7-64 ネカト被災者

2020年11月6日掲載 

白楽の意図:指導教員にネカト疑惑が発生した院生・ポスドクは自分が全く悪くないのに、大きな不幸に見舞われる。大きな自然災害の被害者と同等である。日本では、ネカト被災者を手当てすべきという意識がないので、手当はなく(多分)、統一基準はない。欧米での状況はどうなのか? ネカト被災者の状況てや手当てした教授陣について記載したカタリーナ・ジマー(Katarina Zimmer)の「2020年6月のScientist」論文を読んだので、紹介しよう。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.論文概要
2.書誌情報と著者
3.日本語の予備解説
4.論文内容
6.白楽の感想
8.コメント
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【注意】「論文を読んで」は、全文翻訳ではありません。ポイントのみの紹介で、白楽の色に染め直してあります。

●1.【論文概要】

白楽注:本論文は学術論文ではなくウェブ記事である。本ブログでは統一的な名称にするため論文と書いた。

論文に概要がないので、省略。

●2.【書誌情報と著者】

★書誌情報

★著者

  • 単著者:カタリーナ・ジマー(Katarina Zimmer)
  • 紹介:Katarina Zimmer, Journalist
  • 写真: https://www.outsideonline.com/2409493/katarina-zimmer
  • ORCID:
  • 履歴:https://www.linkedin.com/in/katarinaszimmer/
  • 国:米国
  • 生年月日:現在の年齢:27 歳?
  • 学歴:英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)で2016年に修士号(生物学)。米国のコロンビア大学(Columbia University)で2017年に修士号(ジャーナリズム学)
  • 分野:科学ジャーナリズム
  • 論文出版時の所属・地位:2017年5月以降、フリーランス記者(Self-Employed Freelance Journalist)

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著者ジマーの仕事場は出版社ではない。著者ジマーは写真家でもあるので、著者ジマーのウェブサイトから写真の一部を切り取り、張り付けた。写真出典:Katarina Zimmer, Journalist

●3.【日本語の予備解説】

省略

●4.【論文内容】

本論文は学術論文ではなくウェブ記事である。本ブログでは統一的な名称にするため論文と書いた。
方法論の記述はなく、いきなり、本文から入る。

ーーー論文の本文は以下から開始

★ケイト・ラスコウスキー(Kate Laskowski):プルイット事件

進化生態学者のケイト・ラスコウスキー(Kate Laskowski 、写真出典)は、2019年に米国のカリフォルニア大学デービス校(University of California, Davis)・助教授になった。しかし、良いスタートを切れなかった。

2019年末、助教授就任の数か月後、彼女は2016年の論文に疑念を抱いた研究者からのメールを受け取った。

疑念が抱かれた論文は、カナダのマックマスター大学の生物学者であるジョナサン・プルイット(Jonathan Pruitt)と共同執筆したクモの生態に関する論文だった。

ラスコウスキーは米国のイリノイ大学の院生の時、そしてその後、ドイツのライプニッツ淡水生態学・内水漁業研究所(Leibniz Institute of Freshwater Ecology & Inland Fisheries)・ポスドクの時、クモの社会的行動の研究についてプルイットと共同研究を行なった。

疑念を抱いた研究者からのメールは、プルイットが収集した生データの数値に多数の重複があって奇妙だと指摘していた。

ラスコウスキーは自分でデータを精査し、最終的に、そのデータと研究結果は信頼できないという結論に達した。そして、2020年初頭、学術誌に論文の撤回を要請した。彼女はさらに2報の論文の撤回も要請した。全部、プルイットとの共著論文だった。 → ジョナサン・プルイット(Jonathan Pruitt)(カナダ) | 白楽の研究者倫理

これらのデータは、クモの行動は社会的相互作用によって影響されるというプルイットの仮説を支持した一連の論文だった。

動物生態学コミュニティ、多くの院生、初期キャリア研究者、多数の研究協力者はプルイットのデータ「ねつ造・改ざん」疑惑に激怒した。

ラスコウスキーは次のように述べている。

「夢に見ていた研究職(助教授)に就いた最初の年です。私は新しい研究プロジェクトを立ち上げることが嬉しくて、とてもワクワクしていました。ところが、助教授に就任してから4か月もの間、既にやり終えたと思った過去のすべての論文を再検討する必要に迫られたのです」。

