ウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)(スウェーデン)改訂

2018年2月18日掲載。

ワンポイント:【長文注意】。 ウプサラ大学の若い女性ポスドクが、2016年6月(31歳)、微小プラスチックごみが稚魚の成長に悪影響を及ぼすという「2016年のScience」論文を発表した。環境問題に訴えたのでマスメディアが好意的に取り上げた。しかし、論文出版後3週間以内に、同じウプサラ大学の同じ学科のポスドクであるジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)が、サイエンス誌・編集部、ウプサラ大学、スウェーデン政府の中央規範審査委員会に「2016年のScience」論文はデータねつ造・改ざんだと告発した。2016年8月31日(31歳)、ウプサラ大学はシロと判定した。
しかし、2017年4月21日(32歳)、スウェーデン政府の中央規範審査委員会は「2016年のScience」論文をクロと判定し、同時にウプサラ大学の調査のズサンさを強く非難した。また、2017年5月(32歳)、サイエンス誌・編集部は、「2016年のScience」論文を撤回した。この状況に慌てたウプサラ大学は、2017年5月29日、再調査を始めた。そしてようやく、2017年12月6日、ウプサラ大学はロンステットをネカトと結論した。 ロンステットはウプサラ大学を解雇された思われる。指導教授のピーター・エクロフ教授はウプサラ大学に在職している。損害額の総額(推定)は2億3500万円。
なお、この事件は、「2017年ネカト世界ランキング」に記述した「「Scientist」誌の2017年の論文撤回上位10論文:2017年12月18日」の1つであり、「「科学と健康米国協議会(American Council on Science and Health)の2017年10大ガラクタ科学」:2017年12月19日」の第9位である。
この事件は、白楽指定の重要ネカト事件である:情報量の豊富さ、透明性の高さ、大学のシロ判定を覆した。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt、写真出典)は、スウェーデンのウプサラ大学(Uppsala University)・生態/遺伝学科(Department of Ecology and Genetics)のポスドクで、医師ではない。専門は海洋生物学だった。

2016年6月3日(31歳)、微小プラスチックごみが稚魚の成長に悪影響を及ぼすという「2016年のScience」論文を発表した。

2016年6月20日(31歳)、論文出版17日後、同じウプサラ大学の同じ学科の同じポスドクで年齢も近い若い女性のジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)が中心になり、世界の7大学・7人の海洋生物学者は、ウプサラ大学・学長に正式に、「2016年のScience」論文のねつ造・改ざん疑惑の調査を要請した。また、同時に、サイエンス誌・編集部、さらに、スウェーデン政府の中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board)にも調査を要請した。

2016年8月31日(31歳)、告発2か月後、ウプサラ大学は、予備調査の結果、「ネカトとするのに十分な証拠はない。ネカトではない。本調査は不要」と発表した。

2016年12月9日(31歳)、告発6か月後、サイエンス誌・編集部は、ウプサラ大学がシロと結論したにもかかわらず、「2016年のScience」論文に懸念表明(Expression of Concern)を付けた。というのは、サイエンス誌・編集部は、著者のウウナ・ロンステットに元データを提出を求めていたが、ロンステットは、元データを収納していた唯一のノートパソコンが盗難にあったと弁解し、元データを提出しなかったからである。

2017年2月23日(32歳)、告発8か月後、スウェーデン政府の中央規範審査委員会から調査を依頼されたストックホルム大学の魚類生物学者・バーティル・ボルグ教授(Bertil Borg)は、ウプサラ大学がシロと結論したにもかかわらず、19ページの報告書で、「2016年のScience」論文をクロとした。

2017年4月21日(32歳)、告発10か月後、ボルグ教授の報告書を検討した中央規範審査委員会は、「2016年のScience」論文をクロと発表した。同時にウプサラ大学の調査のズサンさを強く非難した。

2017年5月(32歳)、告発11か月後、サイエンス誌・編集部は「2016年のScience」論文を撤回した。

2017年5月29日(32歳)、告発11か月後、ウプサラ大学のエヴァ・オーケソン学長(Eva Åkesson)は中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board、Central Ethical Review Board )のクロ判定を受けて(とは明言していないけど)、新しい調査委員会を設置し、再調査を命じた。

2017年11月1日時点(32歳)、告発1年5か月後、事件当時ポスドクだったウウナ・ロンステットは助教授になっていた。サイト:Oona Lönnstedt – Uppsala University, Sweden(2017年11月1日にあったが、2018年2月12日にチェックするとサイトは削除されていた)

2017年12月6日(32歳)、告発1年6か月後、新しい調査委員会の結論により、ウプサラ大学はウウナ・ロンステットをネカトと結論した。

2018年2月12日にチェックすると、助教授になっていたウウナ・ロンステットのサイトは削除されていた。解雇されたと思われる。ピーター・エクロフは教授として在職している。処分を科された形跡はない。

