
研究代表者:後藤 惠子 東京理科大学, 薬学部, 教授
研究分担者:有田 悦子 北里大学, 薬学部, 准教授
      富澤 崇 城西国際大学, 薬学部, 准教授
      野呂瀬 崇彦 北海道科学大学, 薬学部, 准教授
      沼田 千賀子 神戸薬科大学, 薬学部, 教授
研究協力者 :井手口 直子、半谷 眞七子 、平井 みどり

「2019年の日本ファーマ論文」は、この科研費の後藤惠子・班長と7人の班員がまとめた論文で、次のような作業過程で執筆した。

原稿は緒言から方法の序までを後藤が執筆、その後、研究分担者がリレー方式で原稿を書き、最後に後藤が考察並びに要旨・英語の要旨を執筆した。その都度全員でチェックを行ってはいるものの、担当セクションについては執筆者が責任を負うスタイルをとっている。

従って、文中に研究担当の記載はないものの、本共著論文はそれぞれ分離可能である。8名が共著者であるが、3名は原稿を書いていないものの科研メンバーとしてPCSの構築には寄与したことから共著者とした。

なお、共著者順については、執筆量に関わらずPCSの構築に貢献した富澤氏をセカンドオーサーとし、その後分担者で50音順、協力者で50音順とした。この決定は全員に諮り承諾を得ている。

科研終了後、PCSは、より発展的な活用を期して、日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会に管理運用を委ねた。(出典:後藤惠子のメール)

それで、どの部分を誰がどう執筆したのか、8人全員が知っている。実際に分離して示せるし、以下のように文章の寄与率も示せる(出典:後藤惠子)。

★共著論文の各章の著作権

「2019年の日本ファーマ論文」の著者は8人で、野呂瀬崇彦は第5著者である。

共著論文だが執筆部分は分離可能で、野呂瀬崇彦は自分が書いていない文章を引用なく流用したことを自覚していると思われる。

万一、共著論文で執筆部分が分離不能とするなら、後藤惠子は第一著者で連絡著者なので最優先に著作権がある。その上、後藤惠子は論文使用承諾書を共著者全員から得ている。野呂瀬崇彦は得ていない。

結論として、共著論文であっても、野呂瀬崇彦の博士論文の該当部分は、野呂瀬崇彦にとっては「他人の」研究内容又は文章であって、「自分の」ではない。

●5.【白楽の感想】

《1》名古屋大学の盗用定義 

「名古屋大学における研究上の不正行為に関する取扱規程」の第2条に盗用を次のように定義している。

他人の研究内容又は文章を適切な手続を経ることなしに流用すること。(出典:名古屋大学における研究上の不正行為に関する取扱規程

文部科学省の「盗用」の定義を以下に示す。

他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。(出典:研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)

両方を比べる。

大きな違いは文部科学省の「適切な表示なく」の文言が名古屋大学の定義にはない。なぜ、名古屋大学が文部科学省の定義と異なる定義にしたのか、白楽にはわからない。

名古屋大学の「適切な手続を経る」は「当該研究者の了解を得る」ことであって、「適切な表示なく」てもよいということなのだろうか? 今回、「野呂瀬崇彦の博士論文に盗用はない」とした解釈は、この部分と連動しているのだろうか?

名古屋大学は、なぜ、わざわざ、文部科学省の定義と異なる文言にしたのだろう?

《2》論文使用承諾書 

野呂瀬崇彦は、「2019年の日本ファーマ論文」を学位論文申請に使用する論文使用承諾書を共著者から得ていない。

博士論文を審査した名古屋大学・教育発達科学研究科にはその規定はない。それで、博士論文申請時に論文使用承諾書の提出は不要だった。

しかし、公式に提出を義務としていなくても、1つの出版論文に基づいた博士号は1人しか取得できないのは日本全国共通だろう。

名古屋大学はこの点、改定中のようで、医学系研究科では2019年10月2日受理審議該当者から必要だとしている。
 → 論文博士 – 学位申請/短縮修了手続/研究論文の執筆方法と雑誌からの受理を得るために – 大学院教育 | 名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科

名古屋大学・医学系研究科の同意書は以下のよう誓約をさせている。

本論文を自らの学位申請の主論文あるいはそれと同等の論文として、これまでに申請していないことを保証し、今後使用しないことを誓います。(出典:様式:同意書(兼 誓約書)(日)) 

《3》名古屋大学は間違えている 

白楽が、「盗用」の解釈を間違えているなら、陳謝する。今後、間違いを訂正してブログを書いていく。

しかし、ほぼ確実に、名古屋大学は間違えている。名古屋大学の「盗用」解釈が、日本及び世界の盗用の基準からズレ、日本の著作権法からズレ、文部科学省ガイドラインとズレている点も気になる。このような問題で名古屋大学が大学独自の特色を出す意味はないと思う。

この間違えた解釈で、今まで長年、名古屋大学は博士論文の「盗用」を許容してきた可能性がある。どうするんだろう?

