ハリ・コール(Hari Koul)(米)

2021年12月9日掲載 

ワンポイント:インドで育ち、博士号を取得後、渡米し、米国のコロラド大学デンバー校(University of Colorado Denver)・教授になった。その後の2013年、ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校(Louisiana State University Shreveport)・教授に移籍した。2014年(52歳?)、コロラド大学デンバー校時代の論文が、パブピア(PubPeer)でネカトと指摘され、結局、2008~2013年(46~51歳?)の6年間の6論文が撤回された。調査したコロラド大学デンバー校はシロと判定したので、研究公正局の事件になっていない。ただ、論文撤回処置がズサンで、6年前に撤回すべき論文が2021年7~8月になってようやく4論文が撤回された。国民の損害額(推定)は3億円(大雑把)。この事件は、2021年ネカト世界ランキングの「1」の「2」に挙げられた。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ハリ・コール(Hari Koul、Hari K Koul、ORCID iD:https://orcid.org/0000-0002-3747-4678、写真出典)は、インドで育ち、博士号を取得後、渡米し、米国のコロラド大学デンバー校(University of Colorado Denver)・教授になった。その後の2013年、ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校(Louisiana State University Shreveport)・教授に移籍した。専門は生化学(生殖器-泌尿器疾患におけるシグナル伝達経路)である。医師免許は所持していない。

2014年(52歳?)、パブピア(PubPeer)がコールのコロラド大学デンバー校(University of Colorado Denver)時代の3論文に画像の操作と重複の可能性を最初に指摘した。

2015年(53歳?)、コロラド大学デンバー校はコールのネカト調査を終え、ネカト調査報告書(サインは2016年1月14日)をまとめた。

このネカト調査結果で、ネカト調査委員会は、重大な研究エラーがあったが、研究不正行為はなかったと判断した。つまり、シロと判定したので、研究公正局の事件になっていない。

2015年時点で、コロラド大学デンバー校はコールの9論文を訂正または撤回することを推奨していた。

2021年6月(59歳?)、それから6年経った。「撤回監視(Retraction Watch)」記事は、しかし、論文撤回処置がズサンで、コールの論文は2報が撤回、1報が訂正されただけだったと指摘した。

2021年7~8月(59歳?)、「撤回監視(Retraction Watch)」の指摘に対応し、学術誌は6年前に撤回されるハズだった論文を4論文撤回した。

2021年12月8日(59歳?)現在、結局、2008~2013年(46~51歳?)の6年間の6論文が撤回されている。

コロラド大学デンバー校(University of Colorado Denver)・オーロラ地区の医学系キャンパス(Anschutz Medical Campus in Aurora)。2013年7月30日 。写真所有者:Cyrus McCrimmon, The Denver Post。出典 https://www.denverpost.com/2017/06/21/university-colorado-anschutz-professor-research-misconduct/

  • 国:米国
  • 成長国:インド
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:インドの医学教育研究大学院
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1962年1月1日生まれとする。1984年に大学院に入学した時を22歳とした
  • 現在の年齢:60歳?
  • 分野:生化学
  • 不正論文発表:2008~2013年(46~51歳?)の6年間
  • 発覚年:2014年(52歳?)
  • 発覚時地位:ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)は「パブピア(PubPeer)」で、コロラド大学デンバー校、ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校、NIH、および研究公正局(ORI)に通報した
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①コロラド大学デンバー校・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり:https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2021/06/Koul-report.pdf
  • 大学の透明性:実名でウェブ公表(〇)。調査委員名は黒塗り
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:2論文が訂正、1論文が懸念表明、6論文が撤回
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は3億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:(99+) Hari Koul | LinkedIn

  • 生年月日:不明。仮に1962年1月1日生まれとする。1984年に大学院に入学した時を22歳とした
  • 19xx年(xx歳):インドのカシミア大学(Kashmir University-Srinagar)で学士号取得:生物学と化学
  • 1984 – 1986年(22 – 24歳?):同大学で修士号取得:生化学
  • 1986 – 1990年(24 – 28歳?):インドのチャンディガルにある医学教育研究大学院(PGIMER:Postgraduate Institute of Medical Education and Research)で研究博士号(PhD)を取得:生化学
  • 1991-1995年(29-33歳?):米国のマサチューセッツ・チャン・医科大学(University of Massachusetts Chan Medical School)・ポスドク
  • 1996-2003年(34-41歳?):米国のヘンリーフォード健康科学センター(Henry Ford Health Sciences Center)・研究員
  • 2003年7月-2013年9月(41-51歳?):米国のコロラド大学デンバー校(University of Colorado Denver)・教授
  • 2013 – 2016年(51-54歳?):ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校(Louisiana State University Shreveport)・教授
  • 2014年6月2日(52歳?):パブピア(PubPeer)が論文不正を指摘
  • 2020年11月- 現(58歳? -):ルイジアナ州立大学・ニューオーリンズ校(Louisiana State University -New Orleans)・教授

