ロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez)(米)

2022年7月5日掲載 

ワンポイント:2008年7月23日(31歳?)、発覚から3年後、研究公正局は、カーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)・院生だったゴンザレスの2005年の3報の発表論文、2本の投稿原稿、1報の総説に、データねつ造・改ざんがあったと発表した。2008年6月26日から3年間の締め出し処分を科した。ゴンザレスは研究業を廃業した。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez、Roxana M Gonzalez、ORCID iD:、写真出典)は、米国のカーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)・院生で医師免許は持っていない。専門は心理学である。

分野は心理学だが、研究公正局のネカト事件なので生命科学の枠で扱った。なお、「人文・社会科学・他」の表にもリストした。

2005年12月、カーネギー・メロン大学の2人の教員がゴンザレスのネカト疑惑を通報した。その通報を受け、カーネギー・メロン大学はネカト調査を始めた。本記事では、「2人の教員」の内の1人をゴンザレスの指導教員だったジェニファー・ラーナー助教授(Jennifer Lerner)とした。

2008年7月23日(31歳?)、発覚から3年後、研究公正局はゴンザレスが3件のNIH研究助成(R01 MH56880、R03 MH62376、R24 MH67346)を受けた、3報の発表論文、2本の投稿原稿、1報の総説に、データねつ造・改ざんがあったと発表した。

研究公正局は、2008年6月26日(31歳?)から3年間の締め出し処分を科した。3年間の締め出し処分は普通の処分である。

事件後、ゴンザレスは研究業を廃業した。研究論文を検索してもヒットしない。但し、結婚して姓を変えていると、検索してもヒットしない。

以下はカーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)の動画。

  • 国:米国
  • 成長国:米国?
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD):取得途上
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1977年1月1日生まれとする。2001年に修士号を取得した時を24歳とした
  • 現在の年齢:45 歳?
  • 分野:心理学
  • 不正論文発表:2005年(28歳?)
  • 発覚年:2005年(28歳?)
  • 発覚時地位:カーネギー・メロン大学・院生
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は指導者のジェニファー・ラーナー助教授(Jennifer Lerner)(推定)
  • ステップ2(メディア):「Scientist」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①カーネギー・メロン大学・調査委員会。②研究公正局
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:研究公正局でクロ判定(〇)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:3報の発表論文、2本の投稿原稿、1報の総説
  • 時期:研究キャリアの初期
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: NIHから 3年間の締め出し処分
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:

  • 生年月日:不明。仮に1977年1月1日生まれとする。2001年に修士号を取得した時を24歳とした
  • 19xx年(xx歳):xx大学で学士号を取得
  • 2001年(24歳?):ウィリアム・アンド・メアリー大学(College of William and Mary)で修士号を取得:心理学 →  Roxana M. Gonzalez
  • 2001年(24歳?):カーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)・院生
  • 2005年(28歳?):ネカト疑惑論文を出版、ネカト疑惑論文原稿を準備
  • 2005年12月(28歳?):ネカト調査始まる
  • 200x年(xx歳):カーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)・退学
  • 2008年7月23日(31歳?):研究公正局がネカトと発表

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ネカト

ロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez)は、米国のカーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)の院生だった。

指導者はジェニファー・ラーナー助教授(Jennifer Lerner、写真出典)だった。ラーナー助教授 は2007年6月にハーバード大学・教授に栄転している(Curriculum Vitae保存版)。

2005年12月、カーネギー・メロン大学の2人の教員がゴンザレスのネカト疑惑を通報したことを受け、大学はネカト調査を始めた。本記事では、「2人の教員」の内の1人をジェニファー・ラーナー助教授とした。

ネカト調査を主導したのは研究公正局のナンシー・ダビディアン(Nancy Davidian)だった。ダビディアン調査官は、ゴンザレスはネカト調査に協力的だったと述べている。しかし、結局、共著者はシロで、ゴンザレスの単独犯と結論した。

2008年7月23日(44歳?)、発覚から3年後、研究公正局はゴンザレスが3件のNIH研究助成(R01 MH56880, R03 MH62376, and R24 MH67346)を受けた、3報の発表論文、2本の投稿原稿、1報の総説に、データねつ造・改ざんがあったと発表した。

2008年6月26日から3年間の締め出し処分を科した。3年間の締め出し処分は普通の処分である。

3報の発表論文は以下の通り。2005年(28歳?)の1年間の3論文である。

  1. Lerner, J.S., & Gonzalez, R.M. “Forecasting one’s future based on fleeting subjective experiences.’ Personality and Social Psychology Bulletin 31:454-466, 2005;
  2. Lerner, J.S., Gonzalez, R.M., Dahl, R.E., Hariri, A.R., & Taylor, S.E. “Facial expressions of emotion reveal neuroendocrine and cardiovascular stress responses.’ Biological Psychiatry 58:743-750, 2005
  3. Fischhoff, B., Gonzalez, R.M., Lerner, J.S., & Small, D.A. “Evolving judgments of terrorism’s risks: Foresight, hindsight, and emotion.’ Journal of Experimental Psychology: Applied 11:124-139, 2005.

