盗修:法学:カルメン・モントン(Carmen Montón)(スペイン)

2018年10月26日掲載

ワンポイント:2018年6月7日、モントン(42歳)は保健・消費・社会福祉大臣に就任した。約100日後の2018年9月10日、7年前の2011年(35歳)の修士論文に盗用があると、新聞「エルディアリオ(El Diario)」に暴露された。2日後、盗用を否定しつつも大臣を辞任した。国民の損害額(推定)は100億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

カルメン・モントン(Carmen Montón Giménez、カルメン・モントン・ヒメネス、写真出典)は、2018年6月7日に発足したスペインのペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権の保健・消費・社会福祉大臣に42歳で就任した。その7年前、国会議員だった2011年(35歳)、フアン・カルロス国王大学で法学の修士号を取得した。

2018年9月12日(42歳)、オンライン新聞「エルディアリオ(El Diario)」が、モントン大臣の修士論文は盗用だと暴露した。

2018年9月12日(42歳)、モントン大臣は盗用を否定しつつも、大臣を辞任した。

フアン・カルロス国王大学(King Juan Carlos University:Universidad Rey Juan Carlos)。写真出典

  • 国:スペイン
  • 成長国:スペイン
  • 修士号取得:フアン・カルロス国王大学
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 男女:女性
  • 生年月日:1976年3月9日
  • 現在の年齢:42歳
  • 分野:法学
  • 最初の不正論文発表:2011年(35歳)
  • 発覚年:2018年(42歳)
  • 発覚時地位:保健・消費・社会福祉大臣
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は新聞記者に情報を伝えた人だと思われるが、詳細不明
  • ステップ2(メディア): 「エルディアリオ(El Diario)」新聞のラクエル・エジェリク(Raquel Ejerique)記者とローラ・ギャラップ(Laura Galaup)記者。「EL PAÍS」新聞のイニゴ・ドミンゲス(Inigo Dominguez)記者とエリサ・シリオ(Elisa Silio)記者
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①新聞記者。②フアン・カルロス国王大学は調査委員会を設置したかどうか不明
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが大学のウェブ公表なし(△)
  • 不正:盗用。また、出席が少ないのに単位取得していた
  • 不正論文数:修士論文1報
  • 修士論文タイトル:Assisted reproduction. A liberation or a setback in equality
    (日本語訳):介助出産。 平等の解放または後退
  • 修士論文審査教授:?
  • 修士論文ページ数:55頁
  • 盗用ページ率:100%(推定)
  • 盗用文字率:不明だが、かなり高い印象
  • 修士号はく奪状況:はく奪なし。調査中?
  • 時期:人生の中期
  • 職:事件後に大臣を続けたやめた・続けられなかった(Ⅹ)。
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は100億円(大雑把)。内訳 ↓

  • ⑩損害額(大雑把)の場合:盗博をした政治家・学長は、その国と政界・大学の権威・公正・信頼を失墜させ、学術界を腐敗させた。普通の国の現職大統領・首相は1000億円、閣僚または学長は100億円、知事または議員は10億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 1976年3月9日:スペインのブルハソットで生まれる
  • 1992年(16歳):スペイン社会労働党(社会党、PSOE、ペソエ)・入党
  • 19xx年(xx歳):バレンシア大学(Universidad de Valencia)で学士号取得:医学。医師免許取得?
  • 1999年(23歳):ブルハソット市議会議員に選出され本格的に政界に進出
  • 2004年(28歳):国会議員に選出
  • 2011年(35歳):フアン・カルロス国王大学で修士号を取得した:法学
  • 2015-2018年(39-42歳):バレンシア州の健康審議官(?)(regional counselor)
  • 2018年6月7日(42歳):スペインの保健・消費・社会福祉大臣に就任
  • 2018年9月10日(42歳):修士論文の盗用が新聞で暴露された
  • 2018年9月12日(42歳):保健・消費・社会福祉大臣を辞任

●3.【動画】

【動画1】
ニュース動画:「修士号事件:モントン大臣の記者会見(CASO MÁSTER | Así fue la DIMISIÓN de la ministra Montón). – YouTube」(スペイン語)5分40秒。
EL PAISが2018/09/11 に公開