●3.【動画】

以下は事件の動画ではない。

【動画1】
「ハリ・コール」と紹介。
講演動画:「LMP Grand Rounds HKoul 11May2016 – YouTube」(英語)59分18秒。
um-lmp UofM Laboratory Medicine and Pathologyが2016/05/12に公開

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★優秀な研究者

ハリ・コール(Hari Koul、Hari K Koul、写真出典)はインド生まれと思われる。インドで育ち、インドで博士号を取得後、渡米し、米国のコロラド大学デンバー校(University of Colorado Denver)・教授になった。

その後の2013年、ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校(Louisiana State University Shreveport)・教授に移籍した。

NIHからのグラントは1997~2020年の24年間に28件獲得している。かなり優秀である。出典:Grantome: Search

★2014~2015年

2014年6月2日(52歳?)、パブピア(PubPeer)がコロラド大学デンバー校(University of Colorado Denver)時代のハリ・コール(Hari Koul)の3論文に画像の操作と重複を最初に指摘した。この時、コールはルイジアナ州立大学・シュリーブポート校(Louisiana State University Shreveport)・教授に移籍していた。

ネカト指摘者は、パブピア(PubPeer)にアップしただけでなく、コロラド大学デンバー校、ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校、NIH、および研究公正局(ORI)にも通報した。

ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校はネカト指摘を受けて、研究公正官のサンドラ・レーリグ学部長(Sandra C. Roerig)がネカト調査を始めた。

2014年8月22日(52歳?)、ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校は調査を終え、報告書をまとめた。

以下は情報公開法に基づいて、「撤回監視(Retraction Watch)」が入手し、公開したルイジアナ州立大学・シュリーブポート校のネカト調査報告書の冒頭部分(出典:同)。全文は24ページ → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2021/10/Inquiry-Misconduct-Allegations.pdf

ルイジアナ州立大学・シュリーブポート校はコロラド大学デンバー校の研究公正官であるアリソン・レイキン(Alison Lakin、写真出典)に結果を通知し、コロラド大学デンバー校でのネカト調査を促した。

2015年1月4日(53歳?)、コロラド大学デンバー校のネカト調査委員会はコールにインタビューした。

インタビューしたこの日は、実は、連邦法によると、ネカト調査を完了すると決められた期限日だった。

レイキン研究公正官は、調査対象の論文数が多いため、ネカト調査の延長を研究公正局(ORI)に要求した。なんと、その後、さらに3回、延長を要求している。

2016年1月14日(54歳?)、コロラド大学デンバー校はコールのネカト調査を終え、ネカト調査報告書をまとめた。

以下は2016年1月14日付けのネカト調査報告書の冒頭部分(出典:同)。全文は14ページ → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2021/06/Koul-report.pdf

コールが2014年2月にコロラド大学デンバー校を去った時、研究室は解体され、コンピューターの記録は全部削除された。そして、コールが研究プロジェクトのデータファイルを持ち去った。コロラド大学デンバー校のサーバーに残されていたのは研究記録の一部だけだった。

しかし、コロラド大学デンバー校は、コールのかつての研究室員が保存していた実験ノート、ゲル電気泳動の写真ネガ、コールの2論文の生データを何とか入手することができた。

ネカト調査報告書は「データを保存に関する研究室の規則はなかった」と結論付けていた。

委員会は、かつての研究室員のインタビューでの回答に基づき、コール研究室では、多くのデータが大学のサーバーとは別の各室員のコンピューターに保存されていた、と述べた。それで、生データと論文原稿の監視が不十分になり、間違いにつながった、と指摘した。

コールは、かつての研究室員のコメントを一部否定した。ネカト調査報告書によると、コールは、2015年11月18日に次のように述べている。

これらのコメントは室員が自己中心的に述べたもので、全くの間違いです。

すべての研究室員は毎週木曜日に2〜4時間、データ検討会をしていました。研究室員は、その週に得た元データを示して、同僚からの意見を聞き、討論しました。私はデータ検討会の議長を務め、建設的な批判と科学的方向性を示していました。すべてのデータは、研究室員に割り当てた個々のコンピューターに電子的に保存していました。

ネカト調査報告書は、「当時の研究所内での記録保持が不十分だったため、委員会はこれらの申し立ての徹底的な調査を実施するのに苦労しました。調査委員会は、あるケースでは、データの不一致は誠実な誤りによるものであると判断した。しかし、他のケースでは、画像が意図的に操作された可能性があり、ねつ造・改ざん可能性が高い、と判断しました」、と述べている。

