2025年1月14日掲載最初 随時更新 【進行中/終了】
「パブピア(PubPeer)」で、東京大学、理化学研究所、筑波大学、京都大学に所属する(した)小幡 史明(Fumiaki Obata)たちの複数の論文に、多数の数値重複(データねつ造?)が指摘されております。貴研究所(理化学研究所)が現在の本務と思われたので、貴研究所に通報しました。適切な調査・対処をして下さるようお願い申しあげます。
ーーーーーーー
目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.最終評価
2.通報・経緯
3.各段階の評価
4.疑惑者
5.疑惑論文
7.白楽の感想
ーーーーーーー
記述は敬称略。
●1.【最終評価】
★ステップ
【進行中/終了】
発覚 → 通報(allegation) → 通報対応 → 告発判断(assessment) → 予備調査(inquiry) → 本調査(investigation) → 認定(finding) → 行政措置(懲戒処分など)の裁定(adjudication) → 不服申立て(appeal)
★白楽の最終評価とコメント(終了時に記述する)
理化学研究所・生命機能科学研究センター(神戸)。元写真出典:https://www.bdr.riken.jp/ja/about/milestones/index.html
●2.【通報・経緯】
―――以下は白楽と大学/研究所とのやり取り(新→旧 順)ーーー
ーーー2025年1月14日(火) 08:00、白楽の通報ーーー
「パブピア(PubPeer)」で、東京大学、理化学研究所、筑波大学、京都大学に所属する(した)小幡 史明(Fumiaki Obata)たちの複数の論文に、多数の数値重複(データねつ造?)が指摘されております。貴研究所(理化学研究所)が現在の本務と思われたので、貴研究所に通報しました。適切な調査・対処をして下さるようお願い申しあげます。
ーーーーーーーーーー
●【通報先】
理化学研究所 法務・コンプライアンス本部
compliance@riken.jp
2025年1月13日現在、researchmapによると、以下に示すように、小幡 史明(Fumiaki Obata)の所属・地位は、理化学研究所・ チームリーダーと京都大学・客員准教授とある。理化学研究所を本務と想定し、理化学研究所に通報した。
- 通報(告発)先は、一般的に、学術誌、所属大学・研究機関、調査機関、メディア(新聞など)、ネカト・ウオッチャー(①撤回監視:リトラクション・ウオッチ:Retraction Watch、②パブピア:PubPeer、③より良い科学のために:For Better Science、など)、ネカト・ハンターがある。
- ネカト疑惑者には直接、問い合わせしない方が良いとされている。
- 一般的に、疑惑発見者は疑惑者の所属機関と学術誌に告発する。
- 「パブピア(PubPeer)」は自動的に第一著者と連絡著者にコメントを伝える仕組みになっている。
- 白楽は疑惑発見者ではないので、告発者というより通報者である。
★通報窓口のあらまし:理化学研究所
ーーー日本語版ーーー
理化学研究所 法務・コンプライアンス本部
Tel: 048-462-1337(直通) / Fax: 03-6772-0044(直通)
Email: compliance@riken.jp
ーーー英語版ーーー
英語で通報:できない。
理化学研究所の英語サイトで「research misconduct allegation」「research misconduct」を検索しても通報窓口は見つからなかった。後者の最新版は2015年3月23日なので、ほぼ10年、何もしていない → Search Results
●3.【各段階の評価】
★通報:理化学研究所:評価(優/良/可/不可/悪質/なし)とコメント
- 日本語版の通報方法はわかり易く簡単で優れている。
しかし、英語判がない(または、見つからなかった)。外国人は英語で通報する。英語で通報できるようにしてほしい。
★通報対応:評価(優/良/可/不可/悪質/なし)とコメント
●4.【疑惑者】
★疑惑:データねつ造
★研究者の経歴・所属・地位など
代表として連絡著者を示した。論文に示された所属は4か所ある。
- 研究者:小幡 史明(オバタ フミアキ)
- 部署①:東京大学大学院、薬学系研究科、遺伝学専攻
職位:講師(過去) - 部署②:理化学研究所、生命機能科学研究センター 、栄養応答研究チーム(神戸/発生・再生研究棟)
職位:チームリーダー - 部署③:筑波大学、生存ダイナミクス研究センター(TARA)、筑波大学先端研究機構
職位:(過去?) - 部署④:京都大学大学院、生命科学研究科、分子細胞生物学・発生学研究室
職位:客員准教授 - 写真出典
●5.【疑惑論文】
2025年1月13日現在、撤回論文は0報。「パブピア(PubPeer)」に3論文、コメントがあった。
以下、3報の疑惑論文の、疑惑の一部を示した。
なお、「Fumiaki Obata」でパブメド(PubMed)を検索した時、小幡 史明の45論文がヒットした。「パブピア(PubPeer)」で指摘された論文以外、いくつかの論文のデータに問題があるかもしれない。
★【論文1】:「2022年7月のNat Metab.」論文
- Sensing of the non-essential amino acid tyrosine governs the response to protein restriction in Drosophila.Nat Metab. 2022 Jul;4(7):944-959. doi: 10.1038/s42255-022-00608-7. Epub 2022 Jul 25.
