2024年9月20日掲載
白楽の意図:ジャーナリストのケビン・デュガン(Kevin T. Dugan)が「撤回監視(Retraction Watch)」のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)に研究不正についてインタビューした「2024年5月のIntelligencer」論文を読んだので、紹介しよう。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
2.デュガンの「2024年5月のIntelligencer」論文
7.白楽の感想
9.コメント
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【注意】
学術論文ではなくウェブ記事なども、本ブログでは統一的な名称にするために、「論文」と書いている。
「論文を読んで」は、全文翻訳ではありません。
記事では、「論文」のポイントのみを紹介し、白楽の色に染め直し、さらに、理解しやすいように白楽が写真・解説を加えるなど、色々と加工している。
研究者レベルの人が本記事に興味を持ち、研究論文で引用するなら、元論文を読んで元論文を引用した方が良いと思います。ただ、白楽が加えた部分を引用するなら、本記事を引用するしかないですね。
●2.【デュガンの「2024年5月のIntelligencer」論文】
★読んだ論文
- 論文名:Why Scientific Fraud Is Suddenly Everywhere
日本語訳:科学詐欺が突如として蔓延する理由 - 著者:Kevin Dugan
- 掲載誌・巻・ページ:Intelligencer
- 発行年月日:2024年5月21日
- ウェブサイト:https://nymag.com/intelligencer/article/why-scientific-fraud-is-suddenly-everywhere.html
- 著者の紹介:ケビン・デュガン(Kevin T. Dugan、写真と経歴の出典)。
- 学歴:2009年に米国のニュースクール大学(The New School)で学士号(教養学)取得
- 分野:科学ジャーナリズム
- 論文出版時の所属・地位:ニューヨーク・マガジン(New York Magazine)の上級記者
●【論文内容】
★論文撤回
このところ、学術論文の世界は悪化の一途をたどっている。
学術界のデタラメ論文を取り除くために、2023年の1年間に数千論文が撤回された。また、2024年5月、学術出版社のワイリー社は、11,300報のニセ論文を撤回し、学術誌19誌を廃刊にした。
いわゆる「論文工場」と呼ばれる大規模な悪の組織が、人工知能でデタラメ論文を作り、世界中の研究者に販売し、それを査読付き学術誌に発表していた。
こうした行為を暴露する組織の中に、ジャーナリストのアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky、写真出典)とアダム・マーカス(Adam Marcus)が共同で設立し、14年の歴史を持つ「撤回監視(Retraction Watch)」がある。
なぜデタラメ論文が急増しているのか、オランスキー氏に話を聞いた。
★論文工場の問題
質問:「論文工場の問題は深刻ですか?」
オランスキー氏は次のように答えた。
まず指摘しておきたいことは、論文工場が問題なのではありません。論文工場は実際の問題に起因した1つの症状です。
一緒に活動しているアダム・マーカス(Adam Marcus)は、2009年、スコット・ルーベン(Scott S. Reuben)が犯した鎮痛剤の学術詐欺事件を調査・告発しました。そのことで、ルーベンの数十報の論文が撤回されました。 → スコット・ルーベン(Scott S. Reuben)(米)更新 | 白楽の研究者倫理
その事件がきっかけで、私たち2人は、論文撤回に興味を持ちました。
2010年当時でも、撤回論文数は私たちが予想していた数より、はるかに多かったのです。しかし、現在と比べると、当時の撤回論文数はとても少なかった。
確かに人工知能は物事を加速させましたが、論文工場はずっと前からその存在が知られていました。
ただ、研究者も学術出版社も、その問題は存在しない、ふりをしたかった。
学術文献の問題は長年の問題で、インセンティブの問題です。
研究成果を評価する指標を設定すれば、研究者はその指標で高く評価されるよう、指標を利用します。貪欲です。
多くの人は、昔から、今現在起こっている問題を予測していました。
★指標(メトリックス、metrics)
質問:「論文工場はより大きな問題の1つの症状であるというあなたのコメントについて、私はサイエンス誌の「Paper Trail」を読んで、不正してでも良い仕事、高い給料、高い名声を得ようとする研究者の意欲に驚きました。 → 「Paper Trail」の解説:7-149 学術誌・編集者は不正のグル | 白楽の研究者倫理
学術界では、大学教員の職が少なすぎます。頭が良くても、中国やインド出身で、欧米の大学で教育を受けなかった人にとって、大学教員になるハードルはあり得ないほど高いのでしょうか?」
オランスキー氏は次のように答えた。
私の答えは、もう一歩先の答えになるかもしれません。
本当のところ、大学研究職の数は、現在、少なすぎませんし、今まで長い間、少なすぎませんでした。
大学研究職の数が少なすぎると思うのは、国と大学が、博士号取得者を多すぎるほど養成した上、研究者であり続ける唯一の方法は大学研究職にとどまることだと彼ら全員に思わせているからです。
ですから、需要と供給上の問題で、博士号取得者・研究者の競争は激化します。
高校生が有名大学に入学するために、お金を払って論文を買い、出版した、という話を聞いたことがあると思います。 → 2023年5月18日:The Newest Way to Buy an Advantage in College Admissions — ProPublica
現代は、そういうデタラメが起こる状況です。
大学運営者は実際の論文ではなく、「指標(メトリックス、metrics)」の数値だけを見ています。指標にこだわるのは、大学が得られるお金が、大学ランキングの番付に大きく影響を受けるからです。
ですから、大学は何を望んでいるかというと、優れた論文を発表しそうな研究者を獲得したい。
で、どうするか?
