盗博VP92:アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)(ドイツ)

2017年8月7日掲載。

ワンポイント:盗博サイトのヴロニプラーク・ウィキの92番目(女性)。3人いる盗用ページ率100%の1人。2010年(31歳?)にドイツのベルリン医科大学で医学(泌尿器学)の博士号を取得した。2014年5月(35歳?)に盗博がバレ、博士号ははく奪された。ベルリン市内の開業医。盗用ページ率は100%で、盗用文字率は約100%(?)である。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.盗用解析
6-1.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski、写真出典)は、2010年(31歳?)にドイツのベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)で医学(泌尿器学)の博士号を取得した。

2014年5月26日(35歳?)、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が盗博を告発した。92番目の事件である。 → 1‐4‐10.ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)

ベルリン医科大学はアニタ・リソウスキーに授与した博士号をはく奪した。

アニタ・リソウスキーは、ベルリン市内に個人医院を開業し医療を行なっている。

ベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)。© by Charité – Universitätsmedizin Berlin。。写真出典

  • 不正:盗博(盗用博士論文)
  • 国:ドイツ
  • 成長国:ドイツ
  • 研究博士号(PhD)取得年月日:2010年9月3日(31歳?)
  • 研究博士号(PhD)取得大学:ドイツのベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)
  • 分野:医学(泌尿器学)
  • 博士論文タイトル:Onkologische Langzeitergebnisse, Inkontinenz und Spätkomplikationen nach transperitonealer laparoskopischer radikaler Prostatektomie – Follow up von 1000 Patienten, operiert in den Jahren 1999-2004 an der Klinik für Urologie der Charite Mitte
    (日本語訳):癌治療の長期プロジェクト。トランス腹膜腹腔鏡下の前立腺全摘術後の失禁と合併症:シャリテ泌尿器科の 1999-2004の患者 1000 人のフォロー アップ
  • 博士論文審査教授:   1. Prof. Dr. med. Michael Lein, 2. Prof. Dr. med. Jan Roigas, 3. PD Dr. med. Frank Christoph.
  • 公開: Berlin, 2010. → Download Deutsche Nationalbibliothek → Download Freie Universität Berlin
  • 盗博発覚年月日:2014年5月26日(35歳?)
  • 盗用ページ率:100%
  • 盗用文字率:ほぼ100%?
  • 研究博士号(PhD)はく奪状況:はく奪
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1979年1月1日生まれとする。大学入学の1997年を18歳とした
  • 現在の年齢:45 歳?
  • 発覚時地位:
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)の人(詳細不明)
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ベルリン医科大学・調査委員会
  • 結末:博士号はく奪

●2.【経歴と経過】

主な出典:Anita Lisowski, Urologin, Bewertungen lesen Termin online buchen – Doctena

  • 生年月日:不明。仮に1979年1月1日生まれとする。大学入学の1997年を18歳とした。ポーランドで生まれ・育った(?)
  • 1997 – 2005年(18 – 26歳?):ドイツのベルリン医科大学(Charite Medical University, Berlin)。卒業。医師免許
  • 2006年(27歳?):ベルリンのフランツィスクス病院(Franziskus Krankenhaus)・泌尿器科。アシスタント医師
  • 2007 – 2011 年(28 – 32 歳?):ドイツのシャリテで泌尿器の研究アシスタント
  • 2010年9月3日(31歳?):ドイツのベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)で研究博士号(PhD)取得。医学(泌尿器学)
  • 2012年(33歳?):ドイツの各地・ヘンケル/カーマン/ランダース/ペトラスで医療
  • 2013年(34歳?): 個人医院を開業し医療を行なう
  • 2014年5月26日(35歳?):盗博が発覚
  • 201x年x月x日(xx歳):ベルリン医科大学が博士号をはく奪した

●5.【不正発覚の経緯と内容】

アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)は、ポーランドで生まれ・育った(推定)。

1997 – 2005年(18 – 26歳?)、ドイツのベルリン医科大学(Charite Medical University, Berlin)で医師免許を取得した。

その後、泌尿器学の臨床と研究を重ねた。

2010年9月3日(31歳?)のベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)で医学(泌尿器学)の研究博士号(PhD)を取得した。

http://www.urologie-pankow-buch.de/mobile/

その後、ドイツの各地で臨床経験を積み、ベルリン市内のパンコウの医院(Urologie-Pankow-Buch)で医療を行なっている。

2014年5月26日(35歳?)、博士号の取得4年後、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が、盗博と告発した。

