メレディス・フォーブス(Meredyth Forbes)(米)


2016年6月26日アップ。

ワンポイント:ねつ造・改ざんをしたと自発的に告白した2016年の院生の事件

●1.【概略】

anonymous womanメレディス・フォーブス(Meredyth M. Forbes、写真なし)は、米国・アルベルト・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)・院生で、専門は発生生物学(ゼブラフィッシュの発生過程での極性形成)で、医師ではない。若い白人女性である。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.研究内容
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
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2016 年6月2日(27歳?)、研究公正局は、フォーブスが、3論文、4発表で、ねつ造・改ざんをし、フォーブスに3年間の締め出し処分を科したと発表した。
PriceBig米国・アルベルト・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 研究博士号(PhD)取得:院生なので未取得
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1989年1月1日生まれとする。2007年に大学入学時を18歳とした
  • 現在の年齢:28 歳?
  • 分野:発生生物学
  • 最初の不正論文発表:2014年(25歳?)
  • 発覚年:2016年(27歳?)
  • 発覚時地位:アルベルト・アインシュタイン医科大学・院生
  • ステップ1(発覚):第一次追及者なし。本人の告白
  • ステップ2(メディア): 「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①アルベルト・アインシュタイン医科大学・調査委員会。②研究公正局。~2016年6月2日
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:3論文、4発表
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 結末:退学。3年間の締め出し処分

●2.【経歴と経過】

出典:Meredyth Forbes | LinkedIn

  • 生年月日:不明。仮に1989年1月1日生まれとする。2007年に大学入学時を18歳とした
  • 2007年 – 2011年(18-22歳?):米国・ドレクセル大学(Drexel University)卒業。学士号
  • 2011年 – 2013年(22-24歳?):米国・アルベルト・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)で修士号取得
  • 2013年(24歳?):米国・アルベルト・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)、博士課程進学
  • 2016年1月(27歳?):研究ネカトを指導教官に告白
  • 2016年1月(27歳?):アルベルト・アインシュタイン医科大学を退学
  • 2016 年6月2日(27歳?):研究公正局がフォーブスの研究ネカトを発表した

●5.【不正発覚の経緯と内容】

Florence Marlowメレディス・フォーブス(Meredyth Forbes)は、米国・アルベルト・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)のフローレンス・マーロウ教授(Florence Marlow、写真出典)研究室の院生だった。

2016年1月、フォーブスはマーロウ教授と提出する予定の博士論文の内容をディスカションしていた。そのディスカションしている時、自分が研究ネカしていたことを告白した。

フォーブスは、告白後、まもなく、アルベルト・アインシュタイン医科大学を退学し、マーロウ研究室を去った。

3232-edward-burns研究ネカトは、アルベルト・アインシュタイン医科大学の研究倫理官・エドワード・バーンズ(Edward R. Burns、病理学教授、写真出典)を通して、研究公正局に伝えられ、アルベルト・アインシュタイン医科大学及び研究公正局が調査を開始した。

2016年6月2日(27歳?)、研究公正局は、フォーブスが3論文、4発表で、ねつ造・改ざんしたと発表した(【主要情報源】①)。

3つの論文:

  1. Development. In press, published online, Dec 23, 2015; doi:10.1242/dev.129023 (hereafter referred to as the “December 2015 Development paper”) → 以下の点が不正。
    ねつ造:fabricated numbers for data presented in eight (8) graphs and one (1) illustration inFigures 5F, 7C, 7E, 8C, 8F-I, 9C, and 9D。
  2. Cell Reports 12:49-57, 2015 (hereafter referred to as the “Cell Reports paper”) → 以下の点が不正。
    改ざん:falsified thirty-eight (38) fluorescent image panels by drawing staining in PhotoShop and falsely labeling them in Figures 1F, 1G, 2A, 2C, 2E, 2F, 2G, 3A, 3D, 4A, and S2A in the Cell Reports paper
    ねつ造:fabricated numbers for data presented in ten (10) graphs in Figures 1L, 2B, 2D, 2H, 3B, 4B, 4C, S2B, S2C, and S3B
  3. Development 142(15):2704-18, 2015 Aug 1 (hereafter referred to as the “August 2015 Development paper”) → 以下の点が不正。
    改ざん:falsified twenty-four (24) fluorescent image panels by drawing staining in Photoshop and falsely labeling them in Figures 5B, 5C, 5D, 5E, 7A, 7B, 7D, 8A, 8B, 9A, and 9B

4つの発表:

  1. “Maternal dazap2 regulates germ granules via counteracting Dynein in zebrafish primordial germ cells.” Laboratory Presentation, January 28, 2015 (hereafter referred to as the “Lab Presentation 2015”)
  2. “Maternal dazap2 regulates germ granule formation in zebrafish primordial germ cells.” Presented at the Germ Cells, Cold Spring Harbor, NY, October 2014, NYC-Wide Stem Cell Event, “Stem Cells in the City,” NY, November 2014, Mid-Atlantic Regional Zebrafish Meeting, PA, November 2014, and New York Metropolitan Zebrafish Meeting, Cornell, NY, January 2015 (hereafter referred to as “Poster 1, 2014-2015”)
  3. “Cytoskeleton, microtubules, centrosomes, germline cyst, Bucky ball, oocytes.” Poster presented at the Mid-Atlantic Regional Zebrafish Meeting, Bronx, NY, July 2015 (hereafter referred to as “MARZ 2015”)
  4. “Bucky ball associates with the centrosome and promotes microtubule cytoskeleton rearrangements to establish oocyte polarity in zebrafish.” Poster presented at the American Society for Cell Biology (ASCB) Meeting, San Diego, CA, December 2015 (hereafter referred to as “ACSB 2015”)

