ジュン・レン(Jun Ren、任骏)、インメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅)、ルイ・グオ(Rui Guo、郭蕊)(米)

2023年8月5日掲載 

ワンポイント:レンは、中国出身で、ワイオミング大学・教授・副学部長になった。データ改ざん、ねつ造で、2007~2021年(43~57歳?)の26論文が、主に2022~2023年に撤回された。2023年8月4日(59歳?)現在、さらに3報プラスの29報が撤回論文数で、「撤回論文数」世界ランキングの第26位(番号は29番)の多数論文撤回者である。チャンはポスドクで論文撤回数は7報、グオは院生で論文撤回数は 2報である。3人共、ワイオミング大学の処分はなく、中国に帰国し、現在は大学教授である。レンはNIHから23億円の研究費を受給したので国民の損害額(推定)を23億円(大雑把)とした。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ジュン・レン(Jun Ren、任骏、ORCID iD:?、写真出典)は、中国出身で、米国のワイオミング大学(University of Wyoming)・教授・副学部長になった。中国の医師免許を持っている。専門は細胞生物学(心臓病と糖尿病)である。

2023年8月4日(59歳?)現在、29報の撤回論文数で、「撤回論文数」世界ランキングの第26位(番号は29番)である。 → 「撤回論文数」世界ランキング | 白楽の研究者倫理

2015年(51歳?)のワイオミング大学・ネカト調査では、当時、ジュン・レン研究室のポスドクだった中国出身のインメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅)もネカト者と結論された。インメイ・チャンはジュン・レンと共著の7報が撤回論文である。

2021年(57歳?)のワイオミング大学・ネカト調査では、当時、ジュン・レン研究室の院生だった中国出身のルイ・グオ(Rui Guo郭蕊)もネカト者とした。ルイ・グオはジュン・レンと共著の2報が撤回論文である。 

本記事では、ネカト者は3人だが、ワイオミング大学・教授だったジュン・レンに焦点を合わせてネカト事件を解説していく。カッコ内の年齢はジュン・レンの年齢である。

2023年8月4日(59歳?)現在、インメイ・チャンとルイ・グオは何ら処分を科されず、中国に帰国し大学教授になっている。

ジュン・レンは、2020年にワイオミング大学を辞職した。その少し前の2018~2020年(44~46歳?)、中国に帰国し、復旦大学附属中山病院・心臓血管病研究所(复旦大学附属中山医院心内科、Shanghai Institute of Cardiovascular Diseases at Zhongshan Hospital of Fudan University)・特別教授に就任している。

2023年8月4日(59歳?)現在、ジュン・レンは、復旦大学附属中山病院の教授職を維持している。

ワイオミング大学はネカト調査報告書を公表していない。

ジュン・レンは、NIHから約23億円の研究費を得ている。それで、本件は研究公正局の調査案件と思われるが、2023年8月4日現在、研究公正局は何も発表していない。

なお、動物愛護団体・「動物搾取を今すぐ止めよ!:Stop Animal Exploitation NOW! (SAEN)」は、実験動物を使用したジュン・レンの研究がネカトだったことを受け、2023年4月23日、ジュン・レンのネカト調査をするよう連邦政府機関の研究公正局に要請した。

動物愛護団体・「動物搾取を今すぐ止めよ!」はネカト者を糾弾することを活動対象にするよう方針を変えたのか、白楽は把握していない。

ワイオミング大学(University of Wyoming)。写真出典

ワイオミング大学(University of Wyoming)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:中国
  • 医師免許(MD)取得:中国の北京連合医科大学
  • 研究博士号(PhD)取得:カナダのアルバータ大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1964年1月1日生まれとする。1982年に大学・学部に入学した時を18歳とした
  • 現在の年齢:60 歳?
  • 分野:細胞生物学
  • 不正論文発表:2007~2021年(43~57歳?)の15年間
  • ネカト行為時の地位:ワイオミング大学・教授
  • 発覚年:2014年(50歳?)
  • 発覚時地位:ワイオミング大学・教授・副学部長
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)がパブピアで指摘
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」、「Cowboy State Daily」など
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ワイオミング大学・調査委員会。2015年と2021年の2回
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:2回ともなし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:29報の撤回論文数。「パブピア(PubPeer)」では51論文にコメント
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に移籍し研究職を続けた(◒)
  • 処分: なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は23億円(大雑把):NIHからの研究費総額。

