7-179 出版や研究費獲得のプレッシャーで研究不正をするわけじゃない

2025年8月10日掲載 

白楽の意図:研究不正(ネカト)の理由として、出版や研究費獲得のプレッシャーが挙げられることが多い。タル・ヤルコニ(Tal Yarkoni)の2018年10月のブログ論文は、この「インセンティブ」を批判している。数年前に読んだ時、白楽の読解力が低いため、記述が難解で曖昧に感じ、途中で放棄した。内容は重要なので、今回思い直して、エッセンスを記事にした。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.白楽の意見
2.ヤルコニの「2018年10月のtalyarkoni.org/blog」論文
7.白楽の感想
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【注意】

学術論文ではなくウェブ記事なども、本ブログでは統一的な名称にするために、「論文」と書いている。

「論文を読んで」は、全文翻訳ではありません。

記事では、「論文」のポイントのみを紹介し、白楽の色に染め直し、さらに、理解しやすいように白楽が写真・解説を加えるなど、色々と加工している。

研究者レベルの人が本記事に興味を持ち、研究論文で引用するなら、元論文を読んで元論文を引用した方が良いと思います。ただ、白楽が加えた部分を引用するなら、本記事を引用するしかないですね。

●1.【白楽の意見】

研究不正(ネカト)をする理由や動機は、「ズルして得したい」だと白楽は思っているが、データや証拠があるわけではない。

以前、研究不正(ネカト)をする理由や動機を研究したダニエル・ファネーリの論文を解説した。

ジョナサン・ヘリントン(Jonathan Herington)の「2021年9月のResearch Ethics」論文が、以下のように研究不正(ネカト)をする理由や動機を並べたのが可能性のすべてだろう。 →  7-80 どうして研究不正するのか? | 白楽の研究者倫理

プレッシャー(Belle and Cantarelli、2017 ; Davis et al.、2007:200; Kornfeld、2012 ; Sovacool、2008)、利得(Belle and Cantarelli、 2017 ; Boes et al.、2017)、精神的/感情的状態(Davis et al.、2007)、性格(Belle and Cantarelli、2017 ; DuBois and Antes、2018 ; Kornfeld、2012 ; Ruiz-Palomino and Linuesa-Langreo、2018 ; Sovacool、2008)、喪失嫌悪(Belle and Cantarelli、2017)、健康/家族のトラブル(Davis et al.、2007)、人間関係(Davis et al.、2007)、競争(Boes et al.、2017)、機会(Adams and Pimple、2005)、文化的要因(Davis et al.、2007)。

その一部をもう少し詳しく解説すると、以下の6項目が良く取り上げられる。 → 2024年10月18日:研究公正の真髄:真実を語り、嘘を暴く – 京都大学講義から学ぶ研究倫理の重要性|YOU [なお、著者(YOU氏)が研究者かどうか、白楽は知りません]

研究不正が発生する理由

研究不正が発生する背景には、様々な要因が考えられます:

1. 出版プレッシャー:
「publish or perish(発表せよ、さもなくば滅びよ)」という言葉に象徴されるように、研究者は常に成果を出すプレッシャーにさらされています。