【論文1の研究助成】
ーーーー論文の英語部分ーーーー
This work was supported by AMED-PRIME to F.O. under grant nos. JP17gm6010010 and JP20gm6310011 and by AMED-Project for Elucidating and Controlling Mechanisms of Aging and Longevity to M.M under grant no. JP21gm5010001. This work was also supported by grants from the Japan Society for the Promotion of Science to F.O. under grant nos. 19H03367, 20H05726 and 22H02769 and to M.M. under grant nos. 16H06385, 21H04774 and 21K19206. This work was partially supported by the Uehara Memorial Foundation to F.O., the Tomizawa Jun-ichi & Keiko Fund of the Molecular Biology Society of Japan for Young Scientists to N.O. and F.O. and the Cooperative Research Project Program of Life Science Center for Survival Dynamics, Tsukuba Advanced Research Alliance (TARA Center), University of Tsukuba, Japan. H.K. is a JSPS research fellow.
ーーーー上記の簡略化と配分額ーーーー
- AMED-PRIME:JP17gm6010010 配分額は68,516 千円(?)
- AMED-PRIME:JP20gm6310011 63,886 千円(?)
- AMED-Project for Elucidating and Controlling Mechanisms of Aging and Longevity:JP21gm5010001
- 日本学術振興会:19H03367 配分額は 17,550千円
- 日本学術振興会:20H05726 31,720千円
- 日本学術振興会:22H02769 17,420千円
- 日本学術振興会:16H06385 140,900千円
- 日本学術振興会:21H04774 41,600千円
- 日本学術振興会:21K19206 6,500千円
- 筑波大学・生存ダイナミクス研究センター:? 千円
→ 日本学術振興会の小計:2億1,175万円
民間から
- 上原記念生命科学財団:? 千円
- 日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子 基金:? 千円
【論文1の疑惑の具体例】
2025年1月、Proasellus parvulusが、図3dの黄色枠の2 つの数値は、試料が異なるのに、データとして示したRT-PCR値が同じ数値である、とコメントした。出典:https://pubpeer.com/publications/47BA78EF4E8D26F73FE5DC1423A9B6
ーーーーーーー論文1:重複数値①:図3dーーーーー
ーーーーーーー論文1:重複数値②:図4aーーーーー
ーーーーーーー論文1:重複数値③:図6eーーーーー
ーーーーーーー論文1:重複数値④:図7bーーーーー
ーーーーーーー論文1:重複数値⑤:図8bーーーーー
ーーーーーーー論文1:重複数値⑥:図8fーーーーー
ーーーーーーー論文1:重複数値⑦:図8iーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
2025年1月13日現在、著者らは、問題の指摘に対して、何も返事をしていない。
1回だけの数値重複なら、「誠実な間違い」かもしれないが、これほど多いと、実験は異なるのに別の実験で得られた数値を「意図的に」重複使用した可能性が高い。
黄色枠以外の数値も実験値ではない架空の数値を使用した懸念が生じ、研究結果全体が信用しがたい。
データねつ造疑惑である。生データの提出を求めるなどが必要である。
★【論文2】:「2023年12月のNat Commun.」論文
- Early-adult methionine restriction reduces methionine sulfoxide and extends lifespan in Drosophila.Nat Commun. 2023 Dec 5;14(1):7832. doi: 10.1038/s41467-023-43550-2.
