ヨン・スドベ (Jon Sudbø) (ノルウェー)改訂

2018年5月16日掲載。

ワンポイント:スドベは、ノルウェーのオスロ大学・準教授、オスロ大学病院ノルウェー・ラジウム病院(Norwegian Radium Hospital)の医師・歯科医師で、著名ながん研究者だった。2006年1月(44歳)、「2005年のランセット」論文のデータねつ造が発覚した。2007年8月31日頃(46歳)、米国・研究公正局はねつ造・改ざんがあったと発表し、生涯の締め出し処分を科した。「2005年のランセット」論文を含め15 論文(12論文が撤回)とオスロ大学の博士論文にねつ造・改ざんが見つかった。医師免許・歯科医師免許は剥奪。オスロ大学は博士号を剥奪。損害額の総額(推定)は14億6400万円。
この事件は、白楽指定の重要ネカト事件である:研究公正局が生涯にわたる締め出し処分(debarment)を科した3人のうちの1人

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

141018 Jon-Sudbo[1]ヨン・スドベ(Jon Sudbø、写真出典)は、ノルウェーのオスロ大学・準教授、オスロ大学病院ノルウェー・ラジウム病院(Norwegian Radium Hospital)の医師・歯科医師で、著名ながん研究者だった。

2005年10月(44歳)、『ランセット』誌に13人の共著者ととにも、口腔がんに非ステロイド系抗炎症剤が有効という画期的な研究論文を発表した。

2006年1月(44歳)、ノルウェー公衆健康研究所の医師で疫学部長のカミラ・ストルテンベルグ(Camilla Stoltenberg)がスドべの「2005年のランセット」論文を読んで、データねつ造を見つけた。

2006年6月30日(45歳)、ノルウェー・ラジウム病院とオスロ大学の調査委員会は、スドべの1993年(32歳)-2006年(45歳)の38論文と2001年(39歳)の博士論文を調査した結果、「2005年のランセット」論文を含め15 論文(12論文が撤回)と博士論文にねつ造・改ざんが見つかったと発表した。

Wanja Kildalねつ造・改ざん論文の7報は妻・ワンジャ・キルダル(Wanja Kildal、写真出典)と共著だった。妻・ワンジャは、現在、オスロ大学のノルウェー・ラジウム病院の がん遺伝学インフォマティクス研究所(Institute for Cancer Genetics and Informatics)のチーフエンジニアである。

また、ねつ造・改ざん論文の2報は双子の兄・アスレ・スドベ(Asle Sudbø写真出典)と共著だった。兄・アスレはノルウェー科学技術大学(Norwegian University of Science and Technology)・教授で、超電導が専門である。兄は、ねつ造を知らなかったということで免責されている。

ヨン・スドベは、米国・NIHから1,050万ドル(約10億円)の研究費を受給していた。

2007年8月31日頃(46歳)、米国・研究公正局は、ネカト調査の結果、ヨン・スドベをクロと発表した。処分としては最も重い生涯にわたる締め出し期間とした。2018年5月15日現在、その処分はわずか3人にしか科されてない。
→ 「研究公正局の締め出し年数」ランキング | 研究倫理(ネカト)

