犯罪学:アンソニー・アマトルード(Anthony Amatrudo)(英)

2020年5月3日掲載 

ワンポイント: 2019年3月(49歳?)、アマトルード教授がサンダーランド大学(University of Sunderland)・教員だった時に出版した2012年の論文が盗用のため撤回された。2008~2012年の5年間の5論文が2018~2019年に撤回されていた。撤回理由は、すべて、盗用である。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

アンソニー・アマトルード(Anthony Amatrudo、ORCID iD:?、写真出典)は、英国のミドルセックス大学(Middlesex University London)・教授で、専門は犯罪学である。

日本語に翻訳されていないが、アマトルードには『犯罪学と政治理論(Criminology and Political Theory)』(2009年)など4冊の著書がある(本の表紙出典はアマゾン)。

2019年3月(49歳?)、アマトルード教授がサンダーランド大学(University of Sunderland)・教員だった時に出版した「2012年のInternational Journal of Law in Context」論文が盗用のため撤回された。盗用発覚の経緯は不明だが、被盗用者が告発したわけではない。被盗用論文は、ハンス・クリベ(Hans Kribbe)の「2003年の博士論文」・「Corporate Personality: A Political Theory of Association」だった。

学術誌から指摘を受けたミドルセックス大学(Middlesex University)は、調査し、盗用と結論し、アマトルード教授を解雇(辞職)した。

なお、アマトルード教授は、サンダーランド大学・教員時代に出版した2008~2012年の5年間の5論文が2018~2019年に撤回されていた。全部、盗用が撤回理由である。

アマトルード教授のネカト調査報告書は公表されていないので知りようがないが、盗用論文が5論文だけとは考えにくい。もっと多くの論文を盗用したのではないだろうか? 出版した4冊の著書も調査すべきだ。

サンダーランド大学(University of Sunderland)。写真出典・Google

以下は、ミドルセックス大学・犯罪学/社会学科(Middlesex University)の紹介動画

  • 国:英国
  • 成長国:英国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 修士号(MPhil)取得:xx大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1970年1月1日生まれとする。1994年に修士号(MPhil)を取得した時を24歳とした
  • 現在の年齢:51 歳?
  • 分野:犯罪学
  • 最初の不正論文発表:2008年(38歳?)
  • 不正論文発表:2008~2012年の5年間(38~42歳?)
  • 発覚年:2019年(49歳?)
  • 発覚時地位:ミドルセックス大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は不明
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②ミドルセックス大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:5報。5論文撤回
  • 盗用ページ率:?%
  • 盗用文字率:?%
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: 解雇(?)。辞職かも
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:The Editionの10頁目

  • 生年月日:不明。仮に1970年1月1日生まれとする。1994年に修士号(MPhil)を取得した時を24歳とした
  • 19xx年(xx歳):xx大学で学士号を取得
  • 1994年(24歳?):xx大学で修士号(MPhil)を取得:犯罪学
  • xxxx年(xx歳):サンダーランド大学(University of Sunderland)・教員
  • 2010-11年(40-41歳?):サンダーランド大学(University of Sunderland)・プログラム・リーダー
  • 2012年10月1日(42歳?):ミドルセックス大学(Middlesex University London)・準教授(Reader)、後に教授
  • 2019年(49歳?):ネカトが発覚
  • 2019年(49歳?):ミドルセックス大学を辞職(解雇)

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★盗用

盗用発覚の経緯は不明である。

2019年3月(49歳?)、ミドルセックス大学(Middlesex University London)・教授のアンソニー・アマトルード(Anthony Amatrudo、写真出典)の「2012年のInternational Journal of Law in Context」論文が撤回された。
 → 2019年3月の撤回公告(含・画像):An intentional basis for corporate personality – RETRACTION | International Journal of Law in Context | Cambridge Core

撤回理由は、ハンス・クリベ(Hans Kribbe)の「2003年の博士論文」・「Corporate Personality: A Political Theory of Association」を盗用したからだ。

ミドルセックス大学(Middlesex University)は、2019年1月9日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事で、に次のように答えた。

ミドルセックス大学は研究公正に取り組んでおり、ネカト行為を厳重に取り締まっております。アマトルード問題を知り、大学は現在、手順に従って内部調査をしています。

★5論文が盗用で撤回

アマトルードの撤回論文をデータベース出探ると、2008~2012年の5年間の5論文がヒットし、5論文が2018~2019年に撤回されていた。全部、盗用が撤回理由である。