そして、博士論文以外の学術誌に掲載している一般の学術論文でも、「盗用」を許容してきた可能性がある。この場合、学術誌側は黙っていない。どうなるんだろう?

名古屋大学が間違えていることを、このブログに書き、後藤惠子が名古屋大学に告発している。

それでも、名古屋大学は、事態を無視し、隠蔽工作を始めた。つまり、「盗用」博士論文を「改ざん」博士論文に変えようとしている。

名古屋大学のためにも、だれか、この暴走を止めてくれないだろうか?

●6.【公正研究委員会はズサンだった】

★情報開示請求

2021年4月、後藤惠子が名古屋大学に情報の開示を請求した。 → 名古屋大学総務部総務課「自己の保有個人情報を開示請求する場合

つまり、「盗用ではなく、不正行為はなかった」と判定した2020年8月4日の名古屋大学・公正研究委員会の資料を、後藤惠子が情報開示請求した。

名古屋大学・公正研究委員会の判定がおかしいことは、以下の②と③でも説明したが、実際の会議の実態を知るためだ。

名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件シリーズ
 ① 驚愕の判定(2020年8月17日掲載、2021年5月3日改訂) ←<新展開>
 ② 隠蔽工作?(2021年3月12日掲載)
 ③ 疑惑の証明(2021年3月26日掲載)

★開示された文書

2021年4月28日付けで、以下の書類が送られてきた。

  1. 法人文書の送付鏡文 〇
  2. 法人文書開示決定通知書(表)〇
  3. 法人文書開示決定通知書(裏)・・・開示の請求方法や手数料などの文書
  4. 公正委員会委員名簿 〇
  5. 第53回公正研究委員会議事録 〇

上記の「3」以外の文書(〇印)を以下にアップした。文書は余白が多いので余白をカットした。内容は変えていない。

「1.法人文書の送付鏡文」は以下で、普通の文書である。

「2.法人文書開示決定通知書(表)」は以下である。

「4.公正委員会委員名簿」は、中東正文( なかひがし まさふみ) 公正研究委員会・委員長以外の委員名とメールアドレス、5人の委員の職名がスミで塗られている。全員の電話番号がスミで塗られている。

「5.第53回公正研究委員会議事録」は以下である。

2020年7月31日(金)~2020年8月4日(火)に会議をしているが、メールで通知しただけで合議していない。しかも、土日を除くとわずか3日間である。

★感想その1

「4.公正委員会委員名簿」は、中東正文( なかひがし まさふみ) 公正研究委員会・委員長以外の委員名とメールアドレス、5人の委員の職名がスミで塗られている。

悪いことをしたわけでもないのに、委員の名前をスミで塗るのは異常な気がした。

名古屋大学で公表されたネカト調査報告書では、調査委員名がスミで塗られることなく記載されている(2021年2月5日の大学調査報告書)。

今回、委員名を不開示にした理由は、「委員に対する批判、責任追及等がなされるおそれがあり」(出典:「2.法人文書開示決定通知書(表)」)とある。

おかしくないかい。

2021年2月5日の大学調査報告書では、「批判、責任追及等」のおそれがなくて、今回はある。どう違うのだ?

今回は、公正委員会が不適切なので、「批判、責任追及等」があると想定した。と、白楽は受け取った。

白楽は、スミで塗られた委員は、盗用博士論文の指導教授(大谷 尚)と隠蔽工作を主導したと思われる研究科長(高井次郎)の2人が入っている、と推定した。

この2人は審議内容と強い利害関係がある。誰が見ても、利害関係者である。公正に審議できるとは思えない。

その2人が委員になっていることがバレると、選任した中東正文( なかひがし まさふみ) 公正研究委員会・委員長は重大な責任が問われる。

それで、スミで塗った?