この事件は、白楽指定の重要ネカト事件である:研究公正局が締め出し処分(debarment)を生涯にわたり科した3人のうちの1人である。

オスロ大学病院・ノルウェー・ラジウム病院(Norwegian Radium Hospital)のロゴと建物。写真出典

  • 国:ノルウェー
  • 成長国:ノルウェー
  • 男女:男性
  • 生年月日:1961年5月3日
  • 現在の年齢:57歳
  • 分野:がん学
  • 最初の不正発覚論文発表:2001年(39歳)
  • 発覚年:2006年1月(44歳)
  • 発覚時地位:オスロ大学病院の一部であるノルウェー・ラジウム病院(Norwegian Radium Hospital)の医師・歯科医師、オスロ大学・準教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はノルウェー公衆健康研究所の医師で疫学部長のカミラ・ストルテンベルグ(Camilla Stoltenberg)である。ノルウェー・ラジウム病院とオスロ大学に公益通報
  • ステップ2(メディア): 「Vitality」のヘルケ・フェリー(Helke Ferrie)記者
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②ノルウェー・ラジウム病院とオスロ大学が設置した調査委員会。2006年1月18日-2006年6月30日。6か月間。③研究公正局。~2007年8月31日頃
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり。英語版もあり
  • 大学の透明性:所属機関の事件への透明性。実名報道で調査報告書(委員名付き)がウェブ閲覧可(◎)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:15 論文(12論文が撤回)と博士論文
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 損害額:総額(推定)は14億6400万円。内訳 → ①研究者になるまで5千万円。②研究者の給与・研究費など年間2000万円が5年間=1億円。③院生の損害が1人1000万円で、額は②に含めた。④外部研究費:米国・NIHから約10億円。ノルウェーから2億円(当てずっぽう)。⑤調査経費(大学と研究公正局と学術誌出版局)が5千万円。⑥裁判経費なし。⑦論文出版・撤回作業が1報につき100万円、撤回論文の共著者の損害が1報につき100万円。12報撤回=2400万円。⑧研究者の時間の無駄と意欲削減が4千万円
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: NIHから生涯の締め出し処分。大学と病院を辞職。医師免許・歯科医師免許は剥奪(Ⅹ)。オスロ大学の博士論文にも不正が発覚し、博士号も剥奪(Ⅹ)。
  • 日本人の弟子・友人:?

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:1961年5月3日
  • 1985年(23歳):オスロ大学・歯科医師コース入学。クラスで1番の成績。歯科医師免許を取得
  • 1994年(32歳):オスロ大学・医師コース。医師免許を取得
  • 2001年2月20日(39歳):オスロ大学より博士号取得。博士研究プロジェクトは1993-2001年の9年間。指導者はノルウェー・ラジウム病院のAlbrecht Reith教授だが、オスロ大学教授ではなかったので、オスロ大学教授のJahn Neslandが形式的指導者になった。博士論文「Predictive markers in oral premalignancies and early stage carcinomas
  • 20xx年(xx歳):オスロ大学ノルウェー・ラジウム病院の医師・歯科医師、オスロ大学・準教授
  • 2005年(43歳):ネカト発覚の契機となる問題の「2005年のランセット」論文を発表
  • 2006年1月(44歳):データねつ造が発覚
  • 2006年(45歳):大学と病院を辞職
  • 2006年(45歳):医師免許・歯科医師免許が剥奪された
  • 2006年(45歳):博士論文にも不正が発覚し、博士号も剥奪された
  • 2007年8月31日頃(46歳):米国・研究公正局は、ヨン・スドベをクロと発表した
  • 2007年(46歳):限定的な歯科医師免許が認められた
  • 2009年(47歳):限定的な医師免許が認められた
  • 2018年(56歳):ノルウェーのセルヨール(Seljord)で歯科助手として勤務

●4.【日本語の解説】

★2013年11月20日:科学研究における健全性の向上に関する検討委員会(第 2 回)議事要旨(案) – 日本学術会議

出典 → ココ、21ページの囲み記事

元オスロのノルウェーラジウム病院の生物学者ヨン・スドベー(Jon Sudbø)(ノルウェー)は、鎮痛剤や喫煙リスクに関して 2005 年に発表した複数の研究の患者データをねつ造した(Couzin and Schirber, 2006)。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

【研究】

がんの治療は一般的に外科切除、化学療法、放射線療法の3種類である。がんは、薬を飲んで治せる(つまり、化学療法)と良いが、現実にはそのようながんは少ない。

日本癌治療学会のがん診療ガイドラインによれば、口腔がんの治療は以下のようだ。

口腔癌を含む頭頸部癌に対する治療は従来から手術や放射線治療が中心に行われ,進行癌には手術,放射線,化学療法を組み合わせた集学的治療が行われている。

ヨン・スドベは3つの論文で大きな発見をした(ことになっている)。

1つ目は「2001年のNEJM」論文で、2つ目は「2004年のNEJM」、3つ目はネカトが最初に発覚した「2005年のランセット」論文である。どれもネカトで撤回された。

★「2001年のNEJM」論文

ヨン・スドベは、150人の白板症(leukoplakia、写真出典同)患者の切除された病変の染色体DNA含量を分析した。その結果、DNA量の異常だと口腔癌を発症する危険性が非常に高い、と報告した。

