「白楽の感想」集:2017年9-12月

2022年9月9日掲載 

「白楽の研究者倫理」の2017年9~12月記事の「白楽の感想」部分を集めた。

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《1》コクハラ

ネカト告発者に対する個人及び組織的なハラスメント(つまり、コクハラ)、の実態はどうなっているのだろう? 誰か研究しているのだろうか?

国別、時代別、法規との関係、コクハラ者と告発者の身分・性、両者の関係など、誰か、調査研究してほしい。

ネカト撲滅の大きな弱点は告発者が保護されないことなのだ。

ナバ・サフー(59歳)は告発した部下のエイダ・ミシュラ(Adya Prasad Mishra、55歳)とバーバ原子力センターの研究室で素手で殴り合いの喧嘩をした。この事件は警察沙汰になり、新聞に報道された。

どちらが悪いか不明だが、ネカト者と告発者が同じ場所にいれば、ネカト者は報復のコクハラをする。不当解雇もあった。暴行事件もあった。そして、殺人(未遂)事件にもなったのである。

《2》ネカトの始末

ナバ・サフー(Naba K. Sahoo)は盗用が指摘された時、58歳で、あと2年で定年退職である。バーバ原子力センターは調査委員会を設けたとあるが、どうやら飾りの御用委員会らしい。処分なしで退職させる印象だ。

となると、ネカト育成になる。

間接的な被害者はインド社会とインド人である。そして、国際社会と世界の人々も間接的な被害者である。

《3》自己盗用は不正?

自己盗用は明確な盗用とする人たちと、盗用ではないとする人たちがいて、意見は収束していない。

白楽は自己盗用をネカトではなくクログレイに分類している。さらに言えば、基準(序論、材料・方法は可など)を設定し、許容すべきとの意見だ。

ただし、ナバ・サフーが論文を掲載した学術誌は、「投稿原稿は他の学術誌・文書で出版(含・予定)されていないこと」との規定がある。この規定は自己盗用を想定していなかったかもしれないが、この規定では、自己盗用は盗用でネカトである。

自己盗用は、現在、学術誌によって扱いが異なる。この未調整は望ましい状態ではない。一方、米国・研究公正局は自己盗用をネカト扱いしていない。といっても、そもそも、米国・研究公正局はねつ造・改ざんを主体に扱い、ここ何年も盗用のネカト者を摘発していない。

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《1》いい加減な研究所

ワイツマン科学研究所はセーガー教授(写真出典)を解雇しなかった。ワイツマン科学研究所は調査でねつ造実行者を特定できなかったとあるが、特定しなかったのではないだろうか?

どちらにしろ、11論文も撤回したセーガー教授を解雇しないのは、異常と思えるほど処分が甘い。

だから、2000-2014年の15年間にもわたってデータねつ造をしていたのである。

「研究上の不正行為」は、初めて不審に思った時、徹底的に調査し厳罰を科すことだ。

法則:「ネカトでは早期発見・適切処分が重要である」

不正の初期で見つけて処分しておけば、①改心して、以後、不正をしない。②あるいは、不正者はあまり出世しないので不正行為の影響が少ない。のどちらかになった公算が高い。

さらに、標語:「ネカト者は学術界から追放!」に従えば、つまり、最初のネカト論文を出版した2000年に調査し、セーガーを学術界から追放しておけば、その後のネカトは防げた。

「研究上の不正行為」は、知識・スキル・経験が積まれると、なかなか発覚しにくくなるし、長期にわたると、不正行為の影響が大きくなる。

ドイツのネカト・ハンターのレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)は、ワイツマン科学研究所のいい加減さを強く非難している。白楽も同意する。
→ The PubPeer Stars of Weizmann Institute – For Better Science

ワイツマン科学研究所はセーガー教授を解雇していないが、そもそも、ワイツマン科学研究所の多くのネカト疑念者の中で調査したのはセーガー教授だけである。

ワイツマン科学研究所の研究員であるジェイコブ・ハンナ(Jacob Hanna)も強くネカトを疑われたが、ワイツマン科学研究所は調査していない。
→ ジェイコブ・ハンナ(Jacob Hanna)(イスラエル)

《2》人生

11論文も撤回したセーガー教授(写真出典)は解雇されず、テクニシャンと共に出版した論文のネカト状況を調べることが命じられた。

ワイツマン科学研究所は大学院大学である。院生の指導をしない教授がどれほど在籍しているのか不明だが、院生の指導しない教授の存在意味って、大学院大学ではどれほどだろう。

無駄な経費・スペース・ポストを投入している気がする。

《3》詳細は不明

この事件は、ズサンとはいえワイツマン科学研究所が調査した。甘いとはいえ処分を下した。

しかし、事件の詳細は見えない。

ネカト実行犯がどうして特定できないのか?

セーガー(右)の若い時(1997年?)。https://wis-wander.weizmann.ac.il/space-physics/molecular-radar

「2014年のMol Cell Biol.」論文で示したように、セーガー教授がシロなら、エルダー・ゼホライ(Eldar Zehorai)がクロである。

それなのに、実行犯が特定できないとある。本当は特定「できなかった」ではなく、特定「しなかった」のではないだろうか?

いずれにせよ、実行犯を特定しないとネカト発生状況を明確にできない。そうなると防止策の焦点が絞れない。

白楽は、読者の皆さんに、この事件から、研究ネカトシステムの改善につながる点、学べる点を示せない。

う~ん、しいて学べば、ズサンな調査は役に立たないばかりか、ネカトを助長しかねないという教訓だろうか。

2015-11-19 http://www.glmc.edu.cn/bmdt/2015/11/19122453460437.html

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《1》「間違い」を指摘された時

ジャック・ショスタク(Jack W. Szostak)は「間違い」で2回、論文を撤回している。「間違い」と指摘された時の対応が誠実である。

人間、誰でも間違える。「間違い」を指摘された時、あるいは、自分で見つけた時、どう対処するか・対処できるかで人間の質が見えてくる。

ショスタク教授はなかなか立派である。

《2》「間違い」

本記事では、「2016年の Nature Chemistry」論文の撤回を「間違い」として、「間違い」の内容を深く詮索しなかった。

研究室のポスドクであるティボリ・オルセンが実験結果を再現できなかった理由を「研究チームが最初のデータを誤って解釈していた」とした。白楽はそのまま書いた。

しかし、別の視点もありうる。

「最初のデータを誤って解釈していた」ならどうして、「2016年の Nature Chemistry」論文として出版されるほど素晴らしい研究結果が得られたのだろう?

「最初のデータを誤って解釈していた」なら、まともな研究結果は得られないハズだ。

それが、「2016年の Nature Chemistry」論文として出版されるほど素晴らしい研究結果なのは、データをねつ造したからではないのだろうか?

《3》ノーベル賞受賞者

https://giving.massgeneral.org/origin-life-szostak-molecular-biology/

ジャック・ショスタク(Jack W. Szostak)は、ノーベル生理学・医学賞受賞者だが、ノーベル賞受賞者といえどもネカトやクログレイと無縁ではない。上昇志向が強いので、むしろ、若い時は本人自身がリスクを冒してきた可能性は高い。

ただ、受賞後は、無理する必要はないので、リスクは下がるし、今回のように、「間違い」を自己申告することで名誉を守る傾向がうかがえる。

また、受賞対象になった研究に関しては多くの人が追試しているので、データねつ造・改ざんはないだろう。データねつ造・改ざんがあれば、多くの人が追試できない。

しかし、ノーベル賞受賞者の特別の問題もある。

ノーベル賞受賞者にとって怖いのは、受賞により、院生・ポスドクが山のように応募してくる。巨額な研究費が得られ、研究室の人数も大勢になる。となると、中には質の悪い院生・ポスドクも混じってくることだ。

ノーベル賞受賞者本人は多忙なので研究室の隅々まで目が届かなくなる。

そして、論文は投稿すればほぼフリーパスで掲載される。

その状況下で、ネカト志向の院生・ポスドクがまぎれて入ってくると、ネカト論文を出版しかねない。

白楽は米国・NIH/NCI/分子生物学部でポスドクを過ごしたが、そこは研究費が無限と思われるほど潤沢だった。

渡米前、筑波大学の講師で、日本では、日中は雑用に追われ、夜しか研究する時間がなかった。しかし、ポスドクは雑用が全くない。論文を自分でコピーしたら、ボスに叱られた。コピーする雑用係がいるので、自分でするなと。つまり、1日24時間、研究に使えた。

となると、論文がでないのは、自分が無能だからということになる。日本では、時間がないから研究成果がでない、研究費がないから研究成果がでないという言い訳(まあ現実だが)が、他人にも自分にも通用したが、米国・NIH/NCI/分子生物学部では通用しなかった。自分の無能以外に理由がない。これは結構苦しい。

となると、ネカト志向でなくても、研究成果あげられない院生・ポスドクは、苦し紛れに、「ズサン」な論文やネカト論文を発表しようとするだろう。

なお、白楽は、死に物狂いで働いて、NIH/NCI・ポスドク開始後、3か月で「J. Biol. Chem」論文を第一著者で投稿できた。ボスのおかげなのだが、当時、ホットと安堵したことを覚えている。

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《1》大学院・研究初期

チェットラム(写真出典不明)は2011~2016年の6年間に11論文出版している。

そのうち、クラーク・アトランタ大学・院生時代の2011~2013年の3年間に8論文を出版している。スゴイ優秀である。全部、指導教員のシモーナ・ヒントン準教授(Cimona V.Hinton)と共著である。

チェットラムはジョージタウン大学時代だけでなく、エモリー大学医科大学院時代にもネカトをしていた。両方とも身分はポスドクである。

それで、誰もが容易に想像つくと思うが、クラーク・アトランタ大学・院生時代の3年間の8論文にネカトがあるだろうということだ。

ところが、クラーク・アトランタ大学は調査しない。研究公正局も調査を指示していない。米国はいつもこうだ。なんかヘンである。

と言っても、こういうことは米国だけではない。日本や欧州も同様である。ネカト調査は、どの国の大学・研究機関も、「指摘されたからイヤイヤ調査する」態度が濃厚である(もちろん、そのような態度をあからさまにはとらない)。

まともにネカトを撲滅しようとする人はいないのかい?

現状では、まともにネカトを撲滅できるシステムになっていないのだ。

《2》訂正し出版

エモリー大学医科大学院ポスドク時代に、チェットラムは「2017年のSci Rep」投稿原稿で、RT-PCR データのエクセル表を改ざんし、改ざんデータに基づいて図を作製した。

ボスのケビン・バンティング教授(Kevin Bunting)は投稿原稿を一度引き下げ、チェットラムが担当したデータ部分とチェットラムの名前を削除し、論文として発表した。

これは、研究費と研究成果をムダにしない優れた方法に思える。さらに、共著者の業績や貢献もムダにしなかった点も重要である。

投稿原稿だからできたことかもしれないが、ネカト論文を「訂正し出版」することは、良いことだ。古い論文では無理だろうが、出版2年以内なら(2年は例えばです)、ネカト論文を「訂正し出版」することをルーチン化してはどうだろう。もちろん、論文の中枢データがネカトでは無理だが、傍流データなら、救助できるのではないだろうか。

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《1》詳細は不明

この事件の詳細は不明です。

バラクリシュナンKおよびアショク・パンディのどちらが盗用の実行犯だったのか、それとも共犯だったのか、不明である。盗用分析表が見つからない。「大幅な盗用」とあるが、盗用率を数値で示せない

そして、研究機関は調査しなかったようだ。なぜ調査しなかったのかわからない。

事例分析し、研究ネカトシステムの改善につながる点、学べる点は何か?