情報開示は、適正な委員が選任されていることを知る国民の権利である。

白楽の推定が間違っているなら、是非、スミで塗っていない「4.公正委員会委員名簿」を開示(再送)していただきたい。

以下は名古屋大学の盗用疑惑者と隠蔽疑惑者のリスト(出典:5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:③ 疑惑の証明)。

姓名よみ立場
松尾清一まつお せいいち総長
中東正文なかひがし まさふみ公正研究委員会・委員長
高井次郎たかい じろう研究科長(教育発達科学研究科)
大谷 尚おおたに たかし指導教授(教育発達科学研究科)
野呂瀬崇彦のろせ たかひこ盗用(疑惑)者
社会人大学院生(教育発達科学研究科)
当時・北海道科学大学・薬学部・薬学科・准教授、2021年4月から帝京大学 薬学部 薬学教育推進センター 教授

★感想その2

議事録は「委員長からの通知文書であって、委員会で審議した事項ではない」。それで、議事録を作成していない、とある。(出典:「2.法人文書開示決定通知書(表)」)

審議の進行過程に関しては、何も開示されなかった。

予備調査委員会で調査した調査結果を、中東正文・委員長が各委員にメールで通知し、判定はメールで行なったとある。

実質的な調査結果(予備調査委員会)、それに審議過程は開示されていない。

つまり、中東正文・委員長が各委員にメールで通知した通知文、添付資料(もしあれば)は開示されていない。

これでは、審議の内容が全くわからない。

2020年7月31日(金)~2020年8月4日(火)に会議をしているので、期間は、土日を除くとわずか3日間である。

「不正なしで、イイな!」と各委員にメールしたような、結論ありきの会議(イヤ、通知)をしている(推測です)、と感じた。

これも推測だが、各委員は資料をロクに見ていないだろう。

まともな資料が添付されたかどうか不明だが、審議内容をしっかり説明されずに、委員長に「すべてお任せ」で進んだように、感じた。推測です。

だから、前述したように、「後藤惠子は資料を提供する用意があり、調査に協力すると名古屋大学に伝えたが、名古屋大学は、申立者の後藤惠子に資料の提出を一切求めなかった。疑惑状況の聞き取り調査も一切なかった」のだ。

こんな、ズサンな(推測です)判定をしたのだから、後藤惠子が2021年 2月9日に公正研究委員会に正式に調査を申立てた時、まとも調査と審議をすべきだったと思われる。

ところが、以下のように、「2020年8月6日通知の事案と同じ申立内容で、既に学内調査が終了している。今回の申立ては受けとらない」と2021年2月26日付けの回答をしたのだ。注:8月6日通知は8月4日の間違い。

後藤惠子は、次のように感想を述べている。

2021年2月9日に公正研究委員会に申立てた時、想像だけですが、「今回の申立ては受けとらない」とした判定も実際に審議が行われたかどうか、怪しいものだと思います。

名古屋大学・公正研究委員会、知れば知るほど、なんかオカシナことをしている印象だ。

もし白楽の記述が間違っているなら、関係者は正して欲しい。コメント欄に記述していただければ、日本中の、イヤ、世界中の人々が名古屋大学の立派さを知ることができる。

ウ~ン、「立派さ」は、もう今となっては、無理かもしれない。でも「白楽が思うほど、ヒドクはなかった」ことを知ることができる。

そうでないと、この事件は、日本の博士論文盗用史、名古屋大学クロ歴史に残るような気がしてきた。

ーーーーーー
白楽の利害関係:このブログの掲載で、白楽は、金銭的利益を得ないし、得る予定はない。名前を挙げた人(その家族)と親族的及び学閥的な関係はなく、本事件以前には知己ではなかった。
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名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件シリーズ
 ① 驚愕の判定(2020年8月17日掲載、2021年5月3日改訂) ←<新展開>
 ② 隠蔽工作?(2021年3月12日掲載)
 ③ 疑惑の証明(2021年3月26日掲載) 
 ④ その後(予定)

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●コメント:たくさんお願いします

注意:お名前は記載されたまま表示されます。誹謗中傷的なコメントは削除します

★戸田有紀様のコメント

に対応し、以下に「3.法人文書開示決定通知書(裏)」をアップした。

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怠惰なクマ
怠惰なクマ
2020年11月2日 2:02 AM

著作権(著作人格権)を侵害されたということで民事裁判にて公の場で審議してもらうという手もあると思います。研究者にとっての研究のオリジナリティに直結しますので。ただ日本の場合、訴える側の負担が高く、また同じ領域の研究者同士で争うことはかなりつらいはずです。科研費の研究成果のようですので、学術振興会、文科省に研究不正として告発するというのは無理でしょうか。もちろん、共同研究相手の告発というのは制度的にできるのか、というだけではなく、心理的負担がとても大きいです。現実的な解としては研究者コミュニティーの中でしっかり名誉を守ってあげることではないでしょうか。

