盗修:貿易学:ホン・ジニョン、홍진영、洪眞英(Jin-young Hong)(韓国)

 2021年1月25日掲載 

ワンポイント:ジニョンは韓国の有名な女性歌手で、朝鮮大学(Chosun University)・貿易学科で学士号、修士号(2009年)、博士号(2012年)を取得している。2020年11月5日(35歳)、国民日報はジニョンの修士論文が盗用文字率74%の盗修だと報じた。当初、ジニョンは盗用を否定したが、しばらくして、修士号そして博士号を返納すると発表した。しかし、2020年12月(35歳)、朝鮮大学が盗用と結論したのに伴い、ジニョンは盗用を認め、謝罪した。朝鮮大学は修士号・博士号を取消す。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ホン・ジニョン、홍진영、洪眞英(Jin-young Hong、写真(CC BY 4.0)出典)は、韓国の有名な歌手(韓国演歌トロットの歌手)である。韓国では「トロットの女神」と呼ばれているホン・ジニョン – Wikipedia)。

「ホン」が姓、「ジニョン」が名である。本記事では、カタカナでは、基本的に名・姓の順に表記ている。しかし、ホン・ジニョンは有名人で、既にこの呼び方が固定している。固定した呼び方に従った。

ホン・ジニョンは、朝鮮大学(Chosun University)・経商学部・貿易学科で学士号、修士号(2009年)、博士号(2012年)を取得している。父親は同じ朝鮮大学・経商学部の教授だった。

2020年11月5日(35歳)、国民日報がホン・ジニョンの修士論文「韓流を通じた文化コンテンツ産業動向に関する研究」が盗用文字率74%の盗修だと報じた。最初に盗修を見つけた人は不明である。

当初、ホン・ジニョンは盗用を否定したが、しばらくして、修士号そして博士号を返納すると発表した。

2020年12月15日(35歳)、盗修発覚から1か月10日後、朝鮮大学は暫定的に盗用と結論した。

2020年12月18日(35歳)、これを受けて、ホン・ジニョンはインスタグラムで盗用を認め謝罪した。

2020年12月23日(35歳)、盗修発覚から1か月18日後、朝鮮大学は最終的に盗用と結論した。朝鮮大学は修士号・博士号を取消す手続きに入った。

盗修発覚から1か月18日で大学は結論を出した。

盗用比較図がウェブにアップされている。

盗用の場合、盗用比較図を見れば、盗用であることは誰でも容易に判断できる。

ただ、明白な盗用でも、当該大学はシロと判定するケースがマレにある。そのマレな例の1つが、ナント、名古屋大学である。 → 5A 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件 | 白楽の研究者倫理

朝鮮大学(Chosun University)・本館。写真はDONG-KWON RYUが撮影, CC 表示 3.0、出典

  • 国:韓国
  • 成長国:韓国
  • 修士号取得:朝鮮大学
  • 研究博士号(PhD)取得:朝鮮大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:1985年8月9日
  • 現在の年齢:39 歳
  • 分野:貿易学
  • 最初の不正論文発表:2009年(24歳)
  • 不正論文発表:2009年(24歳)
  • 発覚年:2020年(35歳)
  • 発覚時地位:有名な歌手
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)が国民日報に通報し、国民日報が記事として公表
  • ステップ2(メディア):「国民日報」をはじめ、韓国と日本の多数のメディア
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①朝鮮大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:大学は実名発表したが、調査報告書のウェブ公表なし(△)。大学以外が詳細をウェブ公表(⦿)
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:修士論文1報
  • 盗用ページ率:不明
  • 盗用文字率:74%
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に発覚時の地位を大きく降格(▽)
  • 処分:学位(修士号・博士号)取消
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 1985年8月9日:韓国で生まれる
  • 2006年(21歳):歌手として芸能界デビュー
  • 2007年(22歳):朝鮮大学(Chosun University)・貿易学科で学士号取得:貿易学
  • 2009年(24歳):同大学で修士号取得:貿易学
  • 2012年(27歳):同大学で研究博士号(PhD)を取得:貿易学
  • 2020年11月5日(35歳):盗修が発覚
  • 2020年11月7日(35歳):修士号・博士号を返納すると発表
  • 2020年11月13日(35歳):朝鮮大学が調査開始
  • 2020年12月(35歳):芸能活動、減速
  • 2020年12月23日(35歳):盗修発覚から1か月18日後、朝鮮大学は最終的に盗用と結論した。朝鮮大学は学位(修士号・博士号)を取消す。

