2020年3月1日掲載
研究者倫理の2018年5-8月記事の「白楽の感想」部分を集めた。
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- アルバ・チャベス=ドーザル(Alba Chavez-Dozal)(米) 2018年8月29日
《1》モッタイナイ
アルバ・チャベス=ドーザル(Alba Chavez-Dozal)は、メキシコから米国に渡り、研究博士号(PhD)を取得し、ポスドクになった。6年間に16報も論文を発表し、とても優秀である。
それが、30歳前後でネカトで有罪となった。多分、研究者を廃業せざるを得ないと思う。モッタイナイ、というのが白楽の最初で大きな感想である。
《2》大学院・研究初期
大学院・研究初期で、研究のあり方を習得するときに、研究規範を習得させるべきだった。
アルバ・チャベス=ドーザル(Alba Chavez-Dozal)の場合、人生最初の論文を発表し、研究博士号(PhD)を取得した米国のニューメキシコ州立大学(New Mexico State University)の指導教員・ミシェル・ニシグチ教授(Michele Nishiguchi)が規範をしっかり躾けていれば、「研究上の不正行為」をしない研究人生を過ごせたかもしれない。
法則:「ネカト癖は院生時代に形成されることが多い」。
それとも、大学学部時代を過ごしたメキシコで、ズルして生きる人生処方術を身に着けてしまっただろうか?
《3》院生時代の論文
ポスドクでネカトがあった場合、それ以前のニューメキシコ州立大学(New Mexico State University)の院生時代に発表した論文にもネカトがあると考えた方が妥当である。
院生時代の研究で6論文を発表しているが、これらにネカトはないのだろうか?
現状では、ニューメキシコ州立大学が調査に踏み出すとは思えない。所属機関・大学にネカト調査を任せる現在のシステムの欠陥である。
提案:「FBIがネカトを捜査せよ」
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- ハーバート・ニードルマン(Herbert l. Needleman)(米) 2018年8月26日
《1》「鉛」筆
子供の頃、鉛筆の芯をなめるとバカになるからなめるなと言われた。この注意の根拠はハーバート・ニードルマン(Herbert l. Needleman)の研究だったと、今頃気が付いた。そういえば、鉛筆も「鉛」筆なんですね。
と納得して、ウィキペディアで確かめると、トンデモない誤解だった。
「鉛筆」という名称や、鉛筆の芯の材料の「黒鉛」の物質名から、「鉛筆には鉛が使われている」と信じている者がいるが、誤りである。鉛筆が使われるようになった初期のころはまだ化学知識が未熟であり、黒鉛は鉛の一種だと考えられていた。シャープペンシルの芯を英語で「lead」(「鉛」の意)、鉛筆のことをドイツ語で「Bleistift」(「鉛、Blei」+「ピン/釘、stift」 =「鉛の筆記具」の意)、はたまた日本語で「鉛筆」と呼ぶのはこの名残である。18世紀末から19世紀初めにかけてようやく黒鉛が炭素からなる物質で鉛を含まないということが解明された。黒鉛は炭素の結晶であり、近代以降の黒鉛鉛筆の芯に重金属は用いられていない。(鉛筆 – Wikipedia)
《2》鉛害
鉛筆は誤解だったが、ガソリンと水道管は今でも害になっている。下線は白楽。
ガソリンのオクタン価向上及び吸排気バルブと周辺部品の保護にテトラエチル鉛 (C2H5)4Pb が添加されていたが、排気中に鉛が含まれてしまうことから汚染源となって問題視された。現在では鉛を含まない添加剤によるオクタン価向上策が選択されるようになり、日本など先進諸国では法的規制により有鉛ガソリンは使われなくなった。しかし日本自動車工業会[11]によると、およそ50か国で有鉛ガソリンの使用が認められており、今なお有鉛ガソリンの問題は終結していない。また、航空機のレシプロエンジンにも有鉛ガソリン (Avgas) が多用されている。
鉛製水道管については、2005年7月時点の厚生労働省調査で約547万世帯に残っているが、本管から分かれた引き込み管については、水道メーターを除き個人の所有とされていることから交換費用は自己負担となり、交換は進んでいない。(鉛 – Wikipedia)。
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- 7-16.もっと信頼できるネカト調査報告書を 2018年8月23日
《1》日本の調査報告書チェックリスト:文部科学省の指針
本論文で問題にしているチェックリストは、日本ではどうなっているのか?
ネカト対処の基本である文部科学省「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(2014年8月26日)」に「調査結果の報告書に盛り込むべき事項」が記載されている。
→ http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/08/__icsFiles/afieldfile/2014/08/26/1351568_02_1.pdf#zoom=75
つまり、チェックリストがある。なお、次項で問題にする「調査委員会の構成(氏名・所属)」と「研究者(氏名、所属・職)」を記載するこも要求されている。
以下に、貼り付けた。
文科省書式
《2》日本の調査報告書の具体例
本論文で問題にしているチェックリストに絡むネカト調査報告書は、日本でどうなっているか、典型的な例を挙げ、具体的に見ていこう。
2018年3月、愛知学院大学(私立大学)・歯学部のネカト事件が発表された。この事件での調査報告書を日本の典型的な例として挙げよう。
愛知学院大学事件の調査報告書は、①大学、②文部科学省、③日本学術振興会の3種類があり、各自のサイトで公表した。正確に書くと、「大学の調査報告書」は2タイプあり、1つは①で、もう1つは③のためで、③のは③のサイトがリンクし公表した。
なお、日本のネカト事件で、①②③の調査報告書が揃うケースは少数である。
【大学の調査報告書】
愛知学院大学の調査報告書は11ページで、ウェブ上に公表されている。調査委員名も公表されている。学内の委員が3人、学外の委員が3人でうち1人は弁護士である。ネカト者の実名も書いてある。学外委員に弁護士がいて、ネカト者の実名が書いてる点はとても優れている。これらの点、ほぼ完璧である。
唯一不思議な点は「不正行為に関与していない」教員を監督責任者として処分している点である。この「不正行為に関与していない」人を処分するのは、世界標準では「奇異」である。不正行為をしていないと認定された研究者がどうして処分されるのか?
なお、この不思議な処分は文部科学省のガイドラインに沿っているので、問題は、文部科学省のガイドラインに問題がある。
具体的に、日本の学術振興会の「研究活動の不正行為及び研究資金の不正使用等への対応に関する規程」(平成18年12月6日規程第19号)(PDF)を以下に示す。最下段左側に、「特定不正行為に関与していないものの、・・・」とネカトに関与しなかった人も処分対象にしていて、とても驚きである。
話を戻すと、文部科学省は「調査結果の報告書に盛り込むべき事項」(チェックリスト)を提示していて、本論文で問題にしているチェックリストは「大学の調査報告書」に対してはあると考えられる。
以下の文書(の一部)をクリックすると、全文のPDFファイル(60.5 KB、11ページ)が別窓で開く。
【文部科学省の調査報告書】
大学の調査報告書を受けて、文部科学省もネカト調査報告書を、ウェブ上に公表している(科学技術・学術政策局・人材政策課・研究公正推進室が行なっている)。その調査報告書には調査委員名は「ない」。ネカト者の実名も書いて「ない」。なんとも不思議である。
なお、書式は統一されているので、書式それ自身が本論文で問題にしているチェックリストの機能を果たしている。
以下の文書(の一部)をクリックすると、全文のhtmファイルが別窓で開く。
【日本学術振興会の調査報告書】
日本学術振興会は文部科学省の下部機関で、国の研究費を配分する助成機関である。
愛知学院大学のネカト者は日本学術振興会から受給した研究費でネカト行為を行なった。それで、日本学術振興会がペナルティを科した。その調査報告書にはネカト者の「実名が書いてある」。実質、文部科学省の下部機関なのに、親機関は「実名を書かない」のに、子機関は書いて「ある」。なんとも不思議である。
日本学術振興会がリンクしている「大学の調査報告書」は、この項の最初に示した「大学の調査報告書」とは異なり、2ページで、「調査委員名は掲載されていない」。
なぜ2つの異なるタイプの「大学の調査報告書」を作成させるのだろう。
2つ目の「大学の調査報告書」 → https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/06_jsps_info/g_180315/data/2.pdf
なお、「日本学術振興会の調査報告書」の書式は統一されているので、書式それ自身が本論文で問題にしているチェックリストの機能を果たしている。
以下の文書(の一部)では、「Ⅰ.渡邊嘉典・・」が最初に出ているが、無視してよい。文書(の一部)をクリックすると、愛知学院大学事件の全文のhtmファイルが別窓で開く。
《3》日本の調査報告書
《1》《2》で示したように、本論文で問題にしているチェックリストは日本にある。
ただ、問題もある。
文部科学省は自分で作成したガイドラインでは、大学の調査報告書に「研究者(氏名、所属・職)」を記載するこを要求しているが、文部科学省自身が発表する時は、実名を隠して発表している。
最初にこの発表を見た時、なんという屈折した発表なんだろう、と愕然とした。文部科学省が事実を事実のまま発表しない・できない。この日本の体質に今でも複雑な思いである。
世界的に見て、ネカト事件のメディア報道(新聞など)で、ネカト者の名前を発表しないのはとても珍しい。
ただ、調査報告書ではネカト者の名前を発表しない例はある。調査報告書とメディア報道(新聞など)は異なる。
ネカト先進国の米国でも、省庁や局レベルでネカト対処の方針が異なり、調査報告書にネカト者の名前を発表しない省庁や局がある。
ネカトでクロの場合、米国では、研究公正局は実名報道だが科学庁は匿名報道である。そのため、メディア報道(新聞など)は科学庁絡みのネカト事件をほとんど報道しない。
→ 1‐3‐3.米国の研究ネカト問題 | 研究倫理(ネカト)
日本では、文部科学省系列の日本学術振興会はネカト者の実名を発表しているのに、文部科学省・本省は実名を隠している。なんか矛盾している。
文部科学省が率先して名前を隠蔽している利点はなんなのだろう? あまり思いつかない。
欠点は思いつく。①基本的に、事件を曖昧にしている。②ネカト事件を発表するのはネカト事件の実態を周知させるためなのに、周知になっていない。③また、実名隠蔽はネカトを許容し促進する方向に作用する。ネカト者が特定されないために、ネカト者とは知らずに大学が雇用するという事態も起こっている。
日本は、①ネカト調査報告書のウェブ上での発表すること、②ネカト者を実名で記載すること、③調査委員名を実名で記載すること、を大学に義務づけるべきである。
さらに、ネカト調査の結果、ネカトではなかった場合も、同様に、報告書をウェブ上に発表すべきである。そうすることで、ネカト行為と非ネカト行為の線引きがハッキリ見えてくる。現状では、この線引きがとても曖昧である。
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- 「アカハラ」:ナズニーン・ラーマン(Nazneen Rahman)(英) 2018年8月22日
《1》モッタイナイ
最初に感じたことは、研究の油が乗り切った51歳の超優秀な教授が辞職とは、英国にとってモッタイナイ。そして、世界もモッタイナイ。惜しい。
アカハラは確かに問題だけど、こんなになる前に、なんとかできなかったのだろうか?
とはいえ、ラーマン教授が大いに反省し、他大学が新しい研究の場を提供しても、もう二度と同じ研究成果を挙げることはないだろう。
《2》人の神経はガラス製
ラーマン教授を訴えた院生の発言から推察すると、アカハラは以下の状況のようだ。
優秀な教授と院生が一緒に研究した時、教授が思ったこと(や励ましの言葉?)をそのまま口にすると、多くの院生は教授の言葉をアカラハととらえる。
難しい時代です。
ただ、研究室員が、「脅迫的、敵対的、体面が傷つく、屈辱的、攻撃的」な研究環境だと感じるなら、それは明らかに問題である。
研究室員に、「脅迫的、敵対的、体面が傷つく、屈辱的、攻撃的」な研究環境だと感じさせずに、世界のトップクラスの研究成果を出し続けるには、どういう指導方法・研究室運営方法があるのだろう。
英国スコットランドのダンディー大学の日本人教授は、「どうすると、人は持っている力以上の能力を発揮してくれるのか? 悩みます」、と言っていた。
つまり、研究室員は1日8時間働けばよいのだが、どこかを刺激すると、自発的に12時間働く。喜んで土日も働く。時間で測れないことでも同じだ。どこかを刺激すると、優れたアイデアを発揮する。
アカハラにならずに、どこをどう刺激するとよいのだろう?
