ホセ・ロマン=ゴメス(José Román-Gómez)(スペイン)改訂

2019年10月12日掲載 

ワンポイント:ロマン=ゴメスは、コルドバ大学(University of Cordoba)・マイモニデス生物医学研究所・教授で、コルドバ大学・ソフィア王妃病院・医師だった。ネカト発覚に至る経緯は不明である。2011年(55歳?)、マイモニデス生物医学研究所とソフィア王妃病院の共同ネカト調査委員会が、ロマン=ゴメスの全論文のネカトを調査し、ラベルを変えて再使用した画像があったと結論した。結局、ロマン=ゴメスが出版した 58論文の内、2004~2009年の7論文が2009~2013年にネカトで撤回された。辞職した(させられた?)。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

141108 roman[1].-1pngホセ・ロマン=ゴメス(Jose Roman-Gomez、写真出典)はスペインのコルドバ大学(University of Cordoba)・マイモニデス生物医学研究所(Maimonides Institute for Biomedical Research)・教授で、コルドバ大学・ソフィア王妃病院(Reina Sofia Hospital)・医師でもある。専門はがん学(白血病のエピジェネティックス)だ。

エピジェネティクス:エピジェネティクス(epigenetics)はDNA塩基配列の変化を伴わない後天的な遺伝子制御の変化を研究する学問。

ネカト発覚に至る経緯は不明である。

2009年(53歳?)、「2004年のBlood」論文が最初に撤回された。従って、この少し前にネカトは発覚したハズである。本記事ではネカト発覚年を2009年とした。

2011年(55歳?)、マイモニデス生物医学研究所とソフィア王妃病院の共同ネカト調査委員会が、ロマン=ゴメスの全論文のネカトを調査した。

2011年(55歳?)、共同ネカト調査委員会は、結局、ロマン=ゴメスの2報の論文の画像は、既に論文として発表した画像を、ラベルを変えて使用したネカト行為だと結論した。

2019年10月11日現在の視点では、結局、ロマン=ゴメスが出版した 58論文の内、2004~2009年の7論文が2009~2013年にネカトで撤回された。

2011年(55歳?)、マイモニデス生物医学研究所とソフィア王妃病院を辞職した(させられた?)。2012年の論文では、スペインのナバーラ大学(Universidad de Navarra)所属になっているので、ナバーラ大学に移籍したのかもしれない。

2013年(57歳?)以降の論文出版はないので、2012年(56歳?)に研究者を廃業したと思われる。

141108 banner_160[1]コルドバ大学・ソフィア王妃病院(Reina Sofia Hospital)写真出典

  • 国:スペイン
  • 成長国:スペイン
  • 医師免許(MD)取得:xx大学
  • 研究博士号(PhD)取得:?
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に、1955年1月1日生まれとする
  • 現在の年齢:66歳?
  • 分野:がん学
  • 不正論文発表:2004~2009年(49?~54歳?)
  • 発覚年:2009年(53歳?)
  • 発覚時地位:コルドバ大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は不明
  • ステップ2(メディア): 「撤回監視(Retraction Watch)」「BioTechniques」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①コルドバ大学・ソフィア王妃病院(Reina Sofia Hospital)とコルドバ大学・マイモニデス生物医学研究所(Maimonides Institute for Biomedical Research)の調査委員会。
  • 大学の透明性:実名報道だが大学のウェブ公表なし(△)
  • 不正:画像の盗用・ねつ造
  • 不正論文数:7論文撤回。2004~2009年の7論文が2009~2013年に撤回。
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職をやめた・続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分:解雇(辞職?)
  • 日本人の弟子・友人:不明

●2.【経歴と経過】

不明点多し。

  • 仮に、1955年1月1日生まれとする
  • 19xx年(xx歳):xx医科大学を卒業
  • 1996年(41歳?):スペインのコルドバ大学(University of Cordoba)・現在のマイモニデス生物医学研究所(Maimonides Institute for Biomedical Research)で研究室を主宰
  • 2007年12月(52歳?):健康研究賞(Premio de Investigacion en Salud)を受賞
  • 2009年(54歳?):研究ネカトが発覚し、「2004年のBlood」論文が撤回された
  • 2010年(55歳?):ヘルスリサーチ賞を受賞
  • 2011年(56歳?):マイモニデス生物医学研究所とソフィア王妃病院から解雇(または辞職?)

