2018年7月21日掲載。
白楽の意図:著者1人の論文も、著者1,000人の論文の著者も、「論文を1報出版している」とカウントされる。2016年10月6日に「4‐3.著者在順(オーサーシップ、authorship)・代筆(ゴーストライター、ghost writing)・論文代行(contract cheating)」で、この不公平をなくすために、白楽は論文著者の貢献度数を導入することを提案した。日本人が第二著者で類似の提案をした2017年11月の論文があったので、紹介しよう。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.論文概要
2.書誌情報と著者
3.論文内容
4.白楽の感想
5.関連情報
6.コメント
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【注意】「論文を読んで」は、全文翻訳ではありません。ポイントのみの紹介で、白楽の色に染め直してあります。
●1.【論文概要】
各著者の論文への貢献度をどのように示すか、今まで、何人もの研究者が改善策が提案してきた。一般的に一部の学術誌では、各論文にどの共著者がどの作業を行なったかを簡単に説明するセクションを設けている。生態学分野では、学術誌の13.3%がこの方式を採用している。しかし、この方式は貢献度を数値化していないこともあって、論文間、著者間、分野間で貢献度を比較できない。別途、著者貢献度を数値で示す方法も提案されているが、多くは、複雑すぎる、あるいは、正確さに欠けるなどで学術誌はどれも採用していない。
本論文で提示した著者貢献度指数(Author Contribution Index)は、著者が論文投稿時に各共著者の貢献度をパーセントで伝え、そのパーセントと共著数から簡単に算出する数値である。この著者貢献度指数を学術誌が採用すれば、研究者の出版論文への貢献度を数値で示せ、研究者の採用や昇進時の評価、研究職の求職者、研究者の募集組織、研究費助成団体、賞授与団体などに、正確で妥当な評価ツールを提供できる。
●2.【書誌情報と著者】
★書誌情報
- 論文名:Percentage-based Author Contribution Index: a universal measure of author contribution to scientific articles
日本語訳:パーセンテージに基づく著者貢献度指数:科学論文の著者貢献度の普遍的な尺度 - 著者:Stéphane Boyer, Takayoshi Ikeda, Marie-Caroline Lefort, Jagoba Malumbres-Olarte and Jason M. Schmidt
- 掲載誌・巻・ページ:Research Integrity and Peer Review, 2, 18, 2017
- 発行年月日: 2017年11月3日
- DOI: https://doi.org/10.1186/s41073-017-0042-y
- ウェブ:https://researchintegrityjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41073-017-0042-y
- PDF:https://researchintegrityjournal.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/s41073-017-0042-y
★著者
- 第1著者:ステファン・ボイヤー(Stéphane Boyer)
- 写真:https://www.researchgate.net/profile/Stephane_Boyer
- 履歴書:https://www.linkedin.com/in/stephane-boyer-b3a4605b/
- 国:フランス
- 学歴:フランスのレンヌ大学(Rennes University)で2004年、生態学の研究博士号(PhD)取得
- 分野:昆虫学
- 所属・地位:トゥール大学(フランソワ・ラブレー大学、Institut de Recherche sur la Biologie de l’Insecte (IRBI) – UMR 7261 CNRS / Université de Tours, Tours, France)・教授
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- 第2著者:Takayoshi Ikeda (池田隆美)
- 写真:https://twitter.com/tak_grd
- 国:日本
- 学歴:?