《3》アカハラで院生の半数がウツ
研究室員に「脅迫的、敵対的、体面が傷つく、屈辱的、攻撃的」だと感じさせる言動をしている著名な研究者は世界にかなりいそうである。
教授が、研究室の仲間の前で、院生を軽視し、バカにすると、院生は精神的に不安定になりウツになってしまう。
→ 2017年12月15日記事:Bullies have no place in academia – even if they’re star scientists | Anonymous academic | Higher Education Network | The Guardian
→ 2018年3月6日論文:Nature Biotechnology volume 36, pages 282–284 (2018)(閲覧有料、白楽未読):Evidence for a mental health crisis in graduate education | Nature Biotechnology
そして、現実に、教授の言動をアカハラと感じる院生はかなりいる。
2014年、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の院生790人を対象に調査した結果、院生の46%がうつ病の症状を示していた。
→ 報告書:http://ga.berkeley.edu/wp-content/uploads/2015/04/wellbeingreport_2014.pdf
→ 解説:Nature 539, 319–321 (10 November 2016) :Mental health: Caught in a trap : Nature : Nature Research
というわけで、現代の研究者は、院生だけでなく、ポスドク・教職員に対しても、「脅迫的、敵対的、体面が傷つく、屈辱的、攻撃的」だと感じさせる言動をしないよう、十分に注意すべきである。
ところが、学術界ではないが、アメリカのトランプ大統領は、世界の要人にとても「脅迫的、敵対的、体面が傷つく、屈辱的、攻撃的」である。
そして、日本の安倍首相も、官僚・野党政治家・国民にとても「脅迫的、敵対的、体面が傷つく、屈辱的、攻撃的」である。
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- ジェイソン・リリー(Jason W. Lilly)(米) 2018年8月21日
《1》不正の初期
「研究上の不正行為」は、初めて不審に思った時、徹底的に調査することだ。
ジェイソン・リリー(Jason W. Lilly)の場合、コーネル大学のポスドクの2年目か3年目で研究ネカトが発覚している。ポスドクなので、教員のネカトに比べれば被害が少ない。
不正の初期にネカトを見つけて処分したのは正解である。
2018年8月20日(55歳?)現在、ジェイソン・リリー(Jason W. Lilly)は学術界にいない。
ただ、問題視された「2002年のPlant Cell」論文以前に、コーネル大学のポスドクとして2002年に1報、ウィスコンシン大学マディソン校の院生の時の2001年に5報、2002年に1報、出版している。
法則:「ネカト癖は院生時代に形成されることが多い」。
コーネル大学はネカト調査をしたが、ウィスコンシン大学は調査していない。ウィスコンシン大学・院生時代の計6論文にもネカトがあると十分に思えるのだが、どうなっているのだろう? 誰も調査しない。
約20年も古い論文のデータをウンヌンする奇特な人はいないだろう。この問題はどうすると良いのだろうか?
放置? 時効とする? ウィスコンシン大学に調査させる? 学術誌に調査させる? 調査する組織を作る?
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《1》指導教員がデータを盗用
院生が指導教員にデータを盗用されたという主張は珍しくない。白楽の経験では、その大半は、院生の誤解だと思うが、実際に盗用された場合もあるだろう。
今回のファン・デル・バンク事件を読み解くと、実は、話が真逆で、院生・イへアナッチョが盗用者だった。大学が自分を盗用者と結論したことに腹を立てて、腹いせに、ツイッターで、ファン・デル・バンク教授が盗用者だと訴えたのだ。
つまり、教授は実際の盗用者ではない。むしろ、院生が盗用者なのだ。
類似事件
→ 工学:シャヒド・アザム(Shahid Azam)(カナダ)
《2》ツイッターでネカト告発
米国のトランプ大統領はツイッターでいろいろ発言しているが、ツイッターは発言内容に第三者のチェックなしで発信できる。
ネカトでも、ネカト者がツイッターやフェイスブックで自分に有利な情報を上手に発信すると、世間は混乱し、何が正しいのかわからなくなる。院生、研究者、大学、大手メディアはフェイク・ニュースに翻弄され右往左往する。
→ アニンディタ・ユーキル(Anindita Ukil)(インド)
現代はそういう時代なんだ、と受け止める。
しかし、院生がツイッターやフェイスブックで自分に都合のいい情報を発信すると、ウソやデマであっても、世間は信じてしまう可能性が高い。
ウソやデマを打ち消すにはどうすると良いのだろうか?
ヨハネスブルグ大学は、半ば公的なメディアである新聞を通して、院生・イへアナッチョの主張はウソだということを、社会に通知した。
それで、本来は新聞記事にならないような盗用事件が新聞記事になったのだ。
日本の新聞にこの役割を期待できるだろうか?
《3》指導教授の承認を得ないで論文投稿
院生・イへアナッチョのツイッター情報が正しいと仮定しよう。
院生・イへアナッチョは自分の論文をまとめ、学術誌に投稿したところ、同じ論文が既に投稿されていると知らされた。つまり、院生・イへアナッチョが盗用したと指摘されたのだ。
この流れの中で、不思議に感じるのは、「院生・イへアナッチョは自分の論文をまとめ、学術誌に投稿」である。
院生なら、通常、指導教授と相談の上、論文にまとめる。だから、指導教授が院生の論文投稿を知らないハズがない。指導教授の承認を得ないで論文投稿することは、通常、考えられない。でも、もしそうしたのなら、その時点で、院生・イへアナッチョが何らかの不正をした可能性が高い。今回の事件では、イへアナッチョが盗用したから、指導教授に無断で投稿したのだろう。ヨハネスブルグ大学が、院生・イへアナッチョが盗用したと結論していたことに納得がいく。
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- アンドレゼ・ジェンドリッチコ(Andrzej Jendryczko)(ポーランド) 2018年8月19日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
ジェンドリッチコ事件はパブメド検索で19論文が撤回されたが、13年間に発表した125論文のうち50-100論文以上が盗用とされた。
盗用の規模が大きい。
1998年当時は大きな事件だったようだ。ただ、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報は少ない。
事件から20年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。それに、ポーランドの事件なので、英語の記事は少ない。ポーランド語の記事が多くても、白楽は見落としている公算が大きい。
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- 心理学:カレン・ルッジェロ(Karen Ruggiero)(米) 2018年8月18日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2001年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。17年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
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- 物理学:アラン・カロエロス(Alain Kaloyeros)(米) 2018年8月17日
《1》ネカト者は他の犯罪を犯す
ネカトをする研究者に特徴的な性格・生き方があると思う。その性格・生き方がネカト以外の事件も引き起こすのではないだろうか?
つまり、ネカト者は他の犯罪も犯す傾向が強いのではないだろうか?
今回のアラン・カロエロス(Alain Kaloyeros)もそうである。他にもある。
→ ネカトと犯罪「横領」:アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)(米)
→ ネカトと犯罪「不同意堕胎」:エドワード・エリン(Edward Erin)(英)2017年12月2日
ただ、ネカト者の犯罪率を網羅的に調査研究した論文や報告書を白楽は見たことがない。
誰か調査研究してほしい。
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- 「セクハラ」:インダー・ヴェルマ(Inder Verma)(米) 2018年8月16日
《1》長い
1976 – 2016年(28 – 68歳)の41年間もセクハラしていたとは、その長さに驚いた。
「#MeToo」運動でようやく世間が注目して、権力者のセクハラが糾弾されるようになったということだろう。
インダー・ヴェルマのセクハラ行為は、ヴェルマに染み付いた女性観であり性行なのだろう。
白楽は、1995年にNIHに短期滞在した時、ボスが具体的なセクハラ教育をしてくれた。
「秘書を食事に誘って2度断られたら、3度目に誘ったらセクハラになる」
「秘書の胸をジーと見つめたらセクハラになる」
その頃だったとと思うが、セクハラのウェブ上での研修もあって、最後に試験もあった。NIH着任後1か月以内に試験の解答をNIH本部に送付(電子メールで可)しないと、NIHで研究できないと言われた。100点満点の80点以上を取らないと再研修との話だったが、確か、85点を取ったと思う。
後日談。
NIHで研究を始めて1か月を過ぎた頃、ボスが怖い顔で駆け足でやってきた。セクハラの研修を受けていないと本部から注意されたとのことだった。「イヤ、確かに、試験の解答を送付しました」とボスに伝えた。数日後、ボスは今度は穏やかな顔でゆっくり歩いてきて、「NIH本部から、ゴメン、受け取っていた」と連絡があった、とのことだった。
お陰で、このシステム、動いていることを実感した。
で、1995年頃、全米の大学・研究所でセクハラ対策をしたはずだ。ソーク研究所も例外ではないハズだ。
だから、この時、インダー・ヴェルマのセクハラ行為をストップできてれば、被害者はもう少し少なかっただろうに。
ソーク研究所は、そもそも、1970年代後半から少なくとも2件の正式な苦情と3件のヴェルマへの苦情の報告を受けていた、というのだから、もっと早くなんとかすべき状況だったハズだ。なお、苦情に対処すべき責任者の人事部長が無能だったという記述もある。
《2》「セクハラ」日米差
日本と比べると、米国のセクハラ事件は、事件を本気で解決しようとする気合が感じられる。
日本の大学では、セクハラ加害者が匿名である。被害者を守るためという口実で加害者を匿名にする。そのことで、実際は、加害者を守り、セクハラ者を支援し、再犯を促進しているかのようである。セクハラ事件を本気で解決し、再犯を防ごうとしているようには思えない。
→ 日本のネカト・クログレイ事件一覧 | 研究倫理(ネカト)の【日本の研究者のセクハラ・アカハラ・パワハラ事件一覧】
数か月の停職期間が済むと、セクハラ教授は復職し、同じ大学で再びセクハラをする可能性がある。
一方、大学は学生・院生に誰がセクハラ教授だと教えずにいる。つまり、学生・院生(とその親)はどの教授がセクハラ傾向があるのかわからないので、注意のしようがない。性犯罪は再犯率が高いという話である。この場合、大学が危険人物を解雇せずに抱えているとも解釈できる。2回目の被害者が生じたら、大学はどう弁明するのだろう?
米国では、基本的に加害者は実名である。日本よりも人権を尊重する米国が実名なのに、どうして日本は匿名なのだろう。
セクハラ加害者が実名だから、学生・院生はセクハラ教授だと知らず近づくことはない。
セクハラ被害者は本人が希望すれば匿名だが、本記事で解説したように、顕名の人もそれなりにいる。そのことで、セクハラ行為の実態が詳しくわかる。またメディアも詳しく報道する。だから、学生・院生・ポスドク・教職員・同僚は、どのような状況でどのような判断・行動をすればよいのか、具体的に学ぶことができる。
米国でセクハラ被害者が匿名なのは、セクハラの2次被害ではなく、コクハラを警戒しているのだ。この点も日本は、ズレている感がある。
日本の大学もセクハラ加害者を実名で報道すべきだだろう。そして、セクハラ教員を解雇すべきだろう。あるいは、無防備な学生・院生と接触できないよう、少なくとも、配置換えは必要だろう。
《3》「セクハラ」は研究者特有
白楽は、明治7年(1874年)~平成21年(2009年)の136年間の日本の研究者の事件を調べ、時代に伴う事件種の変遷、事件種の特性(研究分野、所属機関、役職、年齢、性別、匿名・実名報道など)、処分(免職や裁判)、事件の大きさなどを総合的に分析し、以下の書籍として出版した。
白楽ロックビル(2011):『科学研究者の事件と倫理』、講談社、東京: ISBN 9784061531413
その中で、ネカトと共に「セクハラ」も研究者特有の事件だと指摘したが、日本では誰も、注目しなかったようだ。
なんか、残念である。
《4》隠れた被害者
ヴェルマは、ソーク研究所の8人の女性に、1976-2016年(28-68歳)の41年間にわたってセクハラをしたと告発された。
この裏に、サイエンス誌にも新聞にも書いてない、イヤ、書けない(多分)忌まわしい事実があると思われる。つまり、ヴェルマの性的欲求に屈した被害女性がかなりいると思えることだ。
セクハラ行為をうまく拒絶できた女性は今回告発できただろうが、拒絶できなかった女性は表に立ちたくないだろう。そういう女性が何十人もいるに違いない。
ヴェルマが41年間にわたってセクハラをし続けたということは、その間、失敗よりも成功する回数が多かったからに違いない。ある程度成功したからヴェルマはセクハラをし続けたのだろう。ことごとく失敗すれば、途中でやめたに違いない。
ということは、メディアが公表している事態よりも現実は深刻だと思われる。ソーク研究所でセクハラ被害者の自殺者がいたのだろうか? 自殺しなくても、ヴェルマのセクハラで研究者をやめたとか、ウツになった学生・院生・ポスドク・教職員・同僚が、いなかっただろうか?
