ドン・シャオ(Dong Xiao)(米)

ワンポイント:ねつ造・改ざんだが事件の背景は不明

【概略】
dong-xiaoドン・シャオ(Dong Xiao、写真出典)は、米国・ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)・泌尿器学科・助教授で、専門は細胞生物学(がん細胞の細胞情報伝達)だった。医師ではない。

2015年1月22日(45歳?)、ピッツバーグ大学の内部調査をもとに、研究公正局がねつ造・改ざんと裁定し、発表した。

University_of_Pittsburgh_tablet2ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:
  • 研究博士号(PhD)取得:
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に、1970年1月1日とする
  • 現在の年齢:54歳?
  • 分野:細胞生物学
  • 最初の不正論文発表:2014年(44歳?)
  • 発覚年:2015年(45歳?)
  • 発覚時地位:ピッツバーグ大学・助教授
  • 発覚:
  • 調査:①ピッツバーグ大学・調査委員会。②研究公正局。~2015年1月22日
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:1報
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 結末:解雇

【経歴と経過】

不明点多い

  • 生年月日:不明。仮に、1970年1月1日とする
  • xxxx年(xx歳):中国の大学を卒業(推定)
  • xxxx年(xx歳):研究博士号(PhD)取得
  • 3098-Speaker-Photo-Txxxx年(xx歳):米国・ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)・泌尿器学科・助教授
  • 2002年(33歳?):米国・ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)所属で論文を発表している
  • 2014年6月(44歳?):研究ネカト論文を発表
  • 2015年1月22日(45歳?):研究公正局の研究ネカト報告が公表された
  • 2015年(45歳?):米国・ピッツバーグ大学を解雇

【不正の内容】

不正発覚の経緯は不明であるが、下記論文でいくつもの研究ネカトをした。

  • Gao, Y., Zeng, Y., Tian, J., Kslam, M.S., Jiang, G., & Xiao, D., “Gugglesterone inhibits prostate cancer growth via inactivation of Akt regulated by ATP citrate signaling.” Oncotarget, June 26, 2014 [Epub ahead of print], PMID: 24980815

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  • 改ざん
    図1A・1Bは腫瘍の大きさと重さを示している。論文では、1グループあたり10匹のマウスを使用したと記述しているが、実際は4匹のマウスしか使用していなかった。
  • 改ざん
    図1Dのウェスタンブロット像を改変し、腫瘍マウスをZ-Gugで処理するとC-capase 3活性が増加し、Aktリン酸化活性が阻害されると記述しているが、実際はどちらの活性にも顕著な影響を与えなかった。
  • 改ざん
    詳細は省くが、図4C、4D、5C、5D、S2B、S3Bも改ざんされていた。
  • 改ざん
    以下の図6Gと6Hのウェスタンブロット像のバンドは改ざんされたものだった。ドン・シャオも改ざんを認めている。図6Aから6Fのデータは図6Gと6Hと対応している。図6Gと6Hのデータが改ざんされているということは、図6Aから6Fのデータも改ざんされているのだろう。無題

【論文数と撤回論文】

2015年6月17日、パブメドhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedで、ドン・シャオ(Dong Xiao)の論文を「Dong Xiao[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2015年までの14年間の252論文がヒットした。同姓同名の他人の論文が含まれていると思われる。

ピッツバーグ大学に限定するために「(Dong Xiao[Author]) AND “university of pittsburgh”[Affiliation]」で検索すると、39論文がヒットした。

2015年6月19日現在、撤回論文はゼロである。

【白楽の感想】

《1》不明点多し、研究習慣病

情報が少なく、事件の背景は見えない。ドン・シャオ(Dong Xiao)が中国で育ったのか米国で育ったのかも不明である。これでは、事件を参考に研究ネカトの改善点を見つけるのは困難だ。

ただ、2014年論文のデータ改ざんは論文のほとんどの図に及んでいる。この広範な改ざんから推察すると、改ざん作業はシステマティックで徹底している。とても初犯とは思えない。改ざんはドン・シャオの研究習慣病で常習化していたと思われる。

ドン・シャオの他の多くの論文はクロではないのか?

【主要情報源】
① 2015年1月23日の「論文撤回監視(Retraction Watch)」記事:Former Pitt cancer researcher admits to faking findings – Retraction Watch at Retraction Watch
② 2015年1月22日、研究公正局の報告:Case Summary: Xiao, Dong | ORI – The Office of Research Integrity
③ 記事中の写真は、出典を記載していない場合もありますが、白楽に所有権はありません。