「レイプ」:考古学:ルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime Castillo)(ペルー)

2021年12月3日掲載 

ワンポイント:カスティーヨはペルーのポンティフィカル・カトリック大学(Pontifical Catholic University of Peru)・教授で、ペルー考古学研究の重鎮である。2019年7月8日-2019年9月30日(56歳)、ペルー政府・文化大臣を務めた。2020年6月29日、性不正ハンターのマイケル・バルター(Michael Balter)がカスティーヨの性不正行為をブログに公表した。2000-2020年(37-57歳)の20年間、複数の学生(院生?)と性的関係を持ち、深刻な性差別、セクハラ発言をし、複数の学生(院生?)にアカハラし、自分に背くと報復した。ポンティフィカル・カトリック大学は調査しクロと判定したが、規則制定以前の行為なので無処分とした。2021年10月9日(58歳)、米国科学アカデミー(NAS)はカスティーヨの会員資格を剥奪した。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。
ーーーーーーー
目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
ーーーーーーー

●1.【概略】

ルイス・ハイメ・カスティーヨ(ルイス・ハイメ・カスティーリョ、Luis Jaime Castillo、Luis Castillo Butters、Luis Jaime Castillo Butters、写真出典)は、ペルーのポンティフィカル・カトリック大学(Pontifical Catholic University of Peru)・教授。専門は考古学(モチェ(Moche)文化学)で、この分野では著名な学者である。

2019年7月8日-2019年9月30日(56歳)、ペルー政府・文化大臣を務めた。

2020年6月29日(56歳)、ジャーナリストで性不正ハンターのマイケル・バルター(Michael Balter)がカスティーヨの性不正行為をブログに公表したことで、長年の性不正が発覚した。

カスティーヨは、 2000-2020年(37-57歳)の20年間、複数の学生(女性、院生?)と性的関係を持ち、深刻な性差別、セクハラ発言をし、複数の学生(院生?)にアカハラをし、自分に背くと報復した。

ポンティフィカル・カトリック大学は調査し、カスティーヨをクロと判定したが、性不正規則を制定以前の行為なので無処分とした。

2021年10月9日(58歳)、米国科学アカデミー(NAS)は2年前に付与したカスティーヨの会員資格を剥奪した。

2021年12月3日(58歳)現在、ポンティフィカル・カトリック大学・教授職を維持している。 → LUIS JAIME CASTILLO BUTTERS

ペルーのポンティフィカル・カトリック大学(Pontifical Catholic University of Peru)。写真出典

  • 国:ペルー
  • 成長国:ペルー
  • 研究博士号(PhD)取得:米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校
  • 男女:男性
  • 生年月日:1963年5月4日
  • 現在の年齢:58歳
  • 分野:考古学
  • セクハラ行為:2000-2020年(37-57歳)の20年間
  • 最初に訴えられた:2020年(57歳)
  • 社会に公表年:2020年(57歳)
  • 社会に公表時地位:ポンティフィカル・カトリック大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は性不正ハンターのマイケル・バルター(Michael Balter)でブログで公表
  • ステップ2(メディア):バルターのブログ、「Science」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ポンティフィカル・カトリック大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり。https://mbalter.files.wordpress.com/2021/03/castillo-commission-report-stripped.pdf
  • 大学・処分のウェブ上での公表:あり
    https://mbalter.files.wordpress.com/2021/03/castillo-commission-report-stripped.pdf
  • 大学の透明性:大学は実名発表し調査報告書(調査委員名なし)がウェブ閲覧可(〇)
  • 不正:レイプ、セクハラ、アカハラ
  • 被害者数:6人以上の女性学生(院生?)
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:大学からの処分なし。米国科学アカデミー(NAS)の会員の剥奪
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:1963年5月4日、ペルーに生まれた
  • 19xx年(xx歳):ペルーのポンティフィカル・カトリック大学(Pontifical Catholic University of Peru)で学士号取得:考古学
  • 1986-2008年(23-45歳):ペルーのラファエル・ラルコ・エレラ博物館(Museo Rafael Larco Herrera)・副研究員
  • 1986-2008年(23-45歳):複数の考古学プロジェクト
  • 19xx年(xx歳):米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles)で修士号(MS)を取得:考古学
  • 1991年(28歳):同大学で研究博士号(PhD)を取得:人類学
  • 1991-1994年(28-31歳):米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校・ファウラー博物館(Fowler Museum at UCLA)・研究員
  • 19xx年(xx歳):ペルーのポンティフィカル・カトリック大学(Pontifical Catholic University of Peru)・教授
  • 2000年(37歳):この頃から性不正行為を始めたとされている
  • 2013年8月(50歳):ペルー文化省・文化遺産文化産業副大臣
  • 2019年4月30日(55歳):米国科学アカデミー(NAS)の会員に選出された
  • 2019年7月8日-2019年9月30日(56歳):ペルー政府・文化大臣
  • 2020年6月29日(57歳):性不正と告発された
  • 2021年10月9日(58歳):米国科学アカデミー(NAS)はカスティーヨの性不正行為のため会員資格を剥奪した
  • 2021年12月3日(58歳)現在:ペルーのポンティフィカル・カトリック大学(Pontifical Catholic University of Peru)・教授職を維持:LUIS JAIME CASTILLO BUTTERS

