マラビカ・サーカー(Malabika Sarker)(米)

2018年11月10日掲載

ワンポイント:サーカーはバングラディシュ(Bangladesh)生まれ・育ちで、バングラディシュのチッタゴン大学(Chittagong University)で医師免許を取得し、米国に渡った。17年前の2001年5月3日、研究公正局は、米国のアラバマ大学バーミンガム校(University of Alabama at Birmingham)・ポスドクだったサーカー(37歳?)が、アンケート回答のデータを改ざんしたと発表した。3年間の締め出し処分を科した。サーカーはその後、米国からドイツに渡り、研究者を辞めず、バングラディシュに帰国した。現在(54歳?)、バングラディシュのブラック大学(BRAC University)・教授である。国民の損害額(推定)は1億2,500万円。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

マラビカ・サーカー(Malabika Sarker、写真)は、バングラディシュ(Bangladesh)のチッタゴン大学(Chittagong University)で医師免許を取得し、1996年(32歳?)、NIHの奨学金で、米国のアラバマ大学バーミンガム校(University of Alabama at Birmingham)・ポスドクになった。医師で、専門は疫学(エイズ)である。

2001年5月3日(37歳?)、研究公正局は、サーカーがバングラデシュの性感染症(STD)の危険因子に関するアンケート研究でデータを改ざんしたと発表し、2001年4月17日から3年間の締め出し処分を科した。

研究公正局のクロ判定は、マラビカ・サーカーの研究者としてのキャリアパスに決定的なダメージを与えなかった。

アラバマ大学を辞めた後、ドイツのハイデルベルク大学(University of Heidelberg)で研究博士号(PhD)を取得し、バングラディシュに帰国し、順調に研究キャリアを積み、2018年11月9日(54歳?)現在、バングラディシュ(Bangladesh)のブラック大学(BRAC University)・教授である。

アラバマ大学バーミンガム校(University of Alabama at Birmingham)。写真出典https://uab.financialaidtv.com/

  • 国:米国
  • 成長国:バングラディシュ
  • 医師免許(MD)取得:バングラディシュのチッタゴン大学(Chittagong University)
  • 研究博士号(PhD)取得:ドイツのハイデルベルク大学(University of Heidelberg)
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1964年1月1日生まれとする。1982年にチッタゴン大学に入学した時を18歳とした
  • 現在の年齢:54 歳?
  • 分野:国民健康学
  • 最初の不正:1998年(34歳?)(推定)
  • 発覚年:1999年(35歳?)(推定)
  • 発覚時地位:米国のアラバマ大学バーミンガム校・ポスドク
  • ステップ1(発覚):研究室のボスであるステン・ヴァーマンド教授(Sten H. Vermund)が見つけた(推定)。
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①アラバマ大学・調査委員会。②研究公正局
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:研究公正局でクロ判定(〇)
  • 不正:改ざん
  • 不正数:1件(推定)
  • 時期:研究キャリアの初期
  • 職:事件後に移籍し研究職を続けた(◒)
  • 処分:NIHから3年間の締め出し処分
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は1億2,500万円。内訳 ↓

  • ①研究者になるまで5千万円。研究者を辞めていないので損害額は0円。
  • ②大学・研究機関が研究者にかけた経費(給与・学内研究費・施設費など)は年間4500万円。研究者を辞めていないので損害額は0円。
  • ③外部研究費。研究成果の改ざんだが、研究費の損額は不明。2年間のポスドク代として損害額は1000万円。
  • ④調査経費。第一次追及者の調査費用は100万円。大学・研究機関の調査費用は1件1,200万円、研究公正局など公的機関は1件200万円。小計で1,500万円
  • ⑤裁判経費は2千万円。裁判はなかったので損害額は0円。
  • ⑥論文撤回は1報当たり1,000万円、共著者がいなければ100万円。撤回論文は0報なので損害額は0円。
  • ⑦アカハラ・セクハラではない。損害額は0円。
  • ⑧研究者の時間の無駄と意欲削減+国民の学術界への不信感の増大は1億円。
  • ⑨健康被害:損害額は0円とした。

●2.【経歴と経過】

主な出典:①:Malabika Sarker – IGC、②:(1) Malabika Sarker | LinkedIn

  • 生年月日:不明。仮に1964年1月1日生まれとする。1982年にチッタゴン大学に入学した時を18歳とした
  • 1982年 –1989年(18 – 25歳?):バングラディシュ(Bangladesh)のチッタゴン大学(Chittagong University):医師免許取得
  • 1989年(25歳?):バングラディシュのマリー・ストープス病院機構(Marie Stopes Clinic Society)に勤務
  • 1992年(28歳?):バングラディシュのブラック健康プログラム(BRAC health program)・コンサルタント
  • 1995 –1996年(31 – 32歳?):米国のハーバード大学(Harvard University)で修士号取得:国民健康学(Master’s in Public Health (MPH))
  • 1996年(32歳?):米国のアラバマ大学バーミンガム校(University of Alabama at Birmingham)・ポスドク
  • 2001年5月3日(37歳?):研究公正局がネカトでクロと発表。締め出し期間は2001年4月17日から3年間
  • 2001 –2004年(37 – 40歳?):ドイツのハイデルベルク大学(University of Heidelberg)で研究博士号(PhD)を取得:国民健康学(Public Health)
  • 2004年(40歳?):同大学・国民健康学研究所(Institute of Public Health (IPH))・研究員。後に講師
  • 2005年4月(41歳?):バングラディシュのブラック大学(BRAC University )・教員(準教授?)
  • 2011年7月(47歳?):同大学・教授。但し、2018年11月9日、ブラック大学のサイトで「Malabika Sarker」と検索してもヒットしなかった: Malabika Sarker | Brac University
  • 2018年5月(54歳?):「健康ヒロイン賞」受賞(Sabina, Malabika of JPGSPH presented “Heroines of Health” award | BRAC University)。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★アラバマ大学