2009年、韓国人女優のチャン・ジャヨンが自殺。その後、「31人に100回以上性的接待を強要された」と書かれた手紙が発見された。(セクシャルハラスメント – Wikipedia)
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- ゼンハイ・ヤオ(Zhenhai Yao)(米) 2018年8月15日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2002年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。16年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
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- 材料工学:マーク・ジャクソン(Mark Jackson)(米) 2018年8月14日
《1》類似事件:アンジェリデス事件
他大学に雇用されたネカト調査中の教員が訴訟問題になったケースはジャクソン事件だけではない。
1990年代、神経科学者・カイモン・アンジェリデス(Kimon J. Angelides)はベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)・教授を解雇された後、英国のダラム大学 (University of Durham)・教授に就職した。
アンジェリデスが5つの論文で数十の図を改ざんしたとベイラー医科大学が発表した時、アンジェリデスは、ベイラー医科大学と調査委員会が彼のキャリアを台無しにしたと裁判所に訴えた。
1999年、研究公正局は、アンジェリデスが不正行為をしたというベイラー医科大学の結論を支持すると発表した。
→ 1999年3月18日の研究公正局の公告:NIH Guide: FINDINGS OF SCIENTIFIC MISCONDUCT
それでようやく、アンジェリデスはダラム大学を辞任し、訴訟も取り下げた。
《2》学外逃亡
マーク・ジャクソン(Mark Jackson)は、パデュー大学在職中にネカトを犯し、パデュー大学・調査委員会は2016年に正式な調査報告をまとめ、ジャクソンをクロとした。
しかし、その5年前の2011年に、ジャクソンはすでにパデュー大学を辞めていた。
2013年7月1日(51歳?)に、米国のカンザス州立大学・工業技術学科・教授で学科長に就任していた。
そして、アンジェリデス事件と異なり、パデュー大学が正式にジャクソンのネカトを発表しても、ジャクソンはカンザス州立大学を辞職しなかった。カンザス州立大学もジャクソンを解雇しなかった。
2018年8月13日現在、ジャクソンはカンザス州立大学で研究キャリアーをリセットできているのである(Faculty and Staff、(保存版))。
日本でも、千葉大学教授だった小室一成は千葉大学のネカト調査でクロとされた。
→ 2014年7月16日記事:千葉大学VART最終報告 東大・小室教授ら「虚偽説明で調査混乱、長期化」 処分求める
ところが、小室一成は東京大学・教授に移籍してしまい、なんら処罰を受けていない。小室一成は東京大学・教授として研究キャリアーをリセットできているのである。
米国では一般的に、州内で犯罪を犯しても州外にでれば、州警察は逮捕できない。だから、米連邦捜査局(FBI)があって、州をまたいだ犯罪者を逮捕する。
ところが、米国のA大学でネカトを犯しても、B大学に移籍してしまえば、大学をまたいだネカト者を処罰する組織もシステムもない。米国政府の助成金を受給していれば、生命科学系なら研究公正局が調査するが、政府の助成金を受給していなければ、調査する機関はない。
日本では、生命科学系と分野を問わず、とにかく、政府のネカト調査機関が存在していない。大学を移籍し、移籍先の大学がペナルティを科さなければ、あるいは定年退職を含め、退職してしまえば、現状では、ペナルティの科しようがない。
なんか、まずくないですか?
提案:「警察庁にネカト取締部を設置し、学術ポリスとして、日本全体のネカトを捜査せよ」
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- アリ・サルタン(Ali Sultan)(米) 2018年8月13日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2004年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。14年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
《2》研究費申請書
アリ・サルタン(Ali Sultan)のネカトは研究費申請書であって、出版論文ではない。
2005年のゲーリー・カマー(Gary Kammer)事件で書いたが、再掲する。
以下の事件も研究費申請書であって、出版論文ではない。ドライヤーは投稿原稿もあるが出版していない。
- 2000年:エヴァン・ドライヤー(Evan B. Dreyer)(米)
- 2001年:デイヴィット・パジェット(David A. Padgett)(米)
- 2001年:モミアオ・シャオン、熊墨淼(Momiao Xiong)(米)
- 2003年:ジャスティン・ラドルフ(Justin D. Radolf)(米)
- 2005年:ゲーリー・カマー(Gary Kammer)(米)
2000-2005年頃は、ネカトは研究費申請書のネカト発覚が普通だったのだろうか?
その場合、出版論文のネカトは指摘されていない。出版論文のネカトを調査していないのか、調査したけど出版論文にネカトはなかったのか、どっちなのだろう。
ネカトが研究費申請書だけだったとは信じがたい。
なお、勿論、2000-2005年の間、研究公正局は出版論文のネカト事件も報告している(以下はその一部)。
- 2002年:レヌーカ・プラサッド(M. Renuka Prasad)(米)
- 2002年:タツミ・アリチ、有地建実(Tatsumi Arichi)(米)
- 2003年:クレイグ・ジェルバンド(Craig H. Gelband)(米)
- 2005年:エリック・ポールマン(Eric T. Poehlman)(米)
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- レヌーカ・プラサッド(M. Renuka Prasad)(米) 2018年8月12日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2002年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。16年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
ーーーーーー
《1》不明点だらけ
アンヌイ・カナンタイ、ศาสตราจารย์ อาํนวย ขนันไทย(Amnuay Kananthai、写真出典リンク切れ)が、ネカトをした状況や、発覚した状況は不明である。
カナンタイはタイの数学界では優秀な教授だったようだ。2004年に59歳でタイ国家学術調査委員会(The National Research Council of Thailand:NRCT)の国家優秀研究者(National Outstanding Researcher)に選ばれている。
そういう優秀な教授が、どうして68歳で二重投稿したのだろう? 単著なので、彼以外が投稿したとは思えない。
初犯ではなく、今まで何度もネカトをしてきたのか? 不明である。
チエンマイ大学は調査委員会を立ち上げたようすがない。
タイのネカトの実態、対処の実態を、白楽はほとんど理解できていない。
ーーーーーー
- ゲーリー・カマー(Gary Kammer)(米) 2018年8月10日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2003年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。15年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
《2》研究費申請書
ゲーリー・カマー(Gary Kammer)のネカトは研究費申請書であって、出版論文ではない。
以下の事件も研究費申請書であって、出版論文ではない。ドライヤーはネカト投稿原稿もあるが出版していない。
- 2000年:エヴァン・ドライヤー(Evan B. Dreyer)(米)
- 2001年:デイヴィット・パジェット(David A. Padgett)(米)
- 2001年:モミアオ・シャオン、熊墨淼(Momiao Xiong)(米)
- 2003年:ジャスティン・ラドルフ(Justin D. Radolf)(米)
- 2005年:ゲーリー・カマー(Gary Kammer)(米)
2000-2005年頃は、ネカトは研究費申請書のネカト発覚が普通だったのだろうか?
その場合、出版論文のネカトは指摘されていない。出版論文のネカトを調査していないのか、調査したけど出版論文にネカトはなかったのか、どっちなのだろう。
ネカトが研究費申請書だけだったとは信じがたい。
なお、勿論、2000-2005年の間、出版論文にもネカトがあった研究公正局の事件はある(以下はその一部)。
- 2002年:レヌーカ・プラサッド(M. Renuka Prasad)(米)
- 2002年:タツミ・アリチ、有地建実(Tatsumi Arichi)(米)
- 2003年:クレイグ・ジェルバンド(Craig H. Gelband)(米)
- 2005年:エリック・ポールマン(Eric T. Poehlman)(米)
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- ジャスティン・ラドルフ(Justin D. Radolf)(米) 2018年8月9日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2003年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。15年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかったハズだ。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
《2》ネカト者が研究を続けた
締め出し期間が5年間もあったが、ジャスティン・ラドルフ(Justin D. Radolf、写真出典)は、同じ大学の同じポストで研究職を続けられた。研究公正局がクロと発表した研究者で研究職を続けられた少ない例である。
→ 研究ネカト者が研究を続けた | 研究倫理(ネカト)
2018年現在の視点では、研究公正局がクロと発表した研究者は、ほぼ100%、研究者を続けられない。
しかし、15年前頃は事情が少し違うようだ。以下の研究者は研究公正局がクロと発表した後、研究者を続けられた。
- 2001年:デイヴィット・パジェット(David A. Padgett)(米):締め出し期間は3年間
- 2001年:モミアオ・シャオン、熊墨淼(Momiao Xiong)(米):締め出し期間は1年間
その頃と、現在はどう違うのだろう?
なお、研究公正局でクロ判定された研究者の約半分の人が、研究を続けていた、という報告がある。
→ 2017年2月24日の「Science」記事: U.S. researchers guilty of misconduct later won more than $100 million in NIH grants, study finds | Science | AAAS
少なくとも24人が研究職に戻っている、という報告もある。
→ 2016年10月28日のジェフリー・マーヴィス(Jeffrey Mervis)の「Science 」記事:After the fall | Science)。
但し、上記の記事では実名が出ていないので誰だか不明である。
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- 責:アンドリュー・ダヴィドフ(Andrew M. Davidoff)(米) 2018年8月8日
《1》「ネカトはなかった」同然
「火のない所に煙は立たぬ」という諺はあるが、「責」ダヴィドフ事件では、火、つまり、ネカト論文は確かにあるのに、煙が立っていない(ネカト者が特定されていない)。
所属するセント・ジュード小児研究病院(St. Jude Children’s Research Hospital)が調査し、結論を発表しないからである。
「研究ネカト事件対処の4ステップ説」で述べたように、「当局(オーソリティ)」が調査し、結論を出さないと、ネカト行為があって、告発され、メディアが追及しても、「ネカトはなかった」も同然になってしまう。
→ 1‐5‐3.研究ネカト事件対処の4ステップ説 | 研究倫理(ネカト)
勿論、研究者の所属する大学・研究機関にネカトの調査をさせる、というおかしなシステムを米国や日本を含め各国が行なっている。だから、大学・研究機関が知らぬ存ぜぬで75日も放っておけば、ネカトの噂は途絶え、「ネカトはなかった」も同然になってしまうのである。
このように、ネカト論文なのにネカト者が特定されていない事件は、実は、かなりあるのではないだろうか。
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- モミアオ・シャオン、熊墨淼(Momiao Xiong)(米) 2018年8月7日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2001年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。17年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
ただ、中国で学士号取得後、中国の企業で約20年間働いたのち、米国に渡り、修士・博士・ポスドクを経て、52歳(?)で大学の助教授になったモミアオ・シャオン(Momiao Xiong)の人生は、平坦な道ではなかったろうと推察する。
その人生の中で、56歳(?)で盗用とデータねつ造と研究公正局から発表された。平坦ではなかった道が一層苦しくなったに違いない。それでも、現在、73歳(?)で現役の教授である。優れた人物なのだろう。
《2》履歴書の賞罰の「罰」
モミアオ・シャオン(Momiao Xiong)の履歴書はウェブ上にアップされている。 → ココ。
かなり詳細な履歴書だが、ネカトで1年間締め出し処分を受けたペナルティは記載されていない。
ネカトでクロだった場合、履歴書に記載しなくて良いのだろうか?
米国は置いといて、日本ではどうだろうか?
日本の履歴書の賞罰欄の「罰」に書くべき項目は以下のようだ。
基本的には『刑事罰』を書く項目だとされています。刑事罰とは、刑法犯を犯して“有罪判決を受けて科された罰”のことです。懲役、禁固刑、罰金刑などが含まれます。
一方、スピード違反や駐車違反、一次不停止といった「軽い交通違反」は、『行政罰』とされているので、賞罰欄に書く必要はありません。(2018年04月09日記事:履歴書の賞罰には何を書く?賞罰なしと書いて良い?賞罰の書き方を徹底解説! |【エン転職】)
ネカトで懲戒免職になっても、日本では履歴書の賞罰欄の「罰」に書く必要はない。
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- デイヴィット・パジェット(David A. Padgett)(米) 2018年8月6日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
2001年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。17年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
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- 経済学:チュンミン・クァン、管中閔(Chung-ming Kuan)(台湾) 2018年8月5日
《1》盗用と政治家
チュンミン・クァンは盗用事件ではあるのだが、事件は政治的要素がずっと強い。
国立台湾大学は台湾で最高の大学だと思われるが、中枢部の言動は、チュンミン・クァンの盗用を盗用ではないかのように誘導している。規範を捻じ曲げ、学問を冒涜している。学者の集まりなのに、情けないほどアホである。
ネカトはネカトで、政治とは切り離すべきだ。
他国でも、政治家の盗用事件がかなり起こっていて、何かと政治抗争の道具に使われる。嘆かわしい。
ーーーーーー
《1》細胞像の再使用
スチトラ・スミトラン=ホルガーソンのネカトは細胞像の再使用である。それも反転するなど工夫もなくほぼそのまま再使用している。細胞像は電気泳動バンドの画像より特徴があるので、工夫せずに再使用すると、一見しただけで、再使用とわかる。
どうして、こんな単純なデータねつ造・改ざんをしたのだろう。
《2》インド人
スチトラ・スミトラン=ホルガーソンはインド出身でスウェーデンのヨーテボリ大学(University of Gothenburg)・教授になった。
折角、立派な地位を築いたのに、もったいない。
しかし待てよ、「パブピア(PubPeer)」が指摘した最古の論文は2004年出版で、この時42歳と推定される。一般論として、42歳で初めてネカトを行なうとは信じがたい。もっと前の論文にもネカトがあるに違いない。
インド人研究者の研究処世術の1つにネカトが染みついている気もする。
→ 1‐3‐7.インドの研究ネカト問題
《3》再犯
2008年8月(46歳?)、ネカト疑惑を誰が通報したのか不明だが、スチトラ・スミトラン=ホルガーソンのデータねつ造が指摘された。
2011年2月15日(49歳?)、カロリンスカ医科大学はスミトラン=ホルガーソンがネカトを犯したと結論した。
それなのに、2011年9月、スウェーデン研究評議会(Swedish Research Council (VR))は、カロリンスカ医科大学・調査委員会が調査を適切に運営していなかったという理由で、カロリンスカ医科大学の結論を無効としたのである。
この時、ネカト有罪としておけば、移籍して既に3年経つが、移籍前のネカト行為を理由に、ヨーテボリ大学はスミトラン=ホルガーソンを解雇できたに違いない。
スウェーデン研究評議会がアホだったから、既に撤回された「2014年のTissue Eng Part A」論文を含め、スミトラン=ホルガーソンは2012年以降、移籍先のヨーテボリ大学でねつ造データ論文を計7報も発表したのである。
7報のねつ造データ論文のコストである研究費・研究協力者・研究界の損害は大きい。スウェーデン研究評議会も責任をとるべきだろう。
法則:「ネカトでは早期発見・適切処分が重要である」
ーーーーーー
- 盗博VP177・VP185:マリナ・ヘニッヒ(Marina Hennig)(ドイツ) 2018年7月30日
《1》完璧な分析
ヴロニプラーク・ウィキの指摘した盗博を1年振りに記事にした。
ヴロニプラーク・ウィキの盗用分析の緻密さに感動する。
バーコード表示、イラスト表示、盗用分析表(盗用文章と被盗用文章を並べ、盗用文を着色する)など、どれもとても力作である。
ヴロニプラーク・ウィキ以外の盗用指摘サイトの多くは、これほど緻密に分析していない。
ただ、盗用は明白なのに、ドイツの大学はなかなか博士号をはく奪しない。解雇しない。どうしてなんだろう?