全くわかりません。

インドではネカト対処に大きな幅がある。今回の事件の対処は、いい加減なケースの典型である。

ブログでは、比較的、情報が得られる事件を解説しているが、実は、この事件のように、詳細が不明な事件はかなりある。

右がアショク・パンディ(Ashok Pandey)。http://ce2.ntust.edu.tw/files/14-1109-21284,r149-1.php?Lang=en

《2》当局の調査

ウィキペディア英語版(【主要情報源】①)の見出しには「アショク・パンディ教授の論争(Prof Ashok Pandey controversy)」とある。見出しから、アショク・パンディ(Ashok Pandey)が盗用したと思う。さらに、内容を普通に読むと(深読みしないと)、多くの人は、アショク・パンディ(Ashok Pandey)が盗用したと思う。

しかし、本記事で示したように、盗用論文は「1996年のApplied Microbiology and Biotechnology」論文で、著者はバラクリシュナンKとアショク・パンディの2人である。

上記《1》と関連するが、インドの国立学際科学技術研究所が調査していないので、2人は共犯なのかどちらか1人が盗用者なのか判定できない。

アショク・パンディは465報の原著論文/総説、16件の特許、54冊の著者、本の160章を執筆・出版している。他の論文・文書での盗用は指摘されていない。

一方、バラクリシュナンK も「Balakrishnan K[Author]」で論文を検索すると、376報がヒットした。本記事で問題にしているバラクリシュナンKの論文ではない論文がどれほど含まれるかはわからない。撤回論文を「Balakrishnan K[Author] AND retracted」で検索すると0報である

根拠は薄弱だが、「1996年のApplied Microbiology and Biotechnology」論文での盗用者は、アショク・パンディではなくバラクリシュナンKの単独犯だと白楽には思われる。

しかし、当局である国立学際科学技術研究所が「アショク・パンディはシロ」と判定しないと、インド国内でも世界でも判然としない。白楽が「アショク・パンディはシロだと思う」と表明しても、白楽の思いは印象でしかない。事実を調査したわけではない。

というわけで、実際は、インド国内でも世界でも、アショク・パンディがクロだと思われている。

アショク・パンディがシロと主張したいなら、身の潔白を証明してもらうにも、当局の調査は必須である。

アショク・パンディ(Ashok Pandey)。https://www.ashokpandey.org/

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《1》大学院・研究初期

ヘレン・フリーマンの経歴がハッキリしないのだが、最初にネカトをした「2006年のCell Metabolism」論文は院生の時だった。院生の時の指導の甘さがフリーマンの研究スタイルにネカトを身に着けさせてしまったのだろうか? それとも、院生以前のどこかで研究公正観が欠けるスタイルを身に着けていたのか?

一般に、研究者はどの時点、どのような事象で研究スタイルにネカトを取り込んでしまうのか? これを解析した研究がないので不明だが、実際には、院生の時の論文にネカトが見つかるケースは多い。

どちらにしろ、大学院・研究初期で、研究のあり方を習得するときに、研究規範をしっかり習得させることはネカト防止に有効だろう。

ロジャー・コックス(Roger Cox)。https://www.linkedin.com/in/roger-cox-90a92410/

ヘレン・フリーマンの場合、キーパーソンは英国・MRCハーウェル研究所(MRC Harwell)のロジャー・コックス教授(Roger Cox)だ。ここで規範をしっかり躾けられていれば、「研究上の不正行為」をしない研究人生を過ごせたかもしれない。

さらに言えば、「2006年のCell Metabolism」論文のネカトをもっと早く検知できていれば、米国のハーバード大学医科大学院(Harvard Medical School)/ベス・イスラエル・ディコネス病院(Beth Israel Deaconess Medical Center)のポスドクになれなかっただろう。そうなれば、「2014年のNature」投稿論文のデータ改ざんもあり得なかった。

法則:「ネカトでは早期発見・適切処分が重要である」。

院生が第一著者で論文を出版すると、最後著者の指導教授も利益を享受するのだから、院生が犯した論文ネカトは、その対価として、指導教授に何らかのペナルティを科すべきだろう。

そうしないから、研究室での研究公正のシツケ教育が徹底しないのだ。

《2》投稿原稿のネカトは珍しい

「2006年のCell Metabolism」論文のデータねつ造・改ざんは普通のねつ造・改ざん事件だけれども、「2014年のNature」投稿論文の場合、「投稿論文」のデータ改ざんなので、その指摘はとても珍しい。

投稿原稿のネカトなので、出版されていない。ネカトと気が付いた人は同じ研究室内の研究者で、通報者はボスのブラッドフォード・ローウェル教授(Bradford Lowell)と思われる。

ローウェル教授は、どの時点で投稿原稿にネカトがあると気が付いたのだろうか?

もし、投稿前に気が付いていたなら、投稿させておいて、後から、ネカトを大学に通報したことになる。これは、指導者としておかしい。

おそらく、投稿後に気が付いていたのだと思うが、それなら、ネカトを大学に通報せずに、投稿原稿を取り下げて、ポスドクのヘレン・フリーマンを厳しく注意・教育するのが順当ではないのだろうか?

ポスドクは訓練生である。一人前の研究者ではない。ローウェル教授は指導の一環として、フリーマンに研究公正を指導すべき立場である。考え方にもよるが、「投稿論文」のネカトの場合、学術界から排除する告発よりも研究者として育成する責務を果たすべきだ。

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《1》不明点多し

本記事の主な論点は、ファイザー社(Pfizer)がガバペンチン(Gabapentin)の臨床試験データを改ざんした行為である。その中心は、ケイ・ディッカーソン教授が「2009年のN Engl J Med」論文でデータ改ざんを指摘したことにある。

その指摘を受け、多くのメディアが報道した。日本語メディアも報道した。

ただ、改ざんの具体的な点はわかりにくい。さらに、ファイザー社の誰がどのような経過で改ざんしたのか? などの記載はない。改ざんによる国民の被害の程度もわかりにくい。

ファイザー社は、ウェブ上の情報を含め、常に強力に情報操作をしているだろう。少なくとも、ウェブ上の不利な記述は削除させているだろう。それで、事件がわかりにくいのだろうか?

コネチカット州ニューロンドン(New London)のグロトン(Groton)にあったファイザー社の本社研究所。入口。2002年。白楽撮影
記事:http://sekainodaigaku.com/4_North_America/4502_517_Pfizer_I.pdf
→ 2009年に研究所の閉鎖を発表:2009 年11月12日のパトリック・マッキーハーン(Patrick McGgeehan)記者の「New York Times」記事:Pfizer and 1,400 Jobs to Leave New London, Connecticut – The New York Times

 同上。入口から建物を撮影。2002年。白楽撮影

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《1》昔のネカトと時効

14~5年前の院生の時に書いた論文・書評の盗用でも盗用は盗用だが、指摘された方は大変だ。

世界中で昔の盗博が指摘され、国の要職についている人が盗博で失脚する。これは社会システムとして欠陥がある。盗用に対する現行の処分制度を大きく変えた方がいい。

少なくとも時効制度を導入する。例えば、論文の出版後5年が経過したら盗用は不問にする。なお、時効制度を導入するのに合わせ、一度、盗用摘発大作戦を展開し、それ以前のすべての盗用を洗い出す。盗用摘発大作戦の終了以降、終了以前の論文ネカトに盗用が見つかっても不問にする。そして、終了以降のすべてのネカトに5年ルールを適用する。

《2》在籍時の大学に調査義務あり

盗用が指摘された時、ソメシュ・マトゥール(Somesh K. Mathur)はインド工科大学カーンプル校・準教授だった。それで、インド工科大学カーンプル校は調査委員会を設置した。

しかし、最初に盗用と指摘されたのは、14~5年前のジャワハルラール・ネルー大学の院生の時に書いた論文・書評である。

ジャワハルラール・ネルー大学も調査委員会を設けて調査すべきだ。博士論文でも盗用している可能性がある。

ソメシュ・マトゥール(Somesh K. Mathur)、写真出典

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《1》もったいない

中国で生まれ育ち米国の大学の準教授になった。41歳の時点で、外部研究費を30グラントで800万ドル(約8億円)以上も獲得していた。

事件は、科学庁(NSF)、運輸省、エネルギー省、農務省の各監査総監室と連邦捜査局が協力とあるから、少なくとも、科学庁(NSF)、運輸省、エネルギー省、農務省の4省庁から研究費をもらっていたことになる。

とても優秀で、とてもハードワーカーだったのだろう。

研究費の申請書をねつ造・改ざんしなくても研究者として十分やっていけた人だと思われる。

こういう事件を調べると、悲しくなる。

本人はつらいだろうが、ワシントン州立大学から解雇されていない(Search Washington State University)。めげずに、優れた研究成果を挙げてもらいたい。

米国も世界も、つまらないことで優秀な人材を失いたくないだろう。

そもそも、研究者が落とし穴に落ちないシステム、「悪魔のささやき」に取り込まれないシステムを構築してほしい、と白楽は願う。根っからの悪人しか不正ができないシステムを構築できないものだろうか?

ハイファン・ウェン(Haifang Wen)は右から2人目。Speakers of the 51st Idaho Asphalt Conference, October 27, 2011 http://www.webpages.uidaho.edu/bayomy/IAC/51st/iac51.htm

《2》個人経理

ハイファン・ウェンは科学庁(NSF)、運輸省、エネルギー省、農務省の4省庁から30グラントを獲得していた。

その研究費を自分の指定した銀行口座に振り込ませ、そこから私的使用したとある。

このシステムがよくわからない。

日本では、かつて、国の研究費を自分の指定した銀行口座に振り込ませ個人経理する場合と、大学に口座に振り込ませ機関経理する場合の2通りがあった。しかし、その後、個人経理の仕組みは廃止された。

米国では、個人経理が今でも可能なのかどうか、白楽は把握できていない。

《3》4省庁

ハイファン・ウェンは科学庁(NSF)、運輸省、エネルギー省、農務省の4省庁から30グラントを獲得していた。

それで、その4省庁の各監査総監室がハイファン・ウェンの研究費申請書のねつ造・改ざんを調査したことになっている。連邦捜査局が乗り出し刑事事件にもした。

しかし、「1‐3‐3.米国の研究ネカト問題 | 研究倫理(ネカト)」で述べたように、米国のネカト調査・処分は各省庁でかなり異なる。

実際、「フランク・ザウアー(Frank Sauer)(米)」の事件の調査では、科学庁と研究公正局の協力は貧弱だった。

今回の件のように4省庁に及ぶ事件はどのような連携がとられたのか興味深いが、白楽にはよくわからなかった。

《4》ネカトを見破れる頻度

研究費をねつ造・改ざん書類で受給したこのような事件は米国では「通信詐欺(Wire Fraud)」罪で処罰される。

ハイファン・ウェンが提出した研究費申請書を専門の審査員が審査し、採択と決めたから、研究費が支給された。

研究費申請書のねつ造・改ざんを審査員が見落としたことになる。

少し不思議に思う点がある。

査読で論文原稿中のネカトを見破れる頻度は一般的に何%なんだろう。このデータを見たことがないが、見破れる頻度が高ければ、査読を改善することで、ネカトを減らせる。白楽は、かつて一度見破ったことがある。ただ、データもないのに、査読ではネカトを見破れないとされている。