マックマスター大学のネカト調査は現在進行中であり、データの異常は偶然なのか、それとも「ねつ造・改ざん」によるものなのか、結論はまだ出ていない。

その中で、上位の共同研究者、研究指導教員がネカトと告発された時、さらに悪い場合はネカト者と認定された時、下位の共同研究者、指導を受けている院生・ポスドクに何が起こるかという問題が、科学界で議論されている。

下位の共同研究者、指導を受けている院生・ポスドクに全く過失はないのに多大な損害を受ける、とワンダ・ジョーンズ(Wanda Jones、写真出典)は言う。なお、ジョーンズは、ネカト行為の調査をする米国の研究公正局(ORI)の副局長である。

「研究公正局(ORI)がネカト調査する毎年約30件の内の約40%は主宰研究者(PI)がネカト者で、残り60%は院生、テクニシャン、他のスタッフがネカト者だ」とジョーンズ副局長は指摘した。

主宰研究者(PI)にネカト疑惑が生じると、関係する何十人もの若い研究者の研究・生活・人生が危機におちいる。研究室が閉鎖されるかもしれないので、新しい研究場所・ポジションを見つけようと取り乱す。共著論文がネカトで撤回されると、事態は更に悪くなる。

その後、主宰研究者(PI)がネカトでクロと判明した場合、研究室のスタッフ、ポスドク、院生には途方もない不幸が待ち受けている。

★メアリー・アレン(Mary Allen):グッドウィン事件

ジョーンズ副局長は、ネカト行為のスキャンダルの被災者となった早期キャリア研究者(early-career researchers、院生やポスドクなど)の最も直接的な影響は、心理的なダメージであることが多い、と指摘した。科学界全体から信頼を失う危険があり、自分の評判やキャリアの見通しへの不安が大きくなる。

バーモント大学ラーナー医科大学(University of Vermont Larner College of Medicine)の生化学者であるラッセル・トレーシー殊勲教授(Russell Tracy、写真出典)は、「ネカト行為のスキャンダルは早期キャリア研究者にとっては大きなトラウマになります。研究はもうやめて、別のことをしようと決心するでしょう」と述べた。

2006年、メアリー・アレン(Mary Ann Allen、写真出典)がウィスコンシン大学マディソン校の院生だった時、研究はもうやめようと思った。

メアリー・アレンと他の5人の院生は、自分の指導教員であるエリザベス・グッドウィン準教授(Elizabeth Goodwin)が研究助成金申請書に改ざんデータを記載していたのを見つけたのだ。

院生たちは、いろいろ悩み・議論したが、結局、グッドウィン準教授のネカト疑惑を大学に通報した。

ウィスコンシン大学マディソン校は調査の結果、グッドウィン準教授がネカトを犯したと結論したのを受け、グッドウィン準教授は大学を辞職(解雇?)した。

メアリー・アレンは、それまで自分の周りでネカトが起こるなんて思ってもみなかったが、この事件で、彼女が思っていた以上に、学術界でネカトが頻繁に起こっていることを学んだ。 → エリザベス・グッドウィン (Elizabeth Goodwin) (米) | 白楽の研究者倫理

事件の渦中でアレンは、もう科学を信用できないと思い、大学院をやめようと思った。しかし、彼女が別の大学の研究者に相談した。その研究者は、ウィスコンシン大学マディソン校での大学院研究を続けるよう優しく彼女に勧めた。

それで、アレンは、研究に復帰し、一生懸命研究を始めた。

アレンの仲間の院生の3人は博士号を取得する前に大学院を中退した。3人に連絡が取れないので、中退した理由がネカト被災だったかはわからない。しかし、状況から判断すれば、ネカト被災で大学院を中退したと思われる。他の2人は、すこし年数がかかったが博士号を取得した。

主宰研究者(PI)に対するネカト疑惑の申し立ては、主宰研究者(PI)の研究室で研究している人々に研究・生活・人生上の複雑な課題を引き起こす。

研究公正局(ORI)の調査監査部(Division of Investigative Oversight)のアレクサンドル・ランコ部長(Alexander Runko、写真出典)は、「主宰研究者(PI)が辞職する(解雇される)と、院生・ポスドクは新しい研究室を見つける必要があるが、多くの場合、大学は大学内の別の研究室に院生・ポスドクを移籍しようとする」と、述べた。

