2020年4月30日掲載
ワンポイント:スチュアートはカルガリー大学医科大学院(University of Calgary Medical School)・教授・医師である。2002年(52歳?)、ニューファンドランド記念大学(Memorial University of Newfoundland)の医学部・助教授で、H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)の婦人科腫瘍医師のキャシー・ポパディク医師(Cathy Popadiuk)の上司に、ポパディク医師の研究、教育、患者の治療方法を批判する手紙を送った。この手紙が切っ掛けで、ポパディク医師(女性)は周囲からアカハラを受けた。アカハラ行為は「疎外、敬意なしに扱う、生計を脅かす、学生部・副学部長の解任、診察室を不便な場所に移動、サポートスタッフの取り上げ」である。それで、ポパディク医師は、スチュアートに人格を中傷されたという訴訟を起こした。2004年、カナダ大学教員協会(CAUT)が、ポパディク医師のアカハラ被害の調査に乗り出し、2008年(58歳?)、アカハラがあったと結論した。スチュアートは処分されていない。国民の損害額(推定)は3億円(大雑把)
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】
ギャビン・スチュアート(Gavin Stuart、Gavin C. E. Stuart、写真出典)は、カナダのカルガリー大学医科大学院(University of Calgary Medical School)・教授・医師で、専門は腫瘍医学である。
2002年(52歳?)、スチュアート(Gavin Stuart)は、ニューファンドランド記念大学(Memorial University of Newfoundland)の医学部・助教授で、H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)の婦人科腫瘍医師のキャシー・ポパディク(Cathy Popadiuk)の上司に、ポパディク医師の研究、教育、患者の治療方法を批判する手紙を送った。
この手紙が切っ掛けで、それまで、良好な職場だったのに、職場職場の上司と同僚が、ポパディク医師に対してアカハラ言動を始めた。アカハラ行為は「疎外、敬意なしに扱う、生計を脅かす、学生部・副学部長の解任、診察室を不便な場所に移動、サポートスタッフの取り上げ」に及んだ。
2003年9月(53歳?)、スチュアートはブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)・医学部長に栄転した。
2004年(54歳?)、ポパディク医師は、ニューファンドランドとラブラドールの裁判所にスチュアートを被告に、スチュアートから人格を中傷されたという訴訟を起こした。
2004年11月(54歳?)、カナダ大学教員協会(CAUT:Canadian Association of University Teachers)が、ポパディク医師のアカハラ被害の調査に乗り出した。
2008年3月26日(58歳?)、調査開始の4年後、調査委員会は、ポパディク医師が、雇用主と同僚から長年にわたって組織的にアカハラ(「疎外、敬意なしに扱う、生計を脅かす、学生部・副学部長の解任、診察室を不便な場所に移動、サポートスタッフの取り上げ」)を受けていたと、結論した69ページの調査報告書(◎)を公表した。
調査報告書は、雇用主はポパディク医師に謝罪し、アカハラ防止の規則を制定し、アカハラ申し立てに対処する方法を確立するよう勧告した。ただし、カナダ大学教員協会には大学や教授を罰する権限はない。
2020年4月29日現在、ポパディク医師が16年前に起こした訴訟の結果が出ているはずだが、白楽は、結果を把握できていない。アカハラ当時、スチュアートが所属していたカルガリー大学医科大学院、その後、学部長に栄転したブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)の両大学ともスチュアートのアカハラ行為を調査していない。従って、処分もしていない。
2020年4月29日現在、ポパディク医師は依然として、ニューファンドランド記念大学(Memorial University of Newfoundland)の医学部に勤めていて、身分は準教授である(Faculty of Medicine – Faculty of Medicine, Memorial University of Newfoundland、(保存版) )。但し、H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)には勤務していない(推定)。
カルガリー大学医科大学院(University of Calgary Medical School)。写真出典
H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)。写真出典
- 国:カナダ
- 成長国:カナダ
- 医師免許(MD)取得:西オンタリオ大学
- 研究博士号(PhD)取得:なし
- 男女:男性
- 生年月日:カナダのマニトバ州で生まれた。仮に1950年1月1日生まれとする。2015年にブリティッシュコロンビア大学医学部長をやめた時を65歳とした
- 現在の年齢:74 歳?