件数が多くて、解雇すると、教授が足りなくなる? 盗用の「みんなで渡れば怖くない」現象? 「多人数の悪は罰せられない」
「1人殺せば殺人者だが、100人殺せば英雄だ」(チャップリン)、チョット違う?
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- エリック・スマート(Eric J. Smart)(米)改訂 2018年7月27日
《1》上司が不正者の推薦状を書く
2010年8月(44歳?)、スマート準教授の不正が発覚した。
2010年9月7日(44歳?)、事件が発覚して1か月もたたないし、1年前にはセクハラ行為もあった。それなのに、上司のティモシー・ブリッカー医学部小児科長(Timothy Bricker)は、当地の教育委員会(Education Professional Standards Board)あてに、大学の便せんを使用して、「エリック・スマート氏は、すべてのレベルの生徒に対し、内容と教育スタイルの両方の観点からみて、素晴らしい教師である」と7枚に及ぶ推薦状を書いている。(After UK researcher’s suspension, his boss wrote him a recommendation letter)。
2011年8月(45歳?)、ティモシー・ブリッカー医学部小児科長の推薦状に威力があったのか、スマートはバーボン・カウンティー高校(Bourbon County High School )の化学教師に就職した。
日本の推薦状はなんでも褒めると世界で非難されているが、それでも、セクハラ事件とネカト事件に何も触れないで、主犯の人物の推薦状を書く日本人はマレだろう。
ティモシー・ブリッカー医学部小児科長を非難すべきなのか、それとも褒めるべきなのか?
もちろん、高校側も推薦状だけで、エリック・スマートを採用することはないだろう。面接し、「良い」と思ったから採用したのだろうが、性的事件は病的で再犯率が高いという話もある。性的事件を起こした人物だと伝えたら、そのような若い男性を教師として採用するのに、反対や非難が沸き起こったに違いない。
それにしても、ティモシー・ブリッカー医学部小児科長の推薦状は異常である。なお、無責任なことに、推薦状を書いたその2011年、ティモシー・ブリッカーはケンタッキー大学を辞めて、テキサス大学(?)に移籍してしまった。
白楽としては、ネカト者と言えども幸福な人生を送る権利があるし、実際に幸福に暮らして欲しいと思う。
エリック・スマートが高校の化学教師として前向きな人生を送れることを願う。女子高生や女性教職員にセクハラしないことも願う。
2014年11月時点で、バーボン・カウンティー高校(Bourbon County High School )の化学教師の職にあった。
そして、2018年7月26日現在も在職している(Eric Smart – Bourbon County High School)。問題を起こしていないということだ。
ーーーーーー
- エリック・ノジ(Eric K. Noji)(米) 2018年7月24日
《1》陸軍内のネカト
エリック・ノジ(Eric K. Noji)は、医科大学院生の頃の写真をアップしていたり、自分のことをかなりオープンにしている。
全米アカデミーズ会員に選出されたことからも、米国の戦時医療・災害医学では著名な医師(軍医)なのだろう。右下の写真はブッシュ大統領夫妻と一緒の写真である。
そういう著名人がどうして盗用やねつ造をしたのか?
但し、ウェブ上の記事からは、盗用やねつ造行為をするに至った状況が見えてこない。
そして、不思議なことに、2016年に、ユニフォームド・サービシス健康科学大学(陸軍医科大学、Uniformed Services University of the Health Sciences)がネカト調査でクロと判定した時、メディアは何も報道していない。それが2年後の2018年に「New York Times」紙が報道した。
アーサー・ケラーマン学部長が「New York Times」紙にリークしたのだろうけど、陸軍内でのネカトは、研究公正局のやり方とはまた別のネカト処理方式があるのか、あるならそれがどういうものか、白楽にはよくわからない。
軍がらみの新技術開発および基礎研究は、国防総省の研究助成機関である国防高等研究計画局(ダーパ、DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency )が管轄している。
そういえば、軍の研究助成機関・ダーパの研究費を受給した研究のネカトはどうなっているのか?
陸軍内のネカトは、何か特別の処理をしているのだろうか?
ダーパでのネカトで表面化した事件として、ルーシ・タリヤーカン(Rusi Taleyarkhan)事件がある。その内、調べよう。
ーーーーーー
- 7-15.著者の論文貢献度指数 2018年7月21日
《1》研究者の評価
研究者の評価は論文の質と量で判定することが多いが、質の判定は難しい。それで、量、つまり、出版論文数で判定されることが多い。
量と言っても、少し質を加え、①査読論文に限る、②インパクトファクターを考慮する、③被引用回数を考慮するなどの改善がされることもしばしばある。
しかし、共著者数を考慮する方法はあまり提唱されていない。著者1人の論文も、著者1,000人の論文の著者も、「論文を1報出版している」とカウントされる。
《2》著者在順
論文に共著者を加えるのにコストはかからない。そして、前述したように、著者1人の論文も、著者1,000人の論文の著者も、「論文を1報出版している」とカウントされる。
国際医学ジャーナル編集委員会(International Committee of Medical Journal Editor)は、著者になるには次の3要件のすべてを満たすことが必要だと規定している。①論文の知的内容への貢献。②原稿作成、批判的な論評、または修正原稿の作成。③最終原稿の承認。
しかし、論文投稿時に、学術誌がこの3要件の証拠の提出を求めることはない。
それで、統括研究者(連絡著者、lead or corresponding author)が、誰を著者リストに加えるか、または加えないか、加える場合の各著者の位置(著者リストの順位)を胸先三寸で決めているのが現実である。
従って、共著者数は増える。特に院生は論文数が多ければ奨学金獲得・留学・就職にとても有利になる。それで、統括研究者は研究室の多くの院生に少し手伝わせて著者に加える。
これらの要因が、著者の「真の姿」とは大きくかけ離れてしまった著者在順の現実を生み出している。それを解消するための方策が求められている。
《3》著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)
この論文の提唱する著者貢献度指数(ACI)は、方程式(1)で算出する。
白楽なりに以下計算してみた。
例:著者Aは、10人の共著の論文で、貢献度50%だったとすると、
ACI(i)=0.5×{(10-1)/(1-0.5)}で著者貢献度指数(ACI)は、9になる。
著者Bは、2人の共著の論文で、貢献度50%だったとすると、
ACI(i)=0.5×{(2-1)/(1-0.5)}で著者貢献度指数(ACI)は、1になる。
著者Cは、10人の共著の論文で、貢献度20%だったとすると、
ACI(i)=0.2×{(10-1)/(1-0.2)}で著者貢献度指数(ACI)は、2.25になる。
なんか、著者貢献度指数(ACI)を算出する手間が必要なのに、上記のように実際に著者貢献度指数(ACI)の数値を求めてみると、「9」や「1」や「2.25」で、ピンとこない。
そして、著者貢献度指数(ACI)は、2人の共著の論文で貢献度50%だった著者Aは「1」で、同じ貢献度50%なのに10人の共著の論文の著者Bは「9」である。1つの論文に対して同じ50%という貢献度なのに、著者貢献度指数(ACI)にすると、9倍も違う。著者貢献度指数(ACI)はなんかヘンだ。それに、これでは、論文間の比較はできない。
むしろ、白楽が提唱するように(勿論、2003年のフェアハーゲン(Verhagen JV)らの論文や2014年のクレメント(Clement)の論文など、先行論文がいくつもあり、世界で最初に白楽が提唱したわけではない)、共著者数と関係なく、貢献度50%なら0.5、貢献度20%なら0.2とする方が単純で明確な気がする。
2003年のフェアハーゲン(Verhagen JV)らの論文と2014年のクレメント(Clement)の論文を再掲すると、次のようだ。
4つのカテゴリー「概念とデザイン、データ収集、データ分析と結論、原稿作成」で各著者が貢献した度合いをパーセントで表示する「定量的統一著者在順(Quantitative Uniform Authorship Declaration:QUAD)」方式である。[Verhagen JV, Wallace KJ, Collins SC, Scott TR. QUAD system offers fair shares to all authors. Nature. 2003;426:602. doi:10.1038/426602a.]
4つのカテゴリーを「アイデア、仕事、執筆、スチュワードシップ」とする2014年のクレメント(Clement)の提案はもっと良いと思う。[Prabhakar Clement T. Authorship matrix: a rational approach to quantify individual contributions and responsibilities in multi-author scientific articles. Sci Eng Ethics. 2014;20:345–61.]。
《4》学術誌・編集長、採択してね!
2016年10月6日に「4‐3.著者在順(オーサーシップ、authorship)・代筆(ゴーストライター、ghost writing)・論文代行(contract cheating)」で、白楽は論文著者の貢献度を数値で導入することを提案した。
ステファン・ボイヤー(Stéphane Boyer)のこの「2017年のResearch Integrity and Peer Review」論文は、2017年11月に発表と、白楽のブログ記事の約1年後だが、アイデアはよく似ている。
ただ、共著者数を勘案し少し複雑にした著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)を算出していて、白楽は、その有効性に疑問を感じてしまった。
なお、パーセントで著者貢献度を表す方式は著者在順の問題を大きく改善するので、学術誌・編集長は是非採択してほしい。国際医学ジャーナル編集委員会(International Committee of Medical Journal Editor)も、チャンと検討してほしい。
ーーーーーー
《1》ネカト?
ノイマイスター事件に、ネカトが含まれているのか・いないのか、現時点ではハッキリしない。
2016年の食品医薬品局(FDA)の警告書ではネカト事件と思われる。ただ、2017年の横領事件では、ネカトへの言及がない。横領の方が犯罪として重大なので、ネカトの件はまともに扱われない節もある。
ただ、撤回論文はないし、パブピア(PubPeer)にコメントされた論文もない。そういう意味ではネカト行為はあったとしても頻繁ではなかった。食品医薬品局(FDA)の警告書にあるように、臨床試験の報告書にネカトがあった。論文に出版する前にネカトが発覚し、ネカト論文を出版してないかもしれない。
NIHから30件も研究費を受給しているので、研究公正局が調査に乗り出す(乗り出している)可能性はある。この場合、ネカト主体の調査になるだろう。
《2》研究費の私的利用
研究費の私的利用は犯罪である。人間は悪いことだとわかっていても、得だから、してしまう。
私的利用できないシステムを構築できないのだろうか? 少なくとも、私的利用するのが難しいシステムは構築できるハズ、というか、現状ではそうなっているハズだ。それでも、抜け穴はあり、不正する人は不正するだろう。
ただ、ノイマイスター事件で、ノイマイスターが研究費を私的利用する状況が白楽にはわからない。医師で教授だから個人的な収入は多いだろうし、金を使う暇がないくらい多忙だったハズだ。もちろん、収入が多く多忙でも金銭上の不正をする人はゴマンといる。
しかし、今回の事件では、早晩バレるような初歩的な私的利用である。
ノイマイスターは精神的に魔がさしたのだろうか? 精神科医なんだけど。
なお、ニューヨーク大学医科大学院というか全米の大学ではどのように研究費の管理をしているのか、白楽にはわかっていない。
ただ、研究費が余って使い切れなかったということはないだろう。米国は日本と異なり、単年度経理ではないので、数割は翌年に回せる(友人の米国の大学教授の話)。昔滞在したNIH・国立がん研究所・分子生物学部では、予算を使い切れず、余らせていた。
誤解を恐れずに書くと、日本の場合、無駄に使うのは犯罪にならないので、使えばいいだけのことだ。勿論、それでも、有効に使うべきだが。
米国の経理の仕組みを詳しく知らないし、ノイマイスターの金銭状況がわからないので、ノイマイスター事件から学べる不正予防の方法が思いつかない。
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《1》大学事務員の質
クリスティーナ・シフエンテスはスペインのマドリード州・知事で学歴を詐称をしていた。スペインのマドリード州・知事は日本の東京都・知事に相当する。
そういえば、東京都・知事の小池百合子の学歴詐称の疑念が勃発している。石井妙子・記者が小池百合子のカイロ大学「卒業証書」がおかしいと追及しているのだ。
→ 2018年6月15日の「文春オンライン」記事:小池百合子都知事のカイロ大学「卒業証書」画像を徹底検証する | 文春オンライン
石井妙子・記者(あるいは文春、または東京都事務局、小池百合子本人でも)がカイロ大学・事務局に小池百合子が卒業したかどうかを問い合わせればシロクロがハッキリすると思うのだが、どうして問い合わせないのだろう?