【論文2の研究助成】
ーーーー論文の英語部分ーーーー
This work was supported by AMED-PRIME to F.O. under Grant Number JP20gm6310011 and by AMED-Project for Elucidating and Controlling Mechanisms of Aging and Longevity to M.M under Grant Number JP21gm5010001. This work was also supported by grants from the Japan Society for the Promotion of Science to F.O. under Grant Number 19H03367, 20H05726, and 22H02769, and to M.M. under Grant Numbers 16H06385, 21H04774, 21K19206, and 23H04766.
ーーーー上記の簡略化と配分額ーーーー
省略。
【論文2の疑惑の具体例】
2025年1月、Proasellus parvulusが、図5dの4つの同色枠の2 つの数値は、試料が異なるのに、データとして示した数値が同じ数値である、とコメントした。出典:https://pubpeer.com/publications/EF2B236B8B8D6B66F5282488F17BFC
ーーーーーーー論文2:重複数値①:図5dーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
以下は、論文1で述べたのと同じである。
2025年1月13日現在、著者らは、問題の指摘に対して、何も返事をしていない。
1回だけの数値重複なら、「誠実な間違い」かもしれないが、これほど多いと、実験は異なるのに別の実験で得られた数値を「意図的に」重複使用した可能性が高い。
同色枠以外の数値も実験値ではない架空の数値を使用した懸念が生じ、研究結果全体が信用しがたい。
データねつ造疑惑である。生データの提出を求めるなどが必要である。
★【論文3】:「2024年12月のCell Rep.」論文
- A nonsecretory antimicrobial peptide mediates inflammatory organ damage in Drosophila renal tubules.Cell Rep. 2024 Dec 14:115082. doi: 10.1016/j.celrep.2024.115082. Online ahead of print.
【論文3の研究助成】
ーーーー論文の英語部分ーーーー
This work was supported by Japan Agency for Medical Research and Development (AMED) to F.O. (JP20gm6310011), The Japan Society for the Promotion of Science to F.O. (22H02769) and to A.O. (23KJ1182), The Naito Foundation to F.O., and RIKEN Junior Research Associate Program to A.O.
ーーーー上記の簡略化と配分額ーーーー
省略。
【論文3の疑惑の具体例】
2025年1月、Proasellus parvulusが、同色枠の2 つの数値は、試料が異なるのに、データとして示した数値が同じ数値である、とコメントした。出典:https://pubpeer.com/publications/EF2B236B8B8D6B66F5282488F17BFC
ーーーーーーー論文3:重複数値①:図3Fーーーーー
ーーーーーーー論文3:重複数値②:図4Eーーーーー
他にもあるが、省略する。
ーーーーーーーーーーーー
以下は、論文1と論文2で述べたのと同じである。
2025年1月13日現在、著者らは、問題の指摘に対して、何も返事をしていない。
1回だけの数値重複なら、「誠実な間違い」かもしれないが、これほど多いと、実験は異なるのに別の実験で得られた数値を「意図的に」重複使用した可能性が高い。
同色枠以外の数値も実験値ではない架空の数値を使用した懸念が生じ、研究結果全体が信用しがたい。
データねつ造疑惑である。生データの提出を求めるなどが必要である。
●7.【白楽の感想】
《1》4か所
研究不正疑惑者として論文の連絡著者である小幡 史明(Fumiaki Obata)を挙げたが、実際のネカト行為者は共著者の別人かもしれない。
もちろん、論文の著者は全員、実際のネカト行為者でなくとも、その論文に不正が見つかれば、不正者としての責任がある。中でも、研究室主宰者や連絡著者の責任は大きい。
小幡 史明の所属は、論文1(「2022年7月のNat Metab.」論文)に東京大学、理化学研究所、筑波大学、京都大学の4か所が記載されていた。
4か所の所属だと、ネカト疑惑の調査を、どの大学・研究所がどのようなルールで主導するのだろう。
2025年1月現在、小幡 史明の本務は理化学研究所と思われる。ネカト通報への対処・調査は理化学研究所が主導すると想定し、理化学研究所に通報した。
ーーーーーーー
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
ーーーーーーー