この事件は、「2017年ネカト世界ランキング」に記述した「「Scientist」誌の2017年の論文撤回上位10論文:2017年12月18日」の1つであり、「「科学と健康米国協議会(American Council on Science and Health)の2017年10大ガラクタ科学」:2017年12月19日」の第9位である。

ウプサラ大学(Uppsala University)・生態/遺伝学科(Department of Ecology and Genetics)。 写真出典

  • 国:スウェーデン
  • 成長国:オーストラリア
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:オーストラリアのジェームズクック大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:1985年2月23日
  • 現在の年齢:33 歳
  • 分野:海洋生物学
  • 最初の不正論文発表:2016年(31歳)
  • 発覚年:2016年(31歳)
  • 発覚時地位:ウプサラ大学・ポスドク
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は同じウプサラ大学の同じ学科の同じポスドクであるジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)である。サイエンス誌・編集部、ウプサラ大学、スウェーデン政府の中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board)に公益通報
  • ステップ2(メディア): 「Science」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①「Science」誌。②ウプサラ大学・調査委員会(1回目)。③スウェーデン政府の中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board、Central Ethical Review Board )。④ウプサラ大学・調査委員会(2回目)
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり
  • 大学の透明性:大学の事件への透明性。実名報道で調査報告書(委員名付き)がウェブ閲覧可(◎)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:1報撤回
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 損害額:総額(推定)は2億3500万円。内訳 → ①研究者になるまで5千万円。②研究者の給与・研究費など年間2000万円が3年間=6千万円。③院生の損害はない。④外部研究費は「プラスチック・マイクロビーズと魚の発達」研究プロジェクトでスウェーデン政府の研究助成機関・フォーマス(Formas http://www.formas.se/en/)から33万ドル(約3300万円)の研究費を受領。⑤調査経費(大学と中央規範審査委員会と学術誌出版局)が5千万円。⑥裁判経費なし。⑦論文出版・撤回作業が1報につき100万円、撤回論文の共著者の損害が1報につき100万円。1報撤回=200万円。⑧研究者の時間の無駄と意欲削減が4千万円
  • 職:事件当時ポスドクだったのに、事件後1年半(2017年11月2日)以内に助教授に採用されていた。Oona Lönnstedt – Uppsala University, Sweden(2017年11月1日にあったが、2018年2月12日にチェックするとサイトは削除されていた)。事件後にウプサラ大学がシロ判定したので研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)が、その後、ウプサラ大学がクロ判定に変えたので解雇または辞職したと思える(Ⅹ)。
  • 処分: 解雇または辞職。

●2.【経歴と経過】

主な出典:(2017年11月1日にあったが、2018年2月12にチェックするとサイトは削除されていた)

  • 1985年2月23日:スウェーデンで生まれる
  • 2008年6月(23歳):オーストラリアのジェームズクック大学(James Cook University)を卒業。海洋生物学
  • 2014年7月(29歳):オーストラリアのジェームズクック大学(James Cook University)で研究博士号(PhD)を取得した
  • 2014年(29歳):スウェーデンのウプサラ大学(Uppsala University)・ポスドク
  • 2016年6月(31歳):問題の「2016年のScience」論文を発表した
  • 2017年5月(32歳):問題の「2016年のScience」論文を撤回した
  • 2017年11月1日(32歳):ウプサラ大学・助教授になっていた:Oona Lönnstedt – Uppsala University, Sweden(2018年2月12日にチェックするとサイトは削除されていた)
  • 2017年12月6日(32歳):ウプサラ大学はネカトと判定した

●3.【動画】

【動画】
事件のニュース動画「ウプサラ大学の研究者が魚のデータをねつ造(Uppsala Researcher Fabricated Fish Data)」(英語で44秒)。
Wochit News が2017/12/08 に公開

以下は「2016年のScience」論文の内容に沿った解説をする動画。

【動画】
2016年6月3日、BBC Newsの一部に動画がある。サイトを開いて動画をクリックする:英語で37秒。

Fish eat plastic like teenagers eat fast food – BBC News

【動画】
2016年6月6日、サイトを開いて動画をクリックする:英語で1分33秒。

TomoNews | Fish are eating microplastic like junk food, and it’s killing them

●4.【日本語の解説】

★2017年05月05日:読売新聞・三井誠、「「海のプラごみ」論文、米科学誌が取り消す」

出典 → ココ、(保存版

米科学誌サイエンスは3日、昨年6月3日に掲載した、海洋の微小なプラスチックごみが魚の成長や行動に悪影響を与えるとする論文を取り消すと発表した。

論文はスウェーデン・ウプサラ大の研究者が発表したもの。同誌は、論文の基になった実験データが保存されていないことなどが理由と説明している。

一部の研究者から内容に疑問の声が上がり、論文を書いた研究者2人が4月28日、同誌に論文取り消しを求めていた。

同大の発表によると、研究者は「結果が正しくても疑いが残る限り信頼されない」と説明しているという。同大は事実関係の調査を進める方針だ。

★2017年05月05日:世界変動展望、「サイエンス、プラ粒子論文を撤回!捏造!!」

出典 → ココ、(保存版

サイエンス誌がスウェーデンのUppsala UniversityのOona LönnstedtとPeter Eklövの論文を撤回した。論文は微小プラスチックごみが稚魚の成長に悪影響を及ぼすという内容。

