ウマ・シン(Uma Singh)、イシュワラル・ジアラル(Ishwarlal Jialal)(米)

2020年12月2日掲載 

ワンポイント:ネカト調査報告書の公表あり。2012年8月23日、カリフォルニア大学デービス校・医療センター(University of California, Davis Medical Center)のイシュワラル・ジアラル教授(Ishwarlal Jialal)とポスドクのウマ・シン(Uma Singh、女性)(シン 35歳?)が「2008年11月のNutr Rev」論文の盗用疑惑を受けた。2017年6月(シン 40歳?)、カリフォルニア大学デービス校・調査委員会は、ポスドクのウマ・シンが盗用者で、ジアラル教授はシロと発表した。研究公正局(ORI)は、調査したが、ウマ・シンをクロとは発表しなかった。ジアラル教授はこの事件で大学を不当に退職させられたと裁判を起こした。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ウマ・シン(Uma Singh、女性、ORCID iD:?、顔写真は見つからなかった)は、インドで研究博士号(PhD)を取得し、2004年(27歳?)頃、米国のカリフォルニア大学デービス校・医療センター(University of California, Davis Medical Center)・ポスドクになった。研究室は以下のジアラル研究室で、専門は病理学(心臓血管学)である。

ネカト者はポスドクのウマ・シン(Uma Singh)なので、ウマ・シンを中心に記載した。ただ、ジアラル教授(ネカト無罪)は本事件で退職を余儀なくされ、その事で訴訟を起こした。また、ジアラル研究室の別のポスドクがネカト事件を起こした。ジアラル教授も何かと絡むので、一緒に記載した。

イシュワラル・ジアラル(Ishwarlal Jialal、Ishwarlal (Kenny) Jialal、ORCID iD:?、写真出典)は、南アフリカ出身で、米国のカリフォルニア大学デービス校・医療センター(University of California, Davis Medical Center)・教授になった。専門は病理学(心臓血管学)である。

2018年7月2日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事は、ネカト調査報告書が公表されたネカト事件をリストしている。白楽ブログではそれらの事件を記事にしてきた。本記事はそのシリーズの最後で、本記事をもって、リストの全部を記事にした。 → 2018年7月2日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Reports of misconduct investigations can tell us a lot. Here are more than a dozen of them. – Retraction Watch

2012年8月23日(35歳?)、カリフォルニア大学デービス校(University of California)・研究公正室(Research Compliance and Integrity (RCI))の クレイグ・アリソン(Craig Allison)は、イシュワラル・ジアラル教授(Ishwarlal Jialal)とポスドクのウマ・シン(Uma Singh)が「2008年11月のNutr Rev」論文で盗用をしているという通報を受けた。通報した人は、被盗用者の所属するオレゴン州立大学の事務官(氏名不記載)で、事務官が盗用に気がついて通報した。

2017年6月(40歳?)、通報5年後、カリフォルニア大学デービス校・調査委員会は調査を終え、ポスドクのウマ・シンが盗用者でジアラル教授はシロと発表した。

しかし、その後、研究公正局(ORI)は、ウマ・シンをクロとは発表せず、「事件は終了した」とウマ・シンに伝えた。

2020年12月1日(43歳?)現在、ウマ・シンは米国のバレンシア大学(Valencia College)・非常勤講師である。 →  Valencia College

なお、本事件の後、別の事件だが、ジアラル教授の別のポスドクだったウトラ・ラジャマニ(Uthra Rajamani)がネカト事件を起こしている。研究公正局は、今度は、クロと結論した。 → ウトラ・ラジャマニ(Uthra Rajamani)(米) | 白楽の研究者倫理