グッドウィン準教授の研究室の場合、大学院を続けることを決めたアレン以外の2人の院生は、大学院側が用意した研究室に移籍した。

院生の1人は新しい研究プロジェクトを受け入れ、2人目はグッドウィン準教授の監督下で研究したテーマの継続を希望した。

アレン自身は、線虫遺伝学の研究から、RNA調節の研究に切り替え、彼女の知人の紹介で新しい研究室で研究することにした。

3人共、この移籍で、博士号取得までの年限が伸びたが、最終的には博士号を取得し卒業した。

ジョーンズ副局長は、「院生のビザ(留学生の場合)、奨学金、研究費が特定の主宰研究者(PI)に結びついていると、大学院にとどまるのは特に複雑になる」、と指摘した。

アレンと仲間の院生の奨学金・研究費はグッドウィン準教授が受領した研究費に結びついていて、グッドウィン準教授がネカトで有罪となったとき、ウィスコンシン大学はそのお金を連邦政府に返還した。ただ、ウィスコンシン大学は、彼らをサポートするため資金を別途ねん出してくれたのだ。

★エバーハルト・ヒルト(Eberhard Hildt):ヘルマン事件

ドイツのウルム大学(University of Ulm)は、2000年にデータねつ造で告発された2人の癌研究者であるフリートヘルム・ヘルマン(Friedhelm Herrmann)とマリオン・ブラッハ(Marion Brach)の研究室の院生に対しても同様のことをした(ヘルマンはネカトを否定した)。 → フリートヘルム・ヘルマン(Friedhelm Herrmann)、マリオン・ブラッハ(Marion Brach)(独) | 白楽の研究者倫理

エバーハルト・ヒルト(Eberhard Hildt、写真出典)がヘルマン研究室でポスドクだったとき、ヘルマンとブラッハのデータねつ造を大学に告発した。

このネカト騒動で、ウルム大学はヒルトが失われた経済的損失を補填した。

ただ、院生やポスドクにとって研究を続けている限り、ネカト問題が付いて回る。ヒルトは、データねつ造に関与していないが、ネカト事件で悪評の研究室の出身者というだけで、研究職に採用されるのが難しいくなる。

ヒルトは、「ネカト行為で有名な実験室に院生として在籍していたのは、一種の大事故・大災害なので、その経歴を重視すべきではありません」と述べている。

ヒルトは、ヘルマンとブラッハの研究慣行に疑いを持ち始め、1997年、博士論文を指導してくれた旧・指導教授にネカト疑惑を打ち明けた。その旧・指導教授が、ヒルトがネカト疑惑を告発した際にヒルトをサポートしただけでなく、新しい研究職の情報も教えてくれた。

ヒルトは、現在、ドイツのポール・エールリッヒ研究所・教授である。

★キャサリン・ホワイト(Katharine White):サガラジャン事件

ヒルトもアレンも上司との共著論文を発表していない。だから、ある意味、上司をネカトと告発しやすい状況があった。

しかし、上司のネカト論文の共著者になっていて、その論文が撤回された院生・ポスドクは、独特の困難を抱える状況になる。

データねつ造論文の共著者になっていなかったが、キャサリン・ホワイト(Katharine White、写真出典)は、「あなたが研究で貢献し、あなたが正しいと信じている論文が撤回されるのは、とても恐ろしいことです」と述べた。

キャサリン・ホワイトは、現在は、インディアナ州のノートルダム大学・ハーパー癌研究所(University of Notre Dame Harper Cancer Research Institute)・準教授の化学生物学者である。

ホワイトがマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)の院生だった時、上級ポスドクがデータをねつ造している行為を目撃した。ただし、ホワイトはそのポスドクのどの論文にも共著者になっていなかった。  → アマー・サガラジャン(Amar Thyagarajan)(米)

「主宰研究者(PI)は、ポスドクがネカトをしても、研究者として生き残れます。しかし、そのスキャンダルに巻き込まれた多くの院生(ネカト被災者)は研究界で生き残れるかどうかはわかりません」。

