スザナ・リバス(Susana Rivas)(仏)

2019年11月11日掲載 

ワンポイント:リバスはスペイン人で、スペインのバスク大学(University of the Basque Country)で研究博士号(PhD)を取得し、英国のセインズベリー研究所(Sainsbury Laboratory)・ポスドクになった。ボスはジョナサン・ジョーンズ(Jonathan Jones)である。その後、フランスの植物微生物相互作用研究所(Laboratory of Interactions Plantes-Microorganismes:LIPM)・部長・副所長になった。2016年下旬(46歳?)頃、14年前のポスドク時代の「2002年のPlant Cell.」論文のネカトが発覚した。植物微生物相互作用研究所を辞職した(させられた)と思われる。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説

5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.白楽の手紙
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

スザナ・リバス(Susana Rivas、ORCID iD:、写真)は、スペインのバスク大学(University of the Basque Country)で研究博士号(PhD)を取得し、英国のセインズベリー研究所(Sainsbury Laboratory)・ポスドクになった。ボスはジョナサン・ジョーンズ(Jonathan Jones)である。その後、フランス国立科学研究センター(CNRS)とフランス国立農学研究所(INRA:Institut national de la recherche agronomique)の共同下部組織である植物微生物相互作用研究所(Laboratory of Interactions Plantes-Microorganismes:LIPM)・部長・副所長になった。専門は植物学である。

2016年(46歳?)、セインズベリー研究所のジョナサン・ジョーンズ教授は自分の研究室から出版した「2002年のPlant Cell.」論文に画像の重複使用があることに気が付いた。ポスドクだったリバスが第一著者の、14年前に出版した論文である。

ジョーンズ教授はネカトを学術誌・編集部に連絡し、論文は2017年2月に撤回された。

2019年11月10日(49歳?)現在、セインズベリー研究所も、ネカト発覚時にリバスが所属していた植物微生物相互作用研究所も、リバスのネカト論文について沈黙を保っている。調査中なのか、調査中どころか調査委員会を設置していないのか、不明である。

結局、リバスの 2002-2014年(32-44歳?)の13年間、9論文に疑念があり、2002-2011年(32-41歳?)の10年間の6論文が2015-2019年(45-49歳?)に撤回された。

2019年11月10日(49歳?)現在、植物微生物相互作用研究所(Laboratory of Interactions Plantes-Microorganismes:LIPM)のサイトで「Susana Rivas」を検索してもヒットしない。リバスは辞職した(させられた)と思われる:Laboratory of Plant-Microbe Interactions – LIPM –

植物微生物相互作用研究所(Laboratory of Interactions Plantes-Microorganismes:LIPM)。写真出典

  • 国:フランス
  • 成長国:スペイン
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:スペインのバスク大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1970年1月1日生まれとする。1997年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
  • 現在の年齢:51 歳?
  • 分野:植物学
  • 最初の不正論文発表:2002年(32歳?)
  • 不正論文発表:2002-2014年(32-44歳?)の13年間
  • 発覚年:2016年(46歳?)頃
  • 発覚時地位:植物微生物相互作用研究所(Interactions Plantes-Microorganismes:LIPM)・部長・副所長
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はジョナサン・ジョーンズ教授(Jonathan Jones)で学術誌に通報
  • ステップ2(メディア):レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事、「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②セインズベリー研究所は調査委員会を設置していない? ②植物微生物相互作用研究所も調査委員会を設置していない?
  • 研究所・調査報告書のウェブ上での公表:なし。調査していない?
  • 研究所の透明性:発表なし。調査していない?(✖)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:9~10論文が疑念で、内6論文が撤回
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)をやめた・続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分:
  • 日本人の弟子・友人:吉岡博文(ヨシオカ ヒロフミ、名古屋大学・農学・植物生産科学・准教授)が2001年6月 – 2001年11月に英国のセインズベリー研究所(Sainsbury Laboratory)に留学していた時、リバスは在籍していた。リバスと共著論文がある