●2.【経歴と経過】

主な出典: Jun Ren, Biography

  • 生年月日:不明。仮に1964年1月1日生まれとする。1982年に大学・学部生に入学した時を18歳とした
  • 1982~1985年(18~21歳?):中国の北京大学(Beijing University)で学士号取得:生物学
  • 1985~1989年(21~25歳?):中国の北京連合医科大学(Peking Union Medical College)で医師免許(MD)取得
  • 1989~1994年(25~30歳?):カナダのアルバータ大学(University of Alberta)で研究博士号(PhD)を取得:細胞生物学および生理学
  • 1994~1996年(30~32歳?):米国のウェイン州立大学(Wayne State University)・ポスドク
  • 1996~1998年(32~34歳?):同大学・研究講師/助手
  • 1998~2002年(34~38歳?):ノースダコタ大学・医科大学院(University of North Dakota School of Medicine)・助教授
  • 2002~2005年(38~41歳?):ワイオミング大学(University of Wyoming)・準教授
  • 2005~2019年(41~55歳?):同大学・正教授
  • 2014年(50歳?):不正研究が発覚
  • 2015年(51歳?):ワイオミング大学は調査の結果、ジュン・レンとポスドク(当時)のインメイ・チャン(Yingmei Zhang)をクロと判定した
  • 2018年(54歳?):2回目の不正研究が発覚
  • 2018~2020年(54~56歳?):中国の復旦大学附属中山病院・心臓血管病研究所(Shanghai Institute of Cardiovascular Diseases at Zhongshan Hospital of Fudan University)・特別教授:任骏-复旦大学附属中山医院。2019年の論文の所属は中山病院でワイオミング大学の記載はない
  • 2020年(56歳?):ワイオミング大学を辞職
  • 2021年(57歳?):ワイオミング大学は2回目の調査の結果、ジュン・レンと院生(当時)のルイ・グオ(Rui Guo)をクロと判定した
  • 2023年8月4日(59歳?)現在:ジュン・レンは復旦大学附属中山病院・教授職を維持:任骏-复旦大学附属中山医院230804保存版)。インメイ・チャン(Yingmei Zhang)は中国の復旦大学附属中山病院・教授。ルイ・グオ(Rui Guo)は、中国の河北大学・教授。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★研究人生

ジュン・レン(Jun Ren、任骏)は中国の大学で医師免許を取得した後、カナダのアルバータ大学(University of Alberta)で研究博士号(PhD)を取得した。

そして、米国のワイオミング大学(University of Wyoming)・教授・副学部長になった。

ワイオミング大学の研究室から、中国人名が共著者になった多数の論文を出版した。米国のワイオミング大学内に中国系研究室がある形だ。中国から来た留学生と思われる。

ジュン・レンは、多数の優れた論文を出版し、2021年、クラリベイト社(Clarivate)の最も被引用数の高い研究者の1人になった(以下出典保存版)。中国系一世のハードワーカーだ。

★獲得研究費

ジュン・レン(Jun Ren)は、2002~2014年の13年間にNIHから14件、$22,531,800(約23億円)のグラントを得ていた。 → RePORT ⟩ Jun Ren UNIVERSITY OF WYOMING

★発覚と経緯

発覚の経緯はハッキリしないが、2014年4月、「パブピア(PubPeer)」でネカトの指摘がある。

それで、ネカトハンターが「パブピア(PubPeer)」で指摘し、ワイオミング大学及び学術誌に告発したと推定した。

以下に指摘した2例のサイトを示す。

ワイオミング大学(University of Wyoming)の研究公正官(research integrity officer)は、2018年5月にキャロリン・ブラント(Carolyn Brandt、写真出典)が着任し、2023年8月4日現在も在任している。2015年9月5日当時は、ウィリアム・ガーン(William A. Gern)とドロシー・イェーツ(Dorothy Yates)が研究公正官だった(資料)。

ワイオミング大学は2015年(51歳?)と2021年(57歳?)の2回、ジュン・レンのネカト調査をした。この調査報告書は公表されていない。

なお、2015年(51歳?)のネカト調査をメディアが報道していない。調査報告書が公表されなかったので、メデャイはネカト事件があったことを察知できなかった、と思われる。

2回のネカト調査とも、ジュン・レンをクロと結論しているが、次節・次々節の2人もネカト者と特定した。

2021年(57歳?)のネカト調査の結果、ワイオミング大学はジュン・レンを離職させた。その離職と、多数の論文撤回が表面化し、2022年7月15日、「撤回監視(Retraction Watch)」が記事にした。 → Exclusive: Former associate dean and ‘highly cited researcher’ was demoted by university – Retraction Watch