●3.【動画】

ルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime Castillo Butters)が解説する考古学の動画はかなりたくさんある(10個以上)。

【動画1】
性不正事件の動画ではない。考古学の動画:「1/4 Arqueología desde el aire con Luis Jaime Castillo – YouTube」(スペイン語)13分53秒。
Umbrales Tvperúが2013/07/26に公開。全部で4動画あるうちの最初の巻。

●4.【日本語の解説】

性不正事件の日本語の解説ではない。

在ペルー日本国大使館がルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime CASTILLO)と書いているので、本ブログではその読みに従った。ただ、ウィキペディア・スペイン語版では「Luis Castillo Butters」とある。

★2019年9月12日:在ペルー日本国大使館:7月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり

出典 → ココ、(保存版) 

1 内政
(1) 国防大臣及び文化大臣の交代
イ 新文化大臣:ルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime CASTILLO)
考古学者(博士(カリフォルニア大学ロサンゼルス校))。カトリカ大学人文学部教授。元文化省文化遺産・文化産業担当副大臣(ウマラ政権)。ハーバード大,スタンフォード大,メキシコ国立自治大等で客員教授を務めた。

★2014年07月06日:AFP/Roberto CORTIJO(日本語訳者不記載):1200年前の「みこ」の墓発見、当時の統治者か ペルー

出典 → ココ、(保存版) 

【8月23日 AFP】南米ペルーで、スペイン征服以前の時代のみこ(女性祭司)の墓が新たに発見された。考古学者らによると、過去20年以上で8回目となる今回の発見は、権力を持った女性たちが1200年前にこの地を支配していたことを裏付けるものだという。

 モチカ(Mochica)とも呼ばれるモチェ(Moche)文化時代のこの女性の遺骨は7月下旬、ペルー北部のラリベルタ(La Libertad)と呼ばれる地域で発見された。

 この地域では、今回の発見を含めて、科学者を驚かせるような発見がいくつかなされている。2006年には、約1700年前に亡くなった、ペルーの最初の女性統治者の1人とみられている有名な「カオの女性(Lady of Cao)」を研究者らが偶然発見した。

 プロジェクトを率いるルイス・ハイメ・カスティーリョ(Luis Jaime Castillo)氏は「女性たちは、この地域で儀式を行っていただけでなく、この地を支配し、モチカ社会の女帝として君臨していたことがこの発見で明らかになった」とAFPに語る。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime Castillo Butters)の人生

ルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime Castillo Butters、写真出典)はペルーで生まれ育ったが、米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校で研究博士号を取得し、ペルーの考古学に関する最強の人物になった。

長年、米国とペルーの考古学者をつなぐ重要な存在になり、ペルー考古学の米国人の窓口になった。逆に、米国で勉強することに興味がある若いペルー人考古学者を米国に送り出した。

考古学調査では、カスティーヨはサンホセデモロ(San Jose de Moro)で長期にわたる発掘とフィールドスクールを指揮した。以下の出土品はカスティーヨの貢献が大きい。

http://sanjosedemoro.pucp.edu.pe/01castillo.html

また、カスティーヨは、2013 - 2015年(50 - 52歳)にペルーの文化副大臣を務め、2019年7月8日-2019年9月30日(56歳)に文化大臣を務めました。