しかし、委員会は、当時の実験室での記録管理が不十分で監視も不十分だったため、誰がこのがデータ操作を行なったかを判断はできなかった。

それで、委員会は、重大な研究エラーがあったが、研究不正行為はなかったと判断した。

委員会は、「研究不正行為はなかったかった」としたので、資金提供機関(すなわちNIH)へのネカト報告を推奨しないとした。

★2015~2020年

「撤回監視(Retraction Watch)」はまた、2015~2020年の一連の手紙を入手し公表している。

白楽は流し読みしただけなので、ココに内容を記載しない。

以下はその手紙集の冒頭部分(出典:同)。全文は25ページ → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2021/06/Koul-emails-1.pdf

★2021年

2015年のネカト調査結果では、コロラド大学デンバー校はコールの9論文を訂正または撤回することを推奨していた。

2021年6月3日(59歳?)、それから6年後、「撤回監視(Retraction Watch)」記事(【主要情報源】①)は、しかし、コールの論文2報が撤回、1報が訂正されただけだった、と述べている。

「撤回監視(Retraction Watch)」が問い合わせると、複数の学術誌・編集者は、論文撤回または訂正の要請を受けていないと、回答した。

コールは指示された論文撤回や訂正を学術誌に通知していなかったのだ。コロラド大学デンバー校も伝えていなかった。

「撤回監視(Retraction Watch)」の指摘で、6年前に撤回されるハズだった論文が、2021年7~8月に4論文も撤回された。

2021年12月8日現在、結局、2008~2013年(46~51歳?)の6年間のコールの6論文が撤回されている。

★二重取り(ダブルディッピング)

「撤回監視(Retraction Watch)」はまた、2020年6月から2020年9月までの日付の一連の手紙を入手した。

以下はその手紙集の冒頭部分(出典:同)。全文は20ページ → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2021/10/3702_001.pdf

これらの手紙は、コールが同じ研究プロジェクトで2か所から研究費を得るダブルディッピングをしていたと告発する内容だった。

コールが同じ研究プロジェクトを退役軍人省 とNIHに申請し、両方で採択され、それぞれ各30万ドルを受け取ったという指摘である。

告発先は、ルイジアナ州立大学・ニューオーリンズ校のジョセフ・モ-シュベイデャー学務担当副学長・大学院長(Joseph Moerschbaecher、Vice Chancellor for Academic Affairs and Dean of the School of Graduate Studies at LSU Health Sciences Center New Orleans)、FBI、監査総監室(Office of Inspector General)で、パブピアにも掲載した。

手紙集の最初は、2020年10月6日付けのアラン・ケイ教授(Allan Kaye)がモ-シュベイデャー副学長に宛てた電子メールである。

コールはネカト疑惑まみれで問題の多い研究者なのに、とても賢く、2020年11月(58歳?)、ルイジアナ州立大学・ニューオーリンズ校(Louisiana State University -New Orleans)の教授になっている。

誰が、コールを招聘したのか記載がないが、採用前に、研究費の二重取り(ダブルディッピング)はモ-シュベイデャー副学長に伝えられていた。モ-シュベイデャー副学長が知らなかったはずはない。

モ-シュベイデャー副学長自身がコールを教授に招聘した可能性が高い。何か弱みでも握られていたんでしょうか? どうなっているんでしょうか?

そう思って、モ-シュベイデャー副学長を探ると、ナント、モ-シュベイデャー副学長は退職し、2021年7月1日、72歳で亡くなっていました。ご冥福を祈ります。 → 写真出典同:Joseph Moerschbaecher, Obituary – New Orleans, LA

2021年12月3日(59歳?)、コールは研究費の二重取り(ダブルディッピング)を否定しているが、学科長を辞任した。 →  2021年12月3日のジョセフ・クラニー(Joseph Cranney)記者の「nola.com」記事: LSU Health chair leaves post while under investigation, denies double-dipping | Education | nola.com

2021年12月8日(59歳?)現在、コールの研究費の二重取り(ダブルディッピング)事件の決着はついていない。

今後、何らかの進展があると思われる。

【ねつ造・改ざんの具体例】

2論文が訂正、1論文が懸念表明、6論文が撤回だが、1報の撤回論文のねつ造・改ざんの具体例を以下に示す。

★「2013年4月のJ Biol Chem.」論文

「2013年4月のJ Biol Chem.」論文の書誌情報を以下に示す。2014年8月8日に撤回された。

以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/C325F21E87D2C7B985EB8F1D201EC2

図1Cと図2Cのバンドが別の実験データのはずなのに、同じ。つまり、データねつ造。

図6Aと図6Cの図8Aの組織図が別の実験データのはずなのに、同じ。つまり、データねつ造。

別の人が上図について、もっと重複使用されていると指摘した。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2021年12月8日現在、パブメド(PubMed)で、ハリ・コール(Hari Koul、Hari K Koul)の論文を「Hari Koul[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2021年の20年間の61論文がヒットした。