「指標(メトリックス、metrics)」の数値を見て、優れた論文を発表したと思える研究者に、「あなたはすでに優れた論文を発表していますね。素晴らしい。是非、うちの大学に来てください」とリクルートする。
そして、その大学の教員になると、さらに、たくさんの優れた論文を出版し続けなければなりません。
実際の研究内容、独創性、研究姿勢を評価しないで、誤解を招きやすく、虚偽でさえある「指標(メトリックス、metrics)」の数値だけで評価しているのです。
論文工場はそれをビジネス化しただけです。
そうです、指標を金儲けの材料にしているのです。
論文工場の要因を1つ挙げるとしたら、「引用(citation)」です。「引用」は本来、優れた論文を示す「指標(メトリックス、metrics)」ですが、本当に「引用」が重要なのは、大学ランキングのシステムを見ればわかります。
タイムズ・ハイヤー・エデュケーションの世界大学ランキング(World University Rankings | Times Higher Education (THE))やU.S.ニューズの世界大学ランキングなど、どれでもいいですが、ランキングの30%から60%が引用に基づいています。
引用はとても簡単にゲーム化できます。
そのため、引用カルテルが組まれます。
論文工場業者は「私たちは他の顧客全員にあなたの論文を引用させます。アルゴリズム的に混乱した方法で引用するので、引用操作だと誰も気づきません」と宣伝する。
といっても、やがて、気づかれます。
★「撤回監視(Retraction Watch)」活動
質問:あなたの活動は、研究者の研究不正を指摘しています。学術界で孤立していると感じますか?
オランスキー氏は次のように答えた。
アダムにはごく少額のお金が支払われていますが、私は無給のボランティアです。私たちは、2人の記者にお金を払い、別の2人がデータベースの作成・維持に働いています。
私たちはジャーナリストとして活動しています。
通常、研究不正行為を自分たちで特定していません。
「撤回監視(Retraction Watch)」記事を表面的に読むと、私たちが研究不正を摘発しているように見えるかもしれませんが、他の人が不正行為を見つけ、私たちに情報を提供してくれているだけです。これら情報提供者の名前を示す場合もあれば、そうでない場合もあります。
私たちはこれを14年間続けてきました。
学術界が私たちをどう思っているかは、さまざまな見方があります。
私たちは、悪質な研究不正を犯した人々について年間約100本の記事を「撤回監視(Retraction Watch)」で公開していますが、平均して1年に1通の停止命令書(cease-and-desist letter)しか受け取っていません。
裁判に訴えられたことはありませんが、名誉毀損保険(defamation insurance)に加入しています。
私たちの活動は、学術記事に何百回も引用されていますので、「除け者・嫌われ者(pariah)」だとは、もちろん、感じていません。
研究者は、私たちがしていることを、本来は、自分たちですべきだったと、残念がっていると思います。
私たちが「撤回監視(Retraction Watch)」で公表した研究不正行為、あるいは他の人が別のメディアで公表した研究不正行為について研究者と話をすると、院生・ポスドク・研究者たちは、その研究者の不正行為を既に知っていた、と話されることが多いです。
しかし、既に知っていた研究不正行為だけど、学術界の構造、ヒエラルキー、権力差のために、院生・ポスドク・研究者が内部告発するのは非常に難しい。
カール・エリオット(Carl Elliott)の著書『The Occasional Human Sacrifice』(2024年5月14日出版、表紙画像出典・アマゾン)は、内部告発者について書いていますが、そのほとんどが臨床医学の分野です。
内部告発者は、本来、ヒーローやヒロインと見なされるべきなのに、「除け者・嫌われ者(pariah)」になっています。
★研究分野
質問:研究不正の頻度は研究分野で差がありますか?