戸田 有紀
戸田 有紀
2021年5月3日 9:31 AM

市民科学者の戸田有紀です。情報開示請求までしているんですね。えらいですね。開示請求をしないと、本当に関係者が研究公正にまじめに取り組んでいるかどうか、わからないと思います。
開示請求にはいくらかかったのでしょうか? 私は以前から、大学の開示手数料は高額すぎると思っています。
市役所や都庁等の行政機関ですと、コピー1枚につき、10円というのが相場です。
ところが大学は一件につき300円、その他にコピー1枚につき10円とかかかるはずです。
例えば東京学芸大学の場合、1件につき300円、閲覧するだけで100枚までごとにつき100円、コピーをもらおうとすると1枚20円かかるようです。
https://www.u-gakugei.ac.jp/kaiji/
名古屋大学のウェブサイトだと、1件につき300円と書いてあるだけで、コピー1枚につきいくらかかるのかが書いていませんね。私はそのうち、名古屋大学に電話をして、確認してみようと思います。
また、白楽さんは「関係者の名誉を傷つける意図はありません」と書いていますが、私は、もともと日本の大学人は過剰評価されていると思っています。日本には「親や先生を敬いましょう」という儒教の風土があります。それは是正されるべきだったと思うのですが、大学人はあべこべに便乗してきました。さらに「名誉」教授とか、「卓越」教授とか、アカデミア内部での同業者同士での評価がインフレーションしています。
大学人は適当な仕事をして、外部に迷惑をかけているにも関わらず、外部の人間に対し、尊敬するように強いるので、迷惑です。
日本の大学人はたいしたことがありません。大学幻想や大学信仰はもうやめませんか。

戸田 有紀
戸田 有紀
Reply to  戸田 有紀
2021年5月3日 9:38 AM

ところで、私のアイコンがひどいですね。まるでバイキンマンみたいじゃないですか。これでは人々から邪険に扱われそうです。私は病人であり、もっといたわってほしいです。Gravatarのサイトで、アイコンをヘルプマークに変えてみました。ちゃんと表示されるかしら?

怠惰なクマ
怠惰なクマ
2021年5月5日 11:28 AM

研究不正について組織が隠蔽するケースが増えているような気がします。それとは別の話ですが実務家教員、社会人ドクターの増加と盗用には何等の関係があると思うのですがいかがでしょうか?つまり大学院で研究者として十分な教育を受けていないのではないかという仮説です。特に日本は論文博士制度があります。白楽様の研究不正研究の盗用疑惑も執筆者のほとんどは研究者ではなかったです。(博士の方もいましたが) 名古屋の件は世論に訴えないと進展しないと思います。私はいつも匿名で情けないです。

怠惰なクマ
怠惰なクマ
Reply to  haklak
2021年6月19日 9:37 PM

下記は学位を取り消された当事者の反論です。

https://mayumedia.blogspot.com/2019/03/blog-post_22.html

その中で大学側の対応に対する反論として次をあげていました。

「大学側は指導教育機関としての責任を果たしていない。」
(ちなみにSFC博士課程は社会人入試により、当方のような学術論文未経験者も取り込んでいるが、学術論文の執筆方法をフォローする指導はない)。

はっきりいうと「盗っ人猛々しい」というのが感想です。
といいつつ社会人学生は指導をうける時間が限られているため、研究者が当然もつべき「倫理観」を短期間(数年)で習得させるためには組織的な対応が必要なのだと思います。
全てではないにしろ、社会人ドクターには学術発展への貢献ではなく、自信のブランド力を学位で高めようとしている人は一定数いることを前提にするべきだと私は考えます。

フォスター
フォスター
Reply to  怠惰なクマ
2021年5月29日 2:51 PM

「怠惰なクマ」さん

>研究不正について組織が隠蔽するケースが増えているような気がします。

私も同感です。
地球科学の分野においても、研究機関が告発状を受理し
予備調査委員が「本調査は行わない」とした後になって
告発者側が指摘した改ざん箇所が全て書き換えられるといった事例があります。予備調査委員の不正隠蔽が疑われるケースです。
(最近起こった有名な出来事で告発者側が全てを公開しているため、検索すれば簡単に出てきます。)

論文とは別に、不正の証拠となるデータ表は研究者向けの
SNS(ResearchGate)で公開されている様です。
研究者自身が自由にアップデートや削除が可能であり、多くの論文に
アクセスしやすくなる利点がある一方、この様なサイトも
研究機関と同様に研究不正証拠隠滅の温床になりかねませんね。

怠惰なクマ
怠惰なクマ
Reply to  フォスター
2021年6月19日 10:09 PM

すこし前ですが科研費で私的観光をして処分をされた研究者がおります。

http://marburgaromaticschem.livedoor.blog/archives/219004.html

大学は2008年に処分をしました。
おどろくことに2010年、研究不正をした教員が日本管理会計学会より特別賞を授与されております。
学会(界)が不正に対して甘い、つまり科学者1人1人、コミュニティが重大かつ深刻な問題とかんがえていないことが根底にあると当時感じていました。そしてそれは今もです。