大学を含め教育機関は在学証明書や卒業証明書を発行する義務があるので、在学生・卒業生の記録はしっかり保持しているハズだ。
もっとも大学といっても、記録の保持や外部の問いわせに応じるのは大学・事務員である。教授は専門家集団で知的レベルは高いので、多くの人は、大学というだけで、知的レベルが高いと誤解しがちである。
大学・事務員は知的レベル・事務レベルが高いわけではない(勿論、高い人もいる)。平均して見ると、多分、大企業の総務係の方がレベルが高い。
白楽は、東京医科歯科大学・事務局に関係者の経歴詐称を問い合わせたことがある。大学事務局は、個人情報という理由で教えてくれなかった。問い合わせ内容は個人情報ではなく、大学が普通に公開している情報である。
白楽は唖然とした。
大学事務員の質の悪さは一般的にあまり追及されないが、米欧のネカト事件を調べていると、大学事務員の質の悪さが原因で事件がこじれた、また、ネカト調査が失敗したと思える事件に遭遇する。さらに、挙句の果ては、透明性が欠ける発表のため政府機関やメディアに叩かれた事件にも遭遇する。
世間は大学では教授がすべて判断し対応していると想定するかもしれないが、実際の運営・判断では、事務員の役割の方が大きい。そして、一般的に、彼(女)らはかなり尊大で、ネカトに関する知識・スキルは乏しい。
小池百合子の学歴詐称では、カイロ大学・事務局に問い合わせたかどうかの記載がないので、カイロ大学の事務員に問題があるのかどうかわからない。しかし、シフエンテス事件では、フアン・カルロス国王大学はシフエンテスの修士号や在籍状況を積極的に公表した。大学はこうあるべきだ。
《2》政治家の経歴詐称
政治家にとって、選挙で当選するのは死活問題である。少しでも選挙民の尊敬を集めたいために、学歴詐称してしまうのだろう。
どうせすれば防げるか?
ネカト研究者の立場から、政治家の学歴詐称を防ぐのは、透明性の維持と多くの人(国民、メディア、政治家など)の監視が有効だと考える。
また、学歴詐称でクロの場合、「あ~、間違えました。訂正します」で済まさせてはイケナイ。謝って訂正して済むなら、学歴詐称した方が得である。その場合、あとからあとから学歴詐称する人がでてくる。
クロなら厳罰に処すべきだ。現在の地位の辞任は、その時点の不正に対する責任の取り方である。10年前の不正を現在見つけたら、10年前から現在まで得た名声・収入などの色々な利益が不当であり不正だったのである。人生と社会を10年前に戻せるリセットボタンはないので、金銭で償ってもらうことになる。現在の地位の辞任だけでなく、例えば、学歴詐称以降の収入の半分を没収するなどのペナルティを科すべきだろう。
日本では政治家の経歴詐称は少ないが(実際に少ないのか、摘発されないだけなのか不明)、欧州ではたくさんある。特にドイツやロシアに多く、それを摘発する民間組織も活躍している。
→ 1‐4‐10.ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki) | 研究倫理(ネカト)
→ 1‐4‐12.露 ディザーネット(Dissernet) | 研究倫理(ネカト)
ーーーーーー
- 1‐3‐7.インドの研究ネカト問題 2018年7月12日
《1》衣食足りて礼節を知る
インドの研究ネカト問題を調べていると、インド人研究者に同情する。インドの研究環境は劣悪である。ネカトが横行しているが、劣悪な研究環境の中で、院生も研究者もキャリア形成に必死である。そして、国も学術界も高等教育機関もネカト対策まで手が回らない。「衣食足りて礼節を知る」。
20世紀が米国の時代なら、21世紀は中国の時代。そして、インドの時代は22世紀だろう。と思えるほど、長い目で見て改革していくことになるのだろう。
《2》白楽の経験:バングラデシュ留学生
米国のネカト事件の数割(?)はインド出身者が起こしている。インドの実情を知らないと、米国のネカト問題は解けない。
日本に来るインド人留学生に対しても、インドの実情を理解して、教育した方がよいでしょう。
インド人留学生ではないが、白楽は、2人のバングラデシュ留学生を引き受けたことがある。米国が白楽の研究留学を引き受けてくれた。その恩返しのつもりでバングラデシュからの留学生を引き受けた。
しかし、結果的には恩を仇で返された苦い経験になった。随分と援助したのに、不平・不満だらけの留学生だった。そして、毎日、大学の日本語教室で授業を受けていたハズなのに、日本に到着して半年経っても、自分の名前を日本語で書けなかった。その間、全く研究をしていない。滞在中、白楽の時間・エネルギー・親切・お金・メンツなどすべての面で大きな損害を受けた。
(写真は本文と関係ありません)。インドのデリー大学・動物学科キャンパスの入口。2008年。白楽撮影。
(写真は本文と関係ありません)。インドのデリー大学・生理学実習。2008年。白楽撮影。
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- ドン・ポルダーマンス(Don Poldermans)(オランダ) 改訂 2018年7月9日
《1》難解
毎度のことであるが、ネカトの詳細を解読するのは、難解である。ネカト行為をした研究者は、なるべくネカトを隠す。一方、調査委員会の委員は研究者であって捜査のプロではないのでトコトン捜査しない・できない。穏便に取り繕う、あるいは、研究機関・国へのイメージを悪くしないように、ネカト者をかばう傾向がある。
そして、白楽の情報源はインターネット上の資料だけである。
だから、この隠ぺいされ、バイアスの強い情報・資料を読み解くのは難しい。難解である。
《2》誰が得するのか?
ドン・ポルダーマンスは48歳で教授就任だから、特段出世が早かったわけではない。地道な研究を積み上げ、真面目に生きてきた印象だ。
目立つ点は、論文数が500報以上ととても多いことだ。これは、全部、自分で書いた論文ではないだろう。共著者が書いた論文をロクに目を通さないで出版しているだろう。それだけ、「研究上の不正行為」の罠におちいる危険は高い。
ドン・ポルダーマンスは著名な研究者なので、引きずり降ろすと得な人がいるハズだ。そして、ここでもそうだが、一般的に、得をした人物の情報がない。事件には、文字にされていない重要な事実があるように思えてならない。不都合な真実が隠されているに違いない。
科学では、提唱した説が間違っている場合、純粋に科学上の問題として議論し訂正されるのが健全である。しかし、実際は、研究者に余裕がない。間違った論文は、議論や訂正もされず、単に無視され、忘れ去られることが多い。
ポルダーマンス事件ではネカトだけではなく、インフォームド・コンセントを得てていないなどの医療手続き上のミスも併せて指摘された。
しかし、事件を処理する場合、各問題は、それぞれ切り離して扱って欲しい。研究ネカト、利益相反、金銭問題、研究クログレイも含めたすべての「研究上の不正行為」を一緒にすると、問題点がボケてくる。
《3》調査は難航する
2回目の調査報告書の記述に、「調査委員会には強い捜査権がない」とあった。調査は難航したようだ。
以下の論文260と論文264についての議論は、難航する調査を記述している。論文260は撤回されていないが、論文264は撤回された。
- 論文260.
Feringa HH, Bax JJ, Elhendy A, de Jonge R, Lindemans J, Schouten O, et al. Association of plasma N-terminal pro-B-type natriuretic peptide with postoperative cardiac events in patients undergoing surgery for abdominal aortic aneurysm or leg bypass. Am J Cardiol. 2006 Jul 1;98(1):111-5. - 論文264.
Feringa HH, Elhendy A, Bax JJ, Boersma E, de Jonge R, Schouten O, et al. Baseline plasma N-terminal pro-B-type natriuretic peptide is associated with the extent of stress-induced myocardial ischemia during dobutamine stress echocardiography. Coron Artery Dis. 2006 May;17(3):255-9.
上記に関して次の記述がある。
- これらの論文の大部分は事実と一致しない架空データで満たされていました。
- 委員会は、これらの論文が悪意を持った人によって意図的に作られたと考えました。
- どのようにデータをだしたかを質問すると、第一著著者(Feringa HH)と主宰研究者(PI、ドン・ポルダーマンスのこと)の2人の説明は矛盾していました。そして、それぞれ他者を非難するのです。また、両者とも、患者向け情報と研究データを照合しなかったと述べました。それで、委員会は、この架空データの作成者を特定できず、特定の人に責任を負わせることができませんでした。
《4》不正の社会的影響度
ドン・ポルダーマンスは心臓手術合併症の予防と管理が専門で、欧州の医療ガイドラインを作成する立場の人だった。データが間違っていると、患者に健康被害が大規模に起こる可能性がある。対象となる患者数が多いと、健康被害も多くなる。
研究上の不正行為は、研究ネカトや研究クログレイという分類以外に、不正の影響度も勘案した方が良いと思う。もし、本当に80万人を死亡させたなら、極極極重犯罪者だ。
工学分野のデータねつ造・改ざんは、ネカト論文に従うと製品を造ることができないので、論文自身が信用されない。基礎医学でのデータねつ造・改ざん(単なる間違いも)は、患者の健康被害に至らないことが多い。
しかし、臨床医学のデータねつ造・改ざん(単なる間違いも)は、患者の健康被害を直接引き起こす。死も招く。
自動車事故で考えよう。同じ信号無視でも事故に至らない場合と十数人の死亡事故につながる場合がある。ミスや不正行為そのものの軽重だけではなく、そのことによる結果の軽重も勘案して処罰の軽重を決めるべきだ。
要するに、「研究上の不正行為」に結果の軽重や社会的影響を勘案すべきだと思う。
写真 http://cardiobrief.org/tag/poldermans/
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- 天文学:エイミー・メインザー(Amy Mainzer)(米) 2018年7月6日
《1》美女
美醜と研究成果は無関係だが、男性主体の科学界で美女は何かと優遇される。それで、能力以上のことが要求され、応えようとして、ネカト・クログレイを犯しがちである。日本でも小保方晴子の例があるが、本ブログでも海外の美人研究者のネカト事件をいくつか解説した。
→ 美貌と研究ネカトで名声を得た女性研究者、超優秀で人柄が良い若い研究者が研究ネカトする | 研究倫理(ネカト)
《2》大富豪
美人と評判のエイミー・メインザー(Amy Mainzer)をネカト・クログレイと糾弾するネイサン・ミアボルト博士(Nathan Myhrvold)は、マイクロソフト社の元・主任技術者で技術の巨人であり、かつ大富豪である。
ミアボルト博士はいわばネカト・ハンターだが、このような人がどうしてネカト・ハンティングをするのか、その動機がよくわからない。まあ、動機はどうであれ、ネカト・ハンターとしてはユニークな経歴である。
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- 電子工学:エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)(米) 2018年7月3日
《1》不明点だらけ
エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)が、ネカトをした状況や、発覚に至る状況は不明である。企業研究者の論文で政府から助成金を受給していないので政府は調査に乗り出さない。
企業はネカトが発覚した時点で、マキシムを、静かに退職させたようだ。
「撤回論文数」世界ランキングの第4位なのだが、マキシムのネカトに関する情報はとても少ない。
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- 盗博・スーマン・サハイ(Suman Sahai)(インド) 2018年6月30日
《1》社会活動家の正義
遺伝子作物反対の活動家は、いわば、社会正義の旗手である。その人が盗用や学籍詐称していた。
「唖然!」と、最初は思ったが、徐々に、社会正義の旗手も、そんなもんだろうと思うようになってきた。
社会活動家と言えども人間である。見つからなければズルしたいのである。
社会活動家は大学や研究組織に所属していないと、ネカトをしても解雇などのような、目に見える処分が下されない。実際は、信用を少し失い、講演の機会は少し減るだろう。
それでも、不正が発覚しなければ、盗用しても教格がある方が断然、箔が付く。ハイデルベルク大学・教授と称するのも、箔が付く。
それでネカトをしたのである。
《2》27年後
1986年(38歳)に教格を取得し、その27年後の2013年(65歳)に教格論文の盗用が指摘された。
27年後でも盗用は盗用だけど、指摘が遅すぎて、指摘された人もその人を囲むミニ社会もやり直しがきかない。なんか不条理である。
ネカトに時効制度を導入し、少しはスッキリさせた方が社会が健全になる気がする。
標語:「ネカトに時効制度を導入しよう!」
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- ヘンク・バック(Henk Buck)(オランダ) 2018年6月27日
《1》28年前の事件
28年前の事件は味がある。
「1990年のScience」論文が出版されるとすぐに、同じ分野の研究者が「実名」で問題点を指摘した。
「論文が出版され、同じ分野の研究者が「実名」で問題点を指摘」という真っ当な科学界の規範が示されているのである。この頃は、ネカト者がいても、指摘する人やメディアの報道が健全な時代だった。調査委員会の結論も妥当に感じる。
ただ、アムステルダム大学(Amsterdam University)のウイルス学者ジャップ・ゴーズミット(Jaap Goudsmit)が処分されなかった点は、甘かったと感じる。
古いネカト事件は時代背景や研究室組織が異なるので、現代に適用できない面もあるが、ネカト行為をするという人間の性向は変わらない。20年以上前の古い事件は大きな事件しか記録に残っていないので、示唆に富む記事が多い。
ただ、バック事件は日本語の解説がウェブ上にはない。バック事件は日本語では今まで伝えられていなかったのだ。
白楽のブログ以外、外国のネカト事件が日本語で解説されたケースはほとんどない(多分、20件に1件程度)。
この現実に直面すると、日本の研究公正観・ネカト知識の貧弱さに納得する。こんな貧弱なネカト知識でネカト政策やネカト指針を決める日本の官僚は、大丈夫だろうかと、大きく心配もする。
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- パトリツィア・ルッソ(Patrizia Russo)(イタリア) 2018年6月24日
《1》イタリアはいい加減
パトリツィア・ルッソ(Patrizia Russo)の論文でのデータねつ造・改ざんは明白である。しかし、本人がネカトを認めない。ネカト論文を発表した時に所属していたイタリア国立がん研究所(IST)はねつ造と判定したが、実行者を特定できなかった。
そのすぐ後、ルッソはサンラッファエーレ・ピサーナ病院(IRCCS San Raffaele Pisana)・研究員に移籍した。この移籍はネカト疑惑からの逃避だろう。移籍してしまえば、前機関は処分ができない(しにくい)。
サンラッファエーレ・ピサーナ病院は移籍前のネカト行為を勘案していない。それで、ルッソは解雇されていない。
一般的に、イタリアの大学・研究機関はネカトの調査、そしてその後のネカト者の処分に大甘である。そして、当然ながら、イタリアの研究者はネカト行為にルーズである。
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- ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)(ドイツ)改訂 2018年6月21日
《1》事件の深堀
白楽は、深堀れない。しかし、どうも、語られていない事実や人間関係がありそうに思える。
病院内部調査委員長のハワード・マーチン教授(Howard Martin)は、「どうしてなんだ。ボルトの地位は悪くないし研究成果も悪くなかった。そんな彼がどうしてこんなことをしたんだ?」と述べている(② ヘイディ・ブレイク(Heidi Blake)の「Telegraph」紙の記事)。
権力闘争があったのだろうか? 色恋沙汰があったのだろうか?