- 分野:腫瘍医学
- アカハラ行為:2002(52歳?)
- 最初に訴えられた:2004年(54歳?)
- 社会に公表年:2004年(54歳?)
- 社会に公表時地位:ブリティッシュコロンビア大学・医学部長
- ステップ1(発覚):第一次追及者は被害者のキャシー・ポパディク(Cathy Popadiuk)。ポパディクは、ニューファンドランド記念大学(Memorial University of Newfoundland)の医学部・助教授で、H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)の婦人科腫瘍医師。裁判所に訴えた
- ステップ2(メディア):「Nature」などのメディア
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①カナダ大学教員協会(CAUT)・調査委員会。②裁判所。③加害者・被害者の所属大学と病院は調査していない
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。加害者・被害者の所属大学と病院は調査していない
- 大学・処分のウェブ上での公表:なし。加害者・被害者の所属大学と病院は調査していない。カナダ大学教員協会(CAUT)の調査報告書(◎)がある → ココ
- 大学の透明性:調査していない(✖)
- 不正:アカハラ
- 被害者数:被害者数は不明だが、複数の医師
- 時期:研究キャリアの後期
- 職:事件後に発覚時の地位を続けた(〇)
- 処分:なし(推定)。白楽は裁判の結果を把握していない
- 日本人の弟子・友人:不明
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は3億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
主な出典:①:Gavin Stuart, MD | UBC Faculty of Medicine Alumni Engagement
- 生年月日:カナダのマニトバ州で生まれた。仮に1950年1月1日生まれとする。2015年にブリティッシュコロンビア大学医学部長をやめた時を65歳とした
- xxxx年(xx歳):西オンタリオ大学(University of Western Ontario)で医師免許(MD)取得
- xxxx年(xx歳):米国のウェイン州立大学(Wayne State University)で産婦人科の卒後研修
- xxxx年(xx歳)カナダのカルガリー大学医科大学院(University of Calgary Medical School)・教員、後に教授
- 1999年(49歳?):アルバータ州がん委員会の副会長(Vice-President of the Alberta Cancer Board)
- 2002年(52歳?):アカハラ行為
- 2003年9月(53歳?):ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)・医学部長
- 2015年(65歳?):同・医学部長を退職
●5.【アカハラ発覚の経緯と内容】
★アカハラの経緯
1998年8月、キャシー・ポパディク(Cathy Popadiuk、写真出典)は、ニューファンドランド記念大学(Memorial University of Newfoundland)の医学部・助教授に採用され、H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)の婦人科腫瘍に医師になった。
2002年4月xx日、当時・カルガリー大学(University of Calgary)・腫瘍学部長のギャビン・スチュアート(Gavin Stuart)(52歳?)は、ニューファンドランド記念大学とH・ブリスマーフィーがんセンターに招待され、弟子のレサ・ドーソン医師(Lesa Dawson)と患者の治療法について話し合った。
2002年4月23日(52歳?)、数日後、ポパディク医師は彼女の上司であるドナルド・テネント(Donald Tennent、写真出典 はpdfの25頁目)に呼ばれ、ギャビン・スチュアートがポパディク医師のことを電話でひどく怒っていると伝えられた。
ポパディク医師は同僚のレサ・ドーソン医師(Lesa Dawson)との間に治療上の意見の相違があった。卵巣癌の治療法に関して、ドーソン医師は子宮と卵巣を全摘出する伝統的な外科手術を好んだが、ポパディク医師は手術に頼る前に化学療法で治療するという新しい意見の持ち主だった。
しかし、1人の患者には1つの治療法しか適用できない。
そして、レサ・ドーソン医師(Lesa Dawson)に全摘手術の治療法を指導してきたのは外ならぬ指導教授のスチュアートで、スチュアートが今回のアカハラ加害者である。
腫瘍専門医であるスチュアートが2002年にH・ブリスマーフィーがんセンターを訪れた時、ポパディク医師はスチュアートと挨拶程度しか会っていない。治療法の議論はしていない。