そして、研究費申請書のネカトを見破れる頻度は何%なんだろう。

米国での研究費申請書の審査は、論文査読より徹底している。研究費申請書のネカトを見破れる頻度は高いのではないのだろうか? 申請が採択されても、支給額を別途査定する。

米国の研究費審査で採択額の査定に立ち会っていないが、白楽が体験したプログラムディレクターは採択額をソコソコ調べていた。だから、あまり過剰な研究費が支給されない。

つまり、複数のグラントが採択されても、研究費が大きく余ることはないと思われる。

ハイファン・ウェンは30グラントの採択で、過剰な研究費を得たとあるが、白楽は、少し違和感がある。

Haifang Wen holds a can of cooking oil-based bioasphalt adn a sample of final hot mix asphalt (HMA) in a WSU laboratory. 出典:https://www.seattletimes.com/seattle-news/education/assistant-professor-at-wsu-charged-with-8m-in-research-fraud/

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《1》論文撤回

2009年に6年間の刑務所刑が確定した。「2006年のAm J Respir Crit Care Med.」と「2008年のAm J Respir Crit Care Med.」の2論文が撤回されたのは2012年である。

論文ネカトがいつ発覚したのかわからないが、第一著者であるエドワード・エリンが獄中にいた時に発覚し、インペリアル・カレッジ・ロンドンが調査し、他の共著者の同意を得て、論文撤回したと思われる。

まあルール違反ではないけど、反論できない(と思われる)獄中の研究者にネカトを押し付けて、論文撤回してしまうのは、フェアーではない気がする。懸念表明にしておいて、エドワード・エリンが釈放されてから対処した方がフェアーな気がする。

《2》道徳感と研究倫理観

研究ネカトをした男性が不倫した。あるいは、不倫した人が研究ネカトをした。いずれにせよ、挙句の果てに愛人に不同意堕胎を企て、逮捕され、刑務所刑になった。

では、不倫や不同意堕胎を犯す世間的に不道徳な人物が研究ネカトを犯しがちだろうか?

研究者の道徳と研究倫理観(正確には規範を守る意識)は相関しているだろうか?

誰も研究していないので、両者に強い相関があるのかないのか、わからない。

盗賊の逸話がある。一味を引き連れて金品を盗んできたその夜、各自が盗んできたものを広間に並べ、分配する段取りとなった。この時、親分は手下を疑った。それで、親分は手下をギロリとにらみつけ、「この中に人のモノを盗む悪いヤツはいないだろうな?」と言った。

悪人には悪人のルール・掟・規範がある。

ネカト事件を調べていると、道徳意識が高いと思われる研究者も研究ネカトを犯している印象がある。

で、もう一度問う。研究者の道徳意識と研究倫理観(正確には規範を守る意識)は相関しているだろうか?

相関しているなら、①研究者の道徳意識を高める。②道徳意識の低い人を研究者養成課程で排除する。などの方策で、ネカトが減る可能性がある。

《3》なんとなくヘン

エドワード・エリン(Edward M. Erin、写真出典不明)は、愛人に自分の子供が生まれるとどんな不都合が生じると考えたのだろうか?

不同意堕胎で6年間の刑務所暮らし、医師としてのキャリア喪失と比べれば、愛人に自分の子供が生まれる方が問題が少なかったのではないだろうか?

妻はエドワードの浮気を公認しているので、愛人のベラ・プラウズに夫の子供どもが生まれても、結婚生活は重大な危機に至らない。

こっそり混ぜた流産誘発薬がバレないと踏んだのだろうか? その時点で、「6年間の刑務所暮らし、医師としてのキャリア喪失」は全く想定外だったのだろうか? 想定外ということはないだろう。それにしても、この事件はなんとなくヘンである。

また、ベラ・プラウズは20歳の時に産んだ13歳の娘がいる。不同意堕胎されそうになった胎児は無事に生まれ、男児でアーニー(Ernie)と命名された。

しかし、アーニー(Ernie)の父親は、今や、犯罪者である。犯罪者の子供を産んで、その後の人生に不安を感じなかったのだろうか?

さらに、アーニー(Ernie)は将来、自分の出生にまつわる母親と父親との関係、さらに、自分が父親に不同意堕胎されそうになった経歴を知った時、精神的にまともに育つのだろうか? 幸せな人生を過ごしてもらうにはどのような対応をすべきなのか、ノウハウが蓄積していることを願う。

《4》日本の類似事件

エドワード・エリンが英国で2008年に不同意堕胎事件を起こした翌年、日本でも同じような事件が起こった。そして、英国と異なり、日本では相手が流産してしまった。

2009年(平成21年)1月、東京都の東京慈恵会医科大学附属病院に勤務し、金沢市内の病院に出向していた東海大学医学部出身の男性医師(当時36歳)は、30歳代の女性看護師と交際していたが、その女性が妊娠した。しかし医師は別の女性との婚姻話が進み、結婚した。女性が妊娠したことが妻に知られ、離婚という事態になることを恐れた男性は、数回にわたり「ビタミン剤」と称して、子宮収縮剤の錠剤を飲ませたほか、「水分と栄養を補給するため」などと偽り、収縮剤を点滴し陣痛誘発剤も使用、女性を流産させた。慈恵医大病院医師不同意堕胎事件 – Wikipedia

不同意堕胎されそうになったが健康に生まれた子供・アーニー(Ernie)を抱くベラ・プラウズ。父親はエドワード・エリン。写真出典

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《1》詳細不明

カンワルジット・シン事件の詳細は不明である。

誰がいつどういう経緯で不正を見つけたのかわからない。

盗用部分と被盗用部分を示す盗用解析図が見つからないので、白楽も読者も、自分で盗用かどうかの判定はできない。

博士論文が盗用なら、他の論文も盗用していたと白楽は思うが、他の論文の盗用についての言及はない。

動機は「ズルして得する」だろうが、盗用した状況がよくわからない。

カンワルジット・シン事件からネカトの病理や対策が学べない。

注:写真はカンワルジット・シン事件と関係ありません。ニューデリーの町。2008年。白楽撮影

《2》インドの不思議

インドのネカト事件を調べていると、白楽にとって「なんじゃコリャ?」と驚く場面に遭遇する。

カンワルジット・シン事件では、博士論文の盗用の告発だが、博士論文審査前の博士論文である。この論文を入手できるのは通常、本人と指導教授しかいない。それを、誰がどう入手したのか? そして、盗用だとなぜ疑ったのか? 最初から、不思議である。

そして、「パンジャブ大学の博士論文の規定に、参考文献欄を除いた文章の盗用文字率が5%以下なら許容されるというルール」、と聞いて、アングリ。

老爺心で言っとくが、「5%以下ならOK」というルールは欧米日にはありません。完全にアウトです。

「人文系での盗用文字率の許容上限は30%」、と聞いて、さらにビックリ。こんな基準でインド人が欧米日に留学したら、まず盗用で捕まるでしょう。

盗用論文は審査前の博士論文である。この時点で盗用が指摘されているなら、審査にかけないで、博士論文を書き直すべきだと思うが、そのまま審査にかける。この状況にも、「なんじゃコリャ?」。

注:写真はカンワルジット・シン事件と関係ありません。インド人、モチつかない。https://blogs.yahoo.co.jp/kazuhiro12342001/13969704.html

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《1》折角の人生が台無し

中国で生まれ育った中国人・パーシヴァル・ジャン(张以恒、Yiheng Percival Zhang、写真出典)が、米国で素晴らしい研究成果を挙げ、米国の市民権も取得し、大学教授になった。

ところが、研究費申請書のねつ造がバレ、46歳で逮捕・投獄された。

折角の人生が台無しだ。

こうなると、素晴らしい研究成果はどうなるのだろう? データねつ造・改ざんではないので、研究成果は再現できるハズだ。となると、競合研究者はほくそ笑んでいるに違いない。

《2》刑事事件

日本のネカト対策として、白楽は「警察がネカトを捜査し、有罪なら刑罰を科す」ことを提案している。
→ 1‐4‐2.日本の研究ネカト問題 | 研究倫理(ネカト)

いまのところ少数だが、世界では「警察がネカトを捜査し、有罪なら刑罰を科す」傾向がある。

今回のパーシヴァル・ジャン事件に健康被害者はいない。研究費の不正受給だけだが、連邦捜査局(FBI)が捜査し逮捕した。米国議会・科学宇宙技術委員会も調査に動いている。

米国では、連邦捜査局(FBI)のネカト捜査が今後ますます増えるだろう。

パーシヴァル・ジャン(张以恒、Yiheng Percival Zhang)。http://www.hybridcars.com/researchers-say-corn-may-be-key-for-hydrogen-fueled-vehicles/

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《1》博士号はく奪、降格でも辞職しなかった

ジョディ・ウィタカー(Jodi Whitaker、写真出典)はオハイオ州立大学から博士号がはく奪され、アリゾナ大学では助教授から講師へと降格されたが、大学を辞職しなかった。

事件を最初に調べた時の感想は、アリゾナ大学はどうして解雇しなかったのか? 解雇されなかったとしても、ウィタカーは、自業自得である、辞職すべきだ、と思った。

しかし、事件を深読みすると、別の面が見えてくる。

公式見解ではブッシュマン教授はシロである。

しかし、行間を読んでいくと、ウィタカーの指導教授であるブッシュマン教授が問題らしいと推測できる。

理由の1つ目は、ジョディ・ウィタカーが著者に入っていないブッシュマン教授の「2016年のGifted Child Quarterly」論文が2017年4月に撤回されている。
→ Retraction NoticeGifted Child Quarterly, 2017

この論文のネカト者は誰なんだろうか? 本記事で解説したように「2012年のCommunication Research」論文も撤回されたが、共通の著者はブッシュマン教授しかいない。ということは、ブッシュマン教授がネカトに大きく関与しているのだろう(推定)。

理由の2つ目は、さらに、ブッシュマン教授のネカト疑惑を「撤回監視(Retraction Watch)」が報じていることだ。
→ 2017年11月20日のブラッド・ブッシュマン教授(Brad J. Bushman)に関する「撤回監視(Retraction Watch)」記事:After losing two video game-violence papers, co-author’s weapons paper is flagged – Retraction Watch at Retraction Watch

理由の3つ目は、ヴィラノバ大学(Villanova University)のパトリック・マーキー教授の撤回監視への答えである。なんか、ブッシュマン教授がネカト者だと暗に示している印象だ。

しかし、ブッシュマン教授は著名教授である。権力も強大に違いない。

それで、大学にウィタカーを強めに処分させ、ブッシュマン教授自身の地位・名誉を守ったに違いない。

アリゾナ大学のメディア学の教授陣は、これらの事情を承知していた。それで、公式にはウィタカーを助教授から講師へと降格して、処分の形をとったが、実際は、追い出すことはしないで、応援しているのではないだろうか? ウィタカーはそれで辞職しないで、アリゾナ大学で研究を続けることができている。

深読みしすぎ?