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は5億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:Susana Rivas

  • 生年月日:不明。仮に1970年1月1日生まれとする。1997年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
  • 19xx年(xx歳):xx大学(xx)で学士号取得
  • 1997年(27歳?):スペインのバスク大学(University of the Basque Country)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1997年(27歳?):英国のセインズベリー研究所(Sainsbury Laboratory)・ポスドク。ボスはジョナサン・ジョーンズ(Jonathan Jones)
  • 2003年(33歳?):フランスのフランス国立科学研究センター(CNRS)とフランス国立農学研究所(INRA:Institut national de la recherche agronomique)の共同下部組織である植物微生物相互作用研究所(Interactions Plantes-Microorganismes:LIPM)・グループリーダー
  • 2012年(42歳?):同・部長
  • 2016年4月(46歳?):同・副所長:Laboratory of Plant-Microbe Interactions – LIPM – Organization chart
  • 2016年下旬(46歳?)頃:14年前の「2002年のPlant Cell.」論文にネカト発覚
  • 2017年2月(47歳?):ネカト発覚による最初の論文撤回
  • 2019年11月10日(49歳?)現在:植物微生物相互作用研究所を辞職した(させられた)と思われる:Laboratory of Plant-Microbe Interactions – LIPM –

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★発覚の経緯

以下の記述の多くはレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事を基にした。 → 2017年2月27日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Susana Rivas: a new research integrity scandal in French plant sciences – For Better Science

1997年(27歳?)、スザナ・リバス(Susana Rivas)は、スペインのバスク大学(University of the Basque Country)で研究博士号(PhD)を取得し、英国のセインズベリー研究所(Sainsbury Laboratory)のジョナサン・ジョーンズ教授(Jonathan Jones、写真出典)の研究室のポスドクになった。

丁度その頃、のちにネカトが発覚するオリヴィエ・ヴォワネ(Olivier Voinnet)がセインズベリー研究所の別の研究室・デイビット・バウルクーム教授(David Baulcombe)研究室の院生だった。後にリバスはヴォワネと共著の論文を出版しているが、この頃から知り合いだったのだろう。

2015年(45歳?)、オリヴィエ・ヴォワネのネカト疑惑がフランスで大きなニュースになった。

2016年下旬(46歳?)頃、パブピアで何も指摘されていなかったが、ヴォワネ事件が気になったジョーンズ教授は、自分の研究室で出版した論文にネカトはないのかどうか、チェックした。

すると、ポスドクのリバスが第一著者の「2002年のPlant Cell.」論文(書誌情報は以下)に画像の重複使用があることに気が付いた。それで、リバスに確認を取った後、学術誌・編集部に撤回するよう連絡した。論文は2017年2月に撤回された。

2017年2月に上記論文は撤回されたが、それ以前の2015年11月に、リバス の「2003年のPlant J.」論文(書誌情報は以下)も撤回されていた。但し、この論文は、前述したオリヴィエ・ヴォワネ(当時、院生)が第一著者でリバスは第二著者である。そして、当時、オリヴィエ・ヴォワネの単独ネカト犯として処理された。

しかし、リバスのネカト行為が表面化し、現在、上記の「2003年のPlant J.」論文のネカトはオリヴィエ・ヴォワネの単独犯ではなく、リバスが関与していたと考える研究者もいる。

なお、2019年11月10日(49歳?)現在、ポスドク時代にネカト論文を出版した時の所属先である英国のセインズベリー研究所も、ネカト発覚時に所属していたフランスの植物微生物相互作用研究所も、リバスのネカトに関して沈黙を保っている。調査中なのか、調査中どころか調査委員会も設置していないのか、不明である。

【ねつ造・改ざんの具体例】

リバスのネカト論文がリストされている。 → https://drive.google.com/file/d/0By2HqPi4t2RbNGsxU09FR2VpM1k/view