2002年4月25日(52歳?)、スチュアートは電話で怒った内容と同じ手紙をポパディク医師の上司であるドナルド・テネント(前出)に送ってきた。
手紙には、ポパディク医師の研究能力が貧弱で、発表はひどく悪く、メモリアル大学の評判を台無しにし、新しい医師の維持と募集に影響を与え、誤った治療法を主張し、彼女の臨床診療は不適切だったと書いてあった。つまり、研究、教育、患者の治療方法のすべてが悪いという、医師の能力を全否定する手紙だった。
この手紙が、アカハラの始まりだった。
つまり、スチュアートがポパディク医師に対してアカハラ発言をしたのは2002年ということである。スチュアートはその1年後の2003年9月(53歳?)、カルガリー大学(University of Calgary)からブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)・医学部長に栄転した。
スチュアートの手紙の効果がドミノ倒しのようになって、ポパディク医師の上司(ドナルド・テネント)と同僚が次々とポパディク医師にアカハラを始めた。その手紙の前には全くアカハラ行為はなかった。
ポパディク医師はトロント大学とマギル大学で習得した方法で卵巣癌を治療していた。「ただ、H・ブリスマーフィーがんセンターでは私の治療法は新しい治療法だったのです。とはいえ、一般的に言えば、新しい治療法を誰もしてないことは驚くべきことではありません」と述べている。
2004年、ポパディク医師は、ニューファンドランドとラブラドールの裁判所にスチュアートを被告に、スチュアートから人格を中傷されたという訴訟を起こした。
裁判が開始されると同時に、ポパディク医師は、ニューファンドランド記念大学・学生部・副学部長を解任された。また、診察室を患者から離れた出生前ユニットに移動させられ、サポートスタッフを取り上げられた。さらなるアカハラが始まったのだ。
卵巣がん患者の女性はポパディク医師の診察を受けるのに、診察を待っている妊婦や赤ちゃんに授乳している母親を見ながら診察室に行くようにイジワルされたのである。
★カナダ大学教員協会の調査
2004年11月、カナダ大学教員協会(CAUT:Canadian Association of University Teachers)は、キャシー・ポパディク医師(Cathy Popadiuk、写真出典)のアカハラ被害調査を開始した。
調査委員は3人で、西オンタリオ大学・教授で心理学科長のアルバートカッツ(Albert Katz)、アルバータ大学の小児科・外科・免疫学・教授のロリ・ウェスト(Lori West)、ラバル大学の社会医学・予防医学科長のフィリップ・デウォルス(Philippe DeWals)だった。
ポパディク医師が勤務するニューファンドランド記念大学・管理職員、そして、H・ブリスマーフィーがんセンターを運営するイースタンヘルス社(Eastern Health Corp)・管理職員は、調査への協力を拒否した。ただ、一部の人は匿名を条件に調査委員のインタビューに応じた。
2008年3月26日、調査開始の4年後、調査委員会は、ポパディク医師が、雇用主と同僚から長年にわたって組織的に嫌がらせを受けていたと、結論した。また、同時に、ポパディク医師以外にもアカハラ被害者がいたと述べている。調査報告書(69ページ)(◎)の冒頭の一部を以下に示すが、全文の入手先は → http://popadiukinquiry.ca/Popadiuk%20Inquiry%20Report%20March%202008.pdf
調査報告書は、雇用主はポパディク医師に謝罪し、アカハラ防止の規則を制定し、アカハラ申し立てに対処する方法を確立するよう勧告した。
調査を主導したカナダ大学教員協会(CAUT)のジェームス・ターク執行役員(James L. Turk – Wikipedia、写真出典)は、カナダ大学教員協会に正式な権限はないが、ニューファンドランド記念大学とイースタンヘルス社は調査報告書の勧告の採用を強く検討すべきだと述べた。
2020年4月11日現在、ポパディク医師は依然として、ニューファンドランド記念大学(Memorial University of Newfoundland)の医学部に勤めていて、身分は準教授である(Faculty of Medicine – Faculty of Medicine, Memorial University of Newfoundland、(保存版) )。但し、H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)には勤務していない(推定)。
●【アカハラの具体例】
★キャシー・ポパディク医師(Cathy Popadiuk)(当時:助教授・婦人科腫瘍医師、xx歳):2002年
キャシー・ポパディク医師(Cathy Popadiuk、写真出典)は、ニューファンドランド記念大学(Memorial University of Newfoundland)の医学部・助教授であり、H・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)の婦人科腫瘍医師である。