2016年12月にExpression of Concernが出され、2017年5月3日に撤回された。

撤回理由
(1)実験に対する倫理承認の欠如
(2)論文で報告された実験のオリジナルデータの不存在
(3)実験がいかに実施されたかに関する広範な透明性の欠如

サイエンスのニュースによると実験を実施したOona Lönnstedtが十分な期間実験を実施した施設にいなかった事が疑われた。実験の実施が不可能であるから捏造が疑われた。調査でオリジナルデータの不存在、実験方法の広範な不透明さが明らかになったので捏造だった。現在でもUppsala Universityの調査は続いているようだ。

共同朝日も報道した。国際的に騒がれているのかもしれない。不正の動機はおそらく名声や地位、予算が欲しかったのだろう。環境系の捏造だから、著者、政府関係者、国際環境団体等が提言したい政策にとって有利な成果を出したかったという動機もあるかもしれない。放置されていたら間違った研究や政策の実施で大損害が出たおそれがあったから、迅速に撤回されて良かった。Oona Lönnstedtらは調査結果に同意していないようだが、実験が不可能などの証拠が出てしまうとアウトだ。「結果が正しくても疑いが残る限り信頼されない」と言ったようだ。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★「2016年のScience」論文

2016年6月3日(31歳)、ウプサラ大学(Uppsala University)・ポスドクのウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)は、問題の「2016年のScience」論文を発表した。

稚魚が食べた微小プラスチック。http://us.tomonews.com/fish-are-eating-microplastic-like-junk-food-and-it-s-killing-them-3069039

稚魚は微小のプラスチックごみを好んで食べるので、プラスチックごみが稚魚の成長や行動に悪影響を及ぼすという内容である。子供がファストフードばかり食べるように魚が微小のプラスチックのごみを食べるから、海洋にプラスチックを投棄しないようにという警告なので、メディアの注目を浴びた。
→ 2016年6月3日のイアン・ジョンストン(Ian Johnston)記者の「Independent」記事(写真出典):Fish prefer to eat plastic over food – and it is killing them, study suggests | The Independent

なお、ウウナ・ロンステットは「プラスチック・マイクロビーズと魚の発達」研究プロジェクトでスウェーデン政府の研究助成機関・フォーマス(Formas http://www.formas.se/en/)から33万ドル(約3300万円)の研究費を受給していた。

著者は2人で、ウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)が第一著者で最後著者は指導者のピーター・エクロフ教授(Peter Eklöv)だった。

左がピーター・エクロフ教授(Peter Eklöv)。右がウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)。Credit:Kristin Scharnwebber。写真出典

★2016年6月20日:ねつ造・改ざんの調査申し立て

「2016年のScience」論文のデータのねつ造・改ざん疑惑がすぐに沸き起こった。

ジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)

ウウナ・ロンステットと同じウプサラ大学の同じ学科の同じポスドクで年齢も近い若い女性であるジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin、写真出典)は、論文を精査した。すると、「研究方法上の欠陥」と「データの欠落」などいくつかの疑惑が沸き起こってきた。ジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin

それで、今までの研究者仲間である世界の6大学・6人の海洋生物学者に疑念点を伝え、問題点を議論した。海洋生物学者の国は、ノルウェー、スウェーデン、スイス、オーストラリア、カナダの5か国である。

その1人であるオーストラリアのタスマニア大学の海洋生物学者・ティモシー・クラーク(Timothy Clark、写真出典)は 、次のように述べている。

「私たちは「2016年のScience」論文のネカトを告発するかどうか議論しました。しかし、内部告発は危険で、研究者としての将来のキャリアに影響する可能性があります。サンディンのようにパーマネントな職に就いていない場合、特に、危険です。それで、慎重に対処するように忠告したのですが、サンディンは正義感から告発せずにはいられなかったのでしょう」。

2016年6月16日(31歳)、論文出版13日後、サンディンと世界の6大学・6人の海洋生物学者は、疑念点を20項目に整理し、2人の著者に質問した。しかし、満足できる返事が得られなかった。また、ウウナ・ロンステットに元データの提出を求めると、パソコンが盗難にあったので提出できないとの返事だった。

2016年6月20日(31歳)、論文出版17日後、ジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)を含め世界の7大学・7人の海洋生物学者の連名で、ウプサラ大学・学長に正式に、「2016年のScience」論文のねつ造・改ざん疑惑の調査を要請した。書類は、ウプサラ大学・学長など6人の要職者に送付した。

Uppsala-letter2

 

指摘点の一部を抜粋しよう。

  • スウェーデンのゴットランド島のアー実験所(Ar Research Station)で実際に行なった実験日数は、論文で報告された卵および幼虫の曝露日数よりも短い。データねつ造である。
  • 実験槽と魚の実際の数は、論文に記載されている数よりも少ない。データねつ造である。
  • アクアリアの維持管理とモニタリングは、論文に記載されているように実施されていない。データねつ造である。