ラジャマニは南アフリカ共和国の育ちで、南アフリカ共和国のステレンボッシュ大学(Stellenbosch University)で研究博士号(PhD)を取得し、2012年(30歳?)に渡米した。ウエストバージニア大学(West Virginia University)、次いで、カリフォルニア大学デービス校(University of California – Davis)のポスドクを経て、2014年12月(32歳?)、米国のシダーズ・サイナイ医療センター(Cedars-Sinai Medical Center)のポスドクになった。2018年12月19日、研究公正局は、シダーズ・サイナイ医療センター・ポスドク時代の「2017年のNat Commun」論文で、ラジャマニ(36歳?)がウエスタンブロット画像の改ざんをしたと発表した。1年間の締め出し処分を科した。

カリフォルニア大学デービス校・医科大学院(University of California, Davis, School of Medicine)。写真:CC BY-SA 3.0, 出典

  • 国:米国
  • 成長国:インド
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:xx大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1977年1月1日生まれとする。2004年にカリフォルニア大学デービス校・ポスドクに就任したとして、その時を27歳とした
  • 現在の年齢:47 歳?
  • 分野:病理学
  • 最初の不正論文発表:2008年(31歳?)
  • 不正論文発表:2008年(31歳?)
  • 発覚年:2012年(35歳?)
  • 発覚時地位:カリフォルニア大学デービス校・ポスドク
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は被盗用者(死亡)の所属するオレゴン州立大学の事務官(氏名不記載)で、事務官が盗用に気がついて、カリフォルニア大学デービス校に公益通報
  • ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②カリフォルニア大学デービス校・調査委員会。③研究公正局。
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2017/06/RESEARCH-MISCONDUCT-REPORT.pdf
  • 大学の透明性:実名報道で調査報告書(委員名付き)がウェブ閲覧可(◎)
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:1報。撤回
  • 盗用ページ率:不明%
  • 盗用文字率:不明 %
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)をやめた・続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: NIHから の処分なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

★ウマ・シン(Uma Singh)
ほとんど不明。女性。

  • 生年月日:不明。仮に1977年1月1日生まれとする。2004年にカリフォルニア大学デービス校・ポスドクに就任したとして、その時を27歳とした
  • 2004年(27歳?)?:インドのxx大学(xx)で研究博士号(PhD)を取得
  • 2004年(27歳?):カリフォルニア大学デービス校・医療センター(University of California, Davis Medical Center)・ポスドク
  • 2008年11月(31歳?):後で問題視される「2008年11月のNutr Rev」論文を出版
  • 2009年(32歳?):ジアラル研究室を去る? 推定理由:ジアラル教授との共著論文がこの年以降出版されていない
  • 2012年(35歳?):不正研究が発覚する
  • 2017年6月(40歳?):カリフォルニア大学デービス校・調査委員会がクロと発表
  • 2020年12月1日(43歳?)現在:米国のバレンシア大学(Valencia College)・非常勤講師: Valencia College

★イシュワラル・ジアラル(Ishwarlal Jialal)

主な出典:Ishwarlal Jialal MD, PhD

  • 生年月日:不明。仮に1950年1月1日生まれとする。1988年にテキサス大学南西医療センター・助教授に就任した時を38歳とした
  • 19xx年(xx歳):南アフリカのナタール医科大学(University of Natal Medical School)で医師免許(MD)と研究博士号(PhD)を取得
  • 19xx年(xx歳):米国のハーバード大学・医科大学院(Harvard Medical School)・ポスドク
  • 1988年(38歳?):ダラスのテキサス大学南西医療センター(University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas)・助教授
  • 1997年(47歳?):同大学・教授
  • 2002年(52歳?):カリフォルニア大学デービス校・医療センター(University of California, Davis Medical Center)・教授
  • 2008年11月(58歳?):後で問題視される「2008年11月のNutr Rev」論文を出版
  • 2012年(62歳?):不正研究が発覚する
  • 2016年6月(66歳?):引退
  • 2017年6月(67歳?):カリフォルニア大学デービス校・調査委員会が無罪と発表