- 分野:気象学
- 所属・地位:海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth。文部科学省所管の国立研究開発法人)・気候変動予測応用グループ・特任研究員
●3.【論文内容】
●【1.序論】
学術界では、共著者の論文への貢献をどのように示すかが議論になってきた。利用可能な評価法が数多くあるにもかかわらず、学術界は依然として、著者リストの中で該当著者は何番目になるかで貢献度を示してきた。この著者リスト内の位置で著者の貢献を示す方式は、一般的に使用され、貢献度を評価する多数の方法がこれに基づいて提案されている。例えば[Kaushik R. The “authorship index”—a simple way to measure an author’s contribution to literature. Int J Res Med Sci. 2013;1:1. doi:10.5455/2320-6012.ijrms20130201.]。
しかし、著者リストの中の位置に基づく評価法は、本質的には、主観的で、場合によると、根拠が薄い評価であり、「真の」貢献を定量化したものではない。
各著者の論文への貢献度を適切に表記することへの関心が高まっているにも関わらず、コンセンサスが得られず、学術誌は標準的な方法を確立できていない。一部の学術誌は、各著者の貢献を文章で簡単に記述するための専用のセクションを設けている。
ウェブ・オブ・ナレッジ(ISI Web of Knowledge)に掲載されている生態学のトップ150の学術誌を調べると、13.3%が共著者の貢献を文章で簡単に記述するよう要求している。つまり、著者は、通常、論文投稿時に、どの著者がどの作業を行なったかを簡単に説明するように求められる。この情報は価値があるものの、各共著者の貢献具合を客観的・直接的・普遍的に評価するのには役に立たない。
例えば、総説執筆のための「データ収集」は、場合によっては、特定のキーワードで論文を検索できるが、これは野外生態学では非常に時間のかかる作業であり、コンピュータ生態学では高度な技術課題である。研究の分野や論文のタイプによって、「データ収集」の軽重は非常に異なるのである。さらに、個々の作業は複数の著者によって実施されることが多いが、統括研究者(連絡著者、lead or corresponding author)以外は他の著者の貢献具合を分からない。
そして、多くの場合、統括研究者が著者リストの中の共著者の位置と貢献度を一方的に決めている。これは、公平という観点では問題がある。
これらの欠点に対処するため、私たちは、簡単に適用でき、普遍的に比較可能で公平な著者貢献度のツールを提案する。
なお、国際医学ジャーナル編集委員会(International Committee of Medical Journal Editor)は、著者になるには次の3要件のすべてを満たすことが必要だと規定している。①論文の知的内容への貢献。②原稿作成、批判的な論評、または修正原稿の作成。③最終原稿の承認。
出典:https://slideplayer.com/slide/705044/のスライド5枚目
●【2.方法】
★著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)
著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)は、著者が論文投稿時に提出する各共著者のパーセンテージでの貢献率に基づいて、次の方程式から簡単に算出できる。
著者貢献度指数(ACI)は、方程式(1)で算出する。
著者iにとって、
Ci =パーセンテージでの著者iの貢献度(0より大きく1未満でなければならない)
n = iを含む著者の総数(> 1でなければならない)。
★生態学分野での実地検証
生態学分野での実地検証は、過去3年間のすべての共著論文について、共著者の貢献度をオンラインで調査した。回答者は匿名である。
収集した他の情報は、論文を投稿した時の国、研究活動の年数、職務内容である。オンライン調査の依頼は、電子メーリングリスト、生態学会ニュースレター、ソーシャルメディアで配布した。回答期間は2016年9月4日から2017年1月8日までの約3か月間だった。
この期間中、19カ国の97人の生態学者が回答してくれた。不完全な回答を削除したこと以外、回答者をフィルタリングしなかった。矛盾した回答や明らかに不正確な回答(複数の共著者がいるのに、回答者が100%作業したと主張する論文など)は削除した。
最終的なデータセットは97人の生態学者からの836論文のデータになった。
正常性の仮定を満たすため著者貢献度指数(ACI)を対数変換(log10(ACI))し、すべての統計解析をR [Development Core Team. R: a language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing. 2014;1 2.11.1:409. doi:10.1007/978-3-540-74686-7]で行なった。
研究活動の年数は、博士論文または最初に出版した査読論文のいずれか早い時期からの年数として定義した。研究活動の年数に関連して著者貢献度指数(ACI)を分析するために、線形回帰およびF統計を使用した。
●【3.シンプルで正確な尺度:貢献度】
パーセンテージは明白な数字で、研究分野、共同著者数、論文の性質(実験、総説、視点(パースペクティブ)など)に関係なく、普遍的に適用することができる。
論文の著者リストは、各共著者の貢献を示すのに最善で、著者の決定は不可欠である。共同研究者の間で意見の不一致が生じることもあるが、研究プロセスの初期段階で共同研究者間の貢献を明確にすることは、潜在的な緊張を緩和し、場合によっては「真の共同研究」を促進する。