撤回された5論文を出版した時のアマトルードの所属は、サンダーランド大学(University of Sunderland)だった。

★ 被盗用者のハンス・クリベ(Hans Kribbe)

被盗用者のハンス・クリベ(Hans Kribbe、写真出典 )は、現在、コンサルト企業・GPLUSの社員である。

ハンス・クリベは「撤回監視(Retraction Watch)」に次のように答えている。

アマトルードは私が学術界を去ったことを知っていたに違いありません。私が学術界を去ったので、博士論文を盗用しても、盗用が発覚する恐れはありません。

アマトルードは私の博士論文のほぼ全部を一字一句そのまま流用して、著者名だけ自分の名前にして発表しています。彼が追加した脚注に、論文は○○会議や〇△セミナーでも発表したと述べています。

私は彼の盗用について何も知りませんでしたし、普通なら、おそらく、知ることはなかったでしょう。博士論文を書き終えた当時は、博士論文をどこかの学術誌に発表するために、もっと改良作業が必要だと感じていました。 私はどう改良するかをある程度見込みを付けたのですが、政府機関に就職していたので、後でするか、もうしないか、というところでした。

アマトルードはとどのつまり、無知・無能だったのです。ロンドン大学が後に博士論文をウェブで利用可能にしたのですが、それを予測できなかったんですね。

【盗用の具体例】

盗用比較図は提示されていない。

白楽自身が盗用論文、被盗用論文をそろえ、自分で盗用比較図を作るのは面倒だ。ゴメン。それで、具体的な盗用の証拠の提示は、今回は「なし」です。

ただ、「ほぼ全部を一字一句そのまま使った」盗用だと、ハンス・クリベが述べている。つまり逐語盗用である。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年5月2日現在、Research Gateで、アンソニー・アマトルード(Anthony Amatrudo)の論文を検索した。2008~2018年の11年間の15論文がヒットした。

★撤回監視データベース

2020年5月2日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでアンソニー・アマトルード(Anthony Amatrudo)を「Anthony Amatrudo」で検索すると、2008~2012年の5年間の5論文がヒットし、5論文が2018~2019年に撤回されていた。全部、盗用が撤回理由である。

★パブピア(PubPeer)

2020年5月2日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アンソニー・アマトルード(Anthony Amatrudo)の論文のコメントを「Anthony Amatrudo」で検索すると、2論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》大学のテリトリー 

アンソニー・アマトルード(Anthony Amatrudo、写真出典)は、2008~2012年の5年間(38~42歳?)の5論文が2018~2019年に盗用で撤回された。

全部、サンダーランド大学(University of Sunderland)・教員だった時に出版した論文だが、2019年1月9日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事で、ミドルセックス大学(Middlesex University)は調査していると答えている。現職教授のネカトだからミドルセックス大学は調査し、盗用と結論し、解雇したのだと思う。

2020年3月31日現在、ミドルセックス大学・犯罪学/社会学科の教員ではない:Department of Criminology and Sociology| Middlesex University London保存版

しかし、本来は、サンダーランド大学が調査すべきだ。サンダーランド大学は調査したのかどうか、不明である。少なくとも、調査報告書は公表されていない。

《2》確信犯

アマトルードの専門が犯罪学というのは少し皮肉だが、研究倫理の専門家がネカト者だった例は珍しくない。学問分野とネカトは無関係である。

2008~2012年の5年間(38~42歳?)の5論文が盗用で撤回されたが、調べれば、もっと盗用論文が見つかるだろう。

被盗用者のハンス・クリベ(Hans Kribbe)が指摘するように、アマトルードはクリベの博士論文を盗用しても、クリベが学術界から去ったので見つからないと考えたのだ。

一般的には、引用文献をうっかり明記し忘れて、盗用と糾弾されることはある。しかし、アマトルードの場合を含め、多くの盗用は確信犯である。他人の文章を、何度も、「一字一句、ウッカリ使用してしまいました」ということはあり得ない。

こういうネカト行為を防ぐには、必見必罰しかないでしょう。

ネカトの法則:「強い衝撃がなければ、研究者はネカトを止めない」

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 2019年1月9日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Cribbing from Kribbe: UK criminology prof loses four papers for plagiarism – Retraction Watch
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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