●3.【動画】

動画はたくさんある。

【動画1】
事件の動画ではない。ホン・ジニョンが舞台で歌う動画:「홍진영 ホン・ジニョン 『사랑의배터리』『愛のバッテリー』 열린음악회 開かれた音楽会 2016.10.2 – YouTube」(韓国語)2分46秒。
kmmrcocochが2016/10/02に公開

【動画2】
ニュース動画:「ホン・ジニョン「修士論文盗用」最終的な結論…芸能活動」赤信号」/ JTBC事件班長(홍진영 ‘석사 논문 표절’ 최종 결론…연예 활동 ‘빨간불’ / JTBC 사건반장 )- YouTube」(韓国語)3分28秒。
JTBC Newsが2020/12/24に公開

【動画3】
ニュース動画:「歌手ホン・ジニョン論文盗用最終的な結論…「博士号取り消し」/連合ニュース(Yonhapnews)(가수 홍진영 논문 표절 최종 결론…”석·박사 학위 취소” / 연합뉴스 (Yonhapnews))- YouTube」(言葉なし)1分34秒。
연합뉴스 Yonhapnewsが2020/12/24に公開

●4.【日本語の解説】

★2020年11月5日:Yahoo!ニュース(著者不記載):【公式】ホン・ジニョン側、修士論文の盗作疑惑に「まったく事実ではない、時期的にも誤った検証」と主張

出典 → ココ、(保存版) 

ホン・ジニョンの所属事務所側の関係者は5日、公式表明を出し「ホン・ジニョンは自身の朝鮮大学の貿易学科の修士論文『韓流を通じた文化コンテンツ産業動向に関する研究』の研究および作成過程に誠実に参加した」と明らかにした。

そして「本日の記事を通じて提起された盗作率が74%を超えたという疑惑について、当時ホン・ジニョンの修士学位論文審査を務めた教授の意見をお伝えする」とし、「この教授によると、ホン・ジニョンが修士論文審査を受けていた時は2009年のことで、当時論文審査では引用内容と参考文献など注釈をつける傾向であり、多くの引用がなければ論文の審査通過ができなかった時期だった」と説明した。

また「コピーキラー(Copykiller、盗作検査)システムは2015年から大学で義務的に使用され、50%を超える盗作を選り分けるために始まった制度」とし、「このシステムがなかった2009年に審査された論文を検査する際、盗作率が高く出ざるを得ない」と付け加えた。

★2020年11月7日:もっと! コリア(ハン・ヒョンジョン記者):ホン・ジニョン、論文盗作疑惑が浮上し修士・博士学位を返納することを発表

出典 → ココ、(保存版) 

論文盗作疑惑に巻き込まれたトロット歌手のホン・ジニョンが修士および博士論文を返納すると発表した。

国民日報がホン・ジニョンの朝鮮大学貿易学科修士論文「韓流を通じた文化コンテンツ産業動向に関する研究」は盗作審議サイト「コピーキラー」の検査結果、盗作率74%を記録したとし盗作疑惑を提起したのだ。

しかし(2020年11月)6日、ホン・ジニョンを教えた朝鮮大学貿易学科の元教授A氏が国民日報を通じて「ホン・ジニョンの修士、博士論文がすべて偽物だ」と暴露し再び波紋を呼んだ。A氏は「ホン・ジニョンの医学部と修士、博士まですべての課程の単位を与えた経験に照らしてみると、該当論文はすべて嘘だと証言できる」とし「ホン・ジニョンの父親が同じ学校の教授であるため影響があったという事実は否定できない」と主張した。