その「撤回監視(Retraction Watch)」記事が契機となって、他の複数のメディアがジュン・レン事件を報道し、社会に知られるようになった。

★インメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅)

2015年のワイオミング大学・ネカト調査は、ジュン・レンと、当時・ポスドクだったインメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅、1979年5月生まれ、写真出典)をネカト者と結論した。

インメイ・チャンはジュン・レンと共著の2011~2017年(チャン32~38歳?)の7論文がデータねつ造・改ざんで撤回されている。7論文の内の1論文・「2012年4月のBMC Med」論文を以下に示す。

撤回監視データベースではジュン・レンの27論文が撤回されている。そのうち2011~2017年の7論文がインメイ・チャンと共著だった。

なお、インメイ・チャンはジュン・レンと共著ではない「2013年の論文」でも1報が撤回されている。しかし、その「2013年の論文」報は、本記事で問題にしているインメイ・チャンとは別人と思われる。 → Retraction Watch Database

2023年8月4日現在、インメイ・チャンは中国の復旦大学附属中山病院・教授である(以下画像出典)。 

★ルイ・グオ(Rui Guo、郭蕊)

2021年のワイオミング大学・ネカト調査では、ジュン・レンと、当時・研究助手や院生だったルイ・グオ(Rui Guo、1984年生まれ、写真出典)もネカト者とした。

ルイ・グオはジュン・レンと共著の2論文(2012年、2017年)がデータねつ造・改ざんで論文撤回されている。以下に2報の内の1報・「2017年5月のInt J Obes (Lond)」論文を示す。

撤回監視データベースではジュン・レンの27論文が撤回されている。そのうちの2論文がルイ・グオと共著だった。

なお、ルイ・グオはジュン・レンと共著ではない5報の論文も撤回されている。しかし、その5報は、本記事で問題にしているルイ・グオとは別人と思われる。→  Retraction Watch Database

ルイ・グオは、ジュン・レンの指導下に2007年11月~2012年10月(グオ23~28歳?)の 5年間、研究助手を務め、その後、2014~2018年(グオ30~34歳?)にワイオミング大学で研究博士号(PhD)を取得した。そして、母国の中国に帰国した。

2023年8月4日現在、ルイ・グオは中国の河北大学・生命科学学院(College of Life Sciences, Hebei University)・教授である。 → ①: Rui Guo | LinkedIn、②:河北大学生命科学学院-师资力量(写真出典同)‬‬

★多数論文撤回者

2023年4月22日(59歳?)、ジュン・レン(Jun Ren)の撤回論文数は28報で、「撤回論文数」世界ランキングの第28位(番号は29番)にランク入りした。

2023年8月4日(59歳?)現在、撤回論文数は1報増えて29報で、「撤回論文数」世界ランキングの第26位(番号は29番)である。 → 2023年8月4日保存:「撤回論文数」世界ランキング | 白楽の研究者倫理

但し、ワイオミング大学のチャド・ボールドウィン広報担当(Chad Baldwin)は2022年7月、ジュン・レンの33論文を撤回するよう学術誌に依頼している。
 →  2022年7月22日のエレン・ファイク(Ellen Fike)記者の「Cowboy State Daily」記事:University Of Wyoming Requested 33 Of Former Professor’s Papers Be Retracted | Your Wyoming News Source
 → 2022年7月25日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:University’s story changes: It requested 33 retractions, not ‘several’ – Retraction Watch

更に、ワイオミング大学ではなく、中国の復旦大学附属中山病院から出版した「2019年5月のMed Sci Monit」論文も撤回された。

いずれ、論文撤回数は数報増え、ランキングもアップするだろう。

★動物愛護団体

ジュン・レン(Jun Ren)の専門は心臓病と糖尿病の細胞生物学である。ジュン・レンは、多くのネズミと羊の心臓を実験材料として使用した。その研究でデータねつ造・改ざんをしていたので、実験動物はいわば無駄死になった。

2023年4月23日(59歳?)、動物愛護団体・「動物搾取を今すぐ止めよ!:Stop Animal Exploitation NOW! (SAEN)」は、ジュン・レンのネカト認定を受けて、連邦政府機関の研究公正局にワイオミング大学の研究部門を調査するよう要請した。

以下は調査要請書(2023年4月23日付け)の冒頭部分(出典:同)。全文(4ページ)は → https://saenonline.org/news-media-news-2023/University-of-Wyoming-Office-of-Research-Integrity-Complaint-4-24-23.pdf

ワイオミング大学は、「動物搾取を今すぐ止めよ! (SAEN)」団体に対して、同大学は連邦政府の監督と研究公正基準を順守しており、ネカト行為を犯したジュン・レン教授はもう大学にいないと反論した。