★「2015年8月号のDevelopment」論文

研究ネカトと指摘された「2015年8月号のDevelopment」論文を閲覧してみよう。

論文は、2016年5月に「訂正」 をしている。訂正箇所は図2だった(以下)。
inline-graphic-1

改ざんは図5B, 5C, 5D, 5E, 7A, 7B, 7D, 8A, 8B, 9A, 9Bの24枚の蛍光像だとあるので、訂正箇所とは別物だ。

以下、改ざんされた図5B, 5C, 5D, 5Eと、改ざんされていない図5Aを示した。
F5.large-1

図5B, 5C, 5D, 5Eを見ていても、しかし、蛍光像のどこをどのように改ざんしたのか、白楽にはわかりません。パブピアにもコメントはない

改ざんされた別の図を見てみよう。

改ざんされた図7A, 7B, 7Dを、以下に示した。

F7_large-1

やはり、どこをどのように改ざんしたのか、白楽にはわかりません。

●6.【論文数と撤回論文】

2016年6月24日現在、パブメド(PubMed)で、メレディス・フォーブス(Meredyth Forbes)の論文を「Meredyth Forbes [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2014~2016年の3年間の6論文がヒットした。内1論文は論文撤回の通知なので、実績は5論文である。

しかし、5論文もあれば、院生としては論文が多い、優秀な院生と思われていただろう。

2016年6月24日現在、撤回論文数は1報である。以下の「2015年のCell Rep.」論文が2016年4月に撤回された。

●7.【白楽の感想】

《1》研究ネカトの自白

メレディス・フォーブス(Meredyth Forbes)のように、自分から研究ネカトを告白するケースは、今まで数百件の事件を調べた中で数回あるが、珍しい。

例えば、ポスドクの「ロバート・ガリス(Robert Gullis)(英)」、そして中高年の「化学:ジョセフ・コート(Joseph Cort)(米)」は自発的に告白した(ガリスは仕方なしに?)。

院生は訓練生で、研究の思想・知識・スキルは未熟である。

研究ネカトをしてしまっても、初期ならば、指導教官とのやり取りや「研究のあり方」の自己学習・セミナー・講演会を通して、自己修正し、研究ネカト部分を発表しないで廃棄し、研究者として成長できるだろう。

フォーブスは、しかし、研究公正局に「3論文、4発表」のねつ造・改ざんを指摘された。既に修正不可能な段階まで来てしまったということだ。

院生にはなるべく早く修正の機会を与えるべきだ。指導教官は、院生に最初の学会発表を計画したときに仕込むべきだろう。

《2》指導教官が研究データを精査する

指導教官が研究データを煮詰めていけば、院生のねつ造・改ざんは、“ほとんど”見つけられると思う。“ほとんど”が99%なのか、30%なのか、研究者によるだろうが、白楽の場合、99%に近いと思う。

院生が出したデータを、学会や論文として発表・出版する場合、白楽は、院生と1対1でデータを詳細に検討した。通常は、生データを持ってこさせ、かなり細かいことまで、突っ込んで質問した。

なかには途中で黙り込む院生、途中で怒り出す院生、生データを持ってこない院生が少数いた。その場合は、その院生のデータを信用できないので、学会や論文発表はしなかった。

上記の拒否反応はしなくても、1対1の詳細検討にパスしない院生のデータは、白楽は、基本的に、学会や論文として発表・出版しなかった。

ただ、予想外の行動をとった院生が2人いた(2人の在籍はオーバーラップがない)。白楽と院生がじっくり検討したデータ「以外」のデータで、学会発表した院生が2人いた。とても驚いた。

後でただすと、1人は、どうしてか知らないが、白楽に報告したデータは「発表済データ」だと思って、学会発表では別のデータを用意したそうだ。この院生は、優秀だった。2度と同じ過ちを繰り返さなかった。

もう1人は、社会人院生で、後で質問しても、こちらの質問に答えず、研究室を去った。この院生は、どうしてか知らないが、勘違いの激しい人だった。

そういえば、白楽も院生時代、どうしてか知らないが、指導教官の名前を入れないで海外の学術誌に論文を発表したことがある。また、筑波大学・講師時代、どうしてか知らないが、研究を手伝ってくれた院生を共著者に入れないで論文発表したことがある。今思うに、どちらも、トンデモない行為だった。反省している。

今回の院生・フォーブスは、学会発表や論文発表ではそこそこの研究ネカトはしてもいいのだと、どうしてか知らないが、思い込んでしまったのだろう。

若い時の、どうしてか知らないが、トンデモない思い込みで、人生を台無しにしない仕組みも高等教育には必要だ。

●8.【主要情報源】

① 2016 年6月2日、研究公正局の報告:Case Summary: Forbes, Meredyth M. | ORI – The Office of Research Integrity2016 年6月16日
② 2016 年4月27日のシャノン・パラス(Shannon Palus)の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Einstein grad student admits cooking data, settles with Office of Research Integrity – Retraction Watch at Retraction Watch
③ 2016 年6月2日のシャノン・パラス(Shannon Palus)の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Grad student who confessed to falsifying data barred from government funding – Retraction Watch at Retraction Watch
④ 「パブピア(PubPeer)」のフォーブスの記事群:PubPeer – Results for Meredyth M. Forbes
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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