2本の投稿原稿は以下の通り。2005年(28歳?)に投稿した2本の原稿である。

  1. 2005 Manuscript: Lerner, J. S., & Gonzalez, R. M. “On perceiving the self as triumphant when happy or angry’;
  2. 2005 Manuscript: Lerner, J.S., Gonzalez, R.M., Small, D.A., Lowenstein, G., & Dahl, R.E. “Emotional influence on economic behavior among adolescents.’

1報の総説は以下の通り。2005年(?)の総説である。

  1. Review Article: Lerner J. S., Tiedens, L.Z., & Gonzalez, R. M. “Portrait of the angry decision maker: How appraisal tendencies shape anger’s influence on cognition.’ Journal of Behavioral Decision Making: Special Issue on motion and Decision Making.

【ねつ造・改ざんの具体例】

★「2005年11月のBiol Psychiatry」論文

「2005年11月のBiol Psychiatry」論文の書誌情報を以下に示す。2007年1月15日に撤回された。

研究公正局は以下のように指摘している。

表3のメディエーション分析の大部分に関して、論文で報告したデータは実際に収集・分析したデータとは異なっていた。コルチゾール値を改ざんし、おそらく心臓血管の測定値も改ざんし、都合の良い評価をした。

表3をココに示そうと思ったけど、閲覧有料なので、諦めた。

ネカト論文でも閲覧するのにカネを取る。つまり欠陥商品を堂々と定価で売っている。なんかヘンですね。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2022年7月4日現在、パブメド(PubMed)で、ロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez)の論文を「Roxana Gonzalez [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2003~2022年の20年間の22論文がヒットした。

同姓同名で別人と思われるアルゼンチンからの論文もあるので、所属をカーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)に限定した。「(Roxana Gonzalez [Author]) AND (Carnegie Mellon University[Affiliation])」で検索すると、2003~2012年の10年間の6論文がヒットした。

2022年7月4日現在、「Retracted Publication」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、本記事で問題にした「2005年11月のBiol Psychiatry」論文・1論文が2007年1月15日に撤回されていた。

★撤回監視データベース

2022年7月4日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez)を「Gonzalez, Roxana」で検索すると、本記事で問題にした「2005年11月のBiol Psychiatry」論文・1論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2022年7月4日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez)の論文のコメントを「Roxana Gonzalez」で検索すると、8論文にコメントがあった。

同姓同名で別人と思われる論文もありそうだ。

●7.【白楽の感想】

《1》なんか、ヘン:人間関係 

ロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez)は、ジェニファー・ラーナー助教授(Jennifer Lerner)と6報の共著論文がある。

最古は2003年の以下だが、ネカト論文とされていない。

2008年にネカトでクロと発表された。しかし、クロ認定後の2012年に、かつての指導者のラーナー助教授と共著で発表した以下の論文もある。この論文はパブピアで統計値が異常だと指摘されている。

指導した院生・ゴンザレスがネカト犯と確定した後、指導者のラーナー助教授とはどういう人間関係が成り立っていたのだろうか?

ネカト犯と確定した後、ネカト者とは関係が断たれたと思ったが、そうでもないようだ。 

上記論文はクロ認定の4年後に共著で発表している。なんか、ヘンである。4年以上前にゴンザレスが出したデータを使用したということか?

でも、ゴンザレスは研究業を廃業したと思われる。4年以上前のデータを使って良いかと打診されたら、普通は、断るだろう。

なお、この論文はパブピアで統計値が異常だと指摘されているが、その統計値はゴンザレスが出したデータなのかどうかは不明である。

写真、左から、指導者のジェニファー・ラーナー助教授(Jennifer Lerner)、ネカト者のロキサーナ・ゴンザレス(Roxana Gonzalez)。写真出典https://www.cmu.edu/cmnews/020510/020510_terrorism.html

《2》なんか、ヘン:出版社 

ゴンザレスのネカト論文の「2005年11月のBiol Psychiatry」論文は撤回された。

このネカト論文のデータを見ようとしたら、閲覧有料である。39.50ドルである(約4,000円)。多分、定価通りで割り引いていない。

ネカト論文でも出版社は定価販売し、カネを取る。つまり、出版社は欠陥商品を堂々と定価で売っている。出版業界、なんかヘンですね。

論文のサイトに行けば、「撤回」と書いてある。しかし、欠陥商品を出版し、「ご迷惑をお掛けし、申しわけありません」という態度は、出版社には微塵もない。 → 撤回公告:RETRACTED: Facial Expressions of Emotion Reveal Neuroendocrine and Cardiovascular Stress Responses – Biological Psychiatry

欠陥商品を堂々と定価で売っている業界って、かなり珍しい気がする。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 研究公正局の報告:(1)2008年7月22日:73 FR 42575 – Findings of Scientific Misconduct – Content Details – E8-16741。(2)2008年7月22日の連邦官報:FR-2008-07-22.pdf。(4)2008年7月23日の連邦官報:NOT-OD-08-097: Findings of Scientific Misconduct
② 2008年8月4日のミーガン・スデラリ(Megan Scudellari)記者の「Scientist」記事:Grad student falsified data | The Scientist Magazine®
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