  • 正常DNA量(二倍体)の患者の3%が口腔癌を発症
  • 正常DNA量の2倍(四倍体)の患者の60%が口腔癌を発症
  • 異常な量のDNA(異数性、不規則な数の染色体)の患者の84%が口腔癌を発症

つまり、生検細胞の染色体を単純に分析するだけで、患者の口腔癌発症リスクを予測することができる。そのことで、リスクが高い患者を対象に予防と治療を集中できる。画期的である。この「2001年のNEJM」論文は、2001-2006年の間に、168回も引用された。

★「2004年のNEJM」論文

ヨン・スドベは、口腔癌を発症した2001年の論文の150患者の生存率を評価した。

異数性白板症の患者は、がんを発症する可能性が高いだけでなく、治療後も再発する可能性が高く、2001年に異数性病変を有すると診断された患者のみが経過観察期間中に死亡した。異数性白板症の病変を有する癌患者の5年死亡率は72%だった。この「2004年のNEJM」論文は、2004-2006年の間に、53回も引用された。

★「2005年のランセット」論文

「2005年のランセット」論文は、イブプロフェン(ibuprofen)などのプロピオン酸系の非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAID:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs) が口腔がんの発症を抑えるとヨン・スドベが発表した。

薬を飲んで口腔がんの発症を抑えられるなら、研究結果は、当然、センセーショナルである。

なお、イブプロフェンはアスピリンと同じようにポピュラーな鎮痛薬で、日本でも他国でも街の市販薬として入手可能で、アメリカではスーパーや雑貨店で購入できる。日本では科研製薬が製造・販売する商品名「ブルフェン」がイブプロフェンである。

作用機序の説明を省くが、イブプロフェンは、鎮痛作用以外に、抗血小板作用、パーキンソン病の危険性の低下、アルツハイマー型痴呆の予防効果があるとされている。

【不正発覚の経緯】

スドべの「2005年のランセット」論文は、908人の患者を対象にした研究結果であった。

ヘルケ・フェリー(Helke Ferrie、写真出典)の記事に加筆すると不正発覚の経緯は以下のようだ。
→ 2006年4月1日のヘルケ・フェリー(Helke Ferrie)記者の「Vitality」記事:Medical Research Fraud | Vitality Magazine | Toronto Canada alternative health, natural medicine and green living

スドべが2005年10月に論文を発表した2か月後、ノルウェー公衆健康研究所(Norwegian Institute of Public Health、所員約1,000人)の医師で疫学部長のカミラ・ストルテンベルグ(Camilla Stoltenberg、下の写真出典)は、12月のクリスマス休暇中のお勉強にと、今やノルウェーが誇る世界的な研究成果をあげたスドべの「2005年のランセット」論文を読んでいた。
141018 camilla_stoltenberg_724750i[1]

研究者は細かいことにも注意深い。論文には、小さな字で、908人の患者はノルウェー・データベース・コホートから得たと書いてあった。

たまたま、カミラ・ストルテンベルグはノルウェー・データベース・コホートの責任者だった。論文ではそこからデータを得たと書いてあったが、このデータベースは2006年1月に公開予定で、論文出版時の2005年10月時点では、まだ、公開されていない。どうなっているのだ?

さらに調べると、908人の患者の内、250人は同じ誕生日だった。

ストルテンベルグはノルウェー・ラジウム病院とオスロ大学に疑念を伝えた。

2006年1月18日(44歳)、ノルウェー・ラジウム病院とオスロ大学は調査委員会を設置した(Investigation Commission appointed by Norwegian Radium Hospital and the University of Oslo)。

2006年6月30日(45歳)、調査委員会は、スドベの1993年(32歳)-2006年(45歳)の38論文と2001年(39歳)の博士論文を調査した結果、スドべの論文に多数のデータねつ造・改ざんが見つかったと発表した。6か月という短期間の調査で、英文で145ページに及ぶ報告書にまとめ、発表した。「Report from the Investigation Commission appointed by Rikshospitalet -Radiumhospitalet MC and the University of Oslo January 18, 2006

以下の文書をクリックすると、報告書のPDFファイル(720 KB、145ページ)が別窓で開きます。

ノルウェー・ラジウム病院のスタイン・バーラー(Stein Vaaler)病院長とスドベの同僚は、「彼はすべてを偽造していた。患者の名前、診断、性別、体重、年齢、使用薬物のどれをとっても、本物のデータは1つもありません。すべて彼が作りあげたフィクションです。論文中のすべての患者は偽物です」と述べている。

★偶然か必然か?

