「アカハラ」:化学工学:アリス・ガスト(Alice Gast)(英)

2021年5月25日掲載 

ワンポイント:米国で化学工学者として成功したガストは、2014年1月3日(55歳)、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の学長に就任した。しかし、2018-2020 年(59-61歳)の2年間、上級職員1人と数十人のフタッフにアカハラ行為(軽蔑、無能と非難)をしていたと、2020 年春に告発された。2020年12月(62歳)、ガストと財務責任者のミュアー・サンダーソン(Muir Sanderson)はアカハラを認め謝罪した。18か月後の契約終了時にガストの学長更新はなくなった。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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学長という職責を鑑みて


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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

アリス・ガスト(Alice Gast、写真出典)は、米国で化学工学者としての研究キャリアを積んだ女性で、2014年1月3日(55歳)、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の学長に就任した。

2020 年春(61歳)、2018-2020 年(59-61歳)の2年間、上級職員1人と数十人のフタッフにアカハラ行為(軽蔑、無能と非難)をしていたと、告発された。

調査の結果、アカハラ行為があったと結論した。しかし、調査報告書は公表されなかった。

2020年12月(62歳)、ガストと財務責任者のミュアー・サンダーソン(Muir Sanderson)はアカハラを認め謝罪した。

その時点でガストへの処分はなかったが、18か月後の契約終了時に学長職の更新はされないことになった。

なお、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College of London)は、「Times Higher Education」の大学ランキングで世界第11位の超名門大学である。 → World University Rankings 2021 | Times Higher Education (THE)

インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College of London)。上の写真出典、下の写真出典

  • 国:英国
  • 成長国:米国
  • 研究博士号(PhD)取得:米国のプリンストン大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:1958年5月25日
  • 現在の年齢:63 歳
  • 分野:化学工学
  • アカハラ行為:2018-2020 年(59-61歳)の2年間
  • 最初に訴えられた:2020年(61歳)
  • 社会に公表年:2020年(62歳)
  • 社会に公表時地位:インペリアル・カレッジ・ロンドン・学長
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は被害者らしいが詳細不明
  • ステップ2(メディア):「Chronicle of Higher Education」、「Guardian」など多数のメディア
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①弁護士でQC(フリーランス調査員?)のジェーン・マクニール(Jane McNeill QC)の調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学・処分のウェブ上での公表:あり
  • 大学の透明性:機関以外が詳細をウェブ公表(⦿)
  • 不正:アカハラ
  • 被害者数:1人の上級職員、数十人の職員
  • 時期:研究キャリアの後期から
  • 職:事件の18か月後は更新なし(▽)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】 国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

参考:①:Lehigh University: President Alice P. Gast: Biography、②Alice P. Gast | P.C. Rossin College of Engineering & Applied Science

  • 1958年5月25日:米国、テキサス州に生まれた
  • 1980年(22歳):米国の南カリフォルニア大学(Yale University)で学士号取得:化学工学
  • 1984年(26歳):米国のプリンストン大学(Princeton University)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1984年(26歳):フランスのパリ市立工業物理化学高等専門大学(École Supérieure de Physique et de Chimie Industrielles)・ポスドク
  • 1985年(27歳):米国のスタンフォード大学(Stanford University)・教員(助教授?、後、教授?)
  • 2001年(43歳):米国のマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)・教授、研究担当副学長、学務副主任(副プロボスト、associate provost)
  • 2006年(48歳):米国のリーハイ大学(Lehigh University)・学長
  • 2014年1月3日(55歳):英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)・学長
  • 2020年12月(62歳):アカハラと結論されたが、大学から解雇されず

●3.【動画】

学長なのでたくさんの動画がある:Alice Gast – YouTube

【動画1】
インタビュー動画:「President to President: Alice Gast meets Tom Wheeler – YouTube」(英語)5分1秒。 Imperial College Londonが2014/10/10に公開

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★アリス・ガスト(Alice Gast)の人生

アリス・ガスト(Alice Gast、写真出典)は、米国で生まれ育ち、米国の化学工学の研究者だった。

2006年(48歳)、米国のリーハイ大学(Lehigh University)・学長に就任した。

2014年1月3日(55歳)、そして、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)・学長に就任した。年収は£554,000(約7,800万円)で、英国の学長として最高額である。

ガストの夫は、南カリフォルニア大学の学生時代に知り合ったブラッドリー・アスキンズ(Bradley J. Askins、写真出典)で、アスキンズはコンピューター科学者である。2人の間にはレベッカ( Rebecca )とデイヴィッド(David)の2人の子供がいる。

Brad Askins | LinkedIn」の情報では、夫・アスキンズの滞在先がロンドンなので、妻・ガストの学長就任に帯同したと思われる。 つまり、アカハラ時に、夫は一緒に住んでいた(推定)。子供は既に成長している。

★アリス・ガスト(Alice Gast)のアカハラ事件概略

ガストは、インペリアル・カレッジ・ロンドンのスタッフを職場でイジメていた。

2020年6月(62歳)、弁護士でQC(フリーランス調査員?)のジェーン・マクニール(Jane McNeill QC、写真出典)が調査を始めた。[なお、誰がこの調査を依頼した人なのか、白楽は把握できていない]

2020年夏(62歳)、インペリアル・カレッジ・ロンドンの何十人ものスタッフは、ガストに軽蔑され、無能呼ばわりされたとアカハラ被害を証言した。調査員はそのアカハラの実態を聞いて涙が出たと述べている。

マクニールによる調査の結果、ガストは上級職員をイジメていたこと、また、財務責任者は、2月下旬から3月中旬にかけて2人の同僚をイジメていたと結論した。

アカハラがあったことが明確になったにもかかわらず、ガストに対する処分は何も科されなかった。[なお、英国では誰かが学長を処分できるのか、誰もできないのか、白楽は把握できていない]