どの論文の何がどのようにねつ造・改ざんされたのか、2論文を例に以下に示す。なお、同様な電気泳動バンドの再使用が他の論文にも多数見つかっている。

★「2008年のGenes Dev.」論文

「2008年のGenes Dev.」論文の書誌情報を以下に示す。2019年11月10日現在、撤回されていない。

どの部分がどのように不正だったのか、パブピアで見てみよう。

2018年8月7日に、図6の電気泳動バンドが重複使用されていると、指摘された「Megaphyllum Projectum: ( commented August 7th, 2018 5:34 AM and accepted August 9th, 2018 9:42 PM)」。

以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/3C526137DB3E41DFEC8B76A1D70A0D#1

上記のAの3は以下のDの5の反転したバンドと同じ。

★「2010年のPlant Physiol Biochem」論文

「2010年のPlant Physiol Biochem」論文の書誌情報を以下に示す。2019年11月10日現在、撤回されていない。

どの部分がどのように不正だったのか、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事で見てみよう。

以下の図の出典:【主要情報源】の①

「2010年のPlant Physiol Biochem」論文の図2Bは、①自分たちの「2010年のProc Natl Acad Sci U S A」論文の図2Bのバンドを上下に少し伸ばして再使用した(黄緑色枠内)。また、②同じ5連のバンドを再使用した(赤色枠内)。③赤矢印下線のバンドは、白楽、どういうネカトなのか、わかりません。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2019年11月10日現在、パブメド(PubMed)で、スザナ・リバス(Susana Rivas)の論文を「Susana Rivas[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2019年の18年間の57論文がヒットした。

「Rivas S[Author]」で検索すると、1977~2019年の43年間の155論文がヒットした。

2019年11月10日現在、「Rivas S[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、6論文が撤回されていた(8報ヒットするが2報は撤回告知なので、6報)。

★撤回論文データベース

2019年11月10日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでスザナ・リバス(Susana Rivas)を「Rivas, Susana」で検索すると、10論文がヒットし、6論文が撤回されていた。Retraction Watch Databaseの上右「Nature of Notice」の右にチェックを入れ、「Retraction」にすると、撤回論文(数)が表示される。

★パブピア(PubPeer)

2019年11月10日現在、「パブピア(PubPeer)」では、スザナ・リバス(Susana Rivas)の論文のコメントを「Susana Rivas」で検索すると9論文にコメントがあり、「Rivas」で検索すると33論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》公式調査 

前述したように、ネカト論文をポスドク時代に出版したセインズベリー研究所も、ネカト発覚時に所属していた植物微生物相互作用研究所も沈黙を保っている。調査中なのか、調査中どころか調査委員会を設置していないのか、不明である。

それで、スザナ・リバス(Susana Rivas)がネカト犯(あるいはネカト犯ではない)と公式に認めた発表がない。

ネカト事件の場合、どう見てもネカトと思えるのに調査委員会や裁判所がシロと発表すると、白楽としては、何ともやり切れない。ネカトを権力者が意図的・積極的に無視する姿勢を感じ、この国は腐っていると感じてしまう。そのような例は海外にもたくさんあるが、日本の例を挙げれば、東大・医学部教授事件であり、信州大学の池田修一事件である。

そして、今回のリバス事件のように、当局(オーソリティ)が調査しない場合も、ネカトを意図的・積極的に無視する姿勢を感じ、白楽としては、何ともやり切れない。

これでは、何も進歩しない、改善しない。悪がズルズルと成長する。

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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい(富国公正)。正直者が得する社会に!
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●9.【主要情報源】

①  2017年2月27日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Susana Rivas: a new research integrity scandal in French plant sciences – For Better Science
②  2017年6月5日のアビクトリア・スターン(Victoria Stern)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Authors retract two plant biology papers over duplicated images – Retraction WatchPosted onJune 5, 2017
③  2018年3月16日のアリソン・アブリチス(Alison Abritis)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Caught Our Notice: Voinnet co-author issues another correction – Retraction Watch
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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