この発覚の過程で、白楽が驚いたことがある。

それは、告発者のカミラ・ストルテンベルグは当時のノルウェーの首相・イェンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)の実姉だったことだ。

それで、ヘルケ・フェリー(Helke Ferrie)の記事では、個人的な推定だけどと断り書きして、以下のことが書いてある。

ノルウェーの首相・イェンス・ストルテンベルグは巨大医薬品企業からの資金を得た政治キャンペーンをしなかった。そして2006年1月16日には医療詐欺罪を世界で最初に制定する準備をノルウェー議会は始めた。

141018 Thorvald_Jens_Camilla_Stoltenberg[1]写真出典。2009年、右からカミラ・ストルテンベルグ(告発者)、兄のイェンス・ストルテンベルグ(首相)、父親のトールバルト・ストルテンベルグ(元・外交官)

なお、カミラ・シュトルテンベルクは、2012年8月~現、ノルウェー公衆健康研究所長である。そして、弟の前・首相イェンス・ストルテンベルグは、2014年10月1日から北大西洋条約機構(NATO)事務総長である。

★米国・研究公正局

話しはここから米国に飛ぶ。

スドべは米国・NIHから1,050万ドル(約10億円)の研究助成金を得ていたから、米国・研究公正局も調査に入った。といっても、他国の研究者である。書類とメールで調査しただけである(白楽の推定)。

2007年10月16日(46歳)、米国・研究公正局はスドべの研究費申請書(申請番号1 P01 CA106451-01)及びその研究経過報告書にデータねつ造・改ざんがあったと発表した。
→ NOT-OD-08-006: Findings of Research MisconductCase Summary: Sudbo, Jon | ORI – The Office of Research Integrity

具体的には、スドべがプロジェクトリーダーだった研究プロジェクト「分子標的治療による口腔癌予防(Oral Cancer Prevention with Molecular Targeting Therapy)」の研究助成申請書と進捗報告書にねつ造・改ざんがあったと発表した。

特に問題視されたのは、助成金申請の背景と意義のセクションの図1で、スドべが、口腔前悪性病変を有する患者の生存率に対する病変倍数の効果についてねつ造・改ざんした結果を報告したことだった。

また、スドべは、助成金の最初の年次進捗報告で、研究対象とした患者数を改ざんしていた。

スドべがねつ造・改ざんしたと認めた3論文以外に、調査委員会は、論文内容の信頼性が欠けるので撤回すべきと判断した論文は12報に及んだ。

これら12論文は米国・NIHは助成していなかったが、助成研究と同じ研究領域で、同じようなねつ造・改ざんを行なっていた。

https://alchetron.com/Jon-Sudb%C3%B8

【事件のその後】

2006年(45歳)、スドべは、事件発覚後まもなく、ノルウェー・ラジウム病院とオスロ大学を辞職した。

2006年(45歳)、医師免許・歯科医師免許が剥奪された。

2006年(45歳)、博士論文にも不正が発覚し、オスロ大学から博士号が剥奪された。

2007年(46歳)、歯科医師の助手としてしか治療できないという限定的な歯科医師免許が認められた。この制限は、2036年まで有効である。その時、スドべは 75歳である。

2009年(47歳)、医師の助手としてしか治療できないという限定的な医師免許が認められた。この制限は歯科医師免許と同じで、再度書くが、2036年まで有効で、その時、スドべは 75歳である。

2018年5月15日現在(56歳)、ノルウェーのセルヨール(Seljord)で歯科助手として勤務している。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2018年5月15日現在、パブメド(PubMed)で、ヨン・スドベ(Jon Sudbø)の論文を「Jon Sudbø [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2005年の4年間の19論文がヒットした。

「Sudbø J[Author] 」で検索すると、1997~2005年の9年間の38論文がヒットした。

2018年5月15日現在、「Sudbø J[Author] AND retracted 」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、2006~2009年の12論文が撤回されていた。

一方、2018年5月15日現在、ウィキペディアには、以下の2001~2005年の12撤回論文(パブメドの論文撤回リストと同じ、多分)がリストされ、その後、撤回されていない24論文がリストされている(この24論文はネカト論文ではない、多分)。
→ Jon Sudbo – Wikipedia, the free encyclopedia

