「博士号はく奪」:人類学:エリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon)(米)

2020年8月13日掲載 

ワンポイント:2006年、オハイオ州立大学(Ohio State University)で人類学の博士号を取得したが、博士論文が盗用だった。2010年8月(31歳?)、被盗用者のボーリング・グリーン州立大学(Bowling Green State University)のモンタナ・ミラー助教授(Montana C. Miller)が裁判で訴えたことから世間の知ることとなった。盗用は逐語盗用で、盗用文字率は高そうである。2010年5月、博士号がはく奪された。2010年12月(31歳?)、裁判は、ニクソンがミラー助教授に損害賠償金15,000ドル(約150万円)を支払う示談でケリがついた。国民の損害額(推定)は1億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

エリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon、ORCID iD:?、顔写真は見つからなかった)は、米国のオハイオ州立大学(Ohio State University)・院生で医師ではない。専門は人類学だった。

2006年(27歳?)、オハイオ州立大学(Ohio State University)で人類学の博士号を取得したが、博士論文が盗用だった。

2010年冬・春(31歳?)(推定)、被盗用者のボーリング・グリーン州立大学(Bowling Green State University)のモンタナ・ミラー助教授(Montana C. Miller)がニクソンの盗博をオハイオ州立大学に通報した(推定)。

2010年5月(31歳?)、オハイオ州立大学が調査し、盗博と結論し、博士号をはく奪した。

2010年8月(31歳?)、被盗用者のミラー助教授が著作権侵害を裁判所に訴えたことから、ニクソン盗博事件は世間に知られることとなった。

2010年12月(31歳?)、ニクソンがミラー助教授に損害賠償金15,000ドル(約150万円)を支払う示談でケリがついた。

オハイオ州立大学(Ohio State University)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:オハイオ州立大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1979年1月1日生まれとする。2006年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
  • 現在の年齢:42 歳?
  • 分野:人類学
  • 最初の不正論文発表:2006年(27歳?)
  • 不正論文発表:2006年(27歳?)
  • 発覚年:2010年(31歳?)
  • 発覚時地位:大学・非常勤講師
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は被盗用者のボーリング・グリーン州立大学(Bowling Green State University)のモンタナ・ミラー助教授(当時、Montana C. Miller
  • ステップ2(メディア):「Lantern」など
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①オハイオ州立大学・調査委員会、②裁判所
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
  • 不正:盗博
  • 不正論文数:1報
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:
  • 処分:研究博士号(PhD)・剥奪。損害賠償金15,000ドル(約150万円)の支払い
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は1億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

不明。なお、現在、オハイオ州立大学(Ohio State University)の上級講師にエリザベス・ニクソン(Elizabeth Nixon)がいる。本記事のエリザベス は「Elisabeth」で上級講師は「Elizabeth」である。「s」と「z」と異なるし、他の経歴からも別人とした。:Elizabeth Nixon | LinkedIn

  • 生年月日:不明。仮に1979年1月1日生まれとする。2006年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
  • 2006年(27歳?):米国のオハイオ州立大学(Ohio State University)で研究博士号(PhD)を取得:人類学
  • 2006-2010年(27-31歳?):ウエスタンケンタッキー大学、オッターバインカレッジ、フランクリン大学、コロンバスステートコミュニティカレッジ(Western Kentucky University, Otterbein College, Franklin University, and Columbus State Community College)の非常勤講師
  • 2010年(31歳?):盗博が発覚
  • 2010年5月14日(31歳?):研究博士号(PhD)・剥奪
  • 2010年8月(31歳?):裁判の被告
  • 2010年12月(31歳?):損害賠償金15,000ドル(約150万円)を支払う示談成立

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★発覚の経緯と裁判

2006年、エリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon)はオハイオ州立大学(Ohio State University)で人類学の博士号を取得した。博士論文のタイトルは「天国への道で悪魔の擁護者を演じる:福音階級の家と政治、恐怖と信仰の演劇(Playing Devil’s Advocate on the Path to Heaven: Evangelical Hell Houses and the Play of Politics, Fear and Faith)」だった。

2010年(31歳?)(推定)、発覚の経緯は、不明だが、ニクソンの博士論文が盗用だと告発された。多分、被盗用者のボーリング・グリーン州立大学(Bowling Green State University)のモンタナ・ミラー助教授(Montana C. Miller)が、ニクソンの盗博をオハイオ州立大学に通報した。