2016年7月5日(31歳)、ウプサラ大学は予備調査を開始した。

ジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)は、世界の7大学・7人の海洋生物学者の連名で、ウプサラ大学とは別にスウェーデン政府の中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board 、Central Ethical Review Board 、審査委員)にも調査を依頼した。

中央規範審査委員会の委員に海洋生物学者がいなかったので、中央規範審査委員会はストックホルム大学の魚類生物学者・バーティル・ボルグ教授(Bertil Borg、写真出典)に調査を依頼した。

★2016年8月31日:ウプサラ大学はシロと結論

2016年8月31日(31歳)、告発を受けて2か月後、ウプサラ大学は、予備調査の結果、「ネカトとするのに十分な証拠はないので、ネカトではない。本調査は不要」と発表した。

UFV-2016-1074_Report-from-preliminary-investigation_ENG-translation

 

★2016年12月9日:懸念表明(Expression of Concern)

ジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)は、サイエンス誌・編集部にも疑念を伝えていた。

サイエンス誌・編集部は、著者のウウナ・ロンステットに元データを提出を求めたが、ロンステットは、元データを収納していた唯一のノートパソコンが盗難にあったと弁解し、元データを提出しなかった。

元データが提出されなければネカト疑惑はシロにはならない。

2016年12月9日(31歳)、ウプサラ大学がシロと結論していたのにもかかわらず、告発を受けて6か月後、サイエンス誌・編集部は、「2016年のScience」論文に懸念表明(Expression of Concern)を付けた。
→ Editorial expression of concern | Science

★2017年2月23日:ボルグ教授はクロと結論

2017年2月23日(32歳)、告発を受けて8か月後、中央規範審査委員会から調査を依頼されていたストックホルム大学の魚類生物学者・バーティル・ボルグ教授(Bertil Borg)は、19ページの調査報告書を中央規範審査委員会に提出した。

その報告書によれば、ウウナ・ロンステットとピーター・エクロフ教授は多くの質問に対して満足な回答をしていない。また、”奇妙な”あるいは “深刻な”問題が随所に見つかった。

ボルグ教授は、さらに、タイムラインにも重大な問題があると指摘していた。ウウナ・ロンステットは少なくとも2016年5月20日までゴットランド島にいたと主張したが、チケット、写真、または電子メールでそれを証明できていないと指摘した。

さらに、実験ノートが保存されていない点も大きな問題だと指摘した。

その上、ジョセフィン・サンディンとノルウェー科学技術大学・準教授でスウェーデン人のフレドリック・ユートフェルト(Fredrik Jutfelt)、さらに他の2人の証人が、ロンステットはゴットランド島で論文に記載した通りの実験をしていなかったと証言していた。この証言は “非常に重大な証拠”である、と指摘した。

ボルグ教授は新しい問題も提起した。

論文では、ウウナ・ロンステットとピーター・エクロフ教授は研究実施の倫理的許可を得ていたと書いてあった。 しかし、ウプサラ大学・調査委員会には、研究が始まって2週間後に許可証が到着したと答えていた。

しかし、ボルグ教授は、許可証は実験が終了してから1か月以上経過してから到着したこと、そしてその許可証は、別の場所の別の研究プロジェクトの許可証だったと指摘した。

つまり、「動物実験実施の倫理的許可を得ないで」実験を実施していたのである。

このようないい加減な実験計画は、他の点でも似たり寄ったりだろう。「彼らを信用できない」とボルグ教授は述べている。

それで、ボルグ教授は「ネカト疑惑を否定できない」との結論に達した。

★「2017年3月のScience」記事

今までの記述も「2017年3月のScience」記事にかなり依存しているが、以下補足的なことも交えて記述する。

既に述べたように、世界の7大学・7人の海洋生物学者は「2016年のScience」論文にはねつ造データが含まれていると判断していた。

内2人の研究者、ウプサラ大学のジョセフィン・サンディンとノルウェー科学技術大学・準教授でスウェーデン人のフレドリック・ユートフェルト(Fredrik Jutfelt)は、ウウナ・ロンステットが「2016年のScience」論文で行なったという実験期間中、同じアー実験所(Ar Research Station)に滞在していた。

ゴットランド島のビーチのフレドリック・ユートフェルト(Fredrik Jutfelt)(左)とジョセフィン・サンディン(右)。© Thomas Gedminas。写真出典:「2017年3月のScience」

そして、2人は、ウウナ・ロンステットは「2017年3月のScience」に記載した通りの実験をしていなかったと述べたのである。

しかし、当然ながら、ウウナ・ロンステットはサイエンス誌・編集部に対して、「実験をしていました。彼女らは嫉妬でそういうことを言っているのです」と反論した。

ところが、前述したように、サイエンス誌・編集部がウウナ・ロンステットに元データの提出を求めると、「論文出版の約10日後の2016年6月12日か13日、夫の車の中に置いておいたノートパソコンが盗難にあいました。車のドアを施錠していなかったんです。論文に使用したデータのバックアップをとっていませんでした。大学のデータ保存サイトへの保存もしていませんでした。それで全部の元データを失い、提出できません」と弁解した。