【ねつ造・改ざんの具体例】

撤回されたネカト論文は29報ある。

撤回論文を2報選んで、そのネカト部分を以下に示す。論文の書誌情報は略記した。

―――――――以下は「2012年4月のBMC Med」論文―――

インメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅)の節で示した論文である。

この論文の図7K(右)は、別の実験結果であるにもかかわらず。2009年にジュン・レンの研究室から出版した論文の図6D(左)と同じである。出典:パブピア。https://pubpeer.com/publications/692E417400CAB5748BB08EA5C54070#2

この論文では、他にも複数のねつ造・改ざん図が指摘されている。本記事では省略した。

―――――――以下は「2017年5月のInt J Obes (Lond)」論文―――

ルイ・グオ(Rui Guo)の節で示した論文である。

2022年10月17日の撤回公告によると、図5のねつ造・改ざんの証拠が見つかった、とある。

それで、ここに図5を示したかったが、パブピアでは図を示していない。

論文閲覧は有料だった。それで、図はなし。ゴメン。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2023年8月4日現在、パブメド(PubMed)で、ジュン・レン(Jun Ren)の論文を「Jun Ren[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2001年の1報を含め2002~2023年の22年間の1,369論文がヒットした。

本記事で問題にしている研究者以外の論文が多数含まれていると思われる。

2023年8月4日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、19論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2023年8月4日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでジュン・レン(Jun Ren)を「Jun Ren」で検索すると、 7論文が訂正、1論文が懸念表明、27論文が撤回されていた。

27撤回論文は2007~2021年(43~57歳?)に出版の論文で、2022年に16報撤回、2023年に6報撤回と、2022~2023年の撤回が多い。

2撤回論文のうち、2011~2017年の7論文がインメイ・チャン(Yingmei Zhang)と共著だった。

インメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅)はジュン・レン(Jun Ren)と共著ではない「2013年の論文」でも1報が撤回されている。しかし、その「2013年の論文」報は、本記事で問題にしているインメイ・チャン(Yingmei Zhang)とは別人と思われる。 → Retraction Watch Database: Yingmei Zhang

27撤回論文のうち、2論文がルイ・グオ(Rui Guo)と共著だった。ルイ・グオ(Rui Guo)はジュン・レン(Jun Ren)と共著ではない6報の論文も撤回されている。しかし、その6報は、本記事で問題にしているルイ・グオ(Rui Guo)とは別人と思われる。→  Retraction Watch Database: Rui Guo

★パブピア(PubPeer)

2023年8月4日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ジュン・レン(Jun Ren)の論文のコメントを「”Jun Ren”」で検索すると、51論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》ワイオミング大学の対応 

ワイオミング大学は2015年(51歳?)と2021年(57歳?)の2回、ジュン・レン(Jun Ren)のネカト調査をした。2回ともジュン・レンをクロとしている。

なんかおかしくないか?

2015年(51歳?)でクロとした教授をそのまま雇っておいて、ジュン・レンはさらにネカトをした。

6年後の2021年(57歳?)に2回目のネカト調査をし、その時もジュン・レンをクロとした。

2015年でクロとした教授のネカトを止められなかったワイオミング大学の処置が下手というか欠陥がある。異常である。

撤回されたジュン・レンの論文には共著者もそれなりにいる。

共著者たちは、自分が貢献した論文が撤回され、研究人生がおかしくなってしまう。なにも悪くないのにネカト被災者になってしまった。

左から、ジュン・レン(Jun Ren、任骏)、インメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅)、ルイ・グオ(Rui Guo、郭蕊)

《2》動物愛護団体

動物愛護団体の「動物搾取を今すぐ止めよ!:Stop Animal Exploitation NOW! (SAEN)」が、ジュン・レン(Jun Ren)の実験動物を使用した研究がネカトだったからという理由で、研究公正局にネカト調査するよう要請した話は、今回初めて聞いた。

ネカトと動物愛護とは話が違う。

動物愛護団体の新しい戦略なのだろうか?