《2》学説とネカト攻撃

ジョディ・ウィタカー(Jodi Whitaker)の「2012年のCommunication Research」論文はデータねつ造・改ざんだろうが、告発者のパトリック・マーキー教授(Patrick Markey)と学説が対立していたと知ると、事態は単純ではない。

告発者のマーキー教授を今度は“悪い奴”だと考えよう。

マーキー教授は「ビデオゲームがユーザーに影響するのは短時間で、その影響は続かない」と主張してきた人物で、ジョディ・ウィタカーとブッシュマン教授の「ビデオゲームと暴力的なメディアは人間の攻撃性と暴力の増加につながる」という主張と真っ向から対立していた。

だから、マーキー教授はジョディ・ウィタカーとブッシュマン教授の論文の問題点を執拗にチエックしたのだ。そして、データの異常を見つけ、ネカトだと指摘した。

つまり、自分の学説と合わない論文のアラ探しをし、小さなことでも、ネカトだと攻撃した。

どんな相手からの指摘であろうとも、ネカトはネカトでそれ以上でも以下でもない。だから大学は調査せざるを得ない。そして、ネカトがあれば処分する。ネカトはしかし、学説の正当性とは無関係である。

だから、学説の正当性は研究成果で競うのが本来である。ネカトで相手を追い落とすのは、なんだかなあ、と感じる次第である。

なお、白楽は、ここでマーキー教授を仮に“悪い奴”としたケースでネカト事件の一面を論じただけで、本当に“悪い奴”だと思っているわけではない。例え話です。

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《1》遺伝子組み換え食品事件

遺伝子組み換え食品の賛成・反対は、賛成にしろ反対にしろ、金まみれ、政治まみれ、信念(宗教)まみれで、何が正しいのかを判断しにくい。

このネカト・ブログでも遺伝子組み換え食品の研究ネカト/クログレイを少し記事にしてきた。

何が正しいのかを判断する基準はどこにあるのだろう?

《2》頻度と防ぐ方法

企業のねつ造・改ざんや代筆はどれほど普通に行なわれているのだろう?

これらの不正は、大学と比べて、かなり多いのか、めったにないのか、企業は不正を隠蔽するので、誰も把握できない。実際は、企業内のネカトやクログレイは、かなりの件数起こっているのかもしれない。

一般に、企業は激しくコクハラする。不正者をコッソリ解雇する。不正の隠蔽が難しいと判断した時だけ、最低限の情報を発表する。このような体質なので、気が付いたときは不正が巨大化している。

現在、欧米も日本も企業のネカトやクログレイの件数を把握できていないが、企業内のネカトやクログレイを防ぐ有効な手段を企業は持っているとは思えない。根本的な改善をしようともしない。

しかし、企業の研究文化とシステムを変え、有効な改善法を確立しないと、東芝や神戸製鋼やニッサンのように屋台骨を揺るがすような大事件になり、コストが高くつくことになる。従来通りの謝って手直しする程度の修正では効果がないことを学んでいるはずだ。

《3》買収

2017年、モンサント社はドイツ医薬品・化学大手のバイエル社(Bayer AG)に660億ドル(約6兆6千億円)で買収されることになっている。

この買収と今回のラウンドアップ発癌性での「改ざん」「代筆」「ねつ造」事件と関係あるのか、ないのか、白楽は把握できていない。

《4》権威ある機関でも誠実に

ロイター紙のケイト・ケランド(Kate Kelland)記者は、2015年の国際がん研究機関(IARC)の「2015年の報告書(モノグラフ)112巻」は草案と比べて、内容が異なるので、委員が「編集」したと指摘した。

この「編集」という言葉でケイト・ケランド記者が言いたいことをはっきり言えば、「改ざん」である。つまり、国際がん研究機関の委員が改ざんしたと言いたい。もちろん、国際がん研究機関は改ざんしていないと否定している。11か国からの17人の利益相反のない専門家が科学的見地で検討した結果であると批判を突っぱねている。

「編集」と「改ざん」の判断は難しい。

一般的に、当然ながら、実験したデータを論文には全部掲載できない。必ず取捨選択する。この取捨選択の基準は、「結論に都合のいいデータ」を選ぶである。

しかし、この取捨選択を改ざんとは言わない。だから、国際がん研究機関の「編集」を「改ざん」呼ばわりするのは、過剰攻撃だろう。

しかし、国際がん研究機関(エンブレム。画像出典不明)はエライ国際機関だからか、高慢で態度がでかい、と白楽は感じる。「改ざん」ではなく「編集」だと、丁寧に誠実に説明すべきだ。

ただ、もし、万が一ですよ、国際がん研究機関の委員が改ざんしていたらどうなるんだろう。今回の対処では、「改ざん」を隠蔽していることになる。

国際がん研究機関の「2015年の報告書(モノグラフ)112巻」は学術誌に掲載した論文ではない。ということは、「2015年の報告書(モノグラフ)112巻」のネカト疑惑を調査し、シロまたはクロと結論できる当局は一体どこなんだろう? 現状では、国際がん研究機関がシロと言えばシロで通る。それに対抗できるのは、メディアだが、メディアはシロ・クロの判定を下せる当局ではない。

写真出典不明

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《1》学生運動

学長の論文盗用で、学生が強力に抗議し、学長の辞任を要求した。

日本では、学生がネカトに抗議して運動した歴史はない。それに、社会正義のために学生が学内で抗議活動をすることは、現在では、もう考えられない。

《2》記録保存

2007年に発覚した盗用事件で、当時、インドの多くのメディアが報道した。

しかし、10年後の2017年現在、多くの記事のリンクが切れている。また、ウェブ上の情報がほとんどが消去され、わずか10年前の事件なのに、状況がほとんどつかめない。

ネカトの改善方法は、事件から学べることが多い。しかし、記録がほとんど保存されていないと、当時の改革努力を読み取ることができず、水泡に帰してしまう。そして、今日も、世界のあちこちのネカト事件の記録が消えつつある。

ネカト記録の収集・保存をどうするとよいのだろう?

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《1》学者はダマしやすい

離婚して数年経つ68歳の老教授が、若い美女(ビキニ・モデル)と数か月も毎日メールのやりとしていた。

若い美女は老教授に恋をし、ビキニ・モデルをやめて、身を固め、堅気の生活をし、子供を産みたいと思っている、とメールしてきた(右の写真出典不明)。

老教授はこの女性と結婚し、子供を産んでもらい、温かい家庭を作る夢を見た。

それで、ビキニ・モデルが写真撮影で滞在中の南米のボリビアで会うために米国から飛んだ。しかし、そこで会えず、紆余曲折の後、ビキニ・モデルから「ホテルに忘れたので持ってきてほしい」と頼まれたキャリー・バッグを持って帰国しようとした。

そのキャリー・バッグの中に、実は、2キロの麻薬が隠されていて空港で逮捕された。フランプトン教授は麻薬が隠されていたことを知らなかったと主張したが、知っていたと思える証拠が挙がってきた。それで、アルゼンチンの刑務所で暮らす羽目になった。

もし、フランプトン教授が完全に無実だとしよう。麻薬密輸組織は相当手の込んだ方法で、フランプトン教授をダマし密輸を企てたことになる。このように綿密に仕込んだ計画なら、多くの学者はダマされるだろう。

白楽だって、壇蜜さん(写真出典)と頻繁にメールのやり取りをし、壇蜜さんから甘いメールを頻繁に受け取り、電子航空券を送るから2人で会いましょうとなれば、鼻の下を伸ばしてフィリピンのマニラにだって行ってしまうだろう。

そこに壇蜜さんから、「仕事の関係で一足違いで日本に帰りました。ごめんなさい。で、お願いがあるの。マニラのホテルに荷物を忘れてしまいました。日本で待っているから、私のお荷物をもってきテェ~♡」と甘いメールがくる。

そして、壇蜜さんのマニラでの現地係員がその荷物をホテルから白楽のところに運んでくれた。となると、鼻の下を伸ばしたままの白楽は、数キロのコカインを日本に運んでしまうだろう。・・・ここはタトエ話デス。虚構の話です。ねつ造バナシです。

頭髪に手を置くビキニ姿のミラーニ嬢(上の上の写真)と頭髪に手を置くビキニ姿の壇蜜さん(上の写真)が同じポーズだったので、壇蜜さんに登場してもらいました。スミマセン。

研究者は海外に頻繁に出かける職種です。男女ともに、若い人から高齢者まで、ハニートラップに引っかからないように注意してください。

特に、有名教授やノーベル賞受賞者は通関検査でさほど疑われない。麻薬の運び屋の格好のカモです。

白楽が院生だった昔、教室でノーベル賞受賞者の講演があった。講演謝礼とは別に、教室の教授が高価な真珠を贈った。ノーベル賞受賞者は包装を解いて中身の真珠だけをポケットにしまった。教授が「ああすれば、通関はフリーパスだな」と白楽につぶやいた。なるほど。

フランプトン教授がダマされて事件が発覚したが、実際は有名教授やノーベル賞受賞者が麻薬の運び屋に仕立てられ、発覚していないケースは相当数あるのではないだろうか?

《2》アルゼンチンは要注意

上記《1》のように注意しても、白楽の話を聞かない人がいる。

同じような事件が起こっていることを付け加えておこう。

被害者は中年女性で、研究者ではない。

ニュージーランドのマオリ語委員会(Māori Language Commission)の副委員長・シャロン・アームストロング(Sharon Armstrong、女性)という政府官僚である。

2011年、シャロン・アームストロングはインターネット上のボーイフレンドに、ニュージーランドからアルゼンチンで荷物を受け取って、ロンドンに来てほしいと頼まれた。

そして、アルゼンチンの空港で5キロのコカインの密輸で逮捕された。5キロのコカインの末端価格は約1億2千万円である。アルゼンチンの刑務所に2年間投獄された。ボーイフレンドは電子メールのやり取りだけで、実際に会ったことはなかった。ハニートラップで騙されたのである。
→ 2015年11月20日のリペカ・ティムティム(Ripeka Timutimu)記者の「Māori Television」記事(写真も):“Drug Mule” wants to expose drug cartels | Māori Television

《3》映画にしません?

フランプトン教授のハニートラップ事件の実話に基づいて、ハリウッドで映画を作る話が進行している、・・・というウワサはありません。

でも、ノーベル賞受賞クラスの科学者と美女という取り合わせで、政治も絡めると、ドラマとして面白そうですね。だれか、脚本を書きません?