ポパディク医師は、それ以前は「教育と研究の両方の機能において生産的で貢献している同僚」だった。
しかし、2002年のギャビン・スチュアートの手紙以来、ポパディク医師は、長年にわたり、様々なアカハラを受けた。疎外され、敬意なしに扱われ、生計が脅かされ、仕事が妨害された。これらは、一連の会議、手紙、電話で繰り返された。つまり、彼女の職場は脅迫的で敵対的で不快な環境だった。
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
★パブメド(PubMed)
2020年4月29日現在、パブメド(PubMed)で、ギャビン・スチュアート(Gavin Stuart)の論文を「Gavin Stuart [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2019年の18年間の39論文がヒットした。
「Stuart GC[Author]」で検索すると、1971~2020年の50年間の70論文がヒットした。
2020年4月29日現在、「Stuart GC[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。
★撤回監視データベース
2020年4月29日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでギャビン・スチュアート(Gavin Stuart)を「Gavin Stuart」で検索すると、0論文がヒットし、0論文が撤回されていた。
★パブピア(PubPeer)
2020年4月29日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ギャビン・スチュアート(Gavin Stuart)の論文のコメントを「Longrich」で検索すると、1論文にコメントがあった。別人と思われる。
●7.【白楽の感想】
《1》他大学の教授の影響力
キャシー・ポパディク医師(Cathy Popadiuk、写真出典)は当時、助教授である。
彼女へのアカハラ行為は、別の大学のギャビン・スチュアート(Gavin Stuart)がポパディク医師の上司・ドナルド・テネント(Donald Tennent)に、ポパディク医師の研究、教育、患者の治療方法を批判する手紙を送ったことから始まった。
スチュアートの手紙が、他大学の助教授へのアカハラ行為を引き起こすほど影響力があったのが、白楽は、少しヘンだと感じた。
それにしても、ポパディク医師の勤務していたH・ブリスマーフィーがんセンター(H. Bliss Murphy Cancer Centre)の上司・ドナルド・テネント(Donald Tennent)がナサケナイ人だ。
H・ブリスマーフィーがんセンターの上司・ドナルド・テネント(Donald Tennent)や同僚の具体的なアカハラは、「疎外、敬意なしに扱う、生計を脅かす、学生部・副学部長の解任、診察室を不便な場所に移動、サポートスタッフの取り上げ」だった。
それでも、ポパディク医師は上司や同僚を被告とせず、スチュアートを被告にして、裁判を起こした。ということは、上司や同僚よりも、スチュアートの手紙は相当ひどい内容だったということだろう。
《2》事件の背景
この事件に2つの背景がある。
1つ目は、男尊女卑である。スチュアートは年上の男性教授で、ポパディク医師は年下の女性助教授である。
2つ目は、根本的な意見の違いである。
卵巣癌の最良の治療として、スチュアートは子宮と卵巣を全摘出する伝統的な外科手術を好んだが、ポパディク医師は手術に頼る前に化学療法で治療する新しい治療法が良いとする意見だった。
この意見の違いは、スチュアートが古く、ポパディク医師は新しい、新古の衝突である。となれば、古い方法は実績データもあり、権威もある。一方、新しい方法は実績データが少なく、権威はない。多くの医療現場は新しい方法を否定する状況にある。しかし、新しい方法が古い方法を乗り越えるのが常である。
研究者は本来、その研究アイデアが独創的であることが求められるが、現実は独創的なアイデアは否定される。学問・科学の歴史にはその実例がゴマンとある。
白楽の提唱したバイオ政治学も新しい概念である。新しい領域である。しかし、単に新しいことに恐怖を感じる研究者が圧倒的に多数で、さんざんたたかれ・けなされて来た。旧態依然とした学問にしがみつく学者に、では、新しい研究領域はどのように生まれるのかを問いたい。マー、いいけど。
意見の対立は、基礎科学なら新しい独創的なアイデアが嫌悪されたレベルで済む。しかし、医療の現場は医療チームとして患者を治療する。特に、外科だと共同作業は必須である。その状況で、切除手術と化学療法では真っ向から対立する。
共同作業が必要な状況で、仲間と異なる意見を持つのは難しい。
《3》邪推
《2》で治療法の衝突が「事件の背景」だと書いたが、ポパディク医師はスチュアートと挨拶程度に会っただけで、治療法の議論をしていない。
挨拶程度に会った人について、スチュアートは、どうして激怒の電話をし、強く非難する手紙を上司に送ったのか?