【動画2】
ニュース動画:「モントンが保健大臣としてのキャリアを清算した38時間(Las 38 horas en las que Montón ha visto liquidada su carrera como ministra de Sanidad). – YouTube」(スペイン語)1分38秒。
EL PAISが2018/09/12 にアップロード

●4.【日本語の解説】

★2018年9月12日:スペインプレス: PSOE政権で早速辞任 フアン・カルロス1世大学の修士号取得した厚生労働省が辞任

出典 → ココ

スペイン中央政府厚生労働省カルメン・モントン大臣は11日、フアン・カルロス1世大学の修士号取得に関する不正疑惑のため、大臣職を辞任することを発表した。

モントン前大臣はフアン・カルロス1世大学の修士号を取得していたが、その取得に不正があったことが指摘されていた。

これに関し地元メディア「ラ・セクスタ」が前大臣の卒業論文で59ページ中19ページが他者の論文からの無断転載であったことを指摘、直後にPSOEが大臣の進退に関する記者会見を開くと発表、モントン前大臣が辞職を発表した。

★2018年9月12日:スペインプレス: <スペイン・TVE>カルメンモントン保健相が辞任を表明

出典 → ココ 、(保存版

カルメンモントン保健相が辞任を表明。
州司法の不正疑惑が政府に悪影響を及ぼさないようサンチェス首相に辞任を願い出たという。
2010年にフアンカルロス国王大学で修士号を不正に取得したと報じられた。
保健相は不正を否定。
大学側は声明でモントンの修士コースの成績にはいくつかの変更があったことを認めた。
きのう午後テレビがモントンの修士論文の一部に盗用の疑いがあると報じ辞任に追い込まれた。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

2011年(35歳)、カルメン・モントン(Carmen Montón)は、学際的ジェンダー研究でフアン・カルロス国王大学の修士号を取得した

https://www.esdiario.com/620476057/Carmen-Monton-tiene-un-Master-de-la-misma-universidad-que-Cristina-Cifuentes-.html

2018年6月7日(42歳)、モントンは、スペインのペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権の保健・消費・社会福祉大臣に42歳で就任した。

その約100日後、スキャンダルが暴露された。

2018年9月10日(42歳)、オンライン新聞「エルディアリオ(El Diario)」は、モントン大臣は授業にほとんど出席していないのに修士の成績が良かったのは異常だと指摘した。そして、ナント、「授業はどのキャンパスで受けたのですか?」とモントン大臣に質問したら、モントン大臣は答えられなかった。

さらに、モントン大臣の修士論文はウィキペディアや他のウェブサイトからかなりの部分を盗用していたと報道した。
→ 2018年9月10日のラクエル・エジェリク(Raquel Ejerique)記者とローラ・ギャラップ(Laura Galaup)記者の「El Diario」記事:Las inverosímiles explicaciones de la ministra sobre su máster
→ 2018年9月10日のイニゴ・ドミンゲス(Inigo Dominguez)記者とエリサ・シリオ(Elisa Silio)記者の「EL PAÍS」記事:URJC: Carmen Montón, sobre su máster en la Rey Juan Carlos: “No he cometido irregularidades” | España | EL PAÍS
→ 2018年9月11日記事:Las 38 horas de presión en el Gobierno y el PSOE que hicieron caer a Montón

モントン大臣は、2011年6月にジェンダー研究に関する修士論文を提出したと述べている。しかし、この提出時期は、必修科目の単位を修得していない時期なので、異常である。

2018年9月12日(42歳)、新聞で盗用と指摘された2日後、モントン大臣は何も悪いことはしていないと、盗用を否定しつつも、保健・消費・社会福祉大臣を辞任した。

記者会見では、提出したという修士論文(の表紙)を記者に見せたが、修士論文のコピーを記者に提供しなかった。つまり、表紙だけ見せて、中身を検討させなかった。

http://www.eldiarioalerta.com/articulo/espanha/jueza-caso-master-comienza-investigar-carmen-monton/20180921133211044409.html