《3》白い猫も黒い猫も

正確な数値ではないが、ネカト者の出身国・地域は中国、インド、中東が多い。

これらの国でもネカト防止策を取っているが、今回のように、米国でネカト者と確定した研究者を教授に迎えるなど、処分が大甘である。

中国は「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」なので、とにかく、論文を多作すればよい、ネカトしてもいいから、論文を出版せよ、ということなのだろう。

しかし、研究室の院生・ポスドク、講義を受ける学部生、同じ大学の研究者は、ネカト者が教授だと、研究・教育に困らないのだろうか? 健全な研究教育環境とは思えないのだが。

なお、今回のジュン・レン事件では米国でネカトをした3人が、中国でのうのうと大学教授に収まっている。日本も昔は似たような甘さだったが、最近(10年以上前から?)は、あまり聞かない。
 → 研究ネカト者が研究を続けた | 白楽の研究者倫理

ただ、日本の場合、日本でネカトをした人が、日本の大学教授にのうのうと収まっているケースはかなりある。この「かなり」は米国と比較すれば圧倒的に多いという意味で、中国と比較すると、ほぼ、トントンという意味だ。つまり、日本はネカト者への処罰が甘すぎて、研究不正大国の汚名が返上される気配はない。

《4》博士論文

ルイ・グオ(Rui Guo、郭蕊)の第一著者の「2017年5月のInt J Obes (Lond)」論文がデータねつ造・改ざんで撤回された。

そして、ルイ・グオは、2018年にワイオミング大学で研究博士号(PhD)を取得した。

時系列から判断して、どう見ても、ルイ・グオの博士論文はデータねつ造・改ざんだと思うが、ワイオミング大学は調査しない。コマッタもんです。

《5》防ぐ方法

ジュン・レン事件を防ぐにはどうすると良かったか?

ネカトの法則:「ネカトでは早期発見・適切処分が重要である」。

仏の顔も三度で、ネカト3論文以内に厳罰に科すべきだ。そうすれば、29論文撤回などという多数論文撤回者にはならなかった。

そうすれば、研究室のポスドクのインメイ・チャン(Yingmei Zhang)はネカト者にならなかっただろう。

また、2015年の調査でクロと判定した時、ジュン・レン教授のネカトを止めておくべきだった。

そうすれば、その後、研究室の院生になったルイ・グオ(Rui Guo)はネカト者にならなかっただろう。

止められたはずのネカト行為を許したワイオミング大学の責任は重い。

中国の復旦大学附属中山病院はネカト者のジュン・レン、そして、インメイ・チャン(Yingmei Zhang、张英梅)を教授に迎えている。ここでも既に1報論文撤回があった。

復旦大学附属中山病院はネカト者を教授に迎えるべきではなかった。今後、解雇するか、かなり注意深い監視体制を敷くべきだろう。

中国の河北大学・生命科学学院(College of Life Sciences, Hebei University)もネカト者のルイ・グオ(Rui Guo、郭蕊)を教授に迎えるべきではなかった。

このような処置の甘さが、ネカトは深刻な不正ではないというメッセージを、中国の大学院生・研究者・大学・学術界に送り続けている。中国が研究不正大国にならないことを祈る。

中国の復旦大学(ふくたんだいがく、Fudan University)

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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人口減を補う以上の移民を受け入れる。
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●9.【主要情報源】

任骏(教授)_百度百科
② 2022年7月15日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Exclusive: Former associate dean and ‘highly cited researcher’ was demoted by university – Retraction Watch
③ 2022年7月22日のエレン・ファイク(Ellen Fike)記者の「Cowboy State Daily」記事:University Of Wyoming Requested 33 Of Former Professor’s Papers Be Retracted | Your Wyoming News Source
④ 2022年7月25日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:University’s story changes: It requested 33 retractions, not ‘several’ – Retraction Watch
⑤ 2022年9月21日のシェン・ウー・タン(Shen Wu Tan)記者の「Wyoming Truth」記事:Three Former University of Wyoming Affiliates Found Guilty of Research Misconduct
⑥ 2022年9月26日のアシュトン・ハッケ(Ashton J. Hacke)記者の「UW Branding Iron」記事:Investigation finds three guilty of research misconduct
⑦ 2023年5月4日のジェフ・ビクター(Jeff Victor)記者の「Wyoming Public Media」記事:Watchdog group calls for federal investigation of UW regarding research misconduct | Wyoming Public Media
⑧ 2023年6月2日のルース・ブラウン(Ruth Brown)記者の「College Fix」記事:University of Wyoming research faces allegations of falsification, animal abuse | The College Fix
⑨ 2023年4月26日のクレア・マクファーランド(Clair McFarland)記者の「カウボーイ・ステート・デイリー」記事:Animal Rights Group Asks Feds To Investigate University of Wyoming Researchers | Your Wyoming News Source
⑩ 2023年4月26日のソフィア・サリッチ(Sofia Saric)記者の「Casper Star-Tribune」記事:National animal watchdog group files complaint against UW for alleged research fraud
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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