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★発覚の経緯

2012年8月23日(35歳?)、カリフォルニア大学デービス校(University of California)・研究公正室(Research Compliance and lntegrity (RCI))の クレイグ・アリソン(Craig Allison、写真出典)はイシュワラル・ジアラル教授(Ishwarlal Jialal)とポスドクのウマ・シン(Uma Singh)が「2008年11月のNutr Rev」論文で盗用をしているという通報を受けた。通報した人は、被盗用者の所属するオレゴン州立大学の事務官(氏名不記載)で、事務官が盗用に気がついて通報した。

通報を受けた3週間前の2012年8月1日に、「2008年11月のNutr Rev」論文は撤回されていた。 → 2012年8月1日の撤回告知:Retraction | Nutrition Reviews | Oxford Academic

話のわき道。この学術誌「Nutr Rev」の編集長は日本人名の「ナオミ・フカガワ(Naomi Fukagawa – Wikipedia)」である。ナオミ・フカガワは米国育ちの米国人だ。

話を戻す。

盗用は、ポスドクのウマ・シンの単独犯で、引用手法の無知が原因とされた。

被盗用論文はジェーン・ヒグドン(Jane Higdon)の「2006年版」の記事だった。 → Lipoic Acid | Linus Pauling Institute | Oregon State University

盗用論文はNIHグラントの助成を受けていた(番号:K‐24 AT00596)

★ジェーン・ヒグドン(Jane Higdon)

話のわき道。

被盗用者のジェーン・ヒグドン(Jane Higdon、写真出典)はオレゴン州立大学(Oregon State University)の研究者でサイクリスト(自転車乗り)だった。

ヒグドンは被盗用記事である「2006年版」記事をアップした1週間後の2006年5月31日、オレゴンの山中でサイクリング中にトラックにひかれて死亡した。享年47歳。

ジェーン・ヒグドン記念基金(Jane Higdon Memorial Fund)が設立されている。

★調査報告書

2017年6月(40歳?)、通報を受けてから5年後、カリフォルニア大学デービス校・調査委員会は調査を終え、ポスドクのウマ・シンが盗用者で、ジアラル教授が盗用に関与した証拠は得られなかったと発表した。また、ジアラル教授のネカト疑惑を今回の調査で終了するとした。

以下は2017年6月の調査報告書の冒頭部分(出典:同)。全文(17ページ)は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2017/06/RESEARCH-MISCONDUCT-REPORT.pdf

研究公正局(ORI)も調査に加わっていた。

研究公正局(ORI)は、ウマ・シンに「あなたの盗用は、読者をダマすという意図的な盗用ではないが、先行研究をクレジットしなければならないという規則があるのに、あなたはクレジットしなかった。なお、事件の調査はこれで終了しました」と伝えた。

結局、研究公正局(ORI)は公式にはウマ・シンをクロとする発表をしなかった。

★裁判

本事件は、ポスドクのウマ・シンが盗用をした、という単純な事件なのだが、ジアラル教授が裁判を起こすゴタゴタが起こった。

ここからの主役は、イシュワラル・ジアラル教授(Ishwarlal Jialal)である。

2016年6月(66歳?)、ジアラル教授はウマ・シンの盗用事件に絡み、カリフォルニア大学デービス校・医療センター(University of California, Davis Medical Center)を引退した。

しかし実は、この引退は納得した引退ではなかった。

2016年7月14日(66歳?)、ジアラル教授はカリフォルニア大学デービス校が規則違反(分離協定separation agreementの違反)をし、自分を引退に追いやり名誉教授の地位を剥奪したと、裁判所に訴えた。

2017年10月23日(67歳?)、ジアラル教授は、審理の日程を決める前、カリフォルニア大学デービス校の教員がジアラル教授の悪口を言いふらしたと、訴状に追加した。

以下は2017年7月14日の法廷文書の冒頭部分(出典:同)。全文(32ページ)は → http://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2017/11/Jialal-first-complaint-UC-.pdf