2. キャリア形成の必要性:
論文数や掲載ジャーナルの影響度指数(インパクトファクター)が、研究者の評価や昇進に大きく影響します。

3. 資金獲得の競争:
研究資金を獲得するためには、「革新的」で「インパクトのある」研究結果が求められます。

4. 査読システムの限界:
現在の査読システムでは、データの捏造や改ざんを完全に防ぐことは困難です。

5. 研究公正教育の不足:
多くの大学や研究機関で、研究公正に関する体系的な教育が行われていません。

6. 否定的結果の軽視:
多くの学術雑誌が、統計的に有意な結果を好む傾向があります。そのため、否定的結果や仮説を支持しない結果が公表されにくくなっています。

これらの要因が複雑に絡み合って、研究不正や疑わしい研究慣行を生み出しているのです。

上記「4,6」はシステムの問題なのでそれを除いた残りの「1、2、3、5」が、研究不正をする代表的な理由や動機である。

この理由や動機を、大多数の人が受け入れている。

白楽は、おかしいと思っている。

「1、2、3、5」はネカト調査で「どうしてネカトをしたんだ?」と詰問されたとき、ネカト者が答える「言い訳」である。

ネカト者は「ズルしてでも得したかったから」とか「富・名声・地位を得るのには上手にズルするのが成功の秘訣だと思っていた」など、自分の品性を落とす答えをしない。

ネカト者は「自分は悪くない」と思いたい。それで、教授からの「出版プレッシャー」が強くて、とか、論文出版しないと博士号を取得できないので、「キャリア形成の必要性」などと、他の人や状況のせいにする。

現実は、同じ上記「1~6」の条件下でも「まともな人」は決してネカトをしない。「まともでない人」がネカトをする。

つまり、ポイントは「まとも」か「まともでない」か、である。別の言い方をすると、得はしたいけど、「ズルしてでも」か、「決してズルはしたくない」か、である。 → https://haklak.com/page_why_FFP.html#link5

さらに言うと、人によって「ズル」の基準(閾値)が異なり、「まともな人」は基準(閾値)が高く、「まともでない人」は基準(閾値)が低い。

誤解しないで欲しいが、国や大学の研究倫理規則は守るべき最低線を基準として示しているのであって推奨レベルや理想を示しているのではない。基準以下だと不正となり処罰されるという基準を示している。

「まともな人」は人間として研究者として、推奨レベルや理想レベルの言動をする。

●2.【ヤルコニの「2018年10月のtalyarkoni.org/blog」論文】

★読んだ論文

  • 論文名:No, it’s not The Incentives—it’s you – [citation needed]
    日本語訳:いいえ、インセンティブの問題ではありません。あなたです – [要出典]
  • 著者:Tal Yarkoni
  • 掲載誌・巻・ページ:talyarkoni.org/blog
  • 発行年月日:2018年10月2日
  • ウェブサイト:https://talyarkoni.org/blog/2018/10/02/no-its-not-the-incentives-its-you/
  • 著者の紹介:タル・ヤルコニ(Tal Yarkoni、写真の出典)。
  • 学歴:2009年に米国・セントルイスのワシントン大学(Washington University)で研究博士号(PhD)を取得(心理学)。経歴の出典
  • 分野:心理学
  • 論文出版時の所属・地位:米国のテキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)・心理学科(Department of Psychology)・研究準教授(Research Associate Professor)

●【論文内容】

この論文の文体はクセが強いので、白楽の解説は原著とは幾分異なる。

この論文のポイントは英語の「incentive」である。英辞郎には以下の日本語訳がある(名詞部分だけ引用した)

〔行動を促す〕刺激、動機
《心理学》誘因、動因、インセンティブ
〔人の行動を〕駆り立てるもの
〔仕事などに対する〕やる気(を起こさせるもの)
・His incentive is huge. : 彼のやる気はすごい。
〔労働意欲を高めるための〕報奨[奨励]金
「incentive」の意味・使い方・表現・読み方 – 英辞郎 on the WEB

白楽記事では、迷った末、英語の「incentive」を「インセンティブ」という単語のまま使用する。読者は「動機」「誘因」「駆り立てるもの」などの日本語に脳内変換して理解していただきたい。

ーーー論文の本文は以下から開始

★0.はじめに

学術界ではますます一般的になってきているが、私(タル・ヤルコニ)がちょっと問題だと思う話をしよう。

その中心的な考え方は、研究者が故意に反社会的な行動(研究不正行為など)をしているのに、倒錯したインセンティブを認めると、それが正当化されるという話だ。

数人が集まって午後のコーヒータイムを研究室で楽しんでいるとき、ある研究者の疑惑データについての話題がでたとしよう。そのとき、深刻な研究不正だと誰かが指摘すると、別の誰かが「そうね、でもどうするの、それがインセンティブなのよ」と言う。