141108 roman[1] 写真出典

●5.【不正発覚の経緯と内容】

ネカト発覚に至る経緯は不明である。

2010年(55歳?)、「2005年のJ Clin Oncol」論文(書誌情報は以下)の図1は他人の論文「2004年のClin Cancer Res」の図1を加工した画像ではないかと指摘された。「J Clin Oncol」は懸念表明(Expression of concern)をした。

その図1は、以下の図である(出典は原著)。

被盗用の「2004年のClin Cancer?Res」論文の書誌情報は以下の通り。

盗用されたという図1以下の画像である(出典は原著)。マーよく似ている。

2010年9月(55歳?)、学術誌・「J Clin Oncol」編集部の問いわせに対し、ロマン=ゴメスは指摘された画像を修正し新たな画像を提供した。以下の図である(出典は原著)。最初の図1とは大きく異なる。間違えたと言えるレベルではない。

「2005年のJ Clin Oncol」論文は、上記のように一度訂正されたが、結局、2013年3月1日(57歳?)に撤回された。

その前年の2011年(56歳?)、「2005年のJ Clin Oncol」論文の画像のネカト疑惑に端を発し、マイモニデス生物医学研究所とソフィア王妃病院の共同ネカト調査委員会が、ロマン=ゴメスの全論文のネカトを調査し始めた。

2011年(56歳?)、共同ネカト調査委員会は、結局、「2009年のCancer Research」論文と「2009年のJ Clin Oncol」論文の画像は、既に論文として発表した画像を、ラベルを変えて使用するネカト行為だと結論した。ロマン=ゴメスもネカトを認め、学術誌に撤回を要請した。

なお、「2009年のCance r Research」論文 は、2019年10月11日現在、撤回されていない。また、「2009年のJ Clin Oncol」論文は2013年3月1日に撤回されたが、パブメドの論文撤回リストにも「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースにもリストされていない。

結局、ロマン=ゴメスは、58論文を出版した内、7論文がネカトで撤回ということになった。

2011年(56歳?)、マイモニデス生物医学研究所とソフィア王妃病院から解雇された(または辞職した?)。

2011年10月(56歳?)の論文では、ロマン=ゴメスの所属はスペインのナバーラ大学(Universidad de Navarra)になっていた。ナバーラ大学に移籍したのか、または、ナバーラ大学の研究者と共著論文なので、自分の所属がないために、書かなかったのか不明である。

2013年(58歳?)以降の論文出版はないので、ナバーラ大学に移籍したとしても、直ぐに、辞職したと思われる。

★他の論文撤回

2012年8月(57歳?)、「2007年のBlood」論文が撤回された。理由は、自分の「2003年のCancer Research」論文の図をラベルを変えて再使用したため。

2012年9月(57歳?)、「2005年のOncogene」論文、「2007年のHaematologica」論文が撤回された。理由は、両論文とも、別の著者の「2002年のCancer Research」論文から図を盗用したため。

ロマン=ゴメスのネカト・スタイルは、①他人の論文の画像をラベルを変えて自分の論文の画像として使用する(盗用)。②自分の論文の画像をラベルを変えて再使用する(ねつ造・改ざん)。この2つである。図の盗用はバレないと思ったのだろうか? 

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2019年10月11日現在、パブメド(PubMed)で、ホセ・ロマン=ゴメス(Jose Roman-Gomez)の論文を「Jose Roman-Gomez [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2011年の10年間の49論文がヒットした。

「Roman-Gomez J[Author] 」で検索すると、1995~2012年の18年間の58論文がヒットした。

2019年10月11日現在、「Roman-Gomez J[Author] AND Retracted 」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、4論文が撤回されていた。 内訳を見ると、2004 年の論文が2009年に、2005 年の論文が2013年に、2007 年の2論文が2012年に撤回されていた。