2019年4月30日(55歳)、カスティーヨは、米国科学アカデミー(NAS)の会員に選出された。 → 2019 NAS Election

カスティーヨは結婚・離婚を数度行なっている。子供の情報は見つからなかった。結婚している時、学生と性的関係をもった。

★カスティーヨの性不正事件概略

Michael Balter

2020年6月29日(57歳)、性不正ハンターのマイケル・バルター(Michael Balter、写真出典)がルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime Castillo Butters)の性不正行為を、自分のブログで公開した。
 → Andean Archaeology Has a #MeToo Problem [Updated July 4]

被害者を特定されないように、匿名でかつ、年月と具体的な性不正行為をぼかしたが、少なくとも5人の元学生(院生?)の被害例を示した。

マイケル・バルターの指摘を受け、ペルーのポンティフィカル・カトリック大学(PUCP、Pontifical Catholic University of Peru)はカスティーヨの性不正の調査をした。

そして、複数の元学生(院生?)が、カスティーヨの性不正、権力の乱用を非難した。

2020年11月23日(57歳)、ペルーのポンティフィカル・カトリック大学(PUCP、Pontifical Catholic University of Peru)は、カスティーヨは長年にわたって直接指導していた複数の学生(院生?)と性的関係を持ち、深刻な性差別、セクハラ発言をし、複数の学生(院生?)にアカハラ、自分の背くと報復などをしていたと結論付けた。

例えば、遺跡フィールドで発掘作業中にカスティーヨは女性院生に肌の露出が多い小さな服を着るよう要求した。また、彼女たちの身体について卑猥な発言をしていた。

ただ、ポンティフィカル・カトリック大学(PUCP)は、大学の性不正規制の制定が2016年だったという理由で、それ以前の性不正行為に対して懲戒処分はできないと結論した。

以下はポンティフィカル・カトリック大学(PUCP)の2020年11月23日付け調査報告書の冒頭部分(出典:同)。全文(13ページ)は → https://mbalter.files.wordpress.com/2021/03/castillo-commission-report-stripped.pdf

なお、カスティーヨは学生(院生?)への性不正行為を否定している。「私はこれらすべての主張について完全にそして絶対に無実です」と、サイエンスインサイダー記者に語っている。

★文化大臣の失職

カスティーヨは、2013年(50歳)から2015年(52歳)までペルーの文化副大臣を務め、2019年7月8日-2019年9月30日(56歳)に文化大臣を務めた。

文化大臣の在職期間が2か月22日と短い理由がよくわからない。

ジャーナリストのマイケル・バルター(Michael Balter)がブログでカスティーヨの性不正を最初に公表したのが2020年6月29日だった。文化大臣を辞職してから9か月後である。

性不正行為をブログで公表する前に、マイケル・バルターはペルー政府に通報していたのだろうか?

★米国科学アカデミー会員の資格剥奪

2019年4月30日(55歳)、カスティーヨは米国科学アカデミーの会員に選出された。

2019年に研究博士号(PhD)を取得したパデュー大学(Purdue University)のマルセラ・ポイエー(Marcela Poirier、写真出典)は、カスティーヨが頻繁に訪れる遺跡発掘フィールドで1年間研究していた。それで、カスティーヨの性不正行為を目の当たりにした。

2021年春(57歳)、ポイエー博士は、ポンティフィカル・カトリック大学(PUCP)の調査報告書を含むカスティーヨの性不正問題を米国科学アカデミーに提出し、カスティーヨを米国科学アカデミーから追放するよう要請した。

2021年10月13日(58歳)、米国科学アカデミーは、これを受けて調査し、カスティーヨの会員資格を2021年10月9日付けで剥奪した。

http://www.nasonline.org/member-directory/members/20047363.html

米国科学アカデミーのマルシア・マクナット会長(Marcia McNutt、写真出典)は、会員資格の剥奪に伴い、「米国科学アカデミーの会員は、重要な研究成果を挙げただけでなく、専門家として最高の行動規範を示すロールモデルでなくてはならない、というメッセージを発する必要がある」、と述べた。

性不正による米国科学アカデミー会員の資格剥奪は、2021年5~6月に以下の2人から始まったが、カスティーヨは3人目である。外国人会員としては最初である。
 → 「セクハラ」:天文学:ジェフリー・マーシー(Geoffrey W. Marcy)(米)
 → 「セクハラ」:フランシスコ・アヤラ(Francisco Ayala)(米)