これはおかしい。マッタクおかしい。

パソコンが盗難にあったとか、ハードディスクがクラッシュしたというのは、ネカト弁解の典型例である。
――――

くどいけど、補足する意味も込めて、「2017年3月のScience」記事をもう一度読み、丁寧に記述していこう。

出典を示してない写真は「2017年3月のScience」記事からである。

2015年春(30歳)、ポスドクのウウナ・ロンステットはバルト海にあるスウェーデン最大の島、ゴットランド島(Gotland)のアー実験所(Ar Research Station)で「微小プラ スチックごみが稚魚の成長に悪影響を及ぼすかどうか」の実験を行なった。指導教授のエクロフ教授は実験に参加していなかった。


上の2枚の写真は、ウプサラ大学(Uppsala University)のアー実験所(Ar Research Station)。写真出典

同じウプサラ大学(Uppsala University)のポスドクだったジョセフィン・サンディンも同時期にゴットランド島の実験室で実験し、時には、ウウナ・ロンステットに実験を手伝ってもらった。下の写真では2人がくつろいでいる。

アー実験所(Ar Research Station)でくつろぐジョセフィン・サンディン(中央)とウウナ・ロンステット(右)。© Fredrik Jutfelt

ところが、サンディンは、ロンステットが「2016年のScience」論文に記載した実験をしているのを見たことがなかった。

そもそも、ロンステットは2015年5月5日~2015年5月15日までのたったも10日間しかアー実験所(Ar Research Station)に滞在していなかった。

ロンステットのフェイスブックに2015年5月16日にはストックホルムで友人とシャンペンを飲んでいる写真がアップされていた。その後、アー実験所(Ar Research Station)に戻ってきていない。

ストックホルムとアー実験所はバルチック海をはさんんで約230㎞離れていて、フェリーで片道約5時間かかる。チョコチョコとアー実験所で実験してストックホルムに戻れる距離ではない。

10日間では、論文に記載した実験を遂行できない。実験ミスが全くなく、やり直し実験が全くなかったと仮定しても、論文内容を分析すると、最低21日間は必要だった。

他にも、いろいろ問題が出てきた。

論文内容を分析すると、1リットルの実験容器(ビーカー)が同時に30個必要だが、フレドリック・ユートフェルト(Fredrik Jutfelt)がたまたま撮ったロンステットの実験室では、1リットルの実験容器は18個しかなかった(以下の写真)。

© Fredrik Jutfelt

ロンステットは「18個の実験容器は予備実験です。後で、30個の実験容器で実験していました」と反論した。ただし、この反論も証明できていない。

――――

★2017年4月21日:中央規範審査委員会はクロと結論

以下、繰り返し記述もあるが・・・。

2017年4月21日(32歳)、ボルグ教授の19ページの報告書(2017年2月23日に提出)を基に、スウェーデン政府の中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board、Central Ethical Review Board )は、告発10か月後、「2016年のScience」論文を「クロ」と判定した。そして、ウプサラ大学がシロと判定したことを強く批判した。

CEPN statement (English)

 

2017年4月下旬(32歳)、論文出版の10か月後、中央規範審査委員会のクロ判定を受けて、ピーター・エクロフ教授とウウナ・ロンステットは論文を撤回する旨をサイエンス誌・編集部に伝えた。
→ 2017年5月3日のウプサラ大学の発表:Article on microplastic particles to be retracted – Uppsala University

★2017年5月3日:論文撤回

2017年5月3日(32歳)、告発11か月後、サイエンス誌・編集部は「2016年のScience」論文を撤回した。

★その後

ロンステットは、サイエンス誌という著名な学術誌にデータねつ造論文を発表し、日本の主要新聞でも報道されたほどの世界的な大事件になった。だから、ウプサラ大学はピーター・エクロフ教授とウウナ・ロンステットを解雇した。と思うでしょう。

世の中、甘くないですよネエ・・・、イヤ、イヤ、甘いんです。

2017年11月1日現在、ピーター・エクロフは教授として在職したままです。処分が科された形跡はありません。
→ Peter Eklöv – Uppsala University, Sweden

2017年11月9日、処分されないどころか、なんと、ピーター・エクロフ教授は、政府のグラントを2018-2020年に毎年約1087万円、2021年に約1223万円、計約4482万円、もらえることが決定した(1クローナ=13.58円)。
→ 2017年11月8日の「撤回監視」記事:Caught Our Notice: Author of controversial retracted paper earns Swedish gov’t grant – Retraction Watch at Retraction Watch