白楽は読んでませんが、フランプトン教授が自分の経験を執筆した45ページの『Tricked!』(2014年12月出版)も参考になるだろう。本の表紙はアマゾンから引用した。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2968276/He-went-straight-neck-decapitated-Professor-fell-honeytrap-cocaine-sting-relives-horrifying-moment-prisoner-butchered-eyes-notorious-Argentinian-jail.html デニス・ミラーニ嬢(Denise Milani)。http://www.dailymail.co.uk/news/article-2968276/He-went-straight-neck-decapitated-Professor-fell-honeytrap-cocaine-sting-relives-horrifying-moment-prisoner-butchered-eyes-notorious-Argentinian-jail.html

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《1》部分と全体

「日本の研究ネカト問題」の背景・歴史から現状、そして解決策を全体のバランスを保って丁寧に記述するのは、大仕事である。1冊(数冊?)の本になる。本ブログでは、それは無理だ。

2017年11月8日現在、伝えたい点を中心に記述した。

《2》30年先の人口減

ネカトで日本の膨大な研究費が無駄になっている。研究者の採用・昇進でも「悪貨が良貨を駆逐し」、優秀な人材が無駄になっている。

30年先を想定すれば、日本の生産年齢人口は現在から3000万人減って、5000万人になる。

質の良い研究開発と質の良いシステムしか、日本を支え発展させることができない。だから、無理してでも、改革するしか道はない。前に進むしかない。

日本の生産年齢人口の推移:総務省|平成25年版 情報通信白書|超高齢社会がもたらす課題

《3》倫理的な環境

白楽は、研究システム(ネカト対策システム)の改善を主眼にしている。

しかし、研究者としてあるべき徳目・道徳も重要だと思っている。

2年前、米国・カリフォルニア州のさびれた街・サンペドロを歩いていた。歩道わきにメリーマウント・カリフォルニア大学(Marymount California University)の出入口があり、道路に落書きがあった(黄色の矢印で示した)。

落書きを大きくすると以下のようだ。

「Imagination is more important than knowledge.・・・Albert Einstein」。訳すと「想像力は知識よりも重要である・・・アルバート・アインシュタイン」

このブログに「知識」として記述していなくても、「想像力」で、アナタの考えを深く・鋭く・大きくしてね。

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《1》撤回と訂正

3人の専門家からなる論文検討チームを作って、約1年間かけて論文の問題点を検討し、元論文を撤回しないで訂正した。

しかし、論文の3つの仮説のうちの2つを訂正している。

論文テーマの着想はナンディニ・ラヒリ(Nandini_Lahiri、写真出典不明(元が削除された))が考えたのかもしれないが、質量ともに、これでは、新しい論文として掲載されるべきレベルな気がする。1年間もかけて検討した3人の専門家が著者に入ってこないのは、著者在順の点でおかしい。

元論文を撤回し別の論文として掲載する。これが正しい対処ではないんでしょうか?

《2》理想的な解決法

この事件は、一言で言えば、論文に間違いがあったが、訂正し、終わった。しかし、《1》で指摘したように、訂正ではなく元論文は撤回というレベルに思える。

つまり、論文が「ズサン」だったために、論文の3つの仮説のうちの2つを訂正している。

しかし、「Acad Manage J」誌のジェラルド・ジョージ編集長がそう考えたのかどうかわからないが、「間違い」や「ズサン」な論文を掲載した時、著者を「悪者」と決めつけないで、上記のように「訂正」することは、ネカト対処の1つのやり方として「アリ」かもしれない。

イヤイヤ、「アリ」どころか、1つの理想的な解決法である。

ラヒリ(の論文)がそのような厚遇を受けたのは、ラヒリに人望があったから、あるいはラヒリの論文の切り口が優れていた(分析はズサンであったにしろ)なのか?

いずれにしろ、論文の盗用でも盗用が少しの場合、また、論文データのねつ造・改ざんでもねつ造・改ざんが微細な場合、論文検討チームを作って、論文撤回ではなく、訂正で対処できないものだろうか? そうすれば、「悪者」として学術界から排除される研究者は減るだろう。

ただ、3人の専門家が1年もかけて内容を分析し訂正するのは、現実には無理がある。これをどうする?

Nandini_Lahiri, http://www.american.edu/kogod/faculty/nlahiri.cfm

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《1》防ぐ方法

この事件はネカト事件ではない。

2007年~2012年の5年間、インド全土の医科大学教授・医師が、国際的な製企業のカネにつられて、医薬品の非倫理的な臨床試験をしていた。そして、治験者の2,163人が死んでいた。

マハトマ・ガンディー記念医科大学では、2,365人の患者に投与され、81人に深刻な副作用が見られ、35人(32人との記述もある)が死亡していた。

米国や欧州の巨大な製薬企業がインドの医科大学の教授・医師をカネで操って、貧しく知識の乏しい田舎のインド人に未承認の医薬品を投与したのである。インドでは、この手の規制が甘く、経費が安かったからである。

副作用や死亡に至った詳細な記述がないので、必ずしも、投与医薬品の副作用が原因とは限らないかもしれない。病状の悪化、あるいは、治療ミス、または、臨床試験中に起こった臨床試験とは別の理由の死亡/健康悪化を含めているのかもしれない。しかし、一応、後者は除外されている。

臨床試験でこんなに多くの死亡者が出ているので、医療上の犯罪ととらえるのが正しいと思える。そして、そこに、ネカトもあっただろうが、詳細な報道がないので不明である。

例え、ネカトはなかったにしろ、これだけの死者が出ているので、「間違い」では済まない。インフォームド・コンセントを得ていない「ズサン」さを含め、いくつかのクログレイはあっただろう。

2012年10月22日、マハトマ・ガンディー記念医科大学は医薬品の非倫理的な臨床試験に関与した11人の医師を停職処分(期間不明)に科した。

2017年8月4日、インド医学評議会(Medical Council of India)は、実名を公表し、8人の医師の医師免許登録を3か月間停止した。

それにしても、調査に7年以上かかり、マジ遅いし、結果としての処分が3か月の医師免許停止である。

「人の命は地球より重い」という言葉には違和感を感じるが、35人(32人との記述もある)が死亡した事件の責任医師たちに3か月の医師免許停止では、ひどく陳腐、とてもヘン、チョ―軽い。いや、断固として、マッタクおかしい。インドよ、もっと自国民を愛せないのか! (表現に少々粗暴さがアリ)

しかし、医薬品の非倫理的な臨床試験をどうすれば防げたのか?

正義や規則順守は必須だが、インドにはそれ以前の問題がある。一言で言えば「貧困」だ。「貧困が諸悪の根源」なんだろう。

白楽は、かつてインドの貧困をパハールガンジ通りで体験したことがある。そこは日本の日常では考えられない悲惨さが目のまえで起こっていて、呆然とした。

昔、白楽が米国に滞在していた時、インド系米国人の生命科学者に「生命科学の基礎研究ができるのは米国や欧州や日本のような豊かな国だけだよ。インドなんて貧しい国では基礎研究なんてゼイタクなんだよ」と言われたことがいまだに耳の奥にこびりついている。

インドの医薬品の臨床試験問題は2017年11月4日現在、解決していない。

英語記事で、インドでの医薬品の臨床試験の必要性や、有利性(価格が安いなど)が指摘されている。3つ挙げる。

一方、それら臨床試験の規制が必要だとも議論されている。つまり、2017年11月4日現在も、規制が不十分で、インド国民の安全が脅かされている。

 

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《1》詳細は不明

この事件の詳細は不明である。どのデータがどの程度改ざんされたのか不明である。ネカト者が誰かも不明である。

だから、どうしてねつ造・改ざんをしたのか? 見つけた外部研究者は誰で、どう見つけたのか? 研究機関はどんな改善策を施したのか? 事例分析し、研究ネカトシステムの改善につながる点、学べる点は何か?

全くわかりません。

アサータ・ファーマ社と食品医薬品局(FDA)がネカト者を秘匿したので、このネカト者は何食わぬ顔で他社または学術界で研究職を得て、再びネカトをすることが可能である。アサータ・ファーマ社と食品医薬品局(FDA)はそういう意味で、ネカト者を育成している。

食品医薬品局(FDA)はどうしてネカト者の名前を公表しないのか、白楽はとても不思議に思う。

http://www.acquisitionsdaily.com/2015/12/14/astrazeneca-continues-ma-run/

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《1》あらさがし

インドは混沌としているが、研究公正に対する強い抗議活動が時々起こる。

チャクラバーティ事件は、チャクラバーティ学長が女子学生への性的虐待事件への対処に失敗したことが切っ掛けである。

性的虐待事件への対処の失敗で、学生・教職員はチャクラバーティ学長の辞任を要求した。辞任を要求する教員たちが、チャクラバーティ学長のあら捜しをし、盗博、盗用、自己盗用を見つけた。

性的虐待事件の対処に失敗という切っ掛けがなければ、盗博、盗用、自己盗用は見つからなかった。一般的に、盗博、盗用、自己盗用はインド学術界にかなり深く浸透していると思われる。

http://indiatoday.intoday.in/story/ju-protest-interim-vc-chakrabarty-made-full-time-hokkolorob/1/394410.html

《2》盗博

経緯はどうであれ、チャクラバーティ学長の盗博が指摘された。

指摘の23年前の1991年にコルカタ大学(University of Calcutta)がチャクラバーティに研究博士号(PhD)を授与した。

コルカタ大学は調査委員会を設置し、盗博が事実なら、博士号をはく奪すべきである。

標語:「盗博の博士号は当然はく奪!」

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《1》詳細は不明

この事件の詳細は不明です。

どうしてねつ造・改ざんをしたのか? 研究機関はどんな改善策を施したのか? 事例分析し、研究ネカトシステムの改善につながる点、学べる点は何か?

全くわかりません。

本ブログでは、比較的、情報が得られる事件を解説している。分析していての実感だが、この事件のように詳細不明のネカト事件は、かなりの割合を占める(3~7割?)。

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《1》教えちゃった

研究ネカトの仕方教えちゃいましたが、教えちゃっていいのだろうか?

ただ、白楽のネカト・ブログのほとんどの記事は、読みようによっては、研究ネカトをするノウハウ教材でもある。それに、日本政府はいくら言っても、まともにネカトを取り締まらず、うがった見方をすれば、ネカト者を育成し擁護している。

それで、院生から偉大な教授まで、ネカトすることで、いっそう出世が早まります。

ただ、ネカトで研究人生を失うというスリルとリスクも付いてます。自業自得の世界でございます。ホッーホッホッホッ。

http://bokete.jp/odai/1756892

なお、アナタのような賢いお方は別ですが、ハクラクとかいうアホもいるから、もう一度書いておきましょう。「よい子はマネしないように(DON’T TRY THIS AT WORK)」。守らないと→

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《1》テレビは、社会問題の警鐘、国民の教育、所詮は娯楽? ビジネス?