私の知る限り、「インセンティブのせい」という言葉は魔法のようだ。

誰かがその言葉を口にすると、自然法則が働き、他の全員が「そうだ、インセンティブは実にひどい。多くの研究者が、巨大なシステムに容赦なく踏み潰されているのは本当に悲劇だよね」といった趣旨のことを言う。

そして大抵は短い沈黙が訪れ、その後、話題を変える。

私(タル・ヤルコニ)の個人的な経験から言うと、昔は、疑わしい行為を指摘された研究者は、(a)疑わしいことは何もしていないと否定する。あるいは、(b)しばらく気まずそうな顔をし、気まずい沈黙が流れた後、単に話題を変える、という態度だった。

ところが、最近は、疑わしい行為に関する気まずい会話の後、「私たちは皆、研究界の複雑さを理解している研究者たちである。もちろん、研究者として、常に正直で誠実に研究を進められる世界に住んでい続けられたら素晴らしいだろうが、それはあまりにも理想的だ。現実は、それほど理想的な世界ではない、そうだろう?」といった趣旨のコメントが続く。

もちろん、こうしたコメントには一理ある。

現代の研究システムの多くの側面は、反社会的行動を研究者に奨励しているからだ。

そうでないふりをする研究者は多い。

しかし、研究者は現実に向き合い、そうでないふりをすべきではない。

研究キャリアをダメにするかもしれない行動を決してしない方が良い。

でも、研究者は言う。「とにかく、論文を出版したい。3年以内にテニュア(終身在職権)を得たいんだ」。

あるいは、「今の段階でデータ収集を止めたい。もっと多く集めると、論文結果のインパクトが薄れ、論文が採択されないかもしれない」。

あるいは、「十分に再現可能なデータが得られるように実験を洗練し続けるように大学院生に指示できない。彼らは学位取得のために、期限内に論文を発表する必要があるのだ」。

こうした「インセンティブのせい」の例は数え切れないほどあり、研究者にとって日常的になっている。

創造性、粘り強さ、知性を誇りとする勤勉な研究者たちが、研究クログレイ行動・ネカト近似行為を「インセンティブのせい」にしている。

研究者たちは名声と富を渇望するあまり、研究不正やクログレイをせずに研究をやり遂げる方法を見つけられない。そして、それを、研究者たちも学術界も自分たちの集団的倫理観の欠陥だととらえていない。

このことは、深く憂慮すべきことだ。

そして、苛立たしい。

研究者が、研究不正やクログレイの行動を正当化するために「インセンティブ」を持ち出すべきではない理由はたくさんある。次節から述べていくがおそらく他にもあるだろう。

★1.インセンティブと言えば何でも許される

いや、本当に、何でもいい。研究者は自分の行動(あるいは不作為)を正当化するために「システムは壊れている(The System is Broken)」と泣き言を言えば、本来なら糾弾されるあらゆる言動が免責される。

以下に3点、研究者が容認しないような行動を考えてみた。

  • データの捏造
  • 訓練生(院生・ポスドク)を解雇すると定期的に脅して、もっと頑張って働かせる
  • 論文査読や助成金申請で否定的に審査し、競合相手を故意に蹴落とす

ほとんどの研究者は上記の行為を非倫理的だと見なすと思う。

しかし、現実には、上記の言動をする研究者がいる。

そして、そうした研究者が非倫理的だと追及されると、彼らが最も頻繁に頼りにする言い訳は・・・ご想像の通り、「インセンティブ」なのだ。

心理学者のディーデリク・スターペル(Diederik Stapel)が50報以上の論文でデータを捏造したと白状した際、彼は「ああ、私はちょっとサイコパス(反社会性パーソナリティ障害者)かもしれない」と自らの行動を説明するどころか、その責任を「インセンティブ」に押し付けた。 → 社会心理学:ディーデリク・スターペル(Diederik Stapel)(オランダ) | 白楽の研究者倫理

適切な期間何内に論文を発表し高い評価を得る。そのプレッシャーに耐えられませんでした。

あまりにも多くのことを、あまりにも早く求めすぎたのです。現在の研究システムの中で、私は誤った方向に進んでしまいました。ただ、私が犯した過ちは、決して利己的な目的から生まれたものではないことを強調したいと思います。

「利己的に行動していたわけではなく、ただ、強いプレッシャーにさらされていた」・・・フザケルんじゃない!