共著者は、原稿を投稿する前に、それぞれの貢献について討議し合意することになる。著者貢献度指数(ACI)は、投稿段階で連絡著者が各共著者に示す。著者在順を確認することで、すべての共著者は自分と他のすべての著者の貢献度を確認できる。このことで、出版されたすべての論文は、すべての共著者が議論し合意した著者貢献度指数(ACI)を表示できるのだ。
著者の貢献に対して多くのガイドラインと最良の方法が提案されている(例えば、[Marušić A, Hren D, Mansi B, Lineberry N, Bhattacharya A, Garrity M, et al. Five-step authorship framework to improve transparency in disclosing contributors to industry-sponsored clinical trial publications. BMC Med. 2014;12:197. doi:10.1186/s12916-014-0197-z.])。
出発点はまず、各著者の貢献度合いに応じてパーセント割合で示す。各著者の貢献度の総数が100%になる。このパーセントは、それぞれの著者が他の著者より研究に貢献したか・しなかったかの程度でもある。
各著者の貢献をパーセントで示すのは、共著者の貢献を正確に反映するためで、2003年、フェアハーゲン(Verhagen JV)らは4つのカテゴリー「概念とデザイン、データ収集、データ分析と結論、原稿作成」で各著者が貢献した度合いをパーセントで表示する「定量的統一著者在順(Quantitative Uniform Authorship Declaration:QUAD)」方式を提唱した[Verhagen JV, Wallace KJ, Collins SC, Scott TR. QUAD system offers fair shares to all authors. Nature. 2003;426:602. doi:10.1038/426602a.]。
2015年、ウォーレンダー(Warrender)は、非常に良く似ているが、パーセントではなくスコアに基づいた方式を提案した。[閲覧有料:Warrender JMA. Simple framework for evaluating authorial contributions for scientific publications. Sci Eng Ethics. 2015;22:1419–30]。
2014年、クレメント(Clement)は、4つのカテゴリーを使用するが、その内容として少し異なる「アイデア、仕事、執筆、スチュワードシップ」を提唱した。[Prabhakar Clement T. Authorship matrix: a rational approach to quantify individual contributions and responsibilities in multi-author scientific articles. Sci Eng Ethics. 2014;20:345–61.]
しかし、過度に複雑な指標を用いると、研究者なその指標を使用しなくなる。また、計算に使用される基準は、一貫していなければならず、研究分野全体で同等の重要性が必要だ。
さらに、多くの研究者は、貢献度の最低値を10%、または著者が選択した閾値などの任意の閾値に限定すべきだと主張している。しかし、閾値を設けると、論文間、学術誌間、研究分野間で大きな矛盾を招き、比較できなくなる可能性がある。
さらに、閾値は、共同研究者の数を制限するので学際的な研究に影響を及ぼす。また、マイナーな貢献者を除外する方向に働き、ゴースト著者(すなわち、研究に貢献したのに著者リストから省かれる研究者)を増す可能性がある。
それで、複数著者の論文の各共著者の貢献度は、0%以上100%未満の数値にすることを提案する。 これで、著者の決定と読者の把握が簡単になる。 さらに、この方式では、著者数に上限はない。 貢献度は、出版された論文に生の数字として、または数字として表示する(図1)。
図1各共著者の貢献度をパーセントで表示する:表(a)で、テキスト(b)で、図(c)で。
●【4.普遍的な評価法:パーセントを基準にした著者貢献度(ACI)】
論文への著者貢献度をパーセンテージで評価すると、共著者が多い場合、数学的に高いパーセンテージを得るのは難しい。そのため、異なる論文間で比較するのが難しい。 結果として、著者数が異なる論文間で著者の貢献度を比較できない。この欠点を解決するために、本論文では、共著者の数を考慮に入れた著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)を提案する。
方法のセクションに書いたが、再掲すると、著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)は次の方程式(1)で算出される。
著者iにとって、
Ci =パーセンテージでの著者iの貢献度(0より大きく1未満でなければならない)
n = iを含む著者の総数(> 1でなければならない)。
著者貢献度指数(ACI)(i)は、他のすべての共著者の平均貢献度と比較した著者iの貢献度を反映している。 著者iの貢献度が他のすべての著者の平均貢献度よりも大きい場合、最優秀であり、著者iの貢献度が他のすべての著者の平均貢献度よりも低い場合、最低劣である。
たとえば、3人の共著者の論文で60%貢献した著者は、著者貢献度指数(ACI)(i)が3になる。この値は他の著者の著者貢献度指数の3倍になる。
[白楽注:60%貢献した著者をA氏とする。他の2人の共著者B氏とC氏がそれぞれ20%貢献したとすると、B氏とC氏の著者貢献度指数(ACI)はそれぞれ0.5になる。A氏の著者貢献度指数は、他の共著者B氏とC氏の3倍になると論文は記述しているが、6倍になるヨ。なんかヘンですね。白楽が間違えています?]