12撤回論文はすべてヨン・スドベが第一著者である。12撤回論文の内、7論文は妻・ワンジャ・キルダル(Wanja Kildal)と共著、2論文は兄・アスレ・スドベ(Asle Sudbø)と共著である。

  1. Sudbo J, Lee JJ, Lippman SM, Mork J, Sagen S, Flatner N, Ristimaki A, Sudbo A, Mao L, Zhou X, Kildal W, Evensen JF, Reith A, Dannenberg AJ. Non-steroidal anti-inflammatory drugs and the risk of oral cancer: a nested case-control study. Lancet. 2005 Oct 15-21;366(9494):1359-66. Retraction: Horton R. Lancet. 2006 Feb 4;367(9508):382.
  2. Sudbo J. Novel management of oral cancer: a paradigm of predictive oncology. Clin Med Res. 2004 Nov;2(4):233-42. Review. Retraction: Reed KD, Salzman-Scott SA. Clin Med Res. 2007 Oct;5(3):203.
  3. Sudbo J, Samuelsson R, Risberg B, Heistein S, Nyhus C, Samuelsson M, Puntervold R, Sigstad E, Davidson B, Reith A, Berner A. Risk markers of oral cancer in clinically normal mucosa as an aid in smoking cessation counseling. J Clin Oncol. 2005 Mar 20;23(9):1927-33. Retraction: J Clin Oncol. 2006 Dec 10;24(35):5621.
  4. Sudbo J, Lippman SM, Lee JJ, Mao L, Kildal W, Sudbo A, Sagen S, Bryne M, El-Naggar A, Risberg B, Evensen JF, Reith A. The influence of resection and aneuploidy on mortality in oral leukoplakia. N Engl J Med. 2004 Apr 1;350(14):1405-13. Retraction: Curfman GD, Morrissey S, Drazen JM. N Engl J Med. 2006 Nov 2;355(18):1927.
  5. Sudbo J, Bryne M, Mao L, Lotan R, Reith A, Kildal W, Davidson B, Soland TM, Lippman SM. Molecular based treatment of oral cancer. Oral Oncol. 2003 Dec;39(8):749-58. Review. Retraction: Oral Oncol. 2007 Apr;43(4):421.
  6. Sudbo J. [Chemoprevention of oral cancer]. Tidsskr Nor Laegeforen. 2003 May 29;123(11):1518-21. Review. Retraction: Haug C. Tidsskr Nor Laegeforen. 2006 Sep 7;126(17):2287.
  7. Sudbo J, Ristimaki A, Sondresen JE, Kildal W, Boysen M, Koppang HS, Reith A, Risberg B, Nesland JM, Bryne M. Cyclooxygenase-2 (COX-2) expression in high-risk premalignant oral lesions. Oral Oncol. 2003 Jul;39(5):497-505. Retraction: Oral Oncol. 2007 Apr;43(4):420.
  8. Sudbo J, Reith A. When is an oral leukoplakia premalignant? Oral Oncol. 2002 Dec;38(8):813-4. Retraction: Oral Oncol. 2007 Apr;43(4):419.
  9. Sudbo J, Warloe T, Aamdal S, Reith A, Bryne M. [Diagnosis and treatment of oral precancerous lesions]. Tidsskr Nor Laegeforen. 2001 Oct 30;121(26):3066-71. Retraction: Warloe T, Aamdal S, Reith A, Bryne M. Tidsskr Nor Laegeforen. 2006 Sep 7;126(17):2287.
  10. Sudbo J, Ried T, Bryne M, Kildal W, Danielsen H, Reith A. Abnormal DNA content predicts the occurrence of carcinomas in non-dysplastic oral white patches. Oral Oncol. 2001 Oct;37(7):558-65. Retraction: Oral Oncol. 2007 Apr;43(4):418.
  11. Sudbo J, Bryne M, Johannessen AC, Kildal W, Danielsen HE, Reith A. Comparison of histological grading and large-scale genomic status (DNA ploidy) as prognostic tools in oral dysplasia. J Pathol. 2001 Jul;194(3):303-10. Retraction: J Pathol. 2007 Jan;211(1):109.
  12. Sudbo J, Kildal W, Risberg B, Koppang HS, Danielsen HE, Reith A. DNA content as a prognostic marker in patients with oral leukoplakia. N Engl J Med. 2001 Apr 26;344(17):1270-8. Retraction: Curfman GD, Morrissey S, Drazen JM. N Engl J Med. 2006 Nov 2;355(18):1927.