そして、驚いたことに、事件当時ポスドクだったウウナ・ロンステットは事件から1年半も経っていないのに、助教授になっていました。これじゃたまりません。ネカト天国です。ウプサラ大学はどこまで腐っているんだか。
→ Oona Lönnstedt – Uppsala University, Sweden(2017年11月1日にあったが、2018年2月12日にチェックするとサイトは削除されていた)

★その後のその後

改訂前の記事では上記の「その後」だったが、実は、正義は見捨てられていなかった。

2017年5月29日、告発11か月後、ウプサラ大学のエヴァ・オーケソン学長(Eva Åkesson、写真出典)は中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board、Central Ethical Review Board )のクロ判定を受けて(とは明言していないけど)、新しい調査委員会を設置し、再調査を命じた。

2017年12月6日(32歳)、告発1年6か月後、ウプサラ大学はウウナ・ロンステットをネカトと結論した。 以下に調査報告書を貼り付けた。

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Foto: Peter Örn

 

この調査報告書で責任者のエリック・レムパート(Erik Lempert、写真出典)は、以下のように結論している。

ウウナ・ロンステットは「2016年のScience」論文に記載した実験日数以下しか実験所に滞在しておらず、論文に記載した実験を実施していない。つまり、意図的にデータをねつ造した。

撤回監視の質問に調査責任者・エリック・レムパートは、「論文に記載された実験結果を得るのに少なくとも3週間はかかる。それが、実験所には10日以下しか滞在していなかった」と答えている。

「2016年のScience」論文に記載したとおりにウウナ・ロンステットが実験をしていなかったことを共同執筆者で指導教授のピーター・エクロフ教授(Peter Eklöv)が確かめなかった責任がある。

ただ、ネカトの判定は意図的な不正行為があった時のみに適用されるので、エクロフ教授の行動に倫理的問題はあったが、ネカトではないとした。それで、エクロフ教授には「動物実験実施の倫理的許可を得ないで」実験を実施したことを主な罪とした。

ジョセフィン・サンディン(Josefin Sundin)に最初から協力的だったオーストラリアの海洋生物学者・ティモシー・クラーク(Timothy Clark、前出)は 、タスマニア大学からディーキン大学(Deakin University)に移籍したが、次のように述べている。

「長くて厄介な戦いは、最終的には合理的な結果になりました」。

「Nature」誌・記者の質問に、ピーター・エクロフ教授(Peter Eklöv)は、「動物実験実施の倫理的許可の件では、私は全責任を負います。 しかし、私の同僚・ウウナ・ロンステットがデータをねつ造したことは非常に失望しています。 同時に、このような状況下で、調査委員会がウウナ・ロンステットにネカトがあったと決断できたことは非常に良いことです」とコメントを寄せた。

一方、ウウナ・ロンステットは、「Nature」誌・記者の質問にコメントを寄せなかった。

ウプサラ大学は2017年12月6日の時点で2人を処分予定と発表した、2018年2月16日現在、ロンステット(33歳)はウプサラ大学職員録から削除されていた。解雇されたと思われる。

2018年2月16日現在、ピーター・エクロフ教授(Peter Eklöv)は、ウプサラ大学の教授に在籍している。処分を科された形跡はない。
→ Peter Eklöv – Uppsala University, Sweden

但し、年1月6日、スウェーデン政府の研究助成機関であるスウェーデン研究会議(Swedish Research Council)は、現在採択されているエクロフ教授の4年間の研究費の支給を停止した。さらに今後2年間、研究費申請を受け付けないとした。

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★タイムライン

2017年12月x日(32歳)、ウプサラ大学は事件のタイムラインを公表した。
→ Alleged research misconduct: Fish and microplastics – Uppsala University, Sweden

タイムライン(Timeline)を英語のまま以下に貼り付けた。

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●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2018年2月16日(33歳)現在、パブメド(PubMed)で、ウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)の論文を「Oona M. Lönnstedt [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2012~2017年の6年間の14論文がヒットした。

2018年2月16日(33歳)現在、「Oona M. Lönnstedt [Author] AND retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、以下の1論文が撤回されていた。本記事で問題にしている「2016年のScience」論文である。

★パブピア(PubPeer)

2018年2月16日(33歳)現在、「パブピア(PubPeer)」はウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)の1論文(「2016年のScience」論文)にコメントしている:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》処分

改訂前文章で、「ロンステットはウプサラ大学のポスドクから助教授に昇格していたので、ウプサラ大学はネカト者をどうして処分しないのだろう?」と疑問に思った。

ただ、この時、ウプサラ大学は予備調査でヘマって、シロと結論し、「本調査は必要なし」としていたので、処分できなかった。

このシロ判定は後に「Science」誌とスウェーデン政府の中央規範審査委員会(Swedish Ethical Review Board、Central Ethical Review Board )から強く批判され、慌てたウプサラ大学は、2017年5月29日、再調査を始めた。そしてようやく、2017年12月6日、ウプサラ大学はロンステットをネカトと結論し、ロンステットと指導教授のピーター・エクロフ教授を処分する予定だと発表した。