なお、カスティーヨは、「米国科学アカデミーの会員剥奪は公平性に欠けています。剥奪は正義に基づくものではありません」と、剥奪に抗議している。

【性不正の具体例】

性不正の具体例は、以下の記事が主な出典である。

 → ② 2020年6月29日のマイケル・バルター(Michael Balter)記者のブログ記事:Andean Archaeology Has a #MeToo Problem [Updated July 4]

カスティーヨの特徴的なセクハラ発言の1つは、女性学生に酒を飲み過ぎにさせ、女性の身体についてコメントすることだった。

ただ、アンデスの遺跡発掘のフィールド調査では、参加者の性的風紀は乱れていて、多くの参加者どうしが性的関係をもち、誰彼と無くセックスする乱交状態の毒ラボだったらしい

なお、ペルー考古学者の間では、感覚がマヒし、これらの行為が正常と受け止められていた。そして、むしろ、これらの行為が期待され、奨励されてもいた。

★最初の学生をレイプ(当時xx歳):2003年:カスティーヨ(40歳)

2003年(40歳)、カスティーヨが最初に学生と性的関係を持った(つまり、レイプした)年月を特定できないが、遅くとも、2003年には学生と性的関係を持っていた。

カスティーヨが最初の妻と結婚している間、少なくとも2人の学生と性的関係を持った(つまり、レイプした)。 1人はペルー のトルヒーリョ大学(University of Trujillo)の学生で、もう1人はペルーで博士論文を書いていたフランスの院生だった。

★学生A(女性院生、当時xx歳):xxxx年:カスティーヨ(xx歳)

学生Aは米国の大学の女性院生で、初期のアンデス文化の文化的遺物の研究に興味を持っていた。ペルーのサンホセデモロでモチェ文化 の研究をしたいと所属大学の教授に相談すると、カスティーヨに協力するよう助言された。

それで、カスティーヨの下でモチェ文化の研究をしたが、「私は多くの不適切な行動と、あらゆるレベルの有毒な男らしさの文化を目撃しました」、と彼女は述べている。

「誰もが他のみんなと一緒に性的関係を持ち、過度の飲酒は当たり前でした。そして、指導教授はそれを知っていました」

特に彼女を特に悩ませたのは次のことだった。

カスティーヨは、彼女を含む遺跡を発掘する女性に、発掘中は肌の多く露出する小さな服を着るよう指示した。

また、考古学者の指示のもとに発掘作業をするペルー人労働者に対してカスティーヨが蔑称的な扱をしていた。

学生Aは、結局、サンホセデモロの他の教授やティーチングアシスタントと対立してしまった。

その結果、カスティーヨは彼女に報復し、彼女が発掘サイトで研究することを禁止した。そして、複数のアンデス考古学者に、彼女は「トラブルメーカー」で、この分野では協力的ではないと語った。

結局、学生Aは、この種の問題は考古学に特有のものだと思い、考古学者になることを諦めて別の進路を選択した。

彼女が米国の大学院で相談した時の教授は彼女から報告を受けていて、考古学にとどまるために「彼女は長い間戦った」と述べている。ただ、その戦いは、結局は、無駄になった。

「カスティーヨの下での2シーズン目の研究が終わった後、彼女はもう十分だと判断したのです。彼女は考古学の発掘にとても興奮していましたので、考古学の進路を断念することに、彼女は本当に動揺し、泣き止むことができなかったようです」

★学生B(女性、当時xx歳):xxxx年:カスティーヨ(xx歳)

学生B(女性)はサンノゼデモロで数年間研究した。学生Aと一緒だった時期もあった。

彼女は、カスティーヨの絶え間ない性差別、同性愛嫌悪の嘲笑、ペルー人労働者への過酷な扱いなど、学生Aが上記したすべてのエピソードを目撃した。

学生Bは、カスティーヨの性不正の深刻な被害者ではなかったが、彼女の身体と体重についての発言と、肌の露出の多い服を着るよう指示された。

カスティーヨは彼女(学生B)に対して、いくつかの問題を引き起こし、彼女の研究進行を妨害し、彼女の博士号取得を困難にした。この点を具体的に書くと、彼女(学生B)が特定されるので、具体的内容は記載されていない。

★学生C(女性、当時xx歳):xxxx年:カスティーヨ(xx歳)

学生C(女性)はサンホセデモロで1年だけ研究したペルー考古学の元学生である。

サンホセデモロでの1年間、カスティーヨは彼女に性的関係を持つようしつこく言い寄った。性的関係を持ってくれるなら、彼女が発掘現場でより多くの責任を与えられるようにすると、公然と約束した。