以下、撤回されていない24論文。

  1. Kildal W, Risberg B, Abeler VM, Kristensen GB, Sudbo J, Nesland JM, Danielsen HE. Beta-catenin expression, DNA ploidy and clinicopathological features in ovarian cancer: a study in 253 patients. Eur J Cancer. 2005 May;41(8):1127-34.
  2. Lilleby W, Sudbo J, Fossa SD. Biology and treatment options during the development of prostate cancer. Tidsskr Nor Laegeforen. 2005 Mar 3;125(5):571-4. Review.
  3. Sudbo J, Reith A. The evolution of predictive oncology and molecular-based therapy for oral cancer prevention. Int J Cancer. 2005 Jun 20;115(3):339-45. Review.
  4. Lippman SM, Sudbo J, Hong WK. Oral cancer prevention and the evolution of molecular-targeted drug development. J Clin Oncol. 2005 Jan 10;23(2):346-56. Review.
  5. Kildal W, Kaern J, Kraggerud SM, Abeler VM, Sudbo J, Trope CG, Lothe RA, Danielsen HE. Evaluation of genomic changes in a large series of malignant ovarian germ cell tumors?relation to clinicopathologic variables. Cancer Genet Cytogenet. 2004 Nov;155(1):25-32.
  6. Sudbo J. Non-invasive early diagnosis of oral cavity malignancies. Anal Cell Pathol. 2003;25(4):157-8.
  7. Sudbo J. [Chemoprevention: treatment of persons at high risk of cancer]. Tidsskr Nor Laegeforen. 2003 May 29;123(11):1514-7. Review.
  8. Scully C, Sudbo J, Speight PM. Progress in determining the malignant potential of oral lesions. J Oral Pathol Med. 2003 May;32(5):251-6. Review.
  9. Sudbo J, Reith A. Which putatively pre-malignant oral lesions become oral cancers? Clinical relevance of early targeting of high-risk individuals. J Oral Pathol Med. 2003 Feb;32(2):63-70. Review.
  10. Reith A, Sudbo J. Impact of genomic instability in risk assessment and chemoprevention of oral premalignancies. Int J Cancer. 2002 Sep 20;101(3):205-9. Review.
  11. Sudbo J. [Adverse effects of COX-2 inhibitors]. Tidsskr Nor Laegeforen. 2002 Jan 10;122(1):102-3.
  12. Sudbo J. [DNA ploidy analysis?a possibility for early identification of patient with risk of oral cancer]. Lakartidningen. 2001 Nov 7;98(45):4980-4. Review.
  13. Sudbo J. Pathology in disgrace? J Pathol. 2002 Feb;196(2):244-5.
  14. Sudbo J, Kildal W, Johannessen AC, Koppang HS, Sudbo A, Danielsen HE, Risberg B, Reith A. Gross genomic aberrations in precancers: clinical implications of a long-term follow-up study in oral erythroplakias. J Clin Oncol. 2002 Jan 15;20(2):456-62.
  15. Sudbo J. Human papillomavirus infection as a risk factor for squamous-cell carcinoma of the head and neck. N Engl J Med. 2001 Aug 2;345(5):376-7.
  16. Sudbo J, Reith A, Lingjaerde OC. Gene-expression profiles in hereditary breast cancer. N Engl J Med. 2001 Jun 28;344(26):2029.
  17. Sudbo J, Marcelpoil R, Reith A. New algorithms based on the Voronoi Diagram applied in a pilot study on normal mucosa and carcinomas. Anal Cell Pathol. 2000;21(2):71-86.
  18. Sudbo J, Marcelpoil R, Reith A. Caveats: numerical requirements in graph theory based quantitation of tissue architecture. Anal Cell Pathol. 2000;21(2):59-69.
  19. Sudbo J, Bankfalvi A, Bryne M, Marcelpoil R, Boysen M, Piffko J, Hemmer J, Kraft K, Reith A. Prognostic value of graph theory-based tissue architecture analysis in carcinomas of the tongue. Lab Invest. 2000 Dec;80(12):1881-9.
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  21. Bryne M, Boysen M, Alfsen CG, Abeler VM, Sudbo J, Nesland JM, Kristensen GB, Piffko J, Bankfalvi A. The invasive front of carcinomas. The most important area for tumour prognosis? Anticancer Res. 1998 Nov-Dec;18(6B):4757-64. Review.
  22. Zhang Z, Suo Z, Sudbo J, Holm R, Boysen M, Reith A. Diagnostic implications of p53 protein reactivity in nasal mucosa of nickel workers. Anal Quant Cytol Histol. 1997 Aug;19(4):345-50.
  23. Xie X, Clausen OP, Sudbo J, Boysen M. Diagnostic and prognostic value of nucleolar organizer regions in normal epithelium, dysplasia, and squamous cell carcinoma of the oral cavity. Cancer. 1997 Jun 1;79(11):2200-8.
  24. Bjaalie JG, Sudbo J, Brodal P. Corticopontine terminal fibres form small scale clusters and large scale lamellae in the cat. Neuroreport. 1997 May 6;8(7):1651-5.