でも、スターペルは「インセンティブ」だと弁明している。

ニューヨークタイムズの記事はスターペルがネカトに陥る過程を次のように書いている(白楽の意訳)。 → 2013年4月28日記事:Diederik Stapel’s Audacious Academic Fraud – The New York Times

研究初期の頃(スターペルが実験データを実際に収集していた頃)、スターペルは、複数の変数間の乱雑で複雑な関係を紐解く論文を書いていた。しかし、学術誌編集者は簡潔で洗練された論文を好むことに気がついた。「彼らは実際に、『この部分を省き、もっとシンプルにしろ』と言ってきたのです」とスターペルは語った。間もなく、彼は簡潔で洗練された論文を書く方向に切り替えた。

スターペルの自分語りによると、実際に行なった実験では期待したデータが得られなかった。その時、彼には実験を中止するか、やり直すかという選択肢があった。しかし、彼はすでに研究に多くの時間を費やしていて、自分の仮説は正しいと確信していた。それで、「自分の仮説に合うデータセットを作ろうと思ったんだ」と述べている。

こうした記述を読んでいくと、スターペルの自分語りは、学会の飲み会でよく聞かれる自分語りと良く似ている。「私は誠実に研究している優秀な研究者なのに、私の周りはデタラメと手抜きを奨励するシステムで溢れている。私は一体どうすればいいんだ? ちょっと、デタラメと手抜きをしちゃおうかな?」

ところが、スターペルが「インセンティブ」のせいと弁解している点を、研究者である私の同僚たちは、誰も、賛同しない。

同僚たちの圧倒的な意見は、「スターペルには人間として何か根本的な問題がある」です。なぜなら、私たち「まともな」研究者は、日々同じように倒錯したインセンティブに直面しているにもかかわらず、研究不正しないで研究を続けているからだ。

私たちは結局、「インセンティブ」の奴隷ではない。

道徳心を保っていれば、私たちは「インセンティブ」の誘惑に完全に打ち勝てるし、それは特に難しいことではない。

多くの研究者は、研究不正の大きなインセンティブがある状況の中で研究しているが、「インセンティブ」の誘惑に常に必死に戦わなければならないわけではない。

私たちの多くは、仮のデータを確証データとして報告したり、実験データのいくつかを省いて論文発表するのは、「インセンティブ」のせいではない。

ただ、糾弾されたとき、自分がその責任を取って結果を受け入れる「自己責任論」よりも、「インセンティブ」のせいと弁解し、外部のせいにする方が気持ちが楽だから、そう言うのだ。

言うまでもなく、こうした態度は根本的に偽善的である。

スターペルの口から出た「自分の点数を上げなければならないというプレッシャーに耐えられなかった」という言葉は、実際には「私は基本的に弱い人間です。自分が学術界で重要ではないという評価に耐えられずに、高い評価を得続けるためには研究不正も厭わなかったのです」という意味なのだ。

実際には大きな研究不正をしているのに、そのような言い訳で、小さな研究不正をしたように話し、自分の責任を軽視すべきではない。

★2.皆がすれば世界は壊れてしまう(It would break the world if everyone did it)★3.あなたは特別ではない(You are not special)
★4.(おそらく)データがない(You (probably) have no data)
★5.(おそらく)問題にはならない(It (probably) won’t matter anyway)