オランスキー氏は次のように答えた。
最初にお話した「撤回監視(Retraction Watch)」の原点ですが、アダム・マーカス(Adam Marcus)は、2009年、スコット・ルーベン(Scott S. Reuben)が犯した鎮痛剤の学術詐欺事件を調査・告発しました。
私たちのサイトに、「The Retraction Watch Leaderboard – Retraction Watch」があります。 → 白楽のサイト:「撤回論文数」世界ランキング
そのサイトに「撤回論文数」世界ランキングを示しています。
現在、上位10位のうち3人は麻酔科医です。麻酔科に集中している度合いは極めて高いです。
それで、麻酔科に問題があるという人もいますが、麻酔科の研究者は他の分野の研究者よりも規範意識が高く、研究不正にしっかり対処してきたとも言えます。
★麻酔科
質問:麻酔科医はどうして研究不正に対処するようになったのでしょうか?
オランスキー氏は次のように答えた。
その時の事件は小さかったのですが、他の分野よりも早く、麻酔科の分野で研究不正事件が起こったからです。
学術誌の編集者たちは、一般的に、その分野のリーダーが就任します。
自分たちが研究不正の問題を抱えていることに気づいたとき、学術誌・編集者たちは相談しあい、問題を共有しあいます。
当初から、麻酔科医が研究不正の対処に特に優れていたとは思いませんが、麻酔科医のコミュニティはかなり緊密だったのです。その緊密さは重要だと思います。
同じことが社会心理学と心理学の分野でも起こりました。
社会心理学と心理学の分野では、多くの研究者が研究不正で摘発されています。
わからないのは、社会心理学と心理学の分野はどうして研究不正に敏感に対処するようになったかです。
まだ、研究不正に鈍感な研究分野も多いので、どのように対処するようになったのかを社会学者が解明してくれるといいのですが。
★研究分野
質問:あなたの答えは、私が期待していたものではありませんでした。研究不正は生死にかかわる問題なので、麻酔科医は手術台の上で患者が死ぬのを見たくない、というようなことを言うだろうと期待していました。
オランスキー氏は次のように答えた。
どちらかといえば、利害関係が強いほど、フィールドは耐性が強くなります。・・・ゴメン。白楽は、この文が何を言っているのか理解できない。原文は「If anything, sometimes when the stakes are higher, fields are more resistant.」です。
ベン・モル(Ben Mol)という産婦人科医の男性がオーストラリアにいます。ベンは魅力的な人です。
彼は闘う男です。産婦人科のたくさん論文に不正なデータを見つけてきました。
しかし、麻酔科・社会心理学・心理学に比べ、産婦人科のリーダーたちは、研究不正問題に取り組むことにまだ消極的です。
★コメント
ケビン・デュガン(Kevin T. Dugan)の「2024年5月のIntelligencer」論文に絡んで、以下のコメントがあった。 → Weekend reads: ‘Why Scientific Fraud is Suddenly Everywhere’; ‘misconduct, intimidation, alcohol abuse and theft’; ‘grimpact’ – Retraction Watch
① LOL:May 25, 2024 at 1:47 pm
私たちには、潤沢な資金を持ち、強力で、非常に厳格な国際科学警察(グローバル・サイエンス・ポリス、global science police)が必要です。国際科学警察は、デタラメ学術誌を排除し処罰できる組織です。
出版規範委員会(COPE)と国際医学学術誌編集者委員会(ICMJE)は役に立たない案山子に過ぎません。Web of Science、Scopus、Pubmedなども同様です。出版社と学術誌は最悪です。
② LOL:May 26, 2024 at 11:34 am
少なくとも医学・健康科学における不正行為については、より厳しい法律が必要です。
医学研究データをねつ造・改ざんする研究者や、名誉を保つために事実を隠蔽する学術誌・編集者などは、間接的に何千万人もの人々の殺害や損傷の拡大に加担しています。
医学・健康科学における不正行為は犯罪として処罰され、相当の懲役刑に処されるべきです。
●7.【白楽の感想】
《1》問題
ちょっと期待外れの論文だった。
期待外れだったと感じた大きなポイントは、論文のタイトルである。
「Why Scientific Fraud Is Suddenly Everywhere」、日本語訳:「科学詐欺が突如として蔓延する理由」というタイトルの論文だったのに、読んでみると、アイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)へのインタビューだった。
タイトルと中身が違いすぎる。
従って、「科学詐欺が突如として蔓延する理由」がまともには書かれていない。
中身は悪くないのに。
質問者で執筆したケビン・デュガン(Kevin T. Dugan)は、研究不正について素人のような印象を受けた。
教訓:「論文は読んでみないとわからない」。
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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人類福祉の観点から、人口過多の発展途上国から、適度な人数の移民を受け入れる。