白楽はオーストラリアに合計1年以上滞在しているが、滞在中、自宅のテレビでABCテレビの番組を何度も見た。ABCは日本のNHKのような公共放送局だが、教育文化面の番組が中心で、内容はとてもよかった印象がある。白楽は日本でテレビを見ないので、NHKとの違いはわからない。

「キャタリスト(Catalyst)」でマリアン・デマシ(Maryanne Demasi)がプロデュース・司会したエピソードは、タブー視されそうな医学・医療問題に果敢に取り組んでいた。

「キャタリスト(Catalyst)」全体もデマシも挑戦的で素晴らしいと思う。

しかし、テレビ番組はインパクトや娯楽性が求められる。学術論文もインパクトと娯楽性(多分)も求められるが、その度合いはかなり異なる。

デマシのテレビ番組エピソードは挑戦的でキワドイ内容である。社会的な論争を引き起こす医学・医療問題を扱っている。

コレステロールのエピソードでは放映内容が大きな論争になった。医薬品会社がボロ儲けの内情をバラされたので攻撃したのだ(憶測)。

2009年10月22日に日本のクラゲ問題「The Rise of Slime 」を放映。写真:http://forums.auscelebs.net/viewtopic.php?f=88&t=13998&start=40

《2》医学・医療メディア

一方、「2003年のJ Biol Chem.」論文の電気泳動バンドの再使用(ねつ造)は、2017年10月17日現在、懸念表明(Expression of Concern)の段階だが、ねつ造は明白だ。

「撤回監視(Retraction Watch)」が「調査しているのですか?」とアデレード大学に質問した回答は、「ノーコメント」である。

しかし、アデレード大学は調査し、クロと判定し、学術誌に論文撤回を依頼し、博士号をはく奪するだろう。

マリアン・デマシにとっては、14年前の論文の不手際を指摘されて、41-42歳の油の乗り切った人生が大きく沈下してしまう。

オーストラリアの医学・医療メディアにとって甚大な損失になる。

http://www.smh.com.au/comment/catalyst-host-maryanne-demasi-in-the-business-of-advocacy-not-journalism-20160222-gn0tkd.html

《3》「2003年のJ Biol Chem.」論文

デマシは2003~2006年の4年間に4論文発表している。4報ともロイヤル・アデレード病院のリウマチ・ユニットのマイケル・ジェームズ教授(Michael James) が最後著者である。

「2003年のJ Biol Chem.」論文はデマシの最初の論文で、これで博士号を取得しているのだが、データねつ造に関して、指導者のマイケル・ジェームズ教授にも大きな責任がある。

指導教授で論文の共著者になっているのだから、院生が最初に発表する論文を丁寧にチェックすべきだ。そうすれば、電気泳動バンドの再使用(ねつ造)に気が付いたハズだ。

なお、デマシの他の3論文に電気泳動バンドの再使用(ねつ造)はないんでしょうね? チョット見ると、ありそな・なさそな、黄色いサクランぼお。

「2004年のArthritis Rheum」論文でもデマシは第1著者である。

「Arthritis Rheum」編集長のリチャード・ブカラ(Richard Bucala)は、アデレード大学から申し立てがあり、調査中だと答えている。

白楽が思いつきそうなことは、すでに、調査が入っている、というわけだ。

http://forums.auscelebs.net/viewtopic.php?p=432009

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《1》「撤回論文数」ランキング

現在、「撤回論文数」ランキングの世界第1位は撤回論文数が183報の日本の藤井善隆(東邦大学) Yoshitaka Fujii(日本)である。
→ 「撤回論文数」ランキング | 研究倫理(ネカト)

グプタは20年間に渡り400報の論文を発表していた。

ほぼ全部がデータねつ造論文だと言われている。だから、当局がチャンと調査すれば、400報の撤回論文数になり、一躍、「撤回論文数」ランキングの世界第1位になる。

ところが、チャンと調査されていない。残念!

《2》考古学

序論に書いたが、考古学(古生物学)でのデータねつ造事件は、嘘のような本当のあきれた事件がいくつもある。

古くは、ヨハン・ベリンガー(Johann Beringer)(ドイツ)の贋化石:1725年

ジョージ・ハル(George Hull )(米)のカーディフの巨人 :1869年

1912年に英国で発見されたピルトダウン人の頭蓋骨が1949年に真っ赤なニセモノであることが証明され、近代科学史上最大のスキャンダルとされた。

無名の農夫(中国)の恐竜アーカエオラプトル(archaeoraptor)化石:1999年

日本でも2000年11月、藤村新一の化石ねつ造が大事件になった(毎日新聞のスクープ)。

グプタ事件は、考古学分野ではピルトダウン人事件に次ぐ大事件とされている。

完全に意図的に他人をダマそうとしたデータねつ造事件である。しかし、どうして、人は騙されるのだろうか? それも、一流の学者たちがコロッと騙されている。

分野の特徴は、
①基本的に追試できない。だから再現性実験は要求されない。
②化石発見の経済効果が大きい。観光地となり、文化遺産となる(かもしれない)。
③否定する確証が得にくい。
④しかし、証拠としての物体(化石)は必要である。現在なら、その物体(化石)の成分を化学分析すれば、年代や埋没していた場所も証明できるだろうが、当時はできなかった(しなかった? しても不都合な真実は無視された?)。

《3》動機

グプタは、化石をねつ造して面白いかったのだろうか? しかし、遊びやおふざけのレベルなら面白いだろうが、学問で論文として発表するレベルではどうだろう?

グプタの化石のねつ造は、人類の知的財産を積み上げる行為とは全く逆の行為である。科学者をダマし、学問を混乱させた。データねつ造では、知的体系は構築できない。人間をダマせても、自然法則はダマせない。

トクすることが動機だったのだろうが、異常である。

22歳で「Nature」論文を発表し、天才とあがめられた。しかし、そもそも、この論文からデータねつ造なのである。

その後、博士号取得は25歳、大学教授就任が26歳と、天才扱いされた。データねつ造を見つからないようにすることが研究だと思い込んだようだ。

最初からネカトまみれで、20数年も大学者として世界で活躍してしまった。ねつ造を検出できなかった周囲や共著者にも責任がある。「超優秀で人柄が良い若い研究者が研究ネカトする」典型例である。

①超優秀、
②人柄が良い、
③若い、
④地位の高い庇護者がいて、
⑤研究の初期から不正をする。
→ 美貌と研究ネカトで名声を得た女性研究者、超優秀で人柄が良い若い研究者が研究ネカトする | 研究倫理(ネカト)

《4》反発が異常

グプタの化石ねつ造が発覚したのち、化石ねつ造の詳細を伝えるハズのテクニシャンが交通事故で死亡した。もう1人の関係者の母親も交通事故で大けがをしている。両方とも犯人は不明だが、グプタが関与していたと推測される。

さらに、グプタは殺し屋にお金を払ってジョン・タレントを殺すように依頼したと言われている。

グプタの反発は異常である。

しかし、激しく反発する人は珍しくない。

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《1》大統領の盗博

メディーナ大統領(左)とマルガリータ・セデーニョ副大統領(Margarita Cedeño)(右)、写真photo via Diario Libre 出典 

大統領の盗博は厄介である。

政治的パワーが強すぎて、糾弾するのは容易ではない。

告発者のグネコ教授はコクハラ(告発ハラスメント)で解雇された。

ドミニカの社会、メディア、大学、学者は腰が引けていた。

大統領の盗博を調査するネカト国際機関はない。従って、このような事件では、ドミニカ以外の国の人が調査するのが現在では唯一の有効手段だろう。

例えば、ロシアのプーチン大統領の盗博を米国のブルッキングス研究所の研究者が指摘したようにだ。ただ、下手すると両国間の紛争になったり、告発者が国家転覆罪になるかもしれない。
→ 盗博:経済学:ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)(ロシア) | 研究倫理(ネカト)

http://elnacional.com.do/obama-responde-con-receptividad-carta-de-medina-sobre-libre-comercio-trans-pacifico/

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《1》あいまいな事件

ヘパリン粗悪品は米国人の785人に重度の健康被害が出て、少なくとも81人が死亡した大事件である。米国のメディアが大きく報道した。日本での被害者は0人だが、日本のメディアも大々的に報道した。珍しい。

しかし、常州SPL社の誰が汚染した犯人なのか? はっきりしない。追及している節もない。

汚染物質はヘパリンと化学的に類似の「過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)」と結論されているが、「過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)」がアレルギーや死をもたらすという証拠は明確ではない。別の薬物が添加され、そちらが原因ではないかと詮索した記事もある。
→ Scientists Near Source of Altered Heparin – The New York Times

つまり、この事件では、汚染物質、汚染者、汚染の過程をしっかり追及・把握できていない。

中国の工場での不祥事なので、米国が追及できないからだ。そして、中国の国家食品薬品監督管理局(国家薬監局)は中国の失態を隠蔽したい。

中国の国家食品薬品監督管理局(国家薬監局)。出典

ただ、一般的に、「たくさんの医薬品の原料が中国で生産されているが、その衛生管理は不十分である」と指摘されている。

国際慣例に照らせば、輸入原料薬品の合法性および品質安全性は、輸入国が自国の関連法律に基づいて厳格にチェックすべきである。(「毒ヘパリン」番外—「わが国は欧米と共同で薬品安全監督管理を推進する」 – COUSSINET)

中国は以下に示すように、安全性に問題がある食品事件を他にも起こしている。医薬品も同等と思われる。日本は輸入した製品の品質を日本でシッカリチェックすべきである。

《2》防ぐ方法

どの組織や国もそうだろうが、組織や国の全体的レベルを上げないと、こういう問題はなくならない。政府、企業経営者、企業従業員、消費者の意識の全体的向上が必要である。

個々の問題点を指摘しても、指摘しきれない。

ヘパリン粗悪品事件を他山の石として、日本の研究ネカト問題を考える。日本の政府、学術界、メディア、各研究者、国民のすべてのレベルで研究公正を高めないと、日本の研究ネカトは減らないだろう。

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《1》GcMAF(ジーシーマフ)の臨床的有効性

GcMAF(ジーシーマフ)の臨床的有効性について欧州や米国ではとても懐疑的で、英国では政府が禁止している。

しかし、日本政府は警告を発していない。

それをいいことに、日本の医療機関は、GcMAFがあたかも有効かのごとくウェブサイトで宣伝している。 例えば、

初乳MAF(写真出典)という製品も市販している。

皆さんはダマされないように!

2012年、ウェブサイトに、「「先端未来クリニック」という病院が、GcMAFという手法を使ってHIVを根治出来る、と説明しています。画期的な事か」という質問があった。

この質問に、臨床と研究に10数年間従事した猫山司・医師が、「この治療法は、科学的妥当性に欠ける」と答えている。「彼らは医学累犯詐欺師集団である可能性が高い」と指摘している。
→ ココ(保存版)

なお、GcMAF(ジーシーマフ)が有効と主張するなら、研究に対する批判に真摯に答え、有効性を示す研究をしっかり進めて欲しい。本当に有効なら、恩恵にあやかれる人は多いはずだ。

《2》当局は取り締まらない

通常、ネカト調査は所属大学・研究機関が行なう。ノブト・ヤマモトのように大学・研究機関に所属していないと、ネカト調査をする大学・研究機関はない。

また、ノブト・ヤマモトのように米国政府から研究費をもらっていないと、研究公正局はネカト調査をする権限がない。

唯一の当局は、論文を掲載した学術誌だが、砕いていえば、学術誌はネカトかどうかはどうでもよく、信頼できるか手順を踏んで研究されたがどうかである。信頼できなければ、撤回する。「誰が不正者者なのか」への関心は低い。処罰といっても論文撤回以上のことはできない。

というわけで、現在の研究公正システムでは、ノブト・ヤマモトのような場合のネカト研究やズサンな研究は取り締まれない。

《3》政府や医師会・医学界

ノブト・ヤマモトは80歳を越えてから撤回される論文を3報も出版した。論文はズサンの一言である。

高齢になってから、ズサンな研究で庶民をダマすような論文を発表した。そのことは学術界の問題であるが、尻馬に乗って儲ける人たちがいて、これは社会的な問題である。被害者と被害額はかなりの人数・額になると思う。ベルギーのNGO団体と英国政府機関が警告を発したが、日本政府や日本の医師会・医学界・薬学界は警告を発していないし、取り締まっていない。

多分、被害者は被害の自覚がないと思われる。GcMAF(ジーシーマフ)に効果がなくても、「鰯の頭も信心から」なので、治ると思って高価な薬を飲めば(注射すれば)、病気は快方に向かうかもしれない。