61論文の内45論文は、スウェティ・コール(Sweaty Koul)が共著者である。スウェティ・コール(Sweaty Koul)は妻だと思われる。

2021年12月8日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、6論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2021年12月8日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでハリ・コール(Hari Koul、Hari K Koul)を「Hari K Koul」で検索すると、 2論文が訂正、1論文が懸念表明、6論文が撤回されていた。

6撤回論文の内4論文は2021年7~8月に撤回された。

2013年に出版した1論文が2014年に、2012年に出版した1論文が2020年に、2008~2011年に出版した4論文が2021年に撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2021年12月8日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ハリ・コール(Hari Koul)の論文のコメントを「Hari Koul」で検索すると、10論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》ズサン 

ハリ・コール(Hari Koul)事件では、コールが論文撤回の要請をしなかったことも問題だが、2015年にネカト調査したコロラド大学デンバー校の処置がズサンだったことにも呆れた。

コールはネカト者なので、そもそも、全面的には信頼できない。だから、調査した大学が措置すべきだ。それを怠った。

ネカト調査委員会がコールの9論文を訂正または撤回することを推奨したのに、結局、学術誌側は論文撤回の連絡を受けていなかった。

6年後の2021年6月3日に「撤回監視(Retraction Watch)」確かめると、コールの論文2報が撤回、1報が訂正されただけだった。

これでは、調査結果が学術界に生かされない。

6年間も、世界中の多くの研究者に、不正論文を、不正と知らずに読ませ、それに基づいて研究を重ねさせていた。

6年間も、撤回相当論文なのに、コールの業績としてカウントさせ、研究費をあげ、昇進させていた。

結果として、コロラド大学デンバー校はコールの不正に加担していたことになる。

「撤回監視(Retraction Watch)」が2021年6月3日に記事として取りあげ、かつ、学術誌の担当部署に連絡しなければ、この不正論文はそのまま、さらに何年も、有効な生きた論文として学術界に存在していただろう。

こういう亡霊のような不正論文(宇宙ゴミのような論文)が論文界にどれほど生き残っているのか?

チェックする組織・人がいないので、かなり多量に存在しているのではないだろうか? 

「パブピア(PubPeer)」でコメントがついた論文を自動で検出してくれるソフトがある。各研究者がそのソフトを導入していれば、その研究者には問題論文は直ぐにわかる。しかし、全研究者の中でそのソフトを導入している人は、ほんのひと握りだろう。

《2》メチャクチャ

コロラド大学デンバー校のネカト調査委員会はメチャクチャである。

ハリ・コール(Hari Koul)の当時の実験室での記録管理が不十分で監視も不十分だったため、データ操作した人を特定できなかった。

このことだけでも、委員会の無能さをさらけ出している。

しかし、さらに、委員会は、「ねつ造・改ざん可能性が高い」と判断ているのにに、「重大な研究エラーがあったが、研究不正行為はなかった」と判断したのである。

これじゃ、ネカト疑惑を受けた研究者は研究記録をさっさと処分して、「記憶にございません」と言い張れば無罪になってしまう。

全くヒドイ調査委員会だ。

《3》ネカトを防ぐ方法

ハリ・コール(Hari Koul)事件で、ネカトを防ぐにはどうすればよかったか?

コールは意図的にデータねつ造・改ざんをしていた、と白楽は思う。

このような意図的・計画的なデータねつ造・改ざんを事前に予防することは不可能だ。

となると、事後処置になる。

不正の初期で見つけて処分しておけば、①改心して、以後、不正をしない。②あるいは、不正者があまり出世しないので不正行為の影響が少ない。のどちらかになった公算が高い。

「研究上の不正行為」は、知識・スキル・経験が積まれると、なかなか発覚しにくくなるし、不正行為の影響が大きくなる。

https://cancer.unitedscientificgroup.org/2016/gallery1-2016.php

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。しかし、もっと大きな視点では、日本は国・社会を動かす人々が劣化している。どうすべきなのか?
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●9.【主要情報源】

① 2021年6月3日のレト・サプナル(Leto Sapunar)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Exclusive: Six years after a misconduct investigation, more than half of suspect papers remain unflagged – Retraction Watch
② 2021年7月21日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Journals retract papers following publication of university investigation by Retraction Watch – Retraction Watch
③ 2021年10月28日のレト・サプナル(Leto Sapunar)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Exclusive: Urology researcher demoted after misconduct investigation — then becomes chair at another school – Retraction Watch
④ 2021年10月28日頃の「Medical Progress」記事:Demoted Urology Researcher Becomes Chair at Another School – Medical Progress
⑤ 2021年12月3日のジョセフ・クラニー(Joseph Cranney)記者の「nola.com」記事: LSU Health chair leaves post while under investigation, denies double-dipping | Education | nola.com

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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