  1. Epigenetic regulation of Wnt-signaling pathway in acute lymphoblastic leukemia. Roman-Gomez J, Cordeu L, Agirre X, Jimenez-Velasco A, San Jose-Eneriz E, Garate L, Calasanz MJ, Heiniger A, Torres A, Prosper F.
    Blood. 2007 Apr 15;109(8):3462-9. Epub 2006 Dec 5.
    Retraction in: Blood. 2012 Oct 25;120(17):3625.
  2. Epigenetic regulation of human cancer/testis antigen gene, HAGE, in chronic myeloid leukemia.
    Roman-Gomez J, Jimenez-Velasco A, Agirre X, Castillejo JA, Navarro G, San Jose-Eneriz E, Garate L, Cordeu L, Cervantes F, Prosper F, Heiniger A, Torres A. Haematologica. 2007 Feb;92(2):153-62.
    Retraction in: Haematologica. 2012 Sep;97(9):1452.
  3. Promoter hypomethylation of the LINE-1 retrotransposable elements activates sense/antisense transcription and marks the progression of chronic myeloid leukemia.
    Roman-Gomez J, Jimenez-Velasco A, Agirre X, Cervantes F, Sanchez J, Garate L, Barrios M, Castillejo JA, Navarro G, Colomer D, Prosper F, Heiniger A, Torres A. Oncogene. 2005 Nov 3;24(48):7213-23.
    Retraction in: Oncogene. 2013 Feb 7;32(6):804.
  4. Promoter hypermethylation of cancer-related genes: a strong independent prognostic factor in acute lymphoblastic leukemia.
    Roman-Gomez J, Jimenez-Velasco A, Castillejo JA, Agirre X, Barrios M, Navarro G, Molina FJ, Calasanz MJ, Prosper F, Heiniger A, Torres A.
    Blood. 2004 Oct 15;104(8):2492-8. Epub 2004 Jun 15.
    Retraction in: Blood. 2009 Mar 5;113(10):2370.

★撤回論文データベース

2019年10月11日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでホセ・ロマン=ゴメス(Jose Roman-Gomez)の論文を検索すると、6論文がヒットし、6論文が撤回されていた。

この6撤回論文は、上記のパブメドの4撤回論文を含んでいるが、以下の2論文を含んでいない。

  1. Lack of CpG island methylator phenotype defines a clinical subtype of T-cell acute lymphoblastic leukemia associated with good prognosis.
    Roman-Gomez J, Jimenez-Velasco A, Agirre X, Prosper F, Heiniger A, Torres A.
    J Clin Oncol. 2005 Oct 1;23(28):7043-9. Erratum in: J Clin Oncol. 2010 Sep 20;28(27):4280.
  2. Metilacion del ADN en oncohematologia.
    Roman-Gomez J
    , Jimenez-Velasco A, Agirre X, Barrios M, Castillejo JC, Prosper F, Heiniger A, Torres A.
    Haematologica (edicion espanola) 2005;90 (Supl 1):27?36.
    Retraction in:

「2009年のJ Clin Oncol」論文は2013年3月1日に撤回されたが、パブメドの論文撤回にも「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文にも含まれていない。それで、6撤回論文にこの撤回論文を足すと、2004~2009年の7論文が2009~2013年に撤回されたことになる。

★パブピア(PubPeer)

2019年10月11日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ホセ・ロマン=ゴメス(Jose Roman-Gomez)の1論文にコメントがあった:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》なんかヘン 

この事件はなんかヘンである。

2009年3月に論文撤回されているのに、2010年にヘルスリサーチ賞(スペイン国家の賞だと思う)を受賞している。

通常、所属機関は、ネカトでクロ判定した研究者を、受賞対象者に推薦しない。他から受賞を打診されても、不正を理由に授与をやめるように警告するだろう。

受賞選考時には、ネカトでクロ判定したことがまだオープンになっていなかったとしても、ネカト調査は進行中だったはずだ。受賞してすぐにネカト発覚では、ヘルスリサーチ賞を授与した関係者の面目をつぶしてしまう。

また、ヘンだなと感じる他の点は、外国で事件報道されているのに、ロマン=ゴメス事件を地元スペインのメディアが報道しないことだ。なんかヘンである。所属機関が調査報告書を公表しない国・機関は世界中にたくさんあるが、地元紙が報道しないことは滅多にない(除・日本)。

スペインは、ネカトに甘いのだろうか? ネカトに向き合う姿勢がないのだろうか? スペイン国内でネカトが蔓延しているのだろうか? メディアがひどく弱体なのだろうか? と思ってしまう。

141108 0_nx_1296237258[1]2010年12月、ヘルスリサーチ賞を受賞:写真出典

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●8.【主要情報源】

① 2012年9月10日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Two more retractions for Spanish leukemia researcher Roman-Gomez ? Retraction Watch
② 2013年2月8日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Lifted figure prompts retraction of Oncogene paper by Roman-Gomez at Retraction Watch
③ 2012年9月10日のアンドリュー・ウィーセク(Andrew S. Wiecek)記者の「BioTechniques」記事:BioTechniques – Two Retractions for Cancer Epigenetics Researcher
④ 2013年3月5日のアンドリュー・ウィーセク(Andrew S. Wiecek)記者の「BioTechniques」記事:BioTechniques – Sixth Retraction for Leukemia Researcher
⑤ ? 旧版:2014年11月24日

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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