ロンステットは、事件後1年半(2017年11月2日)以内に助教授に採用されていたが、しかし、2018年2月12日時点では、ロンステットはウプサラ大学職員録から削除されていた。解雇または辞職したのだろう。
→ Oona Lönnstedt – Uppsala University, Sweden(2017年11月1日にサイトはあったが、2018年2月12日にチェックするとサイトは削除されていた)。

2018年2月16日現在、一方、ピーター・エクロフ教授(Peter Eklöv)は、ウプサラ大学の教授に在籍している。処分を科された形跡はない。
→ Peter Eklöv – Uppsala University, Sweden

《2》過去の所属機関の調査

パブメドで検索すると、ウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)は、2012~2017年の6年間に14論文を発表している。

「2016年のScience」論文でのネカト状況から推察すると、他の論文でもネカトをしている公算が高い。

ウプサラ大学は他の論文をどうして調査しないのだろう? ああそうでした。ウプサラ大学は腐っているので、調査しないんですね。

こういう場合、日本もだけど、お手上げです。

さらに、少し考えれば気になるのだが、プサラ大学に来る前のウウナ・ロンステットの論文は大丈夫なんでしょうか?

ロンステットは、ウプサラ大学にポスドクに来る前は、オーストラリアのジェームズクック大学(James Cook University)の院生だった。

今から3年前の2014年7月(29歳)にジェームズクック大学で研究博士号(PhD)を取得した。その時の指導教員は、マーク・マコーミック準教授(Mark McCormick、写真出典)である。

マコーミック準教授は、ウウナ・ロンステットと共著の論文が15報以上ある。「ウウナ・ロンステットは研究に生きているタイプの人で、研究に献身的で倫理的な研究者です」と評している。これじゃ、調査しないでしょうね。

多くの国ではネカト調査の実施主体は所属大学・研究機関である。このシステムはどう考えたっておかしい。どう考えたって、自分の大学に所属する研究者をかばうのが組織の論理であり倫理でもある。

実施主体の所属大学・研究機関は「そもそも調査しない、調査してもおざなりにする、結論はシロとする、クロの場合も甘い処分にする」のは当然でしょう。

だから、ネカト調査は第三者機関に依頼しなければなりません。

ーーー

と改訂前に書いたが、正義は見捨てられていなかった。

2017年12月13日。ジェームズクック大学も調査を開始した。
→ 2017年12月13日の「Australian」記事:Research fraud scandal forces James Cook Uni to review graduate(保存版)

2018年2月16日現在、ジェームズクック大学の調査が終了したのかどうか、白楽は把握できていない。

それにしても、所属大学が調査する現行システムは根本的に欠陥システムである。ネカトは警察のような第三者機関が調査すべきである。

日本での提案:「警察庁にネカト取締部を設置し、ネカトを捜査せよ」

《3》微小プラスチックの禁止令と実害

微小プラスチックごみが稚魚の成長に悪影響を及ぼし、環境に悪影響を与えると信じられている。だから、米国、カナダ、英国は、化粧品やパーソナルケア製品(石鹸、歯磨き粉)に微小プラスチックの使用を禁止した。

米国は 「Microbead-Free Waters Act 2015」を制定し、2017年7月以降は製造禁止、2018年1月以降は販売禁止にした。
→ US to ban soaps and other products containing microbeads | Environment | The Guardian

英国は2017年12月31日以降、販売禁止である。
→ 2016年9月2日の「Guardian」記事:UK government to ban microbeads from cosmetics by end of 2017 | Environment | The Guardian
→ 2018年1月9日の「Guardian」記事:Plastic microbeads ban enters force in UK | Environment | The Guardian

カナダは2018年7月1日以降、販売禁止である。
→ 2018年1月3日のシムラン・シン(Simran Singh)記者の「Daily Hive Calgary」記事:Canada’s ban on toiletries containing microbeads comes into effect this year | Daily Hive Calgary

そして、使用禁止の有力な科学的根拠は「2016年のScience」論文だった。

「2016年のScience」論文がデータねつ造・改ざんで撤回された現在、微小プラスチックの使用禁止令はどうなってしまうのだろう?

2018年2月16日現在、微小プラスチックや海洋生物や人間に害になるという確かな科学的証拠がないのである。
→ 2018年1月16日のイヴォ・ヴェグター(Ivo Vegter)記者の「Daily Maverick」記事: Microbead bans: Throwing out science with the seawater | Daily Maverick(保存版)

マイクロプラスチック(microplastics)は、環境中に存在する微小なプラスチック粒子であり、特に海洋環境においてきわめて大きな問題になっている。一部の海洋研究者は1mmよりも小さい顕微鏡サイズのすべてのプラスチック粒子と定義しているが、現場での採取に一般に使用されるニューストンネットのメッシュサイズが333μm (0.333mm) であることを認識していながら、5mmよりも小さい粒子と定義している研究者もいる。しかし、マイクロプラスチックが野生生物と人間の健康に及ぼす影響は、科学的に十分に検証されていない。(マイクロプラスチック – Wikipedia)。