しかし、効能がない医薬品をプラセボ効果があるからと認めることはできない。

厚生労働省や医師会・医学界・薬学界は警告を発し、取り締まるべきだ。

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《1》腐敗摘発委員会

ニューカッスル大学の盗用処理を学部長が不正に行なった。大学上層部のネカト問題及び不正なネカト処理を、腐敗摘発委員会が調査し判定した。

日本でも大学上層部のネカト問題が起こっているが、残念ながら、現状では、それを適正に調査し正す仕組みがない。

数件報道されている学長自身のデータねつ造・改ざん行為はまともに調査されていない。東京大学・医学系教授のデータねつ造・改ざん行為もまともに調査されなかった。

大学のネカト事件を調査する第三者機関が日本に無いからだ。調査といってもお笑い草の調査なのだ。

白楽は、かつては日本に研究公正局を設けよと主張してきたが、現在は、刑事訴追できる警察がネカトを調査すべきだと考える。しかし、ネカト防止に関心の高い人たちでも、警察が調査することに躊躇する人が数割いる。

警察がネカトを調査すべきだと思うが、腐敗摘発委員会という組織も「あり」かもしれない。刑事訴追できること、大学・学術界・産業界・政府などから独立した機関で、強い調査権限をもつ機関であればよいだろう。

《2》大事件

ニューカッスル大学事件は、「全期間ランキング」に記載した「「高等教育界を震撼させた著名人の10大盗用スキャンダル」:2013年1月10日」の第8位である。

盗用事件は2003年に起こり、2005年に腐敗摘発委員会がニューカッスル大学の盗用処理不正の調査結果を公表した。

それが、8年もたった2013年に、「10大盗用スキャンダル」の1つに取りあげられた。

そんな大事件とは思えないが、どうしてだろう? 大事件だったということか。

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《1》唖然

ヴァシーシト事件の盗用は、論文題名を変えただけのほぼ全文盗用である。

それも、自分の出身大学のヴィラユータム・ゴーピクリシュナ教授が編集長をしている学術誌に投稿した。

ヴィラユータム・ゴーピクリシュナ教授は多分、ルチ・ヴァシーシトをよく知っている。だから、2012年に投稿された原稿の査読を依頼したに違いない。

同じ分野の論文で、上記のような状況なら、論文題名を変えても、まず、確実に盗用は発覚する。そうと知りつつ、盗用する行為に唖然とする。

「そうと知りつつ」と書いたが、発覚しないと考えていたなら、それにも唖然とする。

ルチ・ヴァシーシトはナショナル歯科大学の上級講師で、2012年の著書『Caries Prevention – A Paradigm Shift in Dentistry』(表紙出典)、2014年の著書『Re-Mineralization of Artificial Enamel』(表紙出典)と著書が2冊もある。

それなのに、この事件で学者としてキャリアを積むことはもうできないだろう。ネカトで人生を棒に振ってしまった。

2017年9月13日現在、ルチ・ヴァシーシトはナショナル歯科大学・歯保存/歯矯正学科の教員サイトに載っていない。辞職(解雇)したようだ。

《2》大学

ヴァシーシト事件ではヴァシーシトが所属するナショナル歯科大学(National Dental College)が調査したという記述が見当たらない。

学術誌「J Conserv Dent.」編集部はナショナル歯科大学に盗用の件を知らせたはずである。

ナショナル歯科大学は何も調査しなかったのだろうか?

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《1》重要な書類の盗用

論争となっている地球温暖化問題の報告書で盗用が見つかった。

注目を集めているのに、どうして、盗用するんだろう? 注目を集めているのだからネカトはすぐに発覚するハズだ。

脇が甘い。

イヤイヤ、今までと同じように論文をまとめたのだ。今までも盗用していたので、同じように盗用したのだ。今までの論文はそれほど注目されなかったから盗用がバレなかったが、今回は注目されたので、盗用がバレた。

《2》誰の資金? 調査結果の非公開

ジョージ・メイソン大学は調査結果を公表しない。調査の結論もおかしい。なんか裏がある印象だ。

この態度に多くの研究者が抗議した。

米国政府の資金が使われた研究でネカトが発覚した。つまり、研究に国民の税金が使われている。ネカトなら税金が不当に使われたことになる。そのネカト調査の結果を公表しないということは、資金を提供している国民に不誠実である。

「撤回監視(Retraction Watch)」もジョージ・メイソン大学の態度を非難し、改善を要求した。

日本も調査結果を公表しない大学が多い。税金で資金援助している国民には知る権利がある。調査結果を公表しない大学なら、国公私立を問わず、国は一切の補助金を停止したらどうでしょう。不正の加担に白楽のカネを使うな! 皆さんだってそう思うでしょう。

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《1》事件後の人生

ウルフ=サイモンは、事件の半年後、2011年5月(33歳)、カリフォルニア州メンローパークのアメリカ地質調査所を去った。

この時点で、研究界からドロップアウトし、研究者のキャリアは終わったようだ。

《2》防ぐ方法

ウルフ=サイモンの発見は、もし本当ならノーベル賞級の発見である。

そういう世紀の大発見なので、NASAは、記者会見で派手に宣伝した。

それで、メディアは大騒ぎした。

ところが、まともな研究者が少し考えれば、研究のツメの甘さや研究プランのズサン具合がわかる。

ウルフ=サイモンの論文の共著者、査読者、NASAのお偉いさん、大発見に舞い上がって、基本的なことが見えなくなってしまったようだ。

2011年4月(33歳?)、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。

小保方晴子事件と似ていると書いたが、どうしてこうなってしまうんでしょう。デイビッド・サンダース教授が指摘するように、「論文査読、学術誌、政府機関、学術機関、メディア、そして多数の個人」がダマされてしまう。

防ぐ方法はなく、また、いずれどこかで起こる、いや、昨日、あなたの近くで、起こりましたよ、多分。

写真出典

《3》論文撤回すべき

2017年9月23日現在、問題視された「2011年のScience」論文は撤回されていない。

論文内容が間違っているのだから、論文撤回すべきでしょう。

「Science」はネカト問題を記事にしているのに、自誌のネカト論文を放置するとは、コレいかに!

photo by Suzie Katz. https://www.flickr.com/photos/flyinghorsepix/5577976202。使用条件:Attribution-NonCommercial-NoDerivs 2.0 Generic (CC BY-NC-ND 2.0)

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《1》処分が甘い

サマン・ダギギ院生とドンチーン・イ教授(写真出典保存版)の共著の総説「2010年のMicrofluidics and Nanofluidics」の盗用である。

ダギギが盗用主犯と思われるが、退学処分を受けず、その後、博士号を取得し、2017年9月20日現在、米国のカリフォルニア大学バークレー校・ポスドクとして研究を続けている。

イ教授は盗用実行犯とは思えないが、ダギギ院生へのズサンな研究指導が問題視され、4か月の無給停職処分を受けた。

ダギギ院生、ドンチーン・イ教授への処分は甘い。

ダギギ院生は実質上、無処分のようだが、これで、ウォータールー大学は研究公正を保てるのだろうか?

イ教授はまともに研究・教育が行なえるのだろうか? 学術界での信頼を失ったら、学術界では芽はないだろう。学術界以外のセクターで働く方がノビノビと才能を開花できるのではないだろうか?

標語:「ネカト者は学術界から追放!」

《2》大学がかばう

ウォータールー大学はヤサマン・ダギギ院生(Yasaman Daghighi、写真出典)、ドンチーン・イ教授をかばい、プライバシーを盾に、新聞記者の取材に応じなかった。

なんかなあ。

まともな大学のやることではない。日本の大学もこういう私物化が多くて、うんざりする。

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《1》電気泳動写真のレーンの切り貼り

昔、白楽が電気泳動していたころは、電気泳動レーンの切り貼りはデータねつ造・改ざんではなかった。「切り貼り」は必須だったからだ。

ディスク式電気泳動槽、出典

現在普及しているスラブ式電気泳動は、当時、まだ登場しておらず、ディスク式電気泳動だった。1つの試料に付き1つのガラス管を用いて、泳動した。

従って、複数のサンプルを同時に泳動しても、1つの試料当たり1本のゲルになる。

論文の図にするには、電気泳動ゲルのバンドを染色し、フィルム写真で撮影し、印画紙にプリントし、プリントをカッターで切って、紙の上に切り貼りしたレーンを並べた。そして、それをもう一度写真に撮るという面倒な工程だった。字は、ロットリング(懐かしいね)だった。

つまり、ディスク電気泳動では同時に実験操作しても、レーンは最初から隣に並んでいない。だから写真プリントのレーンを切り貼りして並べるしかなかった。

当然ながら、電気泳動レーンの切り貼りはデータねつ造・改ざんではなかった。

By User Magnus Manske on en.wikipedia – Originally from en.wikipedia; description page is (was) here, CC 表示-継承 3.0, Link

その後、スラブ式の泳動が普及した。スラブ式の泳動では試料を一列に並べることができ、泳動像は、右のようなレーンとレーンの間に切れ目がない像になった。

だから、レーンを写真上で切り貼りすると、レーンとレーンの間に切れ目ができて、データねつ造・改ざんだと疑われるようになった。

なお、日本で最初にウェスタンブロットをした人物は、多分、白楽だろう。

ウェスタンブロットは1981年に命名されたが、丁度その頃、白楽は米国NIHのポスドクで、毎日のようにウェスタンブロットをしていた。

1982年3月、米国から帰国したとき、手荷物にウェスタンブロット槽と電源を詰め込み、日本に運んできた。電源は部品を買って米国で妻に作ってもらった自作電源だった。100V交流を150V直流に変える電源である。

ウェスタンブロット槽(米国の既製品だが、当時、日本国内では売っていなかったと思う)はもう手元に残っていないが、自作電源は残っていた。

ベセスダの街の電気店・ラジオシャック(Radio Shack)で電源箱を2ドル99セントで購入し、パーツも買って組み立てた。忘れないように箱の底にパーツの配線方法を書いた。日本でも同じ電源を作るためだ。

その後、電気泳動といえばスラブ式の泳動が当たり前となり、さらに、コンピュータで画像処理ができるようになった。

ということで、電子的に画像の切り貼りをすることで容易にデータねつ造・改ざんができるようになり、事実、そのようなデータねつ造・改ざんが多数見つかってきた。

それで、今では、画像の切り貼りだけでデータねつ造・改ざんと見なされるようになったのである。

2008年の中山敬一の「Photoshopによるゲル画像の調整」では「異なった時間・場所で行なった実験結果を,あたかもひとつのデータのようにみせること(たとえば,同じ電気泳動ゲル上の離れたレーンを近づけた場合でも,あいだには境界線を描かなければならない)」とある。
→ 2008年の中山敬一の「蛋白質核酸酵素Vol.53 No.15(2008)」記事:「Photoshopによるゲル画像の調整」http://www.mbsj.jp/admins/ethics_and_edu/PNE/1_article.pdf

昔は当然だった電気泳動ゲル像の切り貼りが、現在では、程度によっては、データねつ造・改ざんとなるのだ。時代は変わった。
→ 2014年5月14日の「日本の科学と技術」記事:DNA電気泳動写真のレーンの切り貼りはどこまで許されるのか?

昔のディスク電気泳動を知る白楽としては、ソーレン・ダス(Sauren Das)の電気泳動の写真はバンド自身が汚く、レーンの切り貼り以前の問題だという気がした。だから、レーンの切り貼りだけでねつ造・改ざんと決めつけたことに疑問が残る。

それにしても、インド統計大学は調査員会を設け、ソーレン・ダスのネカト調査をし、シロクロを判断すべきだったろう。

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《1》社会派学者

ヘイズ教授は自分の研究結果が農薬の危険性を示していた。それを論文に発表しただけで物足りず、激しく、社会活動をした。現在、このヘイズ教授のような人は日本にいるのだろうか?