学生Cは、他の学生や先輩に何が起こっているのかを話すのが苦手だったため、非常に大変だったが、結局、カスティーヨを拒絶し続けた。

★他

学生D(女性、当時xx歳)、学生E、学生Fなどのケースが記載されている。省略。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

省略

●7.【白楽の感想】

《1》ボスの君臨

ルイス・ハイメ・カスティーヨ(Luis Jaime Castillo)事件で、カスティーヨはペルー考古学のボスで、ペルー考古学界で絶大な力をもっていた。

それで、ペルー考古学を学びたい他国・自国の院生・ポスドク、さらには、米国人の研究者も、彼の指示に従わざるを得なかった。

後に、2013年(50歳)から2015年(52歳)までペルーの文化副大臣を務め、2019年7月から9月(56歳)まで文化大臣を務めまたように、強大な政治力も持っていた。

学術界と政界で強大な力をもったカスティーヨはペルー考古学の参加者に対する性不正は、長い間、一線を越えていた。

性的関係を拒否した女性院生はイジメられ、ペルー考古学の研究をやめていった。彼女らは学業習得を大きく阻害され、人生を曲げられてしまった。

《2》隠れた被害者

以下は、「「セクハラ」:インダー・ヴェルマ(Inder Verma)(米)」の修正再掲である。

ヴェルマは、ソーク研究所の8人の女性に、1976-2016年(28-68歳)の41年間にわたって性不正をしたと告発された。

この裏に、サイエンス誌にも新聞にも書いてない、イヤ、書けない(多分)忌まわしい事実があると思われる。つまり、ヴェルマの性的欲求に屈した被害女性がかなりいると思えることだ。

性不正行為をうまく拒絶できた女性は今回告発できただろうが、拒絶できなかった女性は表に立ちたくないだろう。そういう女性が何十人もいるに違いない。

ヴェルマが41年間にわたって性不正をし続けたということは、その間、失敗よりも成功する回数が多かったからに違いない。ある程度成功したからヴェルマは性不正をし続けたのだろう。ことごとく失敗すれば、途中でやめたに違いない。

ということは、メディアが公表している事態よりも現実は深刻だと思われる。

カスティーヨ事件でも、カスティーヨにレイプされたけど、公表したくないという被害者は、かなりいると思われる。

現在のペルー女性考古学者の大半は被害者なのではないだろうか?

《3》類は友を呼ぶ 

ハーバード大学のゲイリー・アートン教授(Gary Urton)もペルーの考古学者だが、カスティーヨの長年の研究者仲間だった。

そして、アートン教授も同じように性不正者とされている。 → 「レイプ」:人類学:ゲイリー・アートン(Gary Urton)(米) | 白楽の研究者倫理

以下はゲイリー・アートン教授(Gary Urton)(左)とカスティーヨ(右)のツーショット写真。

http://asieslapucp.cc/gary-urton-y-luis-jaime-castillo-butters/

考古学では、他にも複数の性不正者が告発されている。性不正発生が特に多い頻発分野という印象だ。
 → 7-2.フィールド研究界に蔓延するセクハラと性的暴力:キャスリン・クランシ―(Kathryn Clancy)他、2014年6月16日 | 白楽の研究者倫理

ーーーーーーー
日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
ーーーーーー
ブログランキング参加しています。
1日1回、押してネ。↓

ーーーーーー

●8.【主要情報源】

① ウィキペディア・スペイン語版:Luis Castillo Butters – Wikipedia, la enciclopedia libre
② 2020年6月29日のマイケル・バルター(Michael Balter)記者のブログ記事:Andean Archaeology Has a #MeToo Problem [Updated July 4]
③ 2020年8月25日のマイケル・バルター(Michael Balter)記者のブログ記事:Did Peruvian archaeologist and former culture minister Luis Jaime Castillo Butters try to shake down Yale University for an honorary PhD?
④ 2021年10月15日のメレディス・ワッドマン(Meredith Wadman)記者の「Science」記事:Leading Peruvian archaeologist ousted by U.S. National Academy of Sciences | Science | AAAS
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●コメント

注意:お名前は記載されたまま表示されます。誹謗中傷的なコメントは削除します

Subscribe
更新通知を受け取る »
guest
0 コメント
Inline Feedbacks
View all comments