ネカトの動機がわかりません。
《2》 弟子たち
研究者の事件を調べると、被害者は患者や国民である。しかし、一般に言われないが、同じような被害者は弟子たちだろう。
研究ネカト教授の弟子に、不正をする弟子が多いか、少ないか? 師・弟子ともに研究ネカトで職を追われた加藤茂明・教授と弟子の柳澤純のような取り合わせだ。それを研究した論文がない。印象だが、白楽は「多い」と感じている。弟子は、師から研究スタイルを習得するからだ。
しかし、弟子が師を選ぶとき、師の不正(傾向)を知らない。
研究室員になって、弟子は師の不正(傾向)を初めて知る。しかし、弟子であっても不正に重度に加担すれば共犯である。現実は、軽度にしか不正にからまない弟子、あるいは、同じ研究室にいても、不正に全くからまない弟子が多いハズだ。
ヨアヒム・ボルトは大学教授だから研究室からたくさんの弟子が育ったに違いない。不正に軽度にからんだ弟子、全くからまない弟子たちの、その後の研究者キャリアはメチャクチャになってしまわないのだろうか?
師が不正とされた時、研究者をやめようと思う人が多いだろう。また、履歴書にボルトの研究室の大学院生・ポスドクだったと書けば、研究界での就職・転職・昇進に不利になるだろう。
これは、研究システムとして妥当に思えない。考えないといけないですよ、と日本の政治家と文部科学省に言っておきたい。
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- シラディチア・セン(Shiladitya Sen)(米) 2018年6月18日
《1》数値のねつ造・改ざん
電気泳動画像のねつ造・改ざんは第三者が見つけやすい。しかし、今回のような数値のねつ造・改ざんは第三者が見つけることはとても難しい。共同研究者が見つけて告発してくれないと表に出ない。
ということは、一般的に、数値のねつ造・改ざんはたくさん起こっていて、事件として表に出るのは、氷山に一角ということだ。
発覚しないとなると、ネカトは増える。
うまく検出するシステムや方法を確立すべきだろう。
《2》グズな研究公正局
2016年6月3日(31歳?)、オハイオ州立大学はセンがネカトをしたと判定し、2013年に授与したセンの博士号をはく奪した。
この時点で、オハイオ州立大学は調査報告書を研究公正局に提出したはずだ。
それなのに、それから2年も経った2018年5月23日(33歳?)に、研究公正局は、センのネカトを発表した。
調査にどうして2年も必要だったのか? 例によって、研究公正局の調査が遅すぎると非難されている。白楽も、遅すぎだと思う。
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- マリア・エルクートゥブ(Maria Elqutub)(米) 2018年6月15日
《1》テクニシャンのネカト
米国ではテクニシャンのネカトが多い。教育上の問題が大ありだ。以下、メラニー・ココニスから再掲載する。
→ メラニー・ココニス(Melanie Cokonis)(米)改訂 | 研究倫理(ネカト)
米国で、テクニシャンが「どうして?」研究ネカトをするのだろうか?
コロンビア大学名誉教授(精神医学)のドナルド・コーンフェルド(Donald S.Kornfeld、写真出典)が2012年の論文に書いている (「Perspective: Research Misconduct: The Search for a Remedy」 Academic Medicine: July 2012 – Volume 87 – Issue 7 – p 877?882、doi: 10.1097/ACM.0b013e318257ee6a)。
テクニシャンが血液サンプルを集めた時刻の記録が、実際に集めた時刻ではなかった。なぜ改ザンしたか? テクニシャンは、プロトコルに記載されたスケジュール通りに血液サンプルを集められなかったからだ。
テクニシャンに能力以上の仕事量が割り当てられていたと、米国・研究公正局の調査委員会は結論している。また、そのテクニシャンは血液サンプルを集めた時刻が重要だとは知らなかったと述べている。
この場合、ボス(研究者)の指示が不適切、あるいは、ボスとのコミュニケーションが不適切だと、白楽には思える。
ボスがテクニシャンに作業を指示する時、「採血時刻は重要だ」と伝えるべきだし、作業量は多すぎないか(少なすぎないか)をチェックするのはボスの仕事である。
ましてや、ネカトがあったとしても、実験をやり直すなどして研究室内で処理すべきだろう。研究室外の研究公正局に研究ネカトを告発してしまうなんて、白楽には異常な気がする。
ドナルド・コーンフェルドは、
テクニシャンは科学界のメンバーではない。職業規範の感覚は低く、研究結果と自分の収入は無関係である。そして、ネカトすることの重大さと、その後自分の身に降りかかる不幸の重大さを理解していない。そのような状況なのに、もっとデータをだすようにという圧力を強くかけられている。
と書いている。
これが実態なら、「米国の生物医学で研究ネカトをする職階は、テクニシャンが最も多い」のに納得する。
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- 物理学:エティエンヌ・クライン(Étienne Klein)(仏) 2018年6月12日
《1》なぜ?
こういう著名な学者的文化人がなぜ盗用したのだろう?
もう十分有名だし、たくさんの著書があるのだから、盗用してまで出版物を増やす必要がないと思われる。
そして、学者的文化人にとって盗用は致命的である。学者としても文化人としても失格の烙印を押されるだろう。
ところが、世界の尊敬を集めている著名な学者的文化人が盗用した例は他にもある。
→ ジェーン・グドール(Jane Goodall)(英) | 研究倫理(ネカト)
人間は不思議だ!
東海林さだおは、「すべての人はズルをしたがっている」「ズルをしたがらない人はいない」と悟ったそうだ(『誰だってズルしたい!』2007年刊行)。ズルすることは人間の本能なんだろう。
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- アニンディタ・ユーキル(Anindita Ukil)(インド) 2018年6月9日
《1》院生が教員のネカトに気が付いたら
ネカト事件は世界中で起こっている。
一般的に告発者は自分の素性を隠して、匿名で告発する。告発すると、被告発者から強く反撃されるからだ。告発を受け付ける大学・機関は、告発者の保護も重要な義務である。
ユーキル事件は、研究室の院生であるジェイタ・バルア(Jayita Barua)が、フェイスブックでネカト者を告発した点が新しい。SNSで告発とは現代的だ。この方式が新動向になるでしょうか?
バルア院生はフェイスブックで告発する3日前に大学院を退学した。つまり、かなりの犠牲を払っている。実名で告発するにはナカナカ大変である。
では、院生は、教員のネカトに気が付いたらどうすべきなのでしょう。
告発しないで、ネカトに協力して院生を終え、博士号を取得する。実利的であるが、しかし、これでは精神が歪んでしまう。
ネカト教員の指導下に入った院生は、なかなか厳しい人生になる。
日本の加藤茂明事件(東京大学)では、加藤茂明・教授の他に、10人の教員・研究員・院生がネカトで処分された。もし、加藤茂明研究室に入ってしまったら、どうするのが正解なのだろうか?
冷静に考えれば、気が付いた時点で研究室を変えることだ。その後、匿名で告発する。
しかし、バルア院生のように、研究室で既に4年も過ごし、3年目に自分もネカトに加担していたら、黙っているのも告発するのも、難しいだろう。
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- ガレス・ジョン(Gareth John)(米) 2018年6月6日
《1》締め出し期間が1年間
研究公正局からの締め出し期間が1年間というのは珍しい。白楽にとって初めてのケースだ。
この場合、研究職は続けるんでしょうね。
現在、千葉大学・神経内科からポスドク留学中の澤井 摂(Setsu Sawai)さんをはじめ、研究室のポスドクはどうなってしまうのでしょう。
《2》動機
ガレス・ジョン(Gareth John)はどうして画像の改ざんをしたのだろう? ウェブ上の記事を読んでも動機がわからない。
たくさんの研究費を得ていて、論文は多くはないがコンスタントに出版していた。正教授にもなっている。45歳(?)に後で問題となる「2014年のDevelopment」論文を発表した。
なんで?
ネカト論文は「2014年のDevelopment」論文だけではない? イヤイヤ、マウントサイナイ医科大学と研究公正局は他の論文も調べた、と白楽は思う。そして、「2014年のDevelopment」論文だけがクロだった。
魔が差した?
《3》なんか、おかしくないか?
ガレス・ジョン(Gareth John)が画像の改ざんをした「2014年のDevelopment」論文は17人の共著で、ジョンの研究室員はジョンを除いて9人が著者になっている。
ジョンは教授で、研究に関与した研究室員が9人もいたということだ。ところが、【ねつ造・改ざんの具体例】で示したように、改ざんは電気泳動のバンドの加工である。
なんか、おかしくないか?
研究室員が9人も関与した実験で、教授が電気泳動なんかしない。となると、研究室員(ポスドク)が電気泳動したバンドを教授が加工して論文発表したことになる。
イヤイヤ、論文原稿を作成中に、電気泳動した研究室員(ポスドク)が自分の出したデータと違うことにすぐ気が付くハズだ。
それなのに、論文として発表してしまうなんて、あるんだろうか?
100歩譲って、ポスドクが電気泳動したのではなくて、教授の指示でテクニシャンが電気泳動し、教授がバンドを加工したのだろうか?
その場合でも、教授が論文原稿を草稿段階から書き上げるだろうか? 研究室No2やNo3が草稿を書いて、教授がチェックする作業ではないのか? だとすれば、研究室No2やNo3がすぐにデータの異常に気が付くハズだ。
なんか、おかしい。
それとも、教授が実際に自分で電気泳動したのだろうか?
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- ランジート・チャンドラ (Ranjit Chandra)(カナダ)改訂 2018年6月3日
《1》動機
1989年にチャンドラ研究室の主任助手マリリン・ハーヴェイがチャンドラの不正行為を大学に告発する前に、チャンドラは、すでに著名な研究成果をあげ、その分野の世界的権威だった。不正の動機はなんだったのだろうか?
伝えられるところによれば、チャンドラの動機はカネだったと言われている。彼はもらえるカネは誰からでも喜んで受け取ったといわれている。つまり、欲望が嘘をもたらしたと(ヘルケ・フェリーの記事)。
そうだろうか?
50歳前後で、すでのその分野の世界的権威となり、数々の賞ももらった。そういう研究者が、研究費でも私的にでも、本当にカネを欲しがるだろうか? カネは使い切れないほど手にしていたに違いない。では、特定の研究課題に、自分の時間・エネルギー・能力を使った対価として何をしてほしいか?