★論文撤回と悪評の懸念

2005年、バーモント大学(University of Vermont)の肥満・老化研究者のエリック・ポールマン(Eric T. Poehlman)は、研究および助成金申請におけるデータねつ造で有罪を認めた。
 → エリック・ポールマン(Eric T. Poehlman)(米) | 白楽の研究者倫理

ポールマン研究室の若手にとって論文撤回による業績リストの貧困化は、大きな懸念事項だった。いくつかの論文が撤回され、ポールマン研究室の多くのポスドクは、1年以上かけた研究成果の論文が突然、業績リストから消えた。

業績リストから論文が消えたことが、ポスドクの将来の新しい職と助成金の申請にどのように影響するかについて心配し、バーモント大学の当時の学務担当上級副学部長だったポーラ・トレーシー教授(Paula Tracy、写真出典)、は他の上級教教授たちを誘って、履歴書と研究助成金申請のハウツーをポスドクに助言した。

トレーシー教授はまた、NIHの研究助成金担当職員に「残念なことですが、彼らの多くが熱心に研究したその成果が、ポールマン博士の不正行為のため業績リストには表れていません」、という手紙を書いた。。

「これらの手紙にどのような影響があったのかはわかりませんが、私たちは大学として、若い研究者の研究キャリア構築に協力するのは、私たちの仕事の一部だと感じました」。

ネカト行為による論文撤回は、論文が出版されてから数年後に研究者に影響を与える可能性もある。

2009年、欧州の研究者(匿名希望)は、デンマークの神経科学者であるミレーナ・ペンコーワ(Milena Penkowa)の研究室で博士号を取得し、その共著論文が撤回された。この時、匿名希望者は、博士号を取得後、バイオテクノロジー企業で数年働いていた。 → ミレーナ・ペンコーワ(Milena Penkowa)(デンマーク)改訂 | 白楽の研究者倫理

ペンコーワのネカト調査に協力し、自分がネカト無罪と証明するために、7年前に収集した生データをくまなく調べなければならない「苦痛な」経験を強いられた。

それだけでなく、匿名研究者は、撤回論文が博士論文の重要な部分を形成していたため、コペンハーゲン大学が博士号をはく奪するのではないかと恐れた。

匿名研究者はまた、公表されたネカト調査の結果が広範に取り上げられ、ペンコーワの「露骨なねつ造」罪が自分の雇用主に影響を与えることを心配した。 「企業は私を信頼していなかったので、私は企業から解雇されることを恐れていました」と、匿名研究者は述べた。

幸いなことに、匿名研究者の博士院生時代の別の教授が、匿名研究者は、撤回論文の疑わしい部分に関与していないことを雇用主に伝えてくれた。それにもかかわらず、匿名研究者は新しいポジションに応募するとき、ペンコーワ関連の論文を削除した「トップ5」論文だけを伝える、と述べた。

★不正行為への対処によるプラスの効果

ネカト被災でいろいろな苦労を背負ったにもかかわらず、ネカトに被災したことで、プラスの効果もあったと述べる人が多い。

例えば、グッドウィン準教授のネカト事件で、ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin–Madison)は、ネカト被災した院生たちを新しい研究室に再配置し、損害を賄う資金を確保するという規則を制定した。これは、将来、他の主宰研究者(PI)に同じような状況が発生した場合、ネカト被災者を救済することになる。

ネカト被災したアレンは、コロラド大学ボルダー校(University of Colorado Boulder)で教員職を始めたとき、同大学で同様の規則を制定するのに貢献した。

若い研究者は、上司にネカトの疑いがある、またはネカトが立証されたことに向き合うことで、研究公正に注意深い科学者や教育者に育つ。

例えば、ラスコウスキーは、共同研究者を信頼し、研究で収集したすべてのデータを共同研究者に見せる、いわゆる「裸体検査(strip search – Wikipedia)」状態にしている。

そしてヒルトは、実験結果をオープンにし、データねつ造につながる可能性のある研究習慣を止めるよう院生に指導している。ホワイトとアレンもヒルトと同じだと述べた。

直接のネカト被災者ではない研究者も、ネカト事件を遠くから見て学んでいる。

カリフォルニア大学デービス校で動物行動を研究している博士院生のアレクサンドラ・マッキンターフ(Alexandra McInturf、写真出典)は、プルイット事件の進行中の調査で、学術界の「出版か死か(Publish or Perish)」の考え方に問題を感じた。