★2020年11月13日:歌手ホン・ジニョンの”論文コピー疑惑”、朝鮮大が調査に着手

出典 → ココ、(保存版) 

韓国女性歌手ホン・ジニョンの”論文コピー疑惑”で、朝鮮大学が調査に着手する。

朝鮮大学の大学院委員会は13日、委員全員が出席した中で会議を開き、歌手ホン・ジニョンの修士論文当惑疑惑調査を大学研究倫理院傘下の研究真実性委員会に回付することを決定した。

ホン・ジニョンは「学位を返納する」としながらも盗作は認めておらず、教則と高等教育法施行令に基づく手続きに従って盗作に関して判定することになる。

この日、朝鮮大学のミン・ヨンドン総長は「ホン・ジニョンの論文盗作疑惑は、非常に重い事案」とし、「手続きや所要時間は最大限短縮し、迅速に結果を出さなければならない」と指示したことがわかった。

なお、研究真実性委員会は(2020年11月)16日ごろから盗作に関する審査に入る計画だ。

ホン・ジニョンは2009年、朝鮮大学貿易学科で「韓流を通じた文化コンテンツ産業の動向に関する研究」というタイトルで論文を提出し修士号を取得。2012年には大学院で博士号を取得していた。

★2020年11月30日:ライブドアニュース(著者不記載):“論文盗作疑惑”で韓国美人歌手が学位を返納…テレビ出演部分もお蔵入りに

出典 → ココ、(保存版) 

家族ぐるみの盗作か?

ホン・ジニョンが盗作したと噂されているのは、朝鮮(チョソン)大学の修士論文だ。

韓国メディア『国民日報』は11月5日に、彼女の論文を盗作審議サイト「コピーキラー」で検査した結果、盗作率が74%だったと報じていた。ホン・ジニョンの父が朝鮮大学の教授として在職していたことも、彼女の学位取得に影響を及ぼしたのではないかという議論も巻き起こった。

ホン・ジニョンは「これまで約10年間、汗と涙を注いで熱心に生きてきたが、このような非難を受けるとさすがの私も気に障る」とし、「修士号と博士号は返納する」と明らかにした。

★2020年12月23日:wowKora(ワウコリア)(著者不記載):歌手ホン・ジニョン、大学側が「論文盗作」と結論…学位取消し

出典 → ココ、(保存版) 

(2020年12月)23日、朝鮮大学側はOSENに「ホン・ジニョンの論文を盗作と判定し、学位取消し手続きを進めている」と明らかにした。

・・・中略・・・

また、朝鮮大学側は「ホン・ジニョンが学位返納の話をしていたが、学位返納というシステムは韓国のどこにもない。学位取消しは、論文に対する研究倫理を見なければならない部分であり、そのためホン・ジニョンの論文を見て学位取消しに至った」と説明した。

一方、ホン・ジニョンは論文盗作について「いまこの瞬間も昼夜問わず論文を書いていらっしゃる方にとても失礼なことをしました。申し訳ありません。すべてを認めて反省します」と深く謝罪した。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★有名な歌手

ホン・ジニョン、홍진영、洪眞英(Jin-young Hong)は朝鮮大学(Chosun University)・経商学部・貿易学科で学士号、修士号(2009年)、博士号(2012年)を取得した。

父親のホン・ジェウムウ、홍금우(ホン・グム、Geum Woo Hong、下の写真右出典)は同じ朝鮮大学・経商学部の教授だった。

ジニョンは売れっ子の歌手なので、写真や動画はたくさんある。

著作権がクリアしているクリエイティブ・コモンズ ライセンスの写真を以下に2点示す。

CC BY-SA 4.0 、写真

사진&여행 (生活의發見), CC BY 4.0 、写真出典 

★修士号・博士号

ホン・ジニョンは、朝鮮大学(Chosun University)・貿易学科で学士号、修士号(2009年)、博士号(2012年)を取得した。

以下の画像出典 → 2020年11月5日の記事:홍진영 논문 표절 충격 실태 (+해명) :: 다이슈、(保存版

★発覚の経緯

2020年11月5日(35歳)、国民日報はホン・ジニョンの修士論文「韓流を通じた文化コンテンツ産業動向に関する研究」を盗作審議サイト「コピーキラー(Copykiller)」が調べ、盗用文字率74%の盗修だったと報じた。