地位・賞・名声も手に入れていた。一方、自分の時間・エネルギー・能力を使ったことで、企業は莫大なカネが手に入る。それなら、私もカネを要求しよう、というように、金銭欲というより、単なる成り行きで要求したのではないか。
また、臨床研究対象者が288人必要なところ、数十人しか集まらない時、その分野の世界的権威がカネを目的に、架空の人をでっちあげて論文を書くだろうか? それは「ない」だろう。
研究者が自分の研究能力の高い評判を維持したいために、自分の矜持のために、「できませんでした」と言えずに、研究人生の成り行きでデータねつ造をしたのだろう。
ただ、この時期、離婚している。離婚理由はわからないが、不倫関係があったのだろうか? 色恋沙汰で旧悪が露呈したのだろうか?
いずれにせよ、離婚訴訟で、チャンドラは世界中の120銀行口座に200万ドル(約2億円)の預金を持っていることが表面化したとある(The 6 Ballsiest Scientific Frauds (People Actually Fell For) | Cracked.com)。
その200万ドル(約2億円)のカネは、ねつ造論文で得たカネだと非難されている。しかし、名声と地位を考えれば、正当な収入で、その程度の資産を築いても不思議はない。それに、研究費を自分の個人的資産にまわして2億円も蓄財するのは、現実には困難だと思う。
《2》ネカトはいつから?
チャンドラの研究は、食品が小児の免疫発達に及ぼす影響の研究である。200人規模の臨床研究とはいえ、小児の健康は地域に依存するし、生活レベルの変化、社会変化、育てかたの変化など、時代とともにも変化する。結果の追試性を厳密に要求できない研究領域である。
また、データがイイカゲンでも、毒物が混入していなければ、患者が死ぬという分野ではない。ねつ造データでも、製品が造れないという分野でもない。粉ミルクの成分・製法の効能は、厳密性が問われない。
チャンドラは、1つの企業の臨床研究対象者が数十人しか集まらない時、架空の臨床研究対象者をでっちあげて論文を書いた。そして、他に2つの企業の研究計画も引き受けた。さらに、5年の追跡調査の研究費を要求する書類も書いた。チャンドラは、データねつ造に戸惑いがないように思われる。量的にみて、ねつ造はヤリスギだ。
2001年論文の不正の発覚は、データがきれいすぎるために、同じ分野の研究者が異常を感じている。つまり、質的にみても、ねつ造はヤリスギだったのだ。
撤回論文は1報だが、問題視されている論文は2桁の数ある。
チャンドラは、30歳の時、英国・ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート病院(Great Ormond Street Hospital)のジョン・スットヒル教授(John Soothill)の研究室でポスドクをした。ジョン・スットヒル教授は小児免疫学という新しい領域の権威である。60歳で退職したが、弟子のうち30人以上が教授になっている。3人が大学学長まで出世した。
チャンドラの60歳の誕生日パーティで、ジョン・スットヒル教授は彼をとても優秀なポスドクだったと評している。こういう評価は社交辞令だから、あまりまともに受け取らない方が良いかもしれないが・・・、チャンドラは優秀だったのだろう。頭脳もさることながら、誕生日パーティに多数の著名人がお祝いにかけつけてくれるのだから、他人に好かれる社交性、好感度は抜群だったに違いない。
それで、白楽の推定である。
チャンドラは、研究キャリアの初期から「ねつ造・改ざん」をしていたに違いない。これで、論文の多作が理解できる。著名学者・ジョン・スットヒル教授の覚えめでたく、庇護の下にあり、社交性、好感度は抜群だった。これで、出世の早さも理解できる。また、50歳前後の世界的権威がためらいなく、データねつ造論文を発表したのは、彼が身につけた彼の研究スタイルだったと考えれば、それも理解できる。
《3》逆転ホームラン
メモリアル大学は自分たちを裁判で訴えたハーヴェイなのに、その行動に敬意を表して、「研究倫理の重要性を認識するためのマリリン・ハーヴェイ賞(Marilyn Harvey Award )」を創設した。
マリリン・ハーヴェイ賞の創設でメモリアル大学は研究公正に対してしっかりした大学だという評判になる。
メモリアル大学は自分たちの失敗を利用して、見事に好転させた。
日本もどうです。
信州大学に村中璃子賞を設けるとか。
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- ベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni)(イタリア) 2018年5月31日
《1》悪名高い連続盗用者
ホリー・ケイブ(Holly Cave)はベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni)を「悪名高い連続盗用者」と呼んでいる。あたかも「連続殺人犯」のような言い方だ。
→ 2015年10月19日のホリー・ケイブ(Holly Cave)記者の「Technologist」記事:Can you trust what you read? | Technologist
2008~2015年の8年間に18論文出版していて、内、14論文が盗用だから、確かに立派な「連続盗用者」である。「撤回監視(Retraction Watch)」は14論文が盗用だと報じているが、白楽が推定するに、残り4論文も盗用だろう(検証していません)。
サッコマンニの特徴は、大学や研究機関に所属していない。論文は全部単名で発表していることだ。
また、サッコマンニの経歴はウェブではつかめないので経歴や素性が不明な点も特徴である。
論文が整形外科領域なので、整形外科の専門知識を持っている医師かもしれない。しかし、町の開業医とは思えない。もしそうなら、ウェブで検索すると病院・診療所の宣伝をしているハズだが、ウェブでは開業医としてでてこない。
盗用なので、医師でなくても、整形外科の専門知識を自分で学ぶ程度で盗用論文は作れるだろう。ただ、論文投稿や査読者とのやりとりもあるので、そこそこの専門的知識は必要だ。
で、サッコマンニは何のために連続盗用をしたのだろうか?
大学や研究機関に所属していないので昇進・昇給のためではないだろう。博士号を申請したようすはない。
学術論文をいくつも出版していることで人生上有益なことは、他に何があるだろうか?
動機がつかめない。
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《1》盗用の示し方
盗用された文章と図表を論文の中で色付けして示す盗用の証拠提示はななかな優れている。
《1》自己盗用への世界的判断基準
「2.盗用」の章で「自己盗用」をまともに解説した方がいいと思うので、ここでは、解説しないが、以下の扱い上の差は記載しておこう。
米国・研究公正局は自己盗用を盗用扱いしていない。つまり、不正ではない。(なお、研究公正局はここ数年、盗用そのものの事件を発表していない。ねつ造・改ざんの調査に忙しく、盗用に手が回らないのだろう)。
日本の文部科学省基準も自己盗用を盗用扱いしていない。つまり、不正ではない。
一方、出版社の多くは自己盗用を盗用としている。自己盗用は多重出版になり、著作権侵害になる。出版社としては、出版物が売れなくなり困るので、不正だと判定している。
統一して欲しい。
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- チンシー・チン、陳慶士(Ching-Shih Chen)(米) 2018年5月25日
《1》米国でネカトし帰国
チンシー・チン、陳慶士(Ching-Shih Chen)は、米国でネカトし台湾に帰国した。
米国でネカトを犯したチンを台湾のメディアはたくさん報道している。
グーグルで「陳慶士 論文造假」と検索すると、台湾のニュース記事が数十もヒットする。
→ 陳慶士 論文造假 – Google 検索
最初の5記事を以下に画像として貼り付けた。
一方、米国でネカトを犯し日本に帰国した日本人研究者を日本のマスメディアはほぼ全く報道しない。
例えば2105年に研究公正局がクロと判定した藤田亮介(Ryousuke Fujita)の事件の報道はゼロだった。
→ リョウスケ・フジタ、藤田亮介(Ryousuke Fujita)(米)
チンは米国の大学教授で台湾の生化学研究所・所長だった。一方、藤田亮介は米国のポスドクで日本での職はなかった。そういう地位の違いはあるにしても、ネカトという事実を報道することは地位とは別だろう。日本のマスメディアが報道しないのは、一体、なんなんだろう?
日本の記者は台湾の記者に比べ、ネカトに鈍感ということか? 外国に無知ということか? 単に無能ということか?
なんでなんだろう?
小保方晴子のネカト事件は異常に報道した。ネカト事件に無関心というわけではない。
イヤイヤ、小保方晴子のネカト事件は芸能ニュースだった。一方、藤田亮介のネカト事件は芸能ニュースじゃない。そういうことなのか? つまり、日本の記者はネカト問題を報道する気がないからか?
なんなんでしょう?
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- ジュリア・プリジョン(Julia Pridgeon)(米) 2018年5月22日
《1》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
ジュリア・プリジョン(Julia Pridgeon)がどうしてネカトをする状況になったのか読み取れない。
で、ネカト防止策は、この事件からは学べない。
ただ、測定値のねつ造・改ざんだと、撤回された「2013年のVaccine」論文だけが不正で、他の論文にネカトがないとは信じがたい。
ジュリア・プリジョンは論文を多産している。水圏動物健康研究所の調査報告書をウェブ上に公開していないから何とも言えないが、他の論文を調査していないのではないか。
《2》農務省のネカト事件
農務省・農業研究局(ARS:Agricultural Research Service)傘下の研究所の研究員がデータねつ造・改ざんをした。
農務省・研究員のデータねつ造・改ざん事件は、珍しい。白楽のブログで解説したのは初めてである。ただ、農薬・ネオニコチノイドに絡むコクハラ事件で農業研究局の研究者を記事にしたことがある。
→ 国研:「コクハラ」:農薬・ネオニコチノイド(neonicotinoid):ジョナサン・ラングレン (Jonathan Lundgren) 対 農務省・農業研究局(USDA・ARS(Agricultural Research Service))(米) | 研究倫理(ネカト)
プリジョン事件は農務省でのネカト事件の典型例かどうかわからないが、同じ生命科学系のネカト事件なのに健康福祉省・研究公正局の処理とは以下の点で大きく異なる。
- 農務省は事件の調査に関する情報をウェブに掲載しない。
- 新聞、テレビなどの大衆メディアが事件を報道しない。
米国人がこのブログを読んでいるとは思わないが、ネカト事件は詳細を公開した方が米国のためにも良いと思うよ。ネカト対策を立てるには、実態の分析が第一歩だからだ。
いや待てよ。米国人がこのブログにコメントしたことがあったな。
→ 気象学:ネッド・ニコロフ(Ned Nikolov)(米) | 研究倫理(ネカト)
このブログを読む人が世界中にいるのだろうか?
イヤイヤ、コメントしてきたのは本人だった。自分のことが記事になっていたのでコメントしてきたのだろう。
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《1》ネカト者が出世する
データねつ造や盗用をするから論文がたくさん出版され、改ざんするからデータも美しい。つまり、ネカト者は学術界で出世する。そして、上手に言い訳、強弁し、場合によると相手を威嚇する。従って、研究公正がしっかり守られない社会では図々しいネカト者が偉くなる。
1984-2014年の31年間の50論文以上で盗用していたビールバフー・ラマクリシュナン(Veerabahu Ramakrishnan)はその典型のようだ。
インドのネカト事件を数十件調べてきたが、学長にネカト者が多い。
学長がネカト者の大学で、研究公正は保たれるのだろうか?
《2》学長のネカト
インド・日本を含め多くの国では、通常、大学に所属する研究者のネカトは大学が調査し、学長がシロクロと処分を決める。
このシステムは根本的な欠点がいくつも指摘されている。その1つは、このシステムでは学長のネカトを公正に調査し健全にシロクロ判定することができないことだ。日本でも東北大学・学長の例はかなりヒドイ状況になっている。最近(2018年)では、台湾大学・学長の管中閔(Kuan Chung-ming)も盗用でゴタゴタしていますね。
ビールバフー・ラマクリシュナンも学長なので、インド科学教育研究大学・ティルヴァナンタプラム校(国立大学)は調査委員会も設けていない。
ただ、証拠が示されていて、ラマクリシュナンの盗用は誰の目から見ても明白である。学長の不正は大学自治を越えるので、国立大学に強い権限を持つインド人的資源開発省(MHRD: Ministry of Human Resource Development)(日本の文部科学省と同等)が乗り出して、ラマクリシュナン学長を懲戒処分すべきでしょう。
そもそも論で言えば、ネカトは大学ではなく、警察が調査し、クロなら刑事事件とすべきでしょう。
日本での提案:「警察庁にネカト取締部を設置し、学術ポリスとして、日本全体のネカトを捜査せよ」
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- ヨン・スドベ (Jon Sudbø) (ノルウェー)改訂 2018年5月16日
《1》初期の不正発見が必須
スドべの不正論文は2001年(39歳)の博士論文が最初である。それから、5年後の2006年(44歳)1月まで発覚しなかった。どうして、もっと早く見つけられなかったのだろう。2001年(39歳)の博士論文で発覚していれば、それ以降の約5年間の不正研究は絶たれたハズだ。2001年(39歳)でなくても、5年間のどこでも指摘されれば、その時点で、不正研究が終了しただろう。
「研究上の不正行為」の防止には、がん治療と同じで、早期発見がとても重要である。本人にとっても研究界・一般社会にとっても傷が浅い。しかし、一般的に「研究上の不正行為」を早期発見しようとする概念・知識・スキルがとても希薄な気がする。なんとかすべきでしょう。
《2》締め出し期間の基準は?