《4》防止策

ロンステット事件は、メディア(「Science」誌のマーティン・エンサリンク(Martin Enserink)記者)が、事件の経過を詳細に記述し、かなり深い分析をした。記事は誰もが無料で閲覧できる。

さらに、①中央規範審査委員会も②ウプサラ大学も調査報告書を英文で発表し、ウェブ上に公開した。

このように、ネカト事件の対処として、透明性はとても高い。白楽は、数百に及ぶ事件を調べてきたが、ロンステット事件での情報公開の質と量はトップクラスである。

しかし、どうして、ロンステットはネカトをしたのだろう? 誰がどの段階でどうすると、ロンステットのネカトを未然に防げたのだろうか? よくわからない。

ロンステットは、パソコンが盗難にあったという理由をつけて、意図的にパソコンを始末し生データを隠滅した。ねつ造は実験開始前から用意周到に計画したとは思えないが、論文を準備した時点では、明確にねつ造をはじめていた。その後、ずるずるとネカト地獄にはまり、同僚から指摘された時には強く否定し、証拠隠滅を図った。この時点では、積極的にねつ造を隠蔽していた。

このような、意図的にネカトする若いポスドク女性に対して、誰がどの段階でどうすると、ネカトを未然に防げるのだろうか? まず、さんざん言われていることだが、ネカト教育やネカト研修をしても、効果はないだろう。悪いと知っていてネカトをしている。

指導教授のピーター・エクロフ教授がロンステットのデータを精査すれば、ネカトを未然に防げたかもしれない。

エクロフ教授がロンステットのデータを疑っていれば、精査するだろうが、しかし、師弟関係では、師は弟子のデータを疑わない。弟子のデータを疑っていては師弟の信頼関係が成り立たない。

エクロフ教授はロンステットのデータを疑っていなかった。だから、精査しない。通常、ほとんどの師は弟子のデータを疑わない。

では、他に、誰がどの段階でどうすると、ネカトを未然に防げたのだろうか?

ロンステット事件での情報公開の質と量はトップクラスの事件なのに、事件を理解し、分析しても、白楽には、ネカト防止策を導き出せない。

調査委員会は、「誰がどの段階でどうすると、ネカトを未然に防げるのだろうか?」という問題意識も加えて、ネカト調査をしてほしい。そうすれば、事件からもっと多くのことが学べるだろう。

《5》名前の発音

ネカトとは関係ないが、ウプサラ大学のウェブサイトは優れている。文章を音読してくれる。

それで、「Oona M. Lönnstedt」を「ウウナ・ロンステット」と発音することがわかった。

他のサイトも、こういう配慮が欲しい。

本ネカト・ブログでも取り入れようかとチョット思ったけど、外国人が読むことはほとんどないと思うのでやめた。なお、難しい漢字や日本人名は平仮名を併記する方針である。外国人名もすべてカタカナ表記する方針でもある。

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注:写真は本事件と関係ありません。白楽がウプサラで宿泊したホテル。2006年。白楽撮影。

●8.【主要情報源】

① 2016年12月1日のマーティン・エンサリンク(Martin Enserink)記者の「Science」記事:Misconduct allegations fly in spat over paper on microplastics and fish larvae | Science | AAAS、(保存版
② 2017年3月21日のマーティン・エンサリンク(Martin Enserink)記者の「Science」記事:A groundbreaking study on the dangers of ‘microplastics’ may be unraveling | Science | AAAS、(保存版
③ 2017年5月1日以降の「Oona M. Lönnstedt」の「撤回監視(Retraction Watch)」記事群:You searched for Oona M. Lönnstedt – Retraction Watch at Retraction Watch
④ 2016年6月3日のイアン・ジョンストン(Ian Johnston)記者の「Independent」記事:Fish prefer to eat plastic over food – and it is killing them, study suggests | The Independent、(保存版
⑤ 2016年12月2日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事: Stolen data prompts Science to flag debated study of fish and plastics – Retraction Watch at Retraction Watch
⑥ 2017年7月9日の「For Better Science」記事:
Fishy peer review at Science, by citizen scientist Ted Held ? For Better Science(保存版)
⑦ 2017年5月1日のジョージ・ドヴォルズキー(George Dvorsky)記者の「Gizmodo」記事:Widely-Reported Study on Fish and Microbeads Might Have Been Faked(保存版)
⑧ 2017年12月7日のキリン・シアマイヤー(Quirin Schiermeier)記者の「ネイチャー」記事:Investigation finds Swedish scientists committed scientific misconduct、(保存版
⑨ 2017年12月7日の「撤回監視」記事:Author of controversial Science fish-microplastics paper committed “intentional” misconduct, says Uppsala | Retraction Watch
⑩ 2017年12月8日のマーティン・エンサリンク(Martin Enserink)記者の「Science」記事:Researcher in Swedish fraud case speaks out: ‘I’m very disappointed by my colleague’ | Science | AAAS、(保存版
⑪  旧版:2017年11月2日

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

ウウナ・ロンステット(Oona M. Lönnstedt)

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