2010年x月xx日(31歳?)、オハイオ州立大学・調査委員会(Committee on Academic Misconduct)はニクソンが盗用したと結論し、ニクソンの博士号を剥奪するよう大学に勧告した。また、大学図書館からニクソンの博士論文冊子を廃棄し、すべての電子記録も削除するよう勧告した。

ニクソンは調査委員会の勧告をオハイオ州立大学のプロボスト(Provost)のジョセフ・アルット(Joseph Alutto)に上訴したが、アルットは調査委員会の結論を支持した。

2010年5月14日(31歳?)、オハイオ州立大学はニクソンの博士号を剥奪した。また、博士論文も廃棄した。

しかし、上記のことは、次の裁判が新聞で報道されるまで、世間は知らなかった。

2010年8月(31歳?)、モンタナ・ミラー助教授(当時。現在は準教授)( Montana C. Miller 、写真出典)が、ニクソンの博士論文が盗用で、自分の著書が損害を受けたと、裁判で訴えたことから世間が知るところとなった。

なお、ミラー助教授は、2020年8月12日現在、ボーリング・グリーン州立大学の研究法令順守官(Research Compliance Officer)でもある。2010年当時はこの役職に就いていなかったが、こういう人の論文を盗用すれば、タダじゃすみませんね。

ミラー助教授は、2003年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles)で博士号を取得した時の博士論文「15分ごとに誰かが死ぬ:段階的な飲酒運転の悲劇で人々がどのように遊ぶか(Every 15 Minutes Someone Dies: How People Play in a Staged Drunk Driving Tragedy)」をニクソンが盗博したと訴えたのだ。

なお、ミラー助教授の博士論文は2004年に出版されている。その著書の売り上げが損害を受けたと主張した。

2010年12月(31歳?)、裁判所が結審する前、ニクソンがミラー助教授に損害賠償金15,000ドル(約150万円)を支払うという示談でケリがついた。

なお、裁判所の記録は「10-cv-00759-JLG-EPD (S.D.Ohio 12 Nov 2010)」らしいが,白楽は入手できなかった。

【盗用の具体例】

★盗用比較図

以下に部分的な盗用比較図を示す。
 → 出典:2017年10月26日の作者不記載のスライド(19枚目): Crediting the Work of Others Avoiding Plagiarism

左側がモンタナ・ミラー助教授(当時。現在は準教授)(Montana C. Mille)の被盗用・博士論文で右がエリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon)の盗用・博士論文である。ほぼ逐語盗用である。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年8月12日現在、パブメド( PubMed )で、エリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon)の論文を「Elisabeth Nixon [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2020年の19年間の0論文がヒットした。

人類学の論文をパブメド(PubMed)で検索するのには無理があるかもしれない。

★撤回監視データベース

2020年8月12日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでエリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon)を「Elisabeth Nixon」で検索すると、0論文がヒットし、0論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2020年8月12日現在、「パブピア(PubPeer)」では、エリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon)の論文のコメントを「”Elisabeth Nixon”」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》不明 

このニクソン事件は盗博の状況がわからない。

エリザベス・ニクソン(Elisabeth Nixon)が「どういう状況で」盗博をしたのか、見えてこない。

2006年に博士号を授与され、2010年に剥奪された。この4年間、ニクソンはウエスタンケンタッキー大学などの非常勤講師だった。博士号が剥奪され、ニクソンの人生はどうなったのだろうか? この状況も見えてこない。

ネカト改善の役に立たない。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 2010年8月26日のケビン・ケーニンガー(Kevin Koeninger)記者の「Courthouse News」記事:Professor Says Another Prof Plagiarized
② 2010年9月15日の「Columbus Dispatch」記事:Plagiarism a persistent problem on campuses – News – The Columbus Dispatch – Columbus, OH
③ 2011年2月11日のトーマス・ブラッドリー(Thomas Bradley)記者の「Lantern」記事:Woman plagiarized by OSU graduate speaks out – The Lantern
④ 2011年2月18日のハンナ・スパリング(Hannah Sparling)記者の「Nation」記事:University professor settles plagiarism lawsuit | Nation | bgfalconmedia.com
⑤ Tom Matrkaのブログ:Ohio University Plagiarism
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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