米国・研究公正局は、スドベの締め出し期間を生涯にわたるとした。2018年5月15日現在、その処分はわずか3人にしか科されてない。
→ 「研究公正局の締め出し年数」ランキング | 研究倫理(ネカト)
締め出し期間は通常3年である。しかし、1年や2年の場合もあれば、4年、5年、7年、10年、生涯、もある。
この締め出し期間の長さの判定基準が白楽にはイマイチわからない。
研究公正局は次のように説明している。概念としてはわかるが、具体性がない。
締め出し期間の長さは、不正行為の重大性、不正行為の影響(インパクト)、不正行為の行動パターン(魔が差した~根っから意図的)で決まる。 (Administrative Actions | ORI – The Office of Research Integrity)
スドべ事件では、「彼はすべてを偽造していた。患者の名前、診断、性別、体重、年齢、使用薬物のどれをとっても、本物のデータは1つもありません。すべて彼が作りあげたフィクションです。論文中のすべての患者は偽物です」と証言されている。
根っからの意図的ネカト者ということで、生涯が科されたのだろう。
では、日本の学術振興会の締め出し期間の長さの判定基準はどうだろう。
「研究活動の不正行為及び研究資金の不正使用等への対応に関する規程」(平成18年12月6日規程第19号)(PDF)では以下のように少しマシだが、同じように具体性に欠ける。なお、話がズレるが、「特定不正行為に関与していないものの、・・・」とネカトに関与しなかった人も処分対象になっていて、とても驚きである。
《3》専門性の高さと人格・一般知識・倫理観は別
世界的な研究成果をあげていたノルウェーの国民的英雄のスドべの研究にケチをつけることは困難だったのだろうか?
カミラ・シュトルテンベルクが不正を告発したのだが、カミラはその時の首相の実姉である。ノルウェーでは、立場の強い人しか、告発できない社会状況があるのだろうか? 疑問形で書いたけど、そんなことはないハズ、・・・、イヤ、考えてみれば、「ある」?。どこの社会でも立場の強い人しか強いことを言えない面はある。
日本では、首相や閣僚などの政治家はマスコミの攻撃対象だが、一般的に著名な学者・ノーベル賞受賞者は攻撃されない。疑念があっても、大目に見られるが、その前に、最初から好意的に見られ、疑念の目が向けられない。
しかし、専門性の高さと人格・一般知識・倫理観は無関係である。ノーベル賞受賞者はその専門分野のエキスパートであるが、しかし、人格・一般知識・倫理観が優れているとは限らない。というか、人格・一般知識・倫理観とは無関係である。倫理観が高い人もいれば低い人もいる。だから、不正研究をしていても不思議はないだろうか? いや、重要な論文はすぐ追試されるので、データ「ねつ造・改ざん」はないだろう。
しかし、盗用はあるかもしれない。
あります。ノーベル賞受賞者ではないが、例えば、社会福祉学者の京極高宣(きょうごく たかのぶ、1942年 – )は、日本社会事業大学、学長国立社会保障・人口問題研究所所長を経て、社会福祉法人浴風会理事長だが、盗用が指摘されている。
また、児童性的虐待や金銭不正もあるかもしれない。
あります。例えば、前者にはカールトン・ガジュセック(米国、1976年度のノーベル生理学・医学賞)が、後者には野依良治(2001年度のノーベル化学賞)がいる。
この人たちを、非難するつもりで例示したのではない。世間では専門分野で優れている人を人格・一般知識・倫理観にも優れていると勘違いする状況がある。その勘違い・誤解文化をヤメてもらいたいのだ。
研究者の事件を調べると、そういう誤解文化が、事件を増幅させていると感じるのである。
《4》事件者も人生がある
人間は死ぬか生きるかの2者択一で、生きている人は、当然ながら、生きるを選択して生きている。事件を起こした研究者も生きている。日本のマスメディアやウェブサイトでは不正行為をした研究者を激しく攻撃する人が多いが、白楽は、生きているのであれば(そう願う)、なるべく前向きに幸福に人生を生きてほしいと思う。
そしてできれば、もっている特殊な技量と経験を社会に役立てて生きてほしい。
研究者は特殊な能力を持っているが、国(つまり国民)はその特殊な能力を持たせるのに、1人につき少なくとも数千万円(5000万円?)の税金を投資している。著名な研究者ならその後の研究への投資額は数億~数十億円だろう。
スドべは、現在、ノルウェーのセルヨール(Seljord)の街の歯科助手として生きている。腕は優秀らしく、街の人々は彼を歓迎しているが、かつての不正研究で、彼を受け入れない人もいるだろう。大きなお世話だろうが、前向きに幸福に生きてほしい。再度同じような不正研究がされないようにチェックされつつも、人の役に立って生きてほしい。
研究者が事件を起こしたとき、事件者に責任を取らせること、再発を防止することは重要である。だが、事件者と被害者の不幸を拡大しないで事件を処理するという配慮・知識・スキルも必要だろう。どうしたらよいのだろうか?
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- 物理学:サラー・エラヒ(A. Salar Elahi)(イラン) 2018年5月13日
《1》イスラムの戒律
白楽の印象では、イスラム教の国の戒律は欧米や日本の戒律より一般的に厳しい印象がある。
例えば、イスラム教の国であるイランでは飲酒が禁じられていて、見つかればむち打ち刑だと聞いている。
しかし、今回のエラヒ事件もそうだが、イスラム教の国の研究者もネカトをする。
欧米や日本に比べネカト者が多いのか少ないのかを調べていないが、意外に思ったのは、発覚しても処分が甘いということだ。つまり、ネカトを厳しく取り締まっていない。
日常生活での戒律の厳しさと、研究公正での戒律の厳しさは別なのだろう。
それとも、イスラムの戒律は実は日本よりも緩いのだろうか? あるいは、イランでは大学教員はかなりの特権階級なので、戒律を越えているのだろうか?
《2》編集者の失態
エラヒ事件での「撤回監視(Retraction Watch)」記事のコメントを読むと、多くの人が、査読偽装を見破れなかったのは学術誌・編集者の無能が原因で、学術誌・編集者の失態だと非難している。
論点は「Gmailアドレスの査読者を信用するなんて、おかしい」という指摘だ。
白楽は、この指摘に強く同意する。
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- アントニオ・バレンシア(Antonio Valencia)(米) 2018年5月10日
《1》調査の分岐点
アントニオ・バレンシア(Antonio Valencia)は、大学の研究者だった。そして、ネカトが理由で2017年11月に論文が撤回された。しかし、大学は正式なネカト調査をしていない。それで、研究公正局も調査していない。学術界から排除されたが、企業の研究職を転々とし、研究界から排除されていない。
大学が調査に入る・入らないの分岐点は何なのだろう?
NIHから研究費を受給しているか・いないかだろうか?
イエイエ、バレンシアの撤回論文「2013年のHum Mol Genet.」は、「This research was supported by NIH Grant GM 30955 (IEK)」とあって、NIHから研究費を受給していた。
2017年11月に論文撤回なので、まだ半年しか経過していない。実は、2018年5月9日現在は調査中で、いずれ研究公正局がクロと発表するということなのか?
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- クリシュナ・マースィー(H.M.Krishna Murthy)(米) 2018年5月7日
《1》異例:研究公正局・所長の声明付き事件発表
クリシュナ・マースィー(H.M.Krishna Murthy)の事件は、2007年1月にアラバマ大学バーミンガム校が調査を始め、2009年11月にクロと発表した。この間、約3年もかかっている。遅い!
その上、研究公正局がクロと発表したのは、2018年4月10日(64歳?)である。アラバマ大学バーミンガム校の調査から11年もかかっている。異常に遅い!!
マースィーが行政不服審査(Departmental Appeals Board)に上告したことで、研究公正局はその結果を待って、調査を進めたのだろうが、それに要する年月は1年程度だろう。どんな言い訳をするのか知らないが、全体に遅過ぎである。
ネカトの調査から結論まで11年間もかかったのでは、被疑者がシロなら、取り返しがつかない不当なダメージを与えることになる。また、この間に関係者の人生上・キャリア上の変化もあるだろう。効率的な調査を進めるのにいろいろな支障が出るに違いない。
マースィー事件の研究公正局の発表では、そのためかどうか知らないが、研究公正局・所長の声明(内容は、言い訳、資金不足の訴え)が貼付されていた。こんな声明は前代未聞である。
→ The Murthy Case: Recognizing the Dedication of ORI Staff | ORI – The Office of Research Integrity
白楽は研究公正局がグズ(クズではありません)だと思う。もちろん、局員が怠けているとは思わない。扱う調査量に比べ組織が追い付かないのである。原因は、人員が足りないか、やり方がおかしいか、とにかく、システムを改革しなければならない。ところが、このシステムはパスカル所長時代から30年近く変わっていない。
事件が多すぎるのに人員が足りなければ、日本なら過労死で数人亡くなっていても不思議ではないのだろう(推定です)。
《2》詳細は不明
この事件の詳細は不明です。
クリシュナ・マースィー(H.M.Krishna Murthy)の顔写真は見つからない。インド出身だと思うが、経歴もほとんどわからない。
どうしてネカトをする状況になったのか不明である。
ネカト防止策は、この事件からは学べない。
なお、マースィー事件はタンパク結晶学で最大のネカト事件とされているが、健康被害者がいるわけではない。研究公正局は、締め出し期間を10年間とした。
マースィーのねつ造・改ざんは計449論文の結論に影響したと言われている。また、蛋白質構造データバンクに登録されたデータを削除した最初の例である。10年間を科した理由は、449論文の結論に影響した影響の大きさだと白楽は推察したが、違うかもしれない。
それにしても、タンパク質の結晶解析で、データねつ造・改ざんをしても、結晶構造なので、他の研究者が解析すれば、データが間違っていること、あるいは、ねつ造・改ざんはは確実に判明する。
結晶構造研究者なら、自明である。
その状況下で、なんで、ネカトをしたのだろう?
《3》ネカトの因縁?
マースィーはコロンビア大学(Columbia University)のウェイン・ヘンドリクソン(Wayne Hendrickson、2015年の写真出典)研究室で上級研究員として過ごした。
その、ウェイン・ヘンドリクソンは1983年、アメリカ海軍研究所のジェローム・カールのポスドクだった時、ハスコ・パラディースのエックッス線解析像は、他のタンパク質の解析像を流用していると見破った人である。
→ ハスコ・パラディース(Hasko Paradies)(ドイツ)
ネカトの因縁? 関係ない?
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- 化学:ラシュミ・マドフリ(Rashmi Madhuri)(インド) 2018年5月4日
《1》ネカトのプロ
マドフリの論文でのデータねつ造は見事である。こんな多量の細工をするより、普通にデータを出した方が楽ではないかと思うほどである。
この手のネカト者は根っからのネカト者である。「イケマセン」と言ったところで止めるとは思えない。防止する方策は、学術界からマドフリを排除することだ。
標語:「ネカト者は学術界から追放!」
法則:「ネカトでは早期発見・適切処分が重要である」。
インド工科大学鉱物科大学院はなぜ調査に乗り出さないのか不明だ? かなり評判を落としていると思う。
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- メラニー・ココニス(Melanie Cokonis)(米)改訂 2018年5月1日
《1》テクニシャンの役割と上司の役割
研究所であれ、大学であれ、研究室の上司がテクニシャンに作業を指示する。この場合、どんな理由であれ、テクニシャンが、測定値をねつ造・改ざんしたら、上司も責任重大ではないのだろうか?
とくに、ココニスのようにまだ20歳代の実験経験が浅いテクニシャンだったら、上司はデータをハイハイと受け取って、そのまま外部の報告書に記載する方がおかしい気もする(そうしたかどうかは不明)。
上司はデータの正確さを確認すべきである。その過程で、上司はねつ造・改ざんに気がつくべきでしょう。
白楽の場合、研究室の学生・院生がおかしなデータを持ってきたら、そのまま、学会発表や論文発表をさせたことはない。
少しでも疑念があれば、生データをもってこさせ、逐一操作過程を確認し、白楽が納得するまで実験のすべての詳細を検討した。その時、学生・院生がヘンに嫌がれば、追求は中断したが、そのデータで学会発表や論文発表をしたことはない。
メラニー・ココニスのデータ改ざんは、論文ではないから、外部の人がデータ改ざんを見つけたわけではない。コントラクトとグラントの報告書でのデータ改ざんだから、気がついたのは、サザン研究所の同僚か上司しかいない。ここでは、上司としよう。
研究所内部の社員教育の不備、上司の部下の指導・指示の失敗だと思うが、そうなら、研究所は上司に注意し、テクニシャンをクビにして終わりにするのが普通だと思う。それを、ワザワザ、外部の研究公正局にデータ改ざんだと告発するのは、白楽には異常な気がする。多分、データ改ざんに気が付いたのは、報告書を出した後だったのだろう。そして、単純な訂正では済まない段階だったのだろう。
《2》ボスが無責任すぎる
テクニシャンの研究ネカト事件は、大事件にならないので、米国ではあまり注目されない。しかし、実際は、「米国の生物医学で研究ネカトをする職階は、テクニシャンが最も多い」のだから、米国はなんとかすべきでしょう。
それにしても、テクニシャンの問題というより、研究機関とボスの問題という気がする。
とはいえ、日本は、ここから、何を学べるか?
日本も米国と同じと考えて、テクニシャン(及びテクニシャン予備軍である学部生)にも研究規範を教育することだ。
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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。