別の有用な指標はlog10(ACI)であり、著者の貢献度が他のすべての著者の平均貢献度よりも大きい場合は正であり、平均貢献度よりも低い場合は負である。 この数値は、比較や統計分析のためにデータを正規化する場合に特に便利である。
[白楽注:便利に思えない。白楽が論文の記述を理解できていません?]
図2のグラフは、最大200名の共著者の論文のすべての著者貢献度指数(ACI)の可能性を示している。
特定の著者の貢献度プロフィールは、分析される著者の1つの論文を表す点を1つ加えることによって、著者貢献度指数(ACI)の世界に表示することができる。
[白楽注:このあたりの記述、白楽は理解できません。それで以下2行だけ書いて、その後は省略]
これらのデータから、著者のプロフィールは、研究活動の年数、著者の年功、研究の分野、著者が所属する大学・研究所のタイプなどの様々な基準に従って現れる。
図2
図3.
●【5.公正なツール:求職者、募集者、業績評価を支援する】
省略
●【6.最初の見方著者貢献度指数(ACI)の検証】
●【7.制限と代替アプリケーション】
省略
●【8.その他】
★著者の貢献
本論文の著者を以下に再掲する。
- 著者:Stéphane Boyer, Takayoshi Ikeda, Marie-Caroline Lefort, Jagoba Malumbres-Olarte and Jason M. Schmidt
各著者の貢献を文章で簡単に記述するための専用のセクションが本論文にも設けられている。
そして、次のように説明している。
SBはそのコンセプトを設計し、原稿を作成した。 SBとTIが数字を作成した。 SB、TI、JMO、JSは倫理的な承認を行い、それぞれの国の科学者からのデータを収集した。 MCLは既存のジャーナルのポリシーを見直した。 SB、TI、JMO、JS、MCLは最終版の執筆に貢献した。
以上が通常の論文で記述される著者貢献の内容の記述である。
本論文で提唱している著者の貢献度パーセントをテキスト形式で記入すると、以下のようになる。
SB: 55%, TI: 15%, MCL:10%, JMO: 10%, JS: 10%.。
●4.【白楽の感想】
《1》研究者の評価
研究者の評価は論文の質と量で判定することが多いが、質の判定は難しい。それで、量、つまり、出版論文数で判定されることが多い。
量と言っても、少し質を加え、①査読論文に限る、②インパクトファクターを考慮する、③被引用回数を考慮するなどの改善がされることもしばしばある。
しかし、共著者数を考慮する方法はあまり提唱されていない。著者1人の論文も、著者1,000人の論文の著者も、「論文を1報出版している」とカウントされる。
《2》著者在順
論文に共著者を加えるのにコストはかからない。そして、前述したように、著者1人の論文も、著者1,000人の論文の著者も、「論文を1報出版している」とカウントされる。
国際医学ジャーナル編集委員会(International Committee of Medical Journal Editor)は、著者になるには次の3要件のすべてを満たすことが必要だと規定している。①論文の知的内容への貢献。②原稿作成、批判的な論評、または修正原稿の作成。③最終原稿の承認。
しかし、論文投稿時に、学術誌がこの3要件の証拠の提出を求めることはない。
それで、統括研究者(連絡著者、lead or corresponding author)が、誰を著者リストに加えるか、または加えないか、加える場合の各著者の位置(著者リストの順位)を胸先三寸で決めているのが現実である。
従って、共著者数は増える。特に院生は論文数が多ければ奨学金獲得・留学・就職にとても有利になる。それで、統括研究者は研究室の多くの院生に少し手伝わせて著者に加える。
これらの要因が、著者の「真の姿」とは大きくかけ離れてしまった著者在順の現実を生み出している。それを解消するための方策が求められている。
《3》著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)
この論文の提唱する著者貢献度指数(ACI)は、方程式(1)で算出する。
白楽なりに以下計算してみた。
例:著者Aは、10人の共著の論文で、貢献度50%だったとすると、
ACI(i)=0.5×{(10-1)/(1-0.5)}で著者貢献度指数(ACI)は、9になる。
著者Bは、2人の共著の論文で、貢献度50%だったとすると、
ACI(i)=0.5×{(2-1)/(1-0.5)}で著者貢献度指数(ACI)は、1になる。