以上の4節は省略

★6.(おそらく)生き方を変えられない

私(タル・ヤルコニ)は、長年、多くの若手研究者と話をしてきた。

彼らは、「疑わしい研究行為をしても、若い時はキャリアに悪い影響はない。そして、中高年になって地位が確立し偉くなれば、全然問題はない」、と言う。

こう発言する若手研究者はほぼ例外なく善意に満ちた善良な人々で、彼らは上記の発言を心から信じている。

しかし、人の考えは状況に応じて変化する。大学院生やポスドクの時は、大学の助教授になったら「正しい」方法で研究すればよいと考えがちだ。

しかし、実際に助教授になったら、テニュア(終身在職権)を得るために論文をたくさん出版し、たくさんの助成金を得る必要がある。

そこで、あと数年だけ、あの忌まわしい「インセンティブ」制度に甘んじることをしてしまう。

そして、テニュア(終身在職権)を得たら、今度は別の問題に直面する。

指導下の大学院生たちも、かつてのあなたと同じように学位と就職先が必要だ。それで、論文出版しなければならない。

というわけで、従来の「インセンティブ」制度に甘んじる。

もし、あなたが大学院生と同僚たちに「私の過去15年間の研究論文はテニュアを得るためだけのものだったので、懐疑的に見てください」と言ったら、大学院生と同僚たちどう思うか?

例外がないわけではないけど、どうでしょう。

「大学の教員職を得たら」という話を私に聞かせてくれた何人かの若手研究者は、私の知る限り、その後、1人もその意図通りの研究キャリアを実現できなかった。

これは驚くべきことではない。

人生のほとんどの場面で、間違った方向に向かって歩いた期間が長ければ長いほど、軌道修正は困難になる。

だから、もしあなたが「インセンティブ」制度に甘んじる理由の一部が、キャリアの次の段階に到達すれば「インセンティブ」制度に頼らなくても済むという予想なら、戦略を考え直した方が良い。

「インセンティブ」は、キャリアの階段を上っても消えることはない。むしろ、それを無視するのはますます難しくなる。

★7.長期的な視点を持っていない(You’re not thinking long-term)
★8.何も達成できず、むしろ事態を悪化させる(It achieves nothing and probably makes things worse)

以上の2節は省略。

★9.それはあなたの職務です

ここで言う最後の点は言うまでもないのだが、必要なので言う。

あなたが「研究上の悪い行動」をインセンティブのせいにしない方が良い理由は、あなたが研究者で、研究者は真実を追求することが責務だからだ。

納税者はあなたのキャリアを支援して資金を提供しているわけではない。

彼らは、あなたが「学び、改善し、建設する(learn shit, cure shit, and build shit)」ために資金を提供している。

もしあなたが、科学研究そのものの価値を貶める行為をするかもと感じる時の問題は「インセンティブ」ではなく、あなた自身にある。

●7.【白楽の感想】

《1》「ズルして得したい」人間性 

タル・ヤルコニ(Tal Yarkoni)の「2018年10月のtalyarkoni.org/blog」論文は難解だ。

対象とする命題が微妙だからなのか、文体が独特なためか、白楽には記述があいまいに思えて(白楽の読解力が低いためだと思うけど)、数年前に読んだとき、途中で放棄していた。しかし、内容は重要なので、思い返して記事にした。

今回、論文を「正確に」解読できたのかどうか自信はない。

研究不正(ネカト)をする理由や動機として、多くの研究者や論文は、出版や研究費獲得のプレッシャーなどを不正行為の理由にする。

これは、ネカト者の言い訳なのだが、どういうわけか、多くの人はこの言い訳を本当の理由や動機としてしまう。

それで、出版プレッシャーが強いから研究不正したとか、研究費獲得のプレッシャーに負けて研究不正したと書いたりする。つまり、ヤルコニが批判する「研究システムに問題がある(「インセンティブ」)」と主張する。

白楽は研究システムの問題もあるが、基本は「ズルして得したい」人間性だと思っている。→ https://haklak.com/page_why_FFP.html#link5

「一時の気の迷い」、「魔が差す」、「若気の至り」で、その時、「ズルしてでも得したかったから」もあるが、そもそも「富・名声・地位を得るのには上手にズルするのが成功の秘訣だと思っている」人たちもいる。 

タル・ヤルコニ(Tal Yarkoni)、https://megalodon.jp/2025-0722-2018-59/https://x.com:443/tal_at_work

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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人類福祉の観点から、人口過多の発展途上国から、適度な人数の移民を受け入れる。
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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