★リンダ・カテヒ学長の不始末

ジアラル教授が裁判を起こしたのは、カリフォルニア大学デービス校のリンダ・カテヒ学長(Linda Katehi – Wikipedia、写真By KianaHooperOwn work, CC BY-SA 3.0, Link)の管理能力のひどさと関係している。

2016年4月27日、カリフォルニア大学・総長は、リンダ・カテヒ学長を有給休職処分に科した。その理由は、リンダ・カテヒが実娘と義理の息子の不正雇用、学生基金の不正流用などで大学に175,000ドル(約1750万円)の損害をあたえたからである。

また、リンダ・カテヒは本記事で問題にしている「2008年11月のNutr Rev」論文を出版したワイリー&サンズ社(Wiley and Sons, Inc.)の役員として、2012年から2014年の3年間に42万ドル(約4200万円)の収入を得ていたが、そのことを開示していなかった。つまり、「2008年11月のNutr Rev」論文の盗用問題処理で利益相反の規則違反を犯していた。

2016年8月9日、リンダ・カテヒはカリフォルニア大学デービス校の学長を辞任したが、教授職を辞職しなかった。

ワイリー&サンズ社(Wiley and Sons, Inc.)の役員を開示していなかったのは、より大きな問題となった。

2014年、リンダ・カテヒ学長がジアラル教授の処分を検討している時、リンダ・カテヒ学長はワイリー&サンズ社(Wiley and Sons, Inc.)の役員をしていたのである。だから、盗用問題の処理に利益相反があるのは明白だ。その利益相反を秘匿し、ジアラル教授を退職に追いやったのである。

ジアラル教授は、カリフォルニア大学デービス校の職員がリンダ・カテヒ学長に忖度し、ジアラル教授にひどく懲罰的な和解条件を強要し、彼の悪口を言い立てた、と主張した。

★ジアラル教授の脅迫

本事件は、元々は、ポスドクのウマ・シンが盗用をした、という単純な事件なのだが、上記のように、リンダ・カテヒ学長の対応のまずさが事態を複雑にした。

さらに、ジアラル教授がウマ・シンを脅迫したという事件を、カリフォルニア大学デービス校は問題視した。

ジアラル教授は、事件が片付いた頃、ウマ・シンに関する数通の電子メールを関係者とウマ・シンに送信した。

1つは、ウマ・シンの新しい雇用主に彼女は盗用者だと通知したのだ。まあ、これは脅迫とは言えない。

もう1つは、ウマ・シンが新たに取得したグリーン・カード(米国永住権)の権利を再調査するよう移民当局に通知すると、ウマ・シンを脅迫した。

カリフォルニア大学デービス校は、「2008年11月のNutr Rev」論文の盗用でジアラル教授を調査したのを1回目とすれば、この脅迫問題で、2回目の調査を行なった。

調査委員会は、名誉教授の肩書を維持したまま、ジアラル教授に早期の退職をすすめた。

★ウトラ・ラジャマニ(Uthra Rajamani)事件

ウマ・シン事件の本筋とは関係無いが、ジアラル教授の別のポスドクが起こしたネカト事件を付記しておこう。

2013年頃、ジアラルのポスドクだったウトラ・ラジャマニ(Uthra Rajamani)はその後、2014年12月(32歳?)、シダーズ・サイナイ医療センターのポスドクになった。

ラジャマニは、そのシダーズ・サイナイ医療センターでネカトをして、2018年12月19日、研究公正局にクロと発表された。 → ウトラ・ラジャマニ(Uthra Rajamani)(米) | 白楽の研究者倫理

ウトラ・ラジャマニ(Uthra Rajamani、写真)は、南アフリカ共和国の育ちで、南アフリカ共和国のステレンボッシュ大学(Stellenbosch University)で研究博士号(PhD)を取得し、2012年(30歳?)に渡米した。ウエストバージニア大学(West Virginia University)、次いで、カリフォルニア大学デービス校(University of California – Davis)のポスドクを経て、2014年12月(32歳?)、米国のシダーズ・サイナイ医療センター(Cedars-Sinai Medical Center)のポスドクになった。2018年12月19日、研究公正局は、シダーズ・サイナイ医療センター・ポスドク時代の「2017年のNat Commun」論文で、ラジャマニ(36歳?)がウエスタンブロット画像の改ざんをしたと発表した。1年間の締め出し処分を科した。