ベルリン医科大学は博士号をはく奪した。

アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)は、学術誌への論文出版はなく、研究者を続けているフシもない。

●6.【盗用解析】

アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)の博士論文のタイトルは 「Onkologische Langzeitergebnisse, Inkontinenz und Spätkomplikationen nach transperitonealer laparoskopischer radikaler Prostatektomie – Follow up von 1000 Patienten, operiert in den Jahren 1999-2004 an der Klinik für Urologie der Charite Mitte
(日本語訳):癌治療の長期プロジェクト。トランス腹膜腹腔鏡下の前立腺全摘術後の失禁と合併症:シャリテ泌尿器科の 1999-2004 年の患者 1000 人のフォロー アップ」である。

博士論文の盗用分析図は以下の5色のバーコードである。博士論文は全体で55ページ、分析対象は55ページ、盗用ページ率は100%だった。つまり、真っ赤である。

なお、元の盗用分析図では、バーコードがページ毎の盗用分析にリンクしている。→ http://de.vroniplag.wikia.com/wiki/Ali

★イラスト表示

以下はページ毎に色分けしたイラスト表示である。

盗用文字率は約100%(?)である。

盗用の色分けは、灰色= 逐語盗用(コピペ、文献提示なし)、赤色 = 加工盗用(ロゲッティング、文献提示なし)、黄色 =流用部分が曖昧な盗用(文献提示あり)、 青色 = 翻訳盗用、である。

★各ページの盗用分析

アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)の博士論文の各ページ毎に盗用分析がされている。盗用があるページは青色で、盗用がないページは赤色である。盗用ページ率は100%なので、全部青色である。青色をクリックすると、各ページが開く。

Haupttext
001002003004005006007008009010011012013014015016017018019020
021022023024025026027028029030031032033034035036037038039040
041042043044045046047048049050051052053054055

【1ページ目】

1例として、1ページ目(つまり、001)をクリックすると、盗用比較図が出てくる。以下はその1部分を示した。

左側がアニタ・リソウスキーの博士論文で右が被盗用論文である。着色部分の文章が同一である。

論文の1ページ目から、見事な逐語盗用である。明白な盗用だ。盗用ページ率が100%という徹底ぶりもすごい。

●6-1.【論文数と撤回論文とパブピア】

2017年8月6日現在、パブメド(PubMed)で、アニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)の論文を「Anita Lisowski [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、 0論文がヒットした。

「Lisowski A[Author] 」で検索すると、1978年から2017年の39年間の29論文がヒットした。

アニタ・リソウスキーは、1997 年に、ドイツのベルリン医科大学に入学している。

ヒットした29論文の1997 年頃の「Lisowski A」の論文を探ると以下のポーランド語の産科学の論文があった。所属はポーランド のレシュノの病院(Wojewódzki Szpital Zespolony)とある。

しかし、「Lisowski A」、産科学、ポーランド系でさらにアチコチ探ると、「Arkadiusz Lisowski」がヒットし、当記事のアニタ・リソウスキーとは同姓の別人である。

それで、「Lisowski A」でヒットした全29論文を1つ1つチェックすると、どの論文も当記事のアニタ・リソウスキーの論文に該当しなかった。

●7.【白楽の感想】

《1》詳細不明

アニタ・リソウスキーは学術誌に論文を1報も発表していない。ドイツの博士号授与規定を知らないが、ドイツでは、それでも、博士号が授与される(推定)。

アニタ・リソウスキーの博士論文は、盗用ページ率が100%である。1ページを例示したが、見事に逐語盗用で、全体でみてもほぼ100%の盗用文字率である。

どうやら、アニタ・リソウスキーは論文を書く能力がないと思われる。

それなら、博士号を授与すべきではなかった。

この事件は、さほど古くない事件だが、盗博に至る状況が見えてこない。盗用ページ率・盗用文字率が100%の博士論文を認める(誰かが教唆した?)状況が見えてこない。従って、どうすると盗博を防止できるのかは、見えてこない。

標語:「盗博の博士号は当然はく奪!」
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●8.【主要情報源】

① ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)のアニタ・リソウスキー(Anita Lisowski)サイト:Ali | VroniPlag Wiki | Fandom powered by Wikia
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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