ヘイズ教授の勇気と行動力に敬服するが、日本では、正義派学者を支えるメディア、システム、資金提供者がいない。正義派学者は日本では絶滅危惧種あるいは既に絶滅している。

日本では、ほぼ100%近くの学者が、今や御用学者である。そういう社会構造になっている。

中国の言論統制を笑えない。

どうするといいんだろうか?

《2》事実が隠蔽されない社会

他の企業も、シンジェンタ社の研究妨害と同じような研究妨害を行なっているだろう。裁判資料が公開されてシンジェンタ社の蛮行の一部が明るみに出たわけだが、こういうを資料が公開される米国社会をうらやましい。

日本は、森友学園・加計学園や陸上自衛隊の日報問題でメチャクチャなことをしている。安倍首相と官邸、稲田朋美・元防衛相の事実隠蔽や虚偽答弁が明白である。

クロをシロとしたまま、押し通してしまえる日本の隠蔽社会に暗い闇を感じる。

「日本に正義はない」
「日本には真実を最も尊いとする思想がない」

どうするといいんだろうか?

《3》巨額なカネが絡むと真実がみえにくい

除草剤・アトラジン(Atrazine)は安全なのか危険なのか? 恵みの除草剤なのか、悪魔の除草剤なのか?

巨額なカネが絡むと真実がみえない。

とはいえ、シンジェンタ社の研究妨害・個人攻撃は明らかに度を越している。犯罪と認定されなくても、犯罪「的」なのは明らかである。

企業や政治団体を含め多くの巨大組織は、現在も犯罪「的」な行為をしているのだろう。

どうするといいんだろうか?

《4》人口が増える国・減る国

シンジェンタ社の除草剤・アトラジン(Atrazine)が原因で死亡した人及び健康被害を受けた人は報告されていない。

報告されてはいないのは、個々の被害は微弱で気がつきにくく、しかも広範に及んでいるために、自分が被害者だと思わない可能性がある。

一般的な事実として、男性の精子数が世界的に減少している。
→ 2010 年4月25日の「Independent」記事:Out for the count: Why levels of sperm in men are falling | The Independent

その理由として、マサカ、飲料水のなかの除草剤・アトラジンが原因ということはないでしょうね?

農薬が男性の精子数を減らし、人口減になるなら、農薬は民族を静かに弱体させる兵器にもなる。

日本の人口は2017年現在1億2600万人だが、33年後の2050年には1億700万人と15%(1900万人)も減少してしまう。
→ Japan Population (2017) – Worldometers

しかし、世界全体でみると、2017年現在75億1500万人の人口が、33年後の2050年には97億2500万人と13%(22億1千万人)も増加する。

だから方策はあるはずだ。

日本は、どうするといいんだろうか?

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《1》詳細不明

ウェンリン・ロ事件の詳細は不明です。

200頁のうち130頁を盗用(盗用ページ率65%)という明確な盗用なので、他の論文も盗用していたと白楽は思うが、調査委員は他の論文を精査したかどうか不明です。

動機や盗用状況はよくわかりませんが、盗用意図は「ズルして得をする」です。

子供2人の世話が忙しく、ついつい盗用をしてしまったなどとウェンリン・ロは弁解しているが、そんな弁解は通用しませんね。

標語:「ネカト者は解雇!」

《2》美女教授

この事件で台湾のメディアは大騒ぎした。ウェンリン・ロ(、羅 文玲、写真出典不明(元が削除された))を「美女教授」と呼び、「美女教授」が論文盗用したと、「美女」をニュースの売り物にした。

日本のメディアもそうだが、「美女」という言葉を使うニュースや「美しすぎる」政治家のニュースは、国民をバカにしていませんか?

美女を重視すると、研究者は研究に全力を傾けるよりも、美しさを追及して、エステに通い、政治家は政策を練るより二重まぶた・豊胸手術に時間を使う。こんな、アホな価値観が強くなる。

ネカト事件の見出しに「美女」を使うのは、ニュースを売るためで、「売れるネカト報道」の追求になってしまい、本質をゆがめてしまう。

このような誇大表示ニュースは視聴者に異なる印象を与える。ある意味、表示の「改ざん」である。

写真出典不明(元が削除された)

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《1》詳細不明

この事件は詳細不明である。カルパガム大学は調査委員会を設置した気配がないので、当然、調査報告書もない。

ヘマラータ教授が盗用にどれだけ関与したのか、それともクマール院生の単独犯なのか、明確には示されていない。

クマール院生には退学処分が科された。しかし、ヘマラータ教授の処分内容が示されていない。

なお、2017年9月8日現在(38歳)、ヘマラータ教授はラジャラクシミ人文科学大学(Dr.SNS Rajalakshmi College of Arts and Science)・学部長なので、学者としてはキャリアアップしている。ヘマラータ教授は盗用にほとんど関与していなかったと判断されたのだろう。

しかし、2人には、他にも盗用論文があるのか? 動機は何なのか? を含め、事件の詳細は不明である。

それにしても、欧州委員会(European Commission)の研究助成を受けたWINSOCプロジェクトの研究成果の論文を、プロジェクトに関係のない研究者が論文にしたら、どう見ても、おかしいと思うハズだ。盗用者は、こんな単純なこともわからなくなるのだろうか。

さらに、人口160万の都市とは言え、同じ都市にある2つの大学の同じ分野の研究者(著者の1人は学長)の論文を盗用したら、すぐバレると思うが、盗用する時は、バレないと思うんでしょうかねえ。

《2》ランキング入り

クマール事件は、「全期間ランキング」に記載した「高等教育界を震撼させた著名人の10大盗用スキャンダル:2013年1月10日」の第6位である。

ランキング者の記載がないので、誰がランキングしたのか不明だが、クマール事件をどうして、「高等教育界を震撼させた著名人の10大盗用スキャンダル」の第6位にランクしたのか?

盗用事件として何か新しい手法が使用されたわけでも、有名人の盗用事件でも、社会的に大きな影響を与えた事件でもない。

どうやら、ほぼ全文盗用だったことが理由で、ランク入りしたらしい。全文盗用は大胆過ぎてランクした人には珍しいと思ったかもしれないが、盗用率80%以上(盗用ページ率100%)は、結構いる。以下に数例あげておこう。

  1. エリアス・アルサブティ (Elias Alsabti)(米) 
  2. 盗博VP74:ヨルゴ・トリアンタフィロー(Georgios Triantafyllou)(ドイツ)
  3. 盗博VP92:アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)(ドイツ)
  4. 盗博VP113:アレキザンダー・モシュコビッシュ(Alexander Moschkowitsch)(ドイツ)
  5. ロシア下院議員のイゴール・イゴシン(Igor Nikolaevich Igoshin)の博士論文(7-8.ロシアの盗用博士論文:アンドレイ・ロストフツェフ(Andrei Rostovtsev)、2016年3月1日

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画像出典不明

《1》博士号はく奪!

キング牧師の盗博は没後に発覚した。キング牧師はノーベル平和賞を受賞した世界の偉人である。

例えそうであっても、盗博なのだから、ボストン大学は博士号をはく奪すべきだった。盗博に博士号は授与できない。これが原則でしょう。

標語:「盗博の博士号は当然はく奪!」

なお、ボストン大学・調査委員会はキング牧師をかばおうと、盗用率を低く算出したと指摘されている。政治的動機だそうだ。真実に対するナンタル冒涜!

真実を最も尊いとする思想がないのか?

画像出典不明

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《1》刑が軽すぎないか?

ニューイングランド調剤センター社事件で、753人が真菌性髄膜炎に罹患し、76人が死亡した。

一般的に、事件では、被害者にスキがある場合と、被害者にスキはなく、全く悪くない場合がある。

例えば、詐欺の被害者は、通常ではありえない金銭的な得をしようとして相手の言葉を信じ、被害にあうなど、被害者にスキがある場合がある。ところが、医薬品の被害者にスキはなく、全く悪くない。

全く悪くない753人が罹患し、全く悪くない76人が死亡した。

http://www.wcvb.com/article/necc-owner-to-be-sentenced-nearly-5-years-after-meningitis-outbreak/10220558

それなのに、バリー・カデン社長(Barry Cadden、50歳)は2級殺人罪が無罪で、「違法行為による金もうけ(racketeering)」と「通信詐欺(Wire Fraud)」の罪で9年の刑務所刑である。

刑が軽過ぎないか?

ボストン大学(Boston University)のケビン・アウターソン・法学・教授(Kevin Outterson)は、カデン社長が資金を節約するために適切な衛生設備を設けなかったとしても、汚染医薬品と知って出荷したわけではないと、2級殺人罪を科せないことを説明している。

それはそうだ。

現在の法体系では、裁判長の判断は適切に思える。

では、76人の死の責任は誰がとるのか?

何かが悪いから死んだ(殺された)のだ。何が悪かったといえば、汚染ステロイド剤品を出荷したニューイングランド調剤センター社しかない。汚染医薬品と知らなくても、責任という意味では、社長に責任があるだろう。

死者の家族にとって、9年の刑務所刑では刑が軽すぎないか?

被害者はやり切れないだろう。

ただ、9年間の刑務所刑でもバリー・カデン社長にどんな更生を望めるのだろうか?

被害者と社会は、バリー・カデン社長を罰して単に留飲を下げるだけだろう。その場合、刑を重くすれば、どういう点で今後、類似の事件が防げるかと言えば、その効果はあまりないだろう。

どのような処罰が適切なのか? 難しい。

《2》財産没収

753人が罹患し、76人が死んでいる。罹患者は死なないまでも、「一生後遺症を抱えさせられ、いわば終身刑を科されたようなものだ」と述べている。

一方、加害者のバリー・カデン社長(50歳)は9年の刑務所刑である。恩赦があるので、実際はもっと短いハズだ。50代後半には出所するに違いない。賠償金でかなりのお金を払わなければならないだろうが、それでもソコソコ豊かな暮らしができるだろう。

もちろん加害者の人生もそれなりに尊重すべきだが、加害者がノホホントと暮らし、被害者は死亡、あるいは後遺症を抱えて生きていかなければならないのは不公平だ。

こういう事件でいつも思うのだが、バリー・カデン社長の資産のほぼ全部を没収できないだろうか?

バリー・カデン社長以外の13人の社員の資産のほぼ全部も没収する。

特に、コニグリアロ兄弟(グレゴリー・コニグリアロとダグラス・コニグリアロ)の悪質度は高いように思える。

セルヴィエ社事件でも書いたが、加害者の没後、全財産を没収するのでもいい。没収したお金は、薬害死亡者と健康被害者に回し、また、薬害防止の研究や制度改革に使う。そういう法律を作ったらどうでしょう。
→ 製薬企業:糖尿病薬・メディアトール(Mediator):セルヴィエ社(Servier)(仏) | 研究倫理(ネカト)

《3》制度改革

ニューイングランド調剤センター社事件から学んで米国は、2013年11月27日、新しい法案「医薬品品質保証法」(Drug Quality and Security Act、H.R. 3204)を制定した。

エライ!

結局、個人にもそれなりに問題はあったが、それを防ぐには、法律制定(改定)でシステムとして対処する。

日本のネカト対策も法律制定で対処してほしい。「ネカト防止法」

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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