国民日報は最初に盗修を指摘した人を報じていないので、最初の指摘者は不明である。

当時のジニョンの指導教授は、盗用率は99%だと指摘した。

ホン・ジニョンは盗用を否定しているが、修士号そして博士号を返納すると発表した。

2020年12月10日(35歳)現在、朝鮮大学は調査中である。

盗修発覚から1か月で、大学は結論を出していないが、盗用比較図がウェブにアップされている。

盗用の場合、盗用比較図(後述)を見れば、盗用であることは誰でも容易に判断できる。そして、明白な盗用である。

ただ、明白な盗用でも、当該大学はシロと判定するケースがマレにある。そのマレな例の1つが、ナント、名古屋大学である。 → 5A 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件 | 白楽の研究者倫理

朝鮮大学はどう判定するだろう?

ホン・ジニョンのテレビ出演が減り、芸能活動が減少している。このまま消滅するのか?

★盗用と暫定的に結論

2020年12月15日(35歳)、盗修発覚から1か月10日後、朝鮮大学は暫定的に盗用と結論した。

朝鮮大学は(2020年12月) 15日、大学研究倫理院傘下の研究真実性委員会を通じて立場を表明し、最近物議をかもしていたホン・ジニョンの論文について「盗作と暫定的結論を下した」と主張した。(2020年12月15日記事:Chosun Online | 朝鮮日報-朝鮮大、ホン・ジニョンの修士論文めぐり「盗作」と暫定結論

2020年12月18日(35歳)、これを受けて、ホン・ジニョンはインスタグラムで盗用を認め謝罪した(白楽の意訳あり)。

https://www.instagram.com/p/CI7yfXJLzwQ/?utm_source=ig_embed

以下に白楽が意訳した。参考:Hong Jin Young Apologizes And Admits To Plagiarism In Thesis | Soompi

こんにちは、ホン・ジニョンです。

すでに非常に遅く、何も元に戻せないことを私は知っています。ただ、現時点でも、心からお詫びとお許しをお願いしたいので書いています。

新曲でカムバックした当日、修士論文の盗用の通知がありました。私は何をどう言うべきかとても怖くて、頭が真っ白になりました。

それでも今の地位・名声・舞台を手放すことができなかったのです。盗用を認めたら二度と舞台に戻れない気がしてとても怖かったのです。

だから、「教授は問題ないと言いました」「学位を持っていても大学で講義するつもりはありません」などと言って、自分を必死に正当化しようとしました。これまでの人生が嘘のように思えました。

間違いを犯した場合は、きちんと謝罪し、処罰を受けなければなりません。しかし、私は、反省ではなく、言い訳をするのに必死だったのです。私は成熟した大人のやり方で行動することができませんでした。私が間違えていました。

私は盗用という朝鮮大学の暫定的な結論を受け入れ、深く悔い改めます。私はまた、現在でも修士論文や博士論文に昼夜を問わず取り組んでいる人々に対して非常に無礼な行動をしたことに深くお詫びいたします。申し訳ありませんでした。私はすべてを認め、反省します。

私は私に値する以上の大きな愛を皆様から受けました。静かに自分を振り返り、今後、私として精一杯、有意義で良いことをし、その愛を返済します。

最後に、改めてお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません。

ホン・ジニョン

★盗用と最終的に結論

2020年12月23日(35歳)、盗修発覚から1か月18日後、朝鮮大学は最終的に盗用と結論した。

【STARNEWS】朝鮮大学が、歌手ホン・ジニョン(35)の修士学位論文を盗作と最終判定した。

朝鮮大学は(2020年12月)23日午後、大学院委員会を開催し、ホン・ジニョンの修士学位論文について盗作とする最終判定を下した。同大学大学院委員会は「論文を盗作とした判定に伴い、ホン・ジニョンの学位取消のため行政措置の手続きに着手する予定」と見解を表明した。(2020年12月23日のユン・サングン記者の「朝鮮日報」記事:Chosun Online | 朝鮮日報-朝鮮大、ホン・ジニョンの修士論文を盗作と最終判定…「学位取消に着手」