コロラド大学ボルダー校(University of Colorado Boulder)で「病気におけるRNAの役割」の研究と並行して「責任ある研究行動」の講義を受けもつアレンは、「より良い研究界を作りたいという願望は、ネカト被災者に共通しています。ネカト被災者が学術界に留まるなら、健全な学術界を支えるでしょう」と述べた。

★上司がネカト行為の疑いがある場合の対処

  • 自分の上司にネカト疑惑が生じた場合、適切な部署に知らせる
    研究公正局(ORI)は、研究公正局(ORI)、大学・研究機関の研究公正官、論文掲載の学術誌・編集者、研究助成してくれた資金提供機関に連絡するよう指示している。研究公正局(ORI)の調査監査部のアレクサンドル・ランコ部長(Alexander Runko)は、多くの場合、これらの機関は、匿名の告発を受け付けている(告発者に報復の恐れがある場合)と述べている。
  • 上級研究者とのコネの強化
    自分の大学・研究機関内で信頼できる上級研究者(学科長や研究科長)に相談する。彼らはあなたを保護し、信用照会(推薦状)を書き、ガイダンスを提供してくれると、コロラド大学ボルダー校のアレンは述べている。「ネットワーキングが難しいことは知っていますが、しかし、上司にネカトが発覚した場合、信頼できる上級研究者は本当に役に立ちます」。
  • 所属大学・研究機関のルールを塾読する
    多くの大学・研究機関は、内部告発者を保護する規則があり、場合によっては院生が新しい研究室を見つけるのを助ける規則がある。「あなたの大学・研究機関があなたのために何をすることになっているのかを十分理解してください」とバーモント大学の生化学者であるラッセル・トレーシーは助言した。
  • 透明性を保つ
    撤回で論文を失った場合、または論文出版年にギャップがある場合、履歴書や研究費申請書でその理由を説明し、撤回された論文でのあなたの研究上の役割を強調する。ノートルダム大学の癌生物学者であるキャサリン・ホワイト(Katharine White)は、「人は自分の結果について知識と自信を持って話す人を信頼します」と述べた。
  • ネカト被災のことを他人に話す
    カリフォルニア大学デービス校のケイト・ラスコウスキーは、資格を持つカウンセラー、友人、ネカト被災で影響を受けた院生など、と話すことを勧めている。「他の人からできる限り多くのサポートを求めてください」。

●6.【白楽の感想】

《1》基準 

ネカト者への関心は、ネカト防止策の検討に重要なので、関心が高い。

一方、ネカトで被災した院生・ポスドク・若手研究者への関心は非常に低い。でもネカト被災者はまったく悪くないのに、大事故・大災害並みの不幸に見舞われる。

人生いろいろ、それも人生、と言えばそうではある。しかし、政府・大学はなんらかの対処が必須で、少なくとも規則やガイドラインを制定しておくべきだろう。

日本では、ネカト被災者の調査も手当ても基準がない。だから、国も大学も手当をしていない。周辺の教員が個々に対応しているだけだ。

対応基準を作るべきだ。

《2》取材 

本記事の著者のカタリーナ・ジマー(Katarina Zimmer)は、コメントを求める相手が適切である。ネカト事件に相当詳しいに違いない。あるいは、その手の専門家に尋ねたのかもしれない。

  • プルイット事件のケイト・ラスコウスキー(Kate Laskowski)
  • グッドウィン事件のメアリー・アレン(Mary Allen)
  • ヘルマン事件のエバーハルト・ヒルト(Eberhard Hildt)などなど。

それに、

  • 研究公正局(ORI)の副局長のワンダ・ジョーンズ(Wanda Jones)。
  • 研究公正局(ORI)の調査監査部(Division of Investigative Oversight)のアレクサンドル・ランコ部長(Alexander Runko)。

取材は、どのような取材先を選ぶかで記事の質が決まる。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●8.【コメント】

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怠惰なクマ
怠惰なクマ
2020年11月13日 3:20 AM

公益通報をしたことにより処分をうけた人も被害者ではないでしょうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/53c32cb7a1ef26978a234f7fced5b21c6992841a