★パブピア(PubPeer)

2018年5月15日現在、「パブピア(PubPeer)」ではヨン・スドベ(Jon Sudbø)の論文にコメントがない:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》初期の不正発見が必須

スドべの不正論文は2001年(39歳)の博士論文が最初である。それから、5年後の2006年(44歳)1月まで発覚しなかった。どうして、もっと早く見つけられなかったのだろう。2001年(39歳)の博士論文で発覚していれば、それ以降の約5年間の不正研究は絶たれたハズだ。2001年(39歳)でなくても、5年間のどこでも指摘されれば、その時点で、不正研究が終了しただろう。

「研究上の不正行為」の防止には、がん治療と同じで、早期発見がとても重要である。本人にとっても研究界・一般社会にとっても傷が浅い。しかし、一般的に「研究上の不正行為」を早期発見しようとする概念・知識・スキルがとても希薄な気がする。なんとかすべきでしょう。

《2》締め出し期間の基準は?

米国・研究公正局は、スドベの締め出し期間を生涯にわたるとした。2018年5月15日現在、その処分はわずか3人にしか科されてない。
→ 「研究公正局の締め出し年数」ランキング | 研究倫理(ネカト)

締め出し期間は通常3年である。しかし、1年や2年の場合もあれば、4年、5年、7年、10年、生涯、もある。

この締め出し期間の長さの判定基準が白楽にはイマイチわからない。

研究公正局は次のように説明している。概念としてはわかるが、具体性がない。

締め出し期間の長さは、不正行為の重大性、不正行為の影響(インパクト)、不正行為の行動パターン(魔が差した~根っから意図的)で決まる。 (Administrative Actions | ORI – The Office of Research Integrity

スドべ事件では、「彼はすべてを偽造していた。患者の名前、診断、性別、体重、年齢、使用薬物のどれをとっても、本物のデータは1つもありません。すべて彼が作りあげたフィクションです。論文中のすべての患者は偽物です」と証言されている。

根っからの意図的ネカト者ということで、生涯が科されたのだろう。

では、日本の学術振興会の締め出し期間の長さの判定基準はどうだろう。

「研究活動の不正行為及び研究資金の不正使用等への対応に関する規程」(平成18年12月6日規程第19号)(PDF)では以下のように少しマシだが、同じように具体性に欠ける。なお、話がズレるが、「特定不正行為に関与していないものの、・・・」とネカトに関与しなかった人も処分対象になっていて、とても驚きである

《3》専門性の高さと人格・一般知識・倫理観は別

世界的な研究成果をあげていたノルウェーの国民的英雄のスドべの研究にケチをつけることは困難だったのだろうか?