朝鮮大学はホン・ジニョンの学位(修士号・博士号)を取り消す手続きに入った。

★刑法上の処罰

以下の出典(文章は少し変えた) → 2020年12月xx日の記者名不記載の「二日市保養所のブログ」記事:朝鮮大学が、歌手ホン・ジニョン(35)の修士学位論文を盗作と最終判定した。|二日市保養所 | 二日市保養所のブログ、(保存版

4. 刑法による処罰の可能性
 
論文盗用は、著作権法違反として、刑法による処罰の対象である。
 
さらに、学位論文では、その学位を授与した大学の論文審査を嘘(偽計)に妨害した疑いまで追加される。
 
ホン・ジニョンの処罰の可能性が残っているかどうか検討したメディアの報道によると、その可能性は0%だとある。
 
ホン・ジニョンの盗用が事実であっても上記2つの処罰の時効(7年)が過ぎたからである。
 
4.1著作権法違反の疑い
 
私たちの著作権法(第4条)は、著作物の種類に「論文」を明示している。その論文の著者に1年以下の懲役または1000万ウォン以下の罰金が科される。

しかし、論文盗用は2009年行われていて、著作権法違反の規定は、時効が7年である。したがって、2016年には既に時効が完了している。

 
4.2.  偽計による業務妨害の疑い
 
偽計による業務妨害も著作権法違反である。
 
論文は、特定の大学で論文審査を経たが、その過程で「盗用論文」を提示した場合、偽計による業務妨害が成立するからである。
 
5年以下の懲役または1500万ウォン以下の罰金に処される可能性がある。

論文審査は、2009年に行われたが、偽計による業務妨害も時効が7年である。

 
2020年になってようやく、論文盗用問題が浮上したため、ホン・ジニョンの論文盗用がたとえ事実であっても、刑法による処罰の対象ではない。

 

【盗修の具体例】

★盗用図

以下のホン・ジニョン写真付き盗用図の出典 → 2020年11月6日記事:홍진영 논문 표절 의혹에 “석·박사 학위 반납하겠다”-국민일보

★盗用比較図

以下の盗用比較図の出典 → 2020年11月5日のカスニック(카스닉)記者の記事:홍진영 논문이 카피킬러에서 74% 나온이유 – 유머/이슈/정보 – 에펨코리아

左がホン・ジニョンの修士論文で、右が被盗用論文である。

盗用は、2009年以前にいろいろな論文の部分を逐語盗用で寄せ集めたモザイク盗用だった。特に論文の最後の段階である「第5章まとめと結論」部分は、2008年3月に作成された国際文化産業交流財団の「韓流の持続的発展のための総合調査研究」をほとんど逐語盗用していた。

ところどころ、文の構造を変える、括弧内を削除するなどの言い換え盗用もあったが、被盗用文と盗用文の区別は難しいほど類似していた。参考文献を表記したも場合でも該当ページの文章に引用符がないので、どの部分を引用したのか不明で、自分が書いた文章のように読める。

論文の結論部分も、他の論文の結論を引用符なしでほとんど盗用している。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

省略

●7.【白楽の感想】

《1》芸能人の盗修・盗博 

2006年(21歳)、ホン・ジニョン(Hong Jin-young、写真出典)は歌手として芸能界デビューしている。そして経歴を再掲すると以下のように、歌手活動と学業を並行しているが、24歳で修士号、27歳で博士号を取得し、研究者のコースとしても最短コースを進んでいる。

  • 2006年(21歳):歌手として芸能界デビュー
  • 2007年(22歳):朝鮮大学(Chosun University)・貿易学科で学士号取得:貿易学
  • 2009年(24歳):同大学で修士号取得:貿易学
  • 2012年(27歳):同大学で研究博士号(PhD)を取得:貿易学