ラジャマニは、ジアラル研究室のポスドク時代に出版した「2014年のJ Diabetes Res」論文でも、ウエスタンブロット画像のねつ造・改ざんをしている。

ジアラル教授は、ポスドクの管理が不十分だったということだ。

【盗用の具体例】

盗用比較図は公表されていない。

自分で作るのも面倒なので、今回はなし。ゴメン。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年12月1日現在、パブメド( PubMed )で、ウマ・シン(Uma Singh)の論文を「Uma Singh [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、1989~2020年の32年間の117論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多数含まれていると思われる。

イシュワラル・ジアラル(Ishwarlal Jialal)との共著論文を「Uma Singh [Author] AND Ishwarlal Jialal [Author]」で検索すると、2004~2009年の6年間の19論文がヒットした。

「Singh U [Author]」で検索すると、1963~2020年の58年間の1586論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多数含まれていると思われる。

2020年12月1日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、2論文が撤回されていた。

1報は本記事で取り上げた「2008年11月のNutr Rev」論文で、もう1報は別人の論文である。

★撤回監視データベース

2020年12月1日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでウマ・シン(Uma Singh)を「Uma Singh」で検索すると、 0論文が訂正、0論文が懸念表明、1論文が撤回されていた。

本記事で問題にした「2008年11月のNutr Rev」論文が2012年6月15日に撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2020年12月1日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ウマ・シン(Uma Singh)の論文のコメントを「”Uma Singh”」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》単純で複雑 

ポスドクの単純な盗用事件が、ボスであるイシュワラル・ジアラル教授(Ishwarlal Jialal、Ishwarlal (Kenny) Jialal)の退職を引き起こした。この措置で、リンダ・カテヒ学長(Linda Katehi)の管理能力のひどさが見え隠れする。イヤイヤ、見えていましたね。

それで、退職したジアラル教授が不当な退職だったと、カリフォルニア大学デービス校を裁判所に訴えた。当然でしょう。

《2》盗用の程度

研究公正局(ORI)は、公式にはウマ・シンをクロと発表をせず、「事件は終了した」とウマ・シンに伝えている。つまり、軽微な盗用だったためか、事件として公式にはクロとしなかった。

多分、盗用が軽微で、クロとしなかったのは妥当だったと思うが、誰も盗用比較図を公表していない。それで、白楽は盗用が軽微だったのか悪質だったのか、把握できていない。

インド出身のポスドクだと、滅茶苦茶な盗用を平気でしそうだが、わかりません。

2020年12月1日(43歳?)現在、ウマ・シンは米国のバレンシア大学(Valencia College)・非常勤講師で、研究し論文を出版する研究者ではない。教育者だが、顔写真の情報はウェブ上にない。警固はしっかりしている。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 2012年8月14日のトレヴォアルストークス(trevorlstokes)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Authors retract nutrition review that plagiarized deceased researcher – Retraction Watch
② 2016年9月1日のトレヴォアルストークス(trevorlstokes)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Professor forced to retire after threatening co-author – Retraction Watch
③ 2017年12月7日のアンドリュー・ハン(Andrew P. Han)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Professor sues UC Davis over forced retirement following misconduct inquiry – Retraction Watch
④ 2016年6月21日のデイビス・ヴァンガード(Davis Vanguard)記者の「Davis Vanguard」記事:Attorney Alleges Katehi Conflict in Disciplinary Action Against Employee | Davis Vanguard
⑤ 2016年6月22日のローレン・キーン(Lauren Keene)記者の「enterprise」記事:Departing UCD professor says university defamed him
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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