カミラ・シュトルテンベルクが不正を告発したのだが、カミラはその時の首相の実姉である。ノルウェーでは、立場の強い人しか、告発できない社会状況があるのだろうか? 疑問形で書いたけど、そんなことはないハズ、・・・、イヤ、考えてみれば、「ある」?。どこの社会でも立場の強い人しか強いことを言えない面はある。

日本では、首相や閣僚などの政治家はマスコミの攻撃対象だが、一般的に著名な学者・ノーベル賞受賞者は攻撃されない。疑念があっても、大目に見られるが、その前に、最初から好意的に見られ、疑念の目が向けられない。

しかし、専門性の高さと人格・一般知識・倫理観は無関係である。ノーベル賞受賞者はその専門分野のエキスパートであるが、しかし、人格・一般知識・倫理観が優れているとは限らない。というか、人格・一般知識・倫理観とは無関係である。倫理観が高い人もいれば低い人もいる。だから、不正研究をしていても不思議はないだろうか? いや、重要な論文はすぐ追試されるので、データ「ねつ造・改ざん」はないだろう。

しかし、盗用はあるかもしれない。

あります。ノーベル賞受賞者ではないが、例えば、社会福祉学者の京極高宣(きょうごく たかのぶ、1942年 – )は、日本社会事業大学、学長国立社会保障・人口問題研究所所長を経て、社会福祉法人浴風会理事長だが、盗用が指摘されている。

また、児童性的虐待や金銭不正もあるかもしれない。

あります。例えば、前者にはカールトン・ガジュセック(米国、1976年度のノーベル生理学・医学賞)が、後者には野依良治(2001年度のノーベル化学賞)がいる。

この人たちを、非難するつもりで例示したのではない。世間では専門分野で優れている人を人格・一般知識・倫理観にも優れていると勘違いする状況がある。その勘違い・誤解文化をヤメてもらいたいのだ。

研究者の事件を調べると、そういう誤解文化が、事件を増幅させていると感じるのである。

《4》事件者も人生がある

人間は死ぬか生きるかの2者択一で、生きている人は、当然ながら、生きるを選択して生きている。事件を起こした研究者も生きている。日本のマスメディアやウェブサイトでは不正行為をした研究者を激しく攻撃する人が多いが、白楽は、生きているのであれば(そう願う)、なるべく前向きに幸福に人生を生きてほしいと思う。

そしてできれば、もっている特殊な技量と経験を社会に役立てて生きてほしい。

研究者は特殊な能力を持っているが、国(つまり国民)はその特殊な能力を持たせるのに、1人につき少なくとも数千万円(5000万円?)の税金を投資している。著名な研究者ならその後の研究への投資額は数億~数十億円だろう。

スドべは、現在、ノルウェーのセルヨール(Seljord)の街の歯科助手として生きている。腕は優秀らしく、街の人々は彼を歓迎しているが、かつての不正研究で、彼を受け入れない人もいるだろう。大きなお世話だろうが、前向きに幸福に生きてほしい。再度同じような不正研究がされないようにチェックされつつも、人の役に立って生きてほしい。

研究者が事件を起こしたとき、事件者に責任を取らせること、再発を防止することは重要である。だが、事件者と被害者の不幸を拡大しないで事件を処理するという配慮・知識・スキルも必要だろう。どうしたらよいのだろうか?

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●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Jon Sudbø – Wikipedia
② 研究公正局の報告:(1) 2007年8月31日頃:Case Summary: Sudbo, Jon | ORI – The Office of Research Integrity、(2)2007年10月9日:Findings of Scientific Misconduct、(3)2007年10月16日:NOT-OD-08-006: Findings of Research Misconduct
③ 2006年1月18日のエマ・マリス(Emma Marris)記者の「Nature」記事:Doctor admits Lancet study is fiction | Nature
④ 2006年1月19日のニコラス・ウェイド (Nicholas Wade)記者の「New York Times」記事:Cancer Study Was Made Up, Journal Says – New York Times
⑤ 2006年4月1日のヘルケ・フェリー(Helke Ferrie)記者の「Vitality」記事:Medical Research Fraud | Vitality Magazine | Toronto Canada alternative health, natural medicine and green living
⑥ 2017年10月29日のジェフ博士(Dr Geoff)記者の記事:Jon Sudbo 1961- Norwegian dental researcher who faked data on predicting oral cancer risk | Dr Geoff
⑦ パワーポイント「Jon Sudbø case – MedUni Wien」:http://www.meduniwien.ac.at/applied-immunology/praes_labm_ss2016/1_Lang-The%20Jon%20Sudbo%20case.pdf
⑧ 旧版:2014年10月25日

141018 WEB_21-_sudb__4703618a[1]写真出典:ノルウェーのセルヨール(Seljord)で歯科助手として勤務するスドべ(2013年1月25日、51歳)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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