【盗用の具体例】

2011年(35歳)、モントン大臣はフアン・カルロス国王大学で修士号を取得した。修士論文は55頁の学際的ジェンダー研究に関する論文で、表題は「Assisted reproduction. A liberation or a setback in equality」(日本語訳:介助出産。 平等の解放または後退)である。

新聞「エルディアリオ(El Diario)」の記者はモントン大臣の修士論文を入手した。

新聞「エルディアリオ(El Diario)」によると、55頁の修士論文の文章のほとんどは、ウェイキペディアと他の論文からの盗用だった。

例えば、修士論文の第一章はメキシコ人のモニカ・ペレス(Mónica Pérez)が2004年7月26日に発表した「New identity」をそっくり盗用していた。以下の図は上がモントン大臣の修士論文の文章で下がモニカ・ペレス(Mónica Pérez)の文章である。全く同じである。

https://www.larazon.es/espana/el-trabajo-fin-de-master-de-monton-contiene-parrafos-copiados-de-autores-a-lo-que-no-se-citan-HA19803150

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

省略。

●7.【白楽の感想】

《1》スペイン政治家の連続ネカト

カルメン・モントン(Carmen Montón)。https://www.levante-emv.com/comunitat-valenciana/2015/06/29/carmen-monton-medico-frente-sanidad/1284717.html

本記事のカルメン・モントン(Carmen Montón)が修士論文を提出したのは、2011年6月である。

この4か月前の2011年2月16日、南ドイツ新聞は「グッテンベルク国防相の博士論文は盗用だった」と公表し、ドイツ政界は騒然となった。そして、発覚13日後の2011年3月1日、グッテンベルクは国防相を辞任した。
→ 1‐4‐10.ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki) | 研究倫理(ネカト)

このような盗博事件が身近に起こっているのに、カルメン・モントンは、どうして、盗用修士論文を提出したのだろうか?

グッテンベルク事件を知らないハズはない。この無神経・傲慢・不注意はなんなんだろう? 議員や大臣になると、自分は別格、大丈夫と思うようだが、どうして自分は別格、大丈夫と思うのだろうか?

なお、2018年にスペインの政治家にネカト事件が多発している。

スペイン、大丈夫か?

《2》ファッショナブル

ネカトとは関係ないのだが、マドリード州・知事のクリスティーナ・シフエンテス(Cristina Cifuentes)は、ファッショナブルだった。
→ 法学:「経歴詐称」:クリスティーナ・シフエンテス(Cristina Cifuentes)(スペイン) | 研究倫理(ネカト)

ペドロ・サンチェス首相が選んだ閣僚17人の内6人が男性で、11人が女性である。以下の写真は、会議が終わって閣僚が出てきた場面である。こちらも鮮やかである。右端が本記事のカルメン・モントン大臣(Carmen Montón)である。

https://www.heraldextra.com/news/world/spanish-pm-publishes-thesis-to-dispel-plagiarism-allegations/article_2b7cce8b-eb47-5d54-934f-292b5156f572.html

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カルメン・モントン(Carmen Montón)。https://www.eitb.eus/es/noticias/politica/detalle/5841643/master-carmen-monton-ministra-sanidad-presuntas-irregularidades/

●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Carmen Montón – Wikipedia
② 2018年9月10日のラクエル・エジェリク(Raquel Ejerique)記者とローラ・ギャラップ(Laura Galaup)記者の「El Diario」記事:Las inverosímiles explicaciones de la ministra sobre su máster
③ 2018年9月10日のイニゴ・ドミンゲス(Inigo Dominguez)記者とエリサ・シリオ(Elisa Silio)記者の「EL PAÍS」記事:URJC: Carmen Montón, sobre su máster en la Rey Juan Carlos: “No he cometido irregularidades” | España | EL PAÍS
④ 2018年9月12日。サム・ジョーンズ(Sam Jones)記者の「Guardian」記事:Spain’s health minister quits over degree scandal | World news | The Guardian、(保存版)
⑤ 2018年9月12日。「EL PAÍS」記事::Corruption in Spanish politics: Spanish health minister quits over master’s degree plagiarism | In English | EL PAÍS、(保存版)
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