数学:M・スリーニバス(M. Sreenivas)(インド)

2020年8月1日掲載 

ワンポイント:カカティヤ大学(Kakatiya University)・アルリ経営科学研究所(Alluri Institute of Management Sciences)の院生だったスリーニバスは、2008年-2009年(26-27歳?)、T・スリニバス教授(T. Srinivas)を無断で共著者にし、3報の盗用論文を出版し、1つの盗用論文原稿を投稿した。2009年(27歳?)に盗用が発覚した。学術誌・編集者の問い合わせに、スリーニバスは盗用の単独犯を認めた。盗用ページ率と盗用文字率は共に約100%(推定)である。国民の損害額(推定)は1億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

M・スリーニバス(M. Sreenivas、ORCID iD:?、顔写真は見つからなかった)は、カカティヤ大学(Kakatiya University)・アルリ経営科学研究所(Alluri Institute of Management Sciences)の院生(男性)だった。専門は数学(コンピューター)である。

2008年-2009年(26-27歳?)、スリーニバスは、T・スリニバス教授(T. Srinivas)を勝手に共著者にし、3報の盗用論文を出版し、1つの盗用論文原稿を投稿した。後者の盗用論文原稿は編集者が出版前に気がついて、出版されなかった。

2009年(27歳?)、学術誌・編集者の問い合わせに、スリーニバスは盗用単独犯を認めた。

盗用ページ率と盗用文字率は共に約100%(推定)である。

カカティヤ大学(Kakatiya University)・アルリ経営科学研究所(Alluri Institute of Management Sciences)。写真出典

  • 国:インド
  • 成長国:インド
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:アルリ経営科学研究所
  • 男女:男性
  • 生年月日:仮に1982年1月1日生まれと推定した
  • 現在の年齢:39 歳
  • 分野:数学
  • 最初の不正論文発表:2008年(26歳?)
  • 不正論文発表:2008年-2009年(26-27歳?)
  • 発覚年:2009年(27歳?)
  • 発覚時地位:アルリ経営科学研究所(Alluri Institute of Management Sciences)・院生
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は学術誌・編集者
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部
  • 学術誌・調査報告書のウェブ上での公表:あり。③ 4OR:Cases of unethical behavior
  • 大学の透明性:大学は調査していない(✖)
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:少なくとも4報。内1報撤回
  • 盗用ページ率:ほぼ100%(推定)
  • 盗用文字率:ほぼ100%(推定)
  • 時期:研究キャリアの初期
  • 職:退学(推定)
  • 処分:複数の学術誌が投稿禁止処分
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は1億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

全く不明

  • 生年月日:仮に1982年1月1日生まれと推定した
  • 2008年(26歳?):インドのアルリ経営科学研究所(Alluri Institute of Management Sciences)・院生:数学
  • 2009年(27歳?):盗用発覚

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★盗用の発覚と全体像

2008-2009年、M・スリーニバス(M. Sreenivas)とT・スリニバス(T. Srinivas)の共著論文が3報発表された。

この3報とも、ほぼ全文、他人の論文からの逐語盗用だった。他に1つの論文原稿の盗用を編集者が出版前に気がついた。その論文原稿は、もちろん、出版されなかった。

つまり、学術誌・編集者がスリーニバスの盗用を見つけた。

盗用の1例を挙げる。

被盗用論文の著者のスヴェア・ストロイ(Sverre Storøy、写真出典)はノルウェーのベルゲン大学 (University of Bergen)・情報学の名誉教授である。

40年の研究生活で盗用されたのは初めてで、編集長から被盗用の手紙をもらった時、「身が凍りついた」と述べている。
 → 2007年12月20日のシルジェ・グリップスルード(Silje Gripsrud)記者の「På Høyden」記事:Rystet over plagiat

以下、白楽が作成した「要旨」部分の盗用比較図を示す(着色部分が同じ単語)。ほぼ全文の逐語盗用である。「本文」部分の盗用比較図は省略するが、ほぼ全文が逐語盗用だった。

★盗用者

2009年、学術誌「4OR」・編集長が2人の著者、M・スリーニバス(M. Sreenivas)とT・スリニバス(T. Srinivas)に盗用の件を問い合わせた。

T・スリニバス(T. Srinivas、写真出典)はカカティヤ大学(Kakatiya University)・数学科・教授である。

2009年8月13日、T・スリニバス(T. Srinivas)は、院生のM・スリーニバス(M. Sreenivas)が自分の名前を勝手に使って投稿した。それを編集長から指摘されるまで知らなかったと、学術誌「4OR」・編集長に返事した。
 → 2009年8月13日のT・スリニバス(T. Srinivas)の手紙:LetterFromDrSrinivas.pdf

LetterFromDrSrinivas

 

そして、院生のM・スリーニバス(M. Sreenivas)は自分がやりました。T・スリニバス教授(T. Srinivas)は盗用に関与していません。と盗用単独犯であることを認めた。 → 2009年8月12日のM・スリーニバス(M. Sreenivas)の手紙:

LetterFromMrSreenivas

 

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★論文数

省略

★撤回監視データベース

2020年7月31日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでM・スリーニバス(M. Sreenivas)を「Sreenivas, M」で検索すると、1論文がヒットし、1論文が撤回されていた。2論文がヒットするが、Ⅰ論文は間違い。

★パブピア(PubPeer)

2020年7月31日現在、「パブピア(PubPeer)」では、M・スリーニバス(M. Sreenivas)の論文のコメントを「”M. Sreenivas”」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》認めてくれれば簡単 

M・スリーニバス(M. Sreenivas)のように、「はい、自分が盗用しました」と認めてくれれば、話は簡単である。

スリーニバスは院生なので、今回の盗用は、ネカト教育の欠如、あるいは、インドでの不正文化の蔓延が原因でしょう。

その後、M・スリーニバス(M. Sreenivas)の名前は学術界に見られない。多分、本件で退学になって、学術界とは別の世界で生きていると思う。

名前を勝手に使われたと主張したT・スリニバス教授(T. Srinivas)はカカティヤ大学(Kakatiya University)・数学科・教授に2020年5月30日時点で在籍していた:Kakatiya University, Warangal-506009, Telangana, India.

しかし、2020年7月4日時点では在籍していない:Kakatiya University, Warangal-506009, Telangana, India.

2020年5月30日~2020年7月4日の約1か月の間に何があったのか、理由はわからないが、盗用者ではないので本件とは無関係のハズだ。多分、定年退職だろう。

なお、数学にネカトはないと主張する人がいるが、そんなことなない。ネカト事情に無知な人の話である。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 2010年論文:Philippe Mahey:RAIRO-Oper. Res. 44 (2010) 1–3, DOI: 10.1051/ro/2010001:
EDITORIAL A CASE OF PLAGIARISM: RETRACTION OF A PAPER BY SREENIVAS AND SRINIVAS, Vol. 43, n◦4, pp. 331–337
② 2018年の「SIAM」記事: Report on investigation of a case of plagiarism
4OR:Cases of unethical behavior
International Journal of Statistics and Management Systems
⑤ 2016年論文:Crama, Y., Grabisch, M. & Martello, S. A brand new cheating attempt: a case of usurped identity. 4OR-Q J Oper Res 14, 333–336 (2016). https://doi.org/10.1007/s10288-016-0329-8:A brand new cheating attempt: a case of usurped identity | SpringerLink
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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