ただ、マクニール報告書(学長のアカハラ調査報告書)は公表されなかった。

情報公開法に基づいて、マクニール報告書の公表を要求したが、インペリアル・カレッジ・ロンドンは、拒否した。  → 2020年12月7日の情報公開の要求と大学による拒否:Release the Jane McNeill QC report into allegations of bullying by Imperial president Prof Alice Gast – a Freedom of Information request to Imperial College London – WhatDoTheyKnow

インペリアル・カレッジ・ロンドンの教職員及び他の人々は、調査のプロセスが不透明性だと批判し、外部も隠蔽だと非難した。

また、ガストとインペリアル・カレッジ・ロンドンの経営陣が報告書の公表を妨害したと非難した。

2020年12月、ガストと財務責任者のミュアー・サンダーソン(Muir Sanderson)は、スタッフをいじめたことを認め、ガストは「私が犯した過ちについて心からの謝罪する」と謝罪した。

ガストは18か月後に学長の契約が切れる。ガストの学長職は更新されないことになった(ガストが申しでた?)。

【アカハラの具体例】

アカハラの具体的内容は、調査報告書が公表されていないために、ほぼ不明である。

被害者も不明である。

ただ、ガストは敵味方をハッキリさせるタイプの人だそうだ。

彼女の側につけば仲良しだが、敵とみなされるとかなり残酷な扱いをすると、匿名者は述べている。

アカハラは、2018年頃からで、COVID-19のパンデミックが始まってから顕著になったとされている。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

省略

●7.【白楽の感想】

《1》学長をコントロールできる人

アリス・ガスト(Alice Gast)は世界のトップクラスの大学であるインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の学長になった。

その学長がアカハラをした。そして、英国では、学長の不適切な行為に対して、それなりの正義が下された。[なお、英国では誰かが学長を処分できるのか、誰もできないのか、白楽は把握できていない]

弁護士でQC(フリーランス調査員?)のジェーン・マクニール(Jane McNeill QC)が大学とは独立に調査し、それなりの結論を出した。[なお、白楽は、英国の「QC」の権限や役割を良く理解できていない。誰がこの調査を依頼した人なのか、白楽は把握できていない]

「QC」の権限や役割を良く理解できていないが、学長のアカラハ行為をアカハラだと断定できるオーソリティだということはわかる。

ただ、マクニールの調査報告書は公表されなかった。これは大学の妨害だとあるが、この隠蔽に大学がどれほど関与したのか、白楽はわからなかった。

日本では、学長の不祥事はほぼドロ沼化している。

《2》悪文化

アリス・ガスト(Alice Gast)は指導者として失格である。それなのに、どうしてこのような不適切な人を高い地位につけてしまうのか?

アカハラだけでなく、性不正でも、ネカトでも、不適切な人が高い地位に就けば、権限が大きくなり、被害は大きくなる。

採用側に問題がある。

本人は、従来通りの言動をしていただけだ。それが、地位が高くなって、影響力が強くなっただけだ。

だから、そういう人を偉くしてはイケナイ。

本来、社会組織としてそのようなメカニズムが必要で、人事では「能力と人間性」で採用・昇進を判断しなければならない。

今回は英国の例だが、「能力と人間性」で採用・昇進を判断する文化は、英国よりも、日本の方が貧弱である。その結果、「能力と人間性」に問題のある人が社会で重要な役職に就いている。

日本のこの悪文化は顕著である。

例えば、財務省の福田淳一事務次官(58)、どうしてこんな人を事務次官にしてしまうの? → 2018年04月19日記事:財務省次官のセクハラ疑惑| ハフポスト

事務次官を辞任したその福田淳一をどうして大学院の講師に委託するの? → 2020年7月14日記事:セクハラ辞任の福田前財務次官、オンライン大学院の委託講師に:東京新聞 TOKYO Web

さらにどうして社外取締役に採用するの? → 2021年04月28日記事:SBI社外取に福田元次官 末松前農水次官も:時事ドットコム

福田淳一だけではなく、このような不適切な人事がゴマンとある。

谷脇康彦総務審議官や山田真貴子内閣広報官(元総務審議官)の接待問題、どうしてこんな人を偉くしてしまうの? → 2021年2月26日の毎日記事:総務省幹部接待、立件の可能性は? 職務上の権限、金額がカギに | 毎日新聞

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Alice Gast – Wikipedia
② 2020年12月7日のアンナ・マッキー(Anna McKie)記者の「Times Higher Education」記事:Imperial stands by Alice Gast after ‘bullying’ probe | Times Higher Education (THE)
③ 2020年12月7日のベン・クイン(Ben Quinn)記者の「Guardian」記事:Imperial College accused of cover-up over claims of bullying by president | Imperial College London | The Guardian
④ 2020年12月14日の「Imperial College London」記事:Independent investigation – Recommendations, action plan and next steps | Imperial News | Imperial College London
⑤ 2020年12月14日のベン・クイン(Ben Quinn)記者の「Guardian」記事:Imperial College London leaders admit they bullied colleagues | Imperial College London | The Guardian
⑥ 2021年2月16日のジョシュ・ホワイト(Josh White)記者の「Daily Mail Online」記事:Britain’s highest paid university boss will stand down when her contract expires | Daily Mail Online
⑦ 2021年2月16日の「london news」記事:UK’s highest paid college boss resigns when her contract expires
⑧ 2021年2月17日のアジョージー・マッカートニー(Georgie McCartney)記者の「tab」記事:Alice Gast will step down as Imperial College president at the end of her contract
キャンペーン · Call for the resignations of Alice Gast, and Muir Sanderson · Change.org ★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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