1996年(32歳?)、マラビカ・サーカー(Malabika Sarker)は、NIH・フォガーティ国際センター(Fogarty International Center)のグラント「D43 TW01035: “UAB AIDS / HIV International Training&Research”」の助成を受けて、アラバマ大学バーミンガム校(University of Alabama at Birmingham)の疫学のステン・ヴァーマンド教授(Sten H. Vermund、写真)のポスドクになった。

★研究公正局

不正発覚の経緯は不明である。しかし、内容から判断して、研究室のボスであるステン・ヴァーマンド教授が見つけたと思われる。

https://www.ghru-southasia.org/team/malabika-sarker/

マラビカ・サーカー(Malabika Sarker)は、バングラデシュの性感染症(STD)患者へのアンケートの回答から、生活習慣および個人の履歴と性感染症(STD)の罹患率を相関させることで、性感染症(STD)の危険因子を決定ようとした。有意なデータにするために、危険因子に関する統計処理で患者およびその性的パートナーの職業を改ざんした。

この研究は、NIH・フォガーティ国際センター(Fogarty International Center)のグラント「D43 TW01035: “UAB AIDS / HIV International Training&Research”」の助成を受けて行なわれた。

2001年5月3日(37歳?)、研究公正局は、マラビカ・サーカー(Malabika Sarker)がバングラデシュの性感染症(STD)の危険因子に関するアンケートのデータを改ざんしたと発表し、2001年4月17日から3年間の締め出し処分を科した。サーカーは改ざんしたことを認めた。

ただ、研究公正局の報告書では、改ざんデータを含む研究成果がどこで発表されたか書かれてない。論文や学会とも、研究費申請書とも書かれていない。なんかヘンだ。どこなのだろう。

白楽が調べた結果、以下の論文で発表したと推察した。

★ネカト後のキャリアパス

マラビカ・サーカー(Malabika Sarker)は、2001年5月3日(37歳?)に研究公正局からクロと判定された後も、研究者として生き残った。

締め出し期間が3年間だったが、米国のアラバマ大学を辞め、米国からドイツに渡り、ドイツのハイデルベルク大学(University of Heidelberg)の大学院に入学し、2004年(40歳?)に研究博士号(PhD)を取得した。

その後、バングラディシュに帰国し、順調に研究キャリアを重ね、2018年11月9日(54歳?)現在、バングラディシュ(Bangladesh)のブラック大学(BRAC University )・教授である。

2018年5月(54歳?)、研究成果の重要性が認められ、スイスの「健康ヒロイン賞」を受賞した(Sabina, Malabika of JPGSPH presented “Heroines of Health” award | BRAC University、下の写真も。右から4人目)。

Photo: WomenInGlobalHealth

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2018年11月9日現在、パブメド(PubMed)で、マラビカ・サーカー(Malabika Sarker)の論文を「Malabika Sarker [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2018年の17年間の65論文がヒットした。

「Sarker M[Author]」で検索すると、1941~2018年の78年間の343論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者の論文ではない論文が多いと思われる。

2018年11月9日現在、「Sarker M[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2018年11月9日現在、「パブピア(PubPeer)」では、マラビカ・サーカー(Malabika Sarker)の論文にコメントはない:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》ネカト者を学術界から排除

米国のアラバマ大学バーミンガム校(University of Alabama at Birmingham)・ポスドクだったマラビカ・サーカー(Malabika Sarker)が、データ改ざんをし、17年前の2001年5月3日(37歳?)、研究公正局がクロと発表した。

サーカーはバングラディシュで生まれ育ち、医師になったので、裕福な家庭で育ったと思われる。

現在(54歳?)、バングラディシュのブラック大学(BRAC University)・教授である。バングラディシュでは、有力な研究者に育っている。バングラデシュの性感染症(STD)の予防に大きな貢献をしていると想像される。

しかし、米国でデータを改ざんし、研究公正局にクロと発表された。この時点で、サーカーを学術界から排除すべきだった。

研究ネカト者が研究を続けたケースは少ない。
→ 研究ネカト者が研究を続けた | 研究倫理(ネカト)

《2》再犯

サーカーがどのような状況でネカトをしたのか、ウェブ上の情報を読み解いても、わからない。

サーカーはその後、米国からドイツに渡り、研究者を辞めず、バングラディシュに帰国した。一貫して、バングラデシュの性感染症(STD)の研究をしている。

アンケート結果のデータ改ざんはアンケート結果を共同研究者がアクセスできる仕組みにしてあれば別だが、研究者が1人でデータを抱えていたら、他人には検証しにくい。

法則:「強い衝撃がなければ、研究者はネカトを止めない」

1999年以降、サーカーはネカトをしていないのだろうか?

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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい(富国公正)。正直者が得する社会に!
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●8.【主要情報源】

① 2001年5月3日、研究公正局のFederal Register:Findings of Scientific Misconduct
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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