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
●9.【コメント】
注意:お名前は記載されたまま表示されます。誹謗中傷的なコメントは削除します
5つのことについて書きます。①日本はRetruction Watchに感謝すべき、②翻訳できなかったセンテンスについて、③引用カルテル、④納税者に対する責任の話が出てこない、⑤わが国は公共領域の作りこみが甘いです。
① 日本はRetruction Watchに感謝すべき
Retraction Watchは、わが国に、「日本のサイエンスのやり方はおかしいよ」と教えてくれたと思います。感謝すべきです。ありがとうございます。
②翻訳できなかったセンテンス
>どちらかといえば、利害関係が強いほど、フィールドは耐性が強くなります。・・・ゴメン。白楽は、この文が何を言っているのか理解できない。原文は「If anything, sometimes when the stakes are higher, fields are more resistant.」です。
グーグル翻訳によれば、
「むしろ、賭け金が高くなると、フィールドはより抵抗的になることがあります。」と訳されました。
大学の学費をたくさん払うと、より研究不正をもみ消すようになるということになるのかしら?? 修士よりは、博士号を持っているほうが、何年分か余計に学費を払っています。博士号持ちばかり集めたチームだと、みんな、それぞれお金(賭け金)を何百万円も突っ込んできているので、「研究不正ぐらいで失脚させてたまるか」みたいな雰囲気になるかもしれません。
③引用カルテル
引用カルテルの話が書いてあります。私は、「ありそうなことだ」と思いました。大学の外、地域社会から大学を見ている地域住民の私からすると、「賛辞カルテル」というのがあります。
例えば、東大教授のAが本を出版するとします。すると、阪大教授のBが、「21世紀の最高の知性だ!」という賛辞を書きます。出版社は、それを書籍広告や本の帯に書きます。次に、阪大教授のBが本を出版します。すると、東大教授Aが、「今年最大の問題作だ」とか賛辞を提供します。出版社は、それを書籍広告や本の帯に書きます。それで、それぞれの大学や書店で、トークショーをやったりして、本を売りさばきます。それがひたすら続きます。政治家もやっていますよね。政治家Cが、政治家Dの街宣に行って、「Dさんはすばらしい」と応援演説をし、Cが選挙の時に、DがCの街宣に行って、「Cさんはすばらしい」と言います。政党を「選挙互助会」等と言ったりします。
学者の話に戻りますが、AとBが男だったりすると、「賛辞カルテル」以外に「ホモソーシャル」、「Manel」(男性登壇者だけのパネルディスカッションのこと、Man + Panel discussionでManel)という役満が付きます。
そうやって、本が毎月出版され、科学研究費は使い果たされているのだけども、あまり社会や学問は発展しないということになります。
引用カルテルや賛辞カルテルの中では、暗黙の了解として、相手の研究不正を指摘しないということになるでしょう。
② 納税者に対する責任の話が出てこない
最近、Xでイギリスの女性(科学者ではなく、普通の市民の方)と話しました。「私たちの税金が、ひどい研究に使われている」と怒っていました。その方が「ひどい研究だ」と言ったのは、社会学の、日本の少年性愛まんが(少年を性的に虐待したいという内容)に関する論文でした。これは私も思うのですが、私たち国民が国に納税して、国が、大学に運営費交付金等を渡して、科学者に科学をやってもらっています。公共ということを考えて研究をしてほしいです。しかし、科学者側が「学問の自由」を主張して、自己中心的な研究をやってしまいます。例えば、この研究倫理ですが、科学研究費を使って、一番最初にやってほしい研究です。しかし、なぜかRetraction Watchのオランスキーさんが孤立してやるはめになっています。なぜ科学研究費が、Retraction Watchの運営者の給与に使われないかが不思議です。
どこに消えてしまっているのでしょうか?
⑤日本は公共の作りこみが甘い
日本は研究不正が発覚しても、教授がなかなか首にならないです。そもそも研究不正を隠蔽する地域づくりが、普段から、大学人によってなされています。これは地域社会に住んでいて、非常に痛感することです。
大学以外に、司法、裁判所も公正さというのが大事なところだと思います。昨日、冤罪事件の判決がありました。「一家4人を殺した」として逮捕されて、死刑判決まで受けた方が、実は冤罪だったということがわかった、袴田事件の判決がありました。袴田さんは冤罪だったということを裁判所が認めました。警察の腐敗がひどくて、「袴田さんが殺人犯だ」とでっちあげた刑事は、でっちあげや拷問をたくさんやっているみたいで、でも警察から何回も表彰されているそうです。その刑事がおかしいよと言った別の刑事がいて、その刑事のほうが村八分にされたそうです。
われわれ日本人は、戦後、賃労働、会社で給料目当ての労働に時間を費やしてきて、市民運動・労働運動・政治活動をやってきませんでした。公正さを重んじる社会を作ってきませんでした。大学や司法というのは、公正でないと困ります。公共領域が非常にいびつだったのですが、私たちはそれをほったらかしたまま、ひたすら会社で働いてきたと思います。時間配分、タイムマネジメントを変えるべきだと思います。