著者Cは、10人の共著の論文で、貢献度20%だったとすると、
ACI(i)=0.2×{(10-1)/(1-0.2)}で著者貢献度指数(ACI)は、2.25になる。
なんか、著者貢献度指数(ACI)を算出する手間が必要なのに、上記のように実際に著者貢献度指数(ACI)の数値を求めてみると、「9」や「1」や「2.25」で、ピンとこない。
そして、著者貢献度指数(ACI)は、2人の共著の論文で貢献度50%だった著者Aは「1」で、同じ貢献度50%なのに10人の共著の論文の著者Bは「9」である。1つの論文に対して同じ50%という貢献度なのに、著者貢献度指数(ACI)にすると、9倍も違う。著者貢献度指数(ACI)はなんかヘンだ。それに、これでは、論文間の比較はできない。
むしろ、白楽が提唱するように(勿論、2003年のフェアハーゲン(Verhagen JV)らの論文や2014年のクレメント(Clement)の論文など、先行論文がいくつもあり、世界で最初に白楽が提唱したわけではない)、共著者数と関係なく、貢献度50%なら0.5、貢献度20%なら0.2とする方が単純で明確な気がする。
2003年のフェアハーゲン(Verhagen JV)らの論文と2014年のクレメント(Clement)の論文を再掲すると、次のようだ。
4つのカテゴリー「概念とデザイン、データ収集、データ分析と結論、原稿作成」で各著者が貢献した度合いをパーセントで表示する「定量的統一著者在順(Quantitative Uniform Authorship Declaration:QUAD)」方式である。[Verhagen JV, Wallace KJ, Collins SC, Scott TR. QUAD system offers fair shares to all authors. Nature. 2003;426:602. doi:10.1038/426602a.]
4つのカテゴリーを「アイデア、仕事、執筆、スチュワードシップ」とする2014年のクレメント(Clement)の提案はもっと良いと思う。[Prabhakar Clement T. Authorship matrix: a rational approach to quantify individual contributions and responsibilities in multi-author scientific articles. Sci Eng Ethics. 2014;20:345–61.]。
《4》学術誌・編集長、採択してね!
2016年10月6日に「4‐3.著者在順(オーサーシップ、authorship)・代筆(ゴーストライター、ghost writing)・論文代行(contract cheating)」で、白楽は論文著者の貢献度を数値で導入することを提案した。
ステファン・ボイヤー(Stéphane Boyer)のこの「2017年のResearch Integrity and Peer Review」論文は、2017年11月に発表と、白楽のブログ記事の約1年後だが、アイデアはよく似ている。
ただ、共著者数を勘案し少し複雑にした著者貢献度指数(ACI:Author Contribution Index)を算出していて、白楽は、その有効性に疑問を感じてしまった。
なお、パーセントで著者貢献度を表す方式は著者在順の問題を大きく改善するので、学術誌・編集長は是非採択してほしい。国際医学ジャーナル編集委員会(International Committee of Medical Journal Editor)も、チャンと検討してほしい。
●5.【関連情報】
① 2014年4月16日の「Nature」記事:Publishing: Credit where credit is due : Nature News & Comment
② 2015年5月13日の「Nature」記事:Fruit-fly paper has 1,000 authors : Nature News & Comment
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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい(富国公正)。正直者が得する社会に!
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
●6.【コメント】