上記は学位取得の年代を書いたが、この間、歌手として韓国で大人気の歌手になた。つまり、芸能界で大活躍しつつ、同時に最短コースで修士号と博士号を取得していたことになる。

しかし、そんなことを両立できるとは思えない。

事情を知る人が見れば、どう見ても、盗修、そして、今回、あまり問題視されていないが盗博が疑われるケースである。今回、盗修を見つけた人は、事実、そのような状況の異常さから調べ始めたと述べている。

盗修・盗博でなければ、修士論文・博士論文の強力な協力者、しいて言えば代筆者(ゴーストライター、ghost writing)がいると思える状況である。当時、父親が同じ大学の教授だったので、父親(の関係者)が代筆したのではかと疑われても、不思議ではない状況だ。

芸能人の芸能活動そのものに修士号や博士号レベルの貿易学の研究能力は必要ないし、役にも立たない。しかし、箔を付ける称号として、修士号や博士号の価値があったのだろう。だから、箔と見栄で修士号・博士号を取得した。

結果として、その時のネカトがバレて、本命の歌手生活を危うくしてしまった。

記事によると、今回の盗修・盗博事件を受けて、ホン・ジニョン本人は歌手を廃業すると述べているそうだ。

しかし、ファンは、盗修・盗博をあまり気にしていないらしい。韓国の国民は芸能人のネカトを許容するのか・しないのか、白楽はわかりません。

歌手を廃業するなら、もったいないですね。

《2》学ぶ

ホン・ジニョン(写真出典)事件から大きく学ぶことが2点ある。

第1点は、朝鮮大学の迅速な対応

盗修発覚から1か月18日後に、朝鮮大学は最終的に盗用と結論した。

その速さが素晴らしい!

それに、1か月10日後に、朝鮮大学は「暫定的に盗用」と中間発表をした。これもグッド!

と言っても、盗用は証拠が明白なので、1か月もあれば、ハッキリ確認できる。

ところが、白楽のブログが盗用された事件は、1年3か月が過ぎたのに、長崎大学は結論を出していない。中間報告もなし。長崎大学、ヒドイもんである。 → 5A 白楽ブログの被盗用事件 | 白楽の研究者倫理

第2点は、ホン・ジニョンの謝罪文

ホン・ジニョンは最初否定したが、結局、社交メディア(インスタグラム)で盗用を認め、謝罪している。

つまり、多くの人がアクセスできるメディアを使って、自分で状況を伝え、事実を伝えている点、素晴らしい!

誠実さがにじむ文面に、心が打たれた。彼女を悪く言う人は少ないだろう。

日本も、研究者自身が、社交メディアで、誠実に謝罪したらどうだろう。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① ウィキペディア日本語版:ホン・ジニョン – Wikipedia
② 2020年11月6日のユン・ソーイエン(YOON SO-YEON)記者の「korea joon gang daily」記事:Trot singer Hong Jin-young accused of plagiarizing dissertation paper
③ 2020年11月7日のC・ホン(C. Hong)記者の「Soompi」記事:Hong Jin Young States That She Will Give Up Her Graduate Degrees After Allegations Of Plagiarism | Soompi
④ 2020年12月19日の J. K記者の「Soompi」記事: Hong Jin Young Apologizes And Admits To Plagiarism In Thesis | Soompi
⑤ 2020年12月23日の記者名不記載の「wowKora(ワウコリア)」記事:歌手ホン・ジニョン、大学側が「論文盗作」と結論…学位取消し│韓国音楽K-POP│wowKora(ワウコリア)
⑥ 2020年12月xx日の記者名不記載の「二日市保養所のブログ」記事:朝鮮大学が、歌手ホン・ジニョン(35)の修士学位論文を盗作と最終判定した。|二日市保養所 | 二日市保養所のブログ、(保存版
⑦ 上記と重なるかもしれないが、英語でも多数の記事がある。以下、一部。

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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