それは、ポパディク医師を排除したい人がいたからだ。
その人は、スチュアート(Gavin Stuart)の弟子で、ポパディク医師の同僚のレサ・ドーソン医師(Lesa Dawson、写真出典)に違いない。昇格人事で競合したのかもしれない。
2003年2月、スチュアート(Gavin Stuart)はドーソン医師(
)と共著の論文を発表している。- Update on granulosa cell tumours of the ovary.
Stuart GC, Dawson LM.
Curr Opin Obstet Gynecol. 2003 Feb;15(1):33-7. Review.
スチュアートが、ニューファンドランド記念大学とH・ブリスマーフィーがんセンターに招待された時、レサ・ドーソン医師がポパディク医師の悪口をさんざん吹き込んだに違いない。
そして、可愛い弟子(レサ・ドーソン医師)がポパディク医師にイジメられていると勘違いしたスチュアートが、ポパディク医師を追い出そうとドナルド・テネント(Donald Tennent)に怒りの電話をし、またひどい手紙を書いたのに違いない。スチュアートが、アカハラを始めたのは 2002年4月25日(52歳?)である。共著論文の計画を立てていたころである。
この経緯は調査書に記載されていないが、人間社会の流れからして・・・、構図はこうだったのだろう。そうでないと、どうして他大学の教授が、ロクに面識もない別の病院の医師に強い怒りの意見を言うのか理解できない。
《4》カナダ大学教員協会
カナダ大学教員協会(CAUT:Canadian Association of University Teachers)が、キャシー・ポパディク医師(Cathy Popadiuk)のアカハラ被害を調査した。
調査委員会は、69ページの調査報告書をまとめ、ポパディク医師が、雇用主と同僚から長年にわたって組織的に嫌がらせを受けていたと、結論した。なお、この調査報告書は秀逸である(◎)。http://popadiukinquiry.ca/Popadiuk%20Inquiry%20Report%20March%202008.pdf
カナダ大学教員協会、なんか、素晴らしい組織ですね。日本に同等の組織があるんでしょうか? 日本では大学の協会がいくつかあるけど(国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学協会など)、大学教員の全国的な組織はない(と思う)。白楽が知らないだけかもしれませんが、あっても、機能しない、というか、弱い組織でしょう。
日本学術会議にしても、米国に比べると、まるで、実力がない。あるのは看板と権威だけです。日本政府が、貧弱にしてしまった、という話です。
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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●8.【主要情報源】
① ウィキペディア英語版:Gavin C. E. Stuart – Wikipedia
② 2008年3月26日の「CBC」記事:St. John’s prof maltreated, external review finds | CBC News 、保存版
③ 2008年3月27日の「CBC」記事:Vindicated by external review, prof says | CBC News
④ 2008年3月27日の「Chronicle of Higher Education」記事:Canadian University Treated Professor Unfairly, Review Team Finds – The Chronicle of Higher Education
⑤ 2008年4月の「CAUT Bulletin」記事:MUN Professor Harassed & Bullied, Inquiry Finds
⑥ 2010年6月30日の「Telegram」記事:Doctor harassed, report finds | Local | News